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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 W0942 審判 全部申立て 登録を維持 W0942 審判 全部申立て 登録を維持 W0942 |
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管理番号 | 1374086 |
異議申立番号 | 異議2020-900209 |
総通号数 | 258 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2021-06-25 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2020-08-25 |
確定日 | 2021-05-11 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第6265231号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第6265231号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第6265231号商標(以下「本件商標」という。)は、「スポーツギフティング」の文字を標準文字で表してなり、令和元年7月10日に登録出願、第9類及び第42類に属する別掲に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同2年5月7日に登録査定され、同年7月2日に設定登録されたものである。 第2 登録異議の申立ての理由 登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は商標法第3条第1項第3号及び同項第6号並びに同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第5号証(枝番号を含む。以下、枝番号のすべてを示すときは、枝番号を省略する。)を提出した。 1 具体的理由 (1)概略 一般財団法人アスリートフラッグ財団(以下「アスリートフラッグ財団」という。)が、令和元年7月10日に第9類の商品及び第42類の役務について登録出願され、登録査定後に株式会社ミクシィ(以下「ミクシィ社」という。)に名義変更がなされた本件商標「スポーツギフティング」(標準文字)は、「スポーツに関する投げ銭」、「スポーツに関してギフトを贈ること」程の意味合いが想起され、商品及び役務の内容表示を片仮名の標準文字で普通に用いられる態様で構成している。 そのため、本件登標は、その指定商品及び指定役務中、「スポーツに関する投げ銭」、「スポーツに関してギフトを贈ること」に使用される場合については、商標法第3条第1項第3号又は同項第6号に該当し、「スポーツに関する投げ銭」、「スポーツに関してギフトを贈ること」以外の指定商品及び指定役務に使用される場合については、同法第4条第1項第16号に該当するものである。 なお、試合を開催できないスポーツ選手及びそのチームを支援する手段として「スポーツギフティング」の必要性が益々高まっているものの、本件商標は、登録査定後、アスリートフラッグ財団からミクシィ社に名義変更がなされており、何らの公益性を有することのない一私法人に公益性の高い「スポーツギフティング」の語に係る商標権が属しており、益々、公益に反する事態となっている。 (2)本件商標「スポーツギフティング」の識別力の欠如について 本件商標「スポーツギフティング」は、「スポーツ」と「ギフティング」の語を一連で横書きしたものであるところ、その構成中の「スポーツ」の語は「身体運動の総称」として一般的に使用されており、また、その構成中の「ギフティング」の語は、例えば、アーティストやアイドル、タレント等のライブ配信において、ライブの配信者(ライプを行っている者)に対して購入した有料ギフト(課金アイテム)を贈ること、すなわち、投げ銭を意味するものとして一般的に使用されている(甲2)。 そうすると、本件商標「スポーツギフティング」の語に接した需要者は、その構成態様から、容易に「スポーツに関する投げ銭」、「スポーツに関してギフトを贈ること」程の意味合いを想起するものであって、本件商標の指定する第9類のプログラム関連、コンテンツ関連及びゲーム関連の指定商品、第42類のプログラム配信関連の指定役務との関係で識別力を欠如することが明白である。 (3)「スポーツ」と「ギフティング」との語の親和性について スポーツ分野において実際にギフティングの語がオンライン(第42類「電子計算機用プログラムの提供」等)で使用されている一例として、甲第3号証の1ないし同号証の3に掲げる。 これらの使用例からも明らかなように、スポーツの分野においても、選手やチームを支援するべく、試合中を問わず、ギフティングを行える仕組みが本件商標の出願人及び商標権者とは無関係に既に存在し、かつ、使用されており、「スポーツ」と「ギフティング」との語がともに使用されやすい親和性を有する点が明白であり、実際に、甲第3号証の2及び同号証の3においては、「スポーツギフティング」の語がそもそも使用されている。 そのため、本件商標の構成中の「スポーツ」と「ギフティング」との語については、互いにともに使用されやすい親和性を有するものであり、本件商標「スポーツギフティング」の語に接した需要者は、その態様から、容易に「スポーツに関する投げ銭」、「スポーツに関してギフトを贈ること」程の意味合いを想起することが明白である。 特に、試合を開催できないスポーツ選手及びそのチームを支援する手段として、ますますギフティングが広がっており、「スポーツギフティング」の語に接した需要者は、その態様から、容易に「スポーツに関する投げ銭」、「スポーツに関してギフトを贈ること」程の意味合いを想起することが明白である。 (4)「スポーツギフティング」の語について 本件商標「スポーツギフティング」の語について、識別カの有無は本件商標の登録査定時に判断されるべきであるが、本件商標の登録出願時である令和元年7月10日以前においても、本件商標の出願人及び商標権者とは関係なく、「スポーツギフティング」の語が使用されている(甲4)。 スポーツギフティングは、Web経由で行うことが可能となっており、このようなスポーツギフティングの使用は第42類におけるプログラムの提供に該当するものであり、さらに、本願の登録出願の出願前の時点でスポーツギフティングを可能とするアプリがリリースされており、第9類のプログラム関連に該当する点が明白である。 (5)本件商標の出願人の「スポーツギフティング」の使用態様について 本件商標の出願人であるアスリートフラッグ財団の本件商標の使用態様について確認したところ、甲第5号証の1に示すように、いずれも「スポーツギフティングサービス『Unlim』」のように使用され、自他商品及び自他役務の識別機能を有する商標としての使用は「Unlim」部分についてであって、本件商標の出願人自身、「スポーツギフティング」に係る部分は、識別力を具備しない内容表示であると認識していることがうかがえる。 すなわち、本件商標の出願人であるアスリートフラッグ財団は、アスリートとスポーツ団体の活動の支援を目的として設立された団体とのことであり、ギフティングを通じて、アスリート・スポーツ団体とファンとの間により強いつながりを作り、スポーツ文化の振興に貢献する旨、宣言されている(甲5の2)。 今回の本件商標「スポーツギフティング」が、試合を開催できないスポーツ選手及びそのチームを支援する手段として「スポーツギフティング」の必要性が益々高まっている中で、「スポーツギフティング」が識別力を有しない、すなわち、公衆に開示され何人も自由に使用可能である商標であることを確認しようとした登録出願であり、一法人が独占排他権たる商標権を専有するために出願されたものでないと確信している。 しかしながら、本件商標は、登録査定後、アスリートフラッグ財団からミクシィ社に名義変更がなされており(甲1)、何らの公益性を有することのない一私法人に公益性の高い「スポーツギフティング」の語に係る商標権が属しており、益々、公益に反する事態となっている。 (6)結論 したがって、本件商標「スポーツギフティング」は、「スポーツに関する投げ銭」、「スポーツに関してギフトを贈ること」程の意味合いが認識される「スポーツギフティング」の語を片仮名文字の標準文字で普通に用いられる態様で構成したにすぎないものであり、指定商品及び指定役務中、「スポーツに関する投げ銭」及び「スポーツに関してギフトを贈ること」に使用される場合については、商標法第3条第1項第3号又は同項第6号に該当し、「スポーツに関する投げ銭」及び「スポーツに関してギフトを贈ること」以外の各指定商品及び指定役務に使用される場合については、商品の品質及び役務の質に誤認を生じさせるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当するものであって、本件商標は商標法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきものである。 第4 当審の判断 1 商標法第3条第1項第3号及び同項第6号該当性について 本件商標は、上記第1のとおり、「スポーツギフティング」の文字を標準文字で表してなるところ、申立人が提出した証拠によれば、その構成中の「ギフティング」の文字は、「投げ銭」や「贈り物」の意味を有し、当該文字と「スポーツ」の文字とを結合させた「スポーツギフティング」の語は、「スポーツに関する投げ銭」や「スポーツに関してギフトを贈ること」の意味合いを想起させ、実際に、スポーツ選手及びそのチームを支援する手段を表すものとして「スポーツギフティング」の文字が使用されていることから、本件商標は、「スポーツに関する投げ銭」や「スポーツに関してギフトを贈ること」の意味合いを認識させるものである。 しかしながら、本件商標の指定商品は、コンピュータ関連商品、ソフトウェア、通信機械器具、測定機械器具及びメディアコンテンツ等であり、本件商標の指定役務は、コンピュータプログラムの作成及び保守等であるところ、本件商標が、「スポーツに関する投げ銭」や「スポーツに関してギフトを贈ること」の意味合いを認識させるとしても、これが、直ちに、特定の商品の品質や特定の役務の質等を直接的かつ具体的に表示するものとして、需要者、取引者に認識、把握されているとはいい難いものである。 また、当審において職権をもって調査するも、本件商標の指定商品及び指定役務を取り扱う業界において、「スポーツギフティング」の文字が、本件商標の指定商品の品質や指定役務の質を表示するものとして、取引上普通に使用されている事実は見いだせず、また、当該文字が、本願商標の指定商品及び指定役務の宣伝広告や企業理念を表示する等、多数の者によって一般的に使用されているという事実も見いだせない。 その他、「スポーツギフティング」の文字が、何人もその使用を欲するもの、あるいは、これが、自他商品及び自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないものというべき事情も発見できなかった。 以上からすると、「スポーツギフティング」の文字は、本件商標の指定商品の品質及び指定役務の質を表示するものとして一般に用いられているものともいえず、また、本件商標に接する取引者、需要者が、当該文字を商品の品質及び役務の質等を表示したものと認識するというべき事情も見いだせず、さらに、本願商標が、需要者が何人かの業務に係る商品及び役務であることを認識することができない商標とはいえない。 したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同項第6号のいずれにも該当するものとはいえない。 2 商標法第4条第1項第16号該当性について 本件商標は、上記1のとおり、その指定商品の品質及びその指定役務の質等を表示するものと需要者、取引者に認識されないものであるから、本件商標を、その指定商品及びその指定役務に使用しても、商品の品質や役務の質について誤認を生じさせるおそれはないと判断するのが相当である。 その他に、本件商標が、その指定商品の品質及びその指定役務の質について誤認を生じるおそれがある商標と判断するべき事情は見いだせない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第16号に該当しない。 3 むすび 以上のとおり、本件商標は、商標法第3条第1項第3号、同項第6号及び同法第4条第1項第16号のいずれにも該当するものでなく、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲(本件商標の指定商品及び指定役務) 第9類「電子計算機用プログラム,電子回路(「電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路」を除く。),電子タグ,ICカード,コンピュータ,アプリケーションソフトウェア,ダウンロード可能なスマートフォン用プログラム,ダウンロード可能な携帯電話機用プログラム,ダウンロード可能な携帯情報端末用プログラム,業務用テレビゲーム機用プログラム,テレビゲーム機用メモリーカード,バーチャルリアリティ用ヘッドセット,ダウンロードが可能なゲームプログラム,記録済みデータ記録媒体,測定機械器具,太陽電池,電池,電線及びケーブル,電気通信機械器具,携帯情報端末,携帯電話機用ストラップ,データ記録媒体,携帯電話機又は携帯情報端末用イヤホンジャック,スマートフォン用のケース又はカバー,携帯電話機又は携帯情報端末用アクセサリー,スマートフォン,電子応用機械器具及びその部品,眼鏡,家庭用テレビゲーム機用プログラム,携帯用液晶画面ゲーム機用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,運動用保護ヘルメット,ホイッスル,メトロノーム,電子楽器用自動演奏プログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,電気又は電子楽器用フェイザー,レコード,インターネットを利用して受信し及び保存することができる音楽ファイル,インターネットを利用して受信し及び保存することができる画像ファイル,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,電子出版物,電子出版物(電気通信回線を通じてダウンロードにより販売されるもの),映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,装飾用磁石」 第42類「機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらの機械等により構成される設備の設計,ウェブサイト経由によるコンピュータ技術及びコンピュータプログラミングに関する情報の提供,デザインの考案(広告に関するものを除く。),電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,電子データの保存用記憶領域の貸与及びバックアップ,検索エンジンの提供,コンピュータシステムにおけるデータのバックアップ処理,コンピュータシステムの設計及び分析,電子計算機・自動車その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法等に関する紹介及び説明,医薬品・化粧品又は食品の試験・検査又は研究,機械器具に関する試験又は研究,計測器の貸与,電子計算機の貸与,電子計算機用プログラムの提供,通信ネットワークを利用したアプリケーションソフトウェアの提供,通信ネットワークを利用して提供されるアプリケーションプログラムの提供及びこれに関する情報の提供,気象情報の提供」 |
異議決定日 | 2021-04-30 |
出願番号 | 商願2019-95279(T2019-95279) |
審決分類 |
T
1
651・
16-
Y
(W0942)
T 1 651・ 272- Y (W0942) T 1 651・ 13- Y (W0942) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 田中 瑠美 |
特許庁審判長 |
齋藤 貴博 |
特許庁審判官 |
小俣 克巳 豊田 純一 |
登録日 | 2020-07-02 |
登録番号 | 商標登録第6265231号(T6265231) |
権利者 | 株式会社ミクシィ |
商標の称呼 | スポーツギフティング、スポーツ、ギフティング |
代理人 | 中山 俊彦 |