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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) X091641
管理番号 1375023 
審判番号 取消2019-300475 
総通号数 259 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2021-07-30 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2019-06-20 
確定日 2021-05-10 
事件の表示 上記当事者間の登録第5483369号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第5483369号商標の商標登録を取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5483369号商標(以下「本件商標」という。)は、「赤ペン指導」の文字を標準文字で表してなり、平成23年10月13に登録出願、第9類「電子計算機用プログラム,コンピュータ用プログラムを記憶させた記録媒体,録画済みの光学式又は磁気式記録媒体,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,インターネットを利用して受信し及び保存することができる画像ファイル,電子出版物」、第16類「教材(器具に当たるものを除く。),印刷物」及び第41類「インターネットを利用した学習指導,技芸・スポーツ又は知識の教授,電子出版物の提供」を指定商品及び指定役務として、同24年3月30日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
そして、本件審判の請求の登録日は、令和元年7月5日であり、本件審判において、商標法第50条第2項に規定する「その審判の請求の登録前3年以内」とは、平成28年7月5日ないし令和元年7月4日(以下「要証期間」という。)である。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第4号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により取消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)「FAX発注書(学習指導書)」について
被請求人は、要証期間内の平成28年(2016年)10月11日に、「取引相手」と称する会社から、「赤ペン指導 数学 中1のCD-ROM」及び「赤ペン指導英語1?3年CD-ROM」の発注を受け、同月13日に、「赤ペン指導数学1年CD-ROM」を販売したと述べ、「赤ペン指導CDRのみ」の文字が表記された「FAX発注書(学習指導書)」という標題の書類(乙1:以下「発注書」という。)を提出している。
しかしながら、発注書に記載された「赤ペン指導CDRのみ」以外の文字は、発注書のフォームに印刷されているにもかかわらず、「赤ペン指導CDRのみ」の文字は、空欄の箇所に手書きされたものであるから、発注書に後から追記されたものであると認められる。発注書には、「(株)」の部分を除いて「取引会社」を示す部分がマスキングされており、「取引会社」と称する会社の所在は発注書をみただけでは全く不明であるが、被請求人が審判請求を受けた後に発注書に手書きした可能性も考えられるため、「取引会社」と称する者から「赤ペン指導CDRのみ」という商品の発注があったのかは不明である。
したがって、発注書は、本件商標の使用を証するものとして、疑義があるといわざるを得ないものである。
(2)被請求人の売上伝票について
被請求人は、「赤ペン指導」の文字が表記されている売上伝票(乙2:以下「売上伝票」という。)を提出している。売上伝票の「取引会社」と称する会社の情報はマスキングされていて、その所在は全く不明であるが、当該売上伝票は、一般的なチェーンストア統一伝票によるものであり、容易に印刷できるため、審判請求を受けた後に作成することは可能である。
仮に、売上伝票に相当する販売事実が真実であるとすれば、「取引会社」と称する会社からの入金記録や、あるいは売上伝票に「発送先」と記載されている者からの入金記録があるはずだが、被請求人は、そうした入金の事実を示す証拠を何ら提出していない。
したがって、売上伝票は、本件商標の使用を証するものとして、疑義があるといわざるを得ないものである。
(3)被請求人の商品「CD-ROM」について
被請求人は、「赤ペン指導」の文字が表記されているCD-ROM(以下「本件CD-ROM」という。)のパッケージ及びコピーと思われる資料(乙3)を証拠として提出している。
しかしながら、一般に、CD-ROMを商品として販売する場合、そのパッケージやレーベルなどに発行元を表示するのが一般的であるが、本件CD-ROMには発行元であるはずの被請求人の名称や住所が記載されていない。また、本件CD-ROMには発行日が記載されておらず、これがいつ作成されたのかも全く不明である。
本件CD-ROMのレーベル(乙3の2)には、「Ver.170320」という欧文字及び数字が表示されており、これが「平成17年3月20日」の意味であるとすれば、発注書には申込日として「平成28年10月11日」と記載されている(乙1の1)から、被請求人は、10年以上前に作成したCD-ROMを販売したことになる。本件CD-ROMは、一般に市販されている録音済みCD-ROMのような、専用の工場でファクトリープレスされたものでなく、一般的なパソコンで書き込みしたCD-ROMであって、劣化の程度も早いものと思われることから、このような劣化の早い商品を作成から10年以上も経過してから販売するというのは不自然である。また、「Ver.170320」が「2017年3月20日」の意味であるとすれば、商品の「希望着日」とされている「平成28年10月14日」より1年以上も後の日付となるから、発注書の表示との辻棲が合わないことになる。
したがって、本件CD-ROMは、本件商標の使用を証するものとして、疑義があるといわざるを得ないものである。
(4)本件商標と使用商標との社会通念上の同一性について
本件CD-ROMのレーベル(乙3の2)には、表題に相当する位置に「声の出る赤ペン指導」と記載されており、そのパッケージ(乙3の1)にも、上下に分かち書きした「声の出る赤ペン指導」の文字(以下、これらをまとめて「使用商標」という。)が表記されている。本件商標は標準文字で書した「赤ペン指導」であるところ、本件商標と使用商標は、外観が異なり、両商標から生じる「アカペンシドウ」と「コエノデルアカペンシドウ」の称呼も互いに類似しないものであることも明らかである。
また、「声の出る赤ペン指導」は、観念を特定できない造語と考えられるが、「声の出る」とは、続く体言を修飾する形容詞的修飾語であり、当該体言の前方に結合することにより、意味内容を限定する性質を有するものである。このため、使用商標の「声の出る赤ペン指導」は、ここから生じる意味内容を直ちに特定できないとしても、そのかかり受けから、文理上、一連一体のものとして自然に感得されるものである。さらに、「声の出る」は、それ自体から生じる観念を特定することができないものであるから、必ずしも商標としての自他商品等識別力がないということはできず、少なくとも、使用商標において、自他商品識別力がない部分であるとはいえない。
したがって、使用商標は、「コエノデルアカペンシドウ」の称呼のみを生じる一体不可分の商標であって、本件商標「赤ペン指導」とは、外観、称呼、観念がいずれも非類似のものであるから、社会通念上同一とはいえないものである。
3 結語
以上のとおり、被請求人の提出した証拠は、いずれもその真正について疑義があるものといわざるを得ず、また、使用商標も、本件商標とは社会通念上同一とはいえないものである。

第3 被請求人の主張
被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第6号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 本件商標は、その指定商品中の「録画済みの光学式又は磁気式記録媒体」、「録画済みビデオディスク及びビデオテープ」、「インターネットを利用して受信し及び保存することができる画像ファイル」及び「教材(器具に当たるものを除く。)」のうちの少なくともいずれか一つにおいて、本件商標の商標権者が要証期間内に使用している。
(1)本件商標の使用について
ア CD-ROMにおける使用
(ア)乙第1号証の1は、平成28年(2016年)10月11日に取引相手から被請求人へ送られてきた「赤ペン指導 数学 中1のCD-ROM」の発注書である。また、乙第1号証の2は、平成28年(2016年)10月11日に取引相手から被請求人へ送られてきた「赤ペン指導英語1?3年CD-ROM」の発注書である。
なお、乙第1号証はマスキングがされていることから、マスキングのないものを乙第6号証として提出する。
(イ)乙第2号証は、平成28年(2016年)10月13日に被請求人の取引相手に対して「赤ペン指導数学1年CD-ROM」が販売されたことを表す売上伝票である。
(ウ)乙第3号証の1は、被請求人の取引相手に販売される商品である「赤ペン指導 数学 中1のCD-ROM」(本件CD-ROM)のケースの外観を示すものである。乙第3号証の1は、本件CD-ROMのケースを開いたときの表面と裏面を見開き状態に表している。
(エ)乙第3号証の2は、本件CD-ROMのケースの内部を示すものであり、これは、本件CD-ROMのケースを開いたときの内側を見開き状態に表しており、そのケース内部に格納された本件CD-ROMが表れている。
イ 取引書類における使用について
(ア)乙第1号証の発注書には、コード番号で区分けされた商品一覧表の最下段に「赤ペン指導 CDRのみ」の表記がされており、被請求人と取引相手との間で本件商標を使用していることを示している。上記「CDR」は「CD-ROM」と同様の記録媒体である。
発注書に基づき乙第3号証に示された本件CD-ROMが発注元へ送付され、当該商品の販売行為が成立する。
(イ)乙第2号証の売上伝票には、「赤ペン指導」の表記がなされており、本件商標権者が本件商標を使用していることを示している。
(ウ)乙第4号証は、被請求人が取引会社である株式会社ザッツウェイ(以下「ザッツウェイ」という。)に宛てて発行した請求書(控)であり、「赤ペン指導英語1年CD-ROM」、「赤ペン指導英語2年CD-ROM」、「赤ペン指導英語3年CD-ROM」及び「赤ペン指導 数学1年CD-ROM」(2016年10月13日発売)の表記がある。これらの表記は、発注書(乙1)に対する販売請求項目であり、被請求人と取引相手との間の取引書類において本件商標を使用していることを示すものである。
そして、この使用は、発注書(乙1)における「赤ペン指導」の使用とともに、商標法第2条第3項第8号に規定する「商品に関する取引書類に表彰を付して頒布する」行為に該当する。
(エ)乙第5号証の銀行の照会結果は、商標権者の銀行口座のものであり、当該照会結果には、発注書(乙1)に対応する請求書(控)(乙4)中の販売請求項目の支払いが、ザッツウェイから2016年11月21日にされたことを示すものである。
(オ)小括
以上の処理の流れから、発注書の受領(乙1)(2016年10月11日)から始まり、「赤ペン指導数学1年CD-ROM」その他の教材の販売(同年10月13日)及び請求(同年10月13日)を経て商標権者の銀行口座に入金(同年11月21日)で完結していることが明らかとなっている。
ウ 使用商品について
(ア)「赤ペン指導」の文字が表記された商品は、乙第3号証に示されるように、「赤ペン指導 数学 中1のCD-ROM」(本件CD-ROM)であり、当該商品は光学式の記録媒体であって、その内部に中学1年の数学に関する画像(デジタルデータ)が記録されているから、本件商標の指定商品中、「録画済みの光学式又は磁気式記録媒体」に該当する。
(イ)本件CD-ROMは、コンパクトなディスク形態を有し、内部に中学1年の数学に関する画像(デジタルデータ)が記録されているから、当該商品は、本件商標の指定商品中、「録画済みビデオディスク及びビデオテープ」に該当する。
(ウ)本件CD-ROMには、内部に中学1年の数学に関する画像ファイル(デジタルデータ)が記録されており、この画像ファイルは通信回線を通して送受信可能であるから、当該商品に記録された画像ファイルは、本件商標の指定商品中、「インターネットを利用して受信し及び保存することができる画像ファイル」に該当し、また、「電子出版物」にも該当する。
(エ)本件CD-ROMは、中学1年の数学教育に供するものであるから、当該商品は本件商標の指定商品中、「教材(器具に当たるものを除く。)」に該当する。
エ 使用時期について
売上伝票(乙2)の日付は2016年10月13日であり、本件審判の請求の日から遡ること、2年8か月の時期に発行されている。
オ 本件商標と使用商標との社会通念上の同一性について
乙第3号証の1の「声の出る」及び「赤ペン指導」の文字を二段書きして表してなるものと、乙第3号証の2の「声の出る赤ペン指導」の文字は互いに異なる商標である。
乙第3号証の2の「声の出る赤ペン指導」の文字は、同じ書体でまとまりよく一体に表されているものであって、その構成中の「声の出る」部分が指定商品との関係において、識別力を有しないという事情もないことは認めざるを得ない。
しかしながら、乙第3号証の1は、「声の出る」の文字が上段、「赤ペン指導」の文字が下段というように分離して表示されており、しかも、「声の出る」の文字は「赤ペン指導」の文字よりも小さな書体で表示されているため、まとまりよく一体に表されているものとはいえず、当該表示からは、「赤ペン指導」の文字部分のみが分離して看取、把握されるものである。
また、「声の出る」の文字は、乙第3号証の1が本件CD-ROMを包装するケースであり、当該ケースに包装されるCD-ROM教材が紙からなる教材ではなく、光又は磁気的手段で記録媒体に記録された教材であることから、視覚的な学科内容表示(映像表示)のみならず、講師の声による指導内容表示(音声表示)までもが記録されていることを単に一般的な言葉でユーザに知らせるにすぎないものであるから、当該「声の出る」の部分は、商標法第26条第1項第2号に該当し、商標としての識別機能を有しないものである。
したがって、乙第3号証の1の「声の出る」及び「赤ペン指導」の文字を二段書きで表した表示は、実質的に本件商標の使用に該当し、乙第3号証の1の本件CD-ROMを包装するケースに「赤ペン指導」の文字を付して販売する行為は、商標法第2条第3項第2号に規定する、「商品又は商品の包装に標章を付したものを譲渡する」行為に該当する。
2 まとめ
以上述べたように、本件商標は、その指定商品について、本件商標の商標権者が要証期間内に使用していることは明らかである。

第4 審尋
当審において平成2年10月26日付けで送付した審尋の内容は、要旨以下のとおりである。
1 請求書(控)(乙4)に記載の「赤ペン指導英語1年CD-ROM」、「赤ペン指導英語2年CD-ROM」、「赤ペン指導英語3年CD-ROM」及び「赤ペン指導 数学1年CD-ROM」の表記によっては、上記商品が本件審判の請求に係る商品中、いずれの商品に該当するものであるかを把握することができないから、いかなる商品であるかを明らかにするとともに、本件審判の請求に係る商品中、いずれの商品に該当するものであるかを具体的に明らかにされたい。
2 請求書(控)(乙4)に「赤ペン指導数学1年CD-ROM」と表記されている商品と乙第3号証で示されている商品の表題が一致しておらず、同一の商品であることを確認できないから、これらが同一の商品であるならば、その関係について述べ、それを明らかにする書面を提出されたい。

第5 審尋に対する被請求人の回答
前記審尋に対し、被請求人からの回答はない。

第6 当審の判断
1 認定事実
被請求人の主張及び提出に係る証拠によれば、以下の事実が認められる。
(1)乙第3号証の1は、本件CD-ROMを包装するケースの外観とされる写真であり、当該ケースを開いたときの表面と裏面を見開き状態に表してなるものであって、右側には、「ハイパーティーチャーシリーズ」の文字の下、「声の出る」と「赤ペン指導」の文字(「赤ペン」の文字部分は赤色で書されている。)が二段書きで表示され、その下部には「数学」及び「中1」の表示があり、また、左側には、「CD-ROMをパソコンにセットしてください。しばらくすると下の画面が表示されます。」及び「赤ペン指導ビデオの開始です。」の記載があり、本件CD-ROMの内容と思われる画像とともに使い方の説明が表示されている。
そして、乙第3号証の2は、本件CD-ROMのケースを開いたときの内側を見開き状態に表すとされる写真であり、その右側にはケースに格納された状態のCD-ROMが写されており、当該CD-ROMには、「ハイパーティーチャーシリーズ」の文字の下、「声の出る赤ペン指導」の文字(「赤ペン」の文字部分は赤色で書されている。)が横書きで表示され、ほかに、「Ver.170320」、「中1」及び「数学」の表示がある。
なお、上記本件CD-ROMのケースの見開き状態とされるもの及び当該CD-ROMのいずれにも、その作成者、販売者、作成日に関する記載はない。
(2)乙第1号証の1は、取引先から被請求人へ送付されたとされる平成28年10月11日付けの「FAX発注票(学習指導書)」(以下「発注書」という。)であり、貴社コード欄に「5870-002」の記載があるが、貴社名欄は「(株)」以外の文字及び購入者欄は一部を除きマスキングがされている。そして、当該発注書には、商品名欄に手書きで「赤ペン指導 CDRのみ」、教科欄に「数のみ」(「数」の文字は○の中に記載されている。)、学年欄に「1」(「1」は○の中に記載されている。)、数量欄に「1」の記載及び右下部には「ハイメックス使用欄」の記載の下、「10月14日着日指定」の記載があり、下部に「No.609811」及び出荷日欄に「’28.10.13」の記載がある。
また、乙第6号証の1は、乙第1号証の1のマスキングのないものであり、貴社名欄には、ザッツウェイの記載があり、購入者欄には氏名Aの記載がある。
(3)乙第2号証は、被請求人が京都府の「(株)・・・」(「株」以外の文字はマスキングがされている。)宛てに作成した2016年10月13日付けの「売上伝票」といい得るものであり、これには、送付先欄に「5870-002」、受付No.として「609811」の記載があり、また、品名欄に「赤ペン指導数学1年CD-ROM」、数量欄に「1」の記載がある。
(4)乙第4号証は、被請求人がザッツウェイ宛てに作成した平成28年10月31日付けの「請求書(控)」といい得るものであり、日付欄の「161013」には、品名欄に「赤ペン指導数学1年CD-ROM」、数量欄に「1」の記載があり、その備考欄に「氏名A」が記載され、さらに、今回請求額の欄には「132,954」が記載されている。
(5)乙第5号証は、被請求人宛の「照会結果<全明細>」の表題の書面であり、これには、照会口座欄に被請求人の名称及び支店名等が記載されており、取引日の「2016.11.21」にはザッツウェイの名称が記載され、入金金額として「132,954」が記載されているところ、当該金額は、上記(4)の請求額と一致している。
2 判断
(1)本件CD-ROMについて
前記1によれば、本件CD-ROMのケース(包装)(乙3の1)には、当該CD-ROMの内容と思われる画像とともに使い方の説明が表示されており、「CD-ROMをパソコンにセットしてください。しばらくすると下の画面が表示されます。」及び「ビデオの開始です。」の記載からすれば、当該商品は、録画済みのCD-ROMであるといえるから、本件商標の指定商品及び指定役務中、「録画済みの光学式又は磁気式記録媒体」に含まれると認められるものである。
しかしながら、本件CD-ROMには、作成者、販売者及び作成日に関する記載はなく、また、本件CD-ROMが譲渡等をされたことを示す証拠の提出もない。
そうすると、被請求人により、要証期間内に、本件CD-ROMが譲渡等をされたとは認められない。
なお、前記第4及び第5のとおり、被請求人に対し、本件CD-ROMと乙第4号証の請求書(控)に記載の商品との関係についての説明を求めたが、何らの回答もなかった。
また、本件CDーROMのケース(包装)(乙3)には、「声の出る赤ペン指導」の文字(以下「使用商標」という。)が表示されているが、使用商標は、「声の出る」の文字の有無において、本件商標とはその構成を異にするものであるから、使用商標は、本件商標と社会通念上同一の商標であるとは認められない。
(2)取引書類について
前記1によれば、ザッツウェイは、平成28年10月11日付けで、1年生の数学「赤ペン指導 CD-ROM」に関する顧客Aに係る発注書を被請求人宛に送付し(乙1の1、乙6の1)、同月13日に顧客Aに商品が送付されたことが推認でき(乙1の1、乙2、乙6の1)、その売上伝票(乙2)には、「赤ペン指導数学1年CD-ROM」の表示がある。また、被請求人が、ザッツウェイ宛てに平成28年10月31日付けで作成した請求書(控)(乙4)の品名欄にも、「赤ペン指導数学1年CD-ROM」の表示がある。
そうすると、売上伝票及び請求書は取引先であるザッツウェイに宛てて作成されたと推認できるものであり、被請求人は、要証期間である平成28年10月13日及び同月31日に、取引書類である売上伝票及び請求書(以下、これらをまとめて「本件取引書類」という。)を頒布したものといえる。
しかしながら、本件取引書類の「赤ペン指導数学1年CD-ROM」の記載によっては、数学に関する何らかの情報が記録されたCD-ROMであることはうかがわれるものの、その情報が映像なのか、音響なのか、電子出版物なのかが不明である。
なお、前記第4及び第5のとおり、被請求人に対し、上記記載の商品がいかなる商品であるのか及び本件商標の指定商品中のいずれの商品に該当するものであるかを明らかする証拠の提出を求めたが、何らの回答もなかった。
したがって、本件取引書類は、本件商標の指定商品中いずれかの商品に関する取引書類であるとは認めることができない。
(3)小括
上記のとおり、本件商標の商標権者である被請求人が要証期間内に本件商標を請求に係る指定商品及び指定役務中のいずれかの商品及び役務について使用した事実を認めることができない。
その他、本件商標が、商標権者等によって、その指定商品及び指定役務について、商標法第2条第3項にいう使用をされた事実を認めるに足る証拠は見いだせない。
3 むすび
以上からすれば、被請求人が提出した証拠からは、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標権者、通常使用権者又は専用使用権者のいずれかが、請求に係る指定商品及び指定役務のいずれかについて、本件商標を使用していることを証明したものということができず、かつ、本件商標を使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2021-02-22 
結審通知日 2021-02-25 
審決日 2021-03-29 
出願番号 商願2011-73056(T2011-73056) 
審決分類 T 1 31・ 1- Z (X091641)
最終処分 成立  
前審関与審査官 海老名 友子 
特許庁審判長 冨澤 美加
特許庁審判官 中束 としえ
山田 啓之
登録日 2012-03-30 
登録番号 商標登録第5483369号(T5483369) 
商標の称呼 アカペンシドー、アカペン 
代理人 阪田 至彦 
代理人 佐藤 俊司 
代理人 フェリシテ特許業務法人 
代理人 遠藤 祐吾 
代理人 田中 克郎 
代理人 小林 奈央 
代理人 稲葉 良幸 

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