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審決分類 |
審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Z28 |
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管理番号 | 1378007 |
審判番号 | 取消2019-300154 |
総通号数 | 262 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2021-10-29 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2019-02-28 |
確定日 | 2021-05-10 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第547907号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第547907号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成よりなり、昭和33年11月21日に登録出願、第65類「玩具及び運動遊戯具」を指定商品として、同35年2月16日に設定登録、その後、平成13年6月20日に指定商品を第28類「おもちゃ(おもちゃ花火・折り紙・きびがら・千代紙を除く。),人形,押絵,独楽,運動用具(体育用器械器具・体操用器械器具・スターターピストル・スケート靴を除く。),野球用具,まり,硬式ボール,軟式ボール,テニス用具,卓球用具,剣道用具,柔道用具,弓,囲碁用具,将棋用具,ビリヤード用具,骨ぱい(歌がるた・トランプ・花札を除く。)」とする指定商品の書換登録がされたものである。 そして、本件審判請求の登録は、平成31年3月12日にされたものであり、この登録前3年以内の期間を、以下「要証期間」という。 第2 請求人の主張の要点 請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の指定商品中、第28類「おもちゃ(おもちゃ花火・折り紙・きびがら・千代紙を除く。),人形」(以下「本件審判請求に係る指定商品という。」を取り消す、審判費用は、被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由として、「本件商標は、商標権者により、少なくとも過去3年以内に、本件審判請求に係る指定商品には使用されていないから、商標法第50条第1項の規定により,その登録は取り消されるべきものである。」旨主張した。 なお、請求人は、被請求人提出の令和元年6月25日付け審判事件答弁書(以下「答弁書」という。)に対して、何ら弁駁していない。 第3 被請求人の主張の要点 被請求人は、結論同旨の審決を求め、答弁書において、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第6号証を提出した。 1 答弁書による主張の要旨 本件商標の商標権者(以下「本件商標権者」という。)は、本件商標を本件審判請求に係る指定商品中の「おもちゃ(おもちゃ花火・折り紙・きびがら・千代紙を除く。)」に属する「遊戯用ボール,ボールおもちゃ」について、要証期間に日本国内において使用している。 2 本件商標を使用している者及びその使用の態様 本件商標権者は、本件商標を、その製造、販売に係る製品、そのカタログ、及び取引書類(品番)等に明記している。 乙第1号証は、本件商標権者の制作した2016年版の総合カタログ(PRODUCT CATALOG 2016)であり、同カタログの125頁、127頁、129頁及び131頁には「SMAIL BALL」が記載され、同カタログの126頁ないし131頁には、商標「smile」の文字が青色で目立つように記載されたたボールが販売されている。 裏表紙には、「記載価格は2016年(平成28年)2月21日現在のメーカー希望価格です。」と記載され、その上部に本件商標権者の名称が記載され、同カタログの195頁には、本件商標権者の名称及び住所が記載されている。 乙第2号証は、本件商標権者の制作した2017年版の総合カタログ(PRODUCT CATALOG 2017)であり、同カタログの131頁及び133頁には「SMAIL BALL」が記載され、同カタログの105頁及び130頁には、商標「smile」の文字が青色で目立つように記載されたボールが販売されている。 裏表紙には、「記載価格は2017年(平成29年)2月21日現在のメーカー希望価格です。」と記載され、その上部に本件商標権者の名称が記載されている。 乙第3号証は、本件商標権者が発行した2016年3月7日付売上、同年4月30日付売上、同年5月25日付売上、同年11月4日付売上、同年4月18日付売上、同年5月17日付売上、及び2017年12月4日付売上に関する「売上明細表 国内営業用」をプリントアウトしたものである。 なお、販売先顧客名は、明示できないが、保育事業所である。 同売り上げ明細表の2016年3月7日付売上、同年4月30日付売上、同年5月25日付け売上、同年11月4日付売上、同年4月18日付け売上、及び同年5月17日付売上の品番には、「FFF4-YR」と記載されており、乙第1号証の2016年のカタログの131頁には「FFF4【スマイルサッカー縫い4号】」の「YR」(主に黄色と赤色のボール)の品番が記載され、「smile」ボールが販売されている。 なお、[スマイルサッカー縫い4号]とは、「スマイル」のサッカーボールタイプの縫った4号の大きさのボールを意味する(乙6)。 2017年12月4日付売上の品番には、「FFF4-YG」と記載されており、乙第1号証の2016年のカタログの第131頁には「FFF4【スマイルサッカー縫い4号】」の「YG」(主に黄色と緑色のボール)の品番が記載され、「smile」ボールが販売されている。 2017年のカタログの130頁には「FFF4」の品番が記載され、「smile」ボールが販売されている。 なお、[スマイルサッカー縫い4号]とは、「スマイル」のサッカーボールタイプの縫った4号の大きさのボールを意味する。 乙第4号証は、被請求人のウェブサイトの「ふぁふぁスマイル|MIKASA online Shop」のプリントアウトをしたものであるが、現在でも、本件商標権者のオンラインショップで、「FFF4-YR」と「FFF4-YG」の品番の「smile」ボールは販売されている。 上記ボールにはともに本件商標と社会通念上同一の「smile」の商標が使用されている。 以上のとおり、本件商標権者は、本件商標を、その製造、販売に係る「遊戯用ボール、ボールおもちゃ」に関するカタログ及び取引書類に使用している。 (2)本件商標の使用の商品 本件商標の使用の商品は、請求に係る指定商品中「おもちゃ(おもちゃ花火・折り紙・きびがら・千代紙を除く。)」に属する「遊戯用ボール,ボールおもちゃ」である。 乙第5号証は、2014年7月1日に作成した本件商標権者の社内文書で、本件商標を使用したボールについて、保育園の先生から聞き取り調査をした結果を報告するものである。 「smile」ボールについては、「軽くて柔らかい。そして弾みも良い。」と指摘を受け、保育園では、ボール遊びに使用することができる「遊戯用ボール、ボールおもちゃ」として認識されている。 乙第2号証の商品カタログの131頁では、本件商品は、「スポーツではなく気軽に「遊び」として取り入れられます」及び「幼稚園・保育圏などの先生を応援するボールです」と説明され、「遊戯用ボール、ボールおもちゃ」として販売されている。 このように、使用商品は、幼少期のボール遊びに適しており、小学生のスポーツにも使用可能であるが、保育園児や幼稚園児のボール遊びにも適当なものである。 以上のとおり、本件商標権者は、本件商標を、その製造、販売に係る「遊戯用ボール、ボールおもちゃ」に関するカタログ及び取引書類に使用している。 (3)本件商標の使用の時期 本件商標権者が、本件商標を要証期間に使用していたことは、乙第1号証ないし乙第3号証の記述からも明らかである。 乙第1号証のカタログの裏表紙には、「記載価格は2016年(平成28年)2月21日現在のメーカー希望価格です。」と記載があるが、2016年版のカタログであるので、その後の要証期間の2016年中の商品にも使用されるものである。 乙第2号証のカタログの裏表紙には、「記載価格は2017年(平成29年)2月21日現在のメーカー希望価格です。」と記載があるが、要証期間(平成31年(2019年)3月12日前3年)に適用があったことは明確である。 乙第3号証の取引は、2016年4月30日から2017年5月17日までは、要証期間の使用になる。 したがって、本件商標が要証期間に我が国において使用されていたことは明らかである。 (4)本件商標と使用に係る商標との社会通念上の同一性 乙第1号証及び乙第2号証のカタログで記載された使用に係る商標は、青色で「smile」とボールに使用しているが、本件商標「スマイル/smile」と社会通念上同一と認められる。 また、上記ボールは、乙第1号証のカタログでは、例えば、[スマイルサッカー縫い4号]と記載されて「スマイル」のサッカーボールタイプの縫った4号の大きさのボールを表示しており、本件商標と社会通念上同一の「スマイル」が使用されている。 さらに、乙第1号証及び乙第2号証の商品カタログにおいて、「SMILE BALL」を使用しており、この中で「BALL」は商品の普通名称を表示し、その要部は「SMILE」であり、本件商標と社会通念上同一の商標を使用している。 3 まとめ 以上のとおり、本件商標権者は、日本国内において、本件審判の予告登録日である平成31年3月12日前3年以内に、本件商標と同一の商標を本件請求にかかる指定商品中の「遊戯用ボール、ボールおもちゃ」について使用している。 第4 当審の判断 1 被請求人の立証責任 商標法第50条による商標登録の取消審判の請求があったときは、同条第2項の規定により、被請求人において、その請求に係る指定商品のいずれかについての登録商標の使用をしていることを証明し、又は使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしない限り、その登録の取消しを免れない。 すなわち、本件商標の使用をしていることを証明するには、商標法第50条第2項に規定されているとおり、被請求人は、ア 要証期間に、イ 日本国内において、ウ 商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、エ 本件請求に係る商品のいずれかについての、オ 本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標の使用(商標法第2条第3項各号のいずれかに該当する使用行為)をしていることをすべて証明する必要がある。 2 被請求人が提出した乙各号証によれば、以下のとおりである。 (1)乙第1号証について 乙第1号証は、本件商標権者である株式会社ミカサが制作した「MIKASA/Sports every day!」をタイトルとする商品カタログ(PRODUCT CATALOG 2016)であり、同カタログの125頁の右側に、下から上に「SMAIL BALL」の文字の記載、当該頁の中心部に「やわらか?い」、「このボールで」、「たのしく」及び「あそぼうね」の各文字が縦書きされており、本号証の126頁のサッカーボールタイプの欄の右にややデザイン化された「smile」の欧文字が記載された「SMILE BALL」の写真が掲載され、その下に「FFF4」の記載、本体価格 ¥2,000円+消費税」の記載がある。 また、本号証の130頁に、「やわらかくてよくはずむ」の記載、「アタマでボールを受けてもあんしん」の記載、本号証の131頁の右側に下から上に「SMAIL BALL」の文字の記載があり、当該頁の中心部から下に、「サッカーボールタイプ みんなをもっと元気にするボールです。」の記載、「FFF4-WR/WBK/WG/WB/CR/YBK/YR/YB/YG」の記載、「スマイルサッカー縫い4号」の記載、「本体価格 ¥2,000円+消費税」の記載があり、「YR」の欧文字の上に、ややデザイン化された「smile」の欧文字が記載された黄色の「SMAIL BALL」の写真が掲載されている。 さらに、本号証の195頁に「株式会社ミカサ」の記載、本社の項目に「広島市安佐北区安佐町久地1番地」の記載があり、本号証の裏表紙に、「記載価格は2016年(平成28年)2月21日現在のメーカー希望価格です。」の記載がある。 (2)乙第3号証について 乙第3号証は、処理日が2019年6月24日の被請求人が本件商標権者が作成したと主張する「売上明細表 国内営業用」である。 本号証の1葉目には、「売上日 2016/03/07」の記載、「在庫場所名」の項目に「物流センター」の記載、「得意先略称」の項目に「○○保育○」(「○」部分は黒塗りされている。以下同じ。)、「品目名」の項目に「FFF4?YR」の記載、「納品先コード」の項目に「CM00270」の記載、「顧客納期(ボディ)」の項目に「2016/03/08」の記載、「売上数」の項目に「12個」の記載がある。 本号証の2葉目には、「売上日 2016/04/30」の記載、「在庫場所名」の項目に「物流センター」の記載、「得意先略称」の項目に「(株)○○保育○」、「品目名」の項目に「FFF4?YR」の記載、「納品先コード」の項目に「CM01162」の記載、「顧客納期(ボディ)」の項目に「2016/05/02」の記載、「売上数」の項目に「2個」の記載がある。 本号証の3葉目には、「売上日 2016/05/25」の記載、「在庫場所名」の項目に「物流センター」の記載、「得意先略称」の項目に「(株)○○保育○」、「品目名」の項目に「FFF4?YR」の記載、「納品先コード」の項目に「CM00270」の記載、「顧客納期(ボディ)」の項目に「2016/05/26」の記載、「売上数」の項目に「12個」の記載がある。 本号証の4葉目には、「売上日 2016/11/04」の記載、「在庫場所名」の項目に「物流センター」の記載、「得意先略称」の項目に「(株)○○保育○」、「品目名」の項目に「FFF4?YR」の記載、「納品先コード」の項目に「CM00270」の記載、「顧客納期(ボディ)」の項目に「2016/11/05」の記載、「売上数」の項目に「12個」の記載がある。 本号証の5葉目には、「売上日 2017/04/18」の記載、「在庫場所名」の項目に「物流センター」の記載、「得意先略称」の項目に「(株)○○保育○」、「品目名」の項目に「FFF4?YR」の記載、「納品先コード」の項目に「CM00270」の記載、「顧客納期(ボディ)」の項目に「2017/04/19」の記載、「売上数」の項目に「12個」の記載がある。 本号証の6葉目には、「売上日 2017/05/17」の記載、「在庫場所名」の項目に「物流センター」の記載、「得意先略称」の項目に「(株)○○保育○」、「品目名」の項目に「FFF4?YR」の記載、「納品先コード」の項目に「CM00270」の記載、顧客納期(ボディ)」の項目に「2017/05/18」の記載、「売上数」の項目に「12個」の記載がある。 本号証の7葉目には、「売上日 2017/12/04」の記載、「在庫場所名」の項目に「物流センター」の記載、「得意先略称」の項目に「(株)○○保育○」、「品目名」の項目に「FFF4?YG」の記載、「納品先コード」の項目に「CM00270」の記載、顧客納期(ボディ)」の項目に「2017/12/05」の記載、「売上数」の項目に「12個」の記載がある。 3 判断 上記2からすると、以下のとおり判断できる。 (1)使用商標及び本件商標と使用商標との社会通念上同一性について 本件商標は、前記第1のとおり、「スマイル」の片仮名と「SMILE」の欧文字を上下二段に書してなるものである。 一方、使用商標は、ややデザイン化された「smile」の欧文字からなるものである。 本件商標と使用商標とは、いずれも「スマイル」の称呼及び「笑顔」の観念が生じるものであり、また、本件商標の構成中の「SMILE」と使用商標は、大文字と小文字の差異やデザイン化の有無に相違する点はあるとしても、構成文字「S(s)」、「M(m)」、「I(i)」、「L(l)」及び「E(e)」を共通にすることから、外観が明らかに相違するとはいえないことから、本件商標と使用商標とは、社会通念上同一の商標と認められる。 (2)使用商品について 使用商標が付された「SMILE BALL」(別掲2)は、「MIKASA/Sports every day!」をタイトルとする商品カタログ(PRODUCT CATALOG 2016)による説明等からすると、通常、スポーツで使用する競技用ボールではなく、子供等が遊戯のために使用するため、やわらい素材で製造された「遊戯用ボール」に該当する商品であることが確認できる。 そうすると、使用商標が付された「SMILE BALL」は、本件審判請求に係る指定商品中の「おもちゃ(おもちゃ花火・折り紙・きびがら・千代紙を除く。)」の範ちゅうに属する商品であると認められる。 (3)使用商品を譲渡した時期 使用商標の使用者は、本件商標権者であり、また、本件商標権者が少なくとも2016年(平成28年)2月21日よりも前に作成した「MIKASA/Sports every day!」をタイトルとする商品カタログ(PRODUCT CATALOG 2016)には、使用商標が付された使用商品(品番:FFF4?YR)が掲載されている。 そして、使用商品(品番:FFF4?YR)は、「納品先コード」が「CM00270」の保育園に対し、2016年3月8日に「12個」、同年5月26日に「12個」、同年11月5日に「12個」、2017年4月19日に「12個」、同年5月18日に「12個」納品されたことが推認でき、2016年3月8日、同年5月26日、同年11月5日、2017年4月19日及び同年5月18日は、いずれも要証期間である。 (4)小括 上記(1)ないし(3)からすれば、本件商標権者は、要証期間に、日本国内において本件審判請求に係る指定商品中の「おもちゃ(おもちゃ花火・折り紙・きびがら・千代紙を除く。)」に含まれる「遊戯用ボール」に本件商標と社会通念上同一と認められる商標を付したものを譲渡(納品)した(商標法第2条第3項第2号に該当)と認められる。 4 まとめ 以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者がその請求に係る指定商品について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用をしていたことを証明したということができる。 したがって、本件商標の登録は、その請求に係る指定商品について、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
【別記】![]() ![]() |
審理終結日 | 2021-03-17 |
結審通知日 | 2021-03-19 |
審決日 | 2021-03-31 |
出願番号 | 商願昭33-33317 |
審決分類 |
T
1
32・
1-
Y
(Z28)
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最終処分 | 成立 |
特許庁審判長 |
榎本 政実 |
特許庁審判官 |
小俣 克巳 豊田 純一 |
登録日 | 1960-02-16 |
登録番号 | 商標登録第547907号(T547907) |
商標の称呼 | スマイル |
代理人 | 藤倉 大作 |
代理人 | 中村 稔 |
代理人 | 田中 伸一郎 |
代理人 | 松尾 和子 |
代理人 | 井滝 裕敬 |