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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Y2930
管理番号 1370944 
審判番号 取消2019-300479 
総通号数 255 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2021-03-26 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2019-06-19 
確定日 2021-01-12 
事件の表示 上記当事者間の登録第2703936号商標の登録取消審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は,請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第2703936号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲1のとおり,「壁の穴」の文字を横書きしてなり,昭和52年2月21日に登録出願,第32類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として,平成7年2月28日に設定登録,その後,同17年8月17日に指定商品を第29類「食肉,卵,食用魚介類(生きているものを除く。),冷凍野菜,冷凍果実,肉製品,加工水産物(「かつお節・寒天・削り節・食用魚粉・とろろ昆布・干しのり・干しひじき・干しわかめ・焼きのり」を除く。),かつお節,寒天,削り節,食用魚粉,とろろ昆布,干しのり,干しひじき,干しわかめ,焼きのり,加工野菜及び加工果実,油揚げ,凍り豆腐,こんにゃく,豆乳,豆腐,納豆,加工卵,カレー・シチュー又はスープのもと,お茶漬けのり,ふりかけ,なめ物」,第30類「コーヒー豆,穀物の加工品,アーモンドペースト,ぎょうざ,サンドイッチ,しゅうまい,すし,たこ焼き,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,べんとう,ホットドッグ,ミートパイ,ラビオリ,イーストパウダー,こうじ,酵母,ベーキングパウダー,即席菓子のもと,酒かす」,第31類「食用魚介類(生きているものに限る。),海藻類,野菜(「茶の葉」を除く。),茶の葉,糖料作物,果実,コプラ,麦芽」及び第32類「飲料用野菜ジュース」とする指定商品の書換登録がされたものである。
そして,本件審判の請求の登録は,令和元年7月3日であり,当該登録前3年以内の期間である平成28年7月3日から令和元年7月2日までの間を,以下「要証期間」という。

第2 請求人の主張
請求人は,商標法第50条第1項により,本件商標の登録を取り消す,審判費用は被請求人の負担とする,との審決を求め,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第5号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は,その指定商品中,第29類「加工野菜及び加工果実,カレー・シチュー又はスープのもと」及び第30類「穀物の加工品,アーモンドペースト,ぎょうざ,サンドイッチ,しゅうまい,すし,たこ焼き,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,べんとう,ホットドッグ,ミートパイ,ラビオリ」について,継続して3年以上日本国内において,商標権者(又は通常使用権者)によって一度も使用された事実が存在しないから,商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。
2 答弁に対する弁駁
(1)被請求人は,まず,自身でテイクアウトの形態で販売するピザ等に関するポスターに本件商標を表示し,その掲示を行っており,ピザ等の購入を動機付けさせる目的を有するものであるから,「商品・・・に関する広告」(商標法第2条第3項第8号)に該当すると主張して,乙第1号証ないし乙第4号証を提出している。
ア 乙第1号証及び乙第3号証は,テイクアウト用ピザ等に関するポスターというが,この種のものは,現今,必要に応じて誰でも容易に作成でき,随時店頭や店内に掲示することができるものである。また,乙第2号証及び乙第4号証は,「食ベログ」に一般ユーザーが平成30年11月及び同年4月に投稿した記事と写真というものであるが,これも同サイトのガイドラインに従う限り誰でも投稿することができるものであり,被請求人又はその関係者が一般ユーザーになりすまして自ら投稿することはもちろん,投稿の代行業者に依頼することもできる性質のものであることは,インターネットにおける「食ベログ口コミ代行」の検索結果(甲3),同「食ベログ口コミなりすまし」(甲4),及び「東洋経済ONLINE食ベログ事件で明るみ,巧妙な“ステマ”の実態」(2012年2月7日掲載 https://toyokeizai.net/articles/-/8527)(甲5)などにおいても明らかとなっている。
イ 被請求人は,本件ポスターをピザ等の購入を動機付けさせる目的を有するものであるから,「商品・・・に関する広告」に該当すると主張するが,本件ポスターが店頭に継続的に掲示された事実は見当たらず,実際に販売されたことも一切立証されていない。すなわち,被請求人が注文を受けてピザを持ち帰り用に販売する真正な意思をもって掲示したものかどうか疑わしいといわざるを得ない。
これらよりすれば,被請求人は不使用を理由とする取消審判の請求を受けた場合に備えて,形式的に本件ポスターを作成して一時的に掲示,撮影したのではないかと強く疑わざるを得ない。
ウ 請求人は,本件請求に先立って,当該店舗において従業員にインタビューし,被請求人が主張するような商品販売の事実は一切ないとの回答を得ている。
(2)被請求人は,テイクアウト商品の検索・予約サイトである「EPARKテイクアウト」において本件商標を表示し,テイクアウトの形態で販売するピザ等の広告を行っており,商標法第2条第3項第8号に該当する本件商標の「使用」をしていると主張し,乙第6号証ないし乙第8号証の2を提出している。
ア 乙第7号証(ウェブページ)は,令和元年8月29日の日付の入ったもので,要証期間内における本件商標の使用を立証するものではない。
また,乙第8号証の1(電子メール)に添付されたとする乙第8号証(乙8の1添付のエクセルファイル)の2には,「1マルゲリータ¥950」「2ゴルゴンソーラ¥1,058」「3ベジタブルジェノバ¥1,058」「4牛肉のラグー¥1,166」と記入されているだけで,「キャッチコピー」「うたい文句」「詳細」の欄はいずれもブランクとなっているが,他方,乙第7号証には「こだわりの本格石窯焼きピザのイタリアンバル 表面は(中略)パリッと香ばしい。」といった宣伝文が記載されており,互いに一致していないから関連しないものとみられる。
イ 被請求人はこのようなサイトに掲載したことによって実際に取引があったことを何ら証明していない。
ウ 乙第7号証には,左上に「元祖壁の穴新宿西口店」「東京都新宿区日新宿1-15-3オムニクスビルIF」(審決注:西新宿の誤記と認められる。)「JR新宿駅西口より徒歩3分」等の記載があるが,これらは店舗の名称,所在地にすぎず,本件商標の使用とはいえない。
すなわち,乙第6号証ないし乙第8号証の2においても,本件商標の使用が商品「ピザ」について,要証期間内に真正になされたことは立証されていないというべきである。
(3)以上より,被請求人の主張立証には真正性に強い疑いがあるといわざるを得ない。

第3 被請求人の答弁
被請求人は,結論同旨の審決を求めると答弁(回答)し,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として乙第1号証ないし乙第16号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 「元祖壁の穴 新宿京王モール店」及び「元祖壁の穴 新宿西口店」について
「元祖壁の穴 新宿京王モール店」及び「元祖壁の穴 新宿西口店」は,被請求人の経営に係るレストランであり,両店舗の営業許可書はその証拠である(乙9,乙10の1?乙10の4)。
2 テイクアウトの形態で販売するピザ等に関するポスターについて
(1)「元祖壁の穴 新宿京王モール店」のポスター(以下「本件ポスター1」という。)
本件商標権者は,平成29年12月27日,本件ポスター1(乙1)を作成し,その作成直後から令和元年10月頃まで,自らの運営に係るレストランである「元祖壁の穴 新宿京王モール店」の外壁及び店内に掲示した。
インターネット上に存在する多数の投稿(乙2,乙12の1?乙12の14)によれば,本件ポスター1が要証期間内に「元祖壁の穴 新宿京王モール店」の外壁(乙2,乙12の1?乙12の9)及び店内(乙12の10?乙12の14)において継続的に掲示されていたことは明らかである。
なお,乙第12号証の6の2(乙12の6の1の写真を拡大表示したもの)をみると,「壁の穴」という標章が本件ポスター1に付されていることが明確に看取できる。
(2)「元祖壁の穴 新宿西口店」のポスター(以下「本件ポスター2」という。)
本件商標権者は,平成29年12月27日,本件ポスター2(乙3)を作成し,その作成直後から令和元年11月頃まで,自らの運営に係るレストランである「元祖壁の穴 新宿西口店」の店頭看板及び店内に掲示した。
インターネット上に存在する多数の投稿(乙4,乙13の1?乙13の5の2)によれば,本件ポスター2が要証期間内に「元祖壁の穴 新宿西口店」の店頭看板(乙4,乙13の1?乙13の5の2)及び店内(乙13の5の1,乙13の5の2)において継続的に掲示されていたことは明らかである。
なお,乙第13号証の5の2(乙13の5の1のブログ記事の写真を拡大表示したもの)をみると,「壁の穴」という標章が本件ポスター2に付されていることが明確に看取できる。
加えて,乙第13号証の5の1はブログ記事であるところ,同記事には,「西新宿にある本格石窯焼きピザのイタリアンバル『元祖 壁の穴』でピザをテイクアウトしました。」として,当該記事の投稿者が上記店舗においてテイクアウトのピザを実際に購入したことが記載されている。
(3)本件ポスター1及び本件ポスター2の作成者及び作成日
本件ポスター1及び本件ポスター2は,いずれも,本件商標権者の従業員であるO氏が,平成29年12月27日に作成したものである。
なお,当初作成された本件ポスターはAlサイズであったところ,本件ポスター1(「元祖壁の穴 新宿京王モール店」向けのポスター)については,平成30年3月9日に,A5サイズ及びB2サイズのものがO氏によって作成されている(乙11)。
(4)「商品・・・に関する広告」(商標法第2条第3項第8号)該当性
本件ポスターには,被請求人が販売する商品であるピザの写真,商品名及び価格と共に,「PIZZA Take Out」「お持ち帰りできます」(本件ポスター1),「ピザ・ソフトドリンクのお持ち帰りできます」(本件ポスター2)などと記載されている。このように,本件ポスターは,被請求人がテイクアウトの形態で販売する商品であるピザ等の購入を動機付けさせる目的を有するものであるから,「商品・・・に関する広告」(商標法第2条第3項第8号)に該当する。
(5)登録商標との同一性
本件ポスターの左上には「壁の穴」という商標が記載されており,当該商標は本件商標と社会通念上同一である。なお,本件ポスターにおいて,「壁の穴」という文字の上方には「元祖」という文字が記載されているが,両者の間には間隔が空けられている上,「元祖」という文字は「壁の穴」という文字よりもはるかに小さく印字されている。したがって,上記商標(「壁の穴」という文字)と「元祖」という文字とは分離して観察することが可能であるから,上記商標が「元祖」という文字と一体不可分の組合せとして使用されたということはできない。
仮に,本件ポスターにおいて使用している商標は「壁の穴」という文字と「元祖」という文字の組合せであると解釈されたとしても,当該商標と本件商標とは社会通念上同一である。すなわち,「元祖」という文字は「壁の穴」という文字よりもはるかに小さく,かつ,両者の間には空間が空けられており,「壁の穴」という文字と「元祖」という文字とは分離して観察することができる。また,「元祖」とは「ある物事を初めてしだした人。創始者。」(乙5)などの意味を有する一般的な用語であるのに対し,「壁の穴」という言葉は完全な造語であり,後者の方が前者よりもはるかに自他識別力が強い。
したがって,仮に本件ポスターにおいて使用している商標は「壁の穴」という文字と「元祖」という文字の組合せであると解釈されたとしても,「壁の穴」の文字部分が自他商品識別のための要部であり,当該商標は本件商標と社会通念上同一である。
3 「元祖壁の穴 新宿西口店」のテイクアウト商品の情報を掲載したウェブページについて
(1)ウェブページには,ピザの写真,商品名及び価格等が掲載されており,一般消費者は,当該ウェブページを通じて,各商品のテイクアウトを注文することができる。なお,被請求人は,平成30年5月25日,株式会社EPARKテイクアウトの担当者に対して電子メールを送信し,「元祖壁の穴 新宿西口店」のピザメニューの掲載を依頼しており(乙8の1及び2),ピザに関する上記記載がウェブページの公開日(平成30年7月27日)の時点で既に掲載されていたことが分かる。
(2)「商品・・・に関する広告・・・を内容とする情報」(商標法第2条第3項第8号)該当性
ウェブページは,被請求人がテイクアウトの形態で販売する商品であるピザ等の購入を動機付けさせる目的を有するものであるから,「商品・・・に関する広告・・・を内容とする情報」(商標法第2条第3項第8号)に該当する。
(3)登録商標との同一性
ウェブページの上部には「壁の穴」という商標が記載されており,当該商標は本件商標と社会通念上同一である。なお,「壁の穴」という文字の左右には「元祖」及び「新宿西口店」の各文字が記載されているが,「壁の穴」という文字と「元祖」及び「新宿西口店」の各文字の間にはスペースがあり,上記商標(「壁の穴」という文字)と「元祖」及び「新宿西口店」の各文字とは分離して観察することが可能であるから,上記商標が「元祖」及び「新宿西口店」の各文字と一体不可分の組合せとして使用されたということはできない。
仮に,ウェブページにおいて使用している商標は「壁の穴」という文字と「元祖」及び「新宿西口店」の各文字の組合せであると解釈されたとしても,当該商標と本件商標とは社会通念上同一である。すなわち,「壁の穴」という文字と「元祖」及び「新宿西口店」の各文字の間にはスペースがあり,「壁の穴」という文字と「元祖」及び「新宿西口店」の各文字とは分離して観察することができる。また,「元祖」とは「ある物事を初めてしだした人。創始者。」(乙5:広辞苑第七版)などの意味を有する一般的な用語であり,「新宿西口店」とは単に店舗の所在地を表しているのに対し,「壁の穴」という言葉は完全な造語であり,後者の方が前者よりもはるかに自他識別力が強い。したがって,仮にウェブページにおいて使用している商標は「壁の穴」という文字と「元祖」及び「新宿西口店」の各文字の組合せであると解釈されたとしても,「壁の穴」の文字部分が自他商品識別のための要部であり,当該商標は本件商標と社会通念上同一である。
4 結論
本件商標権者は,要証期間内に,日本国内において,少なくとも本件審判の請求に係る指定商品第30類に含まれる「ピザ」について,本件商標を使用(商標法第2条第3項第8号)しているから,本件審判の請求は成り立たない。

第4 当審の判断
1 被請求人が提出した証拠及び同人の主張によれば,以下の事実が認められる。
(1)本件商標権者は,飲食店「元祖壁の穴 新宿京王モール店」及び「元祖壁の穴 新宿西口店」を運営している(乙9,乙10の1?乙10の4)。
(2)本件ポスター1(乙1)には,別掲2のとおり,中央のピザの写真の左上部に「壁の穴」の文字とその上方に小さく「元祖」の文字(以下「本件使用商標1」という。),「PIZZA Take Out」,中央のピザの写真の下部に「お持ち帰りできます。」,「テイクアウトをご希望の方は店舗スタッフまでお声がけください。」の記載とともに,「マルゲリータ ¥580円」,「ゴルゴンゾーラはちみつ添え ¥680」の記載とそれぞれのピザの写真が掲載されている。
(3)本件ポスター2(乙3)には,別掲3のとおり,中央のピザの写真の左上部に,黒丸の中央に「壁の穴」の文字とその上方に小さく「元祖」の文字(以下「本件使用商標2」という。),「PIZZA Take Out」,中央のピザの写真の下部に「ピザ・ドリンクのお持ち帰りできます。」,「テイクアウトをご希望の方は店舗スタッフまでお声がけください。」の記載とともに,「マルゲリータ ¥880円」,「ゴルゴンゾーラはちみつ添え ¥980」の記載とそれぞれのピザの写真が掲載されている。
(4)本件商標権者の従業員O氏は,平成29年12月27日,「元祖壁の穴 新宿京王モール店」で掲示するためのテイクアウト用ピザのポスター(本件ポスター1)及び「元祖壁の穴 新宿西口店」で掲示するためのテイクアウト用ピザのポスター(本件ポスター2)を作成した(乙11)。
(5)平成30年6月,「トリップアドバイザー」に投稿された「元祖壁の穴 新宿京王モール店」の外観写真(乙12の4)及び同年8月,「食べログ」に投稿された同店の外壁の写真(乙12の6の1)には,本件ポスター1が掲示されている。
(6)平成30年8月8日,「REMERCIER」に投稿された「元祖壁の穴 新宿西口」の外観写真(乙13の5の1)には,本件ポスター2が掲示されている。
2 上記1の認定事実によれば,以下のとおり判断できる。
(1)使用者について
上記1(1)のとおり,本件商標権者は,飲食店「元祖壁の穴 新宿京王モール店」及び「元祖壁の穴 新宿西口店」を運営し,上記1(4)のとおり,本件商標権者の従業員Oは上記各店で掲示する本件使用商標1が掲載された本件ポスター1及び本件使用商標2が掲載された本件ポスター2を作成したものであるから,当該ポスター1及びポスター2は,本件商標権者の作成に係るものと認められる。
したがって,本件商標の使用者は,本件商標権者である。
(2)使用時期について
上記1(5)及び(6)のとおり,2018年(平成30年)6月及び同年8月8日に,本件使用商標1が掲載された本件ポスター1及び本件使用商標2が掲載された本件ポスター2が本件商標権者が運営する「元祖壁の穴 新宿京王モール店」及び「元祖壁の穴 新宿西口店」の店舗に掲示されていた。
そして,当該ポスターを展示した平成30年6月及び同年8月8日は,要証期間内である。
(3)使用商品について
本件商標権者は,商品「ピザ」のテイクアウトを内容とするポスターに本件使用商標1及び本件使用商標2を付したものを自身が運営する店舗に展示したものであるところ,当該商品は,本件の審判の請求に係る商品に含まれるものである。
(4)本件商標と本件使用商標1及び本件使用商標2の社会通念上の同一性について
本件商標は,別掲1のとおり,「壁の穴」の文字を横書きしてなるものである。
他方,本件使用商標1は,別掲2のとおり,「壁の穴」の文字とその上方に小さく「元祖」の文字からなり,本件使用商標2は,別掲3のとおり,黒丸の中央に「壁の穴」の文字とその上方に小さく「元祖」の文字からなるところ,「元祖」の文字は,「ある物事を初めてしだした人。創始者。」の意味を有し,識別力が決して高いとはいえないうえに,「壁の穴」の文字に比べて小さく表示されていることから,本件使用商標1及び本件使用商標2は,「壁の穴」の文字部分を独立した要部として認識され得るものである。
本件商標は,「壁の穴」の文字よりなるところ,本件商標と本件使用商標1及び本件使用商標2の構成中の要部である「壁の穴」の文字部分とは,書体は異なるものの構成文字を同一にするものであるから,本件使用商標1及び本件使用商標2は,本件商標と社会通念上同一の商標と認められる。
(5)小括
以上によれば,本件商標権者は,要証期間内である平成30年6月及び同年8月8日に,本件審判の請求に係る指定商品中の「ピザ」に関する広告に本件商標と社会通念上同一と認められる商標を付して展示したものと認められる。
そして,本件商標権者による上記行為は,商標法第2条第3項第8号にいう「商品に関する広告に標章を付して展示する行為」に該当する。
3 まとめ
以上のとおり,被請求人は,本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において,本件商標権者が,本件審判の請求に係る指定商品中の第30類「ピザ」について,本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)の使用をしていたことを証明したというべきである。
したがって,本件商標の登録は,商標法第50条の規定により取り消すべきではない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲
別掲1 本件商標


別掲2 本件使用商標1(色彩は乙1参照。)


別掲3 本件使用商標2(色彩は乙3参照。)


審理終結日 2020-11-17 
結審通知日 2020-11-20 
審決日 2020-12-01 
出願番号 商願昭52-10850 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (Y2930)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 佐藤 松江
特許庁審判官 平澤 芳行
岩崎 安子
登録日 1995-02-28 
登録番号 商標登録第2703936号(T2703936) 
商標の称呼 カベノアナ 
代理人 木村 久也 
代理人 中田 和博 
代理人 中島 慧 
代理人 青木 博通 

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