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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 W45 審判 全部申立て 登録を維持 W45 審判 全部申立て 登録を維持 W45 |
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管理番号 | 1374080 |
異議申立番号 | 異議2020-900235 |
総通号数 | 258 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2021-06-25 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2020-09-18 |
確定日 | 2021-04-19 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第6265810号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第6265810号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第6265810号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成31年3月28日に登録出願、第45類「葬儀の執行,葬儀の手配,葬儀場の提供,祭壇及び葬祭用具の貸与,霊柩車による遣体の移送,葬儀の企画・運営,葬儀に関する情報の提供」を指定役務として、令和2年4月17日に登録査定され、同年7月3日に設定登録されたものである。 第2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用する登録第5996624号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲2のとおりの構成からなり、平成29年3月30日に登録出願、第31類「葬儀用盛花,葬儀用鉢花」及び第45類「葬儀の執行,祭壇及び葬祭用具の貸与,生花祭壇の設営,葬儀のための施設の提供,霊柩車による遺体の搬送,葬儀の企画・運営,葬儀に関する情報の提供」を指定商品及び指定役務として、同年11月17日に設定登録されたものであり、その商標権は現に有効に存続しているものである。 第3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきものであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第3号証を提出した。 1 本件商標と引用商標との対比 (1)本件商標は、商標権者の名称と目されるところの「株式会社 あゆみセレモニー」の文字を左横書きし、当該文字の全体を横長の丸楕円の図形で囲み、その下に横長丸楕円の半円を湾曲させた図形を分離した構成で配置されている。 横長の丸楕円の図形や、横長丸楕円の半円を湾曲させた図形は、いずれも簡単でありふれて用いられる図形で識別力はなく、図形と文字の結合の強弱の程度は弱い。 したがって、図形部分と文字部分とを常に一体不可分のものとしてのみ把握、理解しなければならない特段の事情も見いだすことができないから、文字部分は、独立して自他役務識別機能を有する。 そして、文字部分である「株式会社 あゆみセレモニー」の「セレモニー」の文字部分は、「儀式。式典。」の意味を有する語であり(広辞苑第七版)、その指定役務を取り扱う業界においては、「葬儀」等を意味する語として広く使用されているものである。 また、その構成中の「株式会社」の文字部分は、法人の組織の種類を表す語であるから、自他役務の識別標識としての機能を果たし得ない部分である。 そうすると、本件商標は、その構成中の「あゆみ」の文字部分が自他役務識別機能を果たす部分であるから、これより単に「アユミ」の称呼を生ずるとみるのが相当である。 このような自他役務識別力を有する部分の認定は、図形と「豊栄セレモア株式会社」の文字とを組み合わせてなる商標について、その構成中の「セレモア」の文字部分が自他役務識別機能を果たす部分であるから、これより単に「セレモア」の称呼をも生ずるとみるのが相当であるとした審決(甲3)と整合する。 (2)引用商標は、「歩」の漢字、「あゆみ」の平仮名及び「歩」の漢字の8画目の「左払い」を左側にリボン状に延長した図形からなるものであり、「あゆみ」の平仮名から「アユミ」の称呼を生じ、また「歩」の漢字からも「アユミ」の称呼を生ずるものである。 (3)してみれば、本件商標と引用商標は、共に「アユミ」の称呼を生ずることが明らかであるから、その称呼において類似の商標である。 2 本件商標と引用商標の指定役務 本件商標と引用商標の指定役務は、上記第1及び第2のとおりであるから、同一又は類似のものである。 3 むすび 前記したとおり、本件商標は、引用商標と類似のものであり、その指定役務も同一又は類似のものである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。 第4 当審の判断 1 商標法第4条第1項第11号該当性について (1)本件商標 本件商標は、別掲1のとおり、横長の楕円図形内に、当該図形の中央に「株式会社 あゆみセレモニー」の文字(以下「文字部分」という。)を配し、当該図形の下に、少し空けて、横長の半楕円を湾曲させた図形を配した構成からなるところ、当該楕円図形、及び、半楕円を湾曲させた図形(以下「楕円図形」と「半楕円を湾曲させた図形」を合わせて「図形部分」という。)は、我が国において特定の事物を表すものとして認識され、親しまれているというべき事情は認められないものであるから、これよりは直ちに特定の称呼及び観念は生じないというのが相当である。 また、本件商標は、図形部分と文字部分とを常に一体不可分のものとしてのみ把握、理解しなければならない特段の事情も見いだすことができないから、「株式会社 あゆみセレモニー」の文字部分がそれ自体、独立して自他役務の識別標識としての機能を果たし得る要部といえるものであり、これよりは、当該文字に相応して「カブシキガイシャアユミセレモニー」の称呼を生じるものである。 そして、文字部分全体としては、辞書等に掲載のない語であり、特定の意味合いを持って知られているというような事情も見いだせないことからすれば、特定の観念を生じないものである。 さらに、当該文字部分の構成中、「株式会社」の文字は、会社組織の一形態を表す語であるから、「あゆみセレモニー」の文字が自他役務の識別標識としての機能を果たし得る要部として認識されるというべきであり、この部分のみを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することも許されるというのが相当である。 そうすると、本件商標からは、当該「あゆみセレモニー」の文字に相応し、「アユミセレモニー」の称呼をも生じるものである。 また、「あゆみセレモニー」は、辞書等に掲載のない語であり、特定の意味合いを持って知られているというような事情も見いだせないことからすれば、特定の観念を生じないものである。 したがって、本件商標は、「カブシキガイシャアユミセレモニー」又は「アユミセレモニー」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。 (2)引用商標 引用商標は、別掲2のとおり、図案化された「歩」の漢字を、影付きのピンク色で表し、その右下に小さく「あゆみ」の平仮名を茶色で表してなるものであるところ、その構成文字「歩」及び「あゆみ」の文字に相応し「アユミ」の称呼を生じ、「歩み」の観念を生じるものといえる。 (3)本件商標と引用商標の類否について 本件商標と引用商標の類否を検討すると、本件商標と引用商標とは、本件商標の構成全体と引用商標の外観は明らかに相違し、また、本件商標の要部である「株式会社 あゆみセレモニー」又は「あゆみセレモニー」の文字部分と、引用商標とは、構成態様が明らかに相違し、相紛れるおそれのないものである。 そうすると、本件商標と引用商標は、外観において、類似しないものである。 次に、称呼においては、本件商標から生じる「カブシキガイシャアユミセレモニー」又は「アユミセレモニー」の称呼と引用商標から生じる「アユミ」の称呼とは、その構成音数及び語調語感が明らかに異なるから、両者は相紛れるおそれのないものである。 さらに、観念においては、本件商標は特定の観念を生じないのに対し、引用商標は「歩み」の観念を生じるものであるから、両者は相紛れるおそれのないものである。 そうすると、本件商標と引用商標は、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標というべきものである。 そして、他に本件商標と引用商標が類似するというべき事情は見いだせない。 (4)小括 本件商標と引用商標は、非類似の商標であるから、その指定役務の類否について言及するまでもなく、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。 (5)申立人の主張について 申立人は、本件商標の文字部分の構成中、「セレモニー」及び「株式会社」の文字部分が自他役務識別標識としての機能を果たし得ない部分であるから、「あゆみ」の文字部分が自他役務識別機能を果たす部分であり、「アユミ」の称呼も生じるものであるとして、本件商標と引用商標は「アユミ」の称呼を共通にする類似の商標である旨主張している。 しかしながら、たとえ「セレモニー」の文字が「儀式。式典。」の意味を有する語であり(広辞苑第七版)、その指定役務を取り扱う業界において、「葬儀」等を意味する語として使用されているとしても、本件商標の構成中の「株式会社 あゆみセレモニー」の文字は、同書同大でまとまりよく一体的に表され、全体として法人の名称を表したものと認識させるものであることからすれば、本件商標は、上記(1)のとおり「カブシキガイシャアユミセレモニー」及び「アユミセレモニー」の称呼を生じるものと判断するのが相当であり、他に、本件商標の構成中「あゆみ」の文字部分が取引者、需要者に対し役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものであると認めるに足りる事情は見いだせない。 したがって、申立人のかかる主張はその前提において理由がない。 また、申立人は、他の審決例(甲3)を挙げて、本件商標と引用商標とは類似の商標である旨主張するが、商標の類否の判断は、対比する商標について個別具体的に判断されるべきものであるところ、上記審決例は、商標の具体的構成等において本件とは事案を異にするものであり、本件商標と引用商標の類否については、上記(3)においてした判断のとおりであるから、上記審決例をもってその判断が左右されることはない。 よって、申立人の上記主張も、採用できない。 2 まとめ 以上のとおり、本件商標は、引用商標と非類似の商標であるから、両商標の指定役務が同一又は類似するとしても、商標法第4条第1項第11号に該当しない。 したがって、本件商標の登録は、同条第1項の規定に違反してされたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲1 本件商標 別掲2 引用商標(色彩は原本参照。) |
異議決定日 | 2021-04-09 |
出願番号 | 商願2019-44569(T2019-44569) |
審決分類 |
T
1
651・
262-
Y
(W45)
T 1 651・ 261- Y (W45) T 1 651・ 263- Y (W45) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 中尾 真由美、貳方 勝太 |
特許庁審判長 |
冨澤 美加 |
特許庁審判官 |
小田 昌子 青野 紀子 |
登録日 | 2020-07-03 |
登録番号 | 商標登録第6265810号(T6265810) |
権利者 | 株式会社あゆみセレモニー |
商標の称呼 | アユミセレモニー、アユミ、セレモニー |
代理人 | 森田 拓生 |
代理人 | 奥山 裕治 |