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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Z3742
管理番号 1375138 
審判番号 取消2019-300427 
総通号数 259 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2021-07-30 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2019-06-07 
確定日 2021-05-31 
事件の表示 上記当事者間の登録第4495294号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4495294号商標の指定役務中、第37類「全指定役務」及び第42類「電子計算機その他の情報処理機器による情報処理,電子計算機の開発・設計,電子計算機用プログラムの開発・設計・作成又は保守,電子計算機その他の情報処理機器及びそのシステム・自動車その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法等に関する紹介及び説明・指導・助言,気象情報の提供,建築物の設計,測量,機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらにより構成される設備の設計,建築又は都市計画に関する研究,公害の防止に関する試験又は研究,電気に関する試験又は研究,土木に関する試験又は研究,機械器具に関する試験又は研究,電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープその他の周辺機器を含む。)の貸与,コンピューターハードウエアに関する試験・研究又は開発」についての商標登録を取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4495294号商標(以下「本件商標」という。)は、「iftc.co.jp」の文字を標準文字で表してなり、平成12年2月9日に登録出願、第37類「電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路,磁気ディスクその他の周辺機器を含む。)の修理又は保守」、「電子計算機その他の情報処理機器による情報処理,電子計算機の開発・設計,電子計算機用プログラムの開発・設計・作成又は保守,電子計算機その他の情報処理機器及びそのシステム・自動車その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法等に関する紹介及び説明・指導・助言,気象情報の提供,建築物の設計,測量,機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらにより構成される設備の設計,建築又は都市計画に関する研究,公害の防止に関する試験又は研究,電気に関する試験又は研究,土木に関する試験又は研究,機械器具に関する試験又は研究,電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープその他の周辺機器を含む。)の貸与,コンピューターハードウエアに関する試験・研究又は開発」を含む第42類に属する商標登録原簿記載の役務並びに第38類及び第41類に属する商標登録原簿記載のとおりの役務を指定役務として、同13年8月3日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
本件審判の請求の登録日は、令和元年6月25日であり、本件審判の請求の登録前3年以内の期間である平成28年6月25日から令和元年6月24日までを、以下「要証期間」という。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第4号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定役務中、第37類「全指定役務」及び第42類「電子計算機その他の情報処理機器による情報処理,電子計算機の開発・設計,電子計算機用プログラムの開発・設計・作成又は保守,電子計算機その他の情報処理機器及びそのシステム・自動車その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法等に関する紹介及び説明・指導・助言,気象情報の提供,建築物の設計,測量,機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらにより構成される設備の設計,建築又は都市計画に関する研究,公害の防止に関する試験又は研究,電気に関する試験又は研究,土木に関する試験又は研究,機械器具に関する試験又は研究,電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープその他の周辺機器を含む。)の貸与,コンピューターハードウエアに関する試験・研究又は開発」(以下「取消請求役務」ということがある。)について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)本件商標の要部について
本件商標は、同書同大かつ等間隔で構成されており、その構成中「jp」はトップレベルドメインとして日本を示し、「co」は第2レベルドメインとして組織属性である会社を示すものであって、全体として日本国内で登記を行っている会社が登録可能な属性型JPドメインの一種であり、本件商標の構成全体をもってドメイン名の一つを表したものとして需要者に認識させるものとみるのが自然である。
「iftc」が要部であるならば、「iftc」で商標登録出願すればよいのであって、被請求人があえて本件商標の構成で商標登録出願をしていることからしても、「iftc.co.jp」の構成全体をもってドメイン名として需要者に認識させる意図があったものといえ、本件商標の外観、及び被請求人の商標登録出願の意図に基づけば、本件商標は全体で一体不可分の商標である。
したがって、本件商標の構成中「iftc」の部分のみの使用は、社会通念上にみても本件商標と同一の形態での使用とはいえない。
(2)本件商標権者の商標の使用の事実について
商標法第50条の「商品又は役務について登録商標の使用」があったというには、当該商品又は役務の識別表示として、同法第2条第3項、同条第4項所定の行為がされることを要するものであり、具体的には、(ア)商標法上の商品又は役務たるものと具体的関係において商標が使用されていること、(イ)商標が社会通念上同一の形態で使用されていること、(ウ)商標が商品又は役務の自他識別・出所表示として使用されていること、の事実があることが必要であると解される。
以上を前提として、本件商標の使用の事実について検討する。
ア メールアドレス
乙第4号証は、本件商標権者及び関連会社(以下「商標権者グループ」という。)の従業員に付与される業務上のメールアドレスであり、その一部に本件商標が表示されていたとしても、文字や記号全体としてメールアドレスとしての機能を発揮するにすぎず、自他役務の識別・出所表示としての機能を果たし得るものではない。メールアドレス中の商標の使用の是非については、特許庁の審決(甲3)において明確に否定されており、メールアドレスにおける本件商標の使用は商標法上の使用には該当しない。
イ 名刺
乙第4号証は、商標権者グループの従業員に配布される名刺らしきものであることは認められるが、かかる名刺がいつ、誰に対して、何枚配布されたのかについて被請求人は何ら立証をしていない。
仮に、その配布先等を立証したとしても、名刺におけるメールアドレスの表示については、商標法上の「使用」に該当しない。名刺への登録商標の表示は商品や役務との関連性など全くなく、単に自身の身分を証明するものにすぎないものであるため、商品又は役務の自他識別・出所表示としての機能を発揮しているものとはいえない。
以上より、乙第4号証は、使用の事実を立証するための証拠とはなり得ない。
ウ ホームページのアドレス
商標権者グループのホームページにおいては、ロゴ化した「IT」(乙1、乙4)や、「INFOTEC」(乙1、乙4)、「インフォテック」(乙1、乙4)、「インフォテック・サービス」(乙2)、「IMAGE」(乙3、乙4の4、乙6)、「イマージュ」(乙4の4、乙6)なる文字が、商標権者グループの提供するサービスとの関係で表示されているものの、本件商標はホームページのアドレスとしてのみ表示されているにすぎず、商標権者グループのホームページ内において、商標権者グループの業務と関連付けられた使用は一切ない。
以上より、本件商標が商標権者グループのホームページにおいて、本件商標権者の役務の自他識別・出所表示として機能するものとはいえない。
(3)本件商標の使用許諾
本件商標権者が関連会社に対して使用許諾を与えているという事実を示す証拠は、示されていない。
(4)本件商標の使用時期
本件商標について、メールアドレス、名刺及びホームページのアドレスの使用時期について、被請求人主張の根拠となる証拠は示されておらず、信憑性について疑わしい。
(5)個別の役務における本件商標の使用状況
被請求人は、個別の役務に係る本件商標の使用状況について種々主張するが、メールアドレス、名刺及びホームページのアドレスにおける本件商標の表示は商標法上の使用に該当しない。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第13号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 答弁の理由
(1)総論
本件商標は、本件商標の出願人である、ITコンサルティングやソフトウェア開発等を営むインフォテック株式会社(以下「インフォテック」という。)の英文表記「Infotec,Inc」のうち、象徴的部分であるInfotecから、母音を抜き出した略称である「iftc」によって構成されるものであり、以来、同社及び商標権者グループ(Infotecグループ)において、その商品又は役務の提供に際して使用している。そして、2003年、グループの持株会社として、本件商標権者(被請求人)が設立され、本件商標の商標権は本件商標権者に承継されるに至り、それ以降も引き続き、商標権者グループにおいて広くその商品又は役務の提供に際して使用している(乙1の1)。
ア 本件商標の要部
本件商標は、「iftc.co.jp」であるところ、「co」や「jp」には識別機能がなく、需要者が着目するのは「iftc」の部分であり、識別機能が生じるのは「iftc」の部分と解されるため、その要部は「iftc」の部分である(以下、本件商標の要部を「本要部」という。)。このため、本要部が使用されていれば、本件商標が使用されていると解される。
イ 商標権者グループにおける本要部の使用状況
(ア)商標権者グループについて
本要部は、持株会社たる本件商標権者の子会社を含む商標権者グループにおいて広く使用されている。本要部を使用している商標権者グループに属する会社のうち、本件審判の対象となっている個別の役務に関する会社及びその主な事業内容は、以下のとおりである(以下、これらの会社を「インフォテックら」ということがある。)。
a インフォテック
ソフトウェアの開発、製造、販売及び保守及び情報処理に関する一切の業務(乙1の2)。
b インフォテック・サービス株式会社(以下「インフォテック・サービス」という。)
クラウドアプリケーションの開発・保守、インフラシステムの構築・運用・保守、ネットワーク・サーバー運用管理・ヘルプデスク、システム運用監視等のオペレーション、コンピュータセンターのアウトプット運用・管理、損害保険・生命保険の保険代理店(乙2)。
c 株式会社イマージュ(以下「イマージュ」という。)
データ入力(データエントリー)に関する受託、人材派遣、システム開発などデータ入力(データエントリー)に関する一切の業務(乙3)。
(イ)商標権者グループにおける本要部の具体的な使用状況
本件商標権者を含む商標権者グループにおける本要部の具体的な使用状況は、以下のとおりである。商標権者グループは、日本において事業を営んでおり、本要部の使用は日本国内でなされているものである。
a メールアドレス
本件商標権者、インフォテックらの各役職員の会社から付与されている業務用メールアドレスにおける@マーク以下は、「iftc.co.jp」であり(乙4)、本要部が使用されている。当該メールアドレスは、役職員が所属する会社の業務を遂行する際に使用しているため、当該メールアドレスを使用して顧客らと連絡をとった場合、当該会社が提供する商品又は役務について、本要部が使用されているといえる。かかる使用は、インフォテックの商号を使用し始めた2000年4月以降現在に至るまでの使用である。
b 名刺
@マーク以下が「iftc.co.jp」であるメールアドレスは、各役職員の会社の名刺(乙4)に記載されており、本要部が使用されている。当該名刺は、役職員が所属する会社の業務を遂行する際に使用されているため、当該名刺を顧客らに対して交付した場合、当該会社が提供する商品又は役務について、本要部が使用されているといえる。かかる使用は、インフォテックの商号を使用し始めた2000年4月以降現在に至るまでの使用である。
c ホームページのアドレス
本要部は、本件商標権者、インフォテック、インフォテック・サービスの各社のホームページのアドレスにおいて使用されている(乙4の1?乙4の3)。
(a)本件商標権者 https://www.iftc-ithd.co.jp
(b)インフォテック https://www.iftc.co.jp
(c)インフォテック・サービス https://www.iftc-svc.co.jp
ホームページでは、各社の業務が記載されており、ホームページのアドレスにおいて使用されていれば、各社の業務と結び付く態様で使用されていることは明らかであるため、当該会社が提供する商品又は役務について、本要部が使用されているといえる。かかる使用は、インフォテックがその商号を使用し始めた2000年4月を皮切りとして、インフォテック・サービスにおいては2002年10月以降、本件商標権者においては2008年7月以降、それぞれ現在に至るまでの使用である。
ウ 本件商標の使用許諾
本件商標権者から上記各社に対して、本件商標の使用許諾がなされており、各社は通常使用権者として、本件商標又は本要部を使用しているものである。
エ 本要部の使用時期
商標権者グループにおける本要部の使用時期は、以下のとおりである。
(ア)メールアドレス及び名刺における使用時期は、2000年4月以降現在に至るまで継続的に使用している。
(イ)ホームページのアドレスにける使用時期は、本件商標権者においては、2008年7月以降現在に至るまで継続的に使用しており、インフォテックにおいては、2000年4月以降現在に至るまで継続的に使用しており、インフォテック・サービスにおいては、2002年10月以降現在に至るまで継続的に使用している。
(2)各論
以下、個別に本要部の使用状況について主張する。
ア 第37類「電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路、磁気ディスクその他の周辺機器を含む。)の修理又は保守」について
インフォテック・サービスは、インフラシステムの構築・運用・保守を行っており(乙2)、上述のメールアドレス、名刺、ホームページにおける本要部の使用状況からすれば、当該指定役務について、本要部(本件商標)が使用されているといえる。
イ 第42類「電子計算機その他の情報処理機器による情報処理」について
(ア)インフォテックは、ソフトウェアの開発及び情報処理に関する一切の業務を行っており(乙1の2)、上述のメールアドレス、名刺、ホームページにおける本要部の使用状況からすれば、当該指定役務について、本要部(本件商標)が使用されているといえる。
(イ)インフォテック・サービスは、インフラシステムの構築・運用・保守を行っており(乙2)、上述のメールアドレス、名刺、ホームページにおける本要部の使用状況からすれば、当該指定役務について、本要部(本件商標)が使用されているといえる。
(ウ)イマージュは、データ入力(データエントリー)に関する一切の業務を行っており(乙3)、上述のメールアドレス、名刺、ホームページにおける本要部の使用状況からすれば、当該指定役務について、本要部(本件商標)が使用されているといえる。
ウ 第42類「電子計算機用プログラムの開発・設計・作成又は保守」について
(ア)インフォテックは、ソフトウェアの開発及び情報処理に関する一切の業務を行っており(乙1の2)、上述のメールアドレス、名刺、ホームページにおける本要部の使用状況からすれば、当該指定役務について、本要部(本件商標)が使用されているといえる。
(イ)インフォテック・サービスは、インフラシステムの構築・運用・保守を行っており(乙2)、上述のメールアドレス、名刺、ホームページにおける本要部の使用状況からすれば、当該指定役務について、本要部(本件商標)が使用されているといえる。
(ウ)イマージュは、システム開発を行っており(乙3)、上述のメールアドレス、名刺における本要部の使用状況からすれば、当該指定役務について、本要部(本件商標)が使用されているといえる。
エ 第42類「電子計算機その他の情報処理機器及びそのシステム・自動車その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法等に関する紹介及び説明・指導・助言」について
インフォテック・サービスは、ネットワーク・サーバー運用管理・ヘルプデスク、損害保険・生命保険の保険代理店を行っており(乙2)、上述のメールアドレス、名刺、ホームページにおける本要部の使用状況からすれば、当該指定役務について、本要部(本件商標)が使用されているといえる。
オ 第42類「機械器具に関する試験又は研究」について
本件商標権者は、2017年に、電子工作ツール・3Dプリンターなどデジタル工作機の機器利用サービスを行うものづくりスペースを運営するなどして(乙5)、機械器具に関する試験又は研究を行っており、上述のメールアドレス、名刺、ホームページにおける本要部の使用状況からすれば、当該指定役務について、本要部(本件商標)が使用されているといえる。
カ 第42類「電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープその他の周辺機器を含む。)の貸与」について
イマージュは、在宅勤務者向けの入力機器の有償貸与事業を行っており(乙6)、上記のメールアドレス、名刺における本要部の使用状況からすれば、当該指定役務について、本要部(本件商標)が使用されているといえる。
2 令和3年2月22日付け再答弁書
(1)「jp」や「co」といったトップレベルドメイン、セカンドレベルドメインは、登録者の一般的な属性を示すものにすぎず、サードレベルドメインである「iftc」のみが登録者である本件商標権者が任意に選択できる部分である。したがって、「jp」や「co」は指定役務との関係において識別力を有するような部分ではないことは明らかであり、出所表示機能が発揮されるのは「iftc」の部分であって、「iftc」のみの使用をもって本件商標の使用といえる。
請求人は、「iftc」が要部であるならば「iftc」で商標登録出願すべきである旨を主張するが、要部のみをもって商標登録出願する必要はなく、請求人の主張が通れば、登録商標=要部となり、要部という概念を否定するものである。
(2)請求人は、商標法第50条の「登録商標の使用」とは、自他識別・出所表示として使用(いわゆる商標的使用)されていることが必要である旨主張しているが、同条の趣旨に鑑みれば、「登録商標の使用」とは、当該商標(又は要部)がその指定商品又は指定役務について何らかの態様で使用されていれば足り、出所表示機能を果たす態様に限定される理由はないことは明らかである(乙7)。
(3)請求人は、メールアドレスや名刺における本件商標の使用は商標法上の使用には該当しないと主張しているが、メールアドレス、名刺及びホームページについては、役職員が所属する会社の業務を遂行するに際して使用されているものであり、使用された際に業務遂行以外の用途で使用されていないことは明らかである。メール及び名刺を受け取った者あるいはホームページを見た者は、本要部が必ず当該会社の業務遂行のために使用されていることを認識することから、当該会社が提供する商品又は役務について本要部が使用されていることを認識するものといえ、この場合、まさに出所表示機能を果たす態様で使用されているものといえる。このため、メールアドレス、名刺及びホームページにおける使用が、当該会社が提供する商品又は役務についての本要部の使用(商標的使用)であることは明らかである。
(4)インフォテックらは、いずれも本件商標権者の100%子会社である。本件商標権者はインフォテックらが本要部を含む本件商標を使用していたことを当然に認識しつつ、これまで何らの異議を述べてないことからすれば、本件商標権者とインフォテックらとの間でそれぞれ本件商標に関する使用許諾の黙示の合意が締結されていたことは明らかである。
(5)本件商標権者が名刺及びメールアドレスを、2000年4月以降現在に至るまで継続的に使用している。本件審判請求の登録前の2018年だけでも、被請求人は、メールアドレスやホームページのアドレスが記載された名刺(乙4の1)を2,100枚発注している(乙8)。インフォテックらにおいても、それぞれ印刷会社に名刺を発注している(乙9、乙10、乙11)。このように、本件商標権者やインフォテックらは、継続的に名刺を発注しており、従業員らが名刺を業務で使用していたことは明らかである。
また、ホームページのアドレスについては、インフォテックの100%子会社である株式会社ビジネス情報が「iftc.co.jp」ドメイン名を2000年1月27日に登録し(乙12)、その後インフォテックが、同ドメイン名を2003年10月24日から現在に至るまで登録している(乙13)。
したがって、要証期間内に本件商標権者や通常使用権者が登録商用を使用していたことは明らかであり、本件商標権者やインフォテック・サービスにおいても、現在まで、同ドメイン名を継続的に使用している。

第4 当審の判断
1 被請求人が提出した証拠によれば、以下の事実が認められる。
(1)インフォテックのホームページ(抜粋)(乙1の2)
インフォテックのホームページ(抜粋)とされる書面の「会社概要」一覧表には、「商号/インフォテック株式会社」、「本店/〒160-0023 東京都新宿区西新宿・・・TEL:03-3360-・・・FAX:03-3360-・・・」、「URL/https://www.iftc.co.jp」等の記載がある。
(2)インフォテック・サービスのホームページ(抜粋)(乙2)
インフォテック・サービスのホームページ(抜粋)とされる書面は、1葉目上部の「会社概要/会社概要のご紹介です。」とのタイトルの下、「商号/インフォテック・サービス株式会社」、「所在地/〒160-0023 東京都新宿区西新宿・・・」、「URL/https://www.iftc-svc.co.jp」等の記載がある。
(3)名刺
ア 本件商標権者の名刺(乙4の1)
本件商標権者の役職員の名刺とされる書面は、名刺の表面と裏面を上下にコピーしたと思われるものであり、上側の名刺の表面には、氏名とおぼしき箇所をマスキングしたものと共に「E-mail:■■■@iftc.co.jp」等の記載がある(「■■■」は横長のマスキングを表す。以下同じ。)。
下側の名刺の裏面は、表面の英語版であり、氏名とおぼしき箇所をマスキングしたものと共に「URL:https://www.iftc-ithd.co.jp/」等の記載がある。
イ インフォテックの名刺(乙4の2)
インフォテックの役職員の名刺とされる書面は、上記アと同様、名刺の表面と裏面を上下にコピーしたと思われるものであり、上側の名刺の表面には、氏名とおぼしき箇所をマスキングしたものと共に「E-mail:■■■@iftc.co.jp」及び「URL:https://www.iftc.co.jp」等の記載がある。
下側の名刺の裏面は、表面の英語版であり、氏名とおぼしき箇所をマスキングしたものと共に「E-mail:■■■@iftc.co.jp」及び「URL:https://www.iftc.co.jp」等の記載がある。
ウ インフォテック・サービスの名刺(乙4の3)
インフォテック・サービスの役職員の名刺とされる書面は、名刺をコピーしたと思われるものであり、氏名とおぼしき箇所をマスキングしたものと共に、「E-mail:■■■@iftc.co.jp」及び「URL:https://www.iftc-svc.co.jp」等の記載がある。
エ イマージュの名刺(乙4の4)
イマージュの役職員の名刺とされる書面は、名刺の表面と裏面を上下にコピーしたと思われるものであり、上側の名刺の表面には、氏名とおぼしき箇所をマスキングしたものと共に「E-mail:■■■@iftc.co.jp」等の記載がある。
(4)本件商標権者のプレスリリース(乙5)
本件商標権者のプレスリリースとされる書面は、上部に「2019/7/4」、下部にURLが記載されたウェブサイトのプリントアウトであり、第1頁に「新宿に電子工作に特化したものづくりスペース期間限定でオープン!」のタイトルの下、「インフォテック・ホールディングス株式会社」、「2017年3月24日 09時46分」等の記載及び当該頁の右側に本件商標権者の名称の記載と共に「URL https://www.iftc-ithd.co.jp/」等の記載があり、また、第2頁に「運営会社」の項に「商号」として本件商標権者の名称の記載と共に「URL:https://www.iftc-ithd.co.jp/」等の記載がある。
(5)ドメイン情報(乙13)
JPRSが提供するドメイン名登録情報検索サービスとされる書面では、「ドメイン名」として「IFTC.CO.JP」、組織名として「インフォテック株式会社」、「登録年月日」及び「接続年月日」として「2003/10/24」、「最新更新」として「2020/11/01」等の記載がある。
2 上記1によれば、以下のとおり判断することができる。
(1)「本要部」について
被請求人は、本件商標の要部は「iftc」の文字部分(本要部)であり、当該文字の使用をもって本件商標の使用であると主張しているところ、本件商標を構成する「iftc.co.jp」の文字と被請求人が本要部と主張する「iftc」の文字とを比較すると、「.co.jp」の有無において文字構成が相違し、また、「iftc」はインフォテックの英文表記を略した構成であるとしても、直ちに特定の意味を認識させるとはいい難い文字列であるのに対し、「iftc.co.jp」は「.co.jp」の文字により「ドメイン名」を認識するものといえるから、両商標は観念においても相違する。
そうすると、「iftc」の文字は、本件商標とは文字構成や観念が異なるものであって、本件商標と社会通念上同一の商標ということはできないから、「本要部」のみを使用したとしても、本件商標を使用したということはできない。
なお、被請求人は、本件商標を使用したとして、本件商標権者及びインフォテックらのURL及び役職員のメールアドレスを挙げているので、以下、これらについて検討する。
(2)URLの使用について
ア インフォテックのホームページ(抜粋)及びインフォテックの役職員の名刺に、「URL」として記載された「https://www.iftc.co.jp」の文字は、その構成中に「iftc.co.jp」の文字を含む。しかしながら、かかる「URL」は、記載された文字及び記号全体として通信方式を含めたインターネット上のデータやサービスを特定するための形式的な表示方法としての文字(ホームページアドレス)にとどまるものとみるのが相当であるから、当該URLが自他役務の出所標識としての商標の使用であるということはできない。
さらに、上記のホームページの当該アドレス(URL)の下に、事業内容等が記載されているとしても、上記のとおり、当該URLは、ホームページアドレスとして記載されているにすぎず、取消請求役務に含まれる特定の役務について使用されているとはいい難いから、これをもって商標法第2条第3項各号の使用行為があったことを認定することはできない。
イ 本件商標権者のプレスリリース及び役職員の名刺に「URL」として記載された「https://www.iftc-ithd.co.jp」の文字並びにインフォテック・サービスのホームページ(抜粋)の「会社概要」の一覧表中及び役職員の名刺に、「URL」として記載された「https://www.iftc-svc.co.jp」がその構成中に含む文字は、「iftc-ithd.co.jp」又は「iftc-svc.co.jp」であるから、本件商標とは明らかに構成が相違する。
したがって、これらのURLは、本件商標と社会通念上同一とは認められない。
(3)メールアドレスの使用について
本件商標権者、インフォテックらの各役職員の名刺に記載された「E-mail:■■■@iftc.co.jp」の文字は、その構成中に「iftc.co.jp」の文字を含むとしても、当該役職員個人のメールアドレスであって、記載された文字及び記号全体として個人のメールアドレスを表示するにとどまるものとみるのが相当であるから、たとえ業務上の名刺であるとしても、これのみをもって直ちに自他役務の出所標識としての商標の使用であるということはできない。
(4)ドメイン名の使用について
インフォテックは、「IFTC.CO.JP」の文字からなるドメイン名を2003年10月24日に登録し、2020年11月1日においても使用しているとしても、本件商標権者及びインフォテックらは、当該ドメイン名をURLやメールアドレスの一部として使用しているのみであり、上記(2)及び(3)のとおり、当該URL及びメールアドレスは自他役務の出所標識としての商標の使用であるということはできない。
(5)小括
上記(1)ないし(4)のとおり、被請求人の提出した証拠によって、本件商標及び本件商標と社会通念上同一の商標を使用して、取消請求役務のいずれかを提供していることを認めるに足りる事実は見いだせず、また、被請求人は、その他に本件商標(社会通念上同一の商標を含む。)を取消請求役務に使用したことを証する証拠を提出していない。そうすると、本件商標に関する黙示の使用許諾があったとしても、要証期間内に、本件商標権者又は通常使用権者が、取消請求役務について、本件商標(本件商標と社会通念上同一の商標を含む。)を使用したということはできない。
3 被請求人の主張について
被請求人は、商標法第50条の「登録商標の使用」とは、当該商標がその指定商品又は指定役務について何らかの態様で使用されていれば足り、出所表示機能を果たす態様に限定される理由はないことは明らかである旨主張している。
また、被請求人は、会社のホームページ及びメールアドレスは、会社の業務を遂行するに際して必ず使用されるものであり、ホームページや名刺おける会社のURLや役職員のメールアドレスの表示は、会社が提供する商品又は役務についての商標的使用であることは明らかである旨主張している。
しかしながら、「登録商標の使用」というには、当該商標がその指定商品又は指定役務について使用されていること、すなわち、指定商品又は指定役務について商標法第2条第3項各号所定の行為があったことを具体的、客観的に示す必要があるところ、ホームページのURL及びメールアドレスが会社の業務のために使用され得るものであるとしても、当該使用が、同項各号所定のいずれかの行為に該当することを立証したものとはいえず、これらのURLやメールアドレスが当然に「登録商標の使用」に該当するということはできない。
したがって、被請求人の主張は、採用することができない。
4 まとめ
以上のとおり、被請求人は、要証期間内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定役務のいずれかについての本件商標(社会通念上同一のものを含む。)の使用をしていることを証明したものとは認められない。
また、被請求人は、本件審判の請求に係る指定役務について、本件商標の使用をしていないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、その指定役務中「結論掲記の指定役務」についての登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
審理終結日 2021-03-29 
結審通知日 2021-04-01 
審決日 2021-04-19 
出願番号 商願2000-9966(T2000-9966) 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (Z3742)
最終処分 成立 
特許庁審判長 半田 正人
特許庁審判官 鈴木 雅也
大森 友子
登録日 2001-08-03 
登録番号 商標登録第4495294号(T4495294) 
商標の称呼 アイエフティーシーシーオージェーピー、アイエフティーシーカンパニージェーピー、アイエフティーシー、アイエフテイシイ 
代理人 鷲野 泰宏 
代理人 荒井 康弘 
代理人 筒井 宣圭 
復代理人 加藤 将平 
代理人 遠藤 聡子 
代理人 川俣 尚高 
代理人 森田 靖之 
代理人 有吉 修一朗 
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