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審決分類 審判 全部取消 商標の同一性 無効としない X03
審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない X03
管理番号 1371812 
審判番号 取消2020-300204 
総通号数 256 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2021-04-30 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2020-03-18 
確定日 2021-02-05 
事件の表示 上記当事者間の登録第5435311号商標の登録取消審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 審判費用は,請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5435311号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲のとおり「trim」の欧文字を書してなり,平成23年2月25日に登録出願,第3類「化粧品,せっけん類,香料類」を指定商品として,同年9月2日に設定登録され,現に有効に存続しているものである。
そして,本件審判の請求の登録日は,令和2年4月2日である。
なお,本件審判において,商標法第50条第2項に規定する「その審判の請求の登録前3年以内」とは,平成29年(2017年)4月2日ないし令和2年(2020年)4月1日である(以下「要証期間」という場合がある。)。

第2 請求人の主張
請求人は,本件商標の登録を取り消す,審判費用は被請求人の負担とする,との審決を求め,その理由を以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は,その指定商品について,継続して3年以上日本国内において商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが使用した事実が存しないから商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
請求人は,被請求人の答弁に対し,何ら弁駁していない。

第3 被請求人の答弁(要旨)
被請求人は,結論同旨の審決を求め,答弁において,その理由を次のように述べ,証拠方法として,乙第1号証ないし乙第32号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 答弁の理由
本件商標権者は,要証期間内に,本件商標を「化粧品」の範ちゅうに含まれる商品「化粧水」について使用している。
(1)「化粧水」における本件商標の使用
ア 商品の容器の正面側と包装箱の正面側とを撮影した写真(乙1の1)において,右側の容器と,左側の包装箱の中段のやや下部に,本件商標の表示と「化粧水」を示す「lotion」の表示とを1行に表した「trim lotion」が表示されている。
イ 商品の容器と包装箱の各背面側を撮影した写真(乙1の2)において,右側の容器と,左側の包装箱の背面には,「トリム」の表示と「化粧水」を示す「ローション」の表示とを1行に表した,「トリムローション」が表示され,これら容器及び包装箱が「化粧水」の容器及び包装箱であることを示す「<化粧水>」の文字が表示され,本件商標権者の名称が表示されている。
「トリム」は,本件商標と片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標であるから,本件商標と社会通念上同一と認められる商標である。
ウ 平成31年1月9日製作に係る包装箱(乙2),平成30年12月10日製作に係る化粧水の容器に貼付するラベル(乙3)及び平成31年4月9日製作に係る化粧水の容器に貼付するラベル(乙4)には,「trim lotion」,「トリムローション」,「<化粧水>」及び本件商標権者の名称が表示されている。
(2)本件商標を使用した商品のパンフレットの発行
ア 本件商標権者の製造販売に係る商品が掲載された総合パンフレットの写し(乙5)の表紙の写真の左端の商品が本件商標を表示した化粧品である。
当該パンフレットの4頁目には,当該化粧品の拡大写真が掲載されており,左端の商品の中段の最下部には,「trim lotion」が表示されている。6頁目には,右上に本件商標を表示した化粧品の写真と,「トリムローション」の表示と共に商品の説明がなされている。
そして,当該パンフレットの裏表紙の右下最下部に「78Z001136.18.08」の表示があるところ,「78Z001136」は商品コードであり,「18.08」は当該パンフレットが2018年(平成30年)8月に発行されたものであることを示すものである。
イ 本件商標権者から明星印刷工業株式会社(印刷会社)への発注書の写し(乙6)及び,当該パンフレットが明星印刷工業株式会社から本件商標権者へ納品された際の納品書の写し(乙7)においては,2項目に掲載されている商品が,当該パンフレット(乙5)に関するものである。
本件商標権者は,当該パンフレットを印刷会社へ平成30年8月24日に発注し,当該パンフレットは,印刷会社から本件商標権者へ平成30年8月29日に納品された。
ウ したがって,平成30年8月の時点において,当該パンフレットの配布により,本件商標を付した化粧品(乙1,乙2)が宣伝広告され,かつ,商品の販売の申し出が行われていたことは明らかである。また,下記(6)のとおり,当該パンフレットは取引先へ納品されている。
(3)顧客へ配布する使用計画帳の発行
本件商標権者が化粧品の販売の際に配布した美顔化粧品の説明と使用計画とを記載した使用計画帳の写し(乙8)には,その26頁目に「トリムローション」の品名が記載されている。
そして,当該使用計画帳の裏表紙には,その右下最下部に「82Z007234.18.12」の表示があり,この「18.12」は当該使用計画帳が2018年(平成30年)12月に発行されたものであることを示すものである。
したがって,平成30年12月の時点において,当該使用計画帳の配布により本件商標を付した化粧品(乙1,乙2)が宣伝広告され,かつ,商品の販売の申し出が行われていたことは明らかである。また,下記(6)のとおり,当該使用計画帳は取引先へ納品されている。
(4)社内教育用テキストの発行
社内教育用テキスト(乙9)の表紙には,商品パンフレット(乙5)に掲載の写真と同一の写真が掲載されていて,その左側に写っている容器には「trim lotion」の表示がある。また,29頁目には「トリムローション」の化粧水についての説明が記載されている。
そして,当該社内教育用テキストの裏表紙の右下最下部に「82Z002002.17.05」の表示があり,この「17.05」は当該社内教育用テキストが2017年(平成29年)5月に発行されたものであることを示すものである。
(5)商品の販売事実
本件商標権者は,本件商標を付した化粧品(乙1,乙2)を要証期間内に販売している(乙10?乙29)。
(6)本件商標権者の取引先からさらなる取引先への商品等の流通
ア 本件商標権者の取引先である株式会社エステツインは,株式会社ビューティドクターセルムスヘ令和元年11月20日にトリムローション120mL3個を納品した(乙30)。
イ 本件商標権者の取引先である株式会社エステツインは,株式会社エス・バースへ平成30年11月27日にパンフレット(乙5)1部とトリムローション300mL4個とを納品した(乙31)。
ウ 本件商標権者の取引先である株式会社彩さ美は,彩さ美松山本店へ令和2年4月7日にパンフレット(乙5)20部と使用計画帳(乙8)10部とを納品した(乙32)。

第4 当審の判断
1 被請求人が提出した証拠及び同人の主張によれば,以下の事実が認められる。
(1)商品の容器と思しき瓶の正面には,中程に「trim lotion」の文字(以下「使用商標」という場合がある。)が表示され,当該瓶の背面の上部には,「エステツイン」,「STCELL」,「トリムローション」,「<化粧水>」及び「300mL」の文字が5段に表示されており,中程には「製造販売元」として本件商標権者の名称が表示されている(乙1の1右側,乙1の2右側)。
(2)本件商標権者は,2019年(令和元年)7月1日付けで愛媛県に所在する株式会社彩さ美(以下「彩さ美」という。)に「050702020 徳ET Stcell トリムローション(300ml)」とする商品を「数量」として「6」納品した(乙10)。
2 判断
上記1において認定した事実によれば,以下のように判断できる。
(1)使用商品について
使用商標が付された容器の背面には「<化粧水>」及び「300mL」の文字が表示されていることから,当該容器は,化粧水(以下「使用商品」という。)の包装容器と認められる。
そして,使用商品は,本件商標の指定商品中「化粧品」の範ちゅうの商品である。
(2)本件商標と使用商標の社会通念上の同一性について
本件商標は別掲のとおり「trim」の欧文字を書してなるものである。
これに対して,使用商標は「trim lotion」の欧文字を書してなるところ,構成中の「lotion」の欧文字は「化粧水」の意味を有する一般に知られた英語であるから,使用商品の普通名称を表す文字であり,自他商品の識別標識としての機能を果たすものではない。
そうすると,使用商標は「trim」の欧文字部分が要部として理解されるというべきものであって,本件商標と使用商標の要部とは書体が異なるものの,その文字構成を同じくするものであるから,使用商標は,本件商標と社会通念上同一の商標と認められる。
(3)商品の引渡しとその時期について
本件商標権者が「050702020 徳ET Stcell トリムローション(300ml)」とする商品を彩さ美に納品(引き渡し)した日は,令和元年7月1日であり,この日付は要証期間内である。
また,彩さ美は日本国内に所在する。
そして,当該商品の商品名は,大文字と小文字の差異はあるものの使用商品の包装容器の背面に表示されている「STCELL」,「トリムローション」及び「300mL」の文字を含むものであり,これらの文字以外の「050702020 徳ET」の文字は,商品の品番若しくは記号と認められるものであるから,本件商標権者が納品(引き渡し)した商品は,包装容器に使用商標が付された使用商品(化粧水)とみて差し支えない。
(4)使用商標の使用者について
包装容器に使用商標が付された商品の製造販売元及び使用商品を彩さ美に引き渡した者は,本件商標権者であるから,使用商標の使用者は本件商標権者であると認められる。
(5)小括
以上によれば,本件商標権者は,要証期間内に,日本国内において,本件商標の指定商品に含まれる「化粧水」の包装に,本件商標と社会通念上同一と認められる商標を付して商品を販売(引き渡し)したものと認められる。
そして,上記使用行為は,商標法第2条第3項第2号にいう「商品の包装に標章を付したものを引き渡しする行為」に該当する。
3 まとめ
以上のとおり,被請求人は,要証期間内に日本国内において,その請求に係る指定商品中に含まれる「化粧水」について,本件商標と社会通念上同一の商標の使用をしていたことを証明したものと認められる。
したがって,本件商標の登録は,その請求に係る指定商品について,商標法第50条の規定により,取り消すことはできない。
よって,結論のとおり審決する。

別掲
別掲(本件商標)


審理終結日 2020-11-26 
結審通知日 2020-12-01 
審決日 2020-12-21 
出願番号 商願2011-17217(T2011-17217) 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (X03)
T 1 31・ 11- Y (X03)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 堀内 真一 
特許庁審判長 半田 正人
特許庁審判官 大森 友子
須藤 康洋
登録日 2011-09-02 
登録番号 商標登録第5435311号(T5435311) 
商標の称呼 トリム 
代理人 有近 康臣 
代理人 蔦田 正人 
代理人 特許業務法人深見特許事務所 

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