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審決分類 |
審判 一部無効 商4条1項10号一般周知商標 無効としない W19 審判 一部無効 商4条1項15号出所の混同 無効としない W19 |
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管理番号 | 1375997 |
審判番号 | 無効2020-890079 |
総通号数 | 260 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2021-08-27 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 2020-11-04 |
確定日 | 2021-06-21 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第6149177号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第6149177号商標(以下「本件商標」という。)は、「防草ワッシャー」の文字を標準文字により表してなり、平成30年7月9日に登録出願、第6類「金属製ワッシャー」、第19類「リノリューム製建築専用材料,プラスチック製建築専用材料,プラスチック製植生境界の見切り材,ゴム製植生境界の見切り材,合成建築専用材料,アスファルト及びアスファルト製の建築用又は構築用の専用材料,ゴム製の建築用又は構築用の専用材料,しっくい,石灰製の建築用又は構築用の専用材料,石こう製の建築用又は構築用の専用材料,繊維製の落石防止網」及び第20類「座金及びワッシャー(金属製・ゴム製又はバルカンファイバー製のものを除く。)」を指定商品として、同31年4月18日に登録査定され、令和元年5月31日に設定登録されたものである。 第2 引用商標 請求人が、本件商標の登録の無効の理由において、引用する商標は、「防草ワッシャー」の文字を横書きしてなるものであり(以下「引用商標」という。)、請求人が商品「建築用又は構築用の防草・植栽用具」を表示するものとして使用しているというものである。 第3 請求人の主張 請求人は、「本件商標は、その指定商品中、第19類『リノリューム製建築専用材料,プラスチック製建築専用材料,プラスチック製植生境界の見切り材,ゴム製植生境界の見切り材,合成建築専用材料,アスファルト及びアスファルト製の建築用又は構築用の専用材料,ゴム製の建築用又は構築用の専用材料,しっくい,石灰製の建築用又は構築用の専用材料,石こう製の建築用又は構築用の専用材料,繊維製の落石防止網』についての登録を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第18号証を提出した。 1 無効事由 本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同項第15号に該当し、同法第46条第1項第1号により、無効にすべきものである。 2 無効理由 (1)引用商標について 引用商標は、「防草ワッシャー」の文字を書してなり、請求人の業務に係る商品「建築用又は構築用の防草・植栽用具」を表示するものとして使用されているものである。 甲第2号証として「防草ワッシャー」及び「ボウソウワッシャー」の文字を二段に書した商標が、過去商標登録されていたことを示す商標公報を提出するが、その登録日は2006年である。 甲第3号証にあるように、請求人の業務に係る商品「建築用又は構築用の防草・植栽用具」を利用し、引用商標を冠した「防草ワッシャー工法」は、2008年にNETIS(新技術情報提供システム)に新技術として登録され、2013年には有用な技術として現在に至るまで掲載され、同業界の取引者、需要者に周知されているものである。 請求人商品カタログ(甲4)及び請求人取引先商品カタログ(甲5)には、遅くとも2013年から、2018年より前に、継続して引用商標が請求人の業務に係る商品「建築用又は構築用の防草・植栽用具」を表示するものとして使用されている。 オンライン通販大手である楽天市場、Amazon及びYAHOO!JAPANショッピングの「防草ワッシャー」商品情報(甲6?甲8)において、それらで「防草ワッシャー」をキーワードとして検索した結果として表示される商品は大部分が請求人の業務に係る商品又は請求人の取引先の業務に係る商品であることが分かる。 2012年ないし2019年までの請求人商品「防草ワッシャー」の取引書類(甲9?甲16)によれば、かなりの取引量が全国的に継続して行われていることが分かる。 その結果、2017年には取引先は791箇所に及び、年間販売個数は1千万個を超え、年間販売売上は2億円を超えている(甲17)。 請求人及び同業界大手3社の売上データから請求人実績及び比率により試算したところ、請求人の業務に係る商品の市場占有率は67%を超えるものと推定される(甲18)。 以上より、引用商標は、請求人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標である。 (2)商標法第4条第1項第10号について 本件商標は、標準文字により「防草ワッシャー」と書してなる一方、引用商標は、「防草ワッシャー」の文字を書してなるところ、両商標は同一である。 そして、引用商標が、本件商標の登録出願日である2018年(平成30年)7月9日より前に、請求人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されていたことは上述のとおりである。 また、本件商標は、請求人の業務に係る商品「建築用又は構築用の防草・植栽用具」に類似する商品「リノリューム製建築専用材料,プラスチック製建築専用材料,プラスチック製植生境界の見切り材,ゴム製植生境界の見切り材,合成建築専用材料,アスファルト及びアスファルト製の建築用又は構築用の専用材料,ゴム製の建築用又は構築用の専用材料,しっくい,石灰製の建築用又は構築用の専用材料,石こう製の建築用又は構築用の専用材料,繊維製の落石防止網」について使用するものである。 (3)商標法第4条第1項第15号について 本件商標と引用商標とが同一であること、及び引用商標が本件商標の登録出願時より前に請求人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されていたことは上述のとおりである。 したがって、本件商標は、引用商標が使用されている請求人の業務に係る商品「建築用又は構築用の防草・植栽用具」に類似する商品「リノリューム製建築専用材料,プラスチック製建築専用材料,プラスチック製植生境界の見切り材,ゴム製植生境界の見切り材,合成建築専用材料,アスファルト及びアスファルト製の建築用又は構築用の専用材料,ゴム製の建築用又は構築用の専用材料,しっくい,石灰製の建築用又は構築用の専用材料,石こう製の建築用又は構築用の専用材料,繊維製の落石防止網」について使用された場合は、取引者、需要者をして請求人の業務に係る商品であると誤認し、商品の出所について混同するおそれがあるといわざるを得ない。 第4 被請求人の答弁 被請求人は、結論同旨の審決を求める、と答弁し、その理由を要旨以下のように述べた。 1 本件商標と引用商標について 本件商標は、甲第1号証のとおりであるのに対し、甲第2号証は、請求人が過去に商標登録されていた商標の商標公報であり、平成28年9月22日に権利消滅したものであり、「防草ワッシャー」の文字と「ボウソウワッシャー」の文字を上下二段に書してなるものである。 請求人は、この商標公報(甲2)と、甲第3号証ないし甲第18号証をもとに、本件商標の登録出願日以前から当該商標を使用していたから、引用商標は、請求人の業務に係る商品「建築用又は構築用の防草・植栽用具」を表示するものとして需要者の間に広く認識されていると主張している。 先ず、甲第2号証は、「防草ワッシャー」の文字と「ボウソウワッシャー」の文字を上下二段表記して登録された商標公報であるのに対し、甲第3号証ないし甲第18号証の何れにおいても、「防草ワッシャー工法」や「防草ワッシャー」、「防草ワッシャーグリーン」等の商標が使用されていたことは認められるが、これらは何れも単に「防草ワッシャー工法」や「防草ワッシャー」、「防草ワッシャーグリーン」の文字を横書きにして一段表記したものであり、二段表記で登録されている甲第2号証の使用形態であるとの主張については疑義が生じるものである。 また、甲第3号証の表題が「公共工事等における新技術活用システム」は、請求人と国土交通省の東北地方整備局、中国地方整備局間の書類であり、単に、請求人と官公庁のしかも限られた地方の整備局間で「防草ワッシャー工法」の名称が使われていたとしても、限られた二者間の取引があったことを示すに止まり、それが需要者の間に、請求人の業務に係る商品を表示するものとして広く認識されている商標であるとは認められない。 さらに、甲第3号証のカタログ類には、「防草ワッシャー工法」又は「防草ワッシャー」の記載があるものは認めるが、これら何れの各カタログ類を精査しても、どこにどのようにどれだけ配布されたか不明であり、このようなカタログ類が、「防草ワッシャー」の商標が請求人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標であると認められる証拠となり得ない。 甲第4号証と甲第5号証の取引先商品カタログには、「防草ワッシャー」の記載があるものは認めるが、その何れにおいても、甲第3号証のカタログ類と同様に、配布先、配布部数、配布方法等が不明であり、このようなカタログ類は、請求人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標の証拠であるとは認められない。 甲第6号証ないし甲第8号証は、電子通販の楽天市場やYAHOO、Amazonにおける防草ワッシャーの通販の画面コピーと販売管理表であり、前者の画面コピーに防草ワッシャーの記載があるのは認めるが、ワッシャーそのものは単に青黒い円形のものが示されているだけで画像が不鮮明であるので、それが防草ワッシャーであるかは判然としないものであり、また、後者の販売管理表には品目名の欄には「防草ワッシャーグリーン」と、「防草ワッシャー」と「グリーン」を一連に表記した品名が記載されており、甲第2号証の商標「防草ワッシャー/ボウソウワッシャー」と異なる表記がなされている他、甲第6号証ないし甲第8号証によって、「防草ワッシャー」という商標が用いられている等、統一的に本件商標と同じ「防草ワッシャー」なる商品名が用いられているとはいい難く、需要者の間に知られていたとはいい難い。 さらに、甲第6号証では、通販の画面コピーは2020年02月06日と記載され、甲第7号証と甲第8号証には日付の記載はなく、各販売管理表の日付を見ても、本件商標の出願日である2018年7月9日よりも遅い2019年の最近のものであり、したがって、甲第6号証ないし甲第8号証によって、本件商標の「防草ワッシャー」が登録出願された日以前に、請求人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されていたという主張は成り立たない。 甲第9号証ないし甲第16号証は、注文書等の取引書類であるが、2012年ないし2019年間の7年間の取引先と取引量に関しては請求人が主張するほど多くなく、その相手取引先の所在都道府県も限られており、請求人が述べている「取引量が全国的に継続して行われている」ことと、多くの取引先が全国的に広く展開していることとは全く異なることであり、したがって、請求人の業務に係る商品を表示する「防草ワッシャー」の商標が、全国の需要者の間に請求人のものであると広く認識されている根拠にはならない。 甲第17号証の売上実績なる書類は、制作年、制作者、発行者等の記載は一切なく、請求人との関連性が確認できないとともに、記載されているその内容は単に数字を並べて、取引先数、売上個数、販売売上金額が多いと主張しているが、これらの数値には裏付けに乏しいので全く信ぴょう性がなく、請求人が「防草ワッシャー」という商標を用い、これが需要者の間に広く知られているとする根拠にはならない。 請求人は、表題が「防草ワッシャー:シェア」となっている書類(甲18)を挙げて、請求人の業務に係る商品の市場占有率が多いと推定できるとしているが、同業他社よりも売上金額と市場占有率が多いことと、請求人が使用している「防草ワッシャー」の商標が全国的に広く知られていることとは、全く次元の異なることであり、よって、請求人の業務に係る商品を表示する「防草ワッシャー」の商標が、全国の需要者の間に請求人のものであると広く認識されている根拠にはならない。 2 商標法第4条第1項第10号について 甲第2号証は、「防草ワッシャー」と「ボウソウワッシャー」の文字を上下二段に表記したものであり、また、甲第3号証ないし甲第18号証の何れにおいても、前記のように、請求人は本件商標の登録出願日以前から、「防草ワッシャー工法」や「防草ワッシャーグリーン」等を一連に表した複数の表現を用いており、「防草ワッシャー」という商標のみを統一的に用いて運用していたという事実はなく、本件商標をもって請求人の業務に係る商品を表示するものとして、需要者の間に広く認識されていたとする主張の根拠として成り立たないものである。 3 商標法第4条第1項第15号について 前記2と同様に、甲第2号証は「防草ワッシャー」と「ボウソウワッシャー」の文字を上下二段に表記したものであり、また、甲第3号証ないし甲第18号証の何れにおいても、前記のように請求人は本件商標の登録出願日以前から、「防草ワッシャー工法」や「防草ワッシャーグリーン」等を一連に表した複数の表現を用いており、「防草ワッシャー」という商標のみを統一的に用いて運用していたという事実はなく、本件商標をもって請求人の業務に係る商品を表示するものとして、需要者の間に広く認識されていたとする主張の根拠として成り立たないものであるから、本件商標が第19類の指定商品について使用された場合に、取引者、需要者をして請求人の商品であると誤認したり、商品の出所について混同したりするおそれは生じないものである。 第5 当審の判断 請求人が本件審判を請求する利害関係を有することについては、当事者間に争いがなく、また、当審は請求人が本件審判を請求する利害関係を有するものと認める。 以下、本案に入って審理する。 1 引用商標の周知性について 請求人の主張及び同人の提出した証拠によれば、以下のとおりである。 (1)平成20年10月6日付けの「公共工事等における新技術活用システム NETIS登録のお知らせ」と題する書面によれば、請求人申請の「防草シートを使用した防草ワッシャー工法」が、新技術名称としてNETISに登録されたことが認められる(甲3)。 そして、上記工法は、株式会社二本ビジネスプラン発行の「NETIS/New Technology Information System/登録資材・工法紹介/+建設工法」(2012年版)、株式会社建設物価サービス発行の「建設工法/NETIS」(2013年版、2015年版、2016年版、2018年版、2019年版)に掲載されていることが認められる(甲3)。 また、当該各冊子の発行部数、頒布範囲等は不明である。 (2)請求人に係る「植栽ワッシャー(R) with ザバーン(R)防草シート/ザバーン(R)防草シートを使用した防草ワッシャー工法(NETIS登録)」と題する商品カタログ(甲4)には、「アイテム一覧」の項に、商品「ワッシャー」の画像とともに「防草ワッシャー(R)」の記載があるが、その発行時期に関する記載はない。 (3)商品「防草シート」等に関する、請求人以外の会社に係る商品カタログ(2013年?2019年:甲5)には、防草シートの部材として「防草ワッシャー」が掲載されており、そのうち、「B-Life.s/Orignal Exterior & Garden Items/vol.16」及び「2013?2014」を表題とするカタログには、「防草ワッシャー(R)」の文字と商品の写真が掲載されており、「防草ワッシャー」は請求人の登録商標である旨の記載があり、また、「EXIS LAND VOL.11/2015 ALL ITEM CATALOG」を表題とするカタログ及び「厳選素材」を表題とするカタログ(2015年4月1日発行)には「防草ワッシャー(R)」の文字が記載されており、「防草ワッシャー」は請求人の登録商標である旨の記載がある。 そして、他のカタログには、上記のような記載があっても日付が特定できないものであったり、日付が特定できても、請求人の登録商標である旨の記載がなかったりするものである。 (4)「楽天市場」、「Amazon.co.jp」、「YAHOO!JAPANショッピング」の「防草ワッシャー」の商品情報ウェブサイト(甲6?甲8)において、「防草ワッシャー」を商品名とする商品の販売情報が、商品「ワッシャー」の画像とともに掲載されているが、当該商品の「取り扱い開始日」は不明である。また、当該商品「ワッシャー」の画像は不鮮明であり、当該商品自体に請求人を表示する記載があるか否かは確認できない。 (5)請求人は、2012年ないし2019年までの請求人商品「防草ワッシャー」の年毎の取引書類(甲9?甲16)を提出し、かなりの取引量が全国的に継続して行われていること、また、2017年には取引先は791箇所に及び年間販売個数は1千万個を超え、年間販売売上は2億円を超えている(甲17)こと、さらに、請求人及び同業界大手3社の売上データから請求人実績及び比率により試算すると、請求人の業務に係る商品の市場占有率は67%を超えるものと推定される(甲18)ことなどを主張している。 しかしながら、2012年ないし2019年の請求人の商品の取引書類(請求人を宛先とする注文書又は発注書)から「防草ワッシャー」について複数の業者と取引があったことは推認できるとしても、これらの注文に対して商品を納品し対価を得たことを示す書類の提出はないから、これらの証拠をもって、請求人の商品が「かなりの取引量が全国的に継続して行われている」ことの証明にはならない。また、上記の防草ワッシャーの売上(甲17)、防草ワッシャーの市場シェアを立証する書面(甲18)は、数字のみを一覧表にしたもので、そこに記載の数字を裏付ける具体的、客観的な証拠の提出はなく、誰が、いつ作成したものであるかも明らかではないし、同業他社の販売額等は立証されていないから金額の多寡について評価することはできない。さらに、防草ワッシャーの市場シェア(甲18)は、請求人と他3社の防草ワッシャーの売上合計から導き出した数値と認められ、業界における商品「ワッシャー」の売上及び市場シェアを示したものとまでは認めることができない。 (6)判断 以上によれば、請求人は、2012年(平成24年)頃から引用商標を、商品「ワッシャー」について使用していたことがうかがえるものの、請求人提出の証拠を見ても、その主張に係る商品の我が国における市場全体の規模(市場シェア等の量的規模)等を客観的かつ具体的に把握することはできない。また、商品カタログ(甲5)に掲載された事実は確認できるとしても、そのカタログの、頒布数、頒布先、頒布地域、頒布時期等が明らかでないし、商品情報のウェブサイト(甲6?甲8)における販売情報についても、当該ウェブサイトにおける「防草ワッシャー」を商品名とする商品の掲載日を確認することはできないから、その宣伝の効果は、推し量ることができない。 また、引用商標を使用した請求人の業務に係る商品について、その他の媒体による広告宣伝の方法・期間・地域・規模等については何らの証拠も提出されていない。 その他、引用商標が、請求人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国において、周知著名性を獲得していたと認めるに足りる客観的証拠は見いだせない。 以上を総合すれば、提出された証拠によっては、引用商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時に、請求人の業務に係る商品「建築用又は構築用の防草・植栽用具」を表示するものとして需要者の間に広く認識されていたと認めることはできない。 2 商標法第4条第1項第10号該当性について 本件商標及び引用商標は、いずれも「防草ワッシャー」の文字からなるものであるから、構成文字を同一にするものであり、類似する商標といえる。 そして、本件審判の請求に係る第19類の指定商品と請求人の業務に係る商品「建築用又は構築用の防草・植栽用具」とは、いずれも建築用又は構築用の専用材料の範ちゅうに属する商品であるといえるから、類似する商品であって、関連性のある商品といえ、需要者を共通にする場合がある。 しかしながら、上記1(6)のとおり、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、請求人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間で広く認識されていたものと認めることはできないものであるから、本件商標と引用商標とは、類似する商標であり、その指定商品と請求人の業務に係る商品が類似する商品であるとしても、商標法第4条第1項第10号にいう「他人の業務に係る商品若しくは役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似する商標」には該当しないというべきである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しない。 3 商標法第4条第1項第15号該当性について 本件商標と引用商標とは、類似する商標であるとしても、引用商標は、上記1(6)のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、請求人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国における需要者の間に広く認識されていたと認めることはできないものである。 してみれば、本件商標と引用商標の類似性の程度が高く、請求に係る商品と請求人の業務に係る商品とが関連性を有し、需要者を共通にする場合があるとしても、引用商標は、需要者の間に広く認識されているものと認められないものであるから、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品について使用しても、これに接する取引者、需要者をして、引用商標を想起又は連想させることはなく、その商品が他人(請求人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その商品の出所について混同を生じさせるおそれはないものというべきである。 また、その他に本件商標が他人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがある商標であるというべき事情も見いだせない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。 4 むすび 以上のとおり、本件商標の登録は、本件審判の請求に係る指定商品について、商標法第4条第1項第10号及び同項第15号のいずれにも違反してされたものではないから、同法第46条第1項により、無効とすることはできない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審理終結日 | 2021-04-27 |
結審通知日 | 2021-04-30 |
審決日 | 2021-05-12 |
出願番号 | 商願2018-88582(T2018-88582) |
審決分類 |
T
1
12・
25-
Y
(W19)
T 1 12・ 271- Y (W19) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 齋藤 健太、吉沢 恵美子、赤澤 聡美 |
特許庁審判長 |
小松 里美 |
特許庁審判官 |
小俣 克巳 榎本 政実 |
登録日 | 2019-05-31 |
登録番号 | 商標登録第6149177号(T6149177) |
商標の称呼 | ボーソーワッシャー、ボーソー、ワッシャー |
代理人 | 関口 正夫 |
代理人 | 小野寺 隆 |