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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W09
審判 全部申立て  登録を維持 W09
審判 全部申立て  登録を維持 W09
審判 全部申立て  登録を維持 W09
審判 全部申立て  登録を維持 W09
管理番号 1371913 
異議申立番号 異議2020-900105 
総通号数 256 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2021-04-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2020-04-13 
確定日 2021-01-28 
異議申立件数
事件の表示 登録第6219134号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6219134号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6219134商標(以下「本件商標」という。)は、「casdoom」の文字を標準文字により表してなり、平成31年3月18日に登録出願、第9類「コンピュータ周辺機器,コンピュータ用プログラム(電気通信回線を通じてダウンロードにより販売されるもの),マウスパッド,ラップトップ型コンピューター専用バッグ,ノートブック型コンピュータ・タブレット型コンピュータ専用バッグ・ケース及びカバー,タブレット型コンピュータ専用保護ケース,ネットブック型コンピュータ専用ケース,カード読み取り装置,電子カード読取り機,発光式標識,乗物故障警告用の三角標識,電話の受話器台(自動車の車内用のもの),移動電話機用ホルダー,スマートフォン又は携帯電話機用保護カバー,スマートフォン又は携帯電話機用保護ケース,カメラ及び写真機械器具用バッグ,USBケーブル,事故防止用身体防護具,防塵用のゴーグル及びマスク,眼鏡用容器,USB接続方式の充電器,ワイヤレス充電器,ラバーマグネット,冷蔵庫に使用される装飾用磁石」を指定商品として、令和2年1月17日に登録査定、同月23日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立人が引用する商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議申立ての理由において、引用する登録商標(以下、まとめていうときは「引用商標」という。)は、以下のとおりであり、いずれも現に有効に存続しているものである。
(1)登録第4878530号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成:「DOOM3」(標準文字)
登録出願日:平成16年8月13日(優先権主張:2004年(平成16年)2月13日)
設定登録日:平成17年7月8日
指定商品:第9類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
(2)登録第5749545号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成:「DOOM」(標準文字)
登録出願日:平成26年10月20日
設定登録日:平成27年3月13日
指定商品及び指定役務:第9類、第35類、第38類及び第41類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第10号、同項第11号及び同項第15号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであるとして、その理由を以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第8号証を提出した。
(1)申立人は、アメリカ合衆国のコンピュータゲームソフトウェア開発会社であり、テキサス州ダラス郊外に本拠を置き(甲4)、その代表作が「DOOM」及び「DOOM3」である(甲5)。
申立人は、2007年6月11日(米国時間)に、アップルの主催するMacintosh向けソフトウェア開発者のカンファレンスWWDC2007(Worldwide Developers Conference2007)にて、新世代ゲームエンジンid TECH5を発表し、その後、毎年のように新規プロジェクトを発表している。また、2007年には3つの大型プロジェクトに加え、steamにてWolfenstein 3D、DOOM、Quake(1?3)等旧作に絞ったラインナップで販売を開始した。
「DOOM(ドゥーム)」は、申立人が開発したファーストパーソン・シューティングゲーム(FPS)であり、1993年12月10日にPC-DOS向けのシェアウェアとして発売され、FPSというジャンルの代表作として知られており、その人気は後発のFPSに多大な影響を与え、オンラインゲームの発展にも大きく寄与してきた。
ゲームソフト「DOOM(ドゥーム)」が販売された1993年当時の日本では、インターネットがあまり普及しておらず、日本人が海外のゲームの情報を入手するのは簡単ではなかったところ、パソコン通信サービスにおける海外ゲームのフォーラムにおいて、「DOOM(ドゥーム)」のシェアウェア版(体験版)が公開され、対戦プレイを楽しみ、ダウンロードして遊ぶファンも数多く存在した。
そして、日本においては、FPSという単語が一般的ではなかったことから、これらのゲームは「DOOM(ドゥーム)」系と呼ばれていた。
なお、我が国では、2018年3月に、周知著名なゲーム機器である任天堂Switch用に、「DOOM(ドゥーム)」シリーズのゲームソフトウェアが発売されている(甲6)。
「DOOM(ドゥーム)」の売上は、150万本に上り、シェアウェア版(ダウンロード販売)の利用者は1,500万人から2,000万人も上り、専門家は、1999年の時点におけるパッケージ版の売上げは、約200ないし300万本と推定しており、発売から2年間で1,000ないし2,000万人がプレイしたとみる専門家もいる。
なお、「DOOM(ドゥーム)」は、コンピュータゲームの専門家が決定する「あらゆる時代のベストゲームリスト」の1993年の1タイトルに選ばれている(甲7)。
申立人は、スピンオフ作品を含め、10本以上の「DOOM(ドゥーム)」シリーズのコンピュータゲームソフトウェアを発表しており、特に2004年に発表された「DOOM3(ドゥーム3)」は、ダウンロード版を含めて、申立人が開発するゲームソフトウェアとしては最大の3,500万本以上の売上が記録されている。
このように、申立人の商標「DOOM(ドゥーム)」は、コンピュータゲームソフトウェアとの関係において、少なくとも本件商標の登録出願時から現在まで、本国米国及び我が国をはじめ、世界的に周知著名であるということができる。
また、申立人は、引用商標について、本国米国や我が国のみならず、世界各国において商標登録を取得することにより、コンピュータゲームソフトウェアとの関係における商標「DOOM(ドゥーム)」の世界的な保護を図っている(甲8)。
(2)本件商標の商標法第4条第1項第10号、同項第11号及び/又は同項第15号該当性について
ア 本件商標の指定商品には、第9類の「コンピュータ周辺機器,コンピュータ用プログラム(電気通信回線を通じてダウンロードにより販売されるもの)」等が含まれており、該指定商品は、引用商標の指定商品と相互に同一又は類似する関係にある。
また、本件商標が標準文字の欧文字により「casdoom」と構成される一方、引用商標は、それぞれ、標準文字の欧文字により「DOOM3」及び「DOOM」と構成されている。
本件商標は、その構成中の後半部に引用商標(の要部)である「DOOM」を全て含むから、外観及び称呼(「キャスドゥーム」対「ドゥーム」)の近似性を考慮すると、本件商標と引用商標は相互に類似の商標として把握・認識するのが相当である。
以上の点、並びに、引用商標が、コンピュータゲームソフトウェアとの関係において、少なくとも本件商標の登録出願時から現在まで、本国米国及び我が国をはじめ、世界的に周知著名であることを考慮すると、本件商標は引用商標との関係において、相互に同一又は類似の関係にある指定商品については、商標法第4条第1項第10号及び/又は同項第11号に違反して登録されたものであると考えるのが妥当である。
また、仮に両商標が相互に類似の関係にあるとはいえない場合であっても、両商標の特に外観と称呼における類似性・近似性の高さ、引用商標が、コンピュータゲームソフトウェアとの関係において、少なくとも本件商標の登録出願時から現在まで、本国米国及び我が国をはじめ、世界的に周知著名であり、本件商標の指定商品とその内容や用途において極めて関連性が高いこと等を考慮すると、本件商標に接する我が国の取引者・需要者は、本件商標に係る商品があたかも申立人の「DOOM」シリーズのコンピュータゲームソフトウェアに関する商品であるかのごとく商品の出所について混同するおそれがあるか、あるいは、申立人と経済的又は組織的に何等かの関係にある者の業務に係る商品であると誤認した結果、商品の出所について混同するおそれがあるといわざるを得ない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第1項15号に違反して登録されたものである。

4 当審の判断
(1)引用商標の周知性について
申立人は、アメリカ合衆国のコンピュータゲームソフトウェア開発会社であって、「DOOM」及び「DOOM3」と称するゲームソフトウェアを開発し(甲4、甲5)、1993年における「List of video games considered the best」の1つに「DOOM」が選ばれたこと(甲7)、2018年3月に任天堂Switch用に「DOOM」と称するゲームソフトウェアが発売されたこと(甲6)はうかがえるものの、提出された証拠はいずれも外国語で記載されており、その詳細は確認できないものである。
また、「DOOM3」について、申立人は、申立人が開発するゲームソフトウェアとしては最大の3500万本以上の売上が記録されていると主張するが、その主張を裏付ける証拠を提出しておらず、申立人の業務に係る商品に使用している事実は見いだせない。
その他、我が国における引用商標を使用した申立人の業務に係る商品の売上高、販売額、宣伝広告費、宣伝地域、市場占有率等に関する証拠は提出されていない。
そうすると、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、引用商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして我が国の需要者の間に広く認識されていたものと認めることができない。
(2)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標は、前記1のとおり、「casdoom」の文字を標準文字で表してなるところ、「casdoom」の文字は、同書、同大、等間隔でまとまりよく一体的に表してなるものであって、該構成文字に相応して「キャスドーム」の称呼を生じ、該文字は辞書等に載録が認められないものであるから、特定の観念は生じない。
イ 引用商標1は、前記2(1)のとおり、「DOOM3」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「DOOM」の文字は、「運命、破滅」ほどの意味を有する英語であるものの、我が国で親しまれた語とはいえないものであり、また、その構成中の「3」の数字は、一般に数字が商品の記号・符号等として類型的に使用されていることから、その一類型として認識されるものであって、自他商品の識別力はないか、極めて弱いものといえるものである。
そうすると、引用商標1は、その構成全体から「ドームスリー」の称呼を生じるほか、「DOOM」の文字に相応して「ドーム」の称呼を生じ、「DOOM」の文字は、上記のとおり、我が国で親しまれた語とはいえないから、その構成全体又は「DOOM」の文字は、いずれも特定の観念を生じないものと判断するのが相当である。
引用商標2は、前記2(2)のとおり、「DOOM」の文字を標準文字で表してなり、該文字に相応し「ドーム」の称呼を生じ、上記と同様の理由により特定の観念を生じないものと判断するのが相当である。
ウ 本件商標と引用商標との類否について検討するに、本件商標及び引用商標は、上記のとおりの構成からなり、両商標は、構成文字数及び構成態様が異なり、外観において明らかに区別し得るものである。
そして、称呼においては、本件商標から生じる「キャスドーム」の称呼と引用商標から生じる「ドームスリー」又は「ドーム」の称呼とは、その構成音及び構成音数において明らかな差異を有するものであるから、明瞭に聴別できるものである。
また、本件商標と引用商標は、いずれも特定の観念が生じないものであるから、観念において比較できない。
そうすると、本願商標と引用商標とは、観念において比較できないとしても、外観において明らかに区別し得るものであり、称呼において明瞭に聴別し得るものであるから、これらが需要者に与える印象、記憶、連想等を総合してみれば、両商標は、非類似の商標であって別異の商標というべきものである。
エ 本件商標の指定商品と引用商標の指定商品との類否
本件商標の指定商品と引用商標の指定商品とは、同一又は類似の商品である。
オ 小括
以上のとおり、本件商標と引用商標とは、別異の商標というべきものであるから、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品とが同一又は類似のものであるとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第10号及び同項第15号該当性について
上記(2)のとおり、本件商標と引用商標は、別異の商標というべきものであって、上記(1)のとおり、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして我が国の需要者の間に広く認識されていたものと認めることができないものであるから、本件商標は、これをその指定商品について使用したとしても、これに接する取引者、需要者が、これから引用商標又は申立人を連想、想起するようなことはないというべきであり、該商品が申立人又は申立人と経済的、組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その出所について混同を生じるおそれはないものと判断するのが相当である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同項第15号に該当するものとはいえない。
(4)むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同項第11号及び同項第15号のいずれにも該当するものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2021-01-21 
出願番号 商願2019-39512(T2019-39512) 
審決分類 T 1 651・ 261- Y (W09)
T 1 651・ 262- Y (W09)
T 1 651・ 271- Y (W09)
T 1 651・ 25- Y (W09)
T 1 651・ 263- Y (W09)
最終処分 維持  
前審関与審査官 原田 信彦 
特許庁審判長 齋藤 貴博
特許庁審判官 豊田 純一
小松 里美
登録日 2020-01-23 
登録番号 商標登録第6219134号(T6219134) 
権利者 深▲せん▼秀趣網絡科技有限公司
商標の称呼 キャスドーム、キャスドゥーム、カスドーム、カスドゥーム 
代理人 大橋 啓輔 
代理人 青木 篤 

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