• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

この審決には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
不服2021877 審決 商標
不服20217345 審決 商標
不服20215919 審決 商標
不服20211979 審決 商標
不服20212396 審決 商標

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 商3条2項 使用による自他商品の識別力 取り消して登録 W41
審判 査定不服 商3条1項5号 簡単でありふれたもの 取り消して登録 W41
管理番号 1380038 
審判番号 不服2021-1819 
総通号数 264 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2021-12-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-02-09 
確定日 2021-11-24 
事件の表示 商願2018-58985拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成30年5月7日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
平成31年2月19日付け:拒絶理由通知書
令和元年8月23日付け:意見書
令和2年9月30日付け:手続補正書
令和2年11月6日付け:拒絶査定
令和3年2月9日付け:審判請求書

第2 本願商標
本願商標は、「F1」の文字を標準文字で表してなり、第41類に属する願書記載のとおりの役務を指定役務として登録出願されたものであり、その後、指定役務については、上記第1の手続補正により、「自動車レースの運営,自動車レースの企画・運営又は開催,自動車レースのレース結果の情報の提供,自動車レースに関する情報の提供」と補正されたものである。

第3 原査定の拒絶の理由の要点
1 本願商標は、ローマ字の「F」と数字の「1」を標準文字で表してなるところ、ローマ字1字と数字の組み合わせは、商品の品番、型番、種別、型式、規格等又は役務の種別、等級等を表した記号又は符号として、一般的に使用されるものであるから、本願商標は、極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなる商標と判断するのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第5号に該当する。
2 本願商標は、出願人の長年の使用の結果、我が国の需要者の間で広く認識され、出願人の業務に係る役務であることを認識することができるに至っているものと認めることができない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第2項の要件を具備するものということはできない。

第4 当審の判断
1 商標法第3条第1項第5号該当性について
本願商標は、「F」の欧文字と「1」の数字とを結合した「F1」の文字を標準文字で表してなるものである。
そして、欧文字1字と数字とを組み合わせた標章は、一般に、自己の製造、販売に係る商品や提供に係る役務について、その商品や役務の管理又は取引の便宜性等の事情から、商品の品番、型番、種別、型式、規格等又は役務の種別、等級等を表した記号又は符号として、取引上普通に採択、使用されている。
そうすると、本願商標を、その指定役務に使用した場合、これに接する取引者、需要者をして、役務の種別、等級等を表した記号又は符号の一類型を表示したものとして、看取、認識するにとどまるというのが相当であるから、本願商標は、極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなるものというべきであって、自他役務の識別標識とは認識し得ないものである。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第5号に該当する。
2 商標法第3条第2項該当性について
(1)請求人は、本願商標は、商標法第3条第2項の規定により商標登録を受けることができるものである旨主張し、その証拠方法として、原審において参考資料1ないし参考資料89(枝番号を含む。)、当審において甲第1号証ないし甲第3号証を提出したところ、上記証拠及び請求人の主張並びに職権調査によれば、以下の事実が認められる。
なお、本審決においては、上記各証拠のうち、原審における参考資料1ないし参考資料89(枝番号を含む。)は、順次、甲第1号証ないし甲第89号証(枝番号を含む。)と読み替え、当審における甲1号証ないし甲3号証は、順次、甲第90号証ないし甲第92号証と読み替えることとする(括弧内における証拠番号は、以下「甲1」のように省略して記載する。)。
ア 国際自動車連盟(Federation International de Automobile。以下「FIA」という。)は、「最大の重量・排気量を規定する一人乗りレーシングカー」(大辞泉 第二版 株式会社小学館)の「Formula One」(「F1」(エフワン)と略称される場合がある。)を用いた自動車レース興行である「FIA Formula One World Championship」(以下「F1世界選手権」という。)を、1950年から現在まで、世界各国で継続的に主催している(甲9?甲14、甲88)。
イ 請求人は、F1世界選手権に関連する全てのビジネスを行っている「フォーミュラ・ワン・アセット・リミテッド」(以下「FOAM」という。FIA等が所有する会社。)の子会社であり、F1世界選手権に関連する多数の商標権を世界各国において所有し、管理している。そして、請求人とその親会社であるFOAMは共に、F1世界選手権の運営・放映権管理・マネジメントなどを統括するフォーミュラ1グループ企業(以下「F1グループ企業」という。)に属している(甲9、甲77?甲86、甲88)。また、請求人は、欧州連合、ドイツ、フランス、ブルガリア、米国、カナダ、インド、ベネルクス、メキシコ、イスラエル等の約110の外国において、第41類の自動車レース興行の開催等の指定役務や指定商品について、普通に用いられる書体の「F1」の文字の商標登録を有している(甲77?甲86、甲88)。
ウ F1世界選手権は、毎年約20のグランプリ(GP)と称するシリーズ形式で構成される自動車レース興行であり、過去71年間にわたって、我が国を含めた世界の30以上の国で、1,000回以上行われた(甲13、甲31、甲88)。
エ 我が国では、1976年に、静岡県の富士スピードウェイで初めての「FIA F1世界選手権シリーズ 日本グランプリレース」(以下「F1日本グランプリ」という。)が開催された。その後、10年間は日本での開催はなかったが、1987年から現在までは、三重県の鈴鹿サーキットにおいて、毎年、F1日本グランプリが開催されている(甲9、甲10、甲88)。
そして、F1日本グランプリの観客数は、2018年は165,000人、2019年は122,000人であった(甲88)。
オ 我が国では、1976年から1986年まではTBSが、1987年以降はフジテレビジョンが、それぞれ放映権をもとに、F1日本グランプリ等のF1世界選手権をテレビで放送していた(甲9、甲12、甲18?甲31)。そして、現在は、主に、インターネットのスポーツ動画配信サイト「DAZN」を通じて、F1世界選手権の全セッションの視聴がされている(甲9、甲47)。
カ 我が国では、F1世界選手権を観戦するための各種情報をまとめた公式プログラムが、1992年から2019年まで毎年販売され(甲49?甲76)、その表紙等には、「F1」又は「Formula 1」の文字をモチーフとしたいくつかのパターンのF1世界選手権のロゴ商標(以下「F1ロゴ商標」又は「Formula 1ロゴ商標」という。)が表示されている(甲49?甲76)。
また、F1世界選手権をテレビ観戦するための各種情報をまとめた公式ハンドブック(「フジテレビ オフィシャル F1 TV HANDBOOK(‘年号)」等の名称)が、株式会社フジテレビ出版によって1987年から1998年に毎年発行され、その表紙等には、普通に用いられる書体の「F1」の文字が大きく表示されている(甲12、甲19?甲30)。
キ 1991年6月10日三木書房発行「F-1グランプリコース」(中村良夫著)、1996年3月22日株式会社新紀元社発行「モータースポーツレースガイド」(津久部茂明著)、2017年5月19日株式会社誠文堂新光社発行「F1語辞典」(小倉茂徳著)といったF1世界選手権の歴史や解説やそれに関連する情報をまとめた書籍が発行されている(甲9?甲11)。
ク 2018年1月から2020年7月に、F1日本グランプリ等のF1世界選手権に関する新聞記事が100回以上掲載されている(甲88)。
ケ 我が国では、F1世界選手権のレース結果等を内容とする専門雑誌「F1速報」(株式会社三栄発行)が、2009年から2019年の11年間に、月2回ずつ、合計261冊、販売されている(甲15、甲48)。その表紙には、「F1速報」のタイトルが表示されており、そのタイトルの「F1」の部分には、必ず商標を意味する「TM」の文字と、「F1,Formula One,Formula 1 are trade marks of Formula One Licensing BV,used under license」の一文が記載されており、「F1」等の文字が請求人の許諾のもとに使用されていることが示されている。
また、モータースポーツの専門誌である「SONY MAGAZINES DELUXE GRAND PRIX」(2011年12月17日 株式会社ソニー・マガジンズ発行)及び「Racing on」(2012年9月14日 株式会社イデア発行)において、F1世界選手権の特集記事が掲載されている(甲32、甲33)。
コ F1グループ企業は、F1世界選手権の公式ウェブサイトや関連サイトでの動画公開、無料の公式アプリケーション「F1 App」(以下「公式アプリ」という。)、各種ソーシャルメディア(Twitter、Facebook、YouTube及びInstagram)などを介して、F1世界選手権に関する情報(例えば、レースのダイジェスト放送・年間スケジュール・チームとドライバーの順位表の提供等)を発信する等の広告宣伝を行っている(甲34の1、甲35、甲88)。
そして、F1世界選手権の公式ウェブサイトの2018年の閲覧回数は、我が国からの480万回を含む全3億3,340万回、関連サイトでの2019年前半の動画視聴回数は、我が国からの160万回を含む全2,480万回、公式アプリの2019年前半の画面閲覧回数は、我が国からの440万回を含む全3億3,380万回であった(甲88)。
また、F1グループ企業は、(a)2009年8月28日からハンドル名を「@f1」とする公式F1 Twitterアカウント(2021年2月時点でフォロワーは510万人である。)、(b)ハンドル名を「@Formula 1」とする公式F1 Facebookページ(2021年2月時点でフォロワーは1040万人以上である。)、(c)2015年3月からハンドル名において「F1」の文字及びF1ロゴ商標を利用した公式F1 Instagramアカウント(2021年2月時点でフォロワーは1190万人以上である。)、(d)2015年3月から公式F1 YouTubeチャネル(2020年7月時点で登録者が380万人以上、2021年2月時点で視聴回数が25億回以上である。)を介して、F1世界選手権の最新情報や関連動画を提供している(甲88)。
サ 上記カからコの我が国での公式プログラム、公式ハンドブック、書籍、新聞、雑誌、F1グループ企業による公式ウェブサイト、公式アプリ、各種ソーシャルメディア等における情報発信での記述には、明朝体やゴシック体などの普通に用いられる書体の「F1」の文字や、「F1観戦」、「F1中継」、「F1ニュース」、「F1マシン」、「F1ダイジェスト」、「F1ポイントランキング」、「F1データブック」、「F1ドライバー」、「F1シリーズ」、「F1日本GP」等の構成中の「F1」の普通に用いられる書体の文字が、F1世界選手権の略称として多数回表示されている。
シ 我が国における代表的な国語辞典や百科事典等において、「F1」(エフワンの片仮名、Formula 1、Formula One等の文字を併記している。)の項が、普通の書体の文字において載録がされ、その説明において、FIAの規定にそった最上位級の競走用自動車やそれを用いたレースを指称するものであることなどが記載されている(甲37?甲41、別掲)。
ス 請求人は、F1世界選手権のスポンサー、パートナー企業・団体、ライセンス先などの事業提携者に、F1の文字商標やロゴ商標(「F1ロゴ商標」や「Formula 1ロゴ商標」)の使用を許諾しており、使用に際し、それらの商標が、F1グループ企業の自動車レース興行に係るものと表示することを定めている(甲87)。
例えば、F1世界選手権の関連グッズとして、帽子・ティーシャツ等の被服類やスピーカー、USBメモリー、スマートフォン用ケース、レーシングカーの模型、傘、F1世界選手権を題材としたレーシングテレビゲームが、販売されている(甲34の2?甲34の11、甲43?甲45)。
(2)判断
上記(1)によれば、自動車レース興行であって、その略称をF1とするF1世界選手権が、昭和25年(1950年)から現在までの過去71年間にわたり、世界の30以上の国で(甲9?甲13)、1,000回以上開催され(甲13、甲31、甲88)、我が国では、1976年及び1987年から現在まで、F1日本グランプリが開催され(甲9、甲10、甲88)、2018年は165,000人、2019年は122,000人の観客が動員された。
そして、相当数のユーザーが利用しているF1グループ企業の公式ウェブサイト、公式アプリ、各種ソーシャルメディア等を介し、F1世界選手権に関する広告宣伝が行われているとともに、昭和51年(1976年)から現在までの過去45年間、我が国において、テレビやインターネットのスポーツ動画配信サイトを通じて、F1世界選手権が視聴され(甲9、甲12、甲18?甲31、甲47)、公式プログラム、公式ハンドブック、書籍、新聞、雑誌等でもその情報提供や報道が多数回なされている。
また、公式プログラムの表紙等には、「F1」や「Formula 1」の文字をモチーフとしたいくつかのパターンのF1世界選手権のF1ロゴ商標やFormula 1ロゴ商標が表示されているところ(甲49?甲76)、その内容欄において、また、その他の公式ウェブサイト、公式アプリ、各種ソーシャルメディア(ハンドル名、アカウント名への使用を含む。)、公式ハンドブック(表紙への使用を含む。)、書籍、新聞、雑誌等において、明朝体やゴシック体などの普通に用いられる書体の「F1」の文字や、「F1観戦」等に含まれる「F1」の普通に用いられる書体の文字が、F1世界選手権を指称する略称として、極めて頻繁に使用され、我が国における代表的な国語辞典や百科事典等の多くに、FIAの規定にそった最上位級の競走用自動車やそれを用いたレースを示す語として、「F1」の項が載録されているところ(甲37?甲41、別掲)、これらに使用されている文字の態様は、「F1」の文字を標準文字で表してなる本願商標と外観上同一視できるものである。
上記に挙げた点に照らせば、「F1」の文字を標準文字で表してなる本願商標は、その指定役務の取引者、需要者に、F1世界選手権を指称する略称として、FIAやF1グループ企業との関連を認識することができる程度に広く知られているということができる。
さらに、当審における職権調査によれば、本願の指定役務を取り扱う業界において、「F1」の文字を、FIAやF1グループ企業以外の者が使用している事実は、発見できなかった。
してみれば、本願商標は、FIAやF1グループ企業により使用をされた結果、その指定役務の取引者、需要者の間で、何人かの業務に係る役務であることを認識することができるものと判断するのが相当であるから、本願商標は、商標法第3条第2項の要件を具備するものというべきである。
3 まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第5号に該当するものの、同法第3条第2項の規定により商標登録を受けることができるものであるから、原査定は、取消しを免れない。
その他、本願について拒絶の理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。


別掲

別掲 各種辞書における「F1」の掲載例
1 「広辞苑 第七版」(株式会社岩波書店)において、「エフワン【F1】」の項に、「(Formula 1)国際自動車連盟が構造・重量・車輪・安定性などの細目を規定する競走用自動車の最上位級。また、その自動車によるレース。」の記載がある。
2 「大辞林 第四版」(株式会社三省堂)において、「エフワン(F1)【Formula One】」の項に、「国際自動車連盟の規定する単座席レースのうちで最高の性能と格式をもつレースの分類。世界各国を転戦する選手権シリーズ戦を行う。」の記載がある。
3 「大辞泉 第二版」(株式会社小学館)において、「エフワン[F1]」の項に、「<Formula One>FIA(国際自動車連盟)が最大の重量・排気量を規定する一人乗りレーシングカー。レースは世界各地を転戦する。フォーミュラワン。」の記載、及び「デジタル大辞泉」(株式会社小学館)において、「エフワン【F1】」の項に、「《Formula One》FIA(国際自動車連盟)が最大の重量・排気量を規定する一人乗りレーシングカー。レースはグランプリ(GP)とよばれ、世界各地を転戦し、毎年ワールドチャンピオンを決める。フォーミュラワン。[補説]日本でのレースは、富士スピードウェイと鈴鹿サーキットで開催されてきた。」の記載がある。
https://dictionary.goo.ne.jp/word/F1/#jn-25115
4 「新明解国語辞典 第七版」(株式会社三省堂)において、「エフワン[F1]←Formula One」の項に、「国際自動車連盟の規定する最上級のレーシングカー(のレース)。[F1グランプリレースは、世界各国で年間十数戦を開催]」の記載がある。
5 「大車林」(株式会社三栄書房)において、「F1/Formula One」の項に、「FIA規定のフォーミュラ・ワン・カテゴリーのマシン。そのマシンによって選ばれたドライバーたちが戦うイベントが世界最高の自動車レース、F1世界選手権で、開催国の名前を冠したグランプリレースの名称で知られる。」の記載がある。
6 「現代用語の基礎知識2016」(株式会社自由国民社)の1037頁において、「ホンダF1[Honda F1]」の項に、「自動車メーカーの本田技研工業(ホンダ)が、2015年にF1(エフ・ワン)へ復帰した。F1とは、世界自動車連盟が統括する自動車レースの最高峰と位置づけられ、世界共通のフォーミュラ(形式)に従って作られたレース車両で競う。ホンダは、1964年に日本の自動車メーカーとして初めてF1に参戦した。」の記載がある。



審決日 2021-11-05 
出願番号 商願2018-58985(T2018-58985) 
審決分類 T 1 8・ 15- WY (W41)
T 1 8・ 17- WY (W41)
最終処分 成立  
前審関与審査官 小林 智晴加藤 優紀榊 亜耶人 
特許庁審判長 齋藤 貴博
特許庁審判官 山根 まり子
山田 啓之
商標の称呼 エフワン、エフイチ 
代理人 藤倉 大作 
代理人 松尾 和子 
代理人 田中 伸一郎 
代理人 ▲吉▼田 和彦 
代理人 角谷 健郎 
代理人 中村 稔 
代理人 井滝 裕敬 
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ