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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない X35
管理番号 1379974 
審判番号 取消2018-300785 
総通号数 264 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2021-12-24 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2018-10-17 
確定日 2021-10-15 
事件の表示 上記当事者間の登録第5375980号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5375980号商標(以下「本件商標」という。)は、「Puravida!」の文字よりなり、平成20年1月29日に登録出願、第35類「飲食料品(「菓子・パン・穀物の加工品・餃子・サンドイッチ・しゅうまい・すし・たこ焼き・肉まんじゅう・ハンバーガー・ピザ・べんとう・ホットドッグ・ミートパイ・ラビオリ・工業用粉類・豆・米・脱穀済みのえん麦・脱穀済みの大麦・食用粉類・あわ・きび・ごま・そば・どうもろこし・ひえ・麦・籾米・もろこし・茶・コーヒー・ココア・調味料・香辛料」を除く。)の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を含む第35類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、同22年12月10日に設定登録されたものである。
そして、本件審判の請求の登録日は、平成30年10月31日である。
なお、本件審判の請求の登録前3年以内の期間である平成27年10月31日から同30年10月30日までを、以下「要証期間内」という。

第2 請求人の主張
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の指定役務中、第35類「清涼飲料・果実飲料・飲料用野菜ジュース・乳幼児用粉乳・乳製品・アイスクリームのもと・シャーベットのもと・乳清飲料の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」(以下「取消請求役務」といい、「小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を「小売等役務」という。)についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を審判請求書並びに平成31年3月22日付け及び令和3年1月6日付け弁駁書において要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
以下、証拠の表記に当たっては、「甲(乙)第○号証」を「甲(乙)○」のように省略して記載する。
1 請求の理由
本件商標は、取消請求役務について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても使用されていないから、商標法第50条第1項の規定により、その登録は取り消されるべきである。
2 答弁に対する弁駁
(1)弁駁書(平成31年3月22日付け)における主張
被請求人は、答弁書において、本件商標を「清涼飲料・果実飲料の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」(以下「使用主張役務」という。)について、平成30年2月25日から使用していると主張している。
しかしながら、被請求人の提出した証拠によっては、本件商標の使用主張役務についての使用は立証されていない。また、それらの証拠は、以下ウに記載のとおり、日付や役務が特定されておらず、さらに以下のエ及びオについては、必要十分な証明を行っていない。
ア 使用主張役務の不使用
被請求人が「販売する」と主張する商品、及び、「提供できる状態にある」と主張するサービスは、商標法上の「商品」そのもの(国際分類第32類)又は「飲食物の提供」(国際分類第43類)であって、「清涼飲料・果実飲料の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」(国際分類第35類)ではない。
イ 社会通念上同一の商標について
被請求人は、「乙3は、『Puravida!表参道店』の店内で、炭酸水・果実飲料を販売するためにレジ机に置いてあるボードを写した写真であり、」と主張するところ、かかるボード(以下「本件ボード」という。)には、一番上の段に、「PURAVIDA! OMOTESANDO」(以下「使用商標」という。)の表示が認められる。
しかしながら、使用商標は、本件商標と同一の商標とは認められず、ましてや、本件商標と社会通念上同一の商標といえない。
ウ 日付等の不特定
乙1ないし乙4及び乙7ないし乙10の写真は、その「撮影された日付」を客観的に証明する証拠が提出されていないため、そもそも要証期間内の証拠であるか判断できない。また、「撮影場所」を客観的に証明する証拠が提出されていないため、被請求人との関係性も把握できない。さらには、どの役務との関係で本件商標の使用の事実を立証しているのか具体的な役務との関係性も示されていない。
エ 証拠の不明確性及び不十分性
被請求人は「乙2は、持ち帰り用の袋を写した写真である」と主張するが、乙2の日付を裏付ける証拠がないため要証期間内のものか判断できない上に、袋の大きさが示されていないため、一体「何を」持ち帰るための袋なのかさえ判断ができず、証拠として不明確である。
また、被請求人は「本件ボード」の「ご請求書」であると主張する請求書の写しを乙5にて提出し、さらに乙6において、「ボードの制作・送付に関する証明書」を提出しているが、「本件ボード」の制作費用を「誰が」「いつ」支払ったのか、「本件ボード」を「誰が」「いつ」「どこで」正に受領したのか、という事実までは客観的な資料とともに証明されていない。
よって、「本件ボード」の実際の納品日・納品場所が不明である以上、これらの証拠をもって、平成30年2月25日には、本件ボードが「Puravida!表参道店」のレジ机に置かれていたことを推認することができない。
さらに、被請求人は「乙11及び乙12は、実際に炭酸水を仕入れていることを示す領収書の写しである」と主張し、「乙13ないし乙15は、実際に果実飲料を仕入れていることを示す領収書の写しである」と主張する。
しかしながら、仕入れていると被請求人が主張する商品の届け先は、被請求人とは異なる(乙11?乙13)。
加えて、被請求人は「乙14ないし乙16からは、本件審判の請求前から果実飲料の仕入れがされていることが確認できる」と主張するが、乙14ないし乙16で提出された領収書の写しの「但し」書き欄には、「ジュース代」としか記載されておらず、具体的な商品名や商品番号の記載がないため、どの役務との関係の使用について立証しようとしているのか判断ができず、上記被請求人の主張を確認できない。
また、商品の納品場所も客観的に証明されていないため、届け先を特定できない。
なお、本件においては、商品を仕入れたことを証明することをもって使用主張役務の使用を立証したことにはならない。
また、乙8ないし乙10において提出するバックヤードに置かれた冷蔵庫に飲料が保管されている様子を写した写真の写しの提出をもって、使用主張役務の使用を立証したことにもならない。
なぜならば、仕入れてバックヤードに保管していたと主張する商品が、実際には上記の届先の会社又は個人が、専らそれらの自社又は自己の消費のためだけに購入し保管していた商品である可能性があるからである。
というのも、仕入れた後、他社又は他人である小売業者又は需要者にこれらの商品が実際に譲渡されるなどして、独立して商取引の目的たり得るべきものであったことを示す客観的な要証期間内の証拠は一切提出されていないからである。
オ 商標権者との不一致
被請求人は「乙1は、被請求人が営業している店舗『Puravida!表参道店』の正面及び看板を写した写真である」と主張する。ここで、答弁書に記載のURLによると、「Puravida!表参道店」の「問い合わせ先」は「(株)プラヴィダ」となっている(甲2)。そして、乙3、乙4、乙7ないし乙10で提出する写真の撮影場所は、「Puravida!表参道店」の店内又はそのバックヤードであると被請求人は主張する。また、上記エのとおり、商品の届け先には「Puravida」(乙11)、個人(乙12、乙13)の名称が確認できる。
しかしながら、かかる店舗名、会社名又は個人名と、被請求人との関係性を客観的に証明する書面や、本件商標の使用主張役務に係る商標権について、上記の店舗、会社又は個人に対し、専用使用権又は通常使用権が設定された契約の事実を客観的に証明する証拠も提出されていない。
また、本件商標の登録原簿にも、専用使用権又は通常使用権は設定登録されていない(甲1)。
よって、被請求人は「商標権者、専用使用権者又は通常使用権者による登録商標の使用」を証明していない。
カ 本弁駁書の主張
被請求人の提出に係る乙各号証は、そのほとんどが乙3に関連するものであり、とりわけ本件弁駁書において主張すべきは、上記「ア 使用主張役務の不使用」、「イ 社会通念上同一の商標について」、及び「ウ 日付等の不特定」である。
よって、これらの点について、乙3に特に着目して詳述する。
(ア)使用主張役務の不使用
本件ボード(乙3)には、他の文字と比して大きく配され、また異なるフォント・色によって書された「Drink Menu」の欧文字の記載がある。また、「Drink Menu」の記載のすぐ下には、「Take out・Drink inn」の欧文字の記載も確認できる。かかる欧文字の記載は、日本国において最も親しまれた外国語である英語の例に倣って、それぞれ、飲食店における「飲み物のお品書きや献立表」を意味する「ドリンクメニュー」、飲食店やファストフード店において「持ち帰りや、その場で飲む(消費する)こと」を意味する「テイクアウト・ドリンクイン」を意味する表示であると容易に理解できる。また、答弁書においても、被請求人は、乙3について、「『常温/冷えたもの両方ご用意しておりますので、スタッフまでお申し付けください』との記載がある」と主張し、「乙3、乙4からは、『Puravida!表参道店』に訪れた客の希望に応じて炭酸水・果実飲料を提供できる状態にあることが確認できる。」と主張する。
さらに、乙3、乙4、乙8ないし乙10によって被請求人が答弁書で主張するように、客の注文に応じて、「ドリンクイン」のサービス、つまりその場で消費する冷たい飲み物をいつでも出せるようにバックヤードの冷蔵庫に冷やして準備しておくことやそれを提供する行為、あるいは、身体を冷やしたくない客の希望に応じて常温の飲み物を準備して提供する行為は、本来的にはすぐにその場で消費可能な「飲食物の提供」(国際分類第43類)に属する役務というべきであって、国際分類第35類に属するいわゆる小売等役務とは認め難い。
ここで、国際分類第43類の「飲食物の提供」は、国際分類第43類の解説にもあるとおり、「主として消費のための飲食物を用意することを目的とする人又は事業所が提供するサービス」であることを理由に、専ら店内で飲食させることを本質的業務とはしない「Puravida!表参道店」のサービスは、「飲食物の提供」には該当しないとの被請求人の反論が予想される。ただし、「Puravida!表参道店」の本質的業務が、被請求人の提出に係る各乙号証の証拠から明らかにされていない以上、そのように解釈しても決して不自然ではない。また、仮に「飲食物の提供」に該当しないとしてもなお、以下のとおり、被請求人の提供するサービスは、第35類のいわゆる小売等役務には該当しない。
本件ボード(乙3)には、「Take out・Drink inn」の表示、つまり「飲み物のお品書きや献立表」の品物の一覧であると容易に解される表示が記載されている。いわゆる持ち帰りの「テイクアウト」を目的とする本件ボードに記載された飲料は「商品」そのものというべきであって、当該飲料のメニューをレジ机に置く行為は、「使用商標」を付した「商品」そのものの価格表を展示する行為(商標法第2条第3項第8号)であるといわざるを得ず、国際分類第32類に属する「清涼飲料,果実飲料」及び国際分類第30類に属する「茶」についての「使用商標」の使用であると把握すべきものである。
また、清涼飲料・果実飲料の小売において顧客に対して便宜を図るというのであれば、店舗のバックヤードのように顧客が立ち入ることが一般的にはできない場所に商品を置くのではなく、商品そのものを店頭や顧客が見やすい場所に並べて、それらの商品を購入前に顧客が実際に自分の手にとって内容物の表示を自由に確認できるようにしたり、価格と商品がわかりやすく並べられるなど売り場の配置を工夫して顧客が商品を買いやすいようにするサービスが行われるのが通常であるといえる。この考え方は、そのようなサービス活動についても商標法で保護を受けることができるようにした平成18年意匠法等の一部改正の趣旨にも沿うものであると考える。
つまり被請求人が主張する使用態様は、国際分類第35類の解説にあるような「他人の便宜のために各種商品を揃え(運搬を除く)、顧客がこれらの商品を見、かつ、購入するために便宜を図ること」を想定する、いわゆる小売等役務のサービスの基本概念と合致しておらず、乙3、乙4及び乙7をもって、要証期間内に「清涼飲料・果実飲料の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」について使用しているとの被請求人の主張を認めることはできない。
(イ)社会通念上同一の商標について
仮に、乙3による被請求人の主張が「使用主張役務」の使用であると判断されるとしても、乙3の使用商標は、以下の理由により、本件商標と同一の商標ではなく、ましてや社会通念上同一の商標ともいえない。
本件の場合には、本件商標と使用商標は、「OMOTESANDO」の欧文字の有無という点において大きく異なるため、使用商標は本件商標と同一ではない。
また、使用商標は、各文字全てが、同一の書体・文字の大きさにてまとまり良く配されており、その全体が外観において一連一体性を有しているというべきであり、称呼上も一連に称呼し得るものである。
そうすると、使用商標は本件商標とは全く別異のものである。
(ウ)日付等の不特定
a 乙1ないし乙4及び乙7ないし乙10の写真には日付を裏付ける証拠が提出されていないため、そもそも要証期間内のものであるか判断ができない。
被請求人は、乙7は、本件ボードが、「平成30年8月27日発売の女性誌『HB ハミングバーズ(HB humming birds)2018Autumn vol.15』とともに、レジ机に置かれている様子を写した写真である」と主張し、「もって本件ボードが平成30年8月27日以降も、『Puravida!表参道店』のレジ机に置かれていたことを十分推認させるものである」と主張するが、乙7の写真の撮影日が客観的に証明されていない以上、かかる主張を容認することはできない。
被請求人は、さらに、乙7の写真は、「平成30年9月6日に公開された『SHOP/Puravida!表参道ストアのブログ』の最下部にも掲載されており」と主張するが、過去のWebページを保存しているWayback Machineというサービスを利用して、かかる写真が、平成30年9月6日にWeb上で公開されていたかどうかを確認すべく試みたが、同日前後において、上記URL上にデータが存在していた、という事実を客観的に把握することができなかった。
よって、請求人は、被請求人の主張の真偽を確かめるべく、以下の公的資料の提出を求める次第である。
b 被請求人による公的資料の提出の必要性について
被請求人が主張するように、客の注文に応じて、「ドリンクイン」のサービス、つまりその場で消費する冷たい飲み物、あるいは身体を冷やしたくない客の希望に応じて常温の飲み物を提供する行為は、「飲食物の提供」に該当することは上述のとおりであるが、被請求人が専ら飲食の提供を営む者でなければ、商標法上の「飲食物の提供」には該当しないとの反論があり得ることも承知している。
しかしながら一方で、商標法とは別の法域である「食品衛生法」においては、かかる営業形態は、たとえ飲み物を提供する者が飲食店を主たる業務としない者であったとしても、また仮に一時的な飲食の提供であったとしても、その場で消費する飲料を提供する場合には、喫茶店営業の許可を事前に取得する必要があり、かかる申請は被請求人が主張する「Puravida!表参道店」の所在地及び被請求人の所在地でもある渋谷区においても営業開始前に事前に取得すべきものであるとされている。
乙8で提出された写真には、ひときわ大きな瓶入りの飲料と目される2本の瓶が、冷蔵庫の2つの段を占める割合で写されている。このような大きな瓶入りの飲料をその場で消費する場合には、グラスや紙コップ等に内容物を注いで供されるものと解するのが自然である。
よって、乙3のような「Drink Menu」を店舗内のレジ机に置いて、「炭酸水や果実飲料」の提供を、要証期間内に正に行っていたと被請求人が主張するのであれば、当然のことながら、渋谷区の生活衛生課食品衛生係に、営業許可を申請する申請書類一式が提出されているはずであるから、その日付入りの書類の控えの写しの提出を求める。
かかる提出書類に記載された日付と、渋谷区の生活衛生課食品衛生係に最低8年間は保管されている台帳における日付との整合性を確かめ、それらの日付をもって客観的に、乙3の本件ボードに記載されているような業務が、被請求人によって要証期間内に行われていたかどうかを確認すべきであると考える。
被請求人が主張する日付が正しく要証期間内の日付であるか否かは本件の審決に影響があるばかりでなく、Web上の情報は管理者により容易にアップデート可能であるとの考え方が一般的である以上、万が一にも証拠が偽造されている場合には商標法第79条に基づき刑罰の対象となることをも併せ考慮すれば、証拠の日付の判断には十分すぎるほどの慎重を期して、公的に証明できる客観的な資料の提示を被請求人に対して求める次第である。
キ 以上述べたように、被請求人提出の証拠によっては、本件商標の取消請求役務の使用の事実は何ら証明されていないから、本件商標は、取消請求役務について取り消されるべきものである。
(2)弁駁書(令和3年1月6日付け)における主張
ア 本件商標の不使用
(ア)「Puravida!表参道店」の看板の使用について
被請求人は、乙1、乙17ないし乙19を提出し、本件商標と社会通念上同一の商標が看板に使用されていると主張するが、取消請求役務のどの役務との関係で本件商標の使用の事実を立証しているのか具体的な役務との関係性が示されていない。
また、その関係性を客観的に示す証拠の提出もない。
よって、被請求人の主張を直ちに首肯することはできない。
本件審判請求の対象である取消請求役務は、特定小売等役務である。特定の商品との対応関係が全く不明な状態での商標の使用まで、本件商標の使用と認められるべきではない。
(イ)価格の不一致による証拠の不明確性
被請求人は、「炭酸水・果実飲料」の販売に関する記録として、乙25ないし乙28を提出しているが、平成30年3月15日(乙25)、同年3月29日(乙26)、同年5月8日(乙27)、同年5月10日(乙28)の販売記録と主張するPOSシステムに記録された「炭酸水 ¥540」及び「ジュース ¥486」の金額と、本件ボード(乙3)に記載されている「炭酸水 small ¥350 large ¥550」及び「イントロジュース ¥300」の金額は全く一致していない。
金額が一致しない点については、令和2年8月4日付け発送の審尋における審判長指摘のとおりであり、当該不一致への指摘に対し、被請求人は、「まず、当該不一致は、当時コミュニケーションアプリやメールマガジンで割引クーポンを配布しており、販売記録に係る顧客が当該割引クーポンを使用していたことに起因する。例えば、乙25は、ボードに記載された『炭酸水 large』を販売した記録であり、表示金額¥550から10%割引した500円に消費税40円を加えた『¥540』が表示されている。とはいえ、当該割引クーポンが使用された事実を客観的に示すことが困難なので、乙31、乙32を新たな証拠として提出する。」旨主張するが、これは正確性に欠ける。
正確に計算すれば、表示金額¥550の10%割引後の金額は500円ではなく、495円であり、その金額に消費税を加えても被請求人が主張する「¥540」にはならない。
ましてや、金額の不一致が指摘された「ジュース ¥486」については何らの説明がなされず、金額が相違することについて正当な理由があることを証明していない。
一般的な取引慣行に鑑みれば、表示金額と実際の取引金額の不一致はあり得ない。
また、被請求人が主張するように割引が実際に適用されていたのであれば、乙25ないし乙28のPOSシステムの記録において「値引き/割引率」の項目に、割引クーポン適用の10%又はそれに相応する金額が付されているべきである。
しかしながら、そのような表示は乙25ないし乙28には一切なく、この点においても被請求人の主張には疑義がある。
いわゆる小売等役務を営む事業者は、商品の表示金額と、客に渡すレシートに付す金額を、細心の注意を払って表示するのが常である。
割引を適用する場合にはその割引が何%であるかもわかりやすく表示する。
消費者側も、表示金額とレシートに記載された金額や、その割引率が一致しているかを確認するのが一般的であり、仮にその金額に誤りがあると認められる場合や、割引率が不明確であると思われる場合には、その場で確認をし、訂正を求めるのが一般的である。
そうすると、被請求人が本件ボードに記載の「炭酸水・イントロジュース(果実飲料)」を販売したと主張するのであれば、このような表示金額と一致しない販売記録が残ることは通常の取引慣行ではあり得ない。
むしろ、そもそも本件ボードは使用されておらず、他の値札、価格表又はボードが使用されていた可能性を考えざるを得ない。
4つの異なる日付において、本件ボードと全く異なる金額での取引が行われていた事実に鑑みれば、そのように考えるのが極めて自然である。
このような観点からも本件ボードの証拠としての信憑性に疑義を持たざるを得ない。
証拠としての信憑性に欠けるが故に、乙31及び乙32の取引も、金額が本件ボードの表示金額にその一部が一致していることをもって、正に本件ボードが使用されていたと直ちに首肯することはできない。
上述のとおり、近接した日付において、本件ボードの表示価格と異なる金額での商品の取引が複数なされている事実に鑑みれば、乙31及び乙32の取引も、本件ボードではなく、他の値札、価格表又はボードが使用されていた可能性が否定できないからである。
ここで、乙31及び乙32のPOSシステムによる販売記録には、不鮮明ではあるが、それぞれの商品の商品番号と目される番号が記録されているところ、本件ボードには、商品番号の記載はないから、商品番号による商品の一致が確認できない。被請求人の提出した全証拠も確認したが、これらの商品番号が付された証拠は一切提出されていない。
よって、被請求人によって提出された証拠は「炭酸水・果実飲料」を販売した事実を裏付ける客観的な証拠とはなり得ない。
このように、証拠の信憑性に疑義がある場合や、証拠全体からみて実際に登録商標を使用しているかが判然としない場合には、これまでの審決においては、使用の立証が充分でないとの評価がされているのであり、POSシステムの簡単な取引記録の写しのみによって、安易に使用していると認定されるべきではない。
(ウ)本件ボードの証拠としての不明確性
本件ボードには、他の文字と比して大きく配され、また異なるフォント・色によって書された「Drink Menu」の欧文字の記載がある。
「Drink Menu」の記載のすぐ下に、「テイクアウト・ドリンクイン」と目される表示がある場合には、通常の需要者の感覚としては、持ち帰り可能な又はその場で消費できるドリンクのサービスと理解するのが自然である。被請求人による本件ボードの使用態様は、通常の小売業者が、個々の商品に値札やPOP広告(購買時点広告)を付して、それぞれの商品の価格や特徴をわかりやすく表示したり、その商品の売り場をわかりやすくするなどのサービス態様とは全く異なるものである。
故に、本件ボードの使用態様が、「飲食物の提供」のごとく解釈しても決して不自然ではないと請求人が主張したところ、被請求人は乙20を提出し、「Puravida!表参道店」を飲食目的で使用できず、物販店舗として使用する必要がある旨主張する。
では何故、飲食目的で使用できない店舗において、またその場で消費する飲料を提供していないと被請求人が主張する店舗において、その場で飲むことが可能との誤解を生じ得る「ドリンクイン」のような表示を用いる本件ボードが作成されているのか、理解し難いものである。
被請求人の乙20で主張する事実が正しいのであれば、「ドリンクイン」の表示は当該建物賃貸借契約書の契約(乙20)に反するものである。
そうすると、被請求人の主張には一貫性がなく、上述のとおりの価格の不一致をも併せ考慮すれば、本件ボードは、証拠としての信憑性に欠け、不明確であるといわざるを得ない。
(エ)平成30年(2018年)9月6日について
被請求人が平成30年9月6日に公開されたと主張する乙7に掲載されている本件ボードは、写真撮影のために一時的に設置されたものであると考えざるを得ない。
実際に平成30年9月6日に正に本件ボードが使用されていたというのであれば、平成30年9月6日に近接した日付での取引の実績を示す取引書類が提出されてしかるべきであるが、そのような証拠は一切提出されていない。
仮に取引実績を客観的に示す取引書類があるのであれば、それらは早い段階で比較的容易に提出できるものであり、それらが提出できないということは、実際には本件ボードを使用した取引がなかったというべきである。
(オ)小括
以上のとおり、被請求人は、本件要証期間内における、本件商標及び本件商標と社会通念上同一の商標の使用を必要十分に証明していない。
イ 取消請求役務の不使用
(ア)「小売等役務」に当たるサービス活動の不存在
被請求人は、乙30を提出し、被請求人の使用態様は、「顧客が来店して立ち去るまでの間に小売に伴って提供されるサービス活動であり、最終的に清涼飲料・果実飲料の販売により収益をあげるもの」であるから、小売等役務に該当する旨主張している。
ここで、「顧客が来店して立ち去るまでの間に、炭酸水・果実飲料の小売に伴ってどのようなサービス活動を行っており、それが、商標法における保護対象である『小売等役務』に当たるのかについて、具体的に把握すること」ができない点については、令和2年8月4日付け発送の審尋における審判長指摘のとおりであり、この指摘に対し、被請求人は、「乙3に係るボードには、販売する商品の情報や金額だけでなく、それぞれの商品写真も表示されており、『常温/冷えたもの両方ご用意しておりますので、スタッフまでお申し付けください』との記載がある。そのため、最もコミュニケーションが少ない場合でも、顧客から『常温』か『冷えたものか』かの指示を受けたうえで、顧客が希望する炭酸水・果実飲料をスタッフが手渡す。炭酸水にはsmallとlargeがあり、果実飲料は2種類の選択肢があるので、顧客から商品選択にあたって質問を受ければ回答する。また、顧客から『常温/冷えたもの』等の指示がない場合には、顧客に合った商品・ベストな商品を提供すべくスタッフから顧客へ質間することになる。すなわち、顧客に応じた『接客サービス』が行われる。これは、完全に同じではないが、ドラッグストアにて薬剤師でなければ販売できない薬品を、薬剤師が顧客に手渡すまでの流れと似ているといえる。そうすると、需要者が購入店舗を選択するにあたり、『接客サービス』が大きな要因となるのはよく知られた事実であり、上述したスタッフが行う『接客サービス』活動は、商標法の保護対象である『小売等役務』に当たる。」と主張している。
上記被請求人の主張によると、本件ボードには「それぞれの商品写真も表示」されているというが、乙3を詳細に見ても、どの商品がどの写真に対応しているのか非常にわかりにくい。
炭酸水には「smallとlarge」があると被請求人は主張するが、乙3の本件ボードの写真のどれが炭酸水の「small」又は「large」の写真なのか判断できない。
さらに、被請求人が主張する接客サービス活動は、いわゆるファストフード店のような飲食店のサービス活動でも通常行われているサービスであり、本件ボードの「テイクアウト・ドリンクイン」の表示をも併せ考慮すれば、被請求人の行っているサービス活動が、我が国の商標法における保護対象である「小売等役務」に当たることを十分に証明していない。
「小売等役務」に当たると被請求人が主張するのであれば、文章による説明だけではなく、我が国の商標法における保護対象である「小売等役務」に当たるサービス活動が実際に行われていたことを証明する証拠を提出すべきであるが、そのような証拠は一切提出されていない。
早い段階で比較的容易に提出が可能な証拠が提出されていないということは、「小売等役務」に当たるサービス活動が行われていなかったといわざるを得ない。
(イ)小括
以上のとおり、被請求人は、本件要証期間内における、取消請求役務の使用を必要十分に証明していない。
(3)被請求人によって提出された全証拠によっては、本件商標の取消請求役務についての使用の事実は何ら証明されていないから、本件商標は、取消請求役務について、取り消されるべきである。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、答弁書並びに令和元年11月5日付け及び同2年9月3日付け回答書において、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙1ないし乙32を提出した。
1 答弁の理由
被請求人は、「清涼飲料・果実飲料の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」について、平成30年2月25日から継続して本件商標の使用をしている。
(1)証拠の説明
乙1は、被請求人が営業している店舗「Puravida!表参道店」の正面及び看板を写した写真である。
乙2は、持帰り用の袋を写した写真である。
乙3は、「Puravida!表参道店」の店内で、炭酸水・果実飲料を販売するためにレジ机に置いてあるボード(本件ボード)を写した写真であり、「常温/冷えたもの両方ご用意しておりますので、スタッフまでお申し付けください」との記載がある。
乙4は、本件ボードがレジ机に置かれている様子を写した写真である。
乙5は、本件ボードを制作した株式会社イワキ産業からの「ご請求書」で、「2018年2月分」の記載がある。
乙6は、「ボードの制作・送付に関する証明書」で、本件ボードが2018年2月9日に送付された旨が記載されており、本件ボードを制作した株式会社イワキ産業のI氏の押印がある。
乙7は、本件ボードが、平成30年8月27日発売の女性誌「HB ハミングバーズ(HB humming birds)2018Autumn vol.15」とともに、レジ机に置かれている様子を写した写真である。
この写真は同年9月6日に公開された「SHOP/Puravida!表参道ストアのブログ」の最下部にも掲載されており、「お店にも雑誌は販売しておりますので、ご希望の方はスタッフまでお申し付けください」との記載がある。
乙8は、炭酸水・果実飲料が、「Puravida!表参道店」のバックヤードにある冷蔵庫(以下「本件冷蔵庫」という。)で冷蔵されている様子を写した写真である。
乙9及び乙10は、本件冷蔵庫が、「Puravida!表参道店」のバックヤードに置かれている様子を写した写真である。
乙11ないし乙13は、実際に炭酸水を仕入れていることを示す領収書の写しであり、乙14ないし乙16は、実際に果実飲料を仕入れていることを示す領収書の写しである。
(2)使用について
乙1及び乙2からは、「Puravida!表参道店」の看板と持帰り用の袋に本件商標と社会通念上同一と認められる商標が付されていることが確認できる。
乙3及び乙4からは、「Puravida!表参道店」に訪れた客の希望に応じて、炭酸水・果実飲料を提供できる状態にあることが確認できる。
乙5及び乙6は、平成30年2月25日には、本件ボードが「Puravida!表参道店」のレジ机に置かれていたことを十分推認させるものである。
乙7は、「HB ハミングバーズ(HB humming birds)2018Autumn vol.15」の販売日である平成30年8月27日以降も、本件ボードが「Puravida!表参道店」のレジ机に置かれていたことを十分推認させるものである。
乙8ないし乙10からは、「Puravida!表参道店」において、冷えた炭酸水・果実飲料を提供できる状態にあることが確認できる。
乙11ないし乙13からは、本件審判の請求前から炭酸水の仕入れがされていることを確認でき、乙14ないし乙16からは、本件審判の請求前から、果実飲料の仕入れがされていることが確認できる。
以上から、本件商標の商標権者(被請求人)は、「Puravida!表参道店」において、取消請求役務中の「清涼飲料・果実飲料の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を、要証期間内に使用していたことを証明した。
2 回答書(令和元年11月5日付け)における主張
(1)弁駁に対する反論
ア 本件商標と社会通念上同一の商標の使用をしていることについて
平成29年2月29日及び同年3月30日には、被請求人が営業する「Puravida!表参道店」の看板(使用主張役務に関する「広告(商標法第2条第3第8号)」)に、本件商標と社会通念上同一の商標の使用をしており、少なくとも令和元年5月までは当該看板が使用されていることが推認できる(乙1、乙17?乙19)。
イ 日本国内における使用について
被請求人が営業する「Puravida!表参道店」は、日本国内に存在している(乙20)。
ウ 使用者について
被請求人である株式会社アイロックスと株式会社プラヴィダ(以下「(株)プラヴィダ」という。)の代表取締役のI氏は共通しており、被請求人と(株)プラヴィダ、及び、被請求人とI氏との間に、本件商標を(株)プラヴィダ及びI氏が使用することについて商標権使用許諾契約書が存在しないとしても、そこには黙示の使用許諾があったものと推認することができる。
そうすると、商標権者である被請求人、若しくは、通常使用権者と推認できる(株)プラヴィダ又はI氏が、本件商標を使用していることがわかる(乙23、乙24)。
エ 使用時期及び使用主張役務について
乙3ないし乙16、及び、新たに提出した乙22、乙25ないし乙28によって証明した。すなわち、要証期間内に、「Puravida!表参道店」にて炭酸水・果実飲料を販売していた、あるいは、販売できる状態にあったことが十分に推認できる。
オ 請求人の主張について
(ア)被請求人と「Puravida!表参道店」「(株)プラヴィダ」「Puravida」「I氏」との関係について
被請求人と「(株)プラヴィダ」「I氏」との関係を証明する書面を乙23、乙24として提出し、商標権者である被請求人と、(株)プラヴィダ及びI氏との間には、黙示の使用許諾があったものと推認できることはさきに述べた。
また、被請求人と「Puravida!表参道店」「Puravida」との関係を証明する書面を提出した(乙29)。
よって、被請求人は「商標権者又は通常使用権者による本件商標の使用」を証明している。
(イ)被請求人の提供するサービスについて
被請求人の提供するサービスは、国際分類第43類の「飲食物の提供」に該当しないことは、乙20から明らかである。
すなわち、被請求人は、当該建物賃貸借契約書の<条文>第4条(使用の目的)及び<特約条項>第9条(「使用の目的」の変更)によって、「Puravida!表参道店」を飲食目的で使用できず、物販店舗として使用する必要がある。
また、「平成18年法律改正(平成18年法律第55号)解説書」によれば、小売等役務とは、「顧客が来店して立ち去るまでの間に小売又は卸売に伴って提供される総合的なサービス活動であり、最終的に商品の販売により収益をあげるもの」となる(乙30)。
そして、ビジネスではサービスの差別化を行うのが常であり、被請求人の使用態様は「顧客が来店して立ち去るまでの間に小売に伴って提供されるサービス活動であり、最終的に清涼飲料・果実飲料の販売により収益をあげるもの」であることに疑いない。
よって、被請求人の提供するサービスは、国際分類第35類の小売等役務に該当する。
(ウ)本件商標と社会通念上同一の商標の使用について
被請求人は、上述したように「本件商標と社会通念上同一の商標の使用をしている」ことについては、「Puravida!表参道店」の看板に表示された商標によって証明している。
したがって、乙3の本件ボードに表示された標章が社会通念上同一の商標となるか否かを請求人と争う実益はないと考える。万一、この点が審決に影響を及ぼすのであれば、被請求人は、本件ボードに表示された標章は本件商標と社会通念上同一の商標であると考えている。
(エ)請求人の求める「渋谷区の生活衛生係に提出された、営業許可を申請する書類一式の日付入りの控えの写し」について
そもそも、商標法第50条第2項によれば、このような資料を提出する必要はないと考える。また、上述したように、被請求人は「Puravida!表参道店」を飲食目的で使用することができず、その場で消費する飲料を提供していない。
(2)被請求人が「Puravida!表参道店」を営業していることについては、乙20、乙21及び乙29を提出する。
(3)要証期間内に「Puravida!表参道店」において炭酸水・果実飲料を販売した事実に係る証拠については、乙25ないし乙28を提出する。
3 回答書(令和2年9月3日付け)における主張
(1)本件ボードに記載された表示金額と販売記録における金額が一致しない点について
当該不一致は、当時コミュニケーションアプリやメールマガジンで割引クーポンを配布しており、販売記録に係る顧客が当該割引クーポンを使用していたことに起因し、例えば、乙25は、ボードに記載された「炭酸水large」を販売した記録であり、表示金額¥550から10%割引した500円に消費税40円を加えた「¥540」が表示されているものであるが、当該割引クーポンが使用された事実を客観的に示すことが困難なので、乙31、乙32を新たな証拠として提出する。
乙31は、平成30年6月19日に、本件ボードに記載された「イントロジュース」を販売した記録であり、表示金額¥300に消費税24円を加えた「¥324」が表示されている。
乙32は、平成30年6月19日に、本件ボードに記載された「炭酸水small」を販売した記録であり、表示金額¥350に消費税28円を加えた「¥378」が表示されている。
(2)炭酸水・果実飲料の小売に伴うサービス活動及び商標法における保護対象である「小売等役務」該当性について
本件ボードには、販売する商品の情報や金額だけでなく、それぞれの商品写真も表示されており、「常温/冷えたもの両方ご用意しておりますので、スタッフまでお申し付けください」との記載がある。
そのため、最もコミュニケーションが少ない場合でも、顧客から「常温」か「冷えたもの」かの指示を受けたうえで、顧客が希望する炭酸水・果実飲料をスタッフが手渡す。炭酸水にはsmallとlargeがあり、果実飲料は2種類の選択肢があるので、顧客から商品選択にあたって質問を受ければ回答する。また、顧客から「常温/冷えたもの」等の指示がない場合には、顧客に合った商品・ベストな商品を提供すべく、スタッフから顧客へ質問することになる。すなわち、顧客に応じた「接客サービス」が行われる。これは、完全に同じではないが、ドラッグストアにて薬剤師でなければ販売できない薬品を、薬剤師が顧客に手渡すまでの流れと似ている。
そうすると、需要者が購入店舗を選択するにあたり、「接客サービス」が大きな要因となるのはよく知られた事実であり、上述したスタッフが行う「接客サービス」活動は、商標法の保護対象である「小売等役務」に当たる。
(3)写真の撮影日等について
被請求人は可能な限りの対応をしているが、証拠説明書における、各写真の撮影日、撮影者、撮影場所や撮影意図を客観的に証明することは極めて困難で、仮に偽造・偽証の可能性まで追求されるならば事実上証明は不可能である。
もっとも、乙1は、要証期間内に、「Puravida!表参道店」の看板に本件商標と社会通念上同一の商標が使用されていることを証明する目的で提出したものだが、同様の目的で乙17ないし乙19も提出している。
また、乙3、乙4及び乙7は、要証期間内に、炭酸水・果実飲料を販売できる状態にあったことを示すために、本件ボードがレジ机に置かれている状態を表したものだが、同様の目的で乙22も提出している。そして、乙5、乙6は、要証期間内に、本件ボードがレジ机に置かれていたことを推認する有力な証拠となる。
(4)被請求人が提出した回答書における主張及び答弁書における主張並びに添付した証拠を総合判断すれば、要証期間内に、日本国内において、商標権者又は通常使用権者が、本件商標と社会通念上同一の商標を使用して、本件ボードに表示された炭酸水・果実飲料を販売していることは証明されている(商標法第2条第3項第8号)。

第4 当審の判断
1 認定事実
(1)被請求人提出の乙各号証及び同人の主張によれば、次の事実を認めることができる。
ア 乙1は、被請求人が営業していると主張する「Puravida!表参道店」の店舗の正面写真であり、入口の上部には、緑色で「Puravida!」と表示された看板が掲げられており、店舗内に、ウェアやバッグなどが陳列されている様子がうかがえる。
イ 乙3は、本件ボードが写された写真であり、ボードの5分の4程は、薄い黒地になっており、最上部には「PURAVIDA! OMOTESANDO」の文字が白色で、その下に「Drink Menu」の文字がピンク色で、さらにその下に「Take out・Drink inn」の文字が白色で表示されている。
そして、その下には、白色で「-smoothie スムージー」「Mango&orange/W berry」「¥500」、「-Introjuice イントロジュース-」「Beauty/Cleanse」「¥300」、「-sparkling water 炭酸水-」「small ¥350 large ¥550」、「-green tea 緑茶-」「¥130」、「常温/冷えたもの両方ご用意しておりますので、スタッフまでお申し付けください」の表示がある。
さらにその下には、白地に果実飲料、スムージー、炭酸水及び緑茶と思われる商品の写真が表示されている。
ウ 乙5は、被請求人が本件ボードの制作に係る請求書であると主張するものであり、「ご請求書」の表題の下、左上部に「株式会社アイロックス 御中」の表示があり、右上部には、住所、電話番号とともに「株式会社イワキ産業」の表示がある。そして、「下記の通りご請求申し上げます。」「2018年2月分」「合計金額(税込) ¥21,600」の表示があり、明細と思われる表には、「商品名」の欄に「POP制作(ドリンクメニュー)」、「数量」の欄に「1」、「単価」の欄に「¥21,600」、「金額(税込)」の欄に「¥21,600」の表示がある。
エ 乙6は、被請求人が本件ボードの制作に係る証明書であると主張するものであり、「ボードの制作・送付に関する証明書」の表題の下、「私、・・・は、株式会社アイロックスから注文を受けて、下記ボードを制作し、2018年2月9日に送付しました。」の記載があり、その下には、乙3と同じ画像が表示されている。そして、その下には、「上記記載事項が事実に相違ないことを証明します。」の記載があり、「平成30年12月17日」の日付で、「株式会社イワキ産業」の記載とともに「ボード製作者」の記名押印がある。
オ 乙7は、被請求人が、本件ボードが「Puravida!表参道店」のレジ机に置かれている様子を写した写真と主張するものであり、右側には、本件ボードが写されており、中央には表紙に大きく「HB」と表示された雑誌と思われるものが写されている。
カ 乙17は、「リラヨガ・インスティテュート」のウェブサイト上の記事であり、「2017.03.31」「Puravida!表参道店グランドオープン」の見出しの下、「リラヨガ・インスティテュート代表の・・・がプラチナ・アンバサダーを務めるヨガブランド『Manduka』のほぼすべてのアイテムを揃えるPuravida!表参道店が3月30日にグランド・オープンしました。」の記載があり、その下に、店舗の正面を写したと思われる写真が掲載されている。
当該写真における店舗入口の上部には、緑色で「Puravida!」と表示された看板が掲げられおり、店舗内に、ウェアやマットなどが陳列されている様子がうかがえる。
そして、写真の下には、「東京都渋谷区神宮前5-11-6 1F」の記載がある。
キ 乙18は、(株)プラヴィダのホームページにおける記事であり、「【WORK】ヨガセレクトショップPuravida表参道店NEWオープン」の見出しの下、「2017/03/29」「本日ついに!Puravida!新店舗『表参道店』がプレオープン(正式オープンは明日3月30日?)」の記載があり、その下に、店舗の正面を写したと思われる写真が掲載されている。
当該写真における店舗入口の上部には、緑色で「Puravida!」と表示された看板が掲げられており、店舗内に、ウェアやマットなどが陳列されている様子がうかがえる。
そして、写真の下には、「Puravida!表参道店の場所はこちら」「東京都渋谷区神宮前5-11-6 1F」の記載がある。
ク 乙19は、被請求人がGoogleストリートビューのキャプチャ画像と主張するものであるところ、これには、乙1、乙17及び乙18と同様に、緑色で「Puravida!」と表示された看板を掲げた店舗正面の画像が表示されており、画像の左上部には、「渋谷区、東京都」「ストリートビュー-5月2019」の表示がある。
ケ 乙20は、「建物賃貸借契約書」の写しであり、「建物賃貸借契約書」の表題の下、「賃貸人 有限会社ハイフォレストと賃借人 株式会社アイロックスとは双方合意の上、下記条項により建物賃貸借契約(以下『本契約』という)を締結する。」の記載がある。そして、「建物の表示」の欄には、「所在地」として「東京都渋谷区神宮前五丁目11番6号」の記載、「賃貸借期間」として「自 2017年1月15日(引渡日) 至 2019年1月14日」の記載、「使用目的」として「物販店舗」の記載がある。
また、当該契約書の末尾には、「本契約の成立を証するために本書2通を作成し、両当事者はここに署名、記名及び捺印の上、各1通を保有する。」「2016年11月7日」の記載があり、「賃貸人」として「有限会社ハイフォレスト」、「賃借人」として「株式会社アイロックス(代表取締役としてI氏の氏名)」、「連帯保証人」としてI氏の氏名がそれぞれの住所とともに記載され、捺印がある。
コ 乙21は、「建物賃貸借契約書(更新)」の写しであり、「建物賃貸借契約書(更新)」の表題の下、「賃貸人 有限会社ハイフォレスト(以下『甲』という)と賃借人 株式会社アイロックス(以下『乙』という)とは2016年11月7日付にて締結した下記表示物件に関する建物賃貸借契約(以下『原契約』という)を下記の条件により更新する。」の記載がある。
そして、「建物の表示」の欄には、「所在地」として「東京都渋谷区神宮前五丁目11番6号」の記載、「更新後の賃貸借期間」として「自 2019年1月15日 至 2021年1月14日」の記載がある。
サ 乙22は、(株)プラヴィダのホームページにおける記事であり、「★Manduka 18A/W 新作ヨガウェア入荷★」の見出しの下、「2018/09/06|SHOP/Puravida!表参道ストアのブログ」の記事中に「【雑誌hb ハミングバーズ最新号でプラヴィダが紹介されました!】」の記載とともに、4葉目に乙7の写真、3葉目に乙7の中央の雑誌と思われるものの写真が掲載されている。
シ 乙23は、株式会社アイロックスの履歴事項全部証明書であり、「商号」として「株式会社アイロックス」の記載があり、「役員に関する事項」として「代表取締役」にI氏の氏名が記載されている。
ス 乙24は、(株)プラヴィダの履歴事項全部証明書であり、「商号」として「株式会社プラヴィダ」の記載があり、「役員に関する事項」として「代表取締役」にI氏の氏名が記載されている。
セ 乙29は、株式会社アイロックスのホームページにおける「ABOUT US」のページであり、「会社概要」の見出しの下、「会社名」の欄に「株式会社アイロックス【IROX,Inc.】」、「代表取締役」の欄にI氏の氏名が記載されており、また、「事業内容」の見出しの下、「2.EC事業」として「ECサイトの企画・運営」「●Puravida!(レディースヨガウェア・フィットネスウェアを主に取り扱う)・・・(実店舗)『Puravida!』表参道店」の記載がある。
ソ 乙31及び乙32は、被請求人がPOSシステムによる販売記録と主張するものである。
乙31には、「締め日」として「2018/06/19」、「取引店」として「Puravidaプラヴィダ表参道店」の表示があり、「取引明細」における「商品情報」として「303000003-001 イントロジュースBC」、「販売単価」として「¥324」、数量として「1」、「計」として「¥324」の表示がある。
また、乙32には、「締め日」として「2018/06/19」、「取引店」として「Puravidaプラヴィダ表参道店」の表示があり、「取引明細」における「商品情報」として「303000003-011 炭酸水/小」、「販売単価」として「¥378」、数量として「1」、「計」として「¥378」の表示がある。
(2)上記(1)によれば、以下のとおり、認めることができる。
ア 「Puravida!表参道店」の存在について
被請求人は、2016年11月7日に「東京都渋谷区神宮前五丁目11番6号」に所在する建物を物販店舗とする目的で建物賃貸借契約を締結し(乙20)、2017年3月30日に、同所において、「Puravida!表参道店」をオープンしたといえる(乙17、乙18)。
そして、当該店舗は、令和元年5月においても、同所に所在していたといい得るものである(乙19、乙21)。
イ 被請求人と「Puravida!表参道店」、(株)プラヴィダ、I氏との関係について
被請求人と(株)プラヴィダの代表取締役は、いずれもI氏である(乙23、乙24、乙29)。
そして、「Puravida!表参道店」が所在する建物は、被請求人が契約し(乙20、乙21)、被請求人のホームページの記載(乙29)からは、被請求人が「Puravida!表参道店」を運営しているとみることができ、また、(株)プラヴィダのホームページにおいて、「Puravida!表参道店」の宣伝広告がされている(乙18、乙22)。
ウ 本件ボードについて
本件ボードは、被請求人が、株式会社イワキ産業に制作を依頼し、2018年2月9日に被請求人に対して送付され、被請求人は、株式会社イワキ産業から本件ボードの制作費の請求を受けたといえる(乙3、乙5、乙6)。
本件ボードには、「PURAVIDA! OMOTESANDO」の文字が表示されるとともに、被請求人が販売していると主張している「果実飲料」及び「炭酸水」の商品写真と当該商品の料金が表示されている。
エ POSシステムによる販売記録(乙31、乙32)によれば、「Puravida!表参道店」において、2018年6月19日に、「イントロジュース(果実飲料)」及び「炭酸水」が販売されたことが認められる。
2 判断
(1)使用者について
商標権者(被請求人)である「株式会社アイロックス」と(株)プラヴィダの代表取締役は、いずれもI氏であり(乙23、乙24、乙29)、「Puravida!表参道店」が所在する建物は、商標権者(被請求人)が契約している(乙20、乙21)。
そして、(株)プラヴィダのホームページにおいて、「Puravida!表参道店」の宣伝広告がされており、商標権者(被請求人)のホームページ(乙29)には、商標権者(被請求人)が「Puravida!表参道店」を運営している旨の記載がある。
これらを併せてみれば、商標権者(被請求人)、(株)プラヴィダ及びI氏の間には密接な関連性があるといえ、商標権者(被請求人)は、「Puravida!表参道店」を実質的に運営しているとみて差し支えない。
そうすると、本件商標の使用者は、商標権者(被請求人)である株式会社アイロックスということができる。
(2)使用商標について
本件商標は、「Puravida!」の文字を横書きしてなるところ、本件ボードに表示された使用商標は、「PURAVIDA! OMOTESANDO」の文字を横書きしたものである。
そして、使用商標中の「OMOTESANDO」の文字は、店舗の所在する地名をローマ字で表したものと容易に認識され、役務の提供地であることを理解させるにすぎないものというべきであるから、使用商標においては、「PURAVIDA!」の文字部分が自他役務の識別標識としての機能を果たすものといえる。
そうすると、使用商標中の「PURAVIDA!」の文字部分は、本件商標「Puravida!」とはつづりが同一であって、これを全て大文字で表したにすぎないものであるから、使用商標は、本件商標と社会通念上同一の商標と認められる。
(3)使用時期について
上記1(2)エのとおり、POSシステムによる販売記録(乙31、乙32)によれば、「Puravida!表参道店」において、2018年6月19日に、果実飲料及び炭酸水が販売されたことが認められる。
そして、本件ボードには、「PURAVIDA! OMOTESANDO」の文字が表示されるとともに、被請求人が販売していると主張している「果実飲料」及び「炭酸水」の商品写真と当該商品の料金が表示されており、その商品名及び金額に消費税を加えたものは、POSシステムによる販売記録(乙31、乙32)における商品名及び金額と一致している。
本件ボードは、被請求人が、株式会社イワキ産業に制作を依頼し、2018年2月9日に被請求人に対して送付され、被請求人は、株式会社イワキ産業から本件ボードの制作費の請求を受けたといえる(乙3、乙5、乙6)ものであり、乙22に係る「2018/09/06|SHOP/Puravida!表参道ストアのブログ」の記事中に「【雑誌hb ハミングバーズ最新号でプラヴィダが紹介されました!】」の記載とともに、本件ボードがレジ机と思われる場所に設置されている状態が写された乙7の写真が掲載されていることを併せ考慮すれば、本件ボードが納品されたと思われる2018年2月9日と乙22に係る2018年9月6日の間の日付である2018年6月19日に、本件ボードが乙7の写真のような状態でレジ机に設置されていたと推認し得るものである。
そして、2018年2月9日、6月19日及び9月6日は、いずれも要証期間内である。
(4)使用役務について
本件ボードは、清涼飲料・果実飲料の価格表とみることができ、被請求人は、「清涼飲料・果実飲料の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」の役務の提供にあたり、これを顧客に対して展示し、商品の選択の便宜を図ったものとみることができる。
この点に関し、請求人は、被請求人の提供する役務は、小売等役務には当たらない旨主張しているが、被請求人は、複数の商品の品揃えをし、顧客がその中から気に入った商品を選択できるようにしているといえ、これは、小売等役務を構成するサービス活動の一とみることができるものである。
(5)小括
上記(1)ないし(4)によれば、本件商標の商標権者は、要証期間内にその請求に係る指定役務に含まれる「清涼飲料・果実飲料の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」に関する価格表に、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を付して展示したものと認めることができ、これは商標法第2条第3項第8号に該当する商標の使用ということができる。
3 まとめ
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者がその請求に係る指定役務に含まれる「清涼飲料・果実飲料の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」について本件商標の使用をしていることを証明したといえる。
したがって、本件商標の登録は、その請求に係る指定役務について、商標法第50条の規定により、取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。

別掲

審理終結日 2021-05-06 
結審通知日 2021-05-10 
審決日 2021-06-09 
出願番号 商願2008-5744(T2008-5744) 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (X35)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 椎名 実 
特許庁審判長 中束 としえ
特許庁審判官 杉本 克治
冨澤 美加
登録日 2010-12-10 
登録番号 商標登録第5375980号(T5375980) 
商標の称呼 プラビダ 
代理人 特許業務法人iRify国際特許事務所 
代理人 竹中 陽輔 
代理人 中山 真理子 
代理人 山頭 めぐみ 
代理人 達野 大輔 
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