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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 W09 審判 全部申立て 登録を維持 W09 審判 全部申立て 登録を維持 W09 審判 全部申立て 登録を維持 W09 審判 全部申立て 登録を維持 W09 |
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管理番号 | 1378047 |
異議申立番号 | 異議2019-900359 |
総通号数 | 262 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2021-10-29 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2019-12-09 |
確定日 | 2021-07-14 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第6179358号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第6179358号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第6179358号商標(以下「本件商標」という。)は、「EDRAW」の文字を標準文字で表してなり、2018年(平成30年)10月9日に登録出願、第9類「コンピュータプログラム(記憶されたもの),コンピュータソフトウェア(記憶されたもの),電子出版物(電気通信回線を通じてダウンロードにより販売されるもの),コンピュータ用プログラム(電気通信回線を通じてダウンロードにより販売されるもの),コンピュータ用ゲームソフトウェア,コンピュータソフトウェア用アプリケーション(電気通信回線を通じてダウンロードにより販売されるもの),コンピュータハードウエア,コンピュータ操作用プログラム(記憶されたもの),運動用眼鏡,腕時計型携帯情報端末」を指定商品として、2019年(令和元年)7月18日に登録査定され、同年9月13日に設定登録されたものである。 第2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議申立ての理由において引用する登録商標は、次の2件であり、いずれも現に有効に存続しているものである。 1 登録第4406076号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲1のとおりの構成よりなり、1999年(平成11年)9月14日に登録出願、第9類「コンピュータ(中央処理装置及びコンピュータ補助設計ソフトウェアの機能拡張用のコンピュータプログラムを記憶させた電子回路・同磁気ディスク・同磁気テープ・同CD-ROMその他の記憶媒体その他の周辺機器を含む。),その他の電子応用機械器具及びその部品」を指定商品として、2000年(平成12年)8月4日に設定登録されたものである。 2 国際登録第837206号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲2のとおりの構成よりなり、2004年(平成16年)8月20日に国際商標登録出願、第9類「Computer software for computer-aided design.」を指定商品として、2005年(平成17年)9月16日に設定登録されたものである。 以下、引用商標1及び引用商標2をまとめていう場合は、「引用商標」という。 第3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第10号、同項第11号及び同項第15号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の2第1項の規定により取り消されるべきものであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第15号証を提出した。 1 具体的理由 (1)引用商標の周知性 ア 申立人グループについて 引用商標の商標権者である申立人は、フランスのソフトウェア開発、販売企業であるダッソー・システムズ社の米国子会社である(甲7?甲9)。 フランスのダッソー・システムズ社は、コンピュータを使用した3D(三次元)画像で製品を設計する事業者として1981年(昭和56年)に設立し、CAD(Computer-aided design) 用ソフトウェアの分野において長くそして高い実績をもち、同分野において世界最大級の事業規模をほこる。 同社は、1981年(昭和56年)の設立後すぐにIBMと、世界規模のマーケティング、販売、サポートについてパートナーシップを契約し、また、BMW、メルセデス、ホンダなどとの提携も開始した。 1984年(昭和59年)にはボーイング社、2000年(平成12年)にはエアバス社、2001年(平成13年)にはソニー社、2002年(平成14年)にはトヨタ社、ボルボグループ、2003年(平成15年)にはフォード社、2009年(平成21年)にはP&G社、2011年(平成23年)にはAmazon社と、ダッソー・システムズ社のソフトウェアに関して、業務契約やパートナー契約を締結するなど、ダッソー・システムズ社を中核とする企業グループは、現在、世界で250,000社を超える顧客と、12,600社のパートナーを抱える世界的ソフトウェア企業グループとなり、フランスでは最大、EU圏内ではトップ2、世界では、2012年(平成24年)時点で、15位という世界規模のソフトウェア事業者となっている。 ダッソー・システムズ社は、世界連結で、15,000名の従業員数、190以上の事業所を有しており、日本においても、1994年(平成6年)に、ダッソーシステムズ株式会社を設立し、日本の自動車業界をはじめ、航空宇宙、造船、産業機械、ハイテク、消費財、建設・建築、エネルギー及びライフサイエンスなど幅広い業界、分野において、申立人グループのソフトウェアをもって、数多くの企業を支援している(甲7、甲8)。 イ 引用商標の使用実績及び周知性 引用商標は、申立人のCAD用ソフトウェアにより作成された3D設計図(電子設計図)を、簡単に閲覧することができるツールとして開発されたソフトウェアについて使用されている商標であり、引用商標の使用に係る商品「CAD用ソフトウェアにより作成された3D設計図(電子設計図)を、簡単に閲覧することができるツールとして開発されたソフトウェア」(以下「申立人商品」という。)は、我が国においては、遅くとも2006年(平成18年)にはすでに提供が開始されている(甲10)。 甲第11号証は、「Internet Archive」(甲12)から抽出したダッソーシステムズ株式会社の公式ウェブサイトであって、引用商標「eDRAWINGS」の使用に係るソフトウェアを紹介するページの2006年(平成18年)ないし2019年(令和元年)までのプリントアウトであり、申立人商品は、その後現在に至るまで、約15年にわたり継続して、需要者に提供され続けており(甲10)、世界大手のソフトウェア事業者ダッソー・システムズ・グループが提供するCAD関連ソフトウェアとして、周知性を獲得しているものである(甲13、甲14)。 (2)本件商標と引用商標の類似の程度について 引用商標は、アルファベット文字「e」と、英単語「DRAW」(描く)の名詞形である「DRAWINGS」(描画、製図)を結合した構成であり、「イードローウィング(ス)」と称呼されるものである。 他方、本件商標も、「E」と「DRAW」とを結合したものと認識されるものであり、「イードロー」と称呼される。 しかして、引用商標「eDRAWINGS」と本件商標「EDRAW」とは、頭文字から第5文字目までの「EDRAW(eDRAW)」のつづりを共通にしており、同部分に係る両商標の称呼(「イードロー」)は同一である。このような前半部にかけて共通した商標は、非常に相紛らわしいものといわざるを得ない。なぜなら、ある商標に接した需要者や取引者は、まずその商標の特徴的な部分に耳目をやり、同部分を記憶するものであり、その特徴的役割を果たすのが、商標の前半部であるということは多分にあるからである。 すなわち、「EDRAW(eDRAW)」の部分は、結合全体としてみれば、既存の英単語ではなく造語といえるものであるから、その商標の特徴、独創性、いい換えれば、商標の識別性についていえば、強く顕著なものであり、両商標は外観及び称呼において非常に類似するものである。 さらに、引用商標は、「e」と「DRAWINGS」を結合したものであるところ、既存の英単語に「e(E)」を付す場合、例えば「e(E)) メール」、「e(E)コマース」のように、「e(E)」は「electronic」を意味するものとして認識される。 よって、引用商標は「電子的な描画、電子的な製図」というイメージを示唆的に想起させるものであるが、一方の本件商標も、「E」と「DRAW」を結合した構成であるところ、同様に「電子的に(何かを)描画する、描く」という示唆的なイメージが生じる。 したがって、両商標は、観念においても相紛らわしいものといわざるを得ない。 本件商標及び引用商標の共通した「EDRAW(eDRAW)」の部分の外観、称呼及び観念は、同一の出所を示すもののような印象を需要者及び取引者に与えるか、そうでないとすれば、単に非常に紛らわしいものであるから、出所の混同という点で、本件商標と引用商標とは類似するものである。 また、前半部にかけて共通した文字を有しているだけで、そのような商標は、一連のシリーズブランドのようなものとして認識されることがあるであろうし、マークの主な識別性がそのような部分に存することは珍しくない。 とりわけ、引用商標「eDRAWINGS」が周知であることを踏まえれば、引用商標を熟知する取引者、需要者が、本件商標「EDRAW」に接した場合には、これがあたかも引用商標の使用に係る商品とシリーズ商品ないし系列商品であると誤認してしまう混同のおそれは高いといわざるを得ない。 (3)商品の類似関係 引用商標の指定商品は、本件商標の指定商品中、第9類「コンピュータブログラム(記憶されたもの),コンピュータソフトウェア(記憶されたもの),コンピュータ用プログラム(電気通信回線を通じてダウンロードにより販売されるもの),コンピュータ用ゲームソフトウェア,コンピュータソフトウェア用アプリケーション(電気通信回線を通じてダウンロードにより販売されるもの),コンピュータハードウエア,コンピュータ操作用プログラム(記憶されたもの),腕時計型携帯情報端末」と類似することが明らかである。 (4)他の国における決定例 本件商標の商標権者は、欧州連合においても、本件商標と同一の商標を出願したため、申立人は、その出願商標に対して自己の先行商標「EDRAWINGS」の存在を理由とする異議申立をおこなった。 その結果、欧州知財庁(EUIPO)は、両商標の類似性(出所混同のおそれ)を認定して、その出願商標の登録を拒絶した(甲15)。 以上の決定例に照らしても、本件商標は、引用商標との関係で、狭義ないし広義の出所混同のおそれがあるというべきである。 (5)小括 以上のとおり、本件商標は、その指定商品、とりわけ上記(3)で特定した商品について使用された場合には、引用商標との間で出所混同の生じるおそれが高く、商標法第4条第1項第11号、同項第10号及び同項第15号に該当し、また、引用商標がCAD用ソフトウェアの分野において周知であることを踏まえれば、本件商標がその指定商品について使用された場合には、申立人と組織的又は経済的に関連する系列商品ないしシリーズ商品であるかのごとく、いわゆる広義の混同のおそれもあるといわざるを得ない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同項第10号及び同項第15号に該当する。 第4 当審の判断 1 引用商標の周知性について 申立人は、引用商標は、申立人商品「CAD用ソフトウェアにより作成された3D設計図(電子設計図)を、簡単に閲覧することができるツールとして開発されたソフトウェア」に使用され、ソフトウェア事業者ダッソー・システムズ・グループが提供するCAD関連ソフトウェアとして、周知性を獲得している商標であると主張し、その証拠として、「ダッソー・システムズ・グループ」の公式ウェブサイト及び「Wikipedia」のウェブサイト(甲7?甲9)、「eDRAWINGS」の公式ウェブサイト(甲10)及び、インターネットアーカイブ(WayBackMachine)のウェブサイトに保存されている2006年ないし2019年の「eDRAWINGS」の公式ウェブサイト(甲11)、個人のウェブサイト及び「CAD.info」と称するウェブサイト(甲13、甲14)のプリントアウトを提出している。 しかしながら、上記インターネットアーカイブ(WayBackMachine)のウェブサイトに保存されている「eDRAWINGS」の公式ウェブサイト(甲11)において、引用商標2が、2006年(平成18年)ないし2018年(平成30年)の間、我が国において、申立人商品に使用されていることはうかがえるものの、その商品の売上高、販売額、宣伝広告費、宣伝地域、市場占有率等に関する証拠は提出されていない。 また、甲第7号証ないし甲第9号証は「ダッソー・システムズ・グループ」に関する証拠であり、甲第13号証及び甲第14号証は「eDRAWINGS」について記載された個人又は出所不明のウェブサイト2件のみであって、これらの証拠からは、引用商標が使用された申立人商品について、我が国における販売時期(期間)、売上高や市場シェアなどの事業規模、宣伝広告の程度などを具体的に把握し得る証拠は見い出せないし、本件商標の登録出願時及び登録査定時における引用商標の周知性の程度を推測するための証拠は確認できない。 なお、申立人は欧州知財庁(EUIPO)における商標の異議決定例(甲15)を提出しているが、この事例が引用商標の周知性を直接的に裏付けるものとはいえない。 そうすると、申立人の提出に係る証拠によっては、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、引用商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして我が国の需要者の間に広く認識されていたものと認めることができない。 2 商標法第4条第1項第11号該当性について (1)本件商標について 本件商標は、「EDRAW」の文字を標準文字で表してなり、その構成文字に相応して「エドロー」の称呼を生じるものである。 そして、「EDRAW」の文字は、辞書等に載録がないものであって、かつ、当該文字が、我が国において、特定の意味合いを有する語として親しまれている等の特段の事情は存在しない。 したがって、本願商標は、「エドロー」の称呼を生じるものであり、特定の観念は生じないものである。 なお、申立人は、本件商標は「E」と「DRAW」とを結合したものと認識されるため「イードロー」と称呼される旨を主張する。 しかしながら、本願商標は、同書、同大、等間隔で構成上まとまりよく一体的に表されていることからすると、本願商標は、「E」と「DRAW」の文字とを分離して捉える特別な事情はないため、これが、「イードロー」の称呼が生じるものと判断することはできない。 (2)引用商標について ア 引用商標1は、別掲1のとおり、黒塗り長方形内に白抜きで、右向きの矢印とその先端に接するように縦線を描いた図形(以下「矢印図形」という。)と、その右横に「eDRAWINGS」(決定注:「e」の文字は、「DRAWINGS」の文字よりやや大きく表されている。以下同じ。)の文字を配した構成からなるところ、矢印図形と「eDRAWINGS」の文字は、いずれも、黒塗り長方形内に配されているものの、これらは、大きさや長さが異なる等の相違点を有するため、視覚上分離して認識、把握されるものといえる。 また、引用商標1の構成中の「eDRAWINGS」の文字は、「e」の文字が「DRAWINGS」の文字に比べて大きく書されているため、引用商標1は、「e」の文字と「DRAWINGS」の文字とを結合させたものと認識することから、「eDRAWINGS」の文字に相応して、「イードローイングス」の称呼を生じるものである。 さらに、引用商標1の構成中の黒塗り長方形及び矢印図形は、需要者の間に広く知られている等の理由により、これらが、特定の称呼及び観念が生じると判断するべき事情を有していないものである。 加えて、「eDRAWINGS」の文字は、その構成中の「DRAWINGS」の文字が、「製図」等の意味を有する語(小学館 プログレッシブ英和中辞典)であるとしても、「eDRAWINGS」の文字は、辞書等に載録はなく、当該文字が、我が国において、特定の意味合いを有する語として親しまれている等の特段の事情は存在しないことから、一種の造語と判断するのが相当である。 そうすると、引用商標1は、常に一連一体のものと認識すべき事情はなく、これに接する需要者、取引者は、引用商標1の構成中、「eDRAWINGS」の文字をその要部と看取、認識すると判断するのが相当である。 したがって、引用商標1は、「eDRAWINGS」の文字に相応して「イードローイングス」の称呼を生じ、特定の観念は生じないものである。 イ 引用商標2は、別掲2のとおり、矢印図形とその右横に「eDRAWINGS」の文字を配してなるものであるから、上記アと同様に、「eDRAWINGS」の文字に相応して「イードローイングス」の称呼を生じ、特定の観念は生じないものである。 (3)本件商標と引用商標との比較 ア 外観について 本件商標は、上記(1)のとおりの構成よりなり、引用商標は、上記(2)のとおりの構成よりなるところ、本願商標と引用商標とは、矢印図形の有無や構成文字が相違する等、これらの外観は、明らかに相違するものであるから、外観上、相紛れるおそれはない。 イ 称呼について 本件商標から生じる「エドロー」の称呼と引用商標から生じる「イードローイングス」の称呼とは、これらの構成音数が明らかに相違するため、それぞれを一連に称呼した場合は、その語調語感が相違し、称呼上、互いに紛れるおそれはない。 ウ 観念について 本件商標と引用商標とは、いずれも特定の観念を生じないものであるから、観念上、比較することができない。 エ 小括 以上から、本件商標と引用商標とは、観念において比較できないものであるとしても、外観及び称呼において明らかに相違するものであり、これらを総合して判断すれば、相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきである。 その他、本件商標と引用商標とが類似するというべき特段の事情は見いだせない。 (4)まとめ したがって、本件商標と引用商標とは、非類似の商標であって、別異の商標というべきであるから、たとえ、本件商標の指定商品中の「コンピュータプログラム(記憶されたもの),コンピュータソフトウェア(記憶されたもの),電子出版物(電気通信回線を通じてダウンロードにより販売されるもの),コンピュータ用プログラム(電気通信回線を通じてダウンロードにより販売されるもの),コンピュータ用ゲームソフトウェア,コンピュータソフトウェア用アプリケーション(電気通信回線を通じてダウンロードにより販売されるもの),コンピュータハードウエア,コンピュータ操作用プログラム(記憶されたもの), 腕時計型携帯情報端末」(以下「本件コンピュータ関連商品」という。)と引用商標の指定商品とが同一又は類似する商品であるとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。 3 商標法第4条第1項第10号該当性について 商標法第4条第1項第10号は、「他人の業務に係る商品若しくは役務を表示するものとして、需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似する商標であつて、その商品若しくは役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について使用するもの」と規定している。 そして、上記1のとおり、引用商標は、申立人商品を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできないものである。 また、上記2のとおり、本件商標と引用商標とは、非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しない。 4 商標法第4条第1項第15号該当性について 引用商標は、上記1のとおり、申立人商品を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。 そして、上記2のとおり、本件商標と引用商標とは別異の商標であり、全体として異なる印象を与えるものであって、類似性が高いとはいえないものである。 また、本件商標の指定商品中の本件コンピュータ関連商品と申立人商品は、いずれも、コンピュータに関連する商品であり、これらは、製造業者、販売場所及び需要者等を共通にするものである。 さらに、本件商標の指定商品中「運動用眼鏡」と申立人商品は、商品の用途、製造業者及び販売場所等が明らかに異なることから、本件商標の指定商品中「運動用眼鏡」と申立人商品とは、密接な関連性を有しているとはいえない。 そうすると、本件コンピュータ関連商品と申立人商品は、製造業者、販売場所及び需要者等を共通にするものであるとしても、上記1のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、引用商標は、申立人商品を表示する商標として需要者の間に広く認識されているとはいえないものであり、上記2のとおり、本件商標と引用商標とは別異の商標であるから、本件コンピュータ関連商品の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として総合的に判断すれば、本件商標を本件コンピュータ関連商品に使用しても、これに接する取引者、需要者が、引用商標又は申立人を連想又は想起するとは考え難い。 以上によれば、本件商標は、これをその指定商品について使用しても、その取引者、需要者をして、当該商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生じさせるおそれがあるものと認めることはできない。 その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。 5 申立人の主張について 申立人は、「本件商標及び引用商標の共通した『EDRAW(eDRAW)』の部分の外観、称呼及び観念は、同一の出所を示すもののような印象を需要者及び取引者に与えるか、単に非常に紛らわしいものであるから、出所の混同という点で、本件商標と引用商標とは類似するものである。」旨を主張している。 しかしながら、上記2の(3)のとおり、本件商標と引用商標は、外観が明らかに相違し、本件商標から生じる「エドロー」の称呼と引用商標から生じる「イードローイングス」の称呼は、これらの構成音数が明らかに相違するため、それぞれを一連に称呼した場合は、その語調語感が相違したものとなり、互いに紛れるおそれはないものであるから、これらが、観念において比較できないものであるとしても、本件商標と引用商標は、相紛れるおそれのない別異の商標と判断するのが相当である。 また、上記1のとおり、引用商標が申立人商品を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識され、本件商標の登録出願時及び登録査定時に周知性を獲得していたとは認められないものである。 そうすると、本件商標をその指定商品に使用しても、申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生じさせるおそれがあるものとはいえないものである。 よって、申立人の上記の主張は採用することができない。 6 まとめ 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号、同項第11号及び同項第15号のいずれにも該当するものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲1(引用商標1) 別掲2(引用商標2) |
異議決定日 | 2021-05-20 |
出願番号 | 商願2018-126587(T2018-126587) |
審決分類 |
T
1
651・
262-
Y
(W09)
T 1 651・ 263- Y (W09) T 1 651・ 25- Y (W09) T 1 651・ 261- Y (W09) T 1 651・ 271- Y (W09) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 佐藤 誠也、安達 輝幸 |
特許庁審判長 |
小松 里美 |
特許庁審判官 |
豊田 純一 小俣 克巳 |
登録日 | 2019-09-13 |
登録番号 | 商標登録第6179358号(T6179358) |
権利者 | 深▲せん▼市億図軟件有限公司 |
商標の称呼 | エドロー |
代理人 | ▲吉▼田 和彦 |
代理人 | 中村 稔 |
代理人 | 藤倉 大作 |
代理人 | 松尾 和子 |
代理人 | 田中 伸一郎 |
代理人 | 井滝 裕敬 |
代理人 | 苫米地 正啓 |