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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) X09
管理番号 1377962 
審判番号 取消2019-300923 
総通号数 262 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2021-10-29 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2019-12-19 
確定日 2021-08-30 
事件の表示 上記当事者間の登録第5364147号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第5364147号商標の指定商品中、第9類「電子応用機械器具及びその部品」についての商標登録を取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5364147号商標(以下「本件商標」という。)は、「エコスコア」の文字を標準文字で表してなり、平成22年3月29日に登録出願、第9類「写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,家庭用テレビゲームおもちゃ,携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,レコード,メトロノーム,電子楽器用自動演奏プログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,インターネットを利用して受信し、及び保存することができる音楽ファイル,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,インターネットを利用して受信し、及び保存することができる画像ファイル,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,電子出版物」を指定商品として、同年10月29日に設定登録がされ、現に有効に存続しているものである。
そして、本件審判の請求の登録日は、令和2年1月8日である。
なお、本件審判において、商標法第50条第2項に規定する「その審判の請求の登録前3年以内」とは、平成29年(2017年)1月8日ないし令和2年(2020年)1月7日である(以下「要証期間」という場合がある。)。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第3号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品中、第9類「電子応用機械器具及びその部品」について継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
被請求人は、令和2年2月21日付け審判事件答弁書(以下「答弁書」という。)において、本件商標が本件審判請求に係る指定商品、第9類「電子応用機械器具及びその部品」(以下「本件審判請求に係る商品」という場合がある。)に使用されている旨主張する。
しかしながら、本件商標の使用に係る証拠として提出された乙第1号証ないし乙第15号証は、いずれも商標法第50条に規定された本件審判請求に係る商品についての本件商標の使用を立証するに足るものではない。
(1)本件審判請求に係る商品の使用
被請求人は、答弁書において、本件商標の使用商品が本件審判請求に係る商品の範ちゅうに含まれる「車載ナビゲーション機器用ソフトウェア」であると主張するが、本件商標の使用を示す証拠として提出された乙第1号証ないし乙第15号証からすると、商取引の対象となっている商品は、「カーナビゲーション装置」であって、「車載ナビゲーション機器用ソフトウェア」ではない。「カーナビゲーション装置」は、「電気通信機械器具」に関する商品であって、本件審判請求に係る商品たる「電子応用機械器具及びその部品」の範ちゅうに含まれているものではなく、結局、被請求人は、本件審判請求に係る商品への本件商標の使用を証明できていない。
ア 商標法上の「商品」について
商標法第50条の適用上、「商品」というためには、市場において独立して商取引の対象として流通に供されるものでなければならない(東京高判平成13年2月28日判時1749号138頁)。
そして、商取引とは「商業上の取引行為」を意味し(甲2)、取引とは、「商人と商人、または商人と顧客との間の売買行為」を意味するから(甲3)、本件における「商品」が、「車載ナビゲーション機器用ソフトウェア」か、それとも「カーナビゲーション装置」か、という点については、乙第1号証ないし乙第15号証の内容に照らし、市場において独立して売買行為の対象となっているものはいずれであるか、という観点から検討されるべきものといえる。
イ 乙第1号証ないし乙第15号証の検討
これを本件についてみると、乙第1号証ないし乙第4号証には、一見してソフトウェアとは解されないカーナビゲーション装置らしきものの写真が載っている。特に、乙第3号証及び乙第4号証には、地図が映し出されており、「渋滞」という記載もあることから、カーナビゲーション装置ということができる。
乙第6号証における1葉目の「目次」部分には、「ナビゲーション基本操作」及び「ナビゲーションの設定」の記載があり、同じく「安全上のご注意」欄には、「ナビゲーションによるルート案内時は、実際の交通規則に従って走行してください。」との記載があり、さらに、自動車を走行中にカーナビゲーション装置を操作するドライバーの絵が掲載されている。こうした記載内容からすれば、乙第6号証は、カーナビゲーション装置の取扱説明書と解される。
乙第7号証の2葉目には、「ナビゲーション&オーディオ」との記載がある一方で、「ソフトウェア」の記載は見当たらない。
ちなみに、「カーナビゲーション装置」のみならず、「オーディオ装置」及び「カーオーディオ機器」も「電気通信機械器具」に関わる商品であり、本件審判請求に係る商品の範ちゅうに含まれないものである。
乙第8号証の3葉目、乙第9号証の3葉目、乙第10号証の3葉目、乙第12号証の3葉目、乙第13号証の3葉目、乙第14号証の3葉目及び乙第15号証の2葉目には、「先進機能を凝縮したカーナビの完成形」との記載があり、さらには、乙第8号証の2葉目、乙第9号証の2葉目、乙第10号証の2葉目、乙第11号証の2葉目、乙第12号証の2葉目、乙第13号証の2葉目及び乙第14号証の2葉目には、「ショップオプションナビゲーション」という項目のもとに、一見して「カーナビゲーション装置」と理解できる商品の写真とその価格が記載された一覧表がある。こうしたカタログの内容からすれば、乙第8号証ないし乙第15号証は、「カーナビゲーション装置」のカタログというべきものである。
他方で、「車載ナビゲーション機器用ソフトウェア」がダウンロードできることや、当該ダウンロードの価格についての記載は一切なく、「車載ナビゲーション機器用ソフトウェア」のカタログとは解されない。
以上からすると、乙第1号証ないし乙第15号証において、市場において独立して売買行為の対象となっているものは、「車載ナビゲーション機器用ソフトウェア」ではなく、「カーナビゲーション装置」であることが明らかである。「カーナビゲーション装置」から離れて、「車載ナビゲーション機器用ソフトウェア」が独立して取引の対象とされているものではないというほかはなく、したがって、証拠上、「車載ナビゲーション機器用ソフトウェア」は、「カーナビゲーション装置」から独立して売買行為の対象となっている商品ではない。
そして、既に述べたとおり、「カーナビゲーション装置」は、本件審判請求に係る商品の範ちゅうに含まれておらず、被請求人は、本件審判請求に係る商品への本件商標の使用を証明できていない。
なお、乙第1号証ないし乙第4号証を見ると、「カーナビゲーション装置」の正面上部に「Pioneer」のロゴがあり、さらには、乙第8号証ないし乙第14号証における「ショップオプションナビゲーション」の項目において、「カーナビゲーション装置」のメーカー名として「パイオニア」と紹介されていることから、被請求人は、カーナビゲーション装置のメーカーであって、同装置のソフトウェアをマツダ株式会社(以下「マツダ」という。)に販売し、マツダにおいて、当該ソフトウェアを利用しつつカーナビゲーション装置を製造・販売しているというわけではなく、被請求人自身において、カーナビゲーション装置を製造・販売しているものと解される。
したがって、乙第1号証ないし乙第15号証からは、被請求人が、「車載ナビゲーション機器用ソフトウェア」を販売していることを裏付ける証拠がないばかりか、これをうかがわせる事情もなく、証拠上、「車載ナビゲーション機器用ソフトウェア」は、「カーナビゲーション装置」から独立して売買行為の対象とはなっていないというべきである。
(2)要証期間における本件商標の使用
被請求人は、答弁書において、ア)乙第1号証ないし乙第4号証に、「エコスコア」が表示されている商品があること、イ)乙第5号証に、かかる商品として、「C9PC V6 650」及び「A9PC V6 650」の記載があること、ウ)乙第6号証は、「C9PC V6 650」及び「A9PC V6 650」に関する取扱説明書であるところ、当該説明書の一部に「エコスコア」の記載があること、エ)この取扱説明書が、マツダのウェブページで閲覧することができること、オ)乙第8号証ないし乙第15号証は、要証期間に発行された、マツダのカタログであるところ、ここからは、「C9PC V6 650A」及び「A9PC V6 650A」の型番の商品が販売されていることがわかることをそれぞれ述べたうえで、「本件審判請求の登録前3年以内において、請求にかかる指定商品中『電子応答機械器具及びその部品』について、本件商標を使用していたことは明らか」などという主張を展開するが、乙第1号証ないし乙第15号証の内容からみて、市場において独立して売買行為の対象となっている商品は、「車載ナビゲーション機器用ソフトウェア」ではなく、「カーナビゲーション装置」であって、当該各証拠によっては、本件審判請求に係る商品への本件商標の使用は証明できていないことは既に述べたとおりである。
さらに、乙第1号証ないし乙第15号証によっては、本件商標が、要証期間に使用されていたことなどの証明もない。
ア 「指定商品についての登録商標の使用」について
本件商標が、要証期間に使用されていることが必要であることはいうまでもない。また、商標の使用は、商品「について」なされることが必要であり、その商品との具体的関係において使用されていなければならない(最判昭和43年2月9日民集22巻2号159頁)。
さらに、「商品についての登録商標の使用」があったというためには、当該商品の識別表示として、商標法第2条第3項、同条第4項所定の使用行為がされることを要するものというべきである(東京高判平成13年2月28日判時1749号138頁)。
イ 要証期間の本件商標の使用がないこと
これを本件についてみるに、乙第1号証ないし乙第6号証には、「エコスコア」の記載がある一方で、乙第7号証ないし乙第15号証には「エコスコア」の記載が一切ない。
したがって、乙第7号証ないし乙第15号証のみから、「エコスコア」の使用を証明することはできないところ、その他の証拠である乙第1号証ないし乙第5号証は、その撮影日が明らかでなく、要証期間における本件商標の使用を証明する証拠とはいえない。乙第6号証最終頁には、「(C)パイオニア株式会社2015」(審決注:(C)は、○の中に「C」の記載。以下同じ。)と記載されているほか、被請求人も答弁書において「取扱説明書の発行年は2015年」であると自認するとおり、これも要証期間における本件商標の使用を証明する証拠とはなり得ない。もとより、乙第1号証ないし乙第6号証からは、商品の販売事実が明らかでなく、商標法第2条第3項、同条第4項所定の使用事実が存するか否かが不明といわざるを得ない。
被請求人は、乙第6号証に関連する証拠として乙第7号証を提出するが、乙第7号証の最上部には「過去のカタログ・ナビゲーション関連データ」との記載があることから明らかなように、乙第7号証は、現在のカタログではなく、過去のカタログを掲載するものであって、乙第6号証のカタログが、現在もマツダのウェブページにおいて見ることができるとしても、それは、過去の商品に係る過去のカタログであって、要証期間における販売商品について、本件商標が使用されていることを示す証拠とはなり得ない。
一方、確かに、乙第8号証ないし乙第15号証は、要証期間に係る証拠といい得るが、「エコスコア」の記載が一切見当たらないことは既に述べたとおりである。この点、被請求人は、乙第1号証ないし乙第6号証が、「C9PC V6 650」及び「A9PC V6 650」の型番を有する商品に関するものである一方で、乙第8号証ないし乙第15号証が、「C9PC V6 650A」及び「A9PC V6 650A」の型番を有する商品に関するものであり、型番に共通性があることから、乙第8号証ないし乙第15号証における「C9PC V6 650A」及び「A9PC V6 650A」の型番を有する商品についても、乙第1号証ないし乙第6号証における「C9PC V6 650」及び「A9PC V6 650」の型番を有する商品と同様、「エコスコア」が使用されていると主張しているようにも見受けられる。
しかしながら、そもそも、「C9PC V6 650」及び「A9PC V6 650」と「C9PC V6 650A」及び「A9PC V6 650A」との間には、「A」の有無という差異があり、同じ型番の商品であるとはいえず、したがって、乙第8号証ないし乙第15号証に記載の商品に、「エコスコア」が使用されていたかは不明といわざるを得ない。
乙第6号証からは、「エコスコア」は、「カーナビゲーション装置」の機能の一つである「エコマネージャー」の中で使用されている用語と解されるところ、乙第8号証の4葉目及び乙第9号証の4葉目の「ナビゲーション機能一覧表」には、「エコドライブアシスト」との記載はあるものの、「エコマネージャー」や「エコスコア」の記載は一切ない。また、乙第8号証の2葉目、乙第9号証の2葉目、乙第10号証の2葉目、乙第11号証の2葉目、乙第12号証の2葉目、乙第13号証の2葉目及び乙第14号証の2葉目の「ナビゲーション主要機能表」にも、「エコマネージャー」や「エコスコア」の記載は一切ない。
以上からすれば、乙第8号証ないし乙第15号証における「C9PC V6 650A」及び「A9PC V6 650A」の商品との関係では、「エコスコア」は使用されていなかったとみる方が、証拠上自然である。
さらに、乙第1号証ないし乙第5号証に記載の商品が、その大きさや表示内容からして、一昔前の商品であることがうかがわれるところ、乙第8号証ないし乙第15号証にあるような「先進機能を凝縮したカーナビの完成形」とは解されないことからしても、乙第8号証ないし乙第15号証に記載の「C9PC V6 650A」及び「A9PC V6 650A」は、乙第1号証ないし乙第5号証における「C9PC V6 650」及び「A9PC V6 650」とは、その内容が異なる商品というべきであり、その商品に搭載されている機能についても時代とともに刷新されており、「エコマネージャー」や「エコスコア」は、乙第8号証ないし乙第15号証に記載の商品には使用されていないものと考えられる。もとより、乙第5号証における「C9PC V6 650」及び「A9PC V6 650」の記載は、商品自体に刻印されているわけではなく、シール上にプリントされているのみであって、シールは簡単にいつでも貼付できるものであることや、一つの商品に二つの型番があること自体に不自然な面があることにも鑑みれば、乙第1号証ないし乙第5号証における商品が、「C9PC V6 650」及び「A9PC V6 650」の型番を有する商品であったのかという点についても疑問が残るところである。
ウ その他
乙第8号証ないし乙第15号証に記載の商品に、乙第1号証ないし乙第6号証と同様の態様で、「エコシステム」が使用されていることを前提としても、こうした使用は、「カーナビゲーション装置」という商品との具体的関係において使用されてはおらず、さらには、同商品の識別表示としても使用されていない。
また、商品が、「カーナビゲーション装置」ではなく、「車載ナビゲーション機器用ソフトウェア」であるという前提に立ったとしても、前記使用は、「車載ナビゲーション機器用ソフトウェア」という商品との具体的関係において使用されておらず、また、同商品の識別表示としても使用されていない。
乙第6号証によれば、「エコスコア」は、「カーナビゲーション装置」の機能の一つである「エコマネージャー」の中で使用されている用語と解される。そして、乙第6号証の2葉目の内容からすれば「エコマネージャー」は、使用者のエコ運転度を診断し、これを数値やグラフで表示する機能であるところ、「エコスコア」は、かかる数値を、100点満点のエコスコアという形で表現するために用いられる単位ということができる。換言すれば、「エコスコア」は、「C9PC V6 650」及び「A9PC V6 650」という商品の一機能である「エコマネージャー」という機能を表現するために用いられる数値化の単位ということができ、こうした数値化の単位が、「カーナビゲーション装置」及び「車載ナビゲーション機器用ソフトウェア」という商品との具体的関係において使用されているということはできず、また、当該各商品の識別表示としても使用されているということもできないことは明らかである。仮に、ある商品に複数の機能がある場合において、その機能を表するための数値化の単位が、当該商品との具体的関係で使用されている、あるいは、当該商品の識別表示として使用されているなどということになれば、多機能商品に使用されている様々な単位及び用語が、商標として、商品との具体的関係で使用されているという帰結となるが、このような結論が不合理であることは論をまたない。
さらに、乙第1号証ないし乙第5号証からすれば、「エコスコア」は、商品購入後に商品を使用する際に、あるいは、商品購入後に取扱説明書の見た際に、需要者の目に触れるものと解されるところ、購入の際の目印とはならない「エコスコア」が、識別表示として使用されているなどとはいえない。こうした点からも、被請求人は、「指定商品についての登録商標の使用」を証明できておらず、被請求人の主張には理由がないことに帰する。
加えて、乙第7号証ないし乙第15号証は、要証期間の証拠ではあるものの、被請求人ではなく、いずれもマツダの行為を示す証拠であるところ、同社が、本件商標の「専用使用権者又は通常使用権者」であることを示す証拠は何ら提出されていないから、被請求人が提出した証拠によっては、本件商標の「商標権者、専用使用権者又は通常使用権者」による、要証期間の使用が証明できていない。
(3)結語
以上より、被請求人が提出した乙第1号証ないし乙第15号証によっては、本件商標が、要証期間に日本国内において、被請求人、本件商標の専用使用権者、又は本件商標の通常使用権者により本件審判請求に係る商品に使用されたことが明らかになっていない。

第3 被請求人の主張
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、答弁書及び回答書において、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第20号証を提出した。
1 答弁書における主張
(1)本件商標を使用する商品は、「自動車の運転時における発進・巡航・減速等の情報を収集し評価し、環境にやさしい運転を行ったかどうかをユーザーに知らせる機能を持つ車載ナビゲーション機器用ソフトウェア」(以下「本件商品」という。)である。
本件商品は、販売先である自動車メーカーの求めに応じて、各車種に適合するよう設計された車載ナビゲーション機器に搭載したうえで、ディーラーオプションという形で販売先である自動車メーカーを通して、一般消費者に販売されており、要証期間においても、マツダを通して販売がされている。
本件商品は、車載ナビゲーション機器用ソフトウェアであって、本件審判請求に係る商品に該当するため、要証期間においてもこの商品について使用されているといえる。
(2)被請求人の本件商品が搭載された車載ナビゲーション機器(以下「本件ナビゲーション機器」という。)は、販売先の自動車メーカーであるマツダを通して販売されているところ、乙第1号証は、マツダにおいて販売されている本件ナビゲーション機器を写した写真である。
乙第1号証ないし乙第4号号証は、本件ナビゲーション機器に実際に商標「エコスコア」が表示され、使用されていることを示す写真である。
乙第1号証及び乙第2号証は、本件商品であるソフトウェアの機能を管理する画面である。
乙第3号証及び乙第4号証は、車両走行中における経路案内機能を使用した状態の画面の写真であるが、ソフトウェアを起動(実行)させた状態においては、画面右手に商標「エコスコア」が表示され、本件商品の使用者は、頻繁に本件商標を目にする状態になる。
なお、本件ナビゲーション機器はマツダにおいては、管理型番「C9PC V6 650」及び「A9PC V6 650」の番号で管理され、この2モデルが販売されており、乙第5号証は、商品管理のために機器本体の底面に貼付されたラベルの写真である。ラベル上部左にマツダの管理型番である「C9PC V6 650」及び「A9PC V6 650」が表示されており、実際に本件ナビゲーション機器の管理型番としてこれらの型番が使用されていることを示している。
(3)乙第6号証は、2015年発行の本件ナビゲーション機器である「C9PC V6 650、A9PC V6 650」の取扱説明書である。「G-9」ないし「G-11」ページに、商標「エコスコア」の名称と共に本件商品であるソフトウェアの機能や内容の説明が掲載されている。また、この取扱説明書は、乙第7号証に示される、マツダのホームページ(「マツダ|過去のカタログ・ナビゲーション関連データ-アクセサリー情報ライブラリー|アクセサリー」https://www.mazda.co.jp/carlife/accessories/support/info_lib/history/)に常時掲載されており、本件ナビゲーション機器の購入を検討する一般消費者は自由に閲覧をし、購入時の判断材料とすることができる。
なお、取扱説明書の発行年は2015年となっているが、製品の販売が開始されてからその製品の仕様が変更されない限り取扱説明書は数年間同じものが継続して使用されるのが通常である。
(4)乙第8号証ないし乙第15号証は、2016年12月ないし2018年3月発行のマツダの製品カタログであり、本件ナビゲーション機器は被請求人である「パイオニア」の製品として販売されている。例えば、乙第8号証の2016年12月発行のカクログでは、本件ナビゲーション機器は、22、28、36ページにそれぞれ掲載されている。乙第11号証の2017年4月発行のカタログでは、本件ナビゲーション機器は、20ページに掲載されている。乙第14号証の2017年6月発行のカタログでは、本件ナビゲーション機器は、21ページに掲載されている。これらにより、被請求人がマツダを通して、本件商品を継続的に販売していることがわかる。
また、このカタログは、上記取扱説明書と同様、乙第7号証に示されるマツダのホームページに常時掲載されており、本件商品の購入を検討する一般消費者は自由に閲覧をし、購入時の判断材料とすることができる。
なお、カタログ中では機器管理型番は「C9PC V6 650A」及び「A9PC V6 650A」となっているが、番号末尾の「A」は販売時期を表す番号であって、製品は「C9PC V6 650」及び「A9PC V6 650」のモデルと同一である。
(5)以上より、要証期間において、本件審判請求に係る商品について、本件商標を使用していたことは明らかである。
2 審尋に対する回答
(1)被請求人は、本件商標を商品「車載ナビゲーション機器用ソフトウェア」に使用している。上記使用事実を示す証拠としてマツダ純正パイオニア製ナビゲーション用のメモリナビゲーションシステム 地図更新用 SDメモリカードに関する資料(バージョンアップ手順ブックレット:乙16)を提出する。
上記SDメモリカード(ソフトウェアが記録されているもの)は、「車載ナビゲーション機器用ソフトウェア」に該当する。当該SDメモリカードを挿入しなければ、被請求人が製造・販売する商品である「車載ナビゲーション機器」は起動せず、「エコスコア」の文字は表示されない。つまり、「エコスコア」は「車載ナビゲーション機器」について使用されているとともに、上記SDメモリカードに保存されたプログラムを起動した際の画面上で使用されているのであるから、「車載ナビゲーション機器用ソフトウェア」の商標として使用されている。
乙第18号証として提出する、被請求人の製造・販売にかかる本件ナビゲーション機器「C9PC V6 650」、「A9PC V6 650」の取扱説明書「A?15」ページからの記載によると、「地図SDカードについて」、「地図SDカードには、地図データや本機を動作させるためのプログラム及び各種データベースなどが収録されています。」とあり、地図更新用SDメモリカードには車載ナビゲーション機器用ソフトウェアが格納されていることがわかる。
一般的に、ナビゲーション機器等のような電気通信機械器具の中に搭載されているソフトウェアや機能は、それのみを取り出すことはできないものが多いことから、これらのようなソフトウェアの機能の名称を商標的に使用する場合、機器本体における使用(例えば、画面上の表示、取扱説明書における使用、ホームページやカタログでの使用)になることがほとんどであり、これらの資料でもって、使用の事実を示すことになる。
上記車載ナビゲーション機器用ソフトウェアは、2015年以降、少なくとも2020年6月まで販売されていた(乙20)。
そして、上記車載ナビゲーション機器用ソフトウェアを起動した画面の表示は乙第1号証ないし乙第4号証及び乙第6号証で確認することができる。
よって、本件商標の使用に関する詳細は以下のとおりである。
ア 本件商標の使用者:パイオニア株式会社
イ 使用期間:上記SDメモリカードの「バージョンアップ手順ブックレット」 表紙(乙16)に「2019年春版」の記載がある。
上記SDメモリカードの品番は「CPK9 V6 601」であり、 乙第17号証として提出する資料には、「CPK9 V6 601」が2019年6月及び8月にマツダへ販売された事実が記載されている。
したがって、本件商標を使用した「車載ナビゲーション機器用ソフトウェア」(上記SDメモリカード)は、要証期間である2016年12月から2019年12月までの間に確かに独立した商品として、被請求人からマツダへ販売された。
ウ 使用商標と本件商標との同一性:本件商標は「エコスコア」であり、使用商標も「エコスコア」であるので、両者は社会通念上同一である。
エ 使用商品:車載ナビゲーション機器用ソフトウェア
上記事実に関連し、乙第1号証ないし乙第4号証として提出した写真は、被請求人により、2020年2月13日に被請求人の川越事業所で撮影されたものである。
乙第1号証ないし乙第4号証の写真は、本件ナビゲーション機器「C9PC V6 650」、「A9PC V6 650」に共通のモニター画面を撮影したものであるが、上記本件ナビゲーション機器は、上記SDメモリカードを挿入し、そのプログラムを起動してはじめて画面表示が現れるものである。よって、画面上に表示される文字、商標は、機器において起動したプログラムに使用されているものである。
以上のとおりであるから、本件商標の「車載ナビゲーション機器用ソフトウェア」に関する使用は、ソフトウェア自体への表示であり、商標法第2条第3項第1号「商品又は商品の包装に標章を付する行為」に該当する。
(2)乙第8号証ないし乙第15号証は、自動車メーカーのカタログであり、「『パイオニア』メモリーナビゲーション」が自動車に搭載される形で販売されている事実を示している。乙第16号証に示すSDメモリカードの対応機種である「C9PC V6 650A」、「A9PC V6 650A」が、マツダが販売する自動車に搭載されていた。
つまり、乙第6号証ないし乙第15号証に示すとおり、2015年から2017年に販売された自動車には被請求人の販売にかかる本件ナビゲーション機器が搭載されており、当該車載ナビゲーションにおいては必ず本件商標を使用する「車載ナビゲーション機器用ソフトウェア」が使用されていた。
そして、上記「車載ナビゲーション機器用ソフトウェア」は、ソフトウェアのバージョンアップ用として、独立して取引されていたものである(乙17)。
乙第6号証は、被請求人が販売する本件ナビゲーション機器の取扱説明書であり、2015年発行であって、対象機種は「C9PC V6 650」及び「A9PC V6 650」となっている。「C9PC V6 650」及び「A9PC V6 650」は、2015年6月から2016年5月まで販売されていた。その後、2016年6月以降は、弁駁書でも述べたとおり、「C9PC V6 650A」及び「A9PC V6 650A」として販売されている。乙第8号証ないし乙第16号証からわかるとおり、「C9PC V6 650A」及び「A9PC V6 650A」は2016年から2019年まで販売されているので、これらの機種用である乙第6号証の取扱説明書は、2017年以降も頒布されており、実際、現在もまだマツダの以下のHP上に掲載されている。上記HPを印刷したものを乙第18号証として提出する。また、乙第6号証の取扱説明書をコンピュータ上で表示した画面のスクリーンショット(乙19)を提出する。
乙第6号証の取扱説明書が「C9PC V6 650A」及び「A9PC V6 650A」に対応していることは、マツダのホームページの「C9PC V6 650A 約14MB」をクリックすると、当該取扱説明書が表示されることからも明らかである。
乙第6号証の「G-8」と記載されたページに「SDカード内の画像を表示する」との記載がある。これにより、被請求人が販売する本件ナビゲーション機器は、SDカードがなければ作動しないことがわかる。さらに、本件ナビゲーション機器によって、SDカードに保存されたソフトウェアを起動することがわかる。
乙第6号証の「G-9」と記載されたページに「エコスコアについて」の記載があり、さらに「エコスコア画面では、走行シーン別に、ユーザーがエコスコアを確認できます」、「エコスコア」、「走行全体を評価したエコスコアが点数として表示されます。」と記載されている。また、画面の写しも掲載されており、そこにも「エコスコア」の表示がある。
乙第6号証の「G-10」と記載されたページにも「エコスコア」、「エコスコアに切り替えます」の記載と、本件ナビゲーション機器の画面写しの掲載があり、上記画面中には「エコスコア」の表示が確認できる。これは乙第3号証に示す画面とほぼ同じものである。
乙第6号証の「G-11」と記載されたページにも「エコスコア履歴」の文字とともに本件ナビゲーション機器の画面写しが掲載されており、上記画面は乙第2号証に示すものとほぼ同じである。
上記取扱説明書における「エコスコア」の表示(乙6、乙18)は、本件商標の「車載ナビゲーション機器用ソフトウェア」に関する使用であり、商標法第2条第3項第8号「商品若しくは役務に関する広告、価格表若しくは取引書類に標章を付して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」に該当する。
(3)請求人が提出した弁駁書において、「『エコスコア』は(被請求人が販売する「車載ナビゲーション機器用ソフトウェア」で用いられる)『エコマネージャー』の中で使用され、運転者のエコ運転度を診断した数値を表現するために用いられる単位であり、また、購入の際の目印とならないから、識別標識として使用されていない。」とのことである。
購入の際の目印となるかどうかについては、購入前に車載ナビゲーション機器用ソフトウェアを起動して、画面を確認する需要者も確実にいるので、購入の際の目印とならないという主張は失当である。加えて、購入者は購入前にマツダHPに掲載された取扱説明書を閲覧することができ、各ナビメーカーのそれぞれの機能の詳細を確認してから購入に至ることもある。
また、「エコスコア」が運転者のエコ運転度を診断した数値を表現するために用いられる単位であるとしても、乙第1号証ないし乙第6号証及び乙第18号証に示された「エコスコア」の文字は、商標的な使用態様で表示されており、十分に商品の出所を表示する標識として機能している。つまり、需要者は「エコスコア」の表示を確認することによって、「エコスコア」が使用されている車載ナビゲーション機器用ソフトウェアは、他社が販売する「車載ナビゲーション機器用ソフトウェア」とは出所が異なるものであると認識することができるのである。よって、「エコスコア」の文字を目印として、「車載ナビゲーション機器用ソフトウェア」を選別し、購入することは市場において実際に起こるものである。
(4)以上のとおりであるから、本件商標は被請求人によって、要証期間に「車載ナビゲーション機器用ソフトウェア」に使用されている。

第4 当審の判断
1 被請求人の主張及び被請求人の提出に係る証拠によれば、以下の事実が認められる。
(1)乙第1号証ないし乙第4号証は、被請求人によれば本件ナビゲーション機器の写真であるところ、写真に写った機器の各画面には「エコマネージャー」、「エコスコア履歴」、「エコスコア」及び「eエコスコア」の文字が表示されているが、各写真には、撮影日、撮影者及び撮影場所等の記載がない。
(2)乙第5号証は、何らかの機器の裏側と思われる写真であり、当該写真には、本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標の記載はなく、また、当該写真には、撮影日、撮影者及び撮影場所等の記載がない。
(3)乙第6号証及び乙第18号証は、取扱説明書の写しであり、表紙に「C9PC V6 650」及び「A9PC V6 650」の記載とその下に「取扱説明書」の記載があり、両証拠とも「G-9」のページに「エコマネージャーを使う」の表題、「エコスコアについて」の項には「エコスコア画面では、走行シーン別に、ユーザーがエコスコアを確認できます。走行全体の評価は、100点満点のエコスコアで表現されます。」の記載がある。
ア 乙第6号証の裏表紙には、商標権者の名称(「パイオニア株式会社」)及び「(C)パイオニア株式会社2015」の記載がある。
イ 乙第18号証には、「A-15」のページに「地図SDカードについて」の項目の下には「地図SDカードには、地図データや本機を作動させるためのプログラムおよび各種データベースが収録されています。パソコンに接続してもファイルは見られません。」の記載があるが、裏表紙の添付はない。
(4)乙第7号証は、2020年2月21日に出力されたマツダのウェブページの「アクセサリー情報ライブラリー」のページであるところ、「取扱説明書\ナビゲーション&オーディオ」の項に「パイオニア」「C9PC V6 650/A9PC V6 650」の記載がある。
(5)乙第8号証ないし乙第15号証は、マツダの自動車のカタログであり、各カタログの作成日は、乙第8号証が「2016年12月」、乙第9号証及び乙第10号証が「2017年3月」、乙第11号証が「2017年4月」、乙第12号証が「2017年5月」、乙第13号証及び乙第14号証が「2017年6月」、乙第15号証が「2018年3月」である。また、それぞれのカタログには、「パイオニア」の「メモリーナビゲーション」と記載され、「C9PC V6 650A」又は「A9PC V6 650A」と記載されているが、本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標の記載はない。
(6)乙第16号証は、マツダ車用に作成した「CPK9 V6 601」用の「バーションアップ手順ブックレット」であり、「メモリナビゲーションシステム/地図更新用 SDメモリカード」及び「2019年 春版」の記載がある。
また、「はじめにお読みください」の見出しの下「本製品はマツダ純正パイオニア製ナビゲーション用のものです。」の記載がある。
なお、本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標の記載はない。
(7)乙第17号証は、被請求人によれば、取引先をマツダとする「CPK9 V6 601」に関する「買掛金庫受明細書」(令和元年6月分及び8月分)の写しである。
そして、当該明細書は、「庫受日」、「納品書NO」、「伝票NO」、「工事・整理コード」、「品名」及び「数量」等の項目があるが、一部が黒塗りされている。
(8)乙第20号証は、被請求人によればマツダのウェブサイトの「ショップオプションのナビゲーション用地図バージョンアップ情報」のページであるところ、その2葉目には「乗用車用(2020年11月9日時点発売中または発売予定の商品を掲載しております)」の記載及び6葉目には「軽自動車用(2020年6月1日時点発売中または発売予定の商品を掲載しております)」の記載の下、いずれも、「現在ご使用のナビゲーション」と表示された一覧表があり、その一覧表には、「メーカー名」、「ナビゲーション本体部品番号」、「更新地図ロム/バージョンアップキット」、「部品番号」、「希望小売価格(消費税抜)」及び「発売時期」等の各項目がある。
2 上記1によれば、以下のとおり判断できる。
(1)商標権者及び使用商標について
被請求人(商標権者)は、自動車用のナビゲーション機器を製造販売しており、そのナビゲーション機器である「C9PC V6 650A」又は「A9PC V6 650A」は、マツダの自動車に搭載されていることが認められる。
また、当該ナビゲーション機器には、メモリー媒体としてSDカードが使用されているところ、当該SDカードに保存された情報の一つに「エコマネージャー」と称するエコ運転度を診断する機能があり、その中でも、走行シーン別に、ユーザーがエコ運転度を数字等で確認でき、走行全体の評価を100点満点で表現できるのが「エコスコア」であって、ナビゲーション機器を使用し、その機能を選択したときに、ナビゲーション機器の画面に表示されるものである(乙6、乙18)。
そうすると、当該「エコスコア」は、ナビゲーション機器の画面に「エコスコア履歴」、「エコスコア」及び「eエコスコア」などと表示されること(乙1?乙4)及び取扱説明書(乙6、乙18)に「エコスコアについて」、「エコスコア画面では、・・・」などの記載があることは確認できるとしても、その表示及び記載は、ナビゲーション機器に保存された運転度を診断する単なる機能の名称として表示されるものであるといえ、「ナビゲーション機器」又は「SDカード」の出所を表示する商標であるということはできない。
さらに、他に本件商標の使用に係る証拠は見いだせない。
したがって、商標権者は、本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標を使用したとはいえない。
(2)使用商品について
被請求人は、使用商品は「車載ナビゲーション機器用ソフトウェア」であると主張し、その証拠として、バージョンアップ手順ブックレット(乙16)を提出している。
当該バーションアップ手順ブックレット(乙16)には、「CPK9 V6 601」及び「メモリナビゲーションシステム/地図更新用SDメモリカード」と記載されていることから、当該ブックレットは、商標権者による「CPK9 V6 601」用の「地図更新用SDメモリカード」に関する証拠といい得るものである。
また、取扱説明書(乙18)には、「地図SDカードには、地図データや本機を作動させるためのプログラムおよび各種データベースが収録されています。パソコンに接続してもファイルは見られません。」と記載されていることから、上記「地図更新用SDメモリカード」の内容物は、ナビゲーション機器の更新用プログラムであると認められる。
そして、「ナビゲーション機器」は「電気通信機械器具」の範ちゅうに属する商品と認められ、また、ナビゲーション機器の更新用プログラムが記録されたSDカードも「ナビゲーション機器」の付属品というべきであって「電気通信機械器具」の範ちゅうに属する商品である。
したがって、商標権者の使用に係る商品は「車載ナビゲーション機器用ソフトウェア」ではなく、「ナビゲーション機器」又は「ナビゲーション機器用のSDカード」であり、本件審判請求に係る商品の範ちゅうに属するものとはいえない。
(3)使用期間について
被請求人は、本件商標を要証期間に使用していることの証明として、買掛金庫受明細書(令和元年6月分及び8月分:乙17)を提出したが、この買掛金庫受明細書からはどのような商品の取引があったのか不明であるし、仮に、「ナビゲーション機器」又は「ナビゲーション機器用のSDカード」を販売したとしても、マツダから具体的な取引書類(納品書、受領書等)の提出がないから、実際に上記商品の取引があったかも不明である。
(4)小括
上記(1)ないし(3)のとおり、被請求人が提出した証拠によっては、要証期間に商標権者が、本件審判請求に係る商品について、本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標を使用したことを認めるに足りる事実を見いだせない。
3 結論
以上のことから、被請求人は、本件取消審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもがその請求に係る指定商品のいずれかについて本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標の使用をしていた事実を証明したものとは認められない。
また、被請求人は、本件取消審判の請求人係る指定商品について本件商標の使用をしていないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、その指定商品中、「結論掲記の指定商品」についての登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。

別掲
審理終結日 2021-06-09 
結審通知日 2021-06-14 
審決日 2021-07-21 
出願番号 商願2010-24188(T2010-24188) 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (X09)
最終処分 成立  
前審関与審査官 山本 敦子 
特許庁審判長 小松 里美
特許庁審判官 榎本 政実
小俣 克巳
登録日 2010-10-29 
登録番号 商標登録第5364147号(T5364147) 
商標の称呼 エコスコア 
代理人 特許業務法人酒井国際特許事務所 

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