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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W3541
審判 全部申立て  登録を維持 W3541
審判 全部申立て  登録を維持 W3541
審判 全部申立て  登録を維持 W3541
管理番号 1370272 
異議申立番号 異議2019-900352 
総通号数 254 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2021-02-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2019-12-04 
確定日 2021-01-07 
異議申立件数
事件の表示 登録第6179363号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6179363号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6179363商標(以下「本件商標」という。)は、「リシュ活」の文字を標準文字で表してなり、平成30年10月27日に登録出願、第35類「学生の履修科目・成績その他の履修履歴と就職状況の関連性に関するマーケティング・市場調査及び市場分析,マーケティング・市場調査及び市場分析,求人情報の提供,求人企業その他の企業に関する情報の提供,事業又は商業に関する情報の提供,就職及び転職の相談,キャリアプランに関する指導及び助言(就職及び社員育成のためのもの),就職のあっせん,職業の紹介及びあっせん,職業適性検査,就職に関する一般事務の代行,求人企業に対する学生の履修科目・成績その他の履修履歴に関する求職者情報の提供,求職者情報の提供,求職情報の提供,人材の紹介及びあっせん,求人活動・採用活動及び人事に関するコンサルティング,ビジネスコンサルティング,求人活動及び採用活動の企画及び実施,求人活動及び採用活動に関する一般事務の代行,一般事務処理,ニュースクリッピングサービス,データベース又はデータバンクへの情報編集及び情報構築,データベース又はデータバンクの管理及び検索代行,広告,広告スペース(インターネット経由のものを含む。)の提供及び貸与,広報活動の企画及び代行,電子出版物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,出版物その他の印刷物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,文房具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」及び第41類「就職説明会の企画・運営又は開催,就職に関するセミナー及び講演会の企画・運営又は開催,求人・雇用及び人事に関するセミナー及び講演会の企画・運営又は開催,セミナー・シンポジウム・会議・会合・講演会・講習会・研修会・討論会の企画・運営又は開催,学生・企業間の交流会の企画・運営又は開催,パーティーの企画・運営又は開催,表彰式の企画・運営又は開催,コンテストの企画・運営又は開催,教育・娯楽及び文化に関するイベントの企画・運営又は開催,興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。),職業の選択に関する教育及び知識の教授,職業に関する教育及び知識の教授,求職者に対する教育及び訓練,職業に関する助言及び指導(訓練及び教育に関する助言),企業の求人・雇用・人事担当者の養成教育,教育,訓練,知識又は技能の教授,職業の適性に関する試験の企画・運営又は開催,試験の企画・運営又は開催,知識又は技能の検定又は認定,資格の認定又は付与,教育研修のための施設の提供,出版物その他の印刷物(広告物を除く。)の企画・制作又は編集,電子出版物の企画・編集又は制作,ビデオの制作,オンラインによる教育ビデオの提供(ダウンロードできないものに限る。),オンラインによる映像の提供(ダウンロードできないものに限る。),ビデオオンデマンドによるダウンロード不可能なテレビジョン番組の配給,オンラインによる電子出版物の提供(ダウンロードできないものに限る。),オンラインによる画像・映画・動画・映像・音楽・文字情報の提供,会員制による教育・娯楽の提供,娯楽の提供,娯楽情報の提供」を指定役務として、令和元年8月7日に登録査定、同年9月13日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立人が引用する商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件異議申立ての理由において引用する登録商標は、以下の2件(以下、これらをまとめていうときは「引用商標」という。)であり、いずれも現に有効に存続しているものである。
(1)登録第4898960号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成:Re就活(標準文字)
登録出願日:平成16年9月10日
設定登録日:平成17年10月7日
更新登録日:平成27年8月11日
指定役務:第35類「広告,経営の診断又は経営に関する助言,市場調査,企業の人事・労務管理及び求人活動に関する指導及び助言,職業のあっせん,求人情報の提供」及び第41類「求人に関する講習会の企画・運営又は開催,就職セミナーの企画・運営又は開催,その他のセミナー・講演会・研修会の企画・運営又は開催,スクール情報の提供,電子計算機端末による図書・著作物及び記録の供覧,その他の図書及び記録の供覧,受託による書籍・雑誌の制作」
(2)登録第6117479号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成:別掲のとおり
登録出願日:平成30年4月12日
設定登録日:平成31年1月25日
指定役務:第35類「広告業,コンピュータファイルのデータ検索事務の代理又は代行,コンピュータデータベースへの情報編集,求人情報の提供,求職情報の提供,転職希望者に対する求人情報の提供,電気通信回線を通じて行う求人情報及び求職情報の提供,求人情報・求職情報の提供に関するコンサルティング,求人情報の提供の代行・媒介又は取次ぎ,求人情報・求職情報の提供に関する情報の提供,市場調査,求人・採用等の人事に関する事務の代行,人事・労務管理及び求人・採用活動に関する指導及び助言」及び第41類「求人・就職・社員教育に関する講習会の企画・運営又は開催,求人・就職・社員教育に関する講習会の企画・運営及び開催に関する助言・コンサルティング,求人・就職セミナーの企画・運営又は開催,その他のセミナー・講演会・研修会の企画・運営又は開催,スクール情報の提供(電気通信回線を通じて行う情報の提供を含む。),求人活動及び就職活動に関する知識の教授並びにこれらに関する情報の提供(電気通信回線を通じて行う情報の提供を含む。),インターネットを利用した映像及び音楽の提供,電子出版物の提供,図書・著作物及び記録の供覧,書籍・雑誌の制作,教育・文化・娯楽用の音声・音楽・画像・映像・文字情報その他の情報を記憶させた記録媒体の制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),教育研修のための施設の提供,教育研修用テキスト及び教育研修に関する情報を記憶させた記録媒体並びに指導マニュアルの制作」

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号及び同第15号に該当するから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第266号証を提出した。
(1)引用商標の周知性
申立人は、平成16年以来、「Re就活」と題するホームページ(甲4)において、比較的若年の求職者、特に20代の既卒求職者に対し、インターネットによる求人情報の提供を行っているところ、これによる事業(以下「『Re就活』事業」という。)の売上高は、2016年10月期が約7億9,400万円、2017年10月期が9億4,600万円、2018年10月期が13億8,400万円と、近年増加の一途をたどっている(甲5?甲24)。
「Re就活」事業については、新聞・雑誌媒体等においても取り上げられ(甲25?甲34)、令和元年11月12日にインターネット検索サイトで「Re就活」を検索した時には、1,000万件がヒットするほどである(甲35)。
また、申立人は、「Re就活」事業の宣伝のため、多額の広告宣伝費を投入して、2018年5月から約1年間、著名な俳優を起用し、主要駅構内及び周辺における掲示広告、新聞広告やテレビによる広告放送を実施した(甲36?甲259)。
広告放送に係る動画(甲260、甲261)は、インターネットの動画サイトで閲覧できるが、再生回数は1,000万回を超えた(甲262)。
このように、引用商標及び「Re就活」事業は、周知となっている。
(2)商標法第4条第1項第11号について
ア 本件商標と引用商標との対比
本件商標は、「リシュ活」の文字を書してなるものであるから、これより「リシュカツ」の称呼を生ずるが、実際に称呼してみると「リシュ」と「活」の間で詰まってしまい称呼しにくいので、称呼しやすくするため「リシュー」と伸ばすことも自然である。したがって、本件商標からは「リシューカツ」の称呼も生ずる。
他方、引用商標は、「Re就活」の文字からなるものであるところ、「Re」が「リ」という読み方で知られる英語の接頭語であること(甲263)、「就活」は就職活動の略として「シューカツ」という読み方で知られる日本語である(甲264)ことから、全体として「リシューカツ」の称呼を生ずる。申立人の取引先である株式会社ONEは、需要者に役務名を正確に伝達するため、「Re就活(リシュウカツ)」の表記を用いている(甲265)。
してみれば、本件商標の称呼のうち「リシューカツ」は引用商標の称呼と同一であり、本件商標の称呼のうち「リシュカツ」と引用商標の「リシューカツ」の称呼は、相違する1音が長音の有無の差にすぎないので、称呼において同一又は類似の商標である。
本件商標と引用商標の外観は、「活」の文字が共通するばかりか、本件商標の「リシュ」の部分は引用商標の「Re就」の部分を片仮名で表した程度の差異にすぎないものであり、本件商標と引用商標の外観の差異は、軽微で、類似しているといえる。
引用商標の観念については、「Re」は英語で「再び」という意味の接頭語であり、「就活」は「就職活動」の略であることから、「再度の就職活動」との観念が生じる。
一般に、「就活」は、大学等の学校を卒業する学生が、卒業直後の4月に企業等に就職をするために行う就職活動を指すところ、引用商標には「就活」という文字が含まれていながら、「学生の一斉採用に対応した就職活動」という意味ではなく、「(一般的な就活を終えた後の)再度の就職活動」という意味で広く知られている。本件商標と引用商標の共通の指定役務である「就職のあっせん」の対象者は、「就活」であれば学生であるところ、引用商標は「就活」という文字が含まれていても、学生のみならず、既に就職を経験している人たちまでを含んでいる。
したがって、「Re就活」という言葉には、造語として、従来とは異なる意味(観念)が付与されており、その観念が広く知られている。
他方、本件商標においては、「リシュ」には特段の意味がなく、「リシュ活」全体も造語であって意味がないことから(甲266)、引用商標が周知で、本件商標と引用商標の称呼が類似し、後述のとおり、指定役務についても類似しているため、引用商標の取引者・需要者が本件商標に接したり、聴取したりすると、本件商標から「再度の就職活動」という意味を感じ取ることになる。
したがって、本件商標と引用商標の観念は類似している。
学生は、「リシュ活」及び「Re就活」事業を、称呼や、これら商標からイメージされる片仮名の文字列から認識する場合も多く、会話の場合、「Re就活って知っている?」と述べたところ、「リシュ活って知っている?」と誤って聴き取ることや、メール送信者が「Re就活って知っている?」の趣旨で「リシュ活って知っている?」と送信し、受信者が「リシュ活」について問われたと誤解することもあり得る。求人企業においても、「Re就活に発注せよ」という意図のもとでされた上司の指示を、部下が「リシュ活に発注せよ」と聴き誤る、あるいは読み誤る危険もあり得る。こうした事情や引用商標が広義の混同を生ずるおそれがあることも考慮すれば、本件商標と引用商標の称呼の類似性を特に重視しなくてはならない。
また、本件商標の指定役務は引用商標の指定役務と同一の類似群コードが付されている役務を含んでいるので、両商標の指定役務は同一又は類似の役務であることは明らかである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)商標法第4条1項15号について
上記(1)のとおり、「Re就活」事業の売上高は近年増加しているほか、俳優を起用した広告により、引用商標及び「Re就活」事業は、周知となっている。
また、引用商標は、英字の「Re」と漢字の「就活」を合わせた表示であり、「就活」の有する一般的な意味を超えた観念を有しているので、独創性が極めて高い。
そして、本件商標と引用商標は、上記のとおり、同一又は類似である。
したがって、本件商標の指定役務のうち、引用商標の指定役務とは非類似とされる指定役務があると仮定しても、当該分野の需要者は、上記のとおり、「Re就活」と類似する本件商標が使用された場合には、申立人の業務に係る役務と出所の混同を生ずるおそれがあるから、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

4 当審の判断
(1)引用商標の周知性について
申立人の主張及び提出した証拠によれば、以下のとおりである。
ア 申立人は、平成16年に、20代の既卒求職者等に対して、インターネットによる求人情報を提供する「Re就活」と題するホームページを開設し、現在に至るまで継続して当該役務を提供している(甲4、甲25等)。そして、平成19年から令和元年にわたり、会社案内等において、上記「求人情報の提供」に係る役務の名称は、通常の書体又は引用商標2と同様の書体で「Re就活」と表示されている(甲4?甲34)。
イ 「Re就活」ホームページにより求人情報の提供を受ける会員登録数は、平成19年から同28年にかけて、40万人ないし70万人とされ(甲7、甲9?甲11、甲13、甲15、甲17、甲19、甲21)、近年における「Re就活」事業の売上げは、平成28年10月期が7億9,400万円(甲21)、平成29年10月期が9億4,600万円(甲22)、平成30年10月期は13億8,400万円(甲23)である。
ウ 平成30年5月から6月にかけて、東京のJR山手線の電車内、JR新宿駅、JR渋谷駅、JR品川駅、JR東京駅、JR大阪駅、JR博多駅、JR名古屋駅、地下鉄東山線名古屋駅等において、申立人の「Re就活」事業の広告に、引用商標2と同様の書体で「Re就活」の文字が表示された(甲36?甲173)。
また、平成27年12月から同30年12月にかけて、朝日新聞に、引用商標2と同様の書体で「Re就活」の文字を表示して、「Re就活」事業の新聞広告が掲載され(甲239?甲259)、さらに、平成30年5月から同31年2月にかけて、東京、大阪、名古屋、九州の主要テレビ局において、俳優を起用した申立人の「Re就活」事業のテレビ広告が放映され、その画面中に、引用商標2と同様の書体で「Re就活」の文字が表示されたことがうかがえる(甲260、甲261)。
エ 上記を総合して判断すると、申立人は、本件商標の登録出願以前の平成16年から約15年間にわたり、「Re就活」と題するウェブサイトにおいて「インターネットによる求人情報の提供」を行っており、当該事業は一定の会員数を保持し、相当程度の売上げが認められる。そして、平成19年から最近に至るまで、申立人の会社案内等に引用商標と構成文字が共通する「Re就活」の文字が継続的に使用され、また、平成27年ないし同30年においても、引用商標と構成文字が共通する「Re就活」の文字を使用して、交通広告、新聞広告のほか、主要なテレビ局のCMを通じて全国的に「Re就活」事業に係る広告宣伝を行っており、引用商標は、上記のとおり使用された結果、「求人情報の提供」の分野において、申立人の業務に係る「インターネットによる求人情報の提供」を表示する商標として当該役務の需要者の間に広く認識されているといい得るものである。
(2)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標
本件商標は、上記1のとおり、「リシュ活」の文字からなるところ、その構成文字に相応して「リシュカツ」の称呼を生じるものである。
なお、当該構成文字は、辞書等に載録はなく、何らかの親しまれた意味合いを認識させることのない一種の造語というべきであるから、本件商標は、特定の観念を生じるものとはいえない。
イ 引用商標
引用商標1は、上記2(1)のとおり、「Re就活」の文字を標準文字で表してなり、また、引用商標2は、別掲のとおり、「Re就活」の文字をさほど特徴があるとはいえない書体で表してなるところ、いずれも、その構成文字に相応して「リシューカツ」の称呼を生じるものである。
また、構成中の「Re」の欧文字は、「再び」を意味する英語の接頭語であり(「goo辞書英和和英/小学館プログレッシブ英和中辞典」:甲263)、「就活」の文字は「就職活動の略」(「Weblio辞書/三省堂大辞林第三版」:甲264)を意味するものであって、その構成全体より「再度の就職活動」の意味合いを容易に認識させるものである。
そうすると、引用商標は、「リシューカツ」の称呼及び「再度の就職活動」の観念を生じるものというのが相当である。
ウ 本件商標と引用商標の類否
本件商標と引用商標は、それぞれ、上記ア及びイのとおりの構成よりなるところ、本件商標は、「リシュ」の片仮名と「活」の漢字との組合せよりなるのに対し、引用商標は、「Re」の欧文字と「就活」の漢字との組合せよりなるものであるから、外観上、明確に区別できる。
また、称呼についてみるに、引用商標は、「就活」の文字の語頭に「Re」の欧文字を付した構成からなるところ、語頭に「re」を有する親しまれた英単語である「reaction(リアクション)」、「reform(リフォーム)」、「reset(リセット)」、「regain(リゲイン)」が、「re」の直後の音節にアクセントを置いて発音されること、及び、「就活」の文字は「シューカツ」と一気に称呼される親しまれた略語であることに照らすと、その全体から生ずる「リシューカツ」の称呼は、第1音節の「リ」の音を明瞭に発音した上で、第2音節の「シュー」の音にアクセントを置いて「シューカツ」と一気に称呼されるものといえる。さらに、当該「シュー」の音は、長音を伴うために、より強調して聴取されるものである。
これに対し、本件商標から生じる「リシュカツ」の称呼は、短く平坦に称呼されるものである。
してみれば、これらの差異が、5音又は4音という短い音構成からなる両称呼全体に及ぼす影響は決して小さいものとはいい難く、両商標をそれぞれ一連に称呼するときは、語調、語感が相違し、互いに聴き誤るおそれはなく、十分に聴別し得るものである。
加えて、本件商標は、特定の観念が生じないのに対し、引用商標は、「再度の就職活動」程の観念を生じるものであるから、両者は、観念において紛れるおそれはない。
そうすると、本件商標と引用商標は、語尾の「活」の文字が共通するものの、外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれのないものであるから、各商標から生じる外観、称呼及び観念によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して考察すれば、両者は、相紛れるおそれのない非類似の商標であるというのが相当である。
エ 小括
以上のとおり、本件商標は、引用商標とは非類似の商標であるから、たとえ、その指定役務が引用商標の指定役務と同一又は類似の役務であるとしても、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第15号該当性について
ア 引用商標の周知性について
引用商標は、上記(1)のとおり、「求人情報の提供」の分野において、申立人の業務に係る役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているといい得るものである。
イ 本件商標と引用商標との類似性の程度について
本件商標と引用商標は、上記(2)のとおり、外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれのない非類似の商標であるから、両者は別異の商標であり、その類似性の程度が高いものとはいえない。
ウ 引用商標について
引用商標は、英語で「再び」という意味の接頭語である「Re」の欧文字と「就職活動」の略語として広く知られた「就活」の漢字を組み合わせたにすぎないものであり、「求人情報の提供」の役務との関係においては、独創性が高いとはいい難い。また、引用商標は、申立人のハウスマークではない。
エ 小括
上記アないしウを総合して判断するに、引用商標は、「求人情報の提供」の分野において、申立人の業務に係る役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているといい得るものである。
しかしながら、本件商標と引用商標とは、紛れるおそれのない別異の商標であって、類似性の程度が高いとはいえないものであり、かつ、引用商標は、独創性が高いとはいい難いものであって、申立人のハウスマークでもないから、商標権者が本件商標をその指定役務について使用をしても、取引者、需要者が、引用商標を連想又は想起することはなく、その役務が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その役務の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情も見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(4)申立人の主張について
申立人は、学生や求人企業において、「Re就活」と「リシュ活」を聴き誤る、あるいは読み誤る危険性があり、本件商標と引用商標の称呼の類似性を特に重視しなくてはならない旨主張している。
しかしながら、本件商標と引用商標は、外観から受ける印象として文字構成が異なり、外観上明確に区別できるものである。そして、称呼においても、本件商標は、「リシュカツ」と短く平坦に発音されるのに対し、引用商標は、第1音節の「リ」の音が明瞭に発音された上で、第2音節の「シュー」の音にアクセントを置いて称呼され、かつ、「シュー」の音が長く強調して発音される点において、両称呼は、語調、語感が明らかに異なるものであって、聴き誤るおそれはないものである。また、請求人が主張するような、「就活」の漢字を「シュカツ」と称呼し又は聞き誤ったり、「シュ活」の文字を「シューカツ」と称呼したりする蓋然性を見いだすこともできない。
してみれば、本件商標と引用商標の称呼における類似性は高くないものというのが相当であるから、称呼の類似性を前提とした申立人の主張は採用できない。
(5)むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に該当するものとはいえず、その登録は、同第1項の規定に違反してされたものとはいえないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲(引用商標2)


異議決定日 2020-12-24 
出願番号 商願2018-134099(T2018-134099) 
審決分類 T 1 651・ 263- Y (W3541)
T 1 651・ 271- Y (W3541)
T 1 651・ 262- Y (W3541)
T 1 651・ 261- Y (W3541)
最終処分 維持  
前審関与審査官 内藤 順子大島 康浩 
特許庁審判長 山田 正樹
特許庁審判官 冨澤 美加
鈴木 雅也
登録日 2019-09-13 
登録番号 商標登録第6179363号(T6179363) 
権利者 一般社団法人履修履歴活用コンソーシアム
商標の称呼 リシュカツ 
代理人 辻田 幸史 
代理人 鈴木 章 

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