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審決分類 審判 査定不服 称呼類似 登録しない W43
審判 査定不服 観念類似 登録しない W43
審判 査定不服 外観類似 登録しない W43
管理番号 1379936 
審判番号 不服2021-8126 
総通号数 264 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2021-12-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-04-27 
確定日 2021-10-11 
事件の表示 商願2019-121243拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。
理由 1 本願商標及び手続の経緯
本願商標は,別掲1のとおりの構成よりなり,第43類「ラーメンを主とする飲食物の提供」を指定役務として,令和元年9月2日に登録出願されたものである。
本願は,令和2年10月5日付けで拒絶理由の通知がされ,同年11月9日受付の意見書が提出されたが,同3年3月19日付けで拒絶査定がなされ,これに対して同年4月27日付けで拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定において,本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして,本願の拒絶の理由に引用した登録第5011331号商標(以下「引用商標」という。)は,別掲2のとおりの構成よりなり,平成18年4月28日に登録出願,第43類「飲食物の提供」を指定役務として同年12月15日に設定登録されたものであり,現に有効に存続しているものである。

3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本願商標について
本願商標は,別掲1のとおり,大きく筆書き風で表された「鳳仙花」の文字と,その左上部に,小さく活字書体風で表された「らぁ麺」の文字を配してなるものである。そして,両文字は,その大きさ,書体,字の太さが異なり,視覚上分離して看取し得ることに加え,「鳳仙花」の文字部分が,ひときわ目立つように顕著に表されていることから,看者の注意を最も強く引く部分であるといえる。
また,本願商標構成中の「らぁ麺」の文字部分は,指定役務との関係で「ラーメン」を表すものとして使用されていることは,原審で示す事実(別掲3)と同様に,以下のインターネット情報からも裏付けられる。
(ア)「らぁ麺おかむら」のウェブサイトにおいて,トップページの左上部に「らぁ麺おかむら」の記載があるほか,「どんな時も/美味しい/らぁ麺で/福島県郡山市大槻町のラーメン屋『らぁ麺 おかむら』。」,「らぁ麺への想い」等の記載がある。
https://www.ramen-okamura.com/(令和3年8月26日最終閲覧)
(イ)「らぁ麺三軒屋」のウェブサイトにおいて,トップページの左上部に「らぁ麺三軒屋」の記載があるほか,「三軒屋からご挨拶(略)三軒屋グループでは、お客様にいろいろな種類のラーメンを食べて楽しんで頂きたいと全店舗、異なる味のラーメンを提供しています。」の記載がある。
http://www.ra-mensangenya.com/(令和3年8月26日最終閲覧)
(ウ)「麺らいけん」のウェブサイトにおいて,「麺らいけんのらぁ麺」の見出しの下,「環七にあった『なんでんかんでん(現在は閉店)』で食べたラーメンが原点。(略)この感動が『いつか、ラーメン屋になろう』と、新たな目標が芽生えました。紆余曲折を経て、2001年7月に、宇都宮市大曽に『麺らいけん』をオープン。」,「らぁ麺へのこだわり(略)全てにおいて、スープ、麺、具材を、店主自らが手作りでまとめた自慢の1杯。それが、麺らいけんの『らぁ麺』です。」,「目指すらぁ麺とは・・・(略)これからも、麺らいけんでしか食べられない、オンリーワンのらぁ麺を作っていきます。」等の記載がある。
http://men-raiken.com/about(令和3年8月26日最終閲覧)
(エ)「らぁ麺SHIROGANE/白金/しろがね」のウェブサイトにおいて,トップページの上部に「らぁ麺SHIROGANE/白金/しろがね」の記載があるほか,その直下の二つのラーメンの写真の下には,左からそれぞれ,「鶏コテらぁ麺/醤油・塩」,「中華らぁ麺/醤油・塩」の記載がある。
http://shirogane.jp/(令和3年8月26日最終閲覧)
(オ)「マロニアゲート銀座」のウェブサイトにおいて,「らぁ麺 レモン&フロマージュ GINZA」の見出しの下,「ラァメン レモン アンド フロマージュ ギンザ/レモンをメインとした数種類の柑橘類を使用した“ビタミンC”たっぷりの『レモンらぁ麺』とクリームチーズがとろーりとろけて麺に絡めて食べる『らぁ麺フロマージュ』の2種類のみの『らぁ麺専門店』となります。」,「業種 ラーメン」の記載がある。
https://www.marronniergate.com/shop/index/272(令和3年8月26日最終閲覧)

そうすると,本願商標中の「らぁ麺」の文字部分は,「ラーメン」を表すもの,すなわち役務の質を表すものといえるから,自他役務の識別標識としての機能を果たさないか又は極めて弱い部分であるといえる。一方,「鳳仙花」の文字部分は,自他役務の識別標識としての機能を果たさないとみるべき事情はない上に,上記のとおり,看者の注意を最も強く引くことから,強い印象を与える部分であるといえ,当該文字部分を要部として抽出し,これを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することも許されるというべきである。そして,「鳳仙花」とは,「ツリフネソウ科の一年草」のことである(広辞苑第七版)。
以上からすると,本願商標からは,全体から生じる「ラーメンホウセンカ」の称呼のほかに,「鳳仙花」の文字部分に相応して「ホウセンカ」の称呼が生じると共に,ツリフネソウ科の一年草である「鳳仙花」の観念が生じる。
イ 引用商標について
引用商標は,別掲2のとおり,ローマ字の「HOUSENKA」,片仮名の「ホウセンカ」及び漢字の「鳳仙花」を三段に横書きしてなるところ,最も大きく表された漢字の「鳳仙花」は,上記アのとおりツリフネソウ科の一年草である「鳳仙花」を表す語であり,その上段の「HOUSENKA」及び「ホウセンカ」の各文字は,「鳳仙花」をローマ字及び片仮名で表記したものとみるのが自然である。
そうすると,引用商標からは,各文字に相応して「ホウセンカ」の称呼が生じると共に,ツリフネソウ科の一年草である「鳳仙花」の観念を生じる。
ウ 本願商標と引用商標の類否について
本願商標と引用商標の外観については,構成する文字や書体に差異があることから,全体の外観については相違するものの,本願商標中の要部である「鳳仙花」の文字部分は,引用商標中の「鳳仙花」の文字部分と共通にするため,両者は似かよった印象を与えるというべきである。
次に,称呼についてみるに,本願商標と引用商標は,「ホウセンカ」の称呼を共通にするものである。
さらに,観念についてみるに,本願商標と引用商標は,ツリフネソウ科の一年草である「鳳仙花」の観念を共通にするものである。
そうすると,本願商標と引用商標とは,外観において似かよった印象を与え,称呼及び観念を共通にするものであることからすれば,本願商標と引用商標の外観,称呼及び観念によって,取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合して全体的に考察すれば,両者は,全体として役務の出所について誤認混同を生ずるおそれがある類似の商標と判断するのが相当である。
エ 本願商標の指定役務と引用商標の指定役務との類否について
本願商標の指定役務「ラーメンを主とする飲食物の提供」と,引用商標の指定役務「飲食物の提供」は,類似の役務である。
オ 小括
以上のとおり,本願商標は,引用商標と類似する商標であり,かつ,引用商標の指定役務と類似する役務について使用をするものであるから,商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は,本願商標は,「らぁ麺」及び「鳳仙花」の文字を二段で構成しているのに対し,引用商標は,欧文字,片仮名及び漢字の三段表記で構成している点で,外観上,全体として明らかに異なる印象を与えるから,本願商標と引用商標とは外観上類似するものではない旨主張する。
しかしながら,本願商標と引用商標は,「らぁ麺」の文字,欧文字及び片仮名の有無等の相違による全体の外観においては差異があるとしても,「鳳仙花」の文字部分を共通にすることに何ら変わりはないものであるから,当該文字部分を共通にすることによって,外観上似かよった印象を与えるというべきである。
イ 請求人は,本願商標の称呼は「ラーメンホウセンカ」であり,引用商標の称呼は「ホウセンカ」であるから,称呼上非類似である,本願商標は,店舗においてすべて「らぁ麺」の文字を用いており,常に一体のものとして使用している旨主張する。
しかしながら,上記(1)のとおり,本願商標は,「ホウセンカ」の称呼をも生じるものである。
また,請求人は,「らぁ麺」の文字を含めて常に一体的に使用をしている旨主張するが,例えば請求人提出の資料における請求人のウェブサイトの最下部には,他の店舗の名称の略称と並んで「鳳仙花」のみの記載があること(甲1に係るウェブサイト(https://www.ramenings.com/hosenka)),店舗の紹介としては「らぁ麺 鳳仙花 綱島店」,「らぁ麺 鳳仙花 横浜店」と記載がされている一方で,それぞれの店舗の写真の看板には,「金目鯛らーめん/鳳仙花」,「金目鯛/らーめん/鳳仙花」の記載が見られること(甲2に係るウェブサイト(https://ingsinc.co.jp/shop/#shop2))からすれば,請求人自身も「鳳仙花」の文字を,自他役務の識別標識としての役割を果たすものとして使用していることがうかがえる。
ウ 請求人は,「鳳仙花」の語源であるラテン語は,需要者が広く認識している言葉ではなく,また花言葉の意味合いも一つに限定されておらず,花言葉やラテン語の語源を知っている需要者は少ないといえるから,観念において需要者が誤認混同するおそれはない旨主張する。
しかしながら,本願商標及び引用商標の指定役務の需要者は,「ラーメンを主とする飲食物の提供」又は「飲食物の提供」を受けようとする一般の需要者である。そして,「鳳仙花」は,「広辞苑第七版」のほかにも,「大辞泉第二版」(株式会社小学館発行),「新明解国語辞典」(株式会社三省堂発行),「英訳つき 国語総合新辞典」(株式会社旺文社発行)等一般の辞書に掲載されていることからすれば,一般の需要者にも広く認識されている語であるといえる。そうすると,たとえ需要者が鳳仙花の花言葉やラテン語の語源を知らないとしても,「鳳仙花」の文字から,ツリフネソウ科の一年草である「鳳仙花」を認識するというべきであるから,「鳳仙花」の文字を含む本願商標と引用商標は,観念を共通にし,紛らわしいというべきである。
エ 請求人は,過去の審決例を挙げて,本願商標と引用商標とも同様に捉えるべき旨主張する。
しかしながら,商標の類否の判断は,対比する商標について個別具体的に判断されるべきものであるところ,過去の審決例に係る商標は,図形や異なる文字を有する等構成が異なるものであり,本願とは事案を異にするものであるから,当該審決例によって,ただちに本願商標の認定が左右されるものではない。
オ したがって,請求人の上記主張は,いずれも採用することはできない。
(3)まとめ
以上のとおり,本願商標は,商標法第4条第1項第11号に該当し,登録することができない。
よって,結論のとおり審決する。

別掲

別掲1(本願商標)


別掲2(引用商標)


別掲3(原審で示した事実)
(1)「らあ麺 やったる 新宿店」及び「ジャンル ラーメン」の記載がある。
https://tabelog.com/tokyo/A1304/A130401/13030873/(令和3年8月26日最終閲覧)
(2)「らあ麺 燕返し」及び「ジャンル ラーメン」の記載がある。
https://tabelog.com/tokyo/A1323/A132302/13059330/(令和3年8月26日最終閲覧)



審理終結日 2021-08-05 
結審通知日 2021-08-13 
審決日 2021-08-26 
出願番号 商願2019-121243(T2019-121243) 
審決分類 T 1 8・ 261- Z (W43)
T 1 8・ 263- Z (W43)
T 1 8・ 262- Z (W43)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 駒井 芳子田畑 浩美 
特許庁審判長 岩崎 安子
特許庁審判官 小田 昌子
茂木 祐輔
商標の称呼 ラアメンホーセンカ、ラーメンホーセンカ、ホーセンカ 
代理人 島村 謙 
代理人 沼野 友香 

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