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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Z12
管理番号 1370949 
審判番号 取消2018-300975 
総通号数 255 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2021-03-26 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2018-12-21 
確定日 2021-01-12 
事件の表示 上記当事者間の登録第4419215号商標の登録取消審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 登録第4419215号商標の指定商品中,第12類「二輪自動車・自転車並びにそれらの部品及び附属品」についての商標登録を取り消す。 審判費用は,被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4419215号商標(以下「本件商標」という。)は,「ZERO」の欧文字及び「ゼロ」の片仮名を上下二段で横書きしてなり,平成11年4月30日に登録出願,第12類「自動車用バックミラー,自動車用フロントスポイラー,自動車用リアスポイラー,自動車用フロントグリル,自動車用ホイール,その他の自動車並びにその部品及び附属品,二輪自動車・自転車並びにそれらの部品及び附属品,陸上の乗物用の交流電動機又は直流電動機」及び第9類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,同12年9月22日に設定登録がされ,その後,登録異議の申立てにより,その指定商品中,第9類「全指定商品」及び第12類「陸上の乗物用の交流電動機又は直流電動機」について取り消すべき旨の決定がされ,同14年2月27日にその確定決定の登録がされたものである。
なお,本件審判の請求の登録日は,平成31年1月17日であり,本件審判の請求の登録前3年以内の期間である同28年1月17日から同31年1月16日までを,以下「要証期間」という場合がある。

第2 請求人の主張
請求人は,結論同旨の審決を求め,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第4号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は,その指定商品中,第12類「二輪自動車・自転車並びにそれらの部品及び附属品」(以下「請求に係る指定商品」という。)について,継続して3年以上日本国内において,商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用をした事実が存しないから,その登録は商標法第50条第1項の規定により取消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
被請求人の提出に係る乙各号証について
ア 乙第1号証について
乙第1号証は,被請求人によれば,本件商標と社会通念上同一の商標が請求に係る指定商品に付されたチラシであるとされる。
しかしながら,これをもって要証期間に日本国内における本件商標の使用の事実が立証されたということはできない。その理由は以下のとおりである。
(ア)商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれの使用にも該当しないこと
乙第1号証のチラシにおいて「販売元」として「株式会社ワールドウィング」(以下「ワールドウィング社」という場合がある。)の記載があり,乙第4号証の1ないし乙第4号証の4において,ワールドウィング社が本件商標の商標権者である株式会社ゼロスポーツ(以下「ゼロスポーツ社」という場合がある。)を100%子会社としたことを示しており,両者の関係性については認める。
しかし,乙第3号証の覚書にて,「1.iii本使用料として株式会社ワールドウィングは使用した製品に関わる売上金額の3%を株式会社ゼロスポーツに対して支払う義務を有する」と記載されているが,現に,商標を使用した製品に関わる売上金額の3%の使用料が支払われたことを示す証拠は提出されておらず,この点について何ら立証がされていない。
そのため,覚書記載の使用料が支払われているのか,ひいては,本件商標が使用された製品が存在したのか,また,当該製品の売り上げが現実に計上されたのか不明である。
さらに,商標権者とワールドウィング社の代表取締役は同一人物であるため,本覚書の作成は容易であることから,上記点について立証を求める。
(イ)要証期間における使用に該当しないこと
乙第1号証のチラシにおいて,「この仕様は2018年6月現在のものです」の記載を1か所確認することができ,この日付は要証期間内であることは認める。
しかし,乙第1号証には以下のとおり複数の不自然な点がみられるため,要証期間内における使用に該当したとはいえない。
(ウ)乙第1号証の信頼性について
a 頒布の事実について
乙第1号証には「2018年6月現在のものです」との記載はあるものの,乙第1号証が,いつからいつの期間内に,どこの地域・場所で,どのような方法によって頒布されたものであるのか,具体的な頒布内容が何ら立証されていない。そのため,乙第1号証が本当に要証期間内に頒布されたものであるのか,明らかではない。
b 乙第1号証内に確認される製品について
乙第1号証のチラシには,サイドスタンドの見本写真が添付され,そのサイドスタンドには商標「ZERO」が刻印されていることを確認することができる。そのため,当該製品自体に,「ZERO」が刻印されているものとみるのが自然である。
一方,請求人が発見した甲第3号証及び甲第4号証に掲載されたサイドスタンドの見本写真における製品には,いずれも「ZERO」の刻印を確認することができない。
つまり,甲第3号証及び甲第4号証において使用されている写真は,その背景及び写真中央に,対象製品を斜めに目立つように配した構成において,被請求人が提出した乙第1号証と極めて酷似する。広告のためのチラシにおいて最も目を引く部分である製品の写真にこのような相違があるのは極めて不自然であり,乙第1号証のチラシに掲載された製品に当初から「ZERO」の刻印があったのかどうか疑義を生じるといわざるを得ない。そのため,「ZERO」の刻印がなされた当該製品が要証期間内に現実に存在したこと及び流通したことを,販路を明確にされるとともに,立証されるべきである。
c 品番について
乙第1号証には「品番:ZBP0103」の記載があるが,本品番に関する納品書や取引書類が何ら提出されていない。そのため,要証期間内に本品番の製品について取引がなされたものであるのか,その販路が不明であり,何ら立証がなされていない。
一方,請求人が発見した甲第3号証及び甲第4号証にはそのような品番の記載は見当たらない。そのため,本品番についてのサイドスタンド製品が要証期間内に現実に存在したかどうか不明である。
d 価格について
乙第1号証に記載されたメーカー小売り希望価格は12,000円である。一方,甲第3号証に掲載されている価格は4,000円であり,乙第1号証掲載の価格が不自然に高く設定されている。そのため,被請求人においては,上記価格を確認することができる納品書や取引書類等により,乙第1号証に掲載された製品が要証期間内に販売等されたことを立証されるべきである。
さらに,乙第1号証には「表示価格に取付工賃は含まれません」の表示があることからインターネットのみならず,実店舗での販売の可能性を考えるのが自然であるが,直営の実店舗は見つからず,販路が不明である。
e 「ZEROバイクパーツシリーズ」の記載について
乙第1号証の左上部には「ZEROバイクパーツシリーズ」の記載がある。広辞苑によると,「シリーズ」とは「(連続・系列の意)連続性を持つ一連のもの」の意味を有するところ,被請求人から提出された使用証拠は二輪自動車のパーツの一つであるサイドスタンドに限られる。「ZEROバイクパーツシリーズ」が現に存在するのであれば,他のバイクパーツについても本件商標の使用がされているという立証がなされるのが自然である。
f 小括
上記のとおり,乙第1号証自体に不自然な点が多く,疑義が生じるばかりか,乙第1号証は,本件審判請求がされたことを被請求人が知った後に作成されたものである蓋然性が極めて高いといわざるを得ない。
イ 乙第2号証について
乙第2号証は,被請求人によると,本田技研工業株式会社製のスクーターの社名・形式を示したウェブサイトであり,本件商標の使用について証明したものではない。
ウ 乙第3号証について
乙第3号証は,被請求人によると,被請求人とワールドウィング社にて取り交わされた覚書であるが,両社の代表取締役が同一人物であることから,乙第3号証の信ぴょう性について疑わしいといわざるを得ない。
具体的には,上記ア(ア)のように,現実に売上金額の3%の使用料が支払われたことを立証されるべきである。
エ 乙第4号証について
乙第4号証の1ないし乙第4号証の4は被請求人とワールドウィング社がグループ企業であることを示すウェブサイトであり,本件商標の使用について証明したものではない。
オ 乙各号証の総合判断
乙各号証を総合してみても,本件商標が各指定商品について予告登録日から3年以内に,日本国内における取引市場におかれ,現に流通していたことが立証されたとは到底いえない。
(2)不使用についての正当な理由は存在しないこと
被請求人は本件商標を使用していないことについて正当な理由があることは何ら主張立証していない。
(3)結語
以上のとおり,被請求人が提出した乙第1号証ないし乙第4号証は,本件審判請求の登録前3年以内に本件商標が日本国内において,商標権者,専用使用権者又は通常使用権者によって請求に係る指定商品について使用された事実を立証するものではない。
また,乙第1号証ないし乙第4号証を総合的に勘案してみても前記事実が立証されたと認めることはできない。
そして,被請求人は,本件商標を使用していないことについて正当な理由があることを何ら主張立証していない。
よって,本件商標は,商標法第50条第1項の規定によってその指定商品中,第12類「二輪自動車・自転車並びにそれらの部品及び附属品」についての登録を取り消すべきである。

第3 被請求人の主張
被請求人は,本件審判の請求は成り立たない,審判費用は請求人の負担とする,との審決を求め,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として,乙第1号証ないし乙第4号証(枝番号を含む。以下,枝番号の全てを引用するときは,枝番号を省略して記載する。)を提出した。
1 請求人の主張に対する答弁
(1)証拠
本件商標の使用事実を立証すべく,乙第1号証を提出する。乙第1号証は,商標が付されているとともに,商品の用途,本件商品の価格,販売元,仕様が該当する時期等が記載されているチラシである。
(2)使用商標
乙第1号証の右下部分には,「サイドスタンド」の文字の左に「ZERO」(以下「使用商標1」という。)と表示されている。「サイドスタンド」の文字が黒色で小さく表示されているのに対し,「ZERO」の文字は白抜き(黒い輪郭)で大きく表示されている。本件商標は,「ZERO」を上段に,「ゼロ」を下段に二段併記したものであるが,「ZERO」と「ゼロ」は「零(数えるべきものが無いこと)」という観念を同一とする。そのため,上段及び下段の一方である「ZERO」の使用は,本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用である。使用商標1の字体は,本件商標の上段の「ZERO」の字体とほぼ同一であり,白抜き文字であるとしても色違い商標である。
したがって,使用商標1は,本件商標と社会通念上同一と認められる商標である。
また,乙第1号証の左上部分には,「バイクパーツシリーズ」の文字の左に「ZERO」(以下「使用商標2」という。)と表示されている。この表示から,バイクパーツシリーズのブランドが「ZERO」であることが明らかである。使用商標2の字体は,本件商標の上段の「ZERO」の字体とほぼ同一である。
したがって,使用商標2は,本件商標と社会通念上同一と認められる商標である。
(3)使用商品
乙第1号証には,「車種専用 サイドスタンド」,「バイクパーツシリーズ」及び「簡単装着で駐輪が楽に!!」と記載されているとともに,商品の写真が大きく記載されている。
また,二輪自動車らしき車体が前方に傾いており,それを上記商品で支えている様子の写真が,背景として掲載されている。
さらに,乙第1号証には,「ホンダ ズーマー車種専用設計」,「HONDA ZOOMER BA-AF58」と記載されている。
そして,乙第2号証に示すように,「ZOOMER(ズーマー) BA-AF58」は,本田技研工業株式会社製のスクーターの車名・型式である。乙第2号証は,本田技研工業株式会社のウェブサイトにおける「二輪製品ニュース」ページの印刷物である。
以上のことから,使用商標1及び使用商標2の使用対象である使用商品は,「二輪自動車用スタンド」(以下「使用商品」という。)であることが明らかである。使用商品は,請求に係る指定商品に属する商品である。
(4)使用行為
乙第1号証には,「簡単装着で駐輪が楽に!!」,「●利便性向上」,「●ボルトオン装着」,「●取り付け簡単」と,商品の長所や特徴が記載されているとともに,商品の価格が記載されている。
これらのことから,乙第1号証のチラシに使用商標1及び使用商標2を付す行為は,商標法第2条第3項第8号(「商品若しくは役務に関する広告,価格表若しくは取引書類に標章を付して展示し,若しくは頒布し,又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」)に該当することが明らかである。
(5)使用時期及び使用場所
乙第1号証には,「この仕様は2018年6月現在のものです。」と記載されており,乙第1号証のチラシにおける使用商標1及び使用商標2の使用が,2018年6月以降であることが分かる。この使用時期は,要証期間内である。
また,乙第1号証は日本語で表示されていることから,日本国内で頒布されたものであり,使用商標1及び使用商標2の使用は,商標法第50条第2項に規定する「日本国内において」の要件を満たしている。
なお,乙第2号証に記載されているように,本田技研工業株式会社製「ZOOMER(ズーマー) BA-AF58」の発売は2001年であり,乙第1号証のチラシにおける使用商標1及び使用商標2の使用より早期である。これは,使用商標1及び使用商標2の使用者が,ユーザが既に有している自動車や二輪自動車に対して後付けできるパーツ,いわゆる「アフターパーツ」の提供を業務の一つとしていることによる。
(6)使用者
乙第1号証には,使用商品の販売元が「株式会社ワールドウィング」であることが表示されている。
乙第3号証に示すように,ワールドウィング社は,本件商標の使用を商標権者である被請求人から本件商標の使用を許諾された者である。ここで,乙第3号証は,被請求人とワールドウィング社とが,2017年(平成29年)12月1日に取り交わした覚書である。乙第3号証の覚書の第1条には,ゼロスポーツ社(甲)が,ワールドウィング社(乙)に対して,ゼロスポーツ社の所有する商標の使用を許諾する旨が記載されている。本件商標の権利者は平成23年9月の特定継承による商標権の移転の申請により被請求人に権利移転されているから,この覚書が取り交わされた2017年12月1日において,本件商標は乙第3号証の覚書第1条にいう「甲の所有する商標」に含まれている。また,上記のように,使用商標1及び使用商標2の使用時期である2018年6月頃は,乙第3号証の覚書第1条第2項に規定された使用の許諾期間「平成29年12月1日より平成30年11月1日まで」に含まれている。
したがって,乙第1号証のチラシによる使用商標1及び使用商標2の使用行為は,商標法第50条第2項の規定する「商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれか」の使用行為に該当する。
なお,乙第3号証の覚書では,1ページ目において第4条の後に下部マージンが広く設定されているが,これは甲及び乙による署名・押印欄が,分断されることなく次のページに二社分まとめて記載されるようにしたものであり,第4条が最後の条文である。第4条の内容も,契約書において一般的に末尾におかれる条文の内容である。
また,乙第4号証の1に示すように,使用商標1及び使用商標2の使用者であるワールドウィング社と被請求人とは,グループ企業である。さらに,乙第4号証の2ないし乙第4号証の4に示すように,ワールドウィング社は,2017年(平成29年)6月22日付けで,被請求人の全株式を取得し,100%子会社としている。
したがって,乙第3号証の覚書にあるように,被請求人の所有する商標を限定なく対象に含めて,その使用をワールドウィング社に許諾することは,何ら不自然なことではない。
なお,乙第4号証の1はワールドウィング社のウェブサイトのトップページの印刷物であり,乙第4号証の2はワールドウィング社のウェブサイトにおける2017年6月22日付け「お知らせ」ページであって,ゼロスポーツ社を100%子会社としたことをプレスリリースのために発表した記事の印刷物である。また,乙第4号証の3及び乙第4号証の4は,ワールドウィング社がゼロスポーツ社を100%子会社としたことを,第三者が報知しているウェブサイトの印刷物である。
(7)まとめ
以上のように,本件審判の請求の登録前3年以内に,日本国内において,商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが,請求に係る指定商品について,登録商標と社会通念上同一と認められる商標を使用している。

第4 審尋及び被請求人の回答
1 審尋
審判長は,令和2年8月21日付け審尋において,被請求人に対し,被請求人が提出した証拠によっては,被請求人が商標法第50条第2項に規定する本件商標の使用をしている事実を証明したものとは認めることができない旨の合議体の暫定的見解及び請求人提出の審判事件弁駁書に対する意見を求めた。
2 被請求人の回答
被請求人は,令和2年9月24日付け回答書において,合議体の暫定的見解に対しては,新たに提出する証拠はない旨,また,審判事件弁駁書における請求人の主張に対しては,乙第1号証は,商標法第2条第3項第8号(「商品若しくは役務に関する広告,価格表若しくは取引書類に標章を付して展示し,若しくは頒布し,又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」)の商標の使用を立証するために提出した証拠である旨回答した。

第5 当審の判断
1 被請求人の主張及び同人提出の乙各号証によれば,以下のとおりである。
(1)乙第1号証は,被請求人によれば,「HONDA ZOOMER BA-AF58専用サイドスタンドのチラシ(写し)」であるところ,当該書面には,「ZEROバイクパーツシリーズ」の表題の下,「ZERO」の文字を付した商品の画像とともに,「サイドスタンド」,「簡単装着で駐輪が楽に!!」,「ZEROサイドスタンド」,「HONDA」,「ZOOMER」,「BA-AF58」の記載があり,「メーカー小売り希望価格:・・・」,「販売元 株式会社ワールドウィング」,「この仕様は2018年6月現在のものです。」の記載がある。
(2)乙第2号証は,被請求人によれば,「本田技研工業株式会社のウェブサイトにおける二輪製品ニュースのページの印刷物(写し)」であるところ,当該書面には,「HONDA」,「Press Information」の下,2001年5月22日付けの「二輪製品ニュース」として,「Hondaは,・・・,遊び心にあふれたデザインのネイキッドスクーター『ZOOMAER』を6月1日より発売する。」の記載があり,二輪自動車の画像とともにその販売計画台数,メーカー希望小売価格,主な特徴などの情報及び「通称名:ズーマー」,「車名・型式:ホンダ・BA-AF58」の記載がある。
(3)乙第3号証は,2017年12月1日に株式会社ゼロスポーツ(甲)と株式会社ワールドウィング(乙)との間で結んだ「覚書」の写しであるところ,当該書面には,甲のロゴマーク及び甲の所有する商標の使用することに同意する旨の記載の下,甲が承認する製品を乙が製作する乙の製品及び広告物などの販促物等へ使用すること,使用期間,使用料などについて記載されている。
(4)乙第4号証の1は,2019年3月12日に出力されたワールドウィング社のウェブサイトの写しであり,「グループ企業」の項目に,「株式会社ゼロスポーツ」の記載がある。
また,乙第4号証の2は,ワールドウィング社のウェブサイトにおける2017年6月22日付けプレスリリースのページであり,ここには,「お知らせ」の表題の下,株式会社ワールドウィングは,2017年6月22日付けで,株式会社ゼロスポーツの全株式を取得し,グループ企業提携関係に移行したことを発表する旨の記載がある。
さらに,乙第4号証の3及び乙第4号証の4は,グーネット自動車流通等の第三者による乙第4号証の2と同旨の記事である。
2 上記1によれば,当審の判断は,以下のとおりである。
(1)被請求人(本件商標権者)は,乙第1号証として提出したチラシに「ZERO」の文字からなる使用商標を付する行為は,商標法第2条第3項第8号の使用にあたる旨主張する。
被請求人(本件商標権者)は2017年(平成29年)6月22日付けでワールドウィング社とグループ企業になり,同年12月1日に本件商標権者の所有する商標権の使用に関する覚書を交わしたことから,要証期間にワールドウィング社は本件商標の通常使用権者であったと推認できる。
また,ワールドウィング社を販売元とする,本田技研工業株式会社が2001年5月に発売を開始した二輪自動車の専用サイドスタンドについてのチラシ(乙1)が提出され,当該チラシには,「ZERO」の文字を付した商品「二輪自動車用スタンド」の画像及び「この仕様は2018年6月現在のものです。」などと記載されているものの,このチラシの作成日,作成数,作成者及び頒布の事実などは明らかでない。
したがって,乙第1号証をもって,本件商標の通常使用権者が要証期間に,商品「二輪自動車用スタンド」について,本件商標を使用したと認めることはできない。
(2)また,そのほかに本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)が本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において,使用されたことを証明する証拠の提出はない。
(3)小括
上記(1)及び(2)のとおり,被請求人が提出した全証拠によっては,要証期間に本件商標の通常使用権者が,その請求に係る指定商品について,本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)を使用したことを認めるに足る事実を見いだせない。
3 まとめ
以上のとおり,被請求人は,本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において,本件商標権者,通常使用権者又は専用使用権者のいずれかが,その請求に係る指定商品について,本件商標の使用をしていることを証明したものということができない。
また,被請求人は,本件商標の使用をしていないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって,本件商標の登録は,商標法第50条の規定により,取り消すべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
別掲
審理終結日 2020-11-12 
結審通知日 2020-11-19 
審決日 2020-12-02 
出願番号 商願平11-39028 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (Z12)
最終処分 成立  
特許庁審判長 小松 里美
特許庁審判官 齋藤 貴博
小俣 克巳
登録日 2000-09-22 
登録番号 商標登録第4419215号(T4419215) 
商標の称呼 ゼロ 
代理人 田中 克郎 
代理人 大矢 正代 
代理人 石田 昌彦 
代理人 前田 勘次 
代理人 稲葉 良幸 
代理人 中山 惇子 

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