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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Z03
管理番号 1371891 
審判番号 取消2019-300268 
総通号数 256 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2021-04-30 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2019-04-04 
確定日 2021-03-01 
事件の表示 上記当事者間の登録第4487841号商標の登録取消審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 審判費用は,請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4487841号商標(以下「本件商標」という。)は,「マジック」の片仮名を横書きしてなり,平成12年7月25日に登録出願,第3類「化粧品」を指定商品として,同13年7月6日に設定登録され,その商標権は現に有効に存続しているものである。
また,本件審判の請求の登録は,平成31年4月17日にされたものである。
なお,本件審判において,商標法第50条第2項に規定する「その審判の請求の登録前3年以内」とは,平成28年(2016年)4月17日ないし同31年(2019年)4月16日である(以下「要証期間」という場合がある。)。


第2 請求人の主張
請求人は,商標法第50条第1項の規定により,本件商標の登録を取り消す,審判費用は被請求人の負担とする,との審決を求め,審判請求書及び弁駁書において,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第10号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は,第3類の全指定商品について,継続して3年以上日本国内において商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが,登録商標の使用をした事実が存しないから,その登録は,商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)使用に係る商標について
ア 被請求人は,商品の包装に標章を付した正面図と背面図の写真(乙1の1)を提出し,当該写真の正面図には,片仮名で「マジック」と英文字で「MAGIC」が明確に記載され,背面図には片仮名で「マジック」と記載されており,「総合パンフレット商品紹介ページ」(乙2の2)の右下には片仮名で「マジック」と記載されており,本件商標について使用している旨主張する。
しかしながら,商品の包装の写真(乙1の1)の正面図をみると,「マジック」及び「ヘアカラー」の片仮名の二段書きと,その下部の「MAGIC HAIR COLOR」の欧文字とが,橙色に塗りつぶされた長方形状の輪郭内に白抜きをもって表示されている(以下「使用商標1」という。)。また,背面図をみると,「ジュテーム」の片仮名と「マジック ヘアカラー」の片仮名とが二段書きに表示されている(以下「使用商標2」という。)。さらに,「総合パンフレット商品紹介ページ」(乙2の2)の右下をみると,「マジックヘアカラー」の片仮名が横書きに表示されている(以下「使用商標3」という。)。(以下「使用商標1」ないし「使用商標3」をまとめて「使用商標」という場合がある。)
したがって,上記態様からなる使用商標と,「マジック」の片仮名からなる本件商標とが,商標法第50条第1項に規定される,同一の商標でないことは明らかである。
(ア)本件商標と使用商標1の同一性について
使用商標1に係る「マジック」及び「ヘアカラー」の片仮名が二段書きに表示された文字部分ついてみるに,各文字部分を構成する文字は,書体及び大きさが同一であること,各文字部分の間隔は,各文字の大きさの5分の1ないし6分の1程度で,極めて近接しており,かつ,それぞれの文字部分の横方向中央を同じ位置にそろえ,下段の文字部分中の上段の文字部分と重ならない部分がその前後端で同じ長さとなるようにし,全体に上下段の文字部分がまとまりよく配置されていることが認められる。
上記態様等に照らすと,使用商標1に係る「マジック」及び「ヘアカラー」の片仮名が二段書きに表示された文字部分は,その全体が外観において極めて緊密な一体性を有しているものというべきである。
また,乙第1号証の1に係る写真(背面図)には,<白髪用染毛料>の記載が見受けられるが,これに接した取引者,需要者が,「ヘアカラー」の文字部分が商品の用途を表示するものと理解したとしても,上記態様に照らすならば,上段の「マジック」の文字部分のみを独立した商標として認識するとするのは極めて不自然であるといえる。
使用商標1に係る「MAGIC HAIR COLOR」の文字部分についてみるに,「MAGIC HAIR COLOR」の構成文字は,大きさ,書体及び色彩が同一でまとまりよく配置されていることが認められ,当該態様に照らすと,当該文字全体が1個の商標を構成するものというべきである。また,当該態様に照らし,それが「マジックヘアカラー」と一連によどみなく称呼し得ること等に鑑みて,使用商標1に係る「MAGIC HAIR COLOR」の文字部分は,「魔法」を意味する「MAGIC」の語と用途に関連する「HAIR COLOR」の語とを組み合せた「MAGIC HAIR COLOR」との造語によって表されたものであって,「MAGIC HAIR COLOR」の文字全体に自他商品識別機能があるものと認めるのが相当である。
そして,使用商標1は,「マジック」及び「ヘアカラー」の片仮名が二段書きに表示された文字部分と,「MAGIC HAIR COLOR」の文字部分とが,橙色に塗りつぶされた長方形状の輪郭内に相互に振り仮名として,白抜きをもって表示されてなるものであることから,このような使用商標1の全体の態様から,「マジック」又は「MAGIC」の文字部分のみが分離するということは考え難い。
したがって,本件商標と使用商標1とは,社会通念上同一ということはできないものである。
(イ)本件商標と使用商標2の同一性について
使用商標2は,上述のとおり,「ジュテーム」の片仮名と「マジックヘアカラー」の片仮名とが二段書きに表示されてなるものである。
「マジックヘアカラー」の文字部分は,「ジュテーム」の文字部分と比較し,構成文字の大きさが小さく表されていること,さらに,「マジックヘアカラー」の文字部分のみについてみるに,当該文字部分全体として,各文字が書体及び色彩を同じくしてまとまりよく配置されていることが認められる。
そうすると,構成文字の大きさの相違並びに「ジュテーム」の語がフランス語であるのに対し「マジックヘアカラー」の語が英語であることによって,仮に,「マジックヘアカラー」の文字部分が「ジュテーム」の文字部分から独立した別個の商標であるとしても,「マジックヘアカラー」の文字部分の上記態様に照らして,その部分全体が1個の商標を構成するものというべきである。
また,「マジックヘアカラー」の文字部分の上記態様に照らし,「マジックヘアカラー」の文字が「マジックヘアカラー」と一連によどみなく称呼し得ること等に鑑みて,使用商標2は,用途に関連する「ヘアカラー」の語と「魔法」を意味する「マジック」の語とを組み合せた「マジックヘアカラー」との造語によって表されたものであって,「マジックヘアカラー」の文字全体に自他商品識別機能があるものと認めるのが相当である。
したがって,本件商標と使用商標2とは,社会通念上同一ということはできないものである。
(ウ)本件商標と使用商標3の同一性について
使用商標3は,上述のとおり,「マジックヘアカラー」の片仮名が横書きに表示されてなるものである。「マジックヘアカラー」の構成文字は,大きさ,書体及び色彩が同一でまとまりよく配置されていることが認められ,当該態様に照らすと,当該文字全体が1個の商標を構成するものというべきである。また,当該態様に照らし,それが「マジックヘアカラー」と一連によどみなく称呼し得ること等に鑑みて,使用商標3は,「魔法」を意味する「マジック」の語と用途に関連する「ヘアカラー」の語とを組み合せた「マジックヘアカラー」との造語によって表されたものであって,「マジックヘアカラー」の文字全体に自他商品識別機能があるものと認めるのが相当である。
したがって,本件商標と使用商標3とは,社会通念上同一ということはできないものである。
なお,乙第2号証の2に係る総合パンフレットにて紹介されている各商品をみても,「UVファンデーション」,「アイライナー」,「ヘアメイクスティック」等,化粧品の分野の商品との関係においては当該商品の内容表示ともいえるような商品が紹介されているなかで,使用商標3に係る「マジックヘアカラー」の表示が示されており,このような構成において,「マジック」の文字部分のみが要部であるとして抽出されて認識されるものとは考え難い。
イ 「マジック」の語の性質ついて
「マジック」の語は,その前後に化粧品の分野の商品の品質表示となる語が組み合わされることで,一体不可分の造語が構成されるという性質を有するものである。このことは,多数存在する審決例のうちの一部の判断をみても明らかである。
ウ まとめ
以上のとおり,上記アにおける「本件商標と使用商標の同一性」,及び上記イにおける「『マジック』の語の性質」のいずれをもってしても,本件商標と使用商標とは,同一の商標でなく,社会通念上同一の商標ということもできない。
したがって,乙第1号証の1及び乙第2号証の2を提出したことをもって,被請求人が通常使用権者であると主張する「株式会社ジュテーム」(以下「ジュテーム社」という場合がある。)によって,本件商標が要証期間内に指定商品の化粧品の一種である「ヘアカラー(染毛料)」に使用されたものであることを証明していない。
(2)商標の使用者について
被請求人は,乙第1号証ないし乙第6号証を提出し,「株式会社ジュテーム」,「ジュテーム化粧品」及び「ジュテーム」が表示されていることを示しつつ,乙第7号証及び乙第8号証を提出し,本件の通常使用権者であるジュテーム社と本件商標権者である「株式会社ピカソ美化学研究所」(以下「ピカソ美化学研究所」という。)とが密接な関係を有することは,「ジュテーム社の登記簿謄本」(乙7)及び「ピカソ美化学研究所の登記簿謄本」(乙8)に「八木常治」,「八木伸夫」の各氏が各々両会社の役員を兼務している事実から充分に肯定されるものであるとし,乙第1号証ないし乙第6号証は,本件商標の通常使用権者であるジュテーム社の使用を明確にするものであると主張している。
しかしながら,被請求人は,ジュテーム社がピカソ美化学研究所の通常使用権者であることを証明するにあたり,乙第7号証及び乙第8号証を提出しているものの,両社間の明示又は黙示の使用許諾について,何ら証明していない。すなわち,乙第7号証及び乙第8号証をもって,ジュテーム社がピカソ美化学研究所の通常使用権者であることを証明していない。
したがって,乙第1号証ないし乙第8号証を提出したことをもって,被請求人が通常使用権者であると主張するジュテーム社によって,本件商標が要証期間内に指定商品に係る化粧品の一種である「ヘアカラー(染毛料)」に使用されたものであることを証明していない。
(3)商品についての「使用」について
被請求人は,乙第1号証ないし乙第6号証を提出し,本件商標をその指定商品に係る化粧品の一種である「ヘアカラー(染毛料)」について使用している旨,主張しているものと思われる。
しかしながら,被請求人は,これら乙第1号証ないし乙第6号証をもって,商標法第2条第3項の何号の規定に係る「使用」をしたことを証明しなければならないところ,何ら主張も,証明もしていない。
例えば,被請求人は,乙第1号証に係る写真について撮影した日付を示しておらず,撮影者の氏名及び住所についても全く証明していない。仮に,撮影者が被請求人である場合は,そもそもその商品は他人に譲渡されていないのであるから,乙第1号証の写真に係る商品は,商標法第2条第3項各号の規定に係るいずれの「使用」もされていないといえる。
また,乙第2号証に係る総合パンフレットは,商標法第2条第3項第8号に定める広告に関する「使用」を前提としているものと考えられるが,広告が同号の「使用」に該当するというためには,当該広告を展示又は頒布した事実を証明しなければならない。
しかし,被請求人は,乙第2号証に係る総合パンフレットを展示又は頒布した事実を何ら証明していない。
なお,乙第3号証ないし乙第5号証に係る注文書,納品書,及び請求書については,当該総合パンフレットの作成がされたという事実を証明するにとどまり,総合パンフレットを展示又は頒布した事実を何ら証明するものではない。
さらに,被請求人は,乙第6号証として提出した「2018年8月30日ジュテーム ウェブサイト」において,商品を紹介しているページとしていることを踏まえれば,商標法第2条第3項第8号に定める広告に関する「使用」を前提としているものと考えられるが,上述のとおり,広告が同号の「使用」に該当するというためには,当該広告を展示又は頒布した事実を証明しなければならない。
しかし,被請求人は,乙第6号証のウェブサイトに係る広告を展示又は頒布した事実を何ら証明していない。
また,当該ウェブサイトの化粧品紹介ページには,金額は示されているものの,商品の購入手続を行うためのリンク先等が設けられていないことから,商品が販売された事実を何ら証明していない。
したがって,乙第1号証ないし乙第6号証を提出したことをもって,被請求人が通常使用権者であると主張するジュテーム社によって,本件商標が要証期間内に指定商品に係る化粧品の一種である「ヘアカラー(染毛料)」について商標法第2条第3項各号の規定に係る「使用」がされたものであることを証明していない。
(4)使用時期について
被請求人は,乙第2号証ないし乙第6号証を提出し,「2018年総合パンフレット」(乙2)は「総合パンフレット注文書」(乙3)により注文がなされ,到着予定日が「2018-10-11」であり,「総合パンフレット納品書」(乙4)に注文日「2018-10-02」,仕上がり予定日「2018-10-10」及び「総合パンフレット請求書」(乙5)には注文日「2018-10-02,仕上がり予定日「2018-10-10」が各々記載されている。また,「2018年8月30日ジュテーム ウェブサイト」(乙6)は,「The Internet Archive」という会社が,その業務の一環として,同社のウェブサイト上に記録及び保存しているジュテーム社のホームページ上の表示を印字したものであり,「AUG 30 2018」に保存されたことがわかる。よって,本件商標は要証期間内に化粧品の一種である「ヘアカラー」について使用しているものであると主張する。
しかしながら,上述のとおり,被請求人は,乙第1号証に係る写真について撮影した日付等を示していないことから,要証期間内に撮影された事実を証明しておらず,要証期間内に譲渡等された商品であるかは不明であって,また,上述のとおり,被請求人は,乙第2号証ないし乙第5号証をもって,総合パンフレットを展示又は頒布した事実を何ら証明していない。
さらに,上述のとおり,被請求人は,乙第6号証に係るウェブサイトを展示又は頒布した事実を何ら証明しておらず,当該サイト内の商品が販売された事実についても何ら証明していない。
したがって,乙第1号証ないし乙第6号証を提出したことをもって,被請求人が通常使用権者であると主張するジュテーム社によって本件商標が要証期間内に指定商品に係る化粧品の一種である「ヘアカラー(染毛料)」に使用されたものであることを証明していない。
(5)まとめ
以上のとおりであるから,被請求人が乙第1号証ないし乙第8号証をもって主張した「使用に係る商標」,「商標の使用者」,「商品についての使用」及び「使用時期」のいずれをもってしても,商標法第50条第2項で定める登録商標の使用を証明するに十分なものではなく,同項で定める登録商標の使用を証明したということはできないから,本件商標の登録は取り消されるべきである。

第3 被請求人の答弁
被請求人は,結論同旨の審決を求め,審判事件答弁書及び回答書において,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として乙第1号証ないし乙第13号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 本件商標の通常使用権者であるジュテーム社は,要証期間に,我が国においてその商標に係る指定商品の化粧品の一種である「ヘアカラー(染毛料)」について本件商標を使用している。
(1)商標の使用者について
ジュテーム社と本件商標権者とは,ジュテーム社の登記簿謄本(乙7)に代表取締役として「八木常治」,取締役として「八木伸夫」が記載されると共に,ピカソ美化学研究所の登記簿謄本(乙8)に代表取締役として「八木伸夫」,取締役として「八木常治」が各々記載されており,両氏は各々両会社の役員を兼務している事実から,両者は密接な関係を有し,「商標使用に関する覚書」(乙9)により,ジュテーム社が本件商標権者の保有する個々の商標権を無償で使用できる旨を明確にしている。したがって,ジュテーム社は,本件商標の使用権を有している。
(2)使用に係る商品について
商品の包装に標章を付した正面図と背面図の写真(乙1の1)には「マジックヘアカラー」の商品名が記載され,また,背面図の写真には「白髪用染毛料」である旨が記載されており,本件商標の指定商品中,化粧品の一種である「ヘアカラー」(以下「本件使用商品」という。)について使用しているものである。
(3)使用に係る商標について
上記写真の正面図には,片仮名文字で「マジック」と英文字で「MAGIC」,背面図には片仮名文字で「マジック」が記載されており,「総合パンフレット商品紹介ページ」(乙2の2)の右下には片仮名文字で「マジック」と記載されており,本件商標を使用しているものである。
請求人は,本件商標と使用商標が同一でない旨述べているが,使用商標は,上段の「マジック」及び下段の「ヘアカラー」で構成されており,下段の「ヘアカラー」は,染毛料を意味し,単に化粧品の種類を表すことから,構成中の「マジック」の部分が要部になる。
また,使用商標は構成中の識別力が弱い部分を省略して称呼することがあり,特に化粧品の種類にあたる文字部分を省略し,残った文字部分のみで出所識別標識としての機能を有している。商取引の実際においては登録商標の態様について少なからぬ変更が加えられて使用されるものであることを考慮に入れてみれば,両者の差異が自他商品の識別標識として機能を果たす主要構成について,その本質(出所表示機能)を損なうほどのものとするのは困難であるから,本件商標と使用商標とは,社会通念上同一のものというのが相当である。
(4)使用時期について
「総合パンフレット」(乙2)を,インターネットにより発注した履歴である「総合パンフレットの発注書」(乙3)には,「2018年総合パンフレット」が注文され,到着予定日が「2018-10-11」,「総合パンフレット納品書」(乙4)には,注文日「2018-10-02」,仕上がり予定日「2018-10-10」,「総合パンフレット請求書」(乙5)には,注文日「2018-10-02」,仕上がり予定日「2018-10-10」が各々記載されている。
「総合パンフレット」(乙2)は,ジュテーム社がジュテーム社配布物リスト(乙10)に記載の代理店に配布している。代理店に配布した総合パンフレットは,訪問販売時に頒布している。
以上より,要証期間内において,通常使用権者であるジュテーム社が,販促品である本件総合パンフレットに,本件商標と社会通念上同一の商標を表示していた事実を確認できるものであり,上記行為は,商標法第2条第3項第8号に規定する,自己の業務に係る商品「化粧品」に関する広告に標章を付して頒布する行為に該当する。
また,「2018年8月30日ジュテーム ウェブサイト」(乙6)は,「The Internet Archive」という会社が,その業務の一環として,同社のウェブサイト上に記録及び保存しているジュテーム社のホームページ上の表示を印字したものである。それには「AUG 30 2018」に保存されたことが明記されている。
2 以上より,要証期間内において,通常使用権者であるジュテーム社が,ウェブサイトに本件商標と社会通念上同一の商標を表示していたものであり,上記行為は,商標法第2条第3項第8号に規定する,自己の業務に係る商品「化粧品」に関する広告に標章を付して電磁的方法により提供する行為に該当する。

第4 当審の判断
1 証拠及び被請求人の主張によれば,以下の事実が認められる。
(1)本件商標権者は,化粧品及び医薬部外品の製造販売並に貿易等を事業とする企業であり(乙8),ジュテーム社は,化粧品の製造及び販売等を事業とする企業である(乙7)。
(2)商品の包装の写真(乙1の1)には,正面図に,茶色の包装の上部に,オレンジ色の横長長方形の内部に白抜きで「マジック」,「ヘアカラー」及び「MAGIC HAIR COLOR」の記載がある。背面図に,茶色の包装の上部に白抜きで「マジック ヘアカラー」,「<白髪用染毛料>」,「10g×6袋 3,000円(税込)」の記載及び下部に同じく白抜きで「株式会社ジュテーム」,「大阪市西区西本町1-10-10」の記載がある。
(3)「The Internet Archive」が保存している2018年(平成30年)8月30日付けのジュテーム社のウェブサイト(乙6)には,「マジックヘアカラー」の項に,「10g×6袋 3,000円(税込)」,「●塗るだけで,洗い流しがいらない,光で染まる白髪染めです。」の記載及びオレンジ色の横長長方形の内部に白抜きで「マジック」,「ヘアカラー」及び「MAGIC HAIR COLOR」が記載された商品の包装の写真の正面図が掲載されている。
(4)本件商標権者とジュテーム社とが平成13年7月19日に締結した「商標使用に関する覚書」(乙9)によれば,本件商標権者(甲)は,ジュテーム社(乙)に対し,本件商標を無償で使用することを許諾した。本件覚書の第4条1項には,期間として,「本覚書の締結日から平成23年7月6日まで」,内容として,「本件商標権を付した商品の販売」,同2項には,「上記期間の1月前までに甲または乙から特段の意思表示がない限り,前項は同一の条件で更新され,以後も同様とする。」の記載がある。
2 上記1の認定事実によれば,以下のとおり判断できる。
(1)使用者について
ジュテーム社は,平成30年8月30日に,自社のウェブサイトにおいて,本件使用商品に関する広告を内容とする情報に使用商標を付したものと認められる。
そして,上記1(4)によれば,ジュテーム社は,平成13年7月19日以降,本件商標の通常使用権者と認められる。
(2)使用商品について
上記1(3)のとおり,平成30年8月30日付けジュテーム社のウェブサイトには,「マジックヘアカラー」の項に,オレンジ色の横長長方形の内部に白抜きで「マジック」,「ヘアカラー」及び「MAGIC HAIR COLOR」の文字及びその他の文字や図が記載された商品の包装の正面図及び「マジックヘアカラー」,「10g×6袋 3,000円(税込)」の文字が掲載されており,当該正面図は上記1(2)の商品の包装の写真の正面図と文字や図等の構成が同一であり,上記1(2)の商品の包装の写真の背面図に記載の「マジックヘアカラー」及び「10g×6袋 3,000円(税込)」の文字を同一にすることから,ジュテーム社のウェブサイトに掲載されたヘアカラーと商品の包装の写真(乙1の1)のヘアカラーとは同一の商品と推認できる。
本件使用商品である「ヘアカラー」は,本件審判の請求に係る指定商品である第3類「化粧品」に含まれるものと認められる。
(3)使用時期について
ジュテーム社のウェブサイトにおいて上記広告が掲載された平成30年8月30日は,要証期間内である。
(4)本件商標と使用商標の社会通念上の同一性について
本件商標は,上記第1のとおり,「マジック」の片仮名を横書きしてなるものである。他方,使用商標1は,「マジック」及び「ヘアカラー」の片仮名を二段に横書きし,その下部に「MAGIC HAIR COLOR」の欧文字を横書きしてなるものであるところ,構成中の「ヘアカラー」及び「HAIR COLOR」の文字は,その指定商品の普通名称を表すものと認められ,「マジック」又は「MAGIC」の文字部分が自他商品の識別標識としての機能を有する要部として認識,理解されるというのが相当である。
そうすると,使用商標1の構成中の「マジック」の文字は,本件商標とその構成文字を同じくするものであり,「MAGIC」の欧文字を片仮名で表したものと理解されるから,本件商標と使用商標1とは,社会通念上同一の商標と認められるものである。
(5)小括
以上によれば,本件商標の通常使用権者は,要証期間内である平成30年8月30日に,自社のウェブサイトにおいて,本件審判の請求に係る指定商品である第3類「化粧品」に含まれる「ヘアカラー」に関する広告を内容とする情報に,本件商標と社会通念上同一と認められる使用商標を付したものと認められる。
そして,本件商標の通常使用権者による上記行為は,商標法第2条第3項第8号にいう「商品に関する広告を内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」に該当する。
3 まとめ
以上のとおり,被請求人は,要証期間に日本国内において,本件商標の通常使用権者が,本件審判の請求に係る指定商品である第3類「化粧品」に含まれる商品「ヘアカラー」について,本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)の使用をしていたことを証明したというべきである。
したがって,本件商標の登録は,商標法第50条の規定により取り消すべきではない。
よって,結論のとおり審決する。

別掲
審理終結日 2021-01-05 
結審通知日 2021-01-07 
審決日 2021-01-19 
出願番号 商願2000-87882(T2000-87882) 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (Z03)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 半田 正人
特許庁審判官 佐藤 松江
平澤 芳行
登録日 2001-07-06 
登録番号 商標登録第4487841号(T4487841) 
商標の称呼 マジック 
代理人 関口 正夫 

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