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審決分類 審判 査定不服 称呼類似 登録しない W35
審判 査定不服 外観類似 登録しない W35
審判 査定不服 観念類似 登録しない W35
管理番号 1371818 
審判番号 不服2020-3332 
総通号数 256 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2021-04-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-03-11 
確定日 2021-02-08 
事件の表示 商願2018-144979拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲のとおりの構成からなり、第35類「菓子及びパンの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定役務として、平成30年11月12日に登録出願され、その後、指定役務については、当審における令和2年3月11日受付の手続補正書により、「プラム(西洋スモモ)を原材料とする菓子及びパンの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」に補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録商標は、以下のとおりであり、いずれも現に有効に存続しているものである。
(1)登録第5245617号商標(以下「引用商標1」という。)は、「プラム」の片仮名を標準文字で表してなり、平成19年6月30日に登録出願、第35類「身の回り品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,菓子及びパンの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,米穀類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,清涼飲料及び果実飲料の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,茶・コーヒー及びココアの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,加工食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,台所用品・清掃用具及び洗濯用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,薬剤及び医療補助品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,化粧品・歯磨き及びせっけん類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,運動具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,おもちゃ・人形及び娯楽用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定役務として、同年21年7月10日に設定登録され、その後、令和元年5月21日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
(2)登録第5797560号商標(以下「引用商標2」という。)は、「PLUM」の欧文字を標準文字で表してなり、平成26年7月22日に登録出願、第35類「かや・敷布・布団・布団カバー・布団側・まくらカバー・毛布の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,アイマスク・エプロン・えり巻き・靴下・ゲートル・毛皮製ストール・ショール・スカーフ・足袋・足袋カバー・手袋・ネクタイ・ネッカチーフ・バンダナ・保温用サポーター・マフラー・耳覆いの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,ナイトキャップ・帽子の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,ガーター・靴下止め・ズボンつり・バンド・ベルトの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,げた・草履類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,かばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,身の回り品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,電気機械器具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,手動利器・手動工具及び金具(「安全錠,鍵,鍵用金属製リング,南京錠,キーホルダー,錠(電気式又は金属製のものを除く。)」を除く。)の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,台所用品・清掃用具及び洗濯用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,薬剤及び医療補助品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,化粧品・歯磨き及びせっけん類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,運動具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,おもちゃ・人形及び娯楽用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定役務として、同27年10月9日に設定登録されたものである。
以下、これらをまとめて「引用商標」という場合がある。

3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本願商標について
本願商標は、別掲のとおり、太線で渦巻きを表した図形の下にやや間隔を空けて、「P」を多少デザイン化した「Plum」の欧文字を筆記体風に横書きしてなるものである。
そして、本願商標の構成中の図形部分と欧文字部分は、視覚上分離して看取されるばかりでなく、これらが常に一体不可分のものとしてのみ看取、把握されなければならない特段の事情も見いだせないものであるから、これらの各部分は、それぞれが独立して自他役務の識別標識としての機能を果たし得るものというのが相当である。
そこで、本願商標の図形部分をみるに、当該図形部分は、我が国において特定の意味合いを表すものとして認識され、親しまれているというべき事情は認められないものであるから、これよりは直ちに特定の称呼及び観念は生じないというのが相当である。
また、本願商標の「Plum」の欧文字部分は、「西洋スモモ」の意味を有する平易な英単語である(「新英和中辞典」(株式会社研究社))から、その構成文字に相応して、「プラム」の称呼及び「西洋スモモ」の観念を生ずるものである。
そして、簡易迅速を尊ぶ取引の実際においては、本願商標に接する取引者、需要者は、その構成中、称呼しやすい欧文字からなる「Plum」の文字部分に着目し、これを記憶にとどめて取引にあたる場合も少なくないというのが相当である。
以上からすると、本願商標の構成中「Plum」の文字部分が、取引者、需要者に対し、役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められるから、本願商標は、当該「Plum」の文字部分を要部として抽出し、この部分のみを他人の商標と比較して商標の類否を判断することが許されるものである。
したがって、本願商標は、要部である「Plum」の文字に相応して「プラム」の称呼が生じ、「西洋スモモ」の観念を生ずるものである。
イ 引用商標1について
引用商標1は、前記2(1)のとおり、「プラム」の片仮名よりなるものであるところ、該文字は、「西洋スモモ」の意味を有する語として一般に知られている外来語である(「コンサイスカタカナ語辞典」(株式会社三省堂))から、その構成文字に相応して、「プラム」の称呼を生じ、「西洋スモモ」の観念を生じるものである。
ウ 引用商標2について
引用商標2は、前記2(2)のとおり、「PLUM」の欧文字よりなるものであるところ、該文字は、「西洋スモモ」の意味を有する平易な英単語である(「新英和中辞典」)から、その構成文字に相応して、「プラム」の称呼を生じ、「西洋スモモ」の観念を生じるものである。
エ 本願商標と引用商標との類否について
本願商標と引用商標の類否について検討すると、両者は、「プラム」の称呼及び「西洋スモモ」の観念を共通にするものであり、本願商標の要部である「Plum」の文字部分と引用商標1とは、デザイン化の有無や、文字の種類が欧文字と片仮名とで相違するとしても、商標の使用において、そのデザイン化や、商標の構成文字を同一の称呼が生じる範囲内で文字種を相互に変換して表記されることが一般に行われている取引の実情があることに鑑みれば、両者におけるデザイン化・文字種等の相違が、取引者、需要者に対し、出所識別標識としての外観上の顕著な差異として強い印象を与えるとまではいえない。
また、引用商標2との比較においては、外観において、2文字目以降の欧文字の大文字と小文字という差異があるものの、全体のつづりを共通にすることから、両者は、外観上、近似した印象を与えるものである。
以上のことを総合して考察すれば、本願商標と引用商標とは、デザイン化や文字種等による外観上の相違が、両者の称呼及び観念が共通することによる全体の類似性を凌駕するほどの顕著な相違であるとはいい難く、相紛れるおそれのある類似の商標というべきである。
オ 本願指定役務と引用商標の指定役務との類否について
本願の指定役務である第35類「プラム(西洋スモモ)を原材料とする菓子及びパンの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」は、引用商標1の指定役務中、第35類「飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,菓子及びパンの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,加工食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」及び、引用商標2の指定役務中、第35類「飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」と同一又は類似の役務である。
カ 小括
以上によれば、本願商標は、引用商標と類似する商標であって、引用商標の指定役務と同一又は類似の役務について使用をするものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)請求人の主張について
請求人は、当審における手続補正書において、本願商標の指定役務について、第35類「プラム(西洋スモモ)を原材料とする菓子及びパンの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」と補正したことによって、「プラム」若しくは「Plum」の語は、本願商標と引用商標の指定役務との関係においては、自他役務の識別力が弱いものであるから、本願商標と引用商標とは、全体として、誤認混同を生ずるおそれのない非類似の商標である旨を主張する。
しかしながら、「プラム」及び「Plum」の文字が、「西洋スモモ」を意味する語であるとしても、本願商標及び引用商標に係る「小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」の役務(以下「小売等役務」という。)との関係において、上記意味合いが役務の質を表すものとみるべき理由は見いだせず、職権をもって調査するも、当該文字が小売等役務の質を表すものとして一般に使用されている等の事情も発見できなかった。
してみれば、本願商標の「Plum」の文字、並びに、引用商標1の「プラム」及び引用商標2の「PLUM」の文字がその指定役務との関係において、識別力が弱いとはいうことはできない。
また、請求人は、「PLUM」の文字を含む商標(登録第5780740号商標)が引用商標1及び引用商標2と併存登録されている旨を主張するが、商標の類否判断は、対比する商標同士の構成態様と、それらの指定商品及び指定役務との関係から個別かつ具体的に判断をなすべきものであって、本願商標と構成態様が異なる他の商標登録の事例により本件審理の判断が左右されるものではない。
よって、請求人の主張は、いずれも採用することはできない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。

別掲

別掲 本願商標




審理終結日 2020-11-04 
結審通知日 2020-11-06 
審決日 2020-12-17 
出願番号 商願2018-144979(T2018-144979) 
審決分類 T 1 8・ 262- Z (W35)
T 1 8・ 261- Z (W35)
T 1 8・ 263- Z (W35)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 町田 圭輔守屋 友宏 
特許庁審判長 山田 正樹
特許庁審判官 木住野 勝也
青野 紀子
商標の称呼 プラム 
代理人 羽切 正治 

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