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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W3542
審判 全部申立て  登録を維持 W3542
審判 全部申立て  登録を維持 W3542
審判 全部申立て  登録を維持 W3542
管理番号 1376075 
異議申立番号 異議2020-900096 
総通号数 260 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2021-08-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2020-04-03 
確定日 2021-07-01 
分離された異議申立 有 
異議申立件数
事件の表示 登録第6218609号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6218609号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第6218609号商標(以下「本件商標」という。)は、「BOSS」の文字を標準文字で表してなり、平成31年1月22日に登録出願、第35類「文書又は磁気テープのファイリング,事務処理の代行,通信販売に関する事務の代行,通信販売の注文・受注・発送に関する事務処理代行,商品のオンラインによる通信販売の事務の代行,商品の管理(在庫の管理も含む)及び販売に関する事務の代理又は代行,商品の受注・出荷業務に関する事務処理の代行,インターネット・携帯電話を利用した通信販売の注文・受付・配送に関する事務処理代行」及び第42類「電子商取引の分野で用いられる電子計算機用プログラムの提供,電子商取引に係る事業の管理・電子商取引に係る事業の運営のための電子計算機用プログラムの提供,電子商取引における在庫管理等の効率化に用いられる電子計算機用プログラムの提供,電子商取引の事業者のための電子計算機用プログラムの提供,電子商取引事業効率化のための電子計算機用プログラムの提供,電子計算機用プログラムの提供,電子商取引の分野で用いられる電子商取引事業者向け電子計算機用プログラムの提供,電子商取引に係る事業の管理・運営のための電子商取引事業者向け電子計算機用プログラムの提供,電子商取引事業効率化のための電子商取引事業者向け電子計算機用プログラムの提供,電子商取引における在庫管理等の効率化に用いられる電子商取引事業者向け電子計算機用プログラムの提供」を指定役務として、令和元年12月25日に登録査定され、同2年1月22日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
1 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用する商標は、次の3件であり、いずれも現に有効に存続しているものである。
(1)国際登録第785514号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲1のとおりの構成よりなり、2002年2月2日にGermanyにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、同年7月23日に国際商標登録出願、第14類「Precious metals and their alloys, smokers' articles (included in this class); jewellery, precious stones; horological instruments.」、第25類「Clothing for ladies, gentlemen and children; stockings; headgear; underwear; nightwear; swimwear, bathrobes; belts; scarves and shawls; accessories, namely head scarves, neck scarves, shoulder scarves, pocket kerchiefs; ties; gloves; footwear.」及び第35類「Advertising; rental of advertising space; distribution of goods and advertising material for advertising purposes, also via electronic media and via the Internet; presentation of goods, especially shop and shop window decoration; organization of sales exhibitions.」を指定商品及び指定役務として、平成16年7月23日に設定登録されたものである。
(2)国際登録第754225号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲2のとおりの構成よりなり、2001年2月8日に国際商標登録出願、第9類「Spectacles and parts thereof.」、第14類「Alloys of precious metal; purses of precious metal; shoe ornaments of precious metal; powder compacts of precious metal; jewellery, costume jewellery; clocks and watches.」、第18類「Pelts; bands of leather; leather shoulder belts; small articles of leather; small articles of leather imitations; trunks and suitcases; bags; umbrellas and parasols.」、第24類「Woven fabrics; bedding (except linen); handkerchiefs and towels.」、第25類「Articles of clothing for ladies, gentlemen and children; socks and stockings; headgear, underwear; nightwear; swimwear; bathrobes; belts; scarves and shawls; accessories, namely head scarves, neck scarves, shoulder scarves, pocket kerchiefs; ties; gloves; footwear; belts made of leather.」、第28類「Games, toys; gymnastic and sports equipment, in particular, skies, golf clubs and tennis rackets; balls; gymnastic and sports articles (included in this class).」、第35類「Advertising.」及び第42類「Planning of business premises.」を指定商品及び指定役務として、平成14年6月14日に設定登録されたものである。
(3)商標登録第3363724号商標(以下「引用商標3」という。)は、別掲3のとおりの構成よりなり、平成5年2月26日に登録出願、第42類「展示施設の設計に関する企画・助言」を指定役務として同9年11月28日に設定登録されたものである。
以下、引用商標1ないし引用商標3をまとめていう場合は、「引用商標」という。
2 申立人が、本件登録異議の申立ての理由において、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するとして引用する商標は、引用商標及び「BOSS」の欧文字を有する標章(以下「引用標章」という。)であり、申立人が、申立人の業務に係るファッション関連の商品(被服、時計、サングラス、香水等)に幅広く使用していると主張するものである。
以下、引用商標及び引用標章をまとめて、「申立人商標」という場合がある。

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の2第1号によって取り消されるべきものであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第19号証を提出した。
1 具体的理由
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標と引用商標は、外観及び称呼において類似の商標であり、本件商標の指定役務は、引用商標の指定役務と類似であるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
ア 本件商標と引用商標の構成について
(ア)本件商標の構成について
本件商標は、「BOSS」の文字を標準文字で表してなるものであり、「ボス」の称呼及び「親分、社長、支配者」等の観念を生じる。
(イ)引用商標の構成
引用商標1は、黒い横長の長方形の中に白抜きで「BOSS」の欧文字とその下に小さく「HUGO BOSS」の欧文字を横書きにしてなるものであり、その文字に呼応して「ボス」の称呼及び「親分、社長、支配者」等の観念を生じる他、「ヒューゴボス」の称呼及び申立人の業務に係る高級ファッションブランド「HUGO BOSS」の観念を生じる。
引用商標2及び引用商標3は、「BOSS」の欧文字とその下に小さく「HUGO BOSS」の欧文字を横書きにしてなるものであり、その文字に呼応して「ボス」の称呼及び「親分、社長、支配者」等の観念を生じる他、「ヒューゴボス」の称呼及び申立人の業務に係る高級ファッションブランド「HUGO BOSS」の観念を生じる。
引用商標1、引用商標2及び引用商標3の相違は色彩のみであり、「BOSS」の欧文字とその下に小さく「HUGO BOSS」の欧文字を横書きにしてなるという基本的構成態様は同一である。
イ 本件商標と引用商標の類否について
(ア)本件商標と引用商標の外観について
引用商標は、「BOSS」の欧文字とその下に小さく「HUGO BOSS」の欧文字で表されているが、「BOSS」の欧文字が「HUGO BOSS」の欧文字に比して圧倒的に大きな文字で表されている。
よって、本件商標と引用商標は、「BOSS」の欧文字を共通にする外観上類似する商標である。
(イ)本件商標と引用商標から生じる称呼について
本件商標「BOSS」からは、その文字に呼応して「ボス」の称呼を生じ、引用商標からは、上段に大きく書された「BOSS」の文字に呼応して「ボス」の称呼が生じる他、「ヒューゴボス」及び「ボスヒューゴボス」の称呼を生じる。
よって、本件商標と引用商標は、「ボス」の称呼を共通にする称呼上類似の商標である。
(ウ)本件商標と引用商標から生じる観念について
英単語の「BOSS」は、「ボス、親分、社長、支配者」等を意味する語として我が国の需要者にもよく知られているため、これと同一のつづりからなる本件商標及び引用商標からは、ともに「ボス、親分、社長、支配者」の観念を生じる。
(エ)小括
上記より、本件商標と引用商標は、外観、称呼及び観念ともに共通する類似の商標である。
ウ 指定役務の抵触について
(ア)本件商標と引用商標1及び引用商標2の指定役務の抵触について(第35類)
本件商標の第35類の指定役務は、「文書又は磁気テープのファイリング,事務処理の代行,通信販売に関する事務の代行,通信販売の注文・受注・発送に関する事務処理代行,商品のオンラインによる通信販売の事務の代行,商品の管理(在庫の管理も含む)及び販売に関する事務の代理又は代行,商品の受注・出荷業務に関する事務処理の代行,インターネット・携帯電話を利用した通信販売の注文・受付・配送に関する事務処理代行」であり、引用商標1の第35類の指定役務は、「Advertising; rental of advertising space; distribution of goods and advertising material for advertising purposes, also via electronic media and via the Internet; presentation of goods, especially shop and shop window decoration; organization of sales exhibitions.」である。
また、引用商標2の第35類の指定役務は、「Advertising.」である。
本件商標の第35類の指定役務と引用商標1及び引用商標2の第35類の指定役務は、ともに第35類に属する役務であり、本件商標の第35類の役務は、主として通信販売を業として行う者が需要者であると考えられるが、通信販売を業として行う者が自己の業務について広告、宣伝を行うことは普通にあり得ることであるから、本件商標の第35類の指定役務と引用商標1及び引用商標2の指定役務は需要者を共通にする役務といえる。
(イ)本件商標と引用商標3の役務の抵触について(第42類)
本件商標の第42類の指定役務は、「電子商取引の分野で用いられる電子計算機用プログラムの提供,電子商取引に係る事業の管理・電子商取引に係る事業の運営のための電子計算機用プログラムの提供,電子商取引における在庫管理等の効率化に用いられる電子計算機用プログラムの提供,電子商取引の事業者のための電子計算機用プログラムの提供,電子商取引事業効率化のための電子計算機用プログラムの提供,電子計算機用プログラムの提供,電子商取引の分野で用いられる電子商取引事業者向け電子計算機用プログラムの提供,電子商取引に係る事業の管理・運営のための電子商取引事業者向け電子計算機用プログラムの提供,電子商取引事業効率化のための電子商取引事業者向け電子計算機用プログラムの提供,電子商取引における在庫管理等の効率化に用いられる電子商取引事業者向け電子計算機用プログラムの提供」であり、引用商標3の指定役務は、第42類「展示施設の設計に関する企画・助言」である。
本件商標の指定役務と引用商標3の指定役務は、電子商取引に関連する役務の需要者と展示施設の設計に関する役務の需要者は、ともに販売業を営む者であると考えられることから、明らかに類似する商標をこれらの役務に使用した場合に出所の混同を生ずるおそれは十分にある。
よって、本件商標の第42類の指定役務と引用商標3の指定役務は類似するものである。
エ まとめ
上記より、本件商標と引用商標は、外観、称呼及び観念ともに共通する類似の商標であり、本件商標と引用商標の指定役務も類似するものであるから、本件商標は引用商標との関係で商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第15号について
申立人商標は、我が国における需要者によく知られ、周知、著名となっていることから、申立人商標と混同を生じるおそれのある本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当する。
ア 商標「BOSS」の歴史について
(ア)「BOSS」の歴史について
ドイツ・メッツィンゲンに本社を置く申立人は、1924年に設立の世界的に有名な服飾ブランド「HUGO BOSS」で、戦後、紳士用スーツのブランドとして人気が定着した。その後、1980年代に、フレグランスや靴、アイウェアを扱い始め、1998年には婦人服、2009年には子供服も扱い始めた。1982年から2017年までの間、F1チームのスポンサーとしてドライバーやスタッフ用のスーツやユニフォームを供給した。
また、2013年からはドイツのサッカー代表に公式スーツを提供している。そのメインブランドである商標「BOSS」を付した商品は、世界100ヶ国以上、5,000店舗で販売されている(甲5?甲7)。
(イ)我が国における「BOSS」の著名性について
我が国において商標「BOSS」を付した申立人の製品は、1980年代から販売されている。
そして、大丸、三越、松坂屋、そごう、伊勢丹、小田急、東武、松屋、西武、高島屋、といった主要百貨店や六本木ヒルズを含む販売拠点を通じて積極的な販売、宣伝活動を行った結果、「BOSS」は申立人の業務に係る商標として日本の需要者の間に広く知られることになった(甲8)。
このことは、商標登録第695865号「BOSS」及び国際登録第782587号「BOSS\HUGO BOSS」が特許情報プラットフォーム・J-PlatPatの「日本国周知・著名商標検索」において、異議決定、審決及び判決において周知、著名と判断された商標として検索されることからも明らかである(甲9、甲10)。
また、著名ブランドの商品が紹介されている「世界の一流品大図鑑」において「BOSS」が申立人のブランドとして紹介されていることからも我が国において「BOSS」が著名となっている事実がうかがわれる(甲11?甲16)。
加えて、世界的に見ても、申立人はラグジュアリー品売上高順位で2015年には19位、2016年には21位、2017年には23位となってる他、2015年度から3年連続でラグジュアリーアパレル、靴カテゴリーに属する企業の売上高の上位3社にランクインしており、同カテゴリーにおいて2桁の利益率を上げている数社のうちの1社である(甲17?甲19)。
上記のとおり、商標「BOSS」は我が国において申立人の業務に係る商品等を表示するものとして広く著名性を獲得しているといえる。
イ 本件商標が商標法第4条第1項第15号に該当することについて
(ア)「BOSS」商標の著名性について
商標「BOSS」が申立人の商品を表示するものとして、服飾関連の需要者に極めてよく知られており我が国で著名となっている。
(イ)混同のおそれの有無の判断基準について
混同を生ずるおそれ」の有無は、当該商標と他人の表示との類似性の程度、他人の表示の周知著名性及び独創性の程度や、当該商標の又は指定役務と他人の業務に係る商品又は役務との間の性質(決定注:「当該商標の指定商品等と他人の業務に係る商品等との間の性質」の誤記と認める。)、用途又は目的における関連性の程度並びに商品又は役務(決定注:「商品等」の誤記と認める。)の取引者及び需要者の共通性その他取引の実情などに照らし、当該商品の指定商品又は指定役務(決定注:「当該商標の指定商品等」の誤記と認める。)の取引者及び需要者において普通に払われる注意(決定注:「注意力」の誤記と認める。)を基準として、総合的に判断されるべきものである(最高裁平成10年(行ヒ)第85号同12年7月11日第三小法廷判決・民集54巻6号1848頁参照)。
(ウ)本件商標と引用商標の混同のおそれについて
本件商標と引用商標が、外観、称呼及び観念において類似する商標である。
そして、今日では、申立人の業務に係る高級ファッション商品の分野においてもオンライン等を通じた通信販売や電子商取引が活発に行われているところであるから、本件商標に接した需要者が、その役務の出所として申立人又は申立人と何らかの組織的、経済的つながりのある者を想起することは十分にあり得るものであり、本件商標が申立人の周知著名な商標「BOSS」との間で出所の混同を生ずるおそれがある。
(エ)まとめ
以上のとおり、本件商標は、申立人の周知著名な商標「BOSS」との間で出所の混同を生ずるおそれのある商標であるから、商標法第4条第1項第15号に該当する。

第4 当審の判断
1 申立人商標の周知・著名性について
(1)申立人の提出に係る甲各号証及び同人の主張並びに職権調査によれば、以下のとおりである。
ア ドイツ・メッツィンゲンに本社を置く申立人は、1923年に紳士服のブランド「HUGO BOSS」を設立し、その後、「HUGO BOSS」のブランドは、1980年代に、フレグランス、靴及びアイウェア、1998年には婦人服を扱い始めている。
また、1982年から2017年までの間、F1チームのスポンサーであった(甲5)。
イ 「HUGO BOSS」ブランドの店舗は、国内に46店存在する(甲8)。
ウ 「世界の一流品大図鑑’91」(株式会社講談社)の309頁の「GLASSES/SUNGLASSES」の項目に「BOSS by CARRERA/ヒューゴボス by カレラ」との記載がある(甲11)。
「世界の一流品大図鑑’94」(同掲社)の122頁の「OUTDOOR SPORTS」の項目に「HUGO BOSS/ヒューゴ ボス(ドイツ)」との記載がある(甲12)。
「世界の一流品大図鑑’96」(同掲社)の286頁の「GLASSES/SUNGLASSES グラス・サングラス」の項目に「HUGO BOSS ヒューゴ・ボス(ドイツ)」との記載がある(甲13)。
「世界の一流品大図鑑2001年版」(同掲社)の244頁の「メンズパフューム MEN’S PERFUME」の項目に「HUGO BOSS ヒューゴ ボス(ドイツ)」との記載がある(甲14)。
「世界の一流品大図鑑2003年版」(同掲社)の56頁の「時計 WATCH」の項目に「HUGO BOSS ヒューゴ ボス(ドイツ)」との記載があり、時計の文字版に、大きく書された「BOSS」の欧文字とその下に小さく「HUGO BOSS」の文字が使用されている(甲15)。
「世界の一流品大図鑑2004年版」(同掲社)の71頁の「時計 WATCH」の項目に「HUGO BOSS ヒューゴ ボス(ドイツ)」との記載があり、時計の文字版に「BOSS」の欧文字及び「HUGO BOSS」の文字が使用されている(甲16)。
エ 「世界のラグジュアリー企業ランキング2017年」(デロイトトーマツ社)に「上位3社のRalph Lauren、PVH Corp、Hugo Bossが、このカテゴリーにおける2015年度ラグジュアリー品売上総額の40.7%を占めた」のと記載、「Hugo Boss」は「ドイツ企業で突出して業績が良く、売上高成長率は9.2%であった。」との記載がある(甲17)。
「世界のラグジュアリー企業ランキング2018年」(同掲社)に、「この商品カテゴリーにおける2016年度ラグジュアリー品売上総額の38.5%を上位3社のRalph Lauren、PVH Corp、Hugo Bossが占めたが、Ralph LaurenとHugo Bossの売上高が低下したことにより、前年比では2.2ポイント減となった。」との記載がある(甲18)。
「世界のラグジュアリー企業ランキング2019年」(同掲社)に、「PVHに加え、Ralph Lauren、Hugo Boss、Giorgio Armaniで衣料・靴カテゴリーの売上高の45%超を占めた。」との記載がある(甲19)。
(2)前記(1)で認定した事実によれば、ドイツ・メッツィンゲンに本社を置く申立人は、申立人の社名の略称であり、申立人の服飾ブランド名である「HUGO BOSS」(ヒューゴ ボス)を申立人の業務に係るファッション関連の商品(被服、時計、サングラス、香水等)に使用していること、申立人は、F1チームのスポンサーやドイツのサッカー代表に公式スーツを提供したこと、世界の一流品を紹介する書籍に「HUGO BOSS」の文字や「BOSS」の文字と「HUGO BOSS」の文字とを上下二段に書してなる商標の記載があることからすると、「HUGO BOSS」又は「ヒューゴ ボス」の文字は、申立人の業務に係る紳士服を中心とするファッション関連の商品(被服、時計、サングラス、香水等)のブランド名を表示するものとして知られていることはうかがえる。
しかしながら、申立人が提出した証拠を参照しても、申立人商標を使用した商品の販売実績、事業規模や市場占有率(シェア)や広告宣伝の規模等については明らかではなく、これらを把握し得る証拠もない。
そうすると、申立人商標が申立人の業務に係る商品を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国及び外国の需要者の間に広く認識されていたことを認めることはできない。
2 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標について
本件商標は、上記第1のとおり、「BOSS」の文字を標準文字で表してなるものであり、「ボス」の称呼及び「ボス、親分」(新英和中辞典 株式会社研究社)の観念が生じるものである。
(2)引用商標について
ア 引用商標1は、別掲1のとおり、黒塗りの長方形図形内に白抜きで「BOSS」の欧文字と、その下に「BOSS」の欧文字より小さく白抜きで「HUGO BOSS」の欧文字を上下2段に表した構成よりなるところ、引用商標1の構成中の「BOSS」の欧文字は、「HUGO BOSS」の欧文字に比べて明らかに大きく書されていることからすると、たとえ、引用商標1の構成文字が、黒塗りの長方形図形内に、上下2段にまとまりよく表されているとしても、大きく書された白抜きの「BOSS」の欧文字が看者の目をひくものであるといえる。
また、「HUGO BOSS」の欧文字は、「BOSS」の欧文字に比べ小さく表されているとしても、当該文字は、申立人の略称を表示するものであり、引用商標の指定商品及び指定役務との関係において、商品の品質又は役務の質等を表示すると判断するべき特別な事情は有さないものであることから、当該文字が、自他商品及び自他役務の識別標識としての機能を有さないと判断すべき事情はない。
さらに、引用商標1の構成中の黒塗りの長方形図形は、背景として認識するものであり、これが、特定の称呼や観念が生じると判断しなければならない特別な事情はない。
そうすると、引用商標1は、その構成全体、または、構成中の「BOSS」の欧文字及び「HUGO BOSS」の欧文字それぞれを引用商標1の要部と認識すると判断するのが相当であるから、引用商標1は、その構成全体から「ボスヒューゴボス」の称呼を、「BOSS」の欧文字から「ボス」の称呼を、「HUGO BOSS」の欧文字から「ヒューゴボス」の称呼を生じるものであり、その構成中の「BOSS」の欧文字より、「親分、上司」の観念が生じるものである。
イ 引用商標2及び引用商標3は、「BOSS」の欧文字と、その下に「BOSS」の欧文字より小さく「HUGO BOSS」の欧文字を上下2段に表した構成よりなるところ、引用商標2及び引用商標3の構成中の「BOSS」の欧文字は、「HUGO BOSS」の欧文字に比べて明らかに大きく書されていることからすると、たとえ、引用商標2及び引用商標3の構成文字が、上下2段にまとまりよく表されているとしても、大きく書された「BOSS」の欧文字が看者の目をひくものといえる。
また、「HUGO BOSS」の欧文字は、「BOSS」の欧文字に比べ小さく表されているとしても、当該文字は、申立人の略称を表示するものであり、引用商標2の指定商品及び指定役務、並びに、引用商標3の指定役務との関係において、商品の品質又は役務の質等を表示すると判断するべき特別な事情は有さないものであることから、当該文字が、自他商品及び自他役務の識別標識としての機能を有さないと判断すべき事情はない。
そうすると、引用商標2及び引用商標3は、その構成全体、または、構成中の「BOSS」の欧文字及び「HUGO BOSS」の欧文字それぞれを引用商標2及び引用商標3の要部と認識すると判断するのが相当であるから、引用商標2及び引用商標3は、その構成全体から「ボスヒューゴボス」の称呼を、「BOSS」の欧文字から「ボス」の称呼を、「HUGO BOSS」の欧文字から「ヒューゴボス」の称呼を生じるものであり、その構成中の「BOSS」の欧文字より、「親分、上司」の観念が生じるものである。
(3)本件商標と引用商標との比較
本件商標と引用商標とを比較すると、本願商標と引用商標は、上記(1)及び(2)のとおりの構成よりなるところ、両商標は、構成全体においては、相違するものの、本件商標「BOSS」と引用商標の要部である「BOSS」とは、構成文字を同じくするものである。
また、本願商標と引用商標は、「ボス」の称呼及び「親分、上司」の観念が生じるものであるから、両商標は、称呼及び観念を同一にするものである。
そうすると、本願商標と引用商標とは、全体の構成においては相違するものであるとしても、これらを要部観察した場合、「BOSS」の欧文字を共通にし、これより生じる「ボス」の称呼及び「親分、上司」の観念を同一にすることから、両商標は、互いに類似する商標であり、相紛れるおそれがあるものである。
(4)本件商標の指定役務と引用商標の指定商品及び指定役務との類否について
ア 商品及び役務の類似について
「指定商品が類似のものであるかどうかは、それらの商品は通常同一営業主により製造又は販売されている等の事情により、それらの商品に同一又は類似の商標を使用するときは同一営業主の製造又は販売にかかる商品と誤認される虞があると認められる場合には、たとえ、商品自体が互いに誤認混同を生ずる虞がないものであっても、それらの商標は商標法にいう類似の商品にあたると解するのが相当である。」(昭和33年(オ)第1104号判決)旨判示されており、役務の類似についても同様と解される。
また、商標の類否判断に当たり考慮すべき取引の実情は、当該商標が現に、当該指定商品に使用されている特殊的、限定的な実情に限定して理解されるべきではなく、当該指定商品についてのより一般的、恒常的な実情、例えば、取引方法、流通経路、需要者層、商標の使用状況等を総合した取引の実情を含めて理解されるべきである(昭和47年(行ツ)第33号、同旨判決平成20年(行ケ)第10285号参照)。
イ 本件商標の指定役務について
本件商標の指定役務は、上記第1に記載のとおりの役務であり、本件商標の指定役務中、第35類の役務は「通信販売に関する事務処理代行」及びこれに関連する役務であり、これは、通信販売業者に代わって通信販売の事務処理を代行する役務が該当するものであり、「事務処理の代行を営む者が行うサービス」である。
また、本件商標の指定役務中、第42類の役務は「電子計算機用プログラムの提供」及びこれに関連する役務であり、これは、依頼者の要望に応じて電子計算機用プログラムを依頼者に使用させる役務が該当するものであり、「ソフトウェアの貸与や提供を営む者が行うサービス」である。
ウ 引用商標の指定商品及び指定役務について
(ア)引用商標1の指定商品及び指定役務は、上記第2の1(1)に記載のとおりの商品及び役務であり、引用商標1の指定商品及び指定役務中、第14類の商品は「宝飾品」や「時計」であり、第25類の商品は「被服」や「履物」である。
また、引用商標1の指定商品及び指定役務中、第35類の役務は「広告」及び「広告に関連する役務」であり、これは、依頼者に代わって、広告の作成又は広告媒体に広告を掲載する役務が該当するものであり、「広告業を営む者が行うサービス」である。
(イ)引用商標2の指定商品及び指定役務は、上記第2の1(2)に記載のとおりの商品及び役務であり、引用商標2の指定商品及び指定役務中、第9類の商品は「眼鏡」であり、第14類の商品は「宝飾品」や「時計」であり、第18類の商品は「バッグ」や「傘」であり、第24類の商品は「織物」や「ハンカチ」であり、第25類の商品は「被服」や「履物」であり、第28類の商品は「ゲーム用具」や「運動用具」である。
また、引用商標2の指定商品及び指定役務中、第35類の役務は「広告」及び「広告に関連する役務」であり、前記(ア)のとおり、「広告業を営む者が行うサービス」であり、第42類の役務は、「事業用の土地・建物に関する計画」であり、これは、事業用の土地や建物を有効活用するために計画の立案等を行う役務が該当するものであり、「土地や建物の有効活用を計画する者が行うサービス」である。
(ウ)引用商標3の指定役務は、上記第2の1(3)に記載のとおりの役務であり、これは、依頼者に代わって、展示施設の設計等を行う役務が該当するものであり、「建物等の設計を営む者が行うサービス」である。
エ 本件商標の指定役務と引用商標の指定商品及び指定役務の類否について
本件商標の指定役務は、「事務処理の代行を営む者が行うサービス」及び「ソフトウェアの貸与や提供を営む者が行うサービス」であり、引用商標1及び引用商標2の指定商品とは、商品の提供者と役務の提供者が明らかに異なるため、これらは、類似しない商品及び役務である。
また、引用商標1の指定役務は、「広告業を営む者が行うサービス」であり、引用商標2の指定役務は、「広告業を営む者が行うサービス」及び「建物等の設計を営む者が行うサービス」であり、引用商標3の指定役務は、「「土地や建物の有効活用を計画する者が行うサービス」であり、一方、本件商標の指定役務は、「事務処理の代行を営む者が行うサービス」及び「ソフトウェアの貸与や提供を営む者が行うサービス」であることからすると、本件商標の指定役務と引用商標の指定役務とは、役務の提供者が明らかに異なるなるため、これらは、類似しない役務である。
そうすると、本件商標の指定役務と引用商標の指定商品及び指定役務とは、互いに類似しない商品及び役務である。
オ まとめ
したがって、本件商標の指定役務と引用商標の指定商品及び指定役務は、互いに類似しないものであるから、本件商標が引用商標と類似する商標であるとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
3 商標法第4条第1項第15号該当性について
ア 申立人商標の周知・著名性について
上記1のとおり、「HUGO BOSS」は、申立人の業務に係るファッションブランドとして知られているとしても、申立人商標が需要者の間に広く知られているとは認めることができない。
イ 本件商標と申立人商標との類似性の程度について
上記2のとおり、本件商標と申立人商標は、「BOSS」の欧文字を共通にするものであるから、類似性の程度は高いものといえる。
ウ 本件商標の指定役務と申立人の業務に係るファッション関連商品との関連性について
本件商標の指定役務は、上記2(4)イのとおり、「通信販売業者に代わって通信販売の事務処理を代行するサービス」及び「依頼者の要望に応じて電子計算機用プログラムを依頼者の使用させるサービス」であるところ、申立人の業務に係るファッション関連の商品(被服、時計、サングラス、香水等)とは、事業者、用途、販売場所と提供場所等が一致しているものはいえないから、関連性を有するものとはいえない。
エ 出所の混同のおそれについて
上記のとおり、本件商標と申立人商標は、「BOSS」の欧文字を共通にするものであることから、類似性の程度は高いものといえるものの、申立人商標は、需要者の間に広く認識されていると認められず、本件商標の指定役務と申立人の業務に係るファッション関連の商品(被服、時計、サングラス、香水等)とは、関連性が有するとはいえないものである。
そうすると、本件商標権者が本件商標をその指定役務について使用をした場合、これに接する需要者が、申立人商標を連想又は想起することはなく、その役務が申立人あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その役務の出所について混同を生ずるおそれはないとするのが相当である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(4)むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号のいずれにも該当するものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲
別掲1(引用商標1)


別掲2(引用商標2)


別掲3(引用商標3)





異議決定日 2021-06-23 
出願番号 商願2019-14960(T2019-14960) 
審決分類 T 1 651・ 262- Y (W3542)
T 1 651・ 263- Y (W3542)
T 1 651・ 261- Y (W3542)
T 1 651・ 271- Y (W3542)
最終処分 維持  
前審関与審査官 小島 玖美堀内 真一 
特許庁審判長 榎本 政実
特許庁審判官 豊田 純一
小俣 克巳
登録日 2020-01-22 
登録番号 商標登録第6218609号(T6218609) 
権利者 楽天株式会社
商標の称呼 ボス 
代理人 山崎 和香子 
代理人 松永 章吾 
代理人 前川 砂織 
代理人 奥山 尚一 
代理人 アインゼル・フェリックス=ラインハルト 
代理人 高橋 菜穂恵 
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