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審決分類 審判 全部無効 商8条先願 無効としない W03
管理番号 1378934 
審判番号 無効2020-890075 
総通号数 263 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2021-11-26 
種別 無効の審決 
審判請求日 2020-10-08 
確定日 2021-10-08 
事件の表示 上記当事者間の登録第6148294号商標の商標登録無効審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 審判費用は,請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第6148294号商標(以下「本件商標」という。)は,「MINICO」の欧文字と「ミニコ」の片仮名を2段に横書きしてなり,平成30年10月26日に登録出願,第3類「せっけん類,歯磨き,化粧品,香料,薫料」を指定商品として,令和元年5月14日に登録査定され,同月31日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
請求人が引用する登録第6159713号商標(以下「引用商標」という。)は,別掲のとおり,「MINISO」の欧文字をオレンジ色で表してなり,平成30年5月25日に登録出願,第3類,第8類ないし第11類,第14類,第16類,第18類,第20類,第21類,第25類,第26類,第28類ないし第30類及び第32類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,令和元年7月5日に設定登録されたものであり,その商標権は現に有効に存続しているものである。

第3 請求人の主張
請求人は,本件商標の登録を無効とする,審判費用は被請求人の負担とする,との審決を求め,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第9号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は,商標法第8条第1項に違反して登録されたものであるから,商標法第46条第1項第1号により,その登録は無効にすべきものである。
2 具体的な理由
(1)商標の類似について
本件商標は,「MINICO」の欧文字及び「ミニコ」の片仮名を上下二段に書してなるものであって(甲1),「MINISO」(色彩付き)の欧文字からなる引用商標(甲2)と類似するものである。以下,その理由を具体的に説明する。
ア 観念については,各商標とも特段の語義を有しない造語であるから,比較すべくもない。
イ 称呼については,本件商標は,「MINICO」の欧文字及び「ミニコ」の片仮名に相応して,「ミニコ」の称呼を生ずるものであるのに対し,引用商標は,「MINISO」の欧文字に相応して「ミニソ」の称呼を生ずるものである。
ここで,本件商標の「ミニコ」の称呼と,引用商標の「ミニソ」の称呼を対比すると,両称呼は,共に3音構成からなり,3音中称呼識別上最も重要な要素を占める語頭の2音「ミニ」の配列をことごとく共通にし,末尾において「コ」対「ソ」の1音のみの差異を有するのみである。しかし,その差異音である「コ」と「ソ」とは,何れも母音を共通にする近似音であり,その発音が比較的明瞭さを欠く語尾における差異であることから,その差異音は明瞭に聴取し難く,両称呼全体に与える影響は小さいものである。
したがって,両商標は,時と所を異にして発音され,それを聴取する場合には,両者がともに特定の観念を有しない造語であることと相まって,語尾音における差異音を明瞭に聴別することは容易でなく,聞き誤るおそれが多分にある称呼上類似するものである。
ウ 外観については,「MINICO」と「MINISO」の欧文字部分を比較すると,共に全6文字という比較的長い文字構成からなるところ,看者にとって視覚的に印象強く記憶される語頭の1文字目ないし4文字目「MINI」及び末尾の1文字「O」をその順序で共通にし,外観上看者の印象が弱い中間の5文字目における「C」対「S」という差異があるにすぎないものである。
したがって,両商標は,時と所を異にして離隔観察するときには,両者がともに特定の観念を有しない造語であることと相まって,外観上も十分に見誤るおそれがあるから,外観上も類似するものである。
エ 以上からすると,本件商標と引用商標は,称呼及び外観において混同のおそれのある相紛らわしい類似の商標である。
(2)商品の類似について
本件商標の指定商品については,引用商標の第3類の指定商品とは,製造業者,販売経路,需要者層などを共通にすることから,同一又は類似の商品である。
(3)過去の異議決定例及び審決例
請求人は,本件と略同様の理由により,相対する商標の類否(特に外観類否)を争点とする過去の異議決定例及び審決例のうち,いくつかを証拠(甲3?甲9)として挙げ,自己の主張に有利に援用する。
(4)むすび
したがって,本件商標は,先願に係る引用商標と類似の商標であり,かつ,互いの指定商品も同一又は類似であるから,商標法第8条第1項に違反して登録されたものである。

第4 被請求人の答弁
被請求人は,結論同旨の審決を求めると答弁し,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として乙第1号証ないし乙第3号証を提出した。
1 無効理由の非該当性
(1)本件商標
本件商標は,「MINICO」の欧文字と「ミニコ」の片仮名とを黒色で上下2段に横書きしてなるところ,その構成文字に相応した「ミニコ」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものである。
(2)引用商標
引用商標は,「MINISO」の欧文字をオレンジ色で横書きしてなるところ,その構成文字に相応した「ミニソ」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものである。
(3)本件商標と引用商標との類否
ア 外観の類否
本件商標と引用商標とでは,片仮名部分の有無及び文字の色彩において異なっているため,両商標は,外観上,相紛れるおそれのないものである。
また,本件商標の構成中「MINICO」の文字部分と引用商標「MINISO」とにおいては,前者の5文字目が「C」であるのに対し,後者の5文字目が「S」である点において大きく異なっている。構成文字が欧文字6文字である商標の場合,需要者はいちべつして構成文字全体を認識することができるため,このような1文字の差異が外観全体の視覚的印象に与える影響は大きい。さらに,本件商標の欧文字部分と引用商標とはいずれも一種の造語と認識されるものであり,これらを称呼する際には構成文字ひとつひとつを入念に観察することも想定されるため,この点においても,1文字の差異が外観全体の視覚的印象に与える影響は大きいといえる。そうすると,本件商標の構成中「MINICO」の文字部分と引用商標「MINISO」とは,外観上,相紛れるおそれのないものである。
イ 称呼の類否
本件商標から生じる「ミニコ」の称呼と,引用商標から生じる「ミニソ」の称呼とでは,前者の語尾が「コ」であるのに対し,後者の語尾が「ソ」である点において異なっている。両商標の称呼はいずれも3音という短い音数で構成されているものであり,「コ」及び「ソ」はいずれも明瞭に発音される音であるから,語尾の1音の相違が称呼全体の語調語感に与える影態は大きい。そうすると,両商標は,称呼上,相紛れるおそれのないものである。
ウ 観念の類否
本件商標と引用商標とは,いずれも一種の造語として理解され,特定の観念を生じさせないものであるから,観念において比較することができないものである。
エ まとめ
本件商標と引用商標とは,外観及び称呼において相紛れるおそれがないものであり,観念においては比較することができないものであるため,非類似の商標である。
2 請求人の主張に対する反論
(1)商標の類似について
請求人は,本件商標と引用商標は称呼上及び外観上類似する旨主張しているが,上記1(3)ア及びイにて述べたとおり,両商標は称呼上及び外観上相紛れるおそれのないものであるため,請求人の主張は妥当でない。
また,過去の審決例等においても,短い音構成からなる称呼において,語尾の1音の相違が称呼全体の語調語感に及ぼす影響は大きいと判断されている事例は数多く存在する(乙1?乙3)。
(2)過去の異議決定及び審決例について
請求人が列挙する審決例等は,いずれも本件とは事案の内容を異にするものであり,商標の類否判断は,査定時及び審決時における指定商品等が属する分野の取引の実情等を個別具体的に検討して行われるべきものであるため,請求人の主張の根拠とはならない。
3 結語
以上より,本件商標の登録は,商標法第8条第1項に違反してされたものではない。

第5 当審の判断
請求人が本件審判を請求する利害関係を有することについては,当事者間に争いがなく,また,当審は請求人が本件審判を請求する利害関係を有するものと認める。
以下,本案に入って審理する。
1 本件商標
本件商標は,上記第1のとおり「MINICO」と「ミニコ」の文字を2段に横書きしてなるところ,これらの文字は,辞書等に掲載がないものであって,特定の意味合いを想起させることのない,一種の造語として理解されるものであるから,その構成文字に相応して「ミニコ」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものである。
2 引用商標
引用商標は,上記第2のとおり「MINISO」の文字をオレンジ色で表してなるところ,当該文字は,辞書等に掲載がないものであって,特定の意味合いを想起させることのない,一種の造語として理解されるものであるから,その構成文字に相応し「ミニソ」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものである。
3 本件商標と引用商標の類否
(1)本件商標と引用商標の外観を比較すると,両者の構成はそれぞれ上記1及び2のとおりであるから,両商標は,片仮名の有無及び色彩の差異などにより,容易に区別し得るものである。
また,本件商標の構成中「MINICO」の文字と引用商標の構成文字「MINISO」の比較においても,両者は5文字目に「C」と「S」の文字の差異を有し,この差異が共に6文字という比較的短い文字構成からなる両者の外観全体の視覚的印象に与える影響は小さいものとはいえず,相紛れるおそれのないものとみるのが相当である。
(2)称呼においては,本件商標から生じる「ミニコ」と引用商標から生じる「ミニソ」の称呼を比較すると,両者は語尾における「コ」と「ソ」の音の差異を有するところ,この差異が共に3音という短い音構成からなる両称呼全体に及ぼす影響は少なくなく,両者をそれぞれ一連に称呼しても,かれこれ聞き誤るおそれのないものと判断するのが相当である。
(3)観念においては,両商標は共に特定の観念を生じないものであるから,比較することができない。
(4)そうすると,本件商標と引用商標とは,観念において比較することができないものであるとしても,外観及び称呼において相紛れるおそれがないものであるから,両者の外観,観念,称呼等によって取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合して全体的に考察すれば,両者は相紛れるおそれのない非類似の商標というべきものである。
その他,本件商標と引用商標が類似するというべき事情は見いだせない。
4 請求人の主張について
請求人は,本件商標と引用商標は3音中語頭の2音を共通にし,語尾の差異音は母音共通の近似音であり称呼上類似する,及び両商標は6文字という比較的長い文字構成からなり,語頭の4文字と語尾の1文字を共通にし,中間の5文字目に差異があるにすぎず外観上類似するとして,両商標は相紛らわしい類似の商標である旨主張し,過去の審決例等を挙げている。
しかしながら,本件商標と引用商標は,上記のとおり,片仮名の有無及び色彩の差異などにより容易に区別し得るものであり,また,「MINICO」と「MINISO」の欧文字の比較においても相紛れるおそれのないものであって,非類似の商標というべきものである。
また,商標の類否判断は,査定時又は審決時における取引の実情を勘案し,その指定商品及び指定役務の取引者・需要者の認識を基準に比較される商標について個別具体的に判断されるべきものであるから,過去の審決例等をもって本件の判断が左右されるものではない。
したがって,請求人のかかる主張は採用できない。
5 まとめ
上記のとおり,本件商標と引用商標は非類似の商標であるから,両商標の指定商品が同一又は類似するとしても,本件商標の登録は,商標法第8条第1項の規定に違反してされたものといえず,同法第46条第1項の規定に基づき,その登録を無効にすべきでない。
よって,結論のとおり審決する。

別掲

別掲 引用商標(色彩は原本参照。)




審理終結日 2021-05-11 
結審通知日 2021-05-14 
審決日 2021-05-31 
出願番号 商願2018-133487(T2018-133487) 
審決分類 T 1 11・ 4- Y (W03)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 鈴木 駿也 
特許庁審判長 半田 正人
特許庁審判官 鈴木 雅也
須田 亮一
登録日 2019-05-31 
登録番号 商標登録第6148294号(T6148294) 
商標の称呼 ミニコ 
代理人 洲崎 竜弥 
代理人 特許業務法人RIN IP Partners 

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