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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 W03 審判 全部申立て 登録を維持 W03 審判 全部申立て 登録を維持 W03 審判 全部申立て 登録を維持 W03 |
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管理番号 | 1376976 |
異議申立番号 | 異議2020-900286 |
総通号数 | 261 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2021-09-24 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2020-11-02 |
確定日 | 2021-07-26 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第6280136号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第6280136号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第6280136号商標(以下「本件商標」という。)は、「sasha」の文字を標準文字で表してなり、令和元年6月18日に登録出願、第3類「洗い流さないヘアートリートメント,ヘアートリートメント」を指定商品として、同2年7月31日に登録査定、同年8月13日に設定登録されたものである。 第2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録商標は、以下の2件(以下、これらをまとめて「引用商標」という場合がある。)であり、いずれも現に有効に存続しているものである。 1 登録第5828230号商標(以下「引用商標1」という。) 商標の構成:「SACHAJUAN」(標準文字) 登録出願日:平成27年8月28日 設定登録日:平成28年2月19日 指定商品及び指定役務:第3類「せっけん類,歯磨き,化粧品,香料,薫料」及び第35類「化粧品・歯磨き及びせっけん類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」 2 登録第5828231号商標(以下「引用商標2」という。) 商標の構成:「サシャワン」(標準文字) 登録出願日:平成27年8月28日 設定登録日:平成28年2月19日 指定商品及び指定役務:第3類「せっけん類,歯磨き,化粧品,香料,薫料」及び第35類「化粧品・歯磨き及びせっけん類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」 第3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第19号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第23号証(枝番号を含む。)を提出した。 1 申立人の業務に係る商品について ア 引用商標は、スウェーデンで生まれたヘアケアを主とするブランドであり、該ブランド名「SACHAJUAN」(以下「本件ブランド」という。)は、創設者のサシャ・ミティック(Sacha Mitic)氏とワン・ローゼンリンド(Juan Rosenlind)氏の名前を組み合わせたもので、両氏が1997年にスウェーデンのストックホルムに開業したヘアサロン名に由来するものである(甲4の1、2)。 イ 両氏は、スウェーデン王室をはじめとする世界各国のセレブのスタイリングや、世界的に有名なファッション雑誌で活躍しているヘアスタイリストで(甲9の3)、2004年に、本件ブランドを付した最初の商品を発表し、現在、本件ブランドに係る商品(以下「本件ブランド商品」という。)のラインナップは、全部で61品である(甲4の2、3)。 ウ 本件ブランド商品は、2011年以降、2020年まで毎年継続して世界各国において美容に関する受賞歴がある(甲4の6、7、12、13、16?19、22、26、30、31、甲5)。本件ブランド商品の全61品中、受賞したのは27品であり、半数近くの商品がその実力を認められている。 エ 現在、本件ブランドは、各国に公式ショップ(路面店及びオンラインショップを含む。)を展開しており、ヨーロッパは174店、カナダに38店、アメリカは全州、オセアニアに4店、中東は32店、アジアにおいては日本の3店を含む、合わせて23店である(甲4の4、5)。 オ そして、各国において本件ブランドに係る商標を登録(出願中のものを含む)しており、その国・地域数は25にも及ぶ(甲7)。 カ 日本においては、2017年3月から本件ブランドが本格始動した(甲9の2)。そして、公式ショップにおける各種イベントや日本国内の商業施設等における期間限定ショップの設置、ウェブ記事や雑誌において本件ブランド商品が紹介された(甲6、甲9?甲22)。 キ このように、現在において、本件ブランドは、スウェーデンだけではなく欧米や日本において、取引者、需要者に周知なブランドとなっていることは明らかである。日本において、本件ブランドについては、欧文字からなる引用商標1と片仮名からなる引用商標2とを同時に使用することが多いため、需要者、取引者にとって、引用商標からは、普通に「サシャワン」の称呼が生じるものである。また、本件ブランドを紹介するにあたり、必ずといっていいほど創設者の両氏の名前が取り上げられることから、取引者、需要者においても両氏は周知なものとなっている。 2 商標法第4条第1項第11号について (1)本件商標について 本件商標は、「sasha」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成は、同書、同大、等間隔に表してなり、その構成文字に軽重の差はない。また、該文字は全体としてまとまりよく一体性をもって構成されるものであって、視覚上、その構成中のいずれかの文字のみが看者に強く印象付けられるものではない。 そして、「sasha」の文字からなる英単語等は存在しないことから、該文字から「サシャ」の称呼が生じ、特定の観念は生じないものである。 (2)引用商標について 引用商標1は「SACHAJUAN」の文字を、引用商標2は「サシャワン」の文字を、それぞれ標準文字で表してなるものであるから、引用商標からは「サシャワン」の称呼が生じ、造語であるため観念は生じないものであるが、本件ブランドの創業者であるサシャ氏及びワン氏の印象が強く与えられるものである。 そうすると、引用商標1は、「SACHA」と「JUAN」とに、引用商標2は、「サシャ」と「ワン」とにそれぞれ分離して認識することができ、その結果、引用商標からは「サシャ」の称呼が生じる場合がある。 (3)本件商標と引用商標との対比 本件商標から生じる「サシャ」の称呼と引用商標から生じる「サシャワン」の称呼とは、称呼上最も重要な語頭の音が共通する。加えて、引用商標から生じる称呼は、「サシャ」が強く発音され、「ワン」が弱く発音されることを考慮すると、両者は、音数が異なるとしても、称呼上、相紛れるおそれがある。 また、引用商標1の構成中「SACHA」の文字部分及び引用商標2の構成中「サシャ」の文字部分から生じる「サシャ」の称呼は、本件商標から生じる「サシャ」の称呼と類似する。 そして、外観において、引用商標2は片仮名よりなり、本件商標と文字種が異なるものの、引用商標1は欧文字よりなり、特に、その構成中の「SACHA」の文字部分と本件商標とを比較すると、中間にあたる3文字目の「C」と「S」との文字の相違にすぎず、引用商標1と本件商標とは、外観上、互いに相紛れるおそれがあるといえる。 また、観念においては、本件商標及び引用商標は、いずれも特定の観念を生じないものであるから、比較できない。 そうすると、本件商標と引用商標とは、観念において比較することができないとしても、称呼上類似するものであって、外観においても、本件商標と引用商標1とは区別し難いものであるから、両者が、取引者、需要者に与える印象、記憶等を総合してみれば、両者は、相紛れるおそれのある類似の商標といえる。 以上のように、本件商標と引用商標とは類似する商標であって、本件商標の指定商品と引用商標に係る指定商品及び指定役務とは同一又は類似のものを含むため、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。 3 商標法第4条第1項第19号について 上記1のとおり、引用商標は、少なくとも、スウェーデンにおいて、需要者の間に広く認識されている商標である。また、引用商標は、造語かつ本件ブランド創設者の名前を由来とする構成上顕著な特徴を有するものであることから、本件商標は、他人の周知な商標である引用商標を、不正の目的を持って使用することが推認できる。 以上のように、本件商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、少なくともスウェーデンにおける需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であって、本件商標権者が不正の目的をもって使用をするものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。 第4 当審の判断 1 引用商標の周知性について (1)申立人の提出に係る証拠及び同人の主張によれば、以下のとおりである。 ア 申立人は、スウェーデンにおいて、2004年よりヘアケア商品の製造及び販売を行っている(甲4の2、甲9の2)。 イ 申立人の名称は、同人の創設者2名の名前を組み合わせたものであって(甲4の2)、申立人の製造及び販売に係るヘアケア商品(以下「申立人商品」という。)のブランド名(本件ブランド)としても使用されているところ(甲4)、引用商標1は、本件ブランドと同じつづりからなるものである。 ウ 申立人商品は、世界各国において美容的な賞の受賞歴があることがうかがえる(甲5)。 エ 申立人は、世界各国に公式ショップを展開している(甲4の4、5)。日本においては3店舗を有し、2017年3月から稼働していることがうかがえる(甲9の2)。 オ 申立人は、外国語による公式ウェブサイトを開設し、申立人商品を紹介している(甲4)。また申立人は、同人の日本の公式ショップにおいて、各種イベントを開催し、商業施設等において、期間限定ショップを設置した。そして申立人商品は、ウェブ記事や雑誌において紹介された(甲9?甲22)。 我が国における、申立人商品が紹介されているウェブ記事及び雑誌には、引用商標2の構成文字と同じ「サシャワン」の文字が表示されているものがある(甲9?甲15、甲18、甲19、甲22)。 (2)上記(1)からすれば、申立人商品は世界各国及び我が国において販売されていることはうかがえるものの、当該国における販売実績を示す証左は見いだせない。 そして、申立人商品が、我が国において各種ウェブ記事や雑誌において紹介されているとしても、閲覧者数及び雑誌の頒布数、頒布範囲等が不明であり、また、申立人の外国における広告については、申立人の公式ウェブサイトのみが提出されており、具体的な広告の状況は不明である。加えて、申立人商品に係る受賞歴についても、当該賞がどのように選定されたものであるか不明である。その他、本件ブランド及び「サシャワン」の文字が我が国及び外国の取引者、需要者においてどの程度認識されているかを客観的に把握できる証拠は提出されていない。 以上からすれば、申立人の提出に係る証拠によっては、本件ブランド及び「サシャワン」の文字が申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国及び外国の取引者、需要者において、広く認識されているものとまでは認めることができない。 したがって、本件ブランド及び「サシャワン」の文字とつづり及び構成文字を同じくする引用商標も、我が国及び外国の取引者、需要者において、広く認識されているものとは認めることができない。 その他、引用商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国又は外国の取引者、需要者間に広く認識されていると認めるに足る事情は見いだせない。 2 商標法第4条第1項第11号について (1)本件商標 本件商標は、上記第1のとおり、「sasha」の文字を標準文字で表してなり、その構成文字に相応して「サシャ」の称呼を生じるものであり、当該文字は、一般の辞書等に載録のない語であって、一種の造語と認められるものであるから、特定の観念を生じないものである。 (2)引用商標 ア 引用商標1について 引用商標1は、上記第2のとおり、「SACHAJUAN」の文字を標準文字で表してなるところ、当該文字は、一般の辞書等に載録のない語であって、一種の造語として認識し、把握されるものである。 そして、特定の意味を有しない欧文字は、一般に、我が国において親しまれた英語読み又はローマ字読みにならって称呼されることから、引用商標1は、その構成文字に相応して、「サチャジュアン」の称呼を生じるというのが相当である。 そうすると、引用商標1は、「サチャジュアン」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。 イ 引用商標2について 引用商標2は、「サシャワン」の文字を標準文字で表してなり、その構成文字に相応して「サシャワン」の称呼を生じるものであり、当該文字は 、一般の辞書等に載録のない語であるから、一種の造語とみるのが相当であって、特定の観念を生じないものである。 (3)本件商標と引用商標との類否について ア 本件商標と引用商標1との類否 (ア)本件商標と引用商標1との類否について検討すると、両者は、外観において、上記(1)及び(2)アのとおりの構成からなり、構成文字が明らかに相違するものであるから、両者は、外観上、見誤るおそれはなく、明確に区別することができるものである。 (イ)称呼においては、本件商標から生じる「サシャ」の称呼と引用商標1から生じる「サチャジュアン」の称呼とは、それぞれ2音及び5音の構成からなり、両者は、明瞭に聴別し得るものである。 (ウ)観念においては、本件商標と引用商標1とは、いずれも特定の観念を生じないものであるから、比較することができない。 (エ)そうすると、本件商標と引用商標1とは、観念においては比較することができないとしても、外観及び称呼において相紛れるおそれのないものであるから、両者が取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合的に考慮すれば、両者は、相紛れるおそれのない非類似の商標というのが相当である。 イ 本件商標と引用商標2との類否 (ア)本件商標と引用商標2との類否について検討すると、両者は、外観において、上記(1)及び(2)イのとおりの構成からなり、文字種が明らかに異なるものであるから、両者は、外観上、見誤るおそれはなく、明確に区別することができるものである。 (イ)称呼においては、本件商標から生じる「サシャ」の称呼と引用商標2から生じる「サシャワン」の称呼とは、語尾の「ワン」の音の有無に明らかな差異を有するから、これら差異音及び音数の相違により、互いに聴別できるものである。 (ウ)観念においては、本件商標と引用商標2とは、いずれも特定の観念を生じないものであるから、比較することができない。 (エ)そうすると、本件商標と引用商標2とは、観念においては比較することができないとしても、外観及び称呼において相紛れるおそれのないものであるから、両者が取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合的に考慮すれば、両者は、相紛れるおそれのない非類似の商標というのが相当である。 (4)申立人の主張について 申立人は、本件ブランドを紹介するにあたり、必ず、創設者であるサシャ・ミティック(Sacha Mitic)氏とワン・ローゼンリンド(Juan Rosenlind)氏の名前が取り上げられ、取引者、需要者において両名が周知となっていることから、両名の印象が強く与えられる。そうすると、引用商標1は「SACHA」と「JUAN」に、引用商標2は「サシャ」と「ワン」とに分離して認識されることから、引用商標からは「サシャ」の称呼が生じる旨主張する。 しかしながら、上記(2)ア及びイのとおり、引用商標1及び引用商標2は、同書同大等間隔で一体に表され、当該文字から生じる「サチャジュアン」及び「サシャワン」の称呼も無理なく一連に称呼し得るものであることからすれば、引用商標は、その構成文字全体が一体不可分のものとして認識、把握されるものと判断するのが相当である。 また、上記1のとおり、引用商標は、我が国の取引者、需要者間に広く認識されていると認めることはできないから、引用商標及びその由来が周知であることを前提に、引用商標1が「SACHA」と「JUAN」に、引用商標2が「サシャ」と「ワン」に分離して認識されているということはできない。 その他、申立人提出の証拠を見ても、引用商標1の構成中「SACHA」の文字部分及び引用商標2の構成中「サシャ」の文字部分を分離抽出し、他の商標との類否を比較検討すべきとする事情は見いだせない。 したがって、申立人の主張は、採用できない。 (5)小活 以上のとおり、本件商標と引用商標は非類似の商標であるから、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品及び指定役務が同一又は類似するとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。 3 商標法第4条第1項第19号該当性について 上記1のとおり、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表すものとして、我が国及び外国における需要者の間で広く認識されているものと認められないものであり、また、上記2のとおり、本件商標と引用商標とは非類似の商標である。 さらに、本件商標の出願が引用商標の顧客吸引力を利用(フリーライド)する意図の下に採択された等の、不正の目的をもって使用をするものであるとの証左は何ら示されておらず、かつ、他にこれを認めるに足る具体的な証拠も見いだせないから、本件商標は、不正の目的をもって使用するものと認めることはできない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。 4 むすび 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同項第19号のいずれにも違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
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異議決定日 | 2021-07-13 |
出願番号 | 商願2019-85346(T2019-85346) |
審決分類 |
T
1
651・
263-
Y
(W03)
T 1 651・ 222- Y (W03) T 1 651・ 262- Y (W03) T 1 651・ 261- Y (W03) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 常見 優 |
特許庁審判長 |
半田 正人 |
特許庁審判官 |
水落 洋 大森 友子 |
登録日 | 2020-08-13 |
登録番号 | 商標登録第6280136号(T6280136) |
権利者 | ピーティー.キノ インドネシア ティービーケー |
商標の称呼 | サシャ |
代理人 | 北脇 大 |
代理人 | 當麻 博文 |
代理人 | 北村 周彦 |
代理人 | 高島 一 |
代理人 | 田村 弥栄子 |
代理人 | 鎌田 光宜 |
代理人 | 赤井 厚子 |
代理人 | 土井 京子 |
代理人 | 戸崎 富哉 |