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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W25
審判 全部申立て  登録を維持 W25
審判 全部申立て  登録を維持 W25
審判 全部申立て  登録を維持 W25
審判 全部申立て  登録を維持 W25
管理番号 1378996 
異議申立番号 異議2021-900056 
総通号数 263 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2021-11-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2021-02-16 
確定日 2021-10-08 
異議申立件数
事件の表示 登録第6322641号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6322641号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第6322641号商標(以下「本件商標」という。)は、「minico」の欧文字を標準文字で表してなり、令和2年2月12日に登録出願、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊靴,運動用特殊衣服」を指定商品として、同年11月16日に登録査定、同月30日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が本件商標に係る登録異議の申立てにおいて引用する商標は、以下のとおりである。
1 登録第5927497号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成:別掲1のとおり
登録出願日:平成27年10月19日
設定登録日:平成29年3月3日
指定商品・指定役務:第3類、第9類、第14類、第16類、第18類、第20類、第21類、第24類、第25類、第28類及び第35類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品・役務
2 登録第5927498号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成:別掲2のとおり
登録出願日:平成27年10月19日
設定登録日:平成29年3月3日
指定商品:第3類、第16類、第18類、第20類、第21類、第25類及び第28類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
3 登録第5927499号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の構成:別掲3のとおり
登録出願日:平成27年10月19日
設定登録日:平成29年3月3日
指定商品・指定役務:第3類、第9類、第14類、第16類、第18類、第20類、第21類、第24類、第25類、第28類及び第35類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品・役務
4 登録第6159713号商標(以下「引用商標4」という。)
商標の構成:別掲4のとおり
登録出願日:平成30年5月25日
設定登録日:令和元年7月5日
指定商品:第3類、第8類、第9類、第10類、第11類、第14類、第16類、第18類、第20類、第21類、第25類、第26類、第28類、第29類、第30類及び第32類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
以下、引用商標1ないし引用商標4をまとめて「引用商標」という。

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同項第15号及び同項第19号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第43号証(枝番号を含む。)を提出した。
以下、証拠の表記に当たっては、「甲第○号証」を「甲○」のように省略して記載する。
1 申立理由の要点
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、引用商標と類似する商標であり、引用商標に係る指定商品と同一又は類似する商品について使用する商標である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第15号について
本件商標は、その登録出願前から申立人の業務に係る商品を表示するものとして著名となっている引用商標の要部である「MINISO」と類似する「minico」の欧文字からなり、引用商標との類似性が高い商標である。また、本件商標の指定商品は、申立人の「MINISO」が周知著名性を獲得している第25類の商品を含み、需要者等の範囲が一致する。
このため、商標権者が本件商標をその指定商品に使用する場合には、これに接する取引者及び需要者は、著名な申立人の引用商標を連想し、当該商品があたかも申立人と何らかの関係を有する者の取扱いに係る商品であるかのごとく認識し、出所の混同を生じるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第19号について
本件商標は、その登録出願前から申立人の業務に係る商品を表示するものとして著名となっている引用商標の要部である「MINISO」に類似する「minico」の文字からなり、引用商標と類似する。また、申立人の著名な引用商標と類似する本件商標は、不正の目的をもって使用するものと推認される。
そうすると、商標権者は、申立人の引用商標の著名性に便乗して不当の利益を得、その顧客吸引力及び識別力を希釈し、又は申立人の業務を妨害することを目的として出願したものであって、不正の目的をもって使用するものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。
2 具体的理由
(1)引用商標「MINISO」の著名性について
申立人は、2013年に日本人デザイナーであるM氏と中国の若手企業家であるY氏によって東京で創設された会社である(甲6)。同社が手掛ける「MINISO」の雑貨ブランドは、「シンプル、ナチュラル、良質」というコンセプトのもと、被服類を含む広範囲の生活雑貨を、高品質で手頃な価格で提供している(甲6の1?甲6の10)。
申立人は、創設以来、アメリカ、カナダ、ドイツ、ロシア、シンガポール、アラブ首長国連邦、韓国、マレーシア、中国、香港等78か国以上の国や地域と戦略的パートナーシップを締結し、現場での支持を集め、世界中でファストファッションの消費市場を切り開いた(甲6)。2020年6月30日までの時点で、世界80か国以上の国・地域に4,200店舗以上を出店し、創業から7年で雑貨店として世界有数の規模となり(甲10)、その急成長ぶりが世界中で話題を呼んでいる(甲8、甲10、甲11)。
年間の売上高は2015年に7.5億ドルを超え、2016年に約15億ドル、2017年には18億ドル、2018年には約25億ドル(170億元)を記録した(甲6、甲7)。年間の来客数は10億人、購買客数は3億人ともされている(甲7、甲11)。
2018年2月には、「MINISO」の4製品が「iFデザイン賞」(iF Design Award)を受賞して話題を呼んだ(甲14)。この審査には、世界の54か国から2,955の参加者が6,401製品を出品している(甲14)。「iFデザイン賞」を受賞した「MINISO」の商品は、「Water Cube」という名の商品で、2017年の発売開始以来、世界で900万個を超える売り上げがあった(甲14)。
2019年頃から世界の有名ブランドと提携を広げ、「ディズニー」や「ハローキティ」「アドベンチャー・タイム」「ぼくらベアベアーズ」「マーベル・スタジオ」など17ブランドとのコラボ商品を展開している(甲10、甲17の2)。新製品やキャラクターグッズの多さが若者をひき付け(甲10)、2020年10月には、米国での上場をも実現し、ビッグブランドヘの仲間入りを果たした(甲13、甲17の2)。
日本国内では、2014年9月に株式会社名創優品産業を設立し、銀座にオフィスを構え、池袋及び高田馬場に店舗を出店して以降(甲9の1、甲9の2)、「MINISO イオンモール小名浜店」、「MINISO イオンモール幕張新都心店」、「MINISO イオンモール津田沼店」、「MINISO イオンモール名取店」を出店し、店舗数を増やしている(甲12)(決定注:「甲12」の記載は、「甲13」の誤りと思われる。)。
ヨルダンやセブ島等の生活物資が不十分な地域に住む日本人の間でも、現地の「MINISO」における品ぞろえが話題になっており、「MINISO」を日本語で取り上げるブログが散見され、販売されている商品が利用者から高い支持を得ているとの感想が述べられている(甲15、甲16、甲18)。また、これだけの急成長を遂げる「MINISO」ブランドについて、その成長の鍵や理由について検討する多くの記事がインターネット上に投稿されている(一例として、甲17の1及び甲17の2)。
以上のことから、本件商標の登録出願時である2020年2月には既に、引用商標に係る「MINISO」は、申立人の商標として、日本国内及び海外において広く知られ著名性を獲得するに至っていたというべきである。
(2)本件商標と引用商標との類似性について
ア 本件商標と引用商標の構成
本件商標は、アルファベットで「minico」を書してなる商標であり、その構成文字に相応して「ミニコ」の称呼を生じるが、これに相当する外国語が存在しないことから、何らの観念も生じない一種の造語と認識されるべき語である。
一方、引用商標は、「MINISO」の文字部分を要部とする商標であることは明白であり、その構成文字に相応して「ミニソ」の称呼が生じるが、これに相当する外国語は存在しないことから、何らの観念も生じない造語と認識されるべき語である。
イ 本件商標と引用商標の類否
本件商標と引用商標とは、その語尾において、「コ」と「ソ」の一音の差異を有するのみであるから、称呼上の頬似性が高い。
また、「minico」と「MINISO」は、ともにアルファベット6字で表され、大文字と小文字の差異こそあるものの、構成文字それ自体は、第5番目に位置するアルファベットに「c」と「M」(決定注:「M」の記載は、「S」の誤記と思われる。)の差があるのみであり、それ以外のアルファベットの配列構成文字を同じくするものであるから、両商標を時と処を別にして見た場合には、全体構成が相紛らわしく、外観上の類似性も高い。
そして、「MINISO」が、申立人の商標として著名であることを考慮すると、本件商標は、申立人の商品を想起させ、需要者の印象に強く残る部分である。
したがって、本件商標と引用商標とは類似の商標である。
このことは、その外観上の差異がアルファベット一文字のみである商標が「類似する」と判断されている(甲25?甲43)ことからも明白であり、特に、一方の商標が周知著名な商標であるもの(甲27、甲29?甲31、甲33、甲42、甲43)は本件と同様の事案であるから、本件においては十分に考慮されなければならない。
以上より、本件商標と引用商標とは類似する。
(3)出所混同の生ずるおそれについて
最高裁の判例(最高裁平成10(行ヒ)第85号)に鑑みると、商品の出所混同のおそれの判断は、当該商標の指定商品等の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準に、商品間の関連性、商標自体の類似性の程度、他人の商標の著名性の程度、著名商標の独創性の程度、取引者及び需要者の共通性、並びに実際の具体的取引の実情を勘案した上で、総合的に判断されるべきものである。
これを踏まえて本件商標と引用商標について検討すると、引用商標は世界的な著名性を有しており、本件商標と引用商標は互いに類似する商標である。そして、引用商標は、特定の意味合いを看取させるものではなく、一種の造語と捉えられることから、その独創性は高いといえる。さらに、「MINISO」の店舗では、被服類を含む生活用品を幅広く展開していることから、商品の用途や目的、取引者及び需要者も共通する。
以上より、本件商標がその指定商品に使用されると、取引者及び需要者は、それらの商品があたかも申立人若しくは申立人と経済的又は組織的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であると、その商品の出所について混同を生ずるおそれがあるというべきである。
(4)商標法第4条第1項第11号該当性について
本件商標は、上述のとおり、引用商標に類似する商標であって、引用商標に係る指定商品と同一又は類似の商品について使用するものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(5)商標法第4条第1項第15号該当性について
本件商標と引用商標との類似性、引用商標が周知著名性を獲得している実情等に照らし、当該商標の指定商品の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として総合的に判断した場合、本件商標に接した取引者及び需要者は、あたかも申立人又は申立人と何等かの関係がある者の業務に係る商品であるかのごとく、商品の出所について混同を生ずるおそれがあることは明白である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(6)商標法第4条第1項第19号該当性について
ア 引用商標の著名性
引用商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして世界的に高い著名性を有する商標であり、商標法第4条第1項第19号に規定する「他人の業務に係る商品を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標」に該当する。
イ 本件商標と引用商標の類似性
本件商標と引用商標は、上述のとおり、互いに類似する。
不正の目的
引用商標は、申立人による長年にわたる努力の積み重ねの結果、取引者及び需要者間において広く知られ、高い名声・信用・評判を獲得するに至っている。
そして、本件商標の登録出願時である2020年2月には、引用商標は既に申立人の業務に係る商品に使用される商標として広く知られていた著名商標である。
一方、本件商標は、かかる著名な引用商標の要部である「MINISO」に類似し、指定商品も重複することを考えると、本件商標の商標権者が、著名な引用商標を知らず、偶然に著名な引用商標に類似する本件商標を出願したとは到底考え難く、引用商標の有する高い名声・信用・評判にフリーライドする目的で出願、使用されているものと推認される。
したがって、商標権者が本件商標を不正の目的で使用するものであることは明らかであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。
(7)結び
以上のように、本件商標は、商標法第第4条第1項第11号、同項第15号又は同項第19号に該当する。

第4 当審の判断
1 「MINISO」及び引用商標の周知著名性について
申立人の主張の全趣旨をみるに、申立人は、引用商標の要部である「MINISO」が、自己の展開する雑貨ブランドの出所を表示するものとして、本件商標の登録出願時に取引者及び需要者の間で周知著名となっていたことを前提に、本件商標が商標法第第4条第1項第11号、同項第15号又は同項第19号に該当する旨主張していると思われるので、「MINISO」及び引用商標の周知著名性について判断する。
(1)申立人の提出した証拠及び同人の主張によれば、以下のとおりである。
ア 申立人のウェブサイトによれば、申立人は、2013年に日本人デザイナーであるM氏と中国の若手企業家であるY氏によって東京で創設された会社であり、同社が手掛ける「MINISO」ブランドは、「タオル、スマートフォン用ケース、化粧ブラシ、乾電池」等の生活雑貨を取り扱っているものである(甲6)。
イ 同ウェブサイトには、「MINISO」ブランドについて、「創設以来、アメリカ、カナダ、ドイツ、ロシア、シンガポール、アラブ首長国連邦、韓国、マレーシア、中国香港等78か国以上の国や地域と戦略的パートナーシップを締結し、わずか5年で世界中に3,200店舗以上をオープンし、売上高は2015年に7.5億ドルを超え、2016年に約15億ドル、2017年には18億ドルである。」旨の記載があり(甲6の1)、2020年12月4日打ち出しの「日経ビジネス電子版」の抜粋(甲7)及び2020年11月13日打ち出しの「日経ビジネス電子版」における「日本風中国企業『名創優品』が突きつけるもの」と題する2019年9月19日付けの記事(甲11)には、申立人について、「2018年の売上高は170億元(1元は約15円)に達する。前年2017年の売上高は120億元と発表されているので、1年で40%以上、伸びていることになる。詳細なデータは開示されていないが、年間の来店客数は10億人、購買客数は3億人との数字も出ている。」との記載があるものの、かかる店舗数や売上高を裏付ける資料は提出されていない。
ウ 申立人は、2018年2月には、「MINISO」の4製品が「iFデザイン賞」(iF Design Award)を受賞して話題を呼んだ(甲14)旨主張しているが、当該賞は、デザインに関する賞であって、かかる受賞が「MINISO」及び引用商標の周知著名性にどのように結びつくのかについては、明らかでない。
エ 申立人は、2019年頃から「ディズニー」や「ハローキティ」「アドベンチャー・タイム」「ぼくらベアベアーズ」「マーベル・スタジオ」など17ブランドとのコラボ商品を展開している旨主張している。その商品の一部は確認し得る(甲17の2)ものの、これらの商品の売上高や取扱量等に係る証拠は提出されていない。
オ 申立人は、我が国において、2014年に池袋及び高田馬場に店舗を出店し(甲9の1)、その後、「イオンモール小名浜店」、「イオンモール幕張新都心店」、「イオンモール津田沼店」、「イオンモール名取店」に出店していることがうかがえる(甲13)。
カ 申立人は、ヨルダンやセブ島等の生活物資が不十分な地域に住む日本人の間でも、現地の「MINISO」における品ぞろえが話題になっており、「MINISO」を日本語で取り上げるブログが散見され(甲15、甲16、甲18)、「MINISO」ブランドについて、その成長の鍵や理由について検討する多くの記事がインターネット上に投稿されている(一例:甲17)と主張しているが、前者のブログは、個人による感想というべきものであり、また、後者の記事は、提出された証拠がその一例であるとしても、「多くの記事がインターネット上に投稿されている」ことの裏付けというには、少ないものといわざるを得ない。
(2)判断
上記(1)によれば、申立人は、「MINISO」ブランドを2013年に設立し、我が国においても6店舗を出店し、アメリカ、カナダ、ドイツ、ロシア、シンガポール、アラブ首長国連邦、韓国、マレーシア、中国香港等の国・地域に店舗を出店していることはうかがえるものの、引用商標を使用した具体的な商品の販売を示す証拠や、「MINISO」ブランドに係る商品及び引用商標を使用した商品の売上高や市場シェアなどの実績、メディアを通じた広告・宣伝の程度、取引状況を示す客観的な証拠の提出はなく、他に、本件商標の登録出願時及び登録査定時における「MINISO」及び引用商標の使用事実を示す証拠は見いだせない。
そうすると、具体的な使用事実に基づいて、「MINISO」及び引用商標の使用状況を把握し、その周知著名性の程度を客観的に推し量ることができないから、「MINISO」及び引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表すものとして、我が国又は外国における取引者及び需要者の間に広く認識されていたと認めることはできないものである。
2 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標について
本件商標は、「minico」の欧文字を標準文字で表してなるところ、当該欧文字は辞書等に掲載のないものであって、特定の意味合いを想起させることのない、一種の造語として理解されるものであるから、特定の観念は生じないものである。
したがって、本件商標は、その構成文字に相応して、「ミニコ」の称呼を生じ、特定の観念は生じないものである。
(2)引用商標について
ア 引用商標1
引用商標1は、別掲1のとおり、上部に持ち手状の図形が付いたオレンジ色の横長長方形と、同じ大きさ及び色彩の横長長方形を上下に配し、その中間に横長長方形と同じ横幅で「MINISO」のオレンジ色の欧文字を横書きし(以下「オレンジ図形部分1」という。)、その左上部に小さく「MINISO」の黒色の欧文字を横書き(以下「黒文字部分1」という。)してなるところ、オレンジ図形部分1と黒文字部分1とは、視覚上分離して看取されるから、それぞれが独立して、取引者及び需要者に対し商品及び役務の出所識別標識としての機能を果たし得るものである。
そして、黒文字部分1及びオレンジ図形部分1中の「MINISO」の文字は、辞書等に掲載がないものであって、特定の意味合いを想起させることのない、一種の造語として理解されるものであり、また、オレンジ図形部分1における図形は、我が国において特定の事物を表したもの、又は意味合いを表すものとして認識され、親しまれているというべき事情は認められないことから、当該図形からは、特定の称呼及び観念は生じないものである。
したがって、引用商標1は、その構成中、独立して自他商品・役務の識別標識としての機能を果たし得る「MINISO」の構成文字に相応して、「ミニソ」の称呼を生じ、特定の観念は生じないものである。
イ 引用商標2
引用商標2は、別掲2のとおり、「MINISO」のオレンジ色の欧文字を大きく横書きし、その下にはやや小さく細く「名創優品」のオレンジ色の漢字を横書きし(以下「オレンジ文字部分1」という。)、さらに、左上部に小さく「MINISO/名創優品」の黒色の文字を横書き(以下「黒文字部分2」という。)してなるところ、オレンジ文字部分1と黒文字部分2とは、視覚上分離して看取されるから、それぞれが独立して、取引者及び需要者に対し商品の出所識別標識としての機能を果たし得るものである。
また、オレンジ文字部分1についてみると、その構成中「MINISO」の文字と「名創優品」の文字とは、文字の種類と大きさ、太さ等が異なることから、視覚上分離して看取され、両者を分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものとはいい難いものであるから、当該「MINISO」の文字が独立して、取引者及び需要者に対し商品の出所識別標識としての機能を果たし得るものといえる。
そして、「MINISO」及び「名創優品」の文字は、いずれも辞書等に掲載がないものであって、特定の意味合いを想起させることのない、一種の造語として理解されるものである。
さらに、黒文字部分2の「MINISO」の文字は、「名創優品」の文字とは「/」によって分けられていること、文字の種類が異なり、観念上のつながりもないことに加え、構成文字全体から生じる「ミニソメイソウユウヒン」の称呼は11音とやや冗長であることからすると、語頭の「MINISO」の文字部分を捉えて、取引に資する場合も少なくないものといえる。
したがって、引用商標2は、全体の構成文字及び「名創優品」の文字から生じる称呼の他に、独立して自他商品の識別標識としての機能を果たし得る「MINISO」の構成文字に相応して、「ミニソ」の称呼をも生じ、特定の観念は生じないものである。
ウ 引用商標3
引用商標3は、別掲3のとおり、上部に持ち手状の図形が付いたオレンジ色の横長長方形と、同じ大きさ及び色彩でその図形中に「名創優品」の文字を配した横長長方形を上下に配し、その中間に横長長方形と同じ横幅で「MINISO」のオレンジ色の欧文字を横書きし(以下「オレンジ図形部分2」という。)、その左上部に小さく「MINISO/名創優品」の黒色の欧文字を横書き(以下「黒文字部分3」という。)してなるところ、オレンジ図形部分2と黒文字部分3とは、視覚上分離して看取されるから、それぞれが独立して、取引者及び需要者に対し商品及び役務の出所識別標識としての機能を果たし得るものである。
そして、「MINISO」の文字及び「名創優品」の文字は、辞書等に掲載がないものであって、特定の意味合いを想起させることのない、一種の造語として理解されるものであると共に、オレンジ図形部分2における図形は、我が国において特定の事物を表したもの、又は意味合いを表すものとして認識され、親しまれているというべき事情は認められないことから、当該図形からは、特定の称呼及び観念は生じないものである。
また、オレンジ図形部分2の構成中「MINISO」の文字は、他の図形要素とは視覚上分離して看取され、さらに、「名創優品」の文字とは、観念上のつながりもないこと、構成文字全体から生じる「ミニソメイソウユウヒン」の称呼は11音とやや冗長であることからすると、引用商標3に接する取引者及び需要者は、その構成中、大きくはっきりと表された「MINISO」の文字部分を捉えて、取引に資する場合も少なくないというべきである。
加えて、黒文字部分3の「MINISO」の文字は、上記イと同様に、語頭の「MINISO」の文字部分を捉えて、取引に資する場合も少なくないものといえる。
したがって、引用商標3は、全体の構成文字及び「名創優品」の文字から生じる称呼の他に、独立して自他商品・役務の識別標識としての機能を果たし得る「MINISO」の構成文字に相応して「ミニソ」の称呼を生じ、特定の観念は生じないものである。
エ 引用商標4
引用商標4は、別掲4のとおり、「MINISO」のオレンジ色の欧文字を横書きしてなるところ、当該文字は辞書等に掲載がないものであって、特定の意味合いを想起させることのない、一種の造語として理解されるものであるから、その構成文字に相応して「ミニソ」の称呼を生じ、特定の観念は生じないものである。
(3)本件商標と引用商標の類否について
ア 外観
本件商標と引用商標の外観を比較すると、両者の全体の構成はそれぞれ上記(1)及び(2)のとおりであるから、書体及び色彩の差違又は図形の有無などにより、容易に区別し得るものである。
また、本件商標を構成する「minico」の文字と引用商標の構成中の「MINISO」の文字部分との比較においても、両者は、書体、色彩の差異に加えて、5文字目に「c」と「S」の文字の差異を有するものである。そして、この差異が、いずれも6文字という比較的短い文字構成からなる両者の外観全体の視覚的印象に与える影響は決して小さいとはいえないものである。
してみれば、両商標は、外観において、相紛れるおそれのないものとみるのが相当である。
イ 称呼
本件商標から生じる「ミニコ」の称呼と引用商標から生じる「ミニソ」の称呼を比較すると、両者は語尾における「コ」と「ソ」の音の差異を有するところ、この差異がいずれも3音という短い音構成からなる両称呼全体に及ぼす影響は少なくなく、両者をそれぞれ一連に称呼しても、明瞭に聴別し得るものである。
ウ 観念
本件商標及び引用商標は、いずれも特定の観念を生じないものであるから、観念において比較することはできない。
エ そうすると、本件商標と引用商標とは、観念において比較することができないものであるとしても、外観及び称呼において相紛れるおそれのないものであるから、両者の外観、観念、称呼等によって取引者及び需要者に与える印象、記億、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は相紛れるおそれのない非類似の商標というのが相当である。
その他、本件商標と引用商標が類似するというべき事情は見いだせない。
(4)小括
本件商標と引用商標とは、上記(3)のとおり、非類似の商標であるから、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品が同一又は類似するとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
3 商標法第4条第1項第15号該当性について
(1)「MINISO」及び引用商標の周知著名性について
上記1のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、「MINISO」及び引用商標は、申立人の取扱いに係る商品を表示するものとして、我が国及び外国における需要者の間に広く知られていたと認めることはできないものである。
(2)本件商標と「MINISO」及び引用商標との類似性の程度について
本件商標と引用商標は、上記2(3)のとおり、非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。
また、申立人が周知著名性を主張する「MINISO」は、上記2(2)エと同様に、辞書等に掲載がないものであり、特定の意味合いを想起させない一種の造語として理解されるものであって、その構成文字に相応して、「ミニソ」の称呼を生じ、特定の観念は生じないものであるから、本件商標と「MINISO」は、上記2(3)と同様に、非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。
そうすると、本件商標と「MINISO」及び引用商標は、いずれも別異の商標であり、類似性の程度が高いとはいえないものである。
(3)「MINISO」及び引用商標の独創性について
引用商標において自他商品・役務の識別標識として機能する「MINISO」の文字は、特定の意味合いを想起させることのない造語というべきものであるから、「MINISO」及び引用商標の独創性はあるものといえる。
(4)本件商標の指定商品と申立人の取扱いに係る商品の関連性、需要者の共通性について
本件商標の指定商品は「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊靴,運動用特殊衣服」であるところ、申立人が自己の周知著名な商標であると主張する「MINISO」及び引用商標に係る商品は、いわゆる生活雑貨というべきものであるから、その一部において商品の関連性を有し、需要者の範囲も共通する場合があるといい得るものである。
(5)小括
上記(1)ないし(4)のとおり、「MINISO」及び引用商標が独創性を有し、本件商標の指定商品と申立人の取扱いに係る商品の一部において関連性を有し、需要者の範囲を共通にする場合があるとしても、何より「MINISO」及び引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の取扱いに係る商品を表示するものとして、需要者の間に広く認識されているとは認められないものであり、本件商標と「MINISO」及び引用商標の類似性の程度も高いとはいえないものである。
してみれば、本件商標に接する取引者及び需要者が、申立人に係る「MINISO」ブランド及び引用商標を連想又は想起するものということはできない。
そうすると、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品について使用しても、取引者及び需要者が、「MINISO」ブランド及び引用商標を連想又は想起することはなく、その商品が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
4 商標法第4条第1項第19号該当性について
「MINISO」及び引用商標は、上記1のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国及び外国の需要者の間で広く認識され周知著名になっていたということはできないものであり、かつ、本件商標と「MINISO」及び引用商標は、上記2(3)のとおり、非類似の商標である。
また、申立人は、「MINISO」及び引用商標の周知著名性を前提として、「本件商標は、引用商標の要部である『MINISO』に類似し、指定商品も重複することを考えると、本件商標の商標権者が、著名な引用商標を知らず、偶然に著名な引用商標に類似する本件商標を出願したとは到底考え難く、引用商標の有する高い名声・信用・評判にフリーライドする目的で出願、使用されているものと推認される」旨主張しているが、申立人が提出した証拠からは、本件商標権者が、本件商標を不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をもって使用をするものと認めるに足りる具体的事実は見いだせないものであり、上述のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、「MINISO」及び引用商標は、我が国及び外国の需要者の間で広く認識され周知著名になっていたということはできないものであるから、「MINISO」及び引用商標の有する高い名声・信用・評判にフリーライドする目的で出願、使用されているものと推認することもできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。
5 むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同項第15号及び同項第19号のいずれにも該当するものでなく、その登録は、同条第1項の規定に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲
【別掲1】
引用商標1(色彩は原本参照)


【別掲2】
引用商標2(色彩は原本参照)


【別掲3】
引用商標3(色彩は原本参照)


【別掲4】
引用商標4(色彩は原本参照)



異議決定日 2021-09-27 
出願番号 商願2020-14863(T2020-14863) 
審決分類 T 1 651・ 222- Y (W25)
T 1 651・ 262- Y (W25)
T 1 651・ 261- Y (W25)
T 1 651・ 263- Y (W25)
T 1 651・ 271- Y (W25)
最終処分 維持  
前審関与審査官 松田 訓子 
特許庁審判長 冨澤 美加
特許庁審判官 馬場 秀敏
庄司 美和
登録日 2020-11-30 
登録番号 商標登録第6322641号(T6322641) 
権利者 福田 繁政
商標の称呼 ミニコ 
代理人 飯田 遥 
代理人 佐藤 俊司 
代理人 稲葉 良幸 
代理人 山口 現 
代理人 田中 克郎 

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