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審決分類 |
審判 一部申立て 登録を維持 W38 審判 一部申立て 登録を維持 W38 審判 一部申立て 登録を維持 W38 |
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管理番号 | 1370274 |
異議申立番号 | 異議2020-900118 |
総通号数 | 254 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2021-02-26 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2020-04-27 |
確定日 | 2021-01-06 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第6222700号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第6222700号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第6222700号商標(以下「本件商標」という。)は、「TBS SPARKLE」の欧文字を横書きしてなり、平成30年11月8日に登録出願、「電気通信(放送を除く。),電気通信(放送を除く。)に関する情報の提供又はコンサルティング,グローバルコンピュータネットワークによる映像及び写真の電子配信,デジタル通信ネットワークによる広告番組及び広告媒体の通信,テレショッピングのための電気通信回線(放送を含む。)の提供,テレショッピングのための電気通信回線(放送を含む。)の提供に関する情報の提供又はコンサルティング」を含む第38類、第9類、第35類、第41類及び第42類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務を指定商品及び指定役務として、令和2年1月14日に登録査定され、同年2月5日に設定登録されたものである。 2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が本件登録異議の申立てにおいて引用する国際登録第1234216号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、2014年7月15日にItalyにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、2014年(平成26年)10月8日に国際商標登録出願、第38類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載の役務を指定役務として、平成28年1月22日に設定登録されたものであり、その商標権は現に有効に存続しているものである。 3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標はその指定商品及び指定役務中、第38類「電気通信(放送を除く。),電気通信(放送を除く。)に関する情報の提供又はコンサルティング,グローバルコンピュータネットワークによる映像及び写真の電子配信,デジタル通信ネットワークによる広告番組及び広告媒体の通信,テレショッピングのための電気通信回線(放送を含む。)の提供,テレショッピングのための電気通信回線(放送を含む。)の提供に関する情報の提供又はコンサルティング」(以下「申立役務」という。)について、商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第5号証を提出した。 (1)本件商標について 本件商標は、欧文字「TBS SPARKLE」を平易な書体で横書きした商標である。 (2)引用商標について 引用商標は、欧文字「SPARKLE」を平易な書体で横書きし、その左側に図形を配してなる商標である。 (3)指定役務の類否について 本件商標に係る申立役務は、引用商標に係る第38類の指定役務と同一又は類似である。 (4)本件商標と引用商標の類否について ア 本件商標は、平易な書体による横書きの欧文字「TBS SPARKLE」よりなり、「TBS」と「SPARKLE」の間にスペースがあり、自然に2語からなるものと理解される。 本件商標と引用商標が抵触している範囲である役務「電気通信(放送を除く。)」関連の分野において、「TBS」と「SPARKLE」の間に大きな識別力の軽重はないと考えられる。例えば、「放送」の役務分野との関係では、前半の「TBS」からは、商標権者の名称に係る「東京放送」の英語の頭文字や、そのグループ企業が提供する「TBSテレビ」や「TBSラジオ」が想起され得る。しかし、「電気通信(放送を除く。)」とそれに関連する役務分野については、「東京放送」などが必ず想起されるとはいえず、「TBS」は欧文字の3つの大文字として顕著性を有するものの、周知商標のように識別力が強いわけではない。後半の「SPARKLE」は、「火花、閃光」等を意味する英単語であり(甲2)、上記の役務分野について顕著性を有する。なお、後述するように、「SPARKLE」から申立人の関連企業が提供する役務を認識する需要者も一定程度いると考えられる。 イ A+Bの構成よりなる結合商標については、その商標の構成部分の一部だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することも許される場合として、「各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然と思われるほど不可分的に結合していると認められない場合」が挙げられる。 ここで本件商標を見ると、「電気通信(放送を除く。)」関連の役務について「TBS」と「SPARKLE」は同程度の強さの識別力であり、両語に観念上の結びつきが特にある訳でもなく、外観上スペースで分離されているため、「各構成部分を分離して観察することが取引上不自然と思われるほど不可分的に結合している」場合には当たらない。 そこで、本件商標よりは、商標全体のほか、「TBS」と「SPARKLE」の両部分についても出所識別標識としての称呼や観念が生じ得ると見ることができ、引用商標と比較することが許される。 ウ 本件商標中「SPARKLE」と引用商標を比較すると、「SPARKLE」の構成文字について共通し、同文字部分より「スパークル」の称呼が自然に生じ、「火花、閃光」等の観念が生じる。 したがって、本件商標と引用商標は、外観において類似し、称呼・観念において同一又は類似であるため、全体として類似する商標である。 (5)申立人とその関連会社が提供する役務及び商標使用について 申立人は、イタリア国ミラノに本拠を有する大手電気通信事業者であり(甲3)、1964年設立の国営の通信事業会社をルーツとし、1994年に複数の国営企業を合併し民営化することで設立された企業である。現在は、イタリアとブラジルにおける大手携帯電話事業者であり、固定電話についてはイタリア最大の通信事業者となっている。また、イタリアを始めとしてドイツ、フランス等において広くインターネットプロバイダー事業も行っている。 その傘下(全額出資の関連会社)にテレコム・イタリア・スパークル・エス・ピー・エー(Telecom Italia Sparkle S.p.A.:以下「テレコム・イタリア・スパークル」という。)があり、幅広い情報通信技術ソリューション(ICT solution)を、インターネットサービスプロバイダーやアプリケーションサービスプロバイダーなどに提供している(甲4)。そして、同社は、その役務について引用商標及び商標「SPARKLE」(以下、両商標をまとめて「引用商標等」という。)を使用している。 日本企業との関係では、大手通信事業者であるエヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社、KDDI株式会社、ソフトバンク株式会社などと取引があり、電話回線や通信回線に係るサービスの提供を行っている。引用商標等の使用が見られる資料として、上記企業との間での取引書類を提出する(甲5)。 これらの企業とは恒常的に取引があり、テレコム・イタリア・スパークルはその役務について引用商標等を使用しているため、取引先企業において引用商標等は、同社の電気通信関連の役務を示すものとして一定程度の認識を得ている。 よって、本件商標が「電気通信(放送を除く。)」などの役務に使用された場合、同商標は引用商標等と相紛らわしく、テレコム・イタリア・スパークルや申立人との関係で出所混同が生ずるおそれがある。 (6)まとめ 本件商標は他人の先願先登録である引用商標と類似する商標であり、本件商標の指定役務は引用商標の指定役務と同一又は類似する役務である。 よって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。 4 当審の判断 (1)引用商標等の周知性について ア 申立人提出の甲各号証及び同人の主張によれば、申立人は、イタリア国ミラノに本拠を有する電気通信事業者であり、イタリアとブラジルにおいて携帯電話事業を行っていること(甲3:以下、申立人及びテレコム・イタリア・スパークルをあわせて「申立人ら」という。)、申立人グループが全額出資するテレコム・イタリア・スパークルは、情報通信技術ソリューションをインターネットサービスプロバイダーなどに提供している国際サービスプロバイダーであること(甲4)、テレコム・イタリア・スパークルはその名称やレターヘッドに引用商標等を使用していること(甲4、甲5)、及びテレコム・イタリア・スパークルは、遅くとも2016年(平成28年)頃から我が国の通信事業者と取引していること(甲5)がうかがえる。 しかしながら、我が国において申立人らの業務に係る役務について引用商標等が使用された具体的事実や、申立人らが我が国において提供する役務の年間取引額など、我が国における引用商標等の使用実績ないし引用商標等が使用された役務の取引規模が確認できる事実は見いだせない。 イ 上記アからすれば、申立人らは、電気通信事業等について引用商標等を使用しているといい得るとしても、我が国における引用商標等が使用された事実及び当該商標を使用した役務の取引規模が確認できないから、その周知性を推し量ることができず、引用商標等は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、いずれも申立人らの業務に係る役務を表示するものとして我が国の需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。 なお、申立人は取引金額が記載された取引書類を提出しているが(甲5)、それらによっては、「KDDI EUROPE」、「NTT COMMUNICATIONS COOPERATION」、「JAPAN TELECOM IDC INC」等の名称の企業と数回の取引があったといい得るとしても、いずれの証拠においても引用商標等の周知性を基礎付けるほど大規模に引用商標等が申立人らの業務に係る役務に使用されていたことを認めることはできない。 (2)商標法第4条第1項第11号該当性について ア 本件商標 本件商標は、上記1のとおり、「TBS SPARKLE」の欧文字からなるところ、その構成文字は、「TBS」と「SPARKLE」の間にスペースがあるとしても、横一連の欧文字表記として同書同大で一体的に表されており、いずれかの文字部分が取引者、需要者に対し、役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるというべき事情も見いだせず、全体の欧文字から生じる「ティービーエススパークル」の称呼も無理なく一連に称呼し得るものであるから、本件商標はその構成を一体のものとして認識されるものと判断するのが相当である。また、本件商標を構成する欧文字は、一連の語として辞書等に採録されているものではなく、全体として特定の意味合いをもって親しまれた欧文字というべき事情は見いだせない。 してみれば、本件商標は、全体の構成文字に相応して「ティービーエススパークル」の称呼を生じ、全体として特定の意味を認識させない一種の造語であるから、特定の観念を生じないものである。 イ 引用商標 引用商標は、別掲のとおり、図形と欧文字を組み合わせた構成からなるところ、その構成中「SPARKLE」の欧文字部分に相応して「スパークル」の称呼を生じ、また、当該文字は「火花、閃光」等の意味を有する英語であることから(甲2)、「火花、閃光」等の観念を生じるものである。そして、その構成中,図形部分は、我が国において特定の称呼や意味を認識させるものとして親しまれているものとはいえないから、特定の称呼及び観念は生じないものである。 ウ 本件商標と引用商標の類否 本件商標と引用商標は、それぞれ上記ア及びイのとおりの構成からなるところ、全体の外観においては、図形部分の有無等の差異において明確に区別できるものであり、また、本件商標と引用商標の構成中「SPARKLE」の欧文字部分を比較しても、本件商標の構成文字「TBS SPARKLE」と引用商標の構成文字「SPARKLE」とは、語頭部において「TBS」の文字の有無という差異を有し、この差異が両者の外観の視覚的印象に与える影響は大きく、相紛れるおそれのないものとみるのが相当である。 次に、称呼においては、本件商標から生じる「ティービーエススパークル」と引用商標から生じる「スパークル」の称呼は、語頭部において「ティービーエス」の音の有無という差異を有し、この差異が両称呼全体の語調語感に及ぼす影響は大きく、両者をそれぞれ一連に称呼した場合には、明瞭に聴別できるものである。 さらに、本件商標が特定の観念を生じないのに対し、引用商標は「火花、閃光」等の観念を生ずるものであるから、両者は観念において相紛れるおそれはない。 そうすると、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似のものというべきである。 エ 小括 したがって、本件商標と引用商標は、非類似の商標であるから、両商標の指定役務が類似するとしても、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当しない。 (3)申立人の主張について 申立人は、本件商標は「TBS」と「SPARKLE」の2語からなるものと理解されること、両語は同程度の強さの識別力であること、両語に観念上の結びつきはないこと、及び両語は外観上スペースで分離されていることから、本件商標は、「各構成部分を分離して観察することが取引上不自然と思われるほど不可分的に結合している」場合には該当せず、「SPARKLE」の部分について引用商標と比較することが許されるものであって、「スパークル」の称呼、「火花、閃光」等の観念が生じるものであるとして、本件商標と引用商標は、外観において類似し、称呼、観念を共通にする類似の商標である旨主張している。 しかしながら、本件商標は、「TBS」と「SPARKLE」の間にスペースがあり、両語に観念上の結びつきはないものの、欧文字表記においては単語ごとにスペースが用いられること、本件商標の構成文字「TBS SPARKLE」は同書同大で一体的に表されていること、当該文字から生じる「ティービーエススパークル」の称呼も無理なく一連に称呼し得ること、及び「TBS」と「SPARKLE」の両語は同程度の強さの識別力であることを併せ考慮すれば、本件商標はその構成を一体のものとして認識されるものと判断するのが相当である。 さらに、上記(1)のとおり、引用商標等は申立人らの業務に係る役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認められないものであるし、他に、本件商標は、その構成中「SPARKLE」の文字部分が取引者、需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるもの、又は、それ以外の部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じないと認めるに足りる事情も見いだせない。 してみれば、本件商標は、その構成中「SPARKLE」の文字部分を分離抽出し、他の商標と比較して商標そのものの類否を判断することが許されないものであって、その構成文字全体が一体不可分のものといわなければならない。 したがって、申立人のかかる主張は採用できない。 (4)むすび 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものではなく、その登録は、同条第1項の規定に違反するとはいえないものであって、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲(引用商標:色彩は原本参照。) |
異議決定日 | 2020-12-23 |
出願番号 | 商願2018-138964(T2018-138964) |
審決分類 |
T
1
652・
263-
Y
(W38)
T 1 652・ 261- Y (W38) T 1 652・ 262- Y (W38) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 大島 勉 |
特許庁審判長 |
山田 正樹 |
特許庁審判官 |
鈴木 雅也 冨澤 美加 |
登録日 | 2020-02-05 |
登録番号 | 商標登録第6222700号(T6222700) |
権利者 | 株式会社TBSホールディングス |
商標の称呼 | テイビイエススパークル、ティービーエススパークル、テイビイエス、ティービーエス、スパークル |
代理人 | 小暮 理恵子 |
代理人 | 阿部 達彦 |