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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない X09
管理番号 1371836 
審判番号 取消2018-300547 
総通号数 256 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2021-04-30 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2018-07-18 
確定日 2021-02-08 
事件の表示 上記当事者間の登録第5422290号商標の登録取消審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 審判費用は,請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5422290号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲のとおり「サニーローザ」の片仮名と「Sunny-LOSA」の欧文字を上下2段に書してなり,平成22年12月24日に登録出願,第9類「耳栓,加工ガラス(建築用のものを除く。),アーク溶接装置,金属溶断機,電気溶接装置,オゾン発生器,電解槽,検卵器,青写真複写機,金銭登録機,硬貨の計数用又は選別用の機械,作業記録機,写真複写機,製図用又は図案用の機械器具,タイムスタンプ,タイムレコーダー,パンチカードシステム機械,票数計算機,郵便切手のはり付けチェック装置,自動販売機,ガソリンステーション用装置,駐車場用硬貨作動式ゲート,救命用具,消火器,消火栓,消火ホース用ノズル,スプリンクラー消火装置,火災報知機,ガス漏れ警報器,盗難警報器,保安用ヘルメット,鉄道用信号機,乗物の故障の警告用の三角標識,発光式又は機械式の道路標識,潜水用機械器具,業務用テレビゲーム機,電動式扉自動開閉装置,乗物運転技能訓練用シミュレーター,運動技能訓練用シミュレーター,理化学機械器具,写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,測定機械器具,配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,磁心,抵抗線,電極,消防艇,ロケット,消防車,自動車用シガーライター,事故防護用手袋,防じんマスク,防毒マスク,溶接マスク,防火被服,眼鏡,家庭用テレビゲームおもちゃ,携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,ウエイトベルト,浮袋,運動用保護ヘルメット,エアタンク,水泳用浮き板,レギュレーター,レコード,メトロノーム,電子楽器用自動演奏プログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,インターネットを利用して受信し及び保存することができる音楽ファイル,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,インターネットを利用して受信し及び保存することができる画像ファイル,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,電子出版物」を指定商品として,同23年7月1日に設定登録がされ,現に有効に存続しているものである。
そして,本件審判の請求の登録日は,平成30年8月2日である。
なお,本件審判において,商標法第50条第2項に規定する「その審判の請求の登録前3年以内」とは,平成27年(2015年)8月2日ないし同30年(2018年)8月1日である(以下「要証期間」という場合がある。)。

第2 請求人の主張
請求人は,本件商標の指定商品中,第9類「測定機械器具,配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電池,電気磁気測定器,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のプログラムを記憶させた電子回路」についての登録を取り消す,審判費用は被請求人の負担とする,との審決を求め,その理由及び答弁に対する弁駁を要旨以下のように述べ,証拠方法として,甲第1号証ないし甲第3号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は,その指定商品中,第9類「測定機械器具,配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電池,電気磁気測定器,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のプログラムを記憶させた電子回路」(以下「取消請求商品」という場合がある。)について継続して3年以上日本国内において商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから,商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)商品「Sunny-LOSA」のカタログの写し(乙1)について
当該カタログの作成時期及び頒布された日が明らかではなく,「頒布」されたことについても,何ら立証されていないので,要証期間内の使用であることが立証されていない。
また,当該カタログには,「Sunny-LOSA」の欧文字のみの記載があるが,後述のように,これは本件商標と社会通念上同一の商標とは認められない。
さらに,当該カタログには,「歯科用コンピュータプログラムが内蔵されたコンピュータ」について何ら記載はない。
(2)商品「Sunny-LOSA」が介護請求に関する機能に対応した旨を告知するためのちらしの写し(乙2)について
当該ちらしの作成時期及び頒布された日が明らかではなく,「頒布」されたことについても,何ら立証されていないので,要証期間内の使用であることが立証されていない。
また,当該ちらしには,「Sunny-LOSA」の欧文字のみの記載があるが,後述のように,これは本件商標と社会通念上同一の商標とは認められない。
さらに,当該カタログには,「歯科用コンピュータプログラムが内蔵されたコンピュータ」について何ら記載はない。
(3)「アニバーサリーフェア」の開催を告知するちらしの写し(乙3)について
当該ちらしの作成時期及び頒布された日が明らかではなく,「頒布」されたことについても,何ら立証されていないので,要証期間内の使用であることが立証されていない。
また,当該ちらしには,「Sunny-LOSA」の欧文字のみの記載があるが,後述のように,これは本件商標と社会通念上同一の商標とは認められない。
さらに,当該ちらしには「コンピュータプログラム」についての記載はない。また,単に「レセプトコンピュータ」と記載されているだけで,どのようなものであるのか,当該記載だけでは,その実体は明らかにされていないので,「コンピュータ」についての使用ともいえない。
(4)歯科用報告書作成アプリ製品のちらしの写し(乙4)について
当該ちらしの作成時期及び頒布された日が明らかではなく,「頒布」されたことについても,何ら立証されていないので,要証期間内の使用であることが立証されていない。
また,当該ちらしには,「Sunny-LOSA」の欧文字のみの記載があるが,後述のように,これは本件商標と社会通念上同一の商標とは認められない。
さらに,当該ちらしに記載されている「レセコン」なる語は一般に通用するものではなく,「レセプトコンピュータ」なる語も同様に一般的にどのようなものであるのかは直ちには理解することができない。したがって,当該ちらしは,「コンピュータ」又は「コンピュータプログラム」に係るものとは認められない。
そして,当該ちらしの1葉目の下部には,「月額課金制です。料金はお問合せください。」と記載されていることから,被請求人の主張する「コンピュータ」又は「コンピュータプログラム」は顧客に「譲渡」されるものではなく,「貸与」されるものである可能性が否定できない。このため,当該ちらしは第42類の役務「コンピュータソフトウェアの貸与」に係るものであっても,第9類「コンピュータプログラム」に係るものではない可能性が高い。
(5)商標「Sunny-LOSA」を使用した「コンピュータプログラム」及び「コンピュータプログラムが内蔵されたコンピュータ」について発注に係る契約書の写し(乙5)について
当該契約書には,「製品名」の項目に「Sunny-LOSAセット一式」と記載されているものの,その製品が何であるかは記載されていない。したがって,当該契約書は,「コンピュータプログラム」及び「コンピュータプログラムが内蔵されたコンピュータ」に係る取引書類ということはできない。
また,当該契約書は「サンシステム株式会社 御中」とあるので本件商標権者に宛てたものあって,本件商標権者が発行したものではない。したがって,当該契約書は,本件商標権者による「使用」を立証するものではない。
(6)使用商標は,本件商標と社会通念上同一の商標には該当しないこと
本件商標は,上段に「サニーローザ」の片仮名を配し,下段に「Sunny-LOSA」の欧文字を配してなる商標である。
一方,被請求人が使用を主張する商標は,「Sunny-LOSA」の欧文字のみからなる商標である。
ここで,「サニー」及び「Sunny」の文字部分は,ともに読みが「サニー」で観念が「日当たりの良い場所」で,称呼及び観念が一致するといえる(甲2)。
しかしながら,「ローザ」および「LOSA」の文字部分を比較すると,「ローザ」は,「バラ」や外国の人名を表す語である「Rosa」を想起させるものであるが(甲2,甲3),「LOSA」を想起させることはない。一方,「LOSA」の文字部分は特定の意味合いを想起させることはない。また,「ローザ」と称呼されるというより,むしろ「ローサ」又は「ロサ」と称呼するのが自然である。
そうすると,上段の「サニーローザ」の文字部分より生ずる称呼は「サニーローザ」であり,観念は「日当たりのよい場所のバラ」であるのに対し,下段の「Sunny-LOSA」より生ずる称呼は「サニーローサ」であり,観念については「日の当たる場所のLOSA」か,特定の観念を生じないものといえる。
したがって,本件商標は,上段と下段とで,称呼及び観念が一致せず,下段のみの使用商標は,本件商標とは社会通念上同一の商標であるとはいうことはできない。

第3 被請求人の答弁
被請求人は,結論同旨の審決を求め,答弁及び回答書において,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として,乙第1号証ないし乙第31号証を提出した。なお,乙第5号証については令和元年11月1日付けで書証の差し替えが行われているので,差し替え後の書証を乙第5号証とする。
1 答弁の理由
本件商標権者は,本件商標を,取消請求商品中「電子応用機械器具及びその部品」について使用している。
2 商品「Sunny-LOSA」のカタログの写し(乙1)について
(1)当該カタログの写しの1葉目の右上や2葉目の左下等に,「Sunny-LOSA」の商標が使用されている。
(2)当該カタログは,商品「歯科用コンピュータプログラム」についてのカタログである。このことは,1葉目の「電子レセプト・電子ポスター標準装備のカルテシステム」等の記載等から明らかである。
また,この製品は,歯科用コンピュータプログラムが内蔵(インストール)され,使用可能な状態とされたコンピュータ製品として販売される場合が多く,「歯科用コンピュータプログラムが内蔵されたコンピュータ」についての使用にも該当する。
(3)4葉目には,このカタログの発行者として,「サンシステム株式会社」(以下「サンシステム」という。)の名称が明記されている。
よって,本件商標の使用者は,本件商標権者である。
(4)当該商品カタログは,商品についての広告に該当し,その発行は,商品の広告に標章を付して頒布する行為であるから,商標法第2条第3項第8号に該当する。
3 商品「Sunny-LOSA」が介護請求に関する機能に対応した旨を告知するためのちらしの写し(乙2)について
(1)1葉目の左上や第2葉目の左下等に,「Sunny-LOSA」の商標が使用されている。
(2)当該ちらしは,商品「歯科用コンピュータプログラム」又は「これを内蔵したコンピュータ」についてのちらしである。このことは,1葉目における「医療と介護の新しい時代を徹底サポート」,「ワンクリックで請求書→明細書の順に発行されるので面倒な編綴も不要。」の記載等から明らかである。
(3)2葉目には,このちらしの発行者として,「サンシステム」の名称が明記されている。
よって,本件商標の使用者は,本件商標権者である。
(4)当該ちらしは,商品についての広告に該当し,その発行は,商品の広告に標章を付して頒布する行為であるから,商標法第2条第3項第8号に該当する。
4 「アニバーサリーフェア」の開催を告知するちらしの写し(乙3)について
(1)1葉目の左側「歯科システム」の欄に,「Sunny-LOSA」の商標が使用されている。
(2)上記「Sunny-LOSA」の商標の上に「レセプトコンピュータ」と記載されており,その右側に「訪問診療・介護請求に強い複合システム」と記載されていることから,医療・介護診療に関する「コンピュータ」又は「コンピュータプログラム」についての使用であることは明らかである。
(3)1葉目及び2葉目には,このちらしの発行者として,「サンシステム」の名称が明記されている。
よって,本件商標の使用者は,本件商標権者である。
(4)当該ちらしに記載された「20周年」とは,本件商標権者の創立年から起算した年数を示している。
本件商標権者の会社成立の年月日は平成8年8月1日であり(乙18),その20年後である平成28年8月1日は要証期間内である。
本件商標権者は,販売促進戦略の一つとして,この平成28年8月1日の前後約2年間にわたって20周年アニバーサリーフェアを開催していた。
当該ちらしは,GH株式会社によって作成され,商標権者に納品されたものであって,作成部数は5000部分あり,納品日は要証期間内である2015年10月14日である(乙19)。
そして,当該ちらしの顧客への頒布時期は,要証期間内である2016年3月1日(乙20)及び2017年11月6日(乙21),頒布場所は顧客である歯科医院内,頒布方法は手交である。
また,販売代理店は,本件商標権者より要証期間内である2015年10月28日に当該ちらしを受領している(乙22)。
(5)当該ちらしは,商品についての広告に該当し,その発行は,商品の広告に標章を付して頒布する行為なので,商標法第2条第3項第8号に該当する。
5 歯科用報告書作成アプリ製品のちらしの写し(乙4)について
(1)当該ちらしは,他製品に関するちらしであるが,連携可能なシステムとして,2葉目下部に,「Sunny-LOSA」の商標が使用されている。
上記「Sunny-LOSA」の商標の上方には,「当社レセコン『Sunny-LOSA』と連動することで,よりスムーズにご使用いただけます。」と記載されている。この「レセコン」とは,「レセプトコンピュータ」を示す略語であることから,レセプト(診療報酬明細書)を作成する「コンピュータ」又は「コンピュータプログラム」についての使用であることは明らかである。
(2)2葉目には,このちらしの発行者として,「サンシステム」の名称が明記されている。
よって,本件商標の使用者は,本件商標権者である。
(3)当該ちらしは,GH株式会社によって作成され,本件商標権者に納品されたものであって,作成部数は7000部であり,納品日は要証期間内である2015年8月24日である(乙23)。
当該ちらしの顧客への頒布時期は,要証期間内である2017年1月27日(乙24)及び2017年7月13日(乙25),頒布場所は顧客である歯科医院内,頒布方法手交になる。
また,販売代理店は,本件商標権者より要証期間内である2015年9月11日に当該ちらしを受領している(乙26)。
(4)当該ちらしは,商品についての広告に該当し,その発行は,商品の広告に標章を付して頒布する行為なので,商標法第2条第3項第8号に該当する。
6 商標「Sunny-LOSA」を使用した「コンピュータプログラム」及び「コンピュータプログラムが内蔵されたコンピュータ」について発注に関する契約書の写し(乙5)について
(1)製品名として「Sunny-LOSA」の名称を含む「Sunny-LOSAセット一式」と記載されており,買主の欄には,商標権者及び使用権者以外の第三者である歯科医院の名称等であることが確認できることから,当該契約がコンピュータプログラムが内蔵されたコンピュータ製品についての売買契約であることは明らかである。
(2)日付は,2017年12月26日と記載されている。
(3)売主として,サンシステムの名称が明記されている。
よって,本件商標の使用者は,本件商標権者である。
(4)当該契約書は,商品に関する契約書であるから,商品についての取引書類に該当し,その取引書類に標章を付して頒布する行為なので,商標法第2条第3項第8号に該当する。
7 商品「Sunny-LOSA」のカタログ(乙1)の内容に,ちらし(乙2)の内容を加えたリニューアル版パンフレット(乙6)について
当該パンフレットには裏表紙の下に「24.02」の記載があるが当該記載はカタログ(乙1)のリニューアル版である(乙7)ために残されているものであり,当該パンフレットの作成時期を表すものではない。
そして,以下に示すとおり,当該パンフレットは,商品に関する広告に該当し,これを顧客等に対して頒布しているので,当該行為は,少なくとも,商標法第2条第3項第8号に該当する。
(1)商標の使用について
ア 表紙の右上や中面の左下等に,「Sunny-LOSA」の商標が使用されている。
当該パンフレットは,商品「歯科用コンピュータプログラム」又は「歯科用コンピュータプログラムが内蔵されたコンピュータ製品」についてのパンフレットである。
このことは,表紙における「訪問介護に強い複合システム」,「歯科用レセプト・カルテコンピューター」等の記載等から明らかである。
また,当該製品は,歯科用コンピュータプログラムが内蔵(インストール)され,使用可能な状態とされたコンピュータ製品として販売及び納入される場合が多く,「歯科用コンピュータプログラムが内蔵されたコンピュータ」についての使用にも該当する。
イ 裏表紙には,このカタログの発行者として,サンシステムの名称が明記されているので,当該商標の使用者は本件商標権者である。
(2)作成時期及び作成部数について
当該パンフレットは,GH株式会社によって作成され,本件商標権者に納品されたものである(乙7?乙11)。
第1回目の当該パンフレットの納品時において,作成部数は5000部であり,納品日は要証期間内である2015年7月27日である(乙7,乙10)。
第2回目の当該パンフレットの納品時において,作成部数は10000部であり,納品日は要証期間内である2016年2月28である(乙8,乙9,乙11)。
(3)頒布時期,頒布場所及び頒布方法について
当該パンフレットの頒布時期は,要証期間内である2017年1月27日(乙12)及び2017年7月13日(乙13),頒布場所は顧客である歯科医院内,頒布方法は手交になる。
また,販売代理店は,本件商標権者より要証期間内である2015年8月5日及び2016年3月14日に当該ちらしを受領している(乙16,乙17)。
8 東京デンタルショーヘの出展について
本件商標権者は,要証期間内である2015年8月1日及び2日にかけて開催された「東京デンタルショー2015」,同じく要証期間内である2017年11月11日及び12日にかけて開催された「東京デンタルショー2017」に,コンピュータプログラム製品である「Sunny-LOSA」を出展した(乙27?乙30)。
当該展示会のウェブサイトは,現在も当該展示会に関する情報が掲載されており,この内容から,本件商標権者が,コンピュータプログラム製品である「Sunny-LOSA」を,要証期間内に出展していたことは明らかである。
9 インターネット掲載記事について
インターネットサイト「マイナビニュース」に,要証期間内である2015年7月31日付けにて,コンピュータプログラム製品である「Sunny-LOSA」に関する記事が掲載された(乙31)。
当該記事は,いまだ掲載が継続されており,上記ウェブサイトにアクセスすることで,記事を閲覧することができる。
10 商標の同一性について
本件商標は,上段に「サニーローザ」,下段に「Sunny-LOSA」の文字がそれぞれ表示された二段書きの態様である。
一方で,使用された商標は,「Sunny-LOSA」の文字が一連に表示された態様である(乙1?乙6)。
本件商標は,上段に「サニーローザ」,下段に「Sunny-LOSA」の文字が表示された態様であり,上段の「サニーローザ」と下段の「Sunny-LOSA」は,同一の観念を生ずる文字であるといえるから,使用された商標は,本件商標と社会通念上同一と認められる商標である。
11 使用に係る商品について
取消請求商品には,「電子応用機械器具及びその部品」がある。
特許庁の類似商品・役務審査基準によれば,第9類「電子応用機械器具及びその部品」には,「電子計算機」及び「電子計算機用プログラム」が含まれる旨規定されている。
一方で,商標「Sunny-LOSA」が使用された商品は,「歯科用コンピュータプログラム」又は「歯科用コンピュータプログラムが内蔵されたコンピュータ」であり,まさに上記「電子計算機用プログラム」又は「電子計算機」に包含される商品である。

第4 当審の判断
1 被請求人が提出した証拠及び同人の主張によれば,以下の事実が認められる。
(1)「Sunny-LOSA」とする商品(以下「使用商品」という。)のパンフレットの表紙には「・・・オールインワンパッケージソフトです。」の記載があり,中面にはコンピュータプログラムの表示画面と思しき図形が10図表示されているところ,そのうちの左上の図形の左上に「Sunny-LOSA」の文字が表示され,当該図形の下には「メインメニュー」の文字が表示されている。
また,当該パンフレットの裏表紙には「動作システム環境」の見出しの下「OS」,「CPU」,「メモリ」,「ハードディスク」,「画像解像度」及び「ネットワーク」のそれぞれについての動作環境が記載されている(乙6)。
(2)2017年(平成29年)8月10日付けの本件商標権者とその顧客による契約書には「製品名」の欄に「Sunny-LOSA」の文字が記載され,「お支払条件」の欄の「買取」に丸印が付されている(乙15)。
(3)2017年(平成29年)11月11日ないし同月12日に「東京デンタルショー2017」が開催され,本件商標権者は,同展示会に出展した(乙29,乙30)。
(4)「東京デンタルショー2017」のウェブサイトの出展社情報のページにおいて,本件商標権者の情報が記載されているところ,当該ページには,ちらしの画像が掲載されており,そのちらしの画像には,左上に本件商標権者の名称,その下に「歯科システム」の見出しの下「レセプトコンピュータ」の文字及び「Sunny-LOSA」の文字(以下「使用商標」という。)が上下2段に表示されている(乙30)。
2 上記1において認定した事実によれば,以下のとおり判断できる。
(1)商標の使用者について
「東京デンタルショー2017」のウェブサイトに掲載されているちらしの画像は,使用商標が表示され,本件商標権者の名称が記載されていることから,本件商標権者によるものと認められる。
したがって,使用商標の使用者は,本件商標権者である。
(2)使用商標について
本件商標は,上記第1のとおり「サニーローザ」の片仮名と「Sunny-LOSA」の欧文字を上下2段に表してなるところ,上段の片仮名は下段の欧文字の読みを表したものと,無理なく認識できるものである。
他方,使用商標は,「Sunny-LOSA」の欧文字からなるものであり,その構成文字は,本件商標の下段の文字と同じつづりである。また,使用商標からも「サニーローザ」の称呼が生ずるものと認められる。
そうすると,使用商標は,本件商標と称呼を同一にし,また本件商標の下段の文字とつづりを同一にするものであるから,使用商標は,本件商標と社会通念上同一の商標と認められる。
(3)使用商品について
使用商品に係るパンフレットには,「・・・オールインワンパッケージソフトです。」の記載及び使用商標が表示されているコンピュータプログラムの表示画面と思しき図形が表示されていることに加え「動作システム環境」として,ソフトウェア等が正常に動作する上で要求される必要最低限の条件である「OS」等の動作環境が記載されている。
また,使用商品は,当該商品に係る契約書より買取り商品であると認められる。
そうすると,使用商品は,OS(オペレーティングシステム)上で動作するアプリケーションプログラムであり,「電子応用機械器具及びその部品」の範ちゅうの商品であるから,取消請求商品に含まれる商品である。
(4)本件商標の使用と使用時期について
本件商標権者は,2017年(平成29年)11月11日及び同月12日に行われた「東京デンタルショー2017」に出展し,同展示会のウェブサイト上にちらしの画像を掲載していると認められる。
そして,当該ウェブサイトは,当該展示会の告知のために作成されたものであり,遅くとも当該展示会の開催日までには公開されたものと推認できる。
そうすると,当該ちらしの画像は遅くとも,平成29年11月11日には当該ウェブサイト上に掲示されたものと推認でき,当該日付は要証期間内である。
(5)小括
以上によれば,本件商標権者は,要証期間内に日本国内において,本件審判の請求に係る商品に含まれる「アプリケーションプログラム」に係るちらしの画像に本件商標と社会通念上同一と認められる使用商標を付して電磁的方法より提供したものであって,上記使用行為は,商標法第2条第3項第8号にいう「商品の広告に標章を付して電磁的方法により提供する行為」に該当する。
3 まとめ
以上のとおり,被請求人は,本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において,本件商標権者が本件審判の請求に係る指定商品に含まれる使用商品「アプリケーションプログラム」について,本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたことを証明したというべきである。
したがって,本件商標の登録は,その指定商品中,請求に係る指定商品について,商標法第50条の規定により,取り消すことはできない。
よって,結論のとおり審決する。

別掲
別掲(本件商標)



審理終結日 2020-08-31 
結審通知日 2020-09-02 
審決日 2020-10-01 
出願番号 商願2010-100019(T2010-100019) 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (X09)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 榎本 政実
特許庁審判官 大森 友子
半田 正人
登録日 2011-07-01 
登録番号 商標登録第5422290号(T5422290) 
商標の称呼 サニーローザ、サニー、ローザ 
代理人 ▲吉▼川 俊雄 
代理人 坂口 信昭 
代理人 坂口 吉之助 

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