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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) W35
管理番号 1375074 
審判番号 取消2018-300828 
総通号数 259 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2021-07-30 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2018-10-31 
確定日 2021-05-24 
事件の表示 上記当事者間の登録第5733763号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第5733763号商標の指定役務中、第35類「商品の販売に関する情報の提供」についての商標登録を取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5733763号商標(以下「本件商標」という。)は、「ALLEYOOP」の欧文字を横書きしてなり、平成26年8月20日に登録出願、「商品の販売に関する情報の提供」を含む第35類、第37類及び第41類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、同27年1月16日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
そして、本件審判の請求の登録は、同30年11月15日にされたものである。
なお、本件審判の請求の登録前3年以内の期間は、平成27年11月15日から同30年11月14日までであって、当該期間を、以下「要証期間」という。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、審判請求書及び弁駁書において、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第4号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定役務中、第35類「商品の販売に関する情報の提供」(以下「取消請求役務」という。)について、継続して3年以上、日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、その登録は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。
2 答弁に対する弁駁
(1)「商品の販売に関する情報の提供」について
「商品の販売に関する情報の提供」は、「商業等に従事する企業に対して、その管理、運営等を援助するための情報を提供する役務」であると解される(最高裁判決平成23年12月20日、平21(行ヒ)217号)。「商品の販売に関する情報の提供」は、これと同一の類似群に属する「経営の診断及び指導」等と同様に、商業等に従事する企業の管理、運営等を援助する性質を有する役務であり、商品の最終需要者である消費者に対し商品を紹介することは、「商品の販売に関する情報の提供」に該当しない。
また、商標法上の「役務」は、「他人のために行う労務・便益であって、独立して商取引の目的たりうべきもの」と解釈されている。
(2)乙第1号証の1 (ホームページプリントアウト)について
ア 乙第1号証の1は、被請求人が本件商標を冠した店舗で、スポーツグッズを販売していることを示すものであり、本件商標を使用したスポーツグッズの販売は、最終消費者に対するものであるから、「商業等に従事する企業に対して、その管理、運営等を援助するための情報を提供する役務」に該当しない。
イ 乙第1号証の1に示された商標は、別掲のとおり、「ALLEYOOP」の文字をデザイン化した図形商標(以下「使用商標1」という。)であり、当該文字中「O」の文字はバスケットボールを模した図形で表され、「ALLEY」及び「P」の文字は青色の輪郭線で囲まれた黄色の太線で表され、「ALLEY」の各文字は隣り合う文字線が連結するなど、デザイン化の程度は極めて大きく、本件商標と使用商標1とが、社会通念上同一の商標でないことは明らかである。
ウ 「ALLEYOOP」は、バスケットボール用語である「Alley-oop」(甲3)に類似する商標だが、本件商標は、ハイフンなしで「Alley」と「oop」の文字を連結してなる商標であり、特定の観念を有しない一種の造語である。欧文字で表された商標は、一般的に、我が国において親しまれた英語読み又はローマ字読みに倣って称呼されるものであるところ、本件商標は、「Alley-oop」の英語読みに倣って、「アリウープ」の他、「アリーウープ」(甲3) 、「アリウプ」(甲4)等とも称呼し得る。「アリウープ」は、本件商標から生じ得る一つの表音にすぎず、本件商標は特定の観念を想起し得ないことから、本件商標と「アリウープ」は称呼が一対一対応しておらず、観念も異なるものであるため、社会通念上同一と認められる商標、すなわち「片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標」とはいえない。
(3)乙第1号証の2(オンラインショッププリントアウト)について
ア 乙第1号証の2は、被請求人が本件商標を表示したオンラインショップにおいてスポーツグッズを販売していることを示すものである。本件商標を使用したスポーツグッズの販売は、最終消費者に対するものであり、「商業等に従事する企業に対して、その管理、運営等を援助するための情報を提供する役務」に該当しない。
イ 乙第1号証の2において示された使用商標1は、デザイン化されており、本件商標と社会通念上同一の商標ではない。
ウ 乙第1号証の2において示された片仮名表記の商標「アリウープ」(以下「使用商標2」という。また、「使用商標1」と「使用商標2」をまとめて「使用商標」という。)は、本件商標と社会通念上同一の商標ではない。
したがって、乙第1号証の2は、取消請求役務についての本件商標の使用を証明していない。
(4)乙第2号証の1及び乙第2号証の2(メール及び文書のプリントアウト)について
ア 乙第2号証の1が示す1通目のメールは、被請求人の取引先企業である株式会社エスエスケイ(以下「エスエスケイ社」という。)から、被請求人宛に送信されたメールであり、当該メールの件名は「10月度在庫調査のお願い」であり、本文には「18HO第一回目のNIKE在庫調査用紙をお送り致します。今回はいつも通り販売数(10月欄)に入力をお願いできるでしょうか。いつも通り自動的に在庫が表示されるようになっております。」の記載がある。
乙第2号証の1が示す2通目のメールは、1通目のメールに対する返信メールであり、メールの文面及びやり取りから、エスエスケイ社が主体となって取引先の在庫調査を行っていることは明らかであり、被請求人は、「他人のために行う労務・便益であって、独立して商取引の目的たりうべきもの」としての役務「商業等に従事する企業に対して、その管理、運営等を援助するための情報を提供」を行っていない。
イ メールの末尾に「バスケットボールプロショップ アリウープ」の表記があるが、この「アリウープ」の表記は「バスケットボールショップ」について使用された商標、つまりスポーツグッズを販売する店舗の商標であり、取消請求役務について使用された商標ではない。
(5)乙第2号証の1のメールに示された使用商標2は、本件商標と社会通念上同一の商標ではないから、乙第2号証の1及び乙第2号証の2は、取消請求役務についての本件商標の使用を証明していない。
(6)乙第3号証の1及び乙第3号証の2(メール及び文書のプリントアウト)について
ア 乙第3号証の1のメールの件名は、「ご意見を・・・」であり、本文には「ご返信が遅くなり申し訳ございません。間に合うかわかりませんが、18HO展示会の意見お伝えします。」の記載がある。
メールの文面から、取引先企業であるエスエスケイ社が被請求人に対して「18HO展示会」に関する意見を求め、これに対して被請求人が返信メールで意見を伝えたものと推察される。また、「間に合うかわかりませんが、18HO展示会の意見お伝えします。」の記載から、被請求人が、独立して商取引の目的たり得る役務として、エスエスケイ社に意見を伝えたものではないことは明らかである。
被請求人は、「他人のために行う労務・便益であって、独立して商取引の目的たりうべきもの」としての役務「商業等に従事する企業に対して、その管理、運営等を援助するための情報を提供」を行っていない。
イ メールの末尾に「バスケットボールプロショップ アリウープ」の表記があるが、この「アリウープ」の表記は「バスケットボールショップ」について使用された商標、つまりスポーツグッズを販売する店舗の商標であり、取消請求役務について使用された商標ではない。
ウ 乙第3号証の1のメールに示された使用商標2は、本件商標と社会通念上同一の商標ではないから、乙第3号証の1及び乙第3号証の2は、取消請求役務について本件商標の使用を証明していない。

第3 被請求人の主張
被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、答弁書及び回答書において、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第3号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 請求に対する答弁
(1)乙第1号証の1(被請求人のホームページプリントアウト)
被請求人(商標権者)は、アメリカンフットボール、バスケットボール、ラクロスなどのスポーツ用具、ユニフォーム、シューズ等のいわゆるスポーツグッズを販売する店舗の経営を主な業務とするものであって、本件商標を冠した店舗においてはバスケットボールに関するグッズを専門に販売している。
ホームページ及び店舗において表された使用商標1は、ややデザイン化されているとはいえ、「ALLEYOOP」と明らかに判別可能なものであり、本件商標と社会通念上同一といえる範囲のものであり、添え書きされている「アリウープ」の文字は、その読みを片仮名で表したものである。
被請求人は、この店舗及び本件商標を「アリウープ」と称し、取引先と交わす文書においても「バスケットボールプロショップ アリウープ」と表記している。
(2)乙第1号証の2(被請求人のオンラインショッププリントアウト)
被請求人(商標権者)は、本件商標を冠したオンラインショップを展開している。ショップページに表された使用商標1は、ややデザイン化されているとはいえ、「ALLEYOOP」と明らかに判別可能なものであり、本件商標とは社会通念上同一といえる範囲のものである。
(3)乙第2号証の1及び乙第2号証の2(商品在庫状況調査報告文書及び同書面送付メールプリントアウト)
乙第2号証の1及び乙第2号証の2は、「バスケットボールプロショップ アリウープ」に所属する被請求人の社員M氏が取引先のエスエスケイ社の社員K氏宛てに送った2018年11月11日付けメール及び添付報告書のプリントアウトであり、取引先企業であるエスエスケイ社の商品の販売状況に関する情報を提供するものである。
取引先商品の多数ある個別アイテムにつき10月末での受注数、投入数、販売数、在庫数、納品率、消化率などの数値が逐一記載されており、これらは取引先に「商品の販売実績に関する情報」及び「商品販売に係る統計分析に関する情報」を提供するものであり、明らかに「商品の販売に関する情報の提供」に当たるものである。
メールの末尾には、「バスケットボールプロショップ アリウープ」が記載されており、報告書の店舗名にも「アリウープ」が記載されていることから、本件商標と社会通念上同一といえる商標を使用しているものであり、これを取消請求役務に使用したことを示すものである。
(4)乙第3号証の1及び乙第3号証の2(店頭状況及び要望に関する情報提供文書及び同書面添付の付帯意見を述べたメールプリントアウト)
乙第3号証の1及び乙第3号証の2は、「バスケットボールプロショプ アリウープ」に所属する被請求人の社員M氏が取引先のエスエスケイ社の社員K氏宛てに送った2018年3月20日付けメール及び店頭状況及び要望等に関する情報提供文書のプリントアウトである。
同文書には店頭状況、クレーム事項、他社ブランドの状況、メーカーヘの要望などが記載され、同メールでは展示会の状況及び意見が報告され、良かった点、悪かった点、改善点などの詳細な意見を提供しており、取引先企業の商品の販売状況や問題点に関する情報を提供するものであり、これも「商品の販売に関する情報の提供」に当たるものである。
また、メールの末尾には、「バスケットボールプロショップ アリウープ」が記載されており、本件商標と社会通念上同一といえる商標を取消請求役務に使用したことを示すものである。
2 審尋に対する回答
(1)弁駁書における請求人の主張に対する意見は特にない。
(2)乙第1号証は、被請求人が店舗及びオンラインショップにおいて商品を販売し、その商品の販売に関する情報の提供を、本件商標と社会通念上同一といえる商標を使用して行っていることを示している。
(3)乙第2号証は、取引先商品の販売状況を個別アイテムごとに細かく分析して報告するものであり、これらは、「商品の販売実績に関する情報の提供」及び「商品販売に係る統計分析に関する情報の提供」であって、広義の「商品の販売に関する情報の提供」に当たる。
(4)乙第3号証は、取引先企業の商品の販売状況や問題点に関する情報を提供するものであり、これも広義の「商品の販売に関する情報の提供」に当たる。
(5)乙第1号証の1における東京店の店舗情報部分には、「2013年2月1日 移転リニューアル」の記載、福岡店部分には、「2012年12月12日をもちまして閉店致しました。」の記載、札幌店部分には、「2012年11月25日をもちまして閉店致しました。」の記載があるから、少なくともこれらの時点で当該ホームページは存在していた。
(6)乙第1号証の2の最終ページに「Copyright」として「2015」の数字が表示されているから、少なくとも2015年の時点でホームページが存在していた。
(7)乙第2号証の2は、乙第2号証の1の添付書類であり、乙第2号証の1には添付書類としてエクセル文書「[HO18_BSK&JORDAN_SSK_セルスルー管理表1回目(アリウープ).xlsx]」が添付されていることが表示されているから、乙第2号証の2は、この文書に関するものであり、この時点で当該文書があったことを示している。
(8)乙第3号証の2は、メールとは別途提供されたもので、日付の裏付けはないが、メールの添付文書に準ずるものである。

第4 当審の判断
1 被請求人の提出に係る乙各号証及びその主張によれば、以下のとおりである。
(1)乙第1号証の1は、被請求人が、自己のホームページのプリントアウトと主張するものであるところ、1葉目には、会社概要として、「商号」欄に「株式会社キュービィクラブ」、「本社所在地」欄に「大阪市福島区福島5丁目14番6号 クレセントビル」、「支店等」欄に「アリウープ(バスケットボール専門)」の文字、「業務内容」欄に「スポーツグッズの販売」の記載がある。そして、1葉目及び2葉目の左側の中段に「BASKETBALL PRO SHOP」の文字と共に使用商標1の表示があり、3葉目の下部に使用商標1、「バスケットボールプロショップ」の文字と共に使用商標2の表示があり、同頁の上部にバスケットボール用のユニフォーム、バスケットボール等が展示された店舗とおぼしき写真の画像が掲載されている。
そして、当該証拠には打ち出し日とおぼしき「2018/12/17」の表示がある。
(2)乙第1号証の2は、被請求人が、自己のオンラインショップページのプリントアウトと主張するものであるところ、1葉目の中段に「BASKET BALL PRO SHOP」の文字と共に、使用商標1及び使用商標2の表示がある。そして、同頁の右下に、「QB cLUB Online Shopping」、「BASKETBALL PRO SHOP」、ショッピングカートとおぼしき図形と共に、使用商標1の表示があり、中央にバスケットボール用のユニフォーム、バスケットボール、スポーツシューズ等の写真の画像が掲載されている。
そして、当該証拠には打ち出し日とおぼしき「2018/12/17」の表示がある。
(3)乙第2号証の1及び乙第2号証の2は、被請求人が、商品在庫状況調査報告文書及び同書面送付メールのプリントアウトと主張するものであるところ、乙第2号証の1の上部には、「10月度在庫調査のお願い・・・★HO18_BSK_SSK_セルスルー管理表第1回」のタイトルの下、「2018年11月5日」の日付の記載があり、エスエスケイ社の社員K氏から、バスケットボールプロショップ アリウープ所属の社員M氏宛てに、「18HO第一回目のNIKE在庫調査用紙をお送り致します。今回はいつも通り販売数(10月欄)に入力をお願いできるでしょうか。」と記載されたメールと共に添付ファイルとして、「★HO18_BSK&JORDAN_SSK_セルスルー管理表1回目(アリウープ).xlsx」というタイトルのファイル名が表示されている。
また、上記記載の下部に、「2018年11月11日」の日付の記載があり、「バスケットボールプロショップ アリウープ」所属の社員M氏からエスエスケイ社の社員K氏宛に「10月度販売データをお送り致します。」と記載されたメールと共に添付ファイルとして「★HO18_BSK&JORDAN_SSK_セルスルー管理表1回目(アリウープ).xlsx」というタイトルのファイル名が表示されている。
乙第2号証の2の1葉目の左上には、「NIKE HOLIDAY 2018」、「BASKETBALL 店頭消化率調査リスト」の記載があり、同リストの「商品名」の欄に「ナイキ マンバ レイジ」、「ジョーダン デルタ スピード TR」等の記載、中央上部の「計上先名(店舗名)」欄に「アリウープ」の記載、「受注数」、「投入数」、「10月販売数」、「在庫数」、「納品率」、「消化率」等の欄に数値が記載されている。
乙第2号証の2の2葉目及び3葉目にも、1葉目と同様に、1葉目の「商品名」と同じ欄に「ナイキ THRMFLX ショータイム パンツ」、「ジョーダン ジャンプ マン スナップ バック キャップ」等の記載、1葉目の中央の「受注数」、「投入数」、「10月販売数」、「在庫数」、「納品率」、「消化率」等と同じ欄に数値が記載されている。
(4)乙第3号証の1及び乙第3号証の2は、被請求人が、店頭状況及び要望に関する情報提供文書及び同書面添付の付帯意見を述べたメールのプリントアウトと主張するものであるところ、乙第3号証の1の上部に「ご意見を・・・」のタイトルの下、「2018年3月20日」の日付の記載があり、「バスケットボールプロショップ アリウープ」の社員M氏から、取引先のK氏宛てに「18HO展示会」に関する良かった点、悪かった点及び改善点についての意見が記載されている。
また、乙第3号証の2の左上部に「HO16店頭状況&HO17への要望」のタイトルの下、「店舗」欄に「アリウープ」の記載の他、「HO16の店頭状況(販売意欲等)」、「現状のクレーム等」、「他ブランドの販売状況」、「HO17への要望(メーカー様へ)」、「FA17への要望(NIKE事業部へ)」の欄があり、各欄に意見等が記載されているが、当該証拠の作成日等の日付の記載はない。
2 判断
(1)使用商標について
被請求人の提出したホームページ(乙1の1、乙1の2)に、「ALLEY」と「P」の間にバスケットボールを模したとおぼしき図形が表され、デザイン化の程度が高い使用商標1(別掲)及び「アリウープ」の文字を表してなる使用商標2が表示されているところ、本件商標「ALLEYOOP」と使用商標とは、いずれも外観において明らかに異なるものであり、かつ、使用商標2は、本件商標と「片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標」ということもできない。
そうすると、本件商標と使用商標は、同一あるいは社会通念上同一の商標と認めることはできない。
(2)役務性について
ア 商標法上の役務及び使用
「商標」とは、業として役務を提供し、又は証明する者がその役務について使用するものである(商標法第2条第1項第2号)。
「役務」とは、他人のために行う労務又は便益であって、独立して商取引の目的たりうべきものと解される(特許庁編 工業所有権法(産業財産権法)逐条解説)。
そして、役務についての「使用」とは、「役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物(譲渡し、又は貸し渡す物を含む。以下同じ。)に標章を付する行為」(商標法第2条第3項第3号)、「役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物に標章を付したものを用いて役務を提供する行為」(同項第4号)、「役務の提供の用に供する物(役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物を含む。以下同じ。)に標章を付したものを役務の提供のために展示する行為」(同項第5号)、「役務の提供に当たりその提供を受ける者の当該役務の提供に係る物に標章を付する行為」(同項第6号)、「電磁的方法により行う映像面を介した役務の提供に当たりその映像面に標章を表示して役務を提供する行為」(同項第7号及び「商品若しくは役務に関する広告、価格表若しくは取引書類に標章を付して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」(同項第8号)をいう。
イ 役務の提供の有無
(ア)商標法の保護対象である「役務」とは、前述のとおり、他人のために行う労務又は便益であって、独立して商取引の目的となるものでなければならない以上、「商品の販売に関する情報の提供」という役務については、商品の販売に関する情報を提供する行為が、商業上の事業として成立していなければならないというべきである。
(イ)乙第1号証の1の「商号」欄に「株式会社キュービィクラブ」の記載があり、かつ、その所在地は、被請求人(商標権者)の住所と一致していること、「支店等」欄に「アリウープ(バスケットボール専門)」の記載があることから、被請求人(商標権者)は、「アリウープ」という名称のバスケットボール店舗を経営していることが推認できる。
また、乙第1号証の2に、バスケットボール用のユニフォーム、バスケットボール等の写真の掲載があり、使用商標1及び使用商標2の表示があることから、被請求人(商標権者)は、自己の運営する店舗及びオンラインショップを通じて、使用商標1及び使用商標2を使用してバスケットボール用のユニフォーム、シューズ等の販売を行っていたことが推認できるものの、当該ウェブサイトの打ち出し日とおぼしき2018年12月17日は要証期間外のものであり、要証期間に使用商標1及び使用商標2を使用して、バスケットボール用のユニフォーム、シューズ等の販売を行ったことを確認することはできない。
さらに、乙第1号証からは、被請求人(商標権者)が、商業等に従事する企業に対して、その管理、運営等を援助するための情報を提供する役務である「商品の販売に関する情報の提供」を業として第三者に提供したとは認め難く、当該証拠によっては、被請求人(商標権者)が、業として取消請求役務を行っていることを認めることはできない。
(ウ)乙第2号証の1及び乙第2号証の2により、要証期間内に被請求人(商標権者)が運営する店舗の社員が、取引先の社員からの求めに応じて在庫状況調査依頼に対し、被請求人の店舗における商品の在庫等に関する報告をメールで行い、乙第3号証の1により、要証期間内に被請求人(商標権者)の運営する店舗の社員から、取引先の社員宛てに、商品の展示会に関する意見についてメールで報告を行っていたとしても、かかるメールのやり取りからは、被請求人(商標権者)が、商業等に従事する企業に対して、その管理、運営等を援助するための情報を提供する役務である「商品の販売に関する情報の提供」を業として第三者に提供したとは認め難く、当該証拠によっては、被請求人(商標権者)が、業として取消請求役務を行っていることを認めることはできない。
(3)小括
以上を総合勘案すれば、本件商標と使用商標は、同一あるいは社会通念上同一の商標と認めることはできず、また、被請求人(商標権者)が自己の運営する店舗及びオンラインショップを通じて、使用商標を使用してバスケットボール用のユニフォーム、シューズ等の販売を行っていたことが推認できるとしても、要証期間内に使用商標が使用されたことを確認することができないものであり、上記した被請求人と取引先とのメールのやり取りを勘案しても、要証期間内に、被請求人が「商品の販売に関する情報の提供」という商標法上の役務を、業として提供したということはできない。
その他、要証期間に、被請求人(商標権者)、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、その請求に係る指定役務のいずれかについて、本件商標の使用をしたことを認めるに足りる証拠の提出はない。
3 むすび
以上のとおり、被請求人が提出した証拠からは、本件商標と同一あるいは社会通念上同一と認められる商標を「商品の販売に関する情報の提供」について使用したものとは認められない。
そうすると、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定役務のいずれかについて本件商標の使用をしていたことを証明したものとは認められない。
また、被請求人は、請求に係る指定役務について本件商標を使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、その指定役務中、「結論掲記の指定役務」について、その登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。

別掲
別掲(使用商標1:色彩は、乙第1号証の1(原本)参照)



審理終結日 2021-03-24 
結審通知日 2021-03-26 
審決日 2021-04-12 
出願番号 商願2014-69810(T2014-69810) 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (W35)
最終処分 成立  
前審関与審査官 旦 克昌 
特許庁審判長 冨澤 美加
特許庁審判官 鈴木 雅也
小田 昌子
登録日 2015-01-16 
登録番号 商標登録第5733763号(T5733763) 
商標の称呼 アリウープ、アレーウープ 
代理人 藤田 典彦 
代理人 安田 恵 
代理人 河野 英仁 
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