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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W33
審判 全部申立て  登録を維持 W33
管理番号 1376998 
異議申立番号 異議2021-900025 
総通号数 261 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2021-09-24 
種別 異議の決定 
異議申立日 2021-01-21 
確定日 2021-08-13 
異議申立件数
事件の表示 登録第6312401号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6312401号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第6312401号商標(以下「本件商標」という。)は、「まろやか赤」の文字を標準文字で表してなり、令和元年8月9日に登録出願、第33類「清酒,焼酎,合成清酒,白酒,直し,みりん,洋酒,果実酒,酎ハイ,中国酒,薬味酒」を指定商品として、同2年9月29日に登録査定、同年11月5日に設定登録されたものである。

第2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第6号証(枝番号を含む。以下、枝番号のすべてを示すときは、枝番号を省略する。)を提出した。
1 理由の要点
本件商標は、「まろやか赤」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「まろやか」の文字は「おだやかな味わいの、口当たりの柔らかいさま」程の意味合いを理解させる語であり、「赤」の文字は色彩を表す語として理解され、また、本件商標に係る指定商品中「ワイン」との関係においては、「赤」とは「赤ワイン」の略語として広く使用されている。
そうすると、本件商標は、構成全体として、「おだやかな味わいの、口当たりの柔らかい赤色の商品」、「おだやかな味わいの、ロ当たりの柔らかい赤ワイン」程度の意味合いを認識させるものといえ、単に商品の品質を普通に用いられる方法で表示したにすぎず、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものとみるのが相当である。
また、本件商標を「赤ワイン」以外の「ワイン」に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるというべきである。
2 本件商標の自他商品識別力、並びに、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について
(1)本件商標の構成中、「まろやか」の文字は、「味などがおだやかなさま」の意味を、「赤」の文字は、「七色の一つ」の意味をそれぞれ有する語として親しまれている語(甲6)であり、また、本件商標に係る指定商品中「ワイン」との関係においては、「赤」の文字は「赤ワイン」の略語として広く使用されていることから、本件商標は構成全体として、「おだやかな味わいの赤色の酒」あるいは「おだやかな味わいの赤ワイン」程度の意味合いを認識させるものといえ、おだやかな味わいの赤ワインが実際に取引されている事実がある。
そうすると、本件商標をその指定商品中、赤色の酒類に使用しても、取引者及び需要者は「おだやかな味わいの赤色の酒」と、また、「赤ワイン」の場合は、「おだやかな味わいの赤ワイン」であることを理解するにとどまり、本件商標は単に商品の品質を普通に用いられる方法で表示したにすぎず、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものとみるのが相当である。
また、本件商標を「赤ワイン」以外の「ワイン」に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるというべきである。
(2)本件商標は、辞書に掲載されている言葉ではないものの、酒類において品質表示として認識されている既成語の「まろやか」と「赤」を結合させただけのものであり、造語方法として特別なものではなく、この表示に特異性は何ら感じ得ない。
本件商標は、特定の意味合いを有しない造語として認識されるというよりは、商品が「おだやかな味わいの赤色の酒」「おだやかな味わいの赤ワイン」を表示したものとして理解、認識されるというのが相当である。
上記のとおり、「まろやか」「赤」それぞれの言葉が品質表示としてはっきりとした意味を持っており、指定商品との関連に基づいてみれば、本件商標が、単なる造語ではなく、取引者・需要者に対して商品の品質及び用途を直感させるものであることは明白である。
(3)なお、取引者・需要者間において「まろやか赤」の文字の使用例が少ないからといって、その事実によって本件商標が自他商品識別力を有すると判断すべきでない。このことは、「商標が、その指定商品の取引過程において使用されている事実がないとしても、将来、商品の品質、機能等を表す表示として使用され、取引者、需要者に商品の品質表示等であると認識される可能性がある場合には、商標法3条1項3号が適用される」とされ、現に使用されていることは要求されていないことからも明らかである(東京高裁平成12年(行ケ)第76号 同年9月4日判決)。
3 むすび
以上のとおり、本件商標は、全体として「おだやかな味わいの赤色の酒」「おだやかな味わいの赤ワイン」といった意味を容易に想起し得るものであり、赤色の酒類、又は、赤ワインの品質を表示するにすぎず、自他商品識別標識として機能し得ないものであるから、商標法第3条第1項第3号に該当し商標登録を受けることができないものである。
また、本件商標に係る指定商品中、赤色の酒類、赤ワイン以外の指定商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあり、商標法第4条第1項第16号にも該当するものである。

第3 当審の判断
1 商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について
本件商標は、上記第1のとおり、「まろやか赤」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「まろやか」の文字は、「味などが、おだやかなさま。」の意味を、「赤」の文字は、「七色の一つ」の意味を有する語であって(いずれも「広辞苑第七版」岩波書店)、構成文字全体で特定の意味を有する成語となるものではなく、両語を結合した「まろやか赤」の文字全体から、「味などが、おだやかな赤」程度の漠然とした意味合いを連想させるとしても、直ちに特定の意味合いを認識させるものではない。
また、申立人の提出した証拠及び当審における職権による調査によっては、「まろやか」の文字が、「赤ワイン」「ワイン」の商品説明などにおいて「タンニン少なめでまろやかなワイン」「まろやかな味わい」等、「まろやかな」の文字が、味わいがおだやかであることを表すものとして記述的に用いられていること(甲3)、「赤」の文字が、「ワイン」の商品説明などにおいて、ワインのタイプを表すものとして、「白」「ロゼ」などとともに用いられていること(甲4)が認められるものの、本件商標の指定商品を取り扱う業界において、「まろやか赤」の文字が、商品の具体的な品質等を表示するものとして一般に使用されている実情は見いだすことができず、さらに、本件商標に接する取引者、需要者が、当該文字を商品の品質等を表示したものと認識するというべき事情も発見できなかった。
以上のとおり、本件商標は、直ちに特定の意味合いを認識させず、漠然とした意味合いを連想させるにすぎない一種の造語を表してなると理解されるものであって、商品の品質を直接的かつ具体的に表示するものではなく、取引上特定の品質を表示する語として一般に採択、使用されているものでもないから、本件商標の指定商品との関係において、商品の品質を直接表示するものではない。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号に該当せず、また、その商品の品質について誤認を生じさせるおそれもないから、同法第4条第1項第16号に該当しない。
2 申立人の主張について
申立人は、本件商標が、酒類において品質表示として認識されている「まろやか」と「赤」とを結合させただけのものであるから、取引者・需要者に対して商品の品質を直感させるものである旨、主張している。
しかしながら、本件商標は、上記1のとおり、直ちに特定の意味合いを認識させるものではないばかりか、各構成文字の語義に相応して連想し得る「味などが、おだやかな赤」程度の意味合いにしても、商品の品質表示としては具体性を欠くものであり、本件商標の指定商品に係る取引においても、本件商標に相当する文字が、商品の品質表示として広く一般に採択、使用されているものではない。
したがって、上記申立人の主張は、採用することはできない。
3 まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号のいずれにも違反して登録されたものではなく、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲
異議決定日 2021-08-04 
出願番号 商願2019-108978(T2019-108978) 
審決分類 T 1 651・ 272- Y (W33)
T 1 651・ 13- Y (W33)
最終処分 維持  
前審関与審査官 馬場 秀敏 
特許庁審判長 中束 としえ
特許庁審判官 黒磯 裕子
杉本 克治
登録日 2020-11-05 
登録番号 商標登録第6312401号(T6312401) 
権利者 メルシャン株式会社
商標の称呼 マロヤカアカ、マロヤカ 
代理人 中田 和博 
代理人 青木 博通 
代理人 片山 礼介 

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