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審決分類 |
審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない W0305323541 |
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管理番号 | 1376943 |
審判番号 | 取消2019-300476 |
総通号数 | 261 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2021-09-24 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2019-06-20 |
確定日 | 2021-08-02 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第5667036号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第5667036号商標(以下「本件商標」という。)は、「ベネクラブ」の文字を横書きしてなり、平成25年11月27日登録出願され、第3類「化粧品,せっけん類,香料」、第5類「サプリメント」及び第32類「清涼飲料,果実飲料,飲料用野菜ジュース,乳清飲料」を指定商品とし並びに第35類「会員制の組織による商品の販売に関する情報の提供,会員制組織による事業の管理及び運営」及び第41類「会員制による娯楽の提供」を指定役務として、同26年4月25日に設定登録されたものである。 第2 請求人の主張 請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出している。 そして、本件審判の請求の登録前3年以内の期間である平成28年7月3日ないし令和元年7月2日までの期間を「要証期間」という。 本件商標は、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。 なお、請求人は、被請求人提出の審判事件答弁書に対して何ら弁駁していない。 第3 被請求人の答弁 被請求人は、結論同旨の審決を求め、審判事件答弁書(以下「答弁書」という。)及び令和2年11月30日付け回答書(以下「回答書」という。)において、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第12号証を提出した。 1 答弁書による主張の要旨 株式会社ベネシード(以下「ベネシード社」という。)は、本件審判請求の予告登録日である令和元年7月3日より前3年以内に、日本国内で、本件商標に係る商標と同一の商標を、指定商品である第3類「化粧品,せっけん類」、第5類「サプリメント」及び第32類「清涼飲料」並びに指定役務である第35類「会員制の組織による商品の販売に関する情報の提供,会員制組織による事業の管理及び運営」について使用している。 (1)ベネシード社とその事業内容及び事業形態について ベネシード社は、乙第1号証の事業内容の欄に記載されているように、「化粧品、健康補助食品、清涼飲料水、食品・・・の企画、開発、製造および販売」をその事業内容としており、ウェブサイトの商品ラインアップのページには、本件商標の指定商品である第3類「化粧品,せっけん類」、第5類「サプリメント」及び第32類「清涼飲料」に当たる商品がそれぞれ紹介されている(乙2)。 (2)ベネシード社の事業形態について ベネシード社は、自社商品を販売する代理店としてビジネスを行なう事業者に対して、その事業の収益性を高めるための事業管理や代理店が商品を販売するために当該商品販売に関する情報を提供するという役務を提供しているともいえ、同社の業務形態は経営コンサルティングとしての側面も有している。 (3)ベネシード社による本件商標の使用の事実について 本件商標「ベネクラブ」とは、「ベネシードクラブ」の愛称・略称として用いられているもの(乙6)であり、「ベネクラブ」とは、「ディーラー」に対する福利厚生(優待)サービスの名称である(乙7、乙8)。ここでいう福利厚生(優待)サービスとは、特定の製品を購入する際又はサービスを受ける際に価格優待を受けられる割引サービスを指す(乙8)。つまり、「ベネクラブ」に加入した代理店(ディーラー)は、割引という利益を享受できる。 ア 第3類「化粧品,せっけん類」、第5類「サプリメント」及び第32類「清涼飲料」との関係 「ベネクラブ」の会員向けに各種お知らせや案内(プリベイド機能付き会員証のサービス停止のお知らせやベネクラブの入会申込み案内など)を行なっているベネシード社のウェブサイト(乙6)、及び、「ベネクラブ」を紹介するリーフレット(乙7)は、ベネシード社が販売する商品「化粧品,せっけん類,サプリメント,清涼飲料」についての広告であるといえる。乙第6号証に記載された掲載日(2019年4月19日、2018年2月5日、同年1月22日、2017年12月29日)は全て要証期間である。また、乙第7号証に発行日の記載はないが、「昨年行われた『ベネシードコンベンション2017』の記載から、要証期間である2018年に発行されたリーフレットであることは明らかである。そして、これらの資料には「ベネクラブ」の文字が記載されている。 したがって、ベネシード社は、要証期間に、第3類「化粧品,せっけん類」、第5類「サプリメント」及び第32類「清涼飲料」について、商標法第2条第3項第8号に規定する登録商標の使用(「商品若しくは役務に関する広告」)を行なっているといえる。 イ 第35類「会員制の組織による商品の販売に関する情報の提供,会員制組織による事業の管理及び運営」との関係 ベネシード社は、自社商品を販売する代理店(ディーラー)に対して、その事業の収益性を高めるために代理店の事業管理や商品販売に関する情報を提供している(乙3?乙5、乙8)。そして、「ベネクラブ」という会員制の割引サービスは、自社商品を取り扱う代理店を増やすためのセールスポイントであり、代理店の事業管理や代理店に対する商品販売に関する情報提供を促進するために行われているものである。これらの事情を勘案すれば、会員制の割引サービスに関する案内が記載された乙第6号証及び乙第7号証は、「会員制の組織による商品の販売に関する情報の提供,会員制組織による事業の管理及び運営」の広告にも該当するという側面を有するといえる。 したがって、ベネシード社は、要証期間に、本件商標をその指定役務について、商標法第2条第3項第8号に規定する使用を行っている。 2 回答書による主張の要旨 (1)第32類「清涼飲料」についての使用 「清涼飲料水」の取引書類に本件商標が付された乙第9号証を提出する。当該資料は「2018年6月1日?2018年7月31日3:00pm」の期間限定キャンペーン時に本件商標の商標権者(以下「本件商標権者」という。)が頒布していた、商品「ヘパーラ・フレッシュ」の申込書(取引書類)の写しであり、本件商標「ベネクラブ」の文字、「ヘパーラ・フレッシュ」の写真及び価格並びに本件商標権者の名称が掲載されている。当該資料記載の「ヘパーラ・フレッシュ」が第32類「清涼飲料」に分類される「清涼飲料水」であることは、本件商標権者のウェブサイトにて確認することができる(乙10)。 当該資料における「ベネシードクラブ会員限定」と「会員様限定価格」の記載から分かるとおり、ベネクラブの会員は本件商標権者販売の商品「清涼飲料水」の大幅な割引という価格優待を受けることができた。これにより、「ベネシードクラブ」が提供している福利厚生サービス(価格優待サービス)に、本件商標権者が販売する清涼飲料の価格優待キャンペーンが含まれていたことが確認できる。さらに、当該キャンペーン期間は要証期間である。 したがって、本件商標権者は、要証期間に、第32類「清涼飲料」について、商標法第2条第3項第8号に規定する登録商標の使用(商品に関する広告、価格表若しくは取引書類に標章を付して頒布する行為)を行なっていたといえる。 (2)第35類「会員制の組織による商品の販売に関する情報の提供,会員制組織による事業の管理及び運営」についての使用 一般的に企業が自社の従業員を対象とする福利厚生(価格優待)サービスをベネシード社はディーラー向けに拡大しており、これが「ベネシードクラブ(ベネクラブ)」が提供している福利厚生サービス(価格優待サービス)である。これにより、ディーラー側では経費削減や従業員の待遇の向上という事業運営の面での利益も享受することができ、「ベネシードクラブ」が提供している福利厚生サービスは、「会員制の組織による商品の販売に関する情報の提供,会員制組織による事業の管理及び運営」を間接的に実現するものであるということができる。また、福利厚生サービス自体以外にも、カルチャービジネス、コンサルティングビジネス、ライセンスビジネスに代表される「会員制の組織による商品の販売に関する情報の提供,会員制組織による事業の管理及び運営」をディーラーに提供しているのであり、この点、「ベネクラブ」の文字が記載された乙第6号証ないし乙第8号証はディーラーに対して提供される福利厚生サービスを説明するものであって、その説明によりベネクラブの会員を勧誘するものであるから、会員に対してベネシード社が提供する役務「会員制の組織による商品の販売に関する情報の提供,会員制組織による事業の管理及び運営」の広告と捉えることができる。 したがって、乙第6号証ないし乙第8号証は「会員制の組織による商品の販売に関する情報の提供,会員制組織による事業の管理及び運営」の広告に当たるというべきであり、ベネシード社は、要証期間に商標法第2条第3項第8号に規定する本件商標の使用(役務に関する広告、価格表若しくは取引書類に標章を付して頒布又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為)を行なっていたといえる。 (3)第3類「化粧品,せっけん類」及び第5類「サプリメント」についての使用 ベネシード社は「清涼飲料,化粧品,せっけん類,サプリメント」等の販売を業として行っており、これらの商品はディーラーと呼ばれる代理店を経由して最終消費者に販売されているから、ベネシード社は商品の売上増のために中流に位置するディーラーを増やす施策を実施する必要があり、「ベネシードクラブ」が提供している福利厚生サービス(価格優待サービス)は、ディーラーのみが利用できるサービスであり、ディーラーとしてベネシード社と契約する動機付けとなるものであり、「ベネシードクラブ」が提供している福利厚生サービスは、ディーラーを増やし、ひいては自社取扱商品の販売を促進するために実施されているものである。これらの事情を勘案すれば、たとえ「化粧品,せっけん類,サプリメント」に関連するウェブサイトや取引書類等に本件商標が記載されていないとしても、「ベネシードクラブ」(ベネクラブ)の存在自体が上記商品の販売を促進するためのものであるというべきであり、ベネシード社のビジネス全体をみれば、その説明資料や広告に当たる乙第6号証ないし乙第8号証は、第3類「化粧品,せっけん類」及び第5類「サプリメント」の広告にも該当するものというべきである。 第4 当審の判断 1 被請求人が提出した証拠によれば、以下の事実が認められる。 (1)乙第9号証は、ベネシード社が販売している「ヘパーラ・フレッシュ」の申込書で、上段に「ヘパーラゴールド・(ドリンク)が飲みやすくなって新登場!!」の記載があり、その下に「へパーラ・フレッシュ」との標章が付された飲料と思しき商品の画像と、その右に、黄色の丸囲みの背景内に青字で「ベネシードクラブ会員限定」と記載されている。また、本号証の中段には、「へパーラ・フレッシュ 販売記念キャンペーン実施中!」との記載があり、その下に「キャンペーン期間:2018年6月1日(金)?2018年7月31日(火)3:00pmまで」との記載があり、さらにその下に、通常価格「1本430円」を、期間限定で会員限定価格として「1本100円」で販売する旨の記載がある。加えて、下段の左下の「■ご注意」の項目に、「・特別価格でのご購入は、ベネシードクラブ会員(ベネクラブ会員)であることが条件となります。」、「・このチラシは、ディーラー向けのため再販時などにはご使用にならないでください。」との記載があり、右下には、「BENESEED 株式会社ベネシード」及び連絡先の記載がある。 (2)乙第2号証は、本件商標権者の商品ラインアップの写しであり、その4頁及び乙第10号証は、本件商標権者の「へパーラ・フレッシュ」のチラシの写しには「へパーラ・フレッシュ」の記載とともに、上記(1)と同様の「へパーラ・フレッシュ」との標章が付された飲料と思しき商品の画像と「清涼飲料水」との記載がある。 (3)乙第6号証は、ベネシード社のウェブサイトの写しで、その1葉目の第10行に「ベネシードクラブ(愛称:ベネクラブ)」の記載があり、中央右に「(2019年4月19日掲載)」と記載され、下段に「(C)(Cを丸で囲んだ図形)Beneseed Co., Ltd. All rights reserved.」との記載とURLの表示がある。また、2葉目の上段に、「ベネシードクラブ入会申込みのご案内」の項目に、「いよいよ4月2日より、コンベンション2017で発表しました『ベネシードクラブ』をスタートします。すでに、『ベネクラブ』の愛称で親しんでいただいている通り、『ベネシードクラブ』はベネシードがディーラー向けに提供している福利厚生サービスで、ディーラーとそのご家族の日々の生活を『より豊かに、よりお得に、より楽しく』するための様々なサービスをご提供します。」との記載とともに、中段に「ベネシードクラブ 入会申し込みについて」、「2018年2月5日(月)10:00 受付開始」との記載があり、下段にURLの表示がある。 (4)乙第7号証は、ベネシード社のウェブサイトの写しで、その1葉目の上段に「ようこそ 業界最大級、120万件以上の福利厚生サービス 『ベネシードクラブ』へ!」とのタイトルと、6行目ないし9行目に「この度、ディーラー向け福利厚生サービス『ベネシードクラブ』(愛称:ベネクラブ)のご利用に必要な『BENESEED CLUB BOX』をお届けさせていただきます。本年4月からのベネシードクラブの正式スタートに先がけて、昨年行われた『ベネシードコンベンション2017』に参加された対象ディーラーのみにお届けしております。」との記載があり、下段に「ベネシードクラブ公式サイト」、URLの表示、「※ベネシード公式サイト、ベネシードWebサービスからもアクセスできます。」との記載がある。また、2葉目の3行目ないし5行目に、「ベネシードクラブとは」、「すでに『ベネクラブ』の愛称で親しんでいただいているとおり、『ベネシードクラブ』は、ベネシード社がディーラー向けに提供する福利厚生サービスです。」との記載があり、下段に、「BENESEED」、「株式会社ベネシード」及び連絡先の記載がある。 (5)乙第8号証は、「BENESEED BUSINESS INFORMATION」と題するベネシード社が発行した「代理店案内」のパンフレットの写しであり、1葉目の左欄には「ベネシードクラブ」の紹介が掲載され、その6行目及び7行目に、「ベネシードクラブは、株式会社ベネシードが株式会社ベネフィット・ワンと提携して供給する福利厚生サービスです。ベネシードディーラーならどなたでも入会でき、各種優待サービスがご利用いただけます。※2018年5月現在」との記載があり、その下に、ベネシードクラブの活用例として、エステ等、通常価格よりも割引された価格優待を受けられることが示されている。また、右下には、「2018年5月版」との記載がある。 2 上記1において認定した事実によれば、以下のとおり判断できる。 (1)使用商標について 上記1(1)のとおり、本件商標権者が販売している「ヘパーラ・フレッシュ」の申込書(乙9)には、「ベネクラブ会員」との記載があり、その構成中の「会員」の文字は、「ある会に加わっている個人または法人。」(デジタル大辞泉)の意味を有する語であるから、自他商品及び自他役務の識別機能がないかあるいは非常に弱い部分であるから、これを除いた「ベネクラブ」の文字部分(以下「使用商標」という。)が、自他商品及び自他役務の識別力を発揮する部分であると認められる。 そして、本件商標は、上記第1のとおり、「ベネクラブ」の文字を書してなるところ、使用商標は、本件商標とその構成文字を共通にすることから、両商標は、外観が類似し、「ベネクラブ」の称呼を共通にすることから、本件商標と使用商標とは、社会通念上同一の商標と判断できるものである。 (2)使用商品について 本件商標権者が販売する「へパーラ・フレッシュ」(以下「使用商品」という。)は、上記1(2)のとおり、「清涼飲料」であることが確認できることから、本件審判請求に係る商品中の第32類「清涼飲料」の範ちゅうに属する商品であると認められる。 (3)使用時期及び使用行為について ア 本件商標権者は、使用商品について、ベネクラブ会員限定で、2018年(平成30年)6月1日(金)ないし同年7月31日(火)の間、会員限定価格で販売する旨の広告をベネシード社が行い、使用商品の申込を受け付けていた事実を示すものであり、すなわち、乙第9号証は、使用商品について、ベネシード社が要証期間に広告をしたことを示すものである。また、乙第9号証の「特別価格でのご購入は、ベネシードクラブ会員(ベネクラブ会員)であることが条件となります。」、「このチラシは、ディーラー向けのため再販時などにはご使用にならないでください。」との記載等から、乙第9号証の申込書は、ディーラー又はベネシードクラブ会員に広く頒布されたと推認できる。 イ 上記のことから、本件商標権者は、要証期間である平成30年6月1日ないし同年7月31日に、使用商標を使用商品に使用していたもので、これは、「商品若しくは役務に関する広告、価格表若しくは取引書類に標章を付して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」に該当するものであるから、商標法第2条第3項第8号に該当する。 3 むすび 以上のとおり、被請求人は、要証期間に、日本国内において、本件商標権者が本件審判請求に係る商品中の第32類「清涼飲料」の範ちゅうに属する商品に本件商標と同一又は社会通念上同一と認められる商標を使用していたことを証明したというべきである。 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審理終結日 | 2021-06-03 |
結審通知日 | 2021-06-08 |
審決日 | 2021-06-23 |
出願番号 | 商願2013-92989(T2013-92989) |
審決分類 |
T
1
31・
1-
Y
(W0305323541)
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最終処分 | 不成立 |
特許庁審判長 |
榎本 政実 |
特許庁審判官 |
大山 健 豊田 純一 |
登録日 | 2014-04-25 |
登録番号 | 商標登録第5667036号(T5667036) |
商標の称呼 | ベネクラブ、ベネ |
代理人 | 小林 奈央 |
代理人 | 遠藤 祐吾 |
代理人 | 阪田 至彦 |
代理人 | 佐藤 俊司 |
代理人 | 田中 克郎 |
代理人 | 特許業務法人深見特許事務所 |
代理人 | 稲葉 良幸 |