ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 W35 審判 全部申立て 登録を維持 W35 審判 全部申立て 登録を維持 W35 |
---|---|
管理番号 | 1376991 |
異議申立番号 | 異議2020-900039 |
総通号数 | 261 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2021-09-24 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2020-02-14 |
確定日 | 2021-06-07 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第6200322号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第6200322号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第6200322号商標(以下「本件商標」という。)は、「HUDABEAUTY」の欧文字を別掲1のとおりの態様で表してなり、平成30年11月22日に登録出願、「オンラインによる化粧品の小売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を含む第35類に属する商標登録原簿に記載の役務を指定役務として、令和元年10月31日に登録査定され、同年11月22日に設定登録されたものである。 2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が登録異議申立ての理由において引用する商標は、次のとおりであり(以下、それらをまとめて「引用商標」という。)、いずれも申立人が「化粧品」及び「オンラインによる化粧品の小売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」について使用し、日本又は外国における需要者の間に広く認識されていると主張するものである。 (1)「HUDABEAUTY」の欧文字からなる商標(「小文字を含むもの」及び「スペースを含むもの」を含む。以下「引用商標1」という。) (2)「HUDABEAUTY」の欧文字を別掲2のとおりの構成態様で表してなる商標(「色彩の異なるもの」を含む。以下「引用商標2」という。) 3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第19号、同第7号及び同第10号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号によって取り消されるべきものであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第10号証(枝番号を含む。)を提出した。 (1)商標法第4条第1項第19号について ア 引用商標の周知性について (ア)申立人について 申立人は、2012年9月17日にアラブ首長国連邦において「Huda Kattan(フーダカッタン)」により設立され、その後、2016年7月4日にイギリス領ケイマン諸島において法人化された。申立人は「HUDA BEAUTY」のブランド名の下、化粧品類を販売している(甲2)。 申立人は、2010年4月3日にドメイン名(hudabeauty.com)を取得し、創設者「Huda Kattan」は、ビューティーブログを立ち上げ、簡単な手順で自然の美しさを高める方法を世界中の女性に教える手助けをしている。当該ブログは、何百万ものビューに到達し、飛躍的に成長し続け、現在は135ページ以上にもわたり、100を超える国々の、「美しさ」のみならず「自信」も求める多くの女性に影響を与えている(甲3)。 さらに、申立人は、別のドメイン名(shophudabeauty.com)を2014年4月12日に取得し、商品のオンライン販売を開始し、現在は、日本有数のオンライン通販サイトであるAmazonや楽天でも販売されている(甲4)。 申立人は、自身のブログに加え、数々のソーシャルメディアにおいて情報を発信している。Facebookは808万人超の、twitterは20万人近くの、Pinterestは4万人超のフォロワーがいることに加え、Instagramにおいては2,400万人以上のフォロワーを有し、2017年には最も影響力のあるInstagramに選ばれている(甲5)。 また、申立人の商品は、アラブ諸国のみならず、日本においてもウェブサイトの記事等において紹介され、販売されている(甲6、甲7)。 (イ)メディア紹介 「Huda Kattan」は、アラブ首長国連邦のドバイを拠点とする、ハリウッドの訓練を受けた有名メイクアップアーティストで、「ARAB NEWS」、「The Seattle Times」、「Saudi Gazette」など、複数のメディアや雑誌において紹介されている(甲8)。 (ウ)受賞歴 「Huda Kattan」は、「VOGUE」にて、2019年に大きな影響を与えた女性に選ばれている。また、米国で発行されている雑誌「ALLURE」において、2019年「READER’S CHOICE AWARD」を受賞している。その他、「Indie of the Year」、Forbesにおける「TOP INFLUENCERS」、「2017年に世界で最も影響力のあるアラブ人」に選ばれるなど、数々の賞を受賞している(甲9)。 (エ)出願・登録状況 引用商標は、35の国及び地域で商標登録され、25か国において出願し、ブランド名の保護並びに商標に化体された業務上の信用の維持に努めているものである(甲10)。 (オ)本件商標の使用状況 本件商標の出願人は、日本国内において本件商標を使用した化粧品類を販売していない。また、インターネットで「HUDABEAUTY」を検索すると、申立人の商品のみがヒットする。 (カ)周知性のまとめ 以上の状況にかんがみると、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、アラブ首長国連邦を始め諸外国において、需要者の間で、申立人の販売する化粧品類を表示するものとして広く認識されていたものである。 イ 本件商標と引用商標が同一であること 引用商標は、創設者のファーストネーム「HUDA」と、「美しさ」を意味する「BEAUTY」とを組み合わせた申立人による造語である。 また、HUDAの「A」と「BEAUTY」の「B」を結合させ、一つの文字のようにデザイン化し、「HUDA」を濃いグレーの色彩、「BEAUTY」を薄いグレーの色彩とした商標態様である。 一方、本件商標も、欧文字のつづりのみならず、文字のデザイン化、色彩の違いまでもが、申立人の商標と完全同一の態様である。 ウ 不正の目的について 上述のとおり、引用商標は、造語で、構成上も顕著な特徴を有する商標であり、一般的に採択されるものではない。 また、本件商標の出願人は、中国法人であって、上記の名前を有するものでもない。 そうすると、本件商標は、偶然に採択したものとはいえず、むしろ日本において商標登録されていないことを奇貨として登録出願したものと推認される。 エ 小括 本件商標は、申立人の商標として広く需要者に知られていることから、不正の目的で登録出願されたものである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。 (2)商標法第4条第1項第7号について 上述のとおり、申立人の商標は広く認識されているものであり、本件商標の出願人が、偶然に本件商標を採択したとは考えにくいものである。 このような著名な商標と何ら関係を有しない者が、これを自己の商標として採択、使用することは、その名称に化体した名声や信用に便乗するものである。 本件商標は、登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり、「登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして容認し得ないような場合」に当たり、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標である。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。 (3)商標法第4条第1項第10号について 上記に述べたように、引用商標は、本件商標の登録出願日に既に日本又は外国において、需要者の間で広く認識されていたものである。 さらに、本件商標と引用商標は、同一の商標であり、かつ、指定役務も申立人が提供する「オンラインによる化粧品の小売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を含むものである。 よって、本件商標は、申立人の業務に係る商品・役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標と同一の商標であって、同一及び類似する役務について使用するものである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当する。 4 当審の判断 (1)引用商標の周知性について ア 申立人提出の甲各号証及び同人の主張によれば、申立人及びアラブ首長国連邦ドバイ在の「HUDA BEAUTY LLC」(甲7:以下、両者をあわせて「申立人等」という。)は、メイクアップアーティスト、ブロガー、YouTuberである「Huda Kattan」が2012年頃設立したブランド「HUDA BEAUTY」に係る「化粧品」の販売及び「化粧品の小売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を行っていること(甲3、甲4、甲6)、申立人等が取り扱う「化粧品」には引用商標が使用されていること(甲3、甲4)、引用商標が使用されている「化粧品」(以下「使用商品」という。)は、我が国の顧客に少なくとも2019年11月及び同年12月に計10回販売されたこと(甲7)、申立人及び「HUDA BEAUTY」ブランド設立者は複数のソーシャルメディアで使用商品に係る情報を発信し、「Facebook」及び「Twitter」のフォロワーは808万人超及び20万人弱であること(甲5の1、甲5の2)、申立人は引用商標2について43か国(地域)で商標登録又は登録出願していること(甲10)がうかがえる。 しかしながら、引用商標が使用された化粧品の我が国又は外国における売上額など販売(取引)実績に係る主張はなく、それがうかがえる証左は本件商標の登録査定後の「HUDA BEAUTY LLC」によるインボイス(甲7)のみであり、その額も77米ドルないし200米ドル程度である。 さらに、申立人等がドメイン名「hudabeauty.com」(甲3の1、甲4の1)の取得者であることが確認できる証左や、アラブ首長国連邦又は申立人の所在地における商標権者であるなど引用商標に係る正当な権利を有する者であることが確認できる証左は見いだせないばかりか、申立人とドバイ在の「HUDA BEAUTY LLC」(甲7)との関係が確認できる証左も見いだせない。 イ 上記アからすれば、仮に、使用商品が2012年以降外国及び我が国において販売等され、使用商品の情報が発信されている「Facebook」のフォロワーが808万人超であるとしても、本件商標の登録査定前における使用商品の我が国又はアラブ首長国連邦など外国での販売(取引)実績を示す証左は見いだせないから、申立人が使用商品に使用していると主張する引用商標の周知性の程度を推し量ることができない。 また、その他に、引用商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国及び外国における需要者の間に広く知られていたと認めるに足りる事実は見いだせない。したがって、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、引用商標が申立人等の業務に係る商品又は役務を表示するものとして我が国又は外国における需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。 (2)商標法第4条第1項第19号該当性について 本号は、「他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であって、不正の目的(不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をいう。以下同じ。)をもって使用をするもの(前各号に掲げるものを除く。)」と規定されている。 そうすると、引用商標が本件商標と同一又は類似のものであるとしても、引用商標は、上記(1)のとおり、いずれも申立人等の業務に係る商品又は役務を表示するものとして我が国又は外国における需要者の間に広く認識されているものと認められないものであるから、本件商標は商標法第4条第1項第19号を適用するための要件を欠くものといわざるを得ない。 また、不正の目的についても、申立人は、引用商標がアラブ首長国連邦を始め諸外国において著名であることを前提に、本件商標は不正の目的をもって登録出願されたものである旨主張しているが、上記のとおり、引用商標の周知性は認められないものであり、申立人等がアラブ首長国連邦又は申立人の所在地における商標権者であるなど引用商標に係る正当な権利を有する者であることも確認できないから、申立人の提出に係る証拠によっては、本件商標の使用が引用商標に蓄積された名声や信用にフリーライドし、それらを毀損させるものというべき事実は見いだし難く、他に、本件商標が不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をもって使用するものであることを具体的に示す証拠も見いだせない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。 (3)商標法第4条第1項第7号該当性について 本件商標は、上記(2)のとおり、不正の目的をもって使用をするものと認められないものである。 さらに、申立人提出の証拠によっては、本件商標の出願及び登録の経緯に社会的相当性を欠くなど公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがあるものというべき事情は見いだせない。したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。 (4)商標法第4条第1項第10号該当性について 引用商標は、上記(1)のとおり、申立人等の業務に係る商品又は役務を表示するものとして我が国の需要者の間に広く認識されているものと認められないものである。 そうすると、本件商標は、引用商標と同一又は類似するものであり、その指定役務の一部と引用商標が使用される商品又は役務とが同一又は類似するとしても、商標法第4条第1項第10号に該当しない。 (5)むすび 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同第10号及び同第19号のいずれにも該当するものでなく、その登録は同条第1項の規定に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲1(本件商標) 別掲2(引用商標2)(甲2の1、甲2の4,甲2の5、甲3、甲4など) (色彩の異なるものを含む。) |
異議決定日 | 2021-03-12 |
出願番号 | 商願2018-144839(T2018-144839) |
審決分類 |
T
1
651・
22-
Y
(W35)
T 1 651・ 25- Y (W35) T 1 651・ 222- Y (W35) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 滝口 裕子、地主 雄利 |
特許庁審判長 |
冨澤 美加 |
特許庁審判官 |
綾 郁奈子 鈴木 雅也 |
登録日 | 2019-11-22 |
登録番号 | 商標登録第6200322号(T6200322) |
権利者 | 杭州報佳音電子商務有限公司 |
商標の称呼 | フダビューティ、フーダビューティ、フダ、フーダ、ビューティ |
代理人 | 特許業務法人栄光特許事務所 |