ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード![]() |
審決分類 |
審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない X25 |
---|---|
管理番号 | 1375963 |
審判番号 | 取消2020-300191 |
総通号数 | 260 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2021-08-27 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2020-03-13 |
確定日 | 2021-05-31 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第1947920号商標の登録取消審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は,成り立たない。 審判費用は,請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標について 本件登録第1947920号商標(以下「本件商標」という。)は,上段に「アフィクス」の片仮名と下段に「AFFIX」の欧文字を二段に横書きした構成からなるものであり,昭和60年4月12日に登録出願され,同62年4月30日に商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として設定登録がされ,その後,平成20年3月19日に商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品とする指定商品の書換登録がされ,同29年5月16日の商標権の存続期間の更新登録によりその商標権は第25類「被服」となり,現に有効に存続しているものである。 なお,本件審判の請求の登録日は令和2年4月3日である(以下,当該登録前3年以内の期間(平成29年4月3日ないし令和2年4月2日)を「要証期間」という。)。 第2 請求人の主張 請求人は,本件商標の登録を取り消す,審判費用は被請求人の負担とする旨の審決を求め,その理由を要旨下記1のように述べ,証拠方法として甲1?甲3を提出した。 1 請求の理由 本件商標は,その指定商品について,継続して3年以上日本国内において商標権者,専用使用権者及び通常使用権者のいずれも使用した事実が存在しないから,商標法第50条第1項の規定により,その登録は取り消されるべきである。 2 答弁に対する弁駁 なお,請求人は,被請求人の答弁に対し,何ら弁駁していない。 第3 被請求人の答弁 被請求人は,結論同旨の審決を求め,答弁において,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として,乙1の1?乙4の5を提出した。 1 本件商品の使用事実及び使用商標について (1) 乙1の1?乙1の5は,指定商品「被服」に包含される商品「スラックス」について撮影された写真であるところ,これら各写真より,商品の包装袋,紙製商品タグ及び織ネームにややデザイン化された「AFFIX」の文字が表示されているのがみてとれる。 また,乙1の5の洗濯ネームの裏側には本件商標権者の名称,同人の事業所の電話番号(乙2),製造国を示す「日本製」の表示がある。 (2) 本件商標の構成「アフィクス/AFFIX」において,片仮名文字は欧文字の唯一の発音を仮名書きしたものであり(乙3),欧文字部分の読みを特定する役割を果たすものと無理なく認識できる。このため,乙1の1?乙1の5において使用されている態様は,本件商標の欧文字部分とは文字の色彩及びデザインに差異はあるものの,同じ綴字からなり,同一の称呼及び観念を生じることから,社会通念上同一であることが明白である。 (3) 乙4の1?乙4の5は,本件商標権者が発行した納品書の控であって,例えば乙4の1には,2017年12月5日に,本件商標権者から岩手県の佐幸商店へ品番「APL-662」の「女子スラックス」の「色55,サイズM」の商品が3点納品されていることが示されている。そして,乙4の1?乙4の5の各納品書に記載されている商品の品番「APL-662」は,乙1の3及び乙1の4の紙製商品タグ及び洗濯ネームに表示された品番「APL-662」と一致するものであり,乙4の1?乙4の5で納品された商品「女子スラックス」は,乙1の1?乙1の5で示した商品の色違い,サイズ違いの商品を意味するものである。 2 小括 以上のとおりであるから,本件商標が,その指定商品「被服」に包含される「スラックス」について,要証期間に日本国内において本件商標権者により使用されていたことは,被請求人提出の証拠により明らかである。 第4 当審の判断 1 認定事実 (1) 乙1の1?乙1の5は,ズボンと思しき商品の一連の写真であって(乙1の1及び乙1の2のものは,透明なビニルで包装されている。),当該商品に縫着された織ネーム及び洗濯ネームのうち,織ネームには,デザイン化され,「X」の一部を濃紅色にし,他の部分が白色である「AFFIX」の文字(以下「本件使用商標」という。)及び「AFFIX」に比し極めて小さく表された「PRODUCED BY UPRISE」の文字が二段横書きに表示されている。そして,洗濯ネームの表側には,上から順に「APL-662」「女子スラックス」「SIZE LL」「69?74×73」「ポリエステル65%」「綿35%」の表示がそれぞれ認められ(乙1の4),当該洗濯ネームの裏側には,本件商標権者の名称である「(株)クラボウインターナショナル」の表示が認められる(乙1の5)。 (2) 乙4の4は,その右上に横書きで本件商標権者の名称である「株式会社クラボウインターナショナル」の文字があらかじめ印刷された納品書控であって,その上部には,当該納品書控の宛先と思しき「広島県」「高橋被服(株) 殿」の文字とともに,作成日と思しき「2019年03月20日」の文字が印字され,その中央部には,「品番・品名」として「APL-662 女子スラックス」,「色」として「11」,「サイズ」として「LL」及び「数量」として「43.00」の記載がみてとれる。 また,乙4の5は,同様に,本件商標権者の名称があらかじめ印刷された納品書控であって,その上部には,宛先と思しき「荒川区」「(株)新和商事 殿」の文字とともに,「2019年03月22日」の文字が印字され,その中央部には,「品番・品名」として「APL-662 女子スラックス」,「色」として「55」,「サイズ」として「LL」及び「数量」として「8.00」の記載がみてとれる。 (3) 上記(1)及び(2)を総合すると,以下の事実を認めることができる。 ア 本件使用商標が付されたものは,その表示より,品番と思しき記号が「APL-662」,サイズが「LL」である女子用の「スラックス」(以下「本件使用商品」という。)であって,本件商標権者が製造もしくは販売したものと認められる。 イ 本件商標権者は,品番「APL-662」,サイズ「LL」である品名「女子スラックス」の商品を,2019年(平成31年)3月20日に広島県にある高橋被服株式会社に,同月22日に東京都荒川区にある株式会社新和商事に,それぞれ納品した。 ウ 本件商標権者によって高橋被服株式会社及び株式会社新和商事にそれぞれ納品された上記イの商品は,納品書控(乙4の4,乙4の5)に印字された文字のうち,「APL-662」,「女子スラックス」,サイズ「LL」の点で本件使用商品に表示の文字と一致し,納品書控に記載の納品元と本件使用商品に表示の製造元もしくは販売元との表示が一致することなどから,本件使用商標が付された本件使用商品である。 2 判断 上記1において認定した事実によれば,以下のとおり判断できる。 (1) 本件使用商標の使用者,使用場所及び使用時期について 本件使用商標を付した本件使用商品を高橋被服株式会社及び株式会社新和商事に納品したのは本件商標権者であるから,本件使用商標の使用者は本件商標権者であり,その使用場所は日本国内であることが明らかであって,当該商品の納品日は2019年(平成31年)3月20日及び同月22日であるから,その使用時期は要証期間内であると認められる。 (2) 本件使用商品について 本件使用商品は「スラックス」であり,これは,本件審判の請求に係る指定商品である第25類「被服」の範ちゅうに属する商品であるといえる。 (3) 本件使用商標について 本件商標は,上記第1で述べたとおり,上段に「アフィクス」の片仮名と下段に「AFFIX」の欧文字を二段に横書きした構成からなるものであるところ,その構成態様によれば,上段に位置する片仮名は下段に位置する欧文字の読みを表したものと看取,理解される。 これに対し,本件使用商標は,上記1(1)で述べたとおり,デザイン化され,「X」の一部が濃紅色で他の部分が白色である「AFFIX」の文字からなるものであり,その構成文字に相応した「アフィクス」の称呼を生じるものと認められる。 そうすると,本件使用商標はデザイン化されているものの,本件商標の下段の欧文字と同一のつづりからなるものであって,本件商標と同一の称呼を生じるといえるものであるから,本件使用商標は本件商標と社会通念上同一の商標であるといえる。 (4) 使用行為について 上記(1)?(3)で検討のとおり,本件商標権者は,要証期間に日本国内において,本件審判の請求に係る指定商品に含まれる「スラックス」に,本件商標と社会通念上同一の商標を付して,高橋被服株式会社及び株式会社新和商事に納品していたことが認められる。そうすると,本件商標権者のかかる行為は,商標法第2条第3項第2号にいう,商品に標章を付したものを譲渡又は引き渡しする行為に該当するものと認められる。 3 まとめ 以上のとおり,被請求人は,本件商標権者が本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において,本件審判の請求に係る指定商品に含まれる本件使用商品「スラックス」について,本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していることを証明したというべきである。 したがって,本件商標の登録は,その請求に係る指定商品について,商標法第50条の規定により取り消すことはできない。 審判に関する費用については,商標法第56条第1項で準用する特許法第169条第2項で準用する民事訴訟法第61条の規定により,請求人が負担すべきものである。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
|
審理終結日 | 2020-12-22 |
結審通知日 | 2020-12-24 |
審決日 | 2021-01-19 |
出願番号 | 商願昭60-38138 |
審決分類 |
T
1
31・
1-
Y
(X25)
|
最終処分 | 不成立 |
特許庁審判長 |
半田 正人 |
特許庁審判官 |
須藤 康洋 大森 友子 |
登録日 | 1987-04-30 |
登録番号 | 商標登録第1947920号(T1947920) |
商標の称呼 | アフィクス、アフィックス |
代理人 | 特許業務法人 丸山国際特許事務所 |
代理人 | 特許業務法人森本国際特許事務所 |