• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W0935414245
審判 全部申立て  登録を維持 W0935414245
管理番号 1371909 
異議申立番号 異議2020-900278 
総通号数 256 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2021-04-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2020-10-27 
確定日 2021-02-20 
異議申立件数
事件の表示 登録第6278937号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6278937号商標の商標登録を維持する。
理由 理 由
1 本件商標
本件登録第6278937号商標(以下「本件商標」という。)は、「bakusai」の文字を標準文字で表してなり、令和元年6月27日に登録出願、第9類、第35類、第41類、第42類及び第45類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務(別掲)を指定商品及び指定役務として、同2年7月13日に登録査定、同年8月11日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由の要旨
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同項第19号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第7号証を提出した。
(1)申立人が引用する商標について
ア 申立人はAegate株式会社(以下「A社」という。)の代表取締役であり、A社が運営するインターネット閲覧・投稿サイト「爆サイ.com」及び「bakusai.com」は、「爆サイ」及び「bakusai」の名称で広く周知されている(以下、「bakusai.com」と「bakusai」の文字を「引用商標」という。)。本件商標は、株式会社プライムサーカス(以下「P社」という。)の出願によるものであり、P社の代表取締役N氏(以下、単に「N氏」という。)はA社の名義上の代表取締役になっていた者である。N氏は、「bakusai.com」の運営の乗っ取りを図り、「bakusai」の商標を先に登録し、不正に利益を得る目的、A社に損害を加える目的をもって使用しようとしている。
イ 「爆サイ.com」、「bakusai.com」は2005年に開設された日本最大級のネット掲示板であり、日本全国の各地域のスレッドが開設され、総投稿数6億6000万を超え、また月間閲覧者数は約1500万人を超える。
ウ N氏は、申立人をA社の経営から廃除しようと計画したため、申立人は、これを阻止するため、令和元年6月21日付でN氏をA社の取締役から解任した(甲2)。N氏は、東京地方裁判所に対してA社の役員の地位を仮に定める仮処分命令の申立てを行ったが、申立人がA社の実質的な株主であり代表取締役であることが認められた。上記仮処分の裁判中、N氏はA社の銀行口座から無断で金員を引き出し、また保険を無断で解約し、その資金を横領し、その他、A社事務所から什器備品やパソコン、ストレージ等の重要な資産を持ち出し、散逸させ、P社を設立した。本件商標は、P社により令和元年6月27日に出願されたものであり、乗っ取り行為の一環としてなされたものである。
(2)商標法第4条第1項第10号について
本件商標は、A社の使用する商標「bakusai.com」と「.com」以外は一致しており、「bakusai」という名称は日本全国のユーザーから広く周知されており、その表示は独創性が高く、指定商品、役務についても、インターネット上で同サイトを運営するにおいて必要な商品、役務に関連するものであって、P社が登録商標を使用して「bakusai」という名称の新たな投稿サイトを開設すれば、ユーザーは同一のサイトであると混同することとなり、またA社の取引先である広告代理店業者も、A社が運営する新たなサイトであると混同する危険性が高い。
したがって、本件商標は、他人の業務に係る役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標であり、指定役務はまさに同様のサイトを運営するに必要な役務について使用するものであることは明らかであるため、商標法第4条第1項第10号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第19号について
上記(1)において述べたとおり、N氏は、A社から「bakusai.com」のサイト運営権を奪取し、P社で同サイトを運営し、かつ申立人に同じ商標を使用させない目的で商標登録したものであり、不正目的があることは明白である。
また、「bakusai」に周知性が認められるため、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。

3 当審の判断
(1)引用商標の周知性について
ア 申立人の提出に係る甲各号証及び申立人の主張によれば、以下のとおりである。
申立人はA社の代表取締役である(甲2、甲5、甲6)。
A社は、インターネット掲示板「爆サイ.com」を運営していることがうかがえる(甲4)。
そして、申立人は、インターネット掲示板「爆サイ.com」、「bakusai.com」を2005年より運営し、当該サイトにおいては、日本全国の各地域のスレッドが開設されており、総投稿数が6億6000万超、月間閲覧者数は約1500万人を超えるものと主張しているが、上記主張を客観的に裏付ける証左は見いだせない。
イ 前記アにおいて認定した事実及び職権による調査によれば、引用商標に係るインターネット閲覧・投稿サイトらしきサイトが存在することは確認できるものの、当該サイトの開設時期、総投稿数等については、主張のみで立証がなく、また、引用商標の具体的な使用態様、使用商品及び役務、提供実績、広告宣伝の方法、期間、地域等については、主張も立証もされていないから、引用商標が本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国又は外国の需要者の間で、申立人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして広く認識されていたことについて認めることができない。なお、仮に、申立人の主張する前記投稿数及び閲覧者数が事実であったとしても、かかる投稿数及び閲覧者数が引用商標の周知性を基礎付けるほど多数であると認めるに足りる証左も見いだせない。
その他、申立人の提出に係る甲各号証を総合してみても、引用商標が本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国又は外国の需要者の間で、申立人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして広く認識されていたと認めるに足る証拠は見いだせない。
そうすると、引用商標に係るインターネット閲覧・投稿サイトらしきサイトが存在することはうかがえるとしても、引用商標が我が国又は外国の需要者の間に広く認識されているものということはできない。
したがって、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、他人(申立人)の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されていたと認めることはできないものである。
(2)商標法第4条第1項第10号該当性について
本件商標及び引用商標は、前記1及び2(1)のとおり、いずれも「bakusai」の文字を有するものであるとしても、引用商標は、前記(1)イのとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして、需要者の間に広く認識されていたと認めることはできないものである。
そうすると、本件商標は、他人の業務に係る商品若しくは役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似する商標とはいえない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第19号該当性について
前記(1)イのとおり引用商標は、申立人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されていると認められないものである。
そうすると、本件商標は、他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標とはいえない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。
(4)まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同項第19号のいずれにも該当するものではなく、その登録は、同法第4条第1項の規定に違反してされたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。

別掲
別掲 本件商標の指定商品及び指定役務
第9類「アプリケーションソフトウェア,コンピュータソフトウェア,電子応用機械器具及びその部品,携帯情報端末,電気通信機械器具,インターネットを利用して受信し及び保存することができる画像ファイル,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,通信ネットワークを通じてダウンロード可能な画像・映像・音楽・文字情報,電子出版物」
第35類「インターネット上のウェブサイト・ウェブログを通じて行う政治・経済・環境・文化・人権・国際情勢・科学技術・ビジネス・スポーツ・芸能・その他の時事問題に関する記事情報の提供,インターネット上のウェブサイト・ウェブログを通じて行う地域・グローバル・ライフスタイル・旅・イベント・アートその他の時事問題に関する記事情報の提供,新聞記事情報の提供,広告業,広告に関するコンサルティング,広告用具の貸与,インターネットにおける広告スペースの提供,商品及び役務の販売促進・提供促進のための企画及びその実行の代理,トレーディングスタンプの発行,経営の診断又は経営に関する助言,市場調査又は分析,商品の販売に関する情報の提供,消費者のための商品及び役務の選択における助言と情報の提供,書類の複製,文書又は磁気テープのファイリング,コンピュータデータベースへの情報編集」
第41類「地域・グローバル・ライフスタイル・旅・イベント・アートその他の時事問題に関する記事を内容とする電子出版物の提供,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,図書の貸与,地域・グローバル・ライフスタイル・旅・イベント・アートその他の時事問題に関する記事を内容とする文字情報の提供,オンラインによる音楽・音声・映像・画像・文字情報の提供,地域・グローバル・ライフスタイル・旅・イベント・アートその他の時事問題に関する記事を内容とする電子出版物の制作,電子出版物の制作,書籍の制作,娯楽情報の提供,技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催,美術品の展示,美術品の展示に関する情報の提供」
第42類「電子計算機による新聞記事に関する情報の検索のための検索エンジンの提供,インターネットにおける検索エンジンの提供,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,インターネットにおける電子掲示板へのアクセスのためのコンピュータープログラムの提供,オンラインによるアプリケーションソフトウェアの提供(SaaS),電子計算機用プログラムの提供,電子掲示板のためのサーバーの記憶領域の貸与,電子計算機の貸与,機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらの機械等により構成される設備の設計,デザインの考案(広告に関するものを除く。),電子計算機・自動車その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法等に関する紹介及び説明,気象情報の提供」
第45類「時事情報の提供,タレント・芸能人・著名人に関する情報の提供,ファッション情報の提供,オンラインによるソーシャルネットワーキングサービスの提供,結婚又は交際を希望する者への異性の紹介,占い,身の上相談」

異議決定日 2021-02-10 
出願番号 商願2019-89935(T2019-89935) 
審決分類 T 1 651・ 222- Y (W0935414245)
T 1 651・ 25- Y (W0935414245)
最終処分 維持  
前審関与審査官 太野垣 卓 
特許庁審判長 森山 啓
特許庁審判官 綾 郁奈子
板谷 玲子
登録日 2020-08-11 
登録番号 商標登録第6278937号(T6278937) 
権利者 株式会社プライムサーカス
商標の称呼 バクサイ 
代理人 和田 慎一郎 
代理人 榎園 利浩 
代理人 丸山 一郎 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ