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審決分類 |
審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Y33 |
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管理番号 | 1372905 |
審判番号 | 取消2020-300281 |
総通号数 | 257 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2021-05-28 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2020-04-20 |
確定日 | 2020-12-09 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第276105号商標の登録取消審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は,成り立たない。 審判費用は,請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第276105号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲1のとおりの構成からなり,昭和10年4月22日に登録出願,第38類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として,同11年4月8日に設定登録され,その後,平成18年9月6日に指定商品を第33類「日本酒,薬味酒(にんじんきなてつぶどう酒を除く。)」とする指定商品の書換登録がされ,現に有効に存続しているものである。 そして,本件審判の請求の登録日は,令和2年5月14日であり,その請求の登録前3年とは,平成29年5月14日から令和2年5月13日の期間(以下「要証期間」という。)である。 第2 請求人の主張 請求人は,本件商標の登録を取り消す,審判費用は被請求人の負担とする,との審決を求め,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として甲第1号証を提出した。 1 請求の理由 本件商標は,その指定商品について,継続して3年以上日本国内において商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから,商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。 2 答弁に対する弁駁 請求人は,被請求人からの答弁に対し,何ら弁駁していない。 第3 被請求人の答弁 被請求人は,結論同旨の審決を求め,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として,乙第1号証ないし乙第6号証(枝番号を含む。)を提出した。 1 答弁の理由 本件商標権者は,要証期間内に,本件商標の指定商品中,第33類「日本酒」に,本件商標を使用している。 (1)使用に係る商標及び商品 ア 乙第1号証の1は,液体専用のガラス製容器の一升瓶(リターナブル瓶)であり,その胴部ラベルの中央に「酒豪」の文字,さらに「SHUGO」,右側に「辛口」,「清酒」等の文字が記載されている。乙第1号証の2は,本件商標権者が自社の「部品展開マスタ(修正)」で管理する商品管理用データであり,「商品」の欄に「0021025 0000」「金鹿 酒豪辛口1.8L瓶詰」の表示がある。 イ 乙第2号証の1は,液体を封入し貯蔵,販売等に供するテナー容器(段ボール箱で梱包されている。)であり,正面中央及び上面上部に「酒豪」の文字,さらに正面左上及び上面右下に「21-026」,正面左上に「清酒 18リットル」(「リットル」は「L」の筆記体)等の文字が記載されている。乙第2号証の2は,当該テナー容器の正面の写真であり,その中央に「酒豪」,左下に「大関株式会社 兵庫県西宮市今津出在家町4番9号」,正面左上に「21-026」「清酒 18リットル」(「リットル」は「L」の筆記体),右下に「製造年月:18.01BH010.BI」(製造年月,2018年1月17日を表す。)の文字等が記載されている。乙第2号証の1及び2のテナー容器が同一物であることは,同容器に記載されている「酒豪」等の文字,文字の配置及び商品コード「21-026」が同一であることから確認できる。 ウ 乙第3号証は,「大関株式会社」から「国分ビジネスエキスパート株式会社」に発行した「自2019年04月01日/至2019年04月10日」の「商品 金鹿 酒豪辛口1.8L瓶詰」の「請求書」であり,乙第4号証の1及び2は,平成31年4月24日及び令和元年5月29日に「小倉ホールディングス株式会社」が「大関株式会社」より「品名 金鹿 酒豪辛口1.8L瓶詰」を受領したことを示す「受領書」であり,乙第4号証の3及び4は,同月14日及び2019年7月2日に「小倉ホールディングス株式会社」が「大関株式会社」より「品名 金鹿 酒豪辛口18Lテナー詰」を受領したことを示す「受領書」であるところ,請求書(乙3)及び受領書(乙4の1,2)において取引された商品は,これら2種の取引書類中の「酒豪」の表記及び商品コード「0021-025」の記載から,これと同一の文字(酒豪)若しくは商品コードが付された乙第1号証の1の「酒豪」(一升瓶)であり,また乙第1号証の2の「部品管理マスタ(修正)」で管理されている「酒豪」「00210250000」であることが確認される。 また,同じく,受領書(乙4の3,4)において取引された商品は,同取引書類中の「酒豪」の表記及び商品コード「0021-026」の記載から,これと同一の文字(酒豪)及び商品コードが付された乙第2号証の1及び2の「酒豪」(テナー容器)であることが確認される。 エ 商標「酒豪」を「日本酒」に使用している者は,各号証から明らかなように,本件商標権者である。 (2)使用商標について 本件商標は,「酒豪」の漢字と「シュゴウ」の片仮名を2行に書してなるものであるのに対し,使用している商標は「酒豪」の漢字のみによりなるものである。しかしながら,本件商標の内の「シュゴウ」の文字は「酒豪」を片仮名で表したものであることは明らかなところ,本件商標よりは「酒豪」「シュゴウ」の文字より「シュゴウ」の称呼及び「酒に強く,飲酒量の多い人」の観念を生じるものであり,他方,使用している商標よりも「酒豪」の文字から「シュゴウ」及び「酒に強く,飲酒量の多い人」の称呼,観念を生じることから,本件商標と使用している商標は,称呼,観念を共通にする社会通念上同一の商標である(乙6)。 第4 当審の判断 1 被請求人の提出に係る証拠及び同人の主張によれば,以下の事実が認められる。 (1)乙第2号証の1は,段ボール箱を側面右側より斜視で撮影した写真(左に示されている面が正面)であり,上面上部に「清酒」及びややデザイン化した「酒豪」の文字,上面下部に「注出口」等の文字が記載され,さらに正面上部に「清酒 18l」(「l」は筆記体,以下同じ。),正面中央に上記デザイン化した「酒豪」の文字を若干右に傾けて縦書きした文字等が記載されている。 (2)乙第2号証の2は,段ボール箱の正面と思しき写真であり,左上に「清酒 18l」,中央に上記(1)と同様にデザイン化された「酒豪」の文字を若干右に傾けて縦書きしたもの(別掲2,以下「使用商標」という。),左下に「大関株式会社 兵庫県西宮市今津出在家町4番9号」及び右下に「製造年月:18.01BH010.BI」の文字等が記載されている。 2 上記1で認定した事実を総合すると,次のとおり認めることができる。 (1)乙第2号証の1及び2について 乙第2号証の1の写真の段ボール箱の正面と,乙第2号証の2において示されている写真は,表面に表されている,「清酒 18l」,「酒豪」等の構成文字及びその態様や配置等が一致することから,両者は同一の段ボール箱(以下「使用段ボール箱」という。)を斜視と正面から撮影したものである。 (2)使用商品について 使用段ボール箱は,その上面上部に「注出口」,正面左上に「清酒 18l」及び正面右下に「製造年月」等の文字が書されていることから,清酒の包装容器であると認められる。そうすると,使用商品は清酒であり,清酒は,本件審判の請求に係る指定商品中,第33類「日本酒」の範ちゅうの商品である。 (3)本件商標と使用商標の社会通念上の同一性について 本件商標は,別掲1のとおり「酒豪」の漢字と「シュゴウ」の片仮名を2行に書したものであり,右側の片仮名は左側の漢字の読みと認められる。一方,使用商標は,ややデザイン化した「酒豪」の漢字を若干右に傾け,縦書きしたものである。 そうすると,本件商標と使用商標とは片仮名の有無や書体の相違等はあるものの,「酒豪」の文字を共通にするものであるから,社会通念上同一の商標と認められる。 (4)使用者について 使用段ボール箱には本件商標権者の名称及び住所が記載されていることから,使用商標の使用者は,本件商標権者である。 (5)使用時期について 使用段ボール箱の正面右下に記載されている「製造年月:18.01BH010.BI」の文字から,使用商品の製造年月が2018年(平成30年)1月であると推認できる。 そうすると,当該年月において,使用商品が包装され,使用商標が付された使用段ボール箱が存在していたとみて差し支えない。そして,当該2018年(平成30年)1月は,要証期間である。 (6)小括 以上によれば,本件商標権者は,要証期間に日本国内において,本件審判の請求に係る指定商品に含まれる「清酒」の包装容器に,本件商標と社会通念上同一の商標を付したものと認められる。 そして,当該行為は,商標法第2条第3項第1号にいう「商品の包装に標章を付する行為」に該当する。 (7)まとめ 以上のとおりであるから,被請求人は,本件審判の請求の登録前3年以内に,日本国内において本件商標権者が本件審判の請求に係る指定商品について,本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)の使用をしていることを証明したものと認めることができる。 したがって,本件商標の登録は,商標法第50条の規定により,取り消すことができない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
【別記】 |
審理終結日 | 2020-10-13 |
結審通知日 | 2020-10-16 |
審決日 | 2020-10-28 |
出願番号 | 商願昭10-8858 |
審決分類 |
T
1
31・
1-
Y
(Y33)
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最終処分 | 成立 |
特許庁審判長 |
岩崎 安子 |
特許庁審判官 |
大森 友子 藤村 浩二 |
登録日 | 1936-04-08 |
登録番号 | 商標登録第276105号(T276105) |
商標の称呼 | シュゴウ |
代理人 | 柴田 昭夫 |