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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Z10
管理番号 1371890 
審判番号 取消2019-300119 
総通号数 256 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2021-04-30 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2019-02-15 
確定日 2021-02-26 
事件の表示 上記当事者間の登録第4651545号商標の登録取消審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 審判費用は,請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4651545号商標(以下「本件商標」という。)は,「Whisper」の文字を標準文字で表してなり,平成12年3月23日に登録出願,第10類「医療用ガイドワイヤー,その他のインターベンション治療用器具,その他の医療用機械器具」を指定商品として,同15年3月7日に設定登録され,その後,同25年6月12日付けの一部放棄により,指定商品中の「その他の医療用機械器具中の血糖値測定装置」が抹消され,現に有効に存続しているものである。
そして,本件審判の請求の登録日は,平成31年3月4日である。
なお,本件審判において,商標法第50条第2項に規定する「その審判の請求の登録前3年以内」とは,平成28年(2016年)3月4日ないし同31年(2019年)3月3日である(以下「要証期間」という場合がある。)。

第2 請求人の主張
請求人は,本件商標の登録を取り消す,審判費用は被請求人の負担とする,との審決を求め,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は,その指定商品について,継続して3年以上日本国内において商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが使用した事実が存しないから商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
請求人は,被請求人の答弁に対し,何ら弁駁していない。

第3 被請求人の答弁
被請求人は,結論同旨の審決を求め,答弁において,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として,乙第1号証ないし乙第17号証を提出した。
1 答弁の理由
本件商標に係る通常使用権者は,本件商標及びこれと社会通念上同一の商標を,本件商標の指定商品中「医療用ガイドワイヤー」について,要証期間内に,日本国内で使用していた。
(1)使用商標について
商品カタログ(乙1)の6頁には,登録商標を示すRマークを右上に付けた「WHISPER」(以下「使用商標1」という。)の表示が二つ,及び「WHISPERシリーズ」(以下「使用商標2」という。)が表示されている。
当該カタログの6頁に掲載された,2つの「WHISPER」に係る商品を撮影した写真(乙2,乙3)の包装袋正面には,それぞれ,「WHISPER LS」(以下「使用商標3」という。)及び「WHISPER MS」(以下「使用商標4」という。)の商品名が大きく太字で表示がされている。
(2)本件商標と使用商標との社会通念上の同一について
ア 本件商標
本件商標は,「Whisper」の欧文字を横書きしてなるものである。
イ 使用商標1
使用商標1は,上記(1)のとおり,「WHISPER」の文字からなる。
これは,本件商標の2文字目以降を大文字に変更した,同一の文字列からなるものであるから,本件商標と社会通念上同一の商標である。
ウ 使用商標2
使用商標2は,上記(1)のとおり,「WHISPERシリーズ」の文字からなる。
欧文字「WHISPER」部分は,使用商標1と同様に,本件商標の2文字目以降を大文字に変更した,同一の文字列からなるものである。
一方「シリーズ」部分は,「ある主旨のもとに企画された傾向の似た一連の事物」を意味し,我が国の商品市場においても,一定の特徴を同一にする商品群を「○○シリーズ」と呼ぶ商慣行がある。
現に,本件においても,カタログ(乙1)の「WHISPERシリーズ」表示の後に,「WHISPER(Rマーク)LS」及び「WISPER (Rマーク)MS」の2点の商品,すなわち「WHISPER」を商品名とする商品群に,2つの型番が存在している。
そうすると,「シリーズ」部分は,「商品群」を意味するため,自他商品を識別するはたらきはなく,一方,欧文字「WHISPER」部分は,片仮名「シリーズ」とは独立して自他商品識別機能を有する語であるから,使用商標2は,本件商標と社会通念上同一の商標である。
エ 使用商標3及び使用商標4
使用商標3及び使用商標4は,上記(1)のとおり「WHISPER」と「LS」又は「MS」との間にスペースが空いている。
そして,上記ウで説明したとおり,「LS」及び「MS」の部分は,「WHISPER」シリーズの2つの異なる商品の型番にすぎない。
よって,使用商標3及び使用商標4は,本件商標と社会通念上同一の商標である。
(3)使用商品について
商品カタログ(乙1)の表紙には「ガイドワイヤー総合カタログ」と表示されている。
また,当該カタログに掲載された2点の「WHISPER」に係る商品を撮影した写真(乙2,乙3)の包装袋正面には「Guide Wire」と記載されている。
そうすると,使用商標1ないし使用商標4に係る商品は,本審判の請求に係る「医療用ガイドワイヤー」であることが明らかである。
(4)使用商標の使用時期について
ア 使用商標1及び使用商標2の使用時期
商品カタログ(乙1)の裏面には,著作権を示すCマークの後に「2016 Abbott. All rights reserved.」と記載されているため,当該カタログは,2016年に作成されたことは明らかである。
そうすると,当該カタログは,商品の広告として,要証期間内に顧客に頒布されていたと考えるのが妥当である。
イ 使用商標3及び使用商標4の使用時期
写真(乙2,乙3)に係る商品の受発注において使用した取引書類として,注文書(乙4)と納品書(乙5)及び注文書(乙6)と納品書(乙7)は,それぞれ,同一の注文に関する一対の注文書及び納品書である。
これらの注文書及び納品書には,商品名の欄に「WHISPER」と記載されており,注文書の「注文日」,及び納品書の「日付」の欄には,要証期間内の日付が記載されている。
なお,当該注文書及び納品書に記載の「カタログNo.」又は「モデルNo.」の欄に記載の「1005351H」又は「1005357H」は,カタログ(乙1)の10頁「製品一覧」の「カタログ番号」の列に記載された「WHISPER」商品のカタログ番号「1005351H」又は「1005357H」と一致する。
以上より,写真(乙2,乙3)に表示された商品が,要証期間内に販売されていたことは明らかである。
(5)商標の使用及び使用者について
ア 使用商標1ないし使用商標4の使用及び使用者
使用商標1及び使用商標2が表示されている,商品カタログ(乙1)裏面には,製造販売業者名として「アボットバスキュラージャパン株式会社」と記載されている。
そして,使用商標3及び使用商標4が表示されている,写真(乙2,乙3)の商品の包装袋の裏面には,「製造販売業者 アボットバスキュラージャパン株式会社」と記載され,これら商品に係る注文書及び納品書(乙4?乙7)にも,発注宛先又は受注者として「アボット バスキュラー ジャパン株式会社」と記載されている。
つまり,我が国において,使用商標1及び使用商標2のカタログを頒布(商標法第2条第3項第8号)し,また,使用商標3及び使用商標4が表示された商品を販売(同項第2号)したのは,アボット バスキュラー ジャパン株式会社(以下「使用者」という。)である。
イ アボット ラボラトリーズについて
使用者と,本件商標権者は,アメリカ合衆国の製薬・ヘルスケアカンパニー大手,Abbott Laboratories (以下「アボット ラボラトリーズ」という。)の出資比率100%の完全子会社である。完全子会社の証明については,後で詳述する。
アボット ラボラトリーズは,本件商標権者と使用者を含む500社以上もの子会社を有し,世界130か国以上において,Abbottブランドのネットワークを築いてきた多国籍企業である。
そのAbbottブランドを象徴するのは,アボット ラボラトリーズのウェブサイトに表示される「a\Abbott」標章(乙8)である。
ウ 使用者とアボット ラボラトリーズについて
アボット ラボラトリーズの完全子会社である使用者は,我が国において,アボット ラボラトリーズのブランドに係る血管系医療機器の輸入・販売を行っている(乙9)。
使用者が,アボット ラボラトリーズのウェブサイトと全く同一のデザインのウェブサイト(乙10)からも理解されるとおり,使用者は,我が国におけるアボット・ブランドを代表する企業として事業を行っており,現に,使用者の取扱いに係る使用商標1及び使用商標2に係るカタログの表紙及び裏表紙,使用商標3及び使用商標4に係る商品の包装用袋,及び注文書(乙4,乙6)には,全てAbbottブランドを象徴する「a\Abbott」標章を大きく表示して営業活動をしてきた。
エ 本件商標権者とアボット ラボラトリーズについて
また,同じくアボット ラボラトリーズの完全子会社である本件商標権者についてみると,アボット ラボラトリーズのウェブサイトにおいて,「Cardiovaslucar(心血管系)」の製品リストの各製品名のテキスト(乙11,乙12)が,本件商標権者のウェブサイトの製品の詳細な説明ページにリンクされている(乙13)。
このような状況に鑑みると,心血管系医療機器の製造・販売は,アボット ラボラトリーズの事業の一つであり,本件商標権者は,アボット ラボラトリーズの一部署ともいえる関係にあることが理解される。
以上のとおり,本件商標権者と使用者は,いずれもアボットのグループ企業であり,我が国における商標の使用行為は,実質的には同じ企業により行われていた。
したがって,使用者は,要証期間内に,本件商標権者の「黙示の許諾」のもとに本件商標を使用していたことは明らかである。
オ 小括
以上より,使用者の使用商標1ないし使用商標4の使用行為(商標法第2条第3項第2号及び同項第8号)は,「通常使用権者」(商標法第50条第2項)による使用に該当するというのが自然である。
カ 完全子会社についての説明
アボット ラボラトリーズの2016年及び2019年の有価証券報告書の一部「アボット ラボラトリーズの子会社一覧」(乙14,乙16)の冒頭文の末尾には,「アボット ラボラトリーズ又はその子会社の出資比率が100%を下る子会社には,アスタリスク(*)が記されている。」と記載されており,アスタリスク(*)が記されていない子会社は,出資比率が100%の完全子会社ということになる。
そして,当該書証には,本件商標権者及び使用者の名称が記載されており,いずれもアスタリスク(*)が記されていない。
以上より,本件商標権者及び使用者が,要証期間内において,アボット ラボラトリーズの完全子会社であったことは明らかである。

第4 当審の判断
1 被請求人が提出した証拠及び同人の主張によれば,以下の事実が認められる。
(1)紫色の背景色に白抜きの文字で,上段に「HI-TORQUE」の文字,中段に「WHISPER MS」(以下「使用商標」という。)の文字が上段と下段の文字よりも大きく表示され,下段に「Guide Wire」の文字が表示された商品の写真の包装裏面には「HI-TORQUE WHISPER MS HC 3/190」,「一般的名称:心臓・中心循環系用カテーテルガイドワイヤ」(以下「使用商品」という。),「クラス分類:高度管理医療機器」,「製造販売業者:アボット バスキュラー ジャパン株式会社」及び「カタログ番号 1005357H」の文字が表示されている(乙3)。
(2)アボット バスキュラー ジャパン株式会社(以下「アボットジャパン社」ということがある。)は,2016年(平成28年)12月2日付けで出荷先名を「株式会社」とし,Sold Toを「病院」とする,「カタログNo」欄に「1005357H」,「商品名」欄に「HI-TORQUE WHISPER MS HC 3/190」と記載された商品の注文を受け,同日に当該商品を納品した(乙4,乙5)。
(3)「米国証券取引委員会(U.S.Securities and Exchange Commission)のデータベースに掲載されている2016年(平成28年)2月19日及び2019年(平成31年)2月22日提出 ABBOTT LABORATORIESの報告書 EX-21の写し」の「SUBSIDIARIES OF ABBOTT LABORATORIES(アボットラボラトリーズの子会社)」とする一覧(乙14,乙16)には「ABBOTT LABORATORIES」100%子会社として「Abnott Cardiovascular Systems Inc.(本件商標権者)」及び「Abbott Vascular Japan Co.,Ltd(アボットジャパン社)」が記載されている。
2 判断
上記1において認定した事実によれば,以下のように判断できる。
(1)本件商標と使用商標の社会通念上の同一性について
本件商標は,上記第1のとおり,「Wisper」の文字を標準文字で表してなるものである。
これに対して,使用商標は,「WISPER MS」の欧文字からなるところ,使用商標中の「MS」の欧文字2文字は,商品の品番,型番等として一般的に使用される文字と認められるから,自他商品の識別標識としての機能を果たさないといい得るものである。
そうすると,使用商標は「WISPER」の欧文字部分が要部として理解されるというべきものであって,本件商標と使用商標の要部とは2文字目以降に大文字と小文字との差異はあるものの,そのつづりを同じくするものであり,本件商標と使用商標はともに「ウィスパー」の称呼を同じくするから,使用商標は,本件商標と社会通念上同一の商標と認められる。
(2)本件商標の使用者について
使用商標が付された商品の製造販売業者は,アボットジャパン社であるから,使用商標の使用者は,アボットジャパン社であると認められる。
そして,本件商標権者とアボットジャパン社は,下記(4)の本件商標の使用時期にはともに「ABBOTT LABORATORIES」の完全子会社であって,関連企業であると認めることができる。
また,アボットジャパン社は,本件商標と社会通念上同一の商標である使用商標を付した商品を取引しており,これについて,本件商標権者が問題としているような事情は確認できない。
そうすると,本件商標権者は,関連企業のアボットジャパン社が,本件商標と社会通念上同一の商標である使用商標を使用することを容認していたといえるから,アボットジャパン社は本件商標の通常使用権者とみて差し支えない。
(3)使用商品について
本件商標の使用商品は「心臓・中心循環系用カテーテルガイドワイヤ」であって,「高度管理医療機器」に分類されるものであるから,使用商品は本件商標の指定商品中「医療用ガイドワイヤー」の範ちゅうの商品であると認められる。
(4)商品の引渡しとその時期について
通常使用権者が,「カタログNo」を「1005357H」,「商品名」を「HI-TORQUE WHISPER MS HC 3/190」とする商品の注文を受け,当該商品を納品(引渡)した日は,平成28年12月2日であって,この日付は要証期間内である。
そして,上記の商品のカタログNo.は,使用商品の包装裏面に記載されたカタログ番号と同じであり,当該商品名は,使用商品の包装裏面に記載の文字と同じであるから,通常使用権者が譲渡(引渡)した商品は,使用商品であると認められる。
(5)小括
以上によれば,本件商標の通常使用権者は,要証期間内に,日本国内において,本件商標の指定商品に含まれる「心臓・中心循環系用カテーテルガイドワイヤ」の包装に,本件商標と社会通念上同一と認められる商標を付して商品を譲渡(引渡)したものと認められる。
そして,上記使用行為は,商標法第2条第3項第2号にいう「商品に標章を付したものを譲渡し又は引渡しする行為」に該当する。
3 まとめ
以上のとおり,被請求人は,要証期間内に日本国内において,その請求に係る指定商品中に含まれる「心臓・中心循環系用カテーテルガイドワイヤ」について,本件商標と社会通念上同一の商標の使用をしていたことを証明したものと認められる。
したがって,本件商標の登録は,その請求に係る指定商品について,商標法第50条の規定により,取り消すことはできない。
よって,結論のとおり審決する。

別掲

審理終結日 2020-10-05 
結審通知日 2020-10-08 
審決日 2020-10-21 
出願番号 商願2000-28711(T2000-28711) 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (Z10)
最終処分 不成立 
前審関与審査官 清川 恵子山田 啓之 
特許庁審判長 半田 正人
特許庁審判官 榎本 政実
大森 友子
登録日 2003-03-07 
登録番号 商標登録第4651545号(T4651545) 
商標の称呼 ウイスパー 
代理人 中山 真理子 
代理人 達野 大輔 
代理人 稲垣 朋子 
代理人 松本 慶 
代理人 松澤 由香 
代理人 山頭 めぐみ 
代理人 桑垣 衛 
代理人 近藤 友紀 
代理人 竹中 陽輔 
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