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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Z25
管理番号 1371004 
審判番号 取消2018-300652 
総通号数 255 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2021-03-26 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2018-08-21 
確定日 2021-01-12 
事件の表示 上記当事者間の登録第4240065号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4240065号商標(以下「本件商標」という。)は、「GEAR」の文字を標準文字で表してなり、平成9年(1997年)7月30日に登録出願、第25類「被服」を指定商品として、同11年(1999年)2月12日に設定登録、同21年(2009年)1月27日及び同31年(2019年)2月12日に存続期間の更新登録がなされているものである。
そして、本件審判請求の登録は、平成30年(2018年)9月5日にされたものであり、この登録前3年以内の期間を、以下「要証期間」という。

第2 請求人の主張
請求人は、商標法第50条第1項により、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次のように述べた。
請求人は、本件請求に先立って職業的調査機関に依頼して当該商標権者の業務内容、取扱商品の範囲、及び本件商標の使用の実態について、取引先に対する照会等を含め鋭意詳細に調査を実行したが、その指定商品に本件商標が使用されたことを示す資料を発見することができなかった。
また、本件商標については、専用使用権者又は通常使用権者の登録もされておらず、その存在をうかがわせる資料も存在しない。
したがって、本件商標は、その指定商品「被服」について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取消されるべきものである。
なお、請求人は、被請求人が提出した平成30年(2018年)11月9日付け答弁書(以下「答弁書」という。)に対し、何ら弁駁していない。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求め、答弁書において、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第40号証(枝番を含む。)(枝番の全てを引用する場合は、その枝番の記載を省略する。)(以下、証拠については、「乙1」等と表記する。)を提出した。
1 本件商標権の権利者は株式会社アプト(以下「アプト社」という。)であるが、通常使用権許諾証明書(乙1)のとおり、本件商標権に係る通常使用権について、平成27年(2015年)1月1日付けで株式会社アクセス(以下「アクセス社」という。)に許諾している。
したがって、本件商標権に係る業務はアクセス社によって現在に至るまで継続して行われている。
2 アクセス社が製造・販売する商品「ドレスシャツ(男性用ワイシャツ)」には、商標「GEAR」が付されている(乙2ないし乙4)。
また、商品「ドレスシャツ(男性用ワイシャツ)」の販売時には、商品タグが取り付けられ、当該タグは、四隅が丸まっている灰色の長方形カード状の紙で作られ、当該タグの前面中心部には黒色の字で「GEARR」(最後の「R」は丸付き文字で書体のサイズは他の文字に比して小さく書されている。以下これを「○R付きGEAR」という。)の文字が記載されている(乙5)。
3 アクセス社は、平成29年(2017年)7月26日及び同年12月14日に、商品製造業者「SHINING ACCESS GARMENT MANUFACTURING CO.,LTD」(以下「SHINING ACCESS社」という。)に商品「ドレスシャツ(男性用ワイシャツ)」の製造を依頼した(乙6及び乙7)。
4 青山商事株式会社(以下「青山商事社」という。)の執行役員第二商品部長は、商標「GEAR」を付した商品「男性用ワイシャツ」を、平成29年(2017年)2月1日より現在に至るまで、継続して本商標権者(審決注:乙8の記載に照らし「アクセス社」の誤記と思われる。)より仕入れ、販売を行っている旨証言している(乙8)。
5 平成28年(2016年)9月19日作成の青山商事社発行の軽衣料商品登録書(乙16)によれば、アクセス社が取り扱う商標「GEAR」が付された商品「ドレスシャツ」(品番SG1000X)を青山商事社が合計97,200枚仕入れること、同年7月25日作成の青山商事社発行の軽衣料商品登録書(乙17)によれば、アクセス社が取り扱う商標「GEAR」が付された商品「ドレスシャツ」(品番SG1002X-1)を青山商事社が合計64,800枚仕入れること、同日作成の青山商事社発行の軽衣料商品登録書(乙18)によれば、アクセス社が取り扱う商標「GEAR」が付された商品「ドレスシャツ」(品番SG1000X)を青山商事社が合計64,800枚仕入れることが予定されていたことが確認できる。
そして、平成30年(2018年)2月7日に、アクセス社製造の商品「GEARドレスシャツ」(品番SG1000X)が32,400枚(乙9及び乙19)、同年2月22日に、アクセス社製造の商品「GEARドレスシャツ」(品番SG1002X-1)が31,500枚(乙10及び乙20)、同年6月1日にアクセス社製造の商品「GEARドレスシャツ」(品番SG1002X-1)が31,320枚(乙11及び乙21)、同年6月7日にアクセス社製造の商品「GEARドレスシャツ」(品番SG1002X-1)が396枚(乙12及び乙22)、同年8月2日に、アクセス社製造の商品「GEARドレスシャツ」(品番SG1000X)が7,056枚(乙13及び乙23)、同年8月21日に、アクセス社製造の商品「GEARドレスシャツ」(品番SG1000X)が17,028枚(乙14及び乙24)及び同年8月27日に、アクセス社製造の商品「GEARドレスシャツ」(品番SG1000X)が8,316枚(乙15及び乙25)青山商事社の井原商品センターに納品されている。
6 アクセス社は、商品「ドレスシャツ(男性用ワイシャツ)」の青山商事社への発送手続きを関連会社である株式会社エイ・ピー・ティ(以下「エイ・ピー・ティ社」という。)に委託しており(乙26)、エイ・ピー・ティ社は、商品「ドレスシャツ(男性用ワイシャツ)」を青山商事社の井原商品センターへ発送し(乙27ないし乙29)、青山商事社の井原商品センターは、商品「ドレスシャツ(男性用ワイシャツ)」を受け取っている(乙30ないし乙39)。
また、エイ・ピー・ティ社が作成した出荷実績一覧表(請求先別)(乙40)によれば、青山商事社宛にアクセス社の商品(品番SG1002X-1)が平成30年(2018年)6月6日に11個出荷されていることが確認できる。
7 被請求人が提出した証拠(乙1ないし乙40)により、本件商標権者及びその通常使用権者は、要証期間の平成29年(2017年)2月1日から現在に至るまで商標「GEAR」をその指定商品に継続的に使用していることが証明されるため、本件商標権の登録は維持されるべきである。

第4 当審の判断
1 被請求人の立証責任
商標法第50条による商標登録の取消審判の請求があったときは、同条第2項の規定により、被請求人において、その請求に係る指定商品のいずれかについての登録商標の使用をしていることを証明し、又は使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしない限り、その登録の取消しを免れない。
すなわち、本件商標の使用をしていることを証明するには、商標法第50条第2項に規定されているとおり、被請求人は、(1)要証期間に、(2)日本国内において、(3)商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、(4)請求に係る指定商品のいずれかについての、(5)本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標の使用(商標法第2条第3項各号のいずれかに該当する使用行為)をしていることをすべて証明する必要がある。
2 被請求人の提出した乙1ないし乙40(枝番を含む。)の証拠から以下の事実が認められる。
(1)本件商標権者であるアプト社の代表者が作成した、平成30年11月2日付けの通常使用権許諾証明書(乙1)によると、当該証明書の「(通常使用権者)」の欄に「住所(居所)」の記載、「氏名(名称) 株式会社アクセス」の記載、項目1の「商標登録番号」に「第4240065号」の記載、項目2の「商標」に「GEAR」の記載、項目3の「区分」に「第25類 被服」の記載があり、その下に、「上記の商標権について、弊社は、平成27年1月1日付で下記の通常使用権を貴社に許諾していることに相違ありません。」の記載、「-記-」の下の、「(通常使用権の範囲)」の欄の項目1の「地域」に「日本全国」の記載、項目2の「期間」に「本商標権の存続期間中」の記載が認められることから、当該証明書の日付は、要証期間外の平成30年11月2日であるものの、被請求人であり、商標権者であるアプト社が、同27年1月1日以降、本商標権に係る通常使用権をアクセス社に許諾していたことが確認できる。
(2)白色のドレスシャツ(男性用ワイシャツ)の透明の包装袋には「GEAR」の欧文字が、襟元の織りネームに「○R付きGEAR」の文字が記載され、また、白色のドレスシャツ(男性用ワイシャツ)の2番目のボタンに「○R付きGEAR」の文字が記載された商品タグが付けられている(乙2ないし乙5)。
(3)アクセス社は、SHINING ACCESS社に対し、仕様書(乙6の1、乙7の1)に記載された品番「SG1000X」の白地の男性用ワイシャツの製造を依頼する注文書(乙6の2、乙7の2)を平成29年(2017年)7月25日及び同年12月14日に発行し、当該商品の標準業務指示書(乙6の4、乙7の4)を、同年7月26日及び同年12月14日に発行したことが確認できる。
(4)青山商事社の執行役員第二商品部長が作成した平成30年(2018年)11月2日付け本件審判長宛ての証明書(乙8)の記載から、平成29年(2017年)2月1日以降現在に至るまで、アクセス社は、青山商事社に商標「GEAR」を付した商品「ドレスシャツ(男性用ワイシャツ)」を納品し、青山商事社が当該商品を販売していたことが推認できる。
(5)仕様書(乙6の1、乙7の1)に記載された「白地のドレスシャツ(男性用ワイシャツ)」の品番「SG1000X」と、納品書(乙9、乙13ないし乙15)の品番に記載の「SG1000X」とは、その記載が一致していることから、納品書(乙9、乙13ないし乙15)に記載の品番「SG1000X」の商品「GEARドレスシャツ」は、「白地のドレスシャツ(男性用ワイシャツ)」であることが確認できる。
また、納品書(乙9、乙13ないし乙15)によると、品番「SG1000X」の商品「GEARドレスシャツ」は、平成30年(2018年)2月7日に32,400枚、同年8月2日に7,056枚、同月21日に17,028枚、同月27日に8,316枚、アクセス社から青山商事社井原商品センターに納品されたことが確認できる。
3 上記2で認定した事実等によれば、以下のとおりである。
(1)使用者及び使用時期について
本件商標権者から本件商標権に係る通常使用権を許諾されたアクセス社は、商品「ドレスシャツ(男性用ワイシャツ)」(以下「使用商品」という。)の織りネーム、商品タグ及び当該商品の包装袋に「GEAR」の文字(以下「使用商標」という。)を付したものを平成30年(2018年)2月7日、同年8月2日、同月21日及び同月27日に青山商事社井原商品センターに、32,400枚、7,056枚、17,028枚及び8,316枚、それぞれ納品したものと認めることができる。
したがって、使用商標の使用者はアクセス社であり、同社は本件商標に係る通常使用権者であると認められ、また、上記に係る商品の納品日は、いずれも要証期間である。
(2)本件商標と使用商標の社会通念上の同一性について
本件商標「GEAR」と使用商標「GEAR」は、構成文字を同一にし、「ギア」の称呼、「歯車」等の観念を共通にするものであるから、社会通念上同一の商標と認められる。
(3)使用商品について
使用商品は、上記(1)のとおり、「ドレスシャツ(男性用ワイシャツ)」であるから、本件審判の請求に係る商品第25類「被服」に含まれるものと認められる。
(4)小括
以上によれば、本件商標の通常使用権者であるアクセス社が、要証期間に日本国内において、本件商標と社会通念上同一と認められる使用商標を請求に係る商品である第25類「被服」に含まれる商品「ドレスシャツ(男性用ワイシャツ)」及びその包装に付したものを、青山商事社に対し譲渡し又は引き渡したものと認めることができる。
この行為は、商標法第2条第3項第2号の「商品又は商品の包装に標章を付したものを譲渡又は引き渡す行為」に該当する。
4 むすび
以上のとおり、被請求人は、要証期間内に日本国内において、通常使用権者がその請求に係る指定商品第25類「被服」に含まれる商品「ドレスシャツ(男性用ワイシャツ)」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用した事実を証明したものと認められる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲

審理終結日 2019-07-25 
結審通知日 2019-07-29 
審決日 2020-09-02 
出願番号 商願平9-144139 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (Z25)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 豊田 純一山内 周二 
特許庁審判長 木村 一弘
特許庁審判官 豊田 純一
中束 としえ
登録日 1999-02-12 
登録番号 商標登録第4240065号(T4240065) 
商標の称呼 ギア 
代理人 青木 博通 
代理人 神蔵 初夏子 
代理人 清原 義博 
代理人 中田 和博 

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