ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 一部無効 外観類似 無効としない W09 審判 一部無効 観念類似 無効としない W09 審判 一部無効 称呼類似 無効としない W09 |
---|---|
管理番号 | 1380069 |
審判番号 | 無効2021-890007 |
総通号数 | 264 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2021-12-24 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 2021-02-19 |
確定日 | 2021-11-08 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第5997097号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第5997097号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成29年2月27日に登録出願、別掲2のとおりの商品を指定商品として同年10月16日に登録査定、同年11月17日に設定登録されたものである。 第2 引用商標 請求人が、本件商標の登録の無効の理由として引用する登録第5650597号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲3のとおりの構成からなり、平成25年8月29日に登録出願、別掲4のとおりの商品を指定商品として同26年2月21日に設定登録されたものである。 第3 請求人の主張 請求人は、本件商標はその指定商品中、第9類「コンピュータの画面保護用フィルム,コンピュータモニター液晶ディスプレイの液晶画面保護フィルム,スマートフォンの液晶画面保護用フィルム,スマートフォン用保護フィルム,携帯情報端末の液晶画面保護フィルム,電子応用機械器具の表示画面保護フィルム」(以下「請求に係る指定商品」という。)についての登録を無効にする、審判費用は被請求人の負担とする旨の審決を求め、審判請求書において、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出した。 1 請求の理由 本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するので、同法第46条第1項第1号により無効にされるべきである。 (1)本件商標の商標法第4条第1項第11号該当性について ア 本件商標 本件商標は、外観においては英大文字「K」「G」「K」の3文字からなる「KGK」商標であり、ロゴは少し標準文字をアレンジしたもので、ほぼ普通の書体に近いもので、左右の「K」は黒色と青色の2色で表し、中央の「G」については黒色と赤色の2色で表しており、3文字を均等に並べたものである。 そして、称呼は「ケージーケー」のみで、観念はなく、ほぼ普通の英大文字3字を均等に表示したものである。 また、本件商標の指定商品は、第9類「電子応用機械器具の部品を固定するために使用する熱電動性接着テープ」、第16類「文具用又は家庭用の粘着テープ」及び第17類「工業用接着テープ」を含む商標登録原簿に記載のとおりの商品であり、本件商標の登録出願日は平成29年2月27日、登録日は平成29年11月17日である。 イ 引用商標 引用商標は、その出願日は平成25年8月29日、登録日は平成26年2月21日であって、本件商標の出願日より3年半も早い先願登録商標である。 引用商標の外観は英大文字「K」「G」「K」の3文字からなる「KGK」商標であり、ロゴは少し標準文字をアレンジしたもので、ほぼ普通の書体に近いもので、墨一色で表示されている。また3文字のうち真ん中の「G」は左右の「K」の2倍以上に大きく表示した商標である。 そして、称呼は「ケージーケー」のみで、観念はなく、ほぼ普通の英大文字3字を均等に表示したものである。 また、引用商標の指定商品は、第2類「インクジェット印刷装置用インキ」及び第9類「インクジェットプリンター」を含む、商標登録原簿に記載のとおりの商品である。 ウ 本件商標と引用商標との類否 本件商標と引用商標とを比較すると、両商標はいずれも英大文字3文字「KGK」で、称呼は「ケージーケー」のみで同一であり、外観も着色の有無とロゴの相違のみであり、さらに両商標の指定商品も類似しているから、両商標は商標法上類似の商標である。 以上を整理すると、引用商標の出願日は平成25年8月29日であり、本件商標の出願日は平成29年2月27日となっており、本件商標は先願登録商標である引用商標と前記したようにどの観点からも類似である。 エ 指定商品 本件商標の指定商品中、第9類「コンピュータの画面保護用フィルム,コンピュータモニター液晶ディスプレイの液晶画面保護フィルム,スマートフォンの液晶画面保護用フィルム,スマートフォン用保護フィルム,携帯情報端末の液晶画面保護フィルム,電子応用機械器具の表示画面保護フィルム」と、引用商標の指定商品中「インクジェットプリンター,自動文字読み取り装置,その他の電子応用機械器具及びその部品(但し、電子計算機用プログラムを除く。)」とは、互いに類似する商品である。 (2)まとめ 本件商標と引用商標とは、「ケージーケー」の称呼を共通にする類似の商標であり、その指定商品も類似する商品である。 2 むすび したがって、本件商標は商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。 第4 被請求人の答弁 被請求人は、結論同旨の審決を求める、と答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第11号証を提出した。 1 答弁の理由 (1)本件商標は、被請求人の名称(共同技研化学)の第1番目、第3番目及び第5番目の文字の子音であるアルファベット文字「K」「G」及び「K」に由来することは否定しない。 しかし、請求人のいう「ロゴは少し標準文字をアレンジしたもので、ほぼ普通の書体に近いもの」とするにはあたらない。 本件商標は、全体としては黒を基調とした肉太の線状からなり、中央より下段に線を分断するように右下向きの隙間を備え、「K」に由来する左右の図は、「V字」の右に支える線を配したとも受け取れるものであり、また見方を変えれば「レ字」のはねを短くして斜めの隙間をもって右側に青色の山形括弧「〈」を配置したともいえるものであり、「G」に由来する図は、はこがまえ状の外形線の下線を短くし、斜めの隙間をもって赤に着色した斜線を配したものである。 このように、本件商標は、その由来するアルファベットの文字から離隔した外観形状となっているので、特殊な図形と認識され、「ケージーケー」の称呼は生じるべくもなく、外観のみをもって自他商品識別力を担い発揮するとみるのが妥当である。 これに対して引用商標は、フーツラボールド体にて、大文字「KGK」を中央の「G」のみ2倍の大きさとして表してなるので、外観形態としては「G」を強調したことを特徴とするものであって、アルファベット文字の形態はそのままでロゴ化しておらず「ケージーケー」の称呼は生じると思われる。 そこで、本件商標は、称呼観念は生ぜず、引用商標は称呼としては「ケージ一ケー」、また、観念としては格別生じることはないといえる。 そこで、前述のように、本件商標と引用商標は、外観において大きな相違があることから、同一又は類似の商品について使用しても彼此出所の混同を惹起することはないと判断される。 (2)上述のような主張は独断ではなく、過去の審査審決例からも裏付けられるものである(乙1?乙9)。 これらの審査例及び審決例からすれば、本件商標は引用商標とは非類似であって商標法第4条第1項第11号に該当しないことは明らかである。 (3)その他 被請求人は、引用商標(出願日 平成25年8月29日、登録日 平成26年2月21日)より先願の登録第5651461号商標を取得しており、両商標の指定商品は電子応用機械器具の部品又は附属品に属する商品が含まれている(乙11)。 2 むすび 以上述べたように、本件商標は、引用商標とは非類似とされるもので、本件審判請求は理由のないものである。 第5 当審の判断 1 請求人適格について 請求人が本件審判を請求する利害関係を有することについては、被請求人はこれについて争っておらず、また、当審は請求人が本件審判を請求する利害関係を有するものと認める。 以下、本案に入って審理する。 2 商標法第4条第1項第11号該当性について (1)本件商標と引用商標との類否について ア 本件商標 本件商標は、別掲1のとおり、ややデザイン化し一部に青で着色した欧文字「K」を両端に、そしてその間に、はこがまえ状の外形線の下線を短くし、その下線に赤で着色した斜線を配した図形を、それぞれ配してなるものである。 そして、このような構成態様からは、両端の欧文字「K」を看取することはできるとしても、その間に配された図形は、何らかの文字の字形に酷似するものではないことに加え、欧文字「K」と着色の共通性もないことからすれば、何らかの文字を表現したものか、にわかに看取、判読することは困難であるといわざるを得ないものであるから、これに接する取引者、需要者をして、一種の図形として認識されるとみるのが自然である。 そうすると、本件商標は、その中間に位置する図形から称呼は生じなというべきであるから、全体としても特定の称呼は生じないというべきであり、また、これより特定の観念も生じない。 イ 引用商標 引用商標は、別掲3のとおり、中央に欧文字「G」を大きく、その両脇にそれよりも格段に小さい欧文字「K」を、それぞれ太字のフーツラ書体により表してなるところ、その構成文字に相応して、「ケージーケー」の称呼を生じ、また、特定の観念は生じない。 ウ 本件商標と引用商標との類否 本件商標の外観は、上記アのとおり(別掲1)であり、引用商標の外観は、上記イのとおり(別掲3)であるから、両商標は、書体及び着色の有無により顕著に相違すること明らかであって、外観において判然と区別することができ相紛れるおそれはない。 また、本件商標は、直ちに特定の称呼を生じないのに対し、引用商標は「ケージーケー」の称呼を生じるものであるから、両商標は称呼において相紛れるおそれはない。 そして、本件商標と引用商標はともに、特定の観念を生じないものであるから、比較することができない。 以上からすると、本件商標と引用商標は、観念において比較することができないとしても、称呼及び外観において相紛れるおそれのないものであるから、外観、称呼及び観念によって、取引者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察しても、商品の出所について誤認、混同を生ずるおそれのないものであって、非類似の商標と判断するのが相当である。 したがって、本件商標は、引用商標とは非類似の商標である。 (2)小括 以上のとおり、本件商標は、引用商標とは非類似の商標であるから、両商標に係る指定商品の類否について検討するまでもない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。 (3)請求人の主張 請求人は、本件商標と引用商標は、いずれも欧文字「KGK」で、「ケージーケー」の称呼を同一にし、外観も着色の有無とロゴの相違のみであるから、両商標は類似の商標である旨主張する。 しかしながら、本件商標が、欧文字「K」及び一種の図形から構成されていて、特定の称呼を生じないことは上記(1)アのとおりであって、本件商標と引用商標が非類似の商標であること、上記(1)ウのとおりである。なお、被請求人が、本件商標は「K」、「G」及び「K」に由来すると述べているところがあるが、商標に対する認識は、商標権者の採択の意図に関わらず、需要者の認識により定められるべきもので、その由来をもって直ちに本件商標が「KGK」と認識されて特定の称呼が生じるものではないのであるから(この点、被請求人もその由来から称呼が生じると主張するものではない。)、本件商標からは特定の称呼を生じないとの上記判断の妨げとなるものではない。 そして、仮に、本件商標から「ケージーケー」の称呼を生じ得る場合があるとしても、本件商標と引用商標は、上記(1)ウのとおり、外観において顕著に相違するものであるから、本件商標から、極めて低い確率で生じ得る称呼の同一性が、両商標の外観における著しい相違を凌駕するとは認め難く、外観、称呼及び観念を総合して全体的に考察すれば、両商標は非類似の商標と判断するのが相当である。 よって、請求人の主張を採用することはできない。 3 むすび 以上のとおり、本件商標は、本件審判の請求に係る指定商品について、商標法第4条第1項第11号に該当せず、その登録は、同項の規定に違反してされたものではないから、同法第46条第1項の規定に基づき、無効にすることはできない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲1 本件商標(色彩は原本参照) 別掲2 本件商標に係る指定商品 第9類 電子応用機械器具の部品を固定するために使用する熱伝導性接着テープ,電子応用機械器具の部品を固定するために使用する熱伝導性粘着テープ,電気通信機械器具の部品を固定するために使用する熱伝導性接着テープ,電気通信機械器具の部品を固定するために使用する熱伝導性粘着テープ,磁心,抵抗線,電極,導電性テープ,MP3プレーヤー保護用フィルム,電気通信機械器具の表示画面保護フィルム,電気通信機械器具用保護フィルム,コンピュータの画面保護用フィルム,コンピュータモニター液晶ディスプレイの液晶画面保護フィルム,スマートフォンの液晶画面保護用フィルム,スマートフォン用保護フィルム,携帯情報端末の液晶画面保護フィルム,電子応用機械器具の表示画面保護フィルム 第16類 文房具用又は家庭用の粘着テープ,接着テープ,文房具用又は家庭用の両面粘着テープ 第17類 工業用接着テープ,印刷板固定用粘着テープ,電線又はケーブル用の保護カバーを固定するために使用する接着テープ,半導体固定用粘着テープ,防水用粘着テープ,粘着テープ状の電気絶縁材料,粘着テープ又は接着テープ付プラスチックフィルム,粘着加工したプラスチックフィルム,製造用粘着プラスチックシート,粘着剤又は接着剤を塗布したプラスチックシート,接着剤を塗布してなる表面保護用プラスチック製フィルム,導電性フィルム,導電性耐熱樹脂シート,ガラスの飛散防止及び熱線の遮断に用いる窓貼り用プラスチックフィルム,耐太陽光性と耐熱性のあるプラスチック製窓用フィルム,熱絶縁材料用透明プラスチックフィルム,熱線・紫外線遮蔽用並びにギラツキ防止及び低反射用プラスチックフィルム,熱線カット用プラスチックフィルム,自動車の窓用遮光フィルム,自動車窓ガラス用プラスチックフィルム 別掲3 引用商標 別掲4 引用商標に係る指定商品 第2類 インクジェット印刷装置用インキ,インクジェットプリンター用インキ,セラミックス・金属・貴金属の超微粒子を含有する印刷インキ(セラミックス・金属・貴金属の超微粒子を含有するインクジェット印刷装置用インキ及びセラミックス・金属・貴金属の超微粒子を含有するインクジェットプリンター用インキを含む。但し、謄写版用インキを除く。),その他の印刷インキ(「謄写版用インキ」を除く。),セラミックス・金属・貴金属の超微粒子を含有する染料,その他の染料,セラミックス・金属・貴金属の超微粒子を含有する塗料,その他の塗料,セラミックス・金属・貴金属の超微粒子を含有する顔料,その他の顔料 第9類 インクジェットプリンター,自動文字読み取り装置,その他の電子応用機械器具及びその部品(但し、電子計算機用プログラムを除く。),作業記録機,写真複写機,製図用又は図案用の機械器具,太陽電池,電池 |
審理終結日 | 2021-08-26 |
結審通知日 | 2021-08-31 |
審決日 | 2021-09-28 |
出願番号 | 商願2017-24615(T2017-24615) |
審決分類 |
T
1
12・
261-
Y
(W09)
T 1 12・ 262- Y (W09) T 1 12・ 263- Y (W09) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 有水 玲子 |
特許庁審判長 |
齋藤 貴博 |
特許庁審判官 |
岩崎 安子 板谷 玲子 |
登録日 | 2017-11-17 |
登録番号 | 商標登録第5997097号(T5997097) |
商標の称呼 | ケイジイケイ |
代理人 | 特許業務法人小倉特許事務所 |
代理人 | 杉本 勝徳 |