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審決分類 審判 査定不服 商3条2項 使用による自他商品の識別力 取り消して登録 W25
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 取り消して登録 W25
管理番号 1376828 
審判番号 不服2017-14295 
総通号数 261 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2021-09-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-09-27 
確定日 2021-07-30 
事件の表示 商願2016-30424拒絶査定不服審判事件についてした令和2年4月30日付け審決に対し,知的財産高等裁判所において審決取消の判決(令和2年(行ケ)第10084号,令和3年2月25日判決言渡)があったので,さらに審理のうえ,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願商標は,登録すべきものとする。
理由 第1 本願商標
本願商標は,「空調服」の文字を標準文字により表してなり,第25類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として,平成28年3月18日に登録出願され,その後,指定商品については,原審における同年12月19日付け手続補正書及び当審における同29年9月27日付け手続補正書により,第25類「通気機能を備えた作業服・ワイシャツ・ブルゾン」に補正されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は,「本願商標は,『空調服』の漢字を標準文字で表してなるところ,当該文字は,『被服にファン等を備えたもの』等,通気機能を備えた被服を表示するものとして取引上,多数使用されている実情が認められるから,本願商標をその指定商品に使用しても,これに接する取引者,需要者は,『通気機能を備えた被服』であることを表したものと認識するにすぎず,本願商標は,商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標というのが相当である。したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当する。また,出願人により提出された証拠からは,本願商標が使用をされた結果,需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識できるに至っているとはいえないから,同条第2項の要件を具備しない。」旨認定,判断し,本願を拒絶したものである。

第3 当審の判断
請求人が提出した甲第1号証ないし甲第77号証(枝番号含む),職権により採用した請求人が裁判所に提出した甲第78号証ないし甲第355号証(枝番号含む)及び請求人の主張によれば,以下のとおり判断される。
1 商標法第3条第1項第3号について
(1)「空調」等の語の意義
本願商標は,「空調服」の文字を標準文字で表してなるところ,その構成中の「空調」は,「空気調節の略。エア・コンディショニング。」を意味する語であり,「空気調節」は,「エア・コンディショニングの訳語。空調。」を意味する語である(広辞苑第六版)から,「空調」は,「エア・コンディショニング」の同義語である。そして,「エア・コンディショニング」は,「室内の空気の温度・湿度・清浄度などの調節。空気調節。空気調和。空調。エアコン。」を意味する語である(広辞苑第六版)。また,「服」は,「1 身につけるもの。きもの。」,「2 (和服を着物というのに対して)洋服の略」などを意味する語である(広辞苑第六版)。
(2)商標法第3条第1項第3号該当性
上記(1)からすると,本願商標「空調服」は,「室内の空気の温度・湿度・清浄度などの調節」を意味する「空調」の語及び「身につけるもの」等を意味する「服」の語から構成されるところ,上記のとおり,「空調」の語は,「室内の空気」について用いられるものであるから,それが「服」の語と結びつけられた「空調服」の意味内容を,本来の字義から直ちに理解することには一定の困難がある。
もっとも,一般に「服」によってその内側と外側が隔てられることからすると,「服の内側」を「室内」と同様の空間であるとみて,「空調服」について,「服の内部の空間」にある空気の温度・湿度・清浄度などの調節に関する服であると理解することも,相応に可能であるといえる。
また,「空調」と同義語である「エア・コンディショニング」,特にその略語である「エアコン」について,上記の本来の「空調」の意義からは離れ,日常的には,「冷暖房設備」や電気式の「冷暖房機器」の意味で用いられることが多いことも事実である。そして,「服」が末尾に来る名詞において,一般に,「服」に先立つ語が当該服の用途(作業服,潜水服,礼服,喪服など),当該服が用いられる環境(夏服,冬服,宇宙服など),当該服を着用する者の性質(学生服など)のほか,当該服の特徴(気密服など)を表すことも事実である。それらの点を考慮すると,「空調服」の語については,「冷暖房に関する用途や特徴を有する服」という意味合いを容易に認識させるものであるということができる。
そうすると,本願商標「空調服」は,その指定商品に使用されるときは,「通気機能を備えることにより,空気の温度等を調節する機能を有する服」と認識されるから,商品の品質を表示する標章に当たるということができる。
したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当する。
2 商標法第3条第2項に関する認定事実
(1)平成16年頃から平成27年頃までの請求人商品である「空調服」の開発及び販売等の状況
ア 請求人について
株式会社空調服(以下,「請求人空調服」という場合がある。)は,株式会社セフト研究所(以下,「請求人セフト研究所」という場合がある。なお,両社又は両社のいずれか一社を選択的に指す場合は,単に「請求人」という。)の子会社であり,平成16年2月2日に商号を株式会社ピーシーツービーとして設立され,平成17年1月7日に現商号に変更した。請求人セフト研究所が主としてファン付き衣類(以下,「請求人商品」という。)である「空調服」の企画及び開発をし,請求人空調服が請求人商品の販売を行っている。(甲3,32,189)
イ 請求人商品の開発及び販売並びに新聞,雑誌等の記事等
(ア)請求人セフト研究所は,服の内部に適切な空気の流れを生じさせるためにファンを取り付けるなどした上衣を「空調服」と名付け,平成16年には,ユニフォームメーカーである株式会社サンエス(以下「サンエス」という。)とも協力の上,作業服としての「空調服」(ワイシャツ型,ジャンパー型,ヘルメット作業対応型[フード付き]など。)の販売を開始した。請求人空調服が請求人商品「空調服」の販売を開始した当時,衣服にファンを取り付けた製品(電動ファン(EF)付きウェア。以下「EFウェア」という。)は,他に類を見ないものであった。上記の「空調服」は,その販売の開始前も含め,請求人の名称,「空調服」との名称やその概要,基本的な原理のほか,ときに「空調服」の写真や請求人代表者の紹介等とともに,新聞や雑誌等で取り上げられた。(甲3,16,20,25,27,29,32,甲33の1,甲65,66,甲71の34・44・59・75・121・143・146,甲73の28,甲98ほか)
(イ)請求人は,楽天市場を通じてのインターネット販売を含め,平成16年のうちに上記(ア)の「空調服」を少なくとも6,500着程度販売した。そのような売れ行きを踏まえ,請求人は,平成17年春頃以降,自社のウェブサイトにおける販売を含め,請求人商品「空調服」の本格的な販売を開始し,メールマガジンの配信も行うようになった。(甲32,甲33の1,甲34の1,甲42の7・9,甲126,甲127の1,甲131の3,甲132の3・8,甲133の3,甲167ほか)
その後,請求人は,請求人商品の改良を重ねるとともに,新たな形態の「空調服」を開発し,販売していった。平成19年までに,作業着タイプ,ブルゾンタイプ,ワイシャツタイプのほか,食品工場向けの「空調服」(甲129の5),USBポート給電対応型の「空調服」(甲133の4),「防蜂用空調服」(甲42の15・17・22・23・25ほか),「農作業用空調服」(甲129の6・11) など,様々な「空調服」が発売された。このような様々な「空調服」は,例えば,「作業服と『冷房』合体」(甲128の5),「涼しさか,人目かどちら?」(甲128の8) といった見出しを付して,請求人の名称,「空調服」との名称やその概要,基本的な原理,作業着タイプ,ブルゾンタイプ,ワイシャツタイプ等のラインアップのほか,「空調服」の写真や請求人代表者の紹介等とともに,新聞や雑誌等において度々取り上げられた。平成17年からいわゆるクールビズが開始されたことから,請求人商品は,暑さ対策のアイデア商品などとして取り上げられた。(甲34の1・2,甲42の5・7?11・13?15・17?20・22?26・29,甲105,甲120,121,甲128の4?10ほか)
(ウ)平成20年以降も,請求人は,「屋外作業用空調服」(甲129の14?19)といった新商品の開発を含め,請求人商品の改良や販売拡大のための活動を継続し,バッテリの改良によるファンの駆動時間の長期化等による利便性の向上や,猛暑,クールビズの浸透,地球温暖化問題への関心や平成23年に発生した東日本大震災後の節電対策への関心の高まり等により,請求人商品の販売を拡大していった。請求人が製造・販売する「空調服」は,平成27年までの間に,「トヨタ自動車やデンソーなど大手企業から高い評価を獲得。工場や工事現場などでの活用が進んでいる。」(甲129の13),「効果はテレビ番組などで紹介されたこともあって,各方面から注目を集めた。特に大手自動車メーカーや自動車部品メーカーなどから高い評価を得て,工場や作業現場などでの活用が進んでいる。」(甲131の12),「『涼しくて一度着たら手放せない』というファンが増加中」(甲131の10)などといった説明を付して,請求人の名称,「空調服」との名称やその概要,基本的な原理のほか,「空調服」の写真や時には請求人代表者の紹介等とともに,新聞や雑誌等で取り上げられた。(甲42の27?37・39?46・48?51・53?55・58・65,甲46の2・7?9,甲71の33ほか)
ウ カタログについて
(ア)請求人は,平成17年から平成27年までの間,毎年,請求人商品の写真や「空調服」との名称等を掲載したカタログを作成し,頒布していた(甲105[1枚目?5枚目・13枚目?32枚目],甲194)。
(イ)カタログの作成数は,平成17年版が2,000部(甲330の1),平成18年版が4,300部(甲331の1?3),平成19年版が8,000部(甲330の2・3),平成20年版から平成23年版が各9,000部(甲330の4,甲331の4?6),平成24年版が1万部(甲331の7),平成25年版及び平成26年版が各1万2,000部(甲331の8・9),平成27年版が3万5,000部(甲331の10・11)であった(甲194)。
(ウ)請求人は,平成17年から平成27年まで,それらのカタログを全国的に配布していた(甲194,甲332の1?7)。
エ 展示会への出展について
請求人は,以下の展示会に出展した。
(ア)平成18年10月頃に東京国際フォーラムで開催された「アグリビジネス創出フェア」(甲42の15)
(イ)平成19年5月18日から同月20日まで,ポートメッセなごや(名古屋市国際展示場)で開催された,国際福祉健康産業展「ウェルフェア2007」(甲32,甲42の20,甲120)。同展の来場者数は,約8万人であった(甲354の2)。
(ウ)平成19年7月11日から同月13日まで,東京ビッグサイトで開催された「省エネ&リサイクルフェア2007」(甲120)
(エ)平成19年10月18日及び同月19日に,福井県産業会館で開催された「北陸技術交流テクノフェア2007」(甲32,120)。同展の来場者数は,約2万人であった(甲354の3)。
(オ)平成19年10月31日から同年11月2日まで,東京ビッグサイトで開催された,中小企業基盤整備機構が主催する「中小企業総合展2007」(日本全国から約500社が出展)(甲121)。同展の来場者数は,約3万6,000人であった(甲354の4)。
(力)請求人は,その後も,平成28年までの間に,毎年,上記のような各種の展示会に出展した(甲32,116,120)。
オ 請求人商品のテレビ番組における紹介について
(ア)「空調服」は,その発売前の平成14年頃から,テレビのニュースやTBSテレビの「サンデージャポン」で取り上げられ(甲40の13,甲99),平成16年末頃までに,各地のニュースやテレビ朝日の「スーパーJチャンネル」,日本テレビの「億万のココロ」等で,請求人の社名や「空調服」という商品名を示して紹介された(甲40の5・33・37・38・4?46,甲134の1?4) 。
(イ)平成17年以降も,「空調服」は,春から夏頃の時期を中心に,TBSテレビの「朝ズバッ!」等を含む全国放送又は地方放送のニュースや情報番組で,請求人の社名や「空調服」という商品名を示して紹介された。請求人代表者が,フジテレビの「笑っていいとも!」に出演し,請求人空調服の名称を示して「空調服」の紹介をしたこともあった。また,平成26年には,テレビ東京の「日経スペシャルガイアの夜明け」で「空調服」が取り上げられ,請求人の社名に加え,「空調服」が3年前から兵庫県姫路市の大和軌道製造という会社で導入されていることや,4年前にリチウムバッテリーに変更してから一気に大ヒット商品となり,今年は既に25万着を売り上げており,既に売り切れ状態であることなどを含め,「空調服」が詳しく紹介された。(甲40の3・4・9・10・12・14・17・18・21・22・26?30・32・35・47?50・54・57,甲134の5?10・12)
(ウ)上記の各テレビ番組における紹介は,平成14年頃から平成27年までの間において多数回にわたるものであり,その中では,作業服のみならず,番組によっては,ワイシャツやブルゾンについても取り上げられていた(上記(ア),(イ)の括弧内掲記の各証拠)。
カ 請求人商品の企業における導入例について
(ア)電気設備工事を業とする株式会社関電工(以下「関電工」という。)は,平成23年,配電部門に「空調服」を導入した(甲50の5,甲111)。
(イ)電気設備工事を業とする株式会社トーエネック(以下「トーエネック」という。)は,平成27年,酷暑期の環境改善策として,「空調服」を採用した(甲48の33?35)。
(ウ)建築業界で「空調服」が普及し始め,平成27年7月には,大林組が,現場作業着に「空調服」を採用した。同月15日までの時点で,協力会社からは400着超の要望を受け,社内向けには1,810着を発注し,その後の3年間で導入実績は6,000着となった。(甲42の61?63,甲46の5・7・9,甲50の5,甲71の127・128・133,甲86ほか)
(エ)戸田建設株式会社は,平成27年度から,協力会社の作業員に対し,「空調服」の購入に係る補助制度を開始し,約3600名の作業員に「空調服」を支給した(甲8)。
(オ)大林組による導入は,平成27年7月28日の「日本経済新聞」や,その他のメディア(フジサンケイビジネスアイ,サンケイビズ等)で報道されたほか,上記(ア)?(エ)の事実は,業界誌への掲載等によって広く知らされた(上記(ア)?(エ)の括弧内掲記の各証拠)。
(2)平成28年頃以降におけるEFウェアの市場の拡大と請求人商品の販売等の状況
ア 他社の参入等について
前記(1)イのとおり,EFウェアという商品分野は,従来,請求人商品「空調服」の販売により開拓され拡大されてきたものであり,平成27年頃までは,EFウェアの市場は,請求人から「空調服」の製造及び販売に関して許諾を受けたサンエスによって独占されていたが,その需要が急速に拡大したことにより,平成27年頃には他社がEFウェア市場に参入するようになり,平成28年に請求人がサンエスとの提携関係を解消したことにより,サンエスが「空調風神服」の販売を開始し,さらに,アパレル各社がEFウェアを売り出すなどした。そして,平成29年以降,市場が更に拡大し,様々なメーカーがEFウェアの開発,販売を行い,多彩な形態のEFウェアが次々と販売されていく状況となった。このような中で,請求人も,ベスト型の「空調服」や「制電空調服」(静電気を嫌う環境での着用に適した「空調服」),ゴルフウェアの「空調服」などを開発していった。(甲42の71,甲47の1,甲48の9・10・20・30・36・37・39,甲49の2・4,甲50の1?4,甲51の1,甲53,甲189ほか)
イ 請求人商品の新聞,雑誌等の記事等について
(ア)請求人が製造・販売する「空調服」については,平成28年以降も,「各地の農機展示会でもすっかりおなじみの製品」,「毎年猛暑の到来とともにテレビニュースなどでも取り上げられるなど,真夏の定番商品となった感がある。」(甲43),「全国の建設現場で空調服(東京都板橋区)の“空調服”が活躍している。」,「『一度着たら手放せない製品』として評価を高めている。」(甲71の31ほか),「『これが支給されるかどうかで,求人募集ヘの反応が左右される』(作業服販売店)というほど,ファン付きウェアは夏の現場では必須の存在となった。」,「生みの親とされるのは,その名も『株式会社空調服』(東京都板橋区)だ。」(甲71の145ほか)などといった説明を付して,請求人の名称,「空調服」との名称やその概要,基本的な原理のほか,「空調服」の写真や時には請求人代表者の紹介等とともに,新聞や雑誌等で取り上げられた(甲42の66,甲43,甲47の1,甲48の39,甲49の3・6・16・20・25・30・33・48・52・57ほか)。
(イ)令和元年8月17日の「現代ビジネス」の「一度着たら手放せない!猛暑の救世主『空調服』ヒットの背景」では,「例年通り今年も,猛暑の折『空調服』が多くのメディアで取り上げられている。最近では“ファン付きウェア”とも呼称されつつあるが,ポータブルオーディオプレーヤーがその元祖である『ウォークマン』と世界中で呼ばれ続けたように,ファン付きウェアも巷では空調服と呼ばれることのほうが多いように思う。」と記載した上で,「空調服」がヒットしたことについて記載がされている(甲192の102)。
(ウ)EFウェアと「空調服」や請求人空調服との関係について,上記(ア)のほかに,令和元年6月4日(同月24日の訂正後のもの)の「繊研新聞」(甲74の98・142),同年7月17日の「読売新聞」及び同月28日の「読売新聞オンライン」(甲74の153・164,甲192の100・101),同年7月22日の「産経WEST」・同月23日の「産経新聞」・同月24日の「サンケイビズ」及び同年8月8日の「産経新聞」(甲71の133・143,甲285,287)等に,請求人・請求人代表者が「空調服」を開発した旨の記事がある。
ウ カタログについて
(ア)請求人は,請求人商品の写真や「空調服」との名称等を掲載したカタログを,平成28年から令和2年の各年に作成し,頒布した(甲10,13,68,甲105[33枚目?35枚目],甲193の2・3)。
(イ)カタログの作成数は,平成28年版が4万5000部(甲115,320,甲331の12・13),平成29年版が4万7000部(甲331の14・15),平成30年版が7万5000部(甲331の16・17)などであった(甲194)。
(ウ)請求人は,平成28年から令和2年4月まで,それらのカタログを全国的に配布した(甲194,甲332の7)。
エ 請求人商品の広告等について
(ア)請求人の広告宣伝費は,平成29年から令和元年(平成31年)にかけて大幅に増えた(甲247の1?6)。
(イ)平成28年
a 平成28年7月21日の「読売新聞」には,ブルゾン型の「空調服」をプレゼントする企画に関し,請求人の「空調服」の写真が掲載された(甲42の67)。
b 請求人は,芸能人を起用した2分間のウェブムービーを制作して,これを平成28年8月1日から同年10月31日まで,YouTubeで公開し,このことは,同年10月号の雑誌「ブレーン」や同年11月-12月号の雑誌「CM NOW」で紹介された(甲42の68・69,甲122)。同年9月5日時点で,上記ウェブムービーの再生回数は50万回を超えていた(甲38)。
上記ウェブムービーを15秒に再編集したものが,全国のユナイテッド・シネマ,シネプレックス30劇場(南古谷・上里・久山・あしかが・熊本の5劇場を除く。)において,平成29年8月11日から同月26日の間に,スクリーン広告として上映された(甲32,甲76の8,甲122)。
c 請求人は,平成28年11月29日の「繊維ニュース」に,「空調服を発明して,14年」という記載並びに「空調服」の写真及び請求人の名称等の記載のある広告を掲載した(甲42の70)。
(ウ)平成29年及び平成30年
請求人は,平成29年及び平成30年に,「空調服を発明して,15年」など(年数は時期により異なる。)という記載や,「選ぶなら,空調服で熱中症対策。」という記載並びに「空調服」の写真及び請求人の名称等の記載のある広告を,業界紙等に掲載した(甲6,甲42の71,甲49の7?9・12・13ほか)。
また,請求人は,「空調服」の写真及び名称並びに請求人の社名(単に「空調服」とするものを含む。)の記載のある広告(甲48の10,甲49の38,甲70の16)や,「空調服」の写真及び名称等を記載した広告(甲49の10・23・35・40・45)を,同様の業界紙等(繊維ニュース,農機新聞,朝雲)に掲載した。
(エ)令和元年(平成31年)
a 請求人は,令和元年(平成31年)度の「空調服」のイメージキャラクターとして,サッカー元日本代表選手を起用し,当該元代表選手が青空を背景に青い空調服を着て立っている画像(以下「本願画像」という。)を広告に用いることとし,その旨の記事が,同年7月4日までに,新聞や雑誌等で本願画像と共に掲載された(甲70の31,甲71の9・14・45・46,甲74の122?124,甲210の3,甲321の1)。
そして,請求人は,本願画像に「この空と空調服。」などという記載及びDCマークの右側に「空調服」の語を配置した表示(以下,この表示を「DC空調服の表示」という。)を付した広告を,雑誌「モノ・マガジン」の令和元年5月2日号の裏表紙の一面広告(甲71の44),同年7月2日号の一面広告(甲70の2),同年9月2日号の見開き広告(甲70の36)として掲載した。また,請求人は,同様の広告を,同年7月27日,同月28日及び同月31日の「読売新聞」(甲70の30・32・33)や業界紙等(甲70の5・12・24・34,甲72の1,甲195,196)にも掲載した。
他方で,請求人は,本願画像に「風を着る。空調服TM」などという記載やDCマークを付した広告を,同年7月15日から21日までの7日間にわたり,多くの者が利用する首都圏の主要なターミナル駅20駅(池袋駅,新宿駅,渋谷駅,東京駅,秋葉原駅等),関西エリアの主要なターミナル駅5駅(大阪駅,京都駅,三ノ宮駅,天王寺駅,新大阪駅)及び名古屋駅の各構内の柱等に設置された画面(首都圏合計232面,関西エリア合計204面,名古屋駅50面)において,15秒広告として,首都圏では6分間に1回の頻度で午前5時から深夜零時まで,関西エリアでは6分間に1回の頻度で午前6時から深夜零時まで,名古屋駅では合計2,720回以上放映した。なお,この広告について,請求人は,同月16日にプレスリリースを配信した。(甲70の26?28・31,甲199の1・2,甲210の6?8,甲321の1)
b 請求人は,「この空と空調服」と題する2分13秒のウェブ動画を制作し,令和元年6月6日にこれを公開し,これとともに,複数の動画クリエイターにより関連動画がアップされた(甲70の1・37,甲71の4?6・8・10・54)。
c 請求人は,令和元年7月11日の「日本経済新聞」に,東芝エレベータ株式会社(以下「東芝エレベータ」という。)が「空調服」を導入している旨を記載するとともに,「空調服」の写真やその原理,請求人の名称等を記載した一面広告を掲載した(甲71の131,甲198)ほか,同年8月28日の「読売新聞」に,「空調服」である「FAN FIT」シリーズの広告(写真「空調服」という名称及び社名の記載があるもの)を掲載した(甲197)。
また,請求人は,「空調服TMを発明した企業として」などという記載や「空調服」の写真,DC空調服の表示及び請求人の名称の記載のある広告(甲70の3・7・9・10・13・19・20?23・29・35,甲71の13)を,業界紙等に掲載した。
オ 展示会への出展等について
請求人は,以下の展示会に出展するなどした。
(ア)平成29年及び平成30年
a 平成29年7月19日から同月21日まで,東京ビッグサイトで開催された「第3回猛暑対策展」(甲48の12・29)
b 平成29年7月26日から同月28日まで,東京ビッグサイトで開催された「総務・人事・経理ワールド2017」における「第8回省エネ・節電EXPO」(甲48の13・17)
c 平成29年11月8日から同月10日まで,神戸国際展示場で開催された「緑十字展2017」(販売代理店であるNSPと共同で出展)(甲48の42・45,甲50の2,甲71の57)
d 平成30年5月22日から同月25日まで,東京ビッグサイトで開催された「地球温暖化防止展」(甲49の14)。同展の来場者数は,約15万8000人(甲354の14)
e 請求人は,その後も,上記のような各種の展示会に出展したほか,「空調服」の発明に係る書籍を出版するなどした(甲49の21?23・39・43・56,甲52,甲71の22・55,甲73の27,甲74の24ほか)
(イ)令和元年(平成31年)
a 平成31年3月12日から同月15日まで,東京ビッグサイトで開催された「2019NEW環境展」(甲7・1の118)。
b 平成31年4月6日及び同月7日,代々木公園のイベント広場で開催された「OUTDOOR DAY JAPAN2019」(甲70の4,甲71の120) 。
c 令和元年5月29日から同月31日まで東京ビッグサイトで,同年6月6日及び同月7日にインテックス大阪で,それぞれ開催された「運輸・交通システムEXP02019」(甲70の8・11,甲71の43・130,甲74の101)。
d 令和元年7月24日から同月26日まで,東京ビッグサイトで開催された「第5回猛暑対策展2019」(甲71の10・136・146・148,甲74の162ほか。)
e 請求人は,その後も,上記のような各種の展示会に出展した(甲192の35・50,甲256の2・3,甲257の2,甲258の2・4,甲262の2)。
カ 請求人商品のテレビ番組等における紹介について
(ア)平成28年に,テレビ朝日の「マツコ&有吉の怒り新党」,NHKテレビの「シブ5時」,TBSテレビの「あさチャン」,日本テレビの「ヒルナンデス」,テレビ東京の「ワールドビジネスサテライト」等の番組において,「空調服」又は「空調服」の語を含む商品名が,請求人の社名又はライセンシーであるヨツギ株式会社若しくはNSPの社名と共に紹介された(甲4,甲40の58,甲87)。
(イ)平成29年5月20日,テレビ朝日の「スーパーJチャンネル」で,「あの空調服が劇的進化リュック通勤に“涼感”」などとして,請求人の社名を示し,「空調リュック」が紹介された(甲71の11)。
(ウ)令和元年6月22日,請求人代表者は,TBSラジオ「久米宏ラジオなんですけど」に出演して,「空調服」を持参して説明するなどし,その様子がTBSラジオのウェブサイトでも紹介された(甲70の4,甲71の34)。
(エ)この他にも,テレビ番組で請求人や請求人商品が紹介された(甲71の12・42・141,甲75の3)。
キ 請求人商品の企業における導入例及び取引先等について
(ア)清水建設株式会社(以下「清水建設」という。)は,平成28年に,「空調服」を採用した(甲71の133,甲74の176)。
(イ)東芝エレベータは,平成28年夏,約3,000人の社員を対象に「空調服」を導入するとともに,協力会社の約1,000名にも貸与を決定し,合計8,000着を導入した(甲245)。
(ウ)関電工は,平成28年度に,全部門の熱中症対策として「空調服」を導入し,平成29年5月頃の時点では,関係・協力会社も含め3,000着以上の「空調服」が現場で活用されていた(甲50の5)。
(エ)この他にも,大手企業を中心とした複数の企業が「空調服」を導入し,その事実は,業界紙への掲載等で広く知らされた(甲48の34・35,甲49の11・17・19,甲54,60,61,64,甲71の126・135・137ほか)。
(オ)平成28年までの時点で,請求人の主要取引先には,多数の自動車,鉄道機械,金属建設,電気,物流,食品等の幅広い企業が含まれており(甲87),請求人は,その後も幅広い各企業との取引を行っている(甲243の1?3の各1,甲343の1?82)。
ク 受賞等について
(ア)平成28年9月,「空調服」について,公益社団法人全関東電気工事協会の推奨品としての認定がされた(甲48の33,甲58)。
「日本経済新聞」では,平成29年,上記認定の事実とともに,「電力業界でも,多くの企業で空調服の採用が進んでいる。」,「近年空調服の導入件数が大幅に伸びている。」,「電力工事業界では,共同研究を行った関電工や,今年新たなオリジナル仕様の空調服を導入するトーエネック,きんでん,九電工をはじめとして,ユアテック,北陸電工,四電工など多くの企業が導入している。」,「まさに電力業界の熱中症対策のスタンダードとなる勢いである。」との報道がされた(甲48の33) 。
(イ)請求人空調服は,平成29年頃から,一般財団法人日本気象協会推進の「熱中症ゼロヘ」のオフィシャルパートナーとなっている(甲48の51,甲71の35)。
(ウ)この他にも,平成29年12月4日には平成29年度地球温暖化防止活動環境大臣表彰(技術開発・製品化部門)を,2019年にはグッドデザイン賞を受賞し,それぞれの受賞が報道された(甲43,44,甲48の43・46・48,甲70の6,甲256の1,甲258の3,甲297,311,312)。
(3)請求人の「空調服」の売上げ・シェア等
ア 前記(2)アのとおり,平成27年頃までは,EFウェアの市場は,請求人及びサンエスが独占しており,ほぼ100%のシェアを占めていた。
イ 「繊維ニュース」の取材やアンケートに基づく試算によると,平成30年及び令和元年(平成31年)のEFウェアの市場規模や,請求人等の「空調服」のシェアは,次のとおりである。
(ア)平成30年の市場規模は,出荷ベースで80億円(ウエア,デバイス全て含む。),ウエアは150万?160万点であり,請求人等による「空調服」の占めるシェアは,その3分の1程度である。
(イ)令和元年(平成31年)の市場規模は,出荷ベースで約100億円(ウエア,デバイス全て含む。),ウエアは340万?350万点であり,請求人等による「空調服」の占めるシェアは,3分の1程度で業界トップである。
(以上の(ア),(イ)につき,甲71の124,甲72の1,甲74の24・27・93・109,甲192の46)
ウ ライセンシーは,請求人との取決めに従って,ライセンスに基づいて製造販売する「空調服」の商品タグやカタログにおいて,「空調服」が請求人の商標である旨等を表記することとしている(甲342の1・7?21)。
(4)請求人以外の者による「空調服」等の用語の使用について
ア 新聞・雑誌,ネットショッピングサイト等
遅くとも平成30年頃以降の新聞・雑誌,ネットショッピングサイト等のほか,EFウェアに関連する論文においては,「EFウェア」の他に,「ファン付き作業服」,「電動ファン付き作業服」,「電動ファン(EF) ファン付きウエア」,「ファンウェア」,「EF付きウェア」といった名称が多く用いられている(甲74の1?63・67・79・81・86・87・91?102・104?114ほか)。
イ EFウェアのメーカーに係る用語の使用等
請求人以外のEFウェアの主要なメーカー(サンエス,村上被服株式会社,中国産業株式会社,株式会社ブレイン,株式会社バートル,シンメン株式会社,クロダルマ株式会社,株式会社マキタ,タジマ[株式会社TJMデザイン],株式会社桑和等)は,EFウェアに「空調服」以外の名称を付しており,平成30年以降のカタログ等においても「空調服」の語を用いてはいない。この点,サンエスは「空調風神服」,村上被服株式会社は「HOOH(鳳凰)」,中国産業株式会社は「WIND ZONE」,株式会社ブレインは「空調エアコン服」,株式会社バートルは「エアークラフト(AIR CRAFT)」,シンメン株式会社は「S-AIR」,クロダルマ株式会社は「AIRSENSOR-1」,株式会社マキタは「充電式ファンジャケット」,タジマは「清涼ファン風雅」,株式会社桑和は「G.GROUND」,「サイクロンエアー」などと,各メーカーがそれぞれ独自のブランド名や商品名を用いている。他方で,「空調服」の語は,上記各メーカーのEFウェアの名称と並列的に,請求人が手駆けるEFウェアの名称として用いられている。(甲50の1,甲59,甲72の1,甲74の2・3・10・24・37?39・41,甲172?188ほか)
(5)その他の事情
ア 平成25年から平成29年までの期間において,ワーキングウェアの市場における売上高については,主に大企業,官公庁向けの販売が約7割,主に自営業,一般向けの販売が約3割であった(甲168)。
また,平成30年の請求人セフト研究所の売上高は,全て法人に対するものである(甲243の1の1・2,甲243の3の1・2) 。
イ 平成30年において,衣類・服装雑貨等の物販系分野における電子商取引(EC)化率は,約13%である(甲169)。この点,作業服やユニフォームの分野におけるEC取引の比率もいまだ大きくなく,卸売業全体における比率よりもはるかに低い(甲170・171)。
3 商標法第3条第2項該当性について
(1)請求人商品「空調服」は,請求人代表者の発案により請求人セフト研究所が開発したもので,請求人空調服が「空調服」の販売を本格的に開始した平成17年当時,「空調服」のほかにEFウェアは存在せず,「空調服」は,極めて独自性の強いものであった(前記2(1)イ)。そして,ファンが衣服に取り付けられているという「空調服」は,平成17年当時,他に例のない形態で,これを目にした者に強い印象を与えるものであったと解される。
また,前記1で示したとおり,本願商標「空調服」の語の意味内容を,本来の字義から直ちに理解することには一定の困難があり,上記のように,EFウェアという商品分野がいまだ存在しなかった当時においては,「空調服」という語の構成も,強い独自性を有していたということができる。
そうすると,「空調服」という商品やその「空調服」という名称は,強い訴求力を有していたといえる。
(2)上記(1)の事情に加えて,EFウェアという商品分野において,平成27年頃まで約10年間は,請求人等によって市場は独占されていたこと(前記2(2)ア)及び前記2(1)イ?カで認定した諸事情,特に,「空調服」が請求人の商品を指すものとして,全国紙を含む新聞や雑誌で多数回にわたって取り上げられたこと,全国放送の番組を含むテレビ番組でも多数回にわたって同様に取り上げられたこと,建設会社等の企業に導入されたごとなどを踏まえると,平成27年頃までには,「空調服」は,「通気機能を備えた作業服・ワイシャツ・ブルゾン」という商品分野において,請求人の商品として,需要者,取引者に全国的に広く知られるに至っていたものと認めるのが相当である。
(3)その後,平成27年頃から他社がEFウェアの市場に参入するようになったものの(前記2(2)ア),ア 前記2(2)ア?クで認定した諸事情,特に,平成28年以降においても,「空調服」が請求人商品を指すものとして,又はEFウェアの元祖が請求人の「空調服」であるとして,全国紙を含む新聞や雑誌で多数回にわたり取り上げられ,また,全国放送を含むテレビ番組等においても同様に取り上げられ,請求人による広告もいろいろな形態で行われ,企業における「空調服」の導入例も拡大してきたことなどの事情,イ 「空調服」以外にEFウェアを指す一般的な用語が用いられていること(前記2(4)ア),ウ EFウェアの他のメーカーにおいては,「空調服」とは異なる商品名やブランド名で販売活動を行っていること(前記2(4)イ),エ 多くの他業者の参入があっても,なお,平成30年及び令和元年(平成31年)の時点において,請求人等による「空調服」はEFウェアの3分の1程度のシェアを占めていること(前記2(3)イ)を考慮すると,「空調服」は,請求人の商品の出所を示すという機能を失うことなく,その認知度を高めていったものと認めることができる。
(4)そうすると,本願商標は,その指定商品について,請求人によって継続的に使用をされた結果,取引者,需要者が,請求人の業務に係る商品を表示する商標として認識されるに至ったものとみるのが相当である。
したがって,本願商標は,商標法第3条第2項の要件を具備するものというべきである。
4 まとめ
以上のとおり,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当するものの,同法第3条第2項の要件を具備するものであり,商標登録を受けることができるものであるから,原査定は取消しを免れない。
その他,本願について拒絶の理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。


別掲
審決日 2021-07-15 
出願番号 商願2016-30424(T2016-30424) 
審決分類 T 1 8・ 17- WY (W25)
T 1 8・ 13- WY (W25)
最終処分 成立 
前審関与審査官 山田 啓之 
特許庁審判長 岩崎 安子
特許庁審判官 茂木 祐輔
小田 昌子
商標の称呼 クーチョーフク、クーチョー 
代理人 荒船 博司 
代理人 荒船 博司 
復代理人 赤澤 高 
代理人 篠田 淳郎 
代理人 篠田 淳郎 
復代理人 井上 修一 
代理人 高橋 正憲 
復代理人 井上 修一 
代理人 高橋 正憲 
復代理人 赤澤 高 
代理人 鮫島 正洋 
代理人 鮫島 正洋 
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