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審決分類 審判 一部申立て  登録を維持 W0105
審判 一部申立て  登録を維持 W0105
審判 一部申立て  登録を維持 W0105
審判 一部申立て  登録を維持 W0105
管理番号 1376078 
異議申立番号 異議2020-900221 
総通号数 260 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2021-08-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2020-09-07 
確定日 2021-06-16 
異議申立件数
事件の表示 登録第6261531号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6261531号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第6261531号商標(以下「本件商標」という。)は、「Coenzymatics」の欧文字を横書きしてなり、令和元年5月17日に登録出願、第1類「生化学的触媒,科学用化学剤(医療用及び獣医科用のものを除く。),化学用試剤(医療用又は獣医科用のものを除く。),実験室用分析化学剤(医療用及び獣医科用のものを除く。),生物学的培養組織(医療用及び獣医科用のものを除く。),酵素剤(食品工業用添加物),酵素(食品工業用添加物),栄養補助食品製造用ビタミン,栄養補助食品製造用たんぱく質,アジュバント(補助剤)(医療用及び獣医科用のものを除く。)」、第3類「洗浄剤(煙突用化学洗浄剤を除く。),パック用化粧料,スキンホワイトニングクリーム,化粧品,人用又は動物用の防臭剤,皮膚の手入れ用化粧品,コラーゲン化粧品,しわ取り用クリーム,化粧用クレンジング乳液,歯磨き」及び第5類「ビタミン剤,薬剤(医療用のもの),強壮薬,医療用酵素剤,食餌療法用食品・飲料・薬剤,栄養補助食品,酵素を主原料とする栄養補助食品,浄化薬,歯科用ラッカー,動物用サプリメント(薬剤に属するものを除く。)」を指定商品として、同2年6月2日に登録査定され、同月19日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録第5470418号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、2011年(平成23年)6月23日に域内市場における調和のための官庁(商標及び意匠)においてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、平成23年11月8日に登録出願、第1類「遺伝子研究に使用される分析試料及び試薬(医療用のもの及び獣医科用のものを除く。),識別剤(医療用のもの及び獣医科用のものを除く。),遺伝的同一性を試験するための試薬(医療用のもの及び獣医科用のものを除く。),研究用試薬(医療用のもの及び獣医科用のものを除く。),その他の化学品」及び第5類「臨床用及び医療用の診断用薬剤,その他の薬剤」を指定商品として、同24年2月10日に設定登録されたものであり、その商標権は現に有効に存続しているものである。

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号及び同項第15号該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により、取り消されるべきものであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第14号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 商標法第4条第1項第11号について
(1)本件商標と引用商標の類否
本件商標は、「Coenzymatics」の欧文字を書してなり、その構成から「コエンザイマティックス」の称呼を生ずる。また、当該文字は、辞書等に掲載されていない造語であるため、特定の観念は有さない。
他方、引用商標は、「enzymatics」の欧文字を書してなり、その文字部分より「エンザイマティックス」の称呼を生ずる。また、当該文字は、辞書等に掲載されていない造語であるため、特定の観念は有さない。
両者の称呼について検討すると、両者の相違は「コ」の1音の有無のみであり、その他の「エンザイマティックス」部分については共通する。
ここで、相違する「コ」に着目すると、英語の「Co」は「共働で、共に」などを意味するいわゆる接頭辞であり(甲3)、「co-worker」(仕事仲間)、「co-pilot」(副操縦士)、「co-author」(共著者)などの使われ方をする。
このような接頭辞が付される場合は、あくまでもその後に続く文字が主要な部分として扱われる。すなわち、本件商標の場合、接頭辞である「コ」部分を除いた「エンザイマティックス」部分が商標の要部となる。
このように、両者の称呼を対比した場合、商標の要部たる「エンザイマティックス」が共通し、また、共通する要部の音数も8音であって決して短くはなく、両者の発音のアクセントも同じであり、よって、「コ」の有無を考慮したとしても両者は称呼において類似する。
そうすると、両者は観念において比較することができないとしても、それらの称呼において互いに類似することが明らかである。
また、外観についてみると、12文字からなる本件商標と10文字からなる引用商標とは、それらのうちの10文字について「enzymatics」の綴りを共通にするものであり、相違する部分は冒頭の「Co」の有無という微差にすぎない。
なお、引用商標の「y」の文字部分に螺旋状の図形が見て取れるものの、これらは文字部分から受ける印象を凌駕するものではない。
以上のとおり、本件商標と引用商標とは、図形的要素の有無の違いはあるとしても、両者を時と所を異にして離隔的に観察するときは、外観上近似した印象、記憶、連想等を生じさせるおそれがあるというべきである。
(2)本件商標の指定商品と引用商標の指定商品の類否について
本件商標の指定商品中の第1類の全指定商品は、引用商標の指定商品中の第1類の全指定商品と同一又は類似するものである。
さらに、本件商標の指定商品中の第5類「ビタミン剤,薬剤(医療用のもの),強壮薬,医療用酵素剤,浄化薬」は、引用商標の指定商品中の第5類の全指定商品と同一又は類似するものである。
(3)小括
以上のとおり、本件商標は、引用商標と称呼において共通又は相紛らわしく、外観において近似する商標であり、その指定商品も同一又は類似するものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
2 商標法第4条第1項第15号について
(1)引用商標の著名性について
申立人の前身となる米国のエンザイマティックス・インコーポレイテッド(以下「エンザイマティックス社」という。)は、ライフサイエンスの基礎研究及び応用研究分野において、試薬、アッセイ、キット及びソフトウェアを提供する最先端の企業である。
そして、同社の試薬は、2006年以来、シークエンシングにとって不可欠な要素となっており(甲4)、次世代シークエンシングの製品に関しては、全世界で80%ものシェアを誇っている(甲5)。
これらの実績により、同社は、極めて高い評価を得ている(甲4)。
その後、エンザイマティックス社は、2015年にオランダに本社を有する「QIAGEN N.V.」(以下「キアゲン社」という。)に買収された(甲5)。なお、キアゲン社は、DNA、RNAやタンパク質の生体からの抽出・解析などに関連する試薬・体外診断薬及び分子診断機器を提供するバイオテクノロジー企業であり、世界25か国以上に現地法人を持つ世界的企業である(甲6)。
引用商標は、日本のみならず、米国、オーストラリア、ニュージーランド、スイス、EUなど世界各国で商標登録されている(甲7)。
日本における引用商標の使用実績についてみると、遅くとも、2016年5月頃には、日本へ引用商標を付した製品の出荷を開始し、現在に至っており(甲8)、日本語で作成された製品カタログ(甲12)や英語の製品カタログ(甲13)にも引用商標が付されている事実が確認できる。さらに、エンザイマティックス社やその製品を紹介する複数のインターネットの記事が存在している(甲14)。
以上のとおり、申立人の業務に係る商品の極めて高い市場占有率等や使用の実績等を総合的に勘案すると、引用商標は、申立人の業務に係る商品を表すものとして、日本国内又は外国の取引者、需要者の間に広く知られていることは明らかである。
(2)引用商標の独創性
引用商標の構成中、語尾の「s」を除いた「enzymatic」部分は、「酵素の、酵素的な」等の意味を有するものの、かかる「enzymatic」の語尾に「s」を付して一般に使用されている事実はインターネット上で検索しても確認できなかった。
語源的には、語尾に「tic」が付く英単語は形容詞であり、かかる形容詞の語尾にわざわざ「s」を付して引用商標のような造語とすることは極めて恣意的といえる。
以上の事実からも、引用商標は独創性の高い造語であることが分かる。
(3)本件商標の指定商品と申立人の業務に係る商品との関連性並びに商品の取引者及び需要者の共通性について
本件商標の指定商品中、第1類においては、「生化学的触媒,科学用化学剤(医療用及び獣医科用のものを除く。),化学用試剤(医療用又は獣医科用のものを除く。)」などの分析や検査等を目的とした極めて専門性の高い化学品が含まれている。
一方、申立人の業務に係る商品は、遺伝子研究に使用される分析試料及び試薬等であり、こちらも極めて専門性の高いものである。
そして、これらの商品の需要者はいずれも研究機関である点において共通する。
以上のとおり、本件商標の指定商品と申立人の業務に係る商品との関連性の程度は高いものといえる。
(4)出所混同の可能性について
このように、引用商標は、独創性の程度が高く、上記(1)のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示する商標として、我が国の需要者の間に広く知られていたものである。
そして、上記1のとおり、本件商標と引用商標とは、観念においては比較できないものの、外観及び称呼について互いに紛れるおそれのある類似商標である。
なお、本件商標は、他人の著名な商標である「enzymatics」と他の文字「Co」とを結合した商標であり、その外観構成がまとまりよく一体に表されていたとしても、商品等の出所の混同を生ずるおそれがあるということができる。
また、上記(3)のとおり、本件商標の指定商品と申立人の業務に係る商品との関連性の程度は高いものといえる。
そうすると、本件商標をその指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者が、引用商標を想起又は連想することが考えられ、該商品が、申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について、混同を生じさせるおそれがある。
(5)小括
以上のとおりであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第第15号に該当する。

第4 当審の判断
1 引用商標の周知性について
(1)申立人の提出に係る証拠及び同人の主張によれば、以下の事実が認められる。
ア 申立人の前身であるエンザイマティックス社は、シークエンシングに係る試薬、キットなどの商品の製造及び販売を行っている(甲4、申立人主張)。
イ エンザイマティックス社は、同人が製造等する商品に引用商標を使用していることがうかがえる(甲4)
ウ エンザイマティックス社は、引用商標を使用した同人の商品(以下「申立人商品」という。)を、代理店を通じ、我が国おいて販売していることがうかがえる(甲4)。
エ しかしながら、申立人商品の我が国における売上高、販売数、市場シェアなど販売実績、使用地域並びに広告宣伝の方法、期間、地域及び規模を示す具体的な証左は見いだせない。
(2)上記(1)の事実からすれば、申立人商品は我が国において販売されていたことはうかがえるものの、当該商品の我が国における販売実績を示す証左は見いだせないから、申立人商品に使用されている引用商標は、本件商標の登録出願の時及び登録査定時において、申立人商品を表示するものとして需要者の間で広く認識されているものと認めることはできない。
2 商標法第4条第1項第11号について
(1)本件商標について
本件商標は、上記第1のとおり「Coenzymatics」の欧文字よりなるところ、該文字は外観上まとまりよく一体に表されており、その構成文字から生ずる「コエンザイマティックス」の称呼も無理なく一連に称呼できるものである。
また、該文字は、一般の辞書等に載録のない語であるから、一種の造語とみるのが相当である。
そうすると、本件商標は、その構成文字に相応し「コエンザイマティックス」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
(2)引用商標について
引用商標は、別掲のとおり「enzymatics」の欧文字を青色で表し、「y」の文字の周囲に赤色と青色の大きさの異なるドットで螺旋状の図形を描いた構成よりなるところ、その文字部分は、一般の辞書等に載録のない語であるから、一種の造語とみるのが相当である。
また、構成中の図形部分からは、特定の称呼及び観念を生じない。
そうすると、引用商標はその文字部分の構成に相応した「エンザイマティックス」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
(3)本件商標と引用商標との類否について
ア 外観について
本件商標と引用商標は、その構成中の「enzymatics」の文字を共通にするとしても、文字部分の語頭の「Co」の有無及び螺旋状の図形の有無や色彩において明らかな差異を有するものであるから、構成全体として、外観上、判然と区別できるものである。
イ 称呼について
本件商標から生じる「コエンザイマティックス」と引用商標から生じる「エンザイマティックス」の称呼とは、称呼の識別上重要な要素である語頭において、「コ」の音の有無という差異を有し、その差異が称呼全体に与える影響は小さいものとはいえず、両者をそれぞれ一連に称呼しても全体の語調語感が相違し、明瞭に聴別することができると判断するのが相当である。
ウ 観念について
本件商標と引用商標は、共に特定の観念を生じないものであるから、観念上比較することができない。
エ そうすると、本件商標と引用商標とは、観念においては比較することができないとしても、外観においては判然と区別できるものであり、称呼においても聞き誤るおそれのないものであるから、これらが取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合的に考慮すれば、両者は、相紛れるおそれのない非類似の商標というのが相当である。
(4)申立人の主張について
申立人は、本件商標の構成中語頭の「Co」は英語の接頭辞であり、接頭辞が付される場合は、その後に続く文字が主要な部分となるなどとして、本件商標は接頭辞である「コ」部分を除いた「エンザイマティックス」部分が要部となる旨主張している。
しかしながら、「Co」の文字が英語の接頭辞であるとしても、上記(1)のとおり、本件商標の構成及び称呼からすれば、取引者、需要者は、本件商標の構成全体をもって、一体不可分のものとして認識し、把握するとみるのが相当である。
また、本件商標の構成中「enzymatics」の文字部分のみが取引者、需要者に対し商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認めるに足りる事情は見いだせない。
そうすると、本件商標は一連の造語とみるのが相当である。
そしたがって、申立人の主張は採用できない。
(5)小括
以上のとおり、本件商標と引用商標は非類似の商標であるから、両者の指定商品が同一又は類似するとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
3 商標法第4条第1項第15号について
上記1のとおり引用商標は、本件商標の登録出願の時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認められないものであり、上記2のとおり本件商標は引用商標と相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。
そうすると、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品について使用しても、取引者、需要者をして引用商標を連想又は想起させることはなく、その商品が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
4 むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号のいずれにも違反してされたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲

別掲(引用商標、色彩は原本参照。)


異議決定日 2021-06-08 
出願番号 商願2019-70366(T2019-70366) 
審決分類 T 1 652・ 271- Y (W0105)
T 1 652・ 261- Y (W0105)
T 1 652・ 263- Y (W0105)
T 1 652・ 262- Y (W0105)
最終処分 維持 
前審関与審査官 和田 恵美 
特許庁審判長 半田 正人
特許庁審判官 水落 洋
大森 友子
登録日 2020-06-19 
登録番号 商標登録第6261531号(T6261531) 
権利者 基因港(香港)生物科技有限公司
商標の称呼 コエンジマティックス、コエンジーマティックス、エンジマティックス、エンジーマティックス、コエンザイマティックス 
代理人 特許業務法人 小野国際特許事務所 
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