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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W25
審判 全部申立て  登録を維持 W25
審判 全部申立て  登録を維持 W25
管理番号 1370267 
異議申立番号 異議2020-900156 
総通号数 254 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2021-02-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2020-06-12 
確定日 2020-12-25 
異議申立件数
事件の表示 登録第6240456号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6240456号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6240456号商標(以下「本件商標」という。)は、「argentum」の文字を標準文字で表してなり、令和元年12月25日に登録出願、第25類「運動用特殊衣服,運動用特殊靴,仮装用衣服,靴下,被服,帽子,履物,エプロン,ガーター,ジャケット,スーツ,スカート,スカーフ,ズボンつり,セーター類,バンド,ベルト」を指定商品として、同2年3月19日に登録査定、同月27日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立人が引用する商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用する登録第5449937号商標(以下「引用商標」という。)は、「ARGENTIUM」の文字を標準文字で表してなり、2010(平成22)年7月21日にグレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国においてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、平成23年1月21日に登録出願、第24類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び第25類「帽子,洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,和服,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,防暑用ヘルメット,靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。),げた,草履類」を指定商品として、同年11月11日に設定登録されたものであり、現に有効に存続しているものである。

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第4号証(なお、表記にあたっては、「甲○」(「○」部分は数字)のように省略して記載する。)を提出した。
(1)本件商標と引用商標
本件商標は、「argentum」の文字を書してなるものであるから、これより「アルゲンタム」又は「アージェントゥム」等の称呼を生ずること明らかである。
他方、引用商標は、「ARGENTIUM」の文字を書してなるから、「アルゲンティウム」、「アージェンティウム」等の称呼を生ずるものである。
(2)外観類似
外観上、両者は大文字・小文字の相違はあるが、スペルにおいてわずか1文字「I」の有無という相違しかない。
ローマ字の大文字・小文字というのは、同じ文字種の間の均等文字であるので、実質的に同視されるべきである。
スペルの相違については、引用商標は標準文字で表されているため、「I」は他の文字と均等幅の全角文字で表現されているが、通常の使用態様では、プロポーショナルフォントを使用し、幅狭に表現されるのが普通である。そうしてみると、8文字又は9文字からなる2つの単語において、幅狭の「I」の有無はともすれば見落とされる程度の相違でしかない。
そうすると、本件商標と引用商標は、外観上、非常に紛らわしい類似の商標である。
(3)称呼類似
本件商標は「アルゲンタム」又は「アルゲントゥム」等の称呼を生じ、公報によると参考情報として、他に「アーゲンタム」、「アルジェンタム」、「アージェンタム」の称呼が挙げられている。
本件商標権者が社長を務める会社(甲4)のインターネット使用広告(甲3)によると、「argentum」にフリガナとして「アルゲンティウム」と表記している。
一方、引用商標からは「アルゲンティウム」、「アージェンティウム」の称呼を生じ、公報によると参考情報として、「アルゲンチウム」、「エルゲンティアム」、「アルゼンチウム」、「アルジェンティアム」の称呼も挙げられている。
本件商標権者自身が付与する本件商標の称呼「アルゲンティウム」は引用商標の自然な称呼「アルゲンティウム」と同一である。
仮に本件商標に他の称呼が使用されたとき、例えば「アルゲントゥム」が使用されたときでも、引用商標の「アルゲンティウム」と非常に紛らわしい。語尾において、「トゥム」とか「ティウム」は母音があいまいに発音されるのに対して、「T」と「M」の子音は比較的明瞭に耳に残るからである。
そうしてみれば、本件商標と引用商標は、称呼上も非常に紛らわしい類似の商標である。
(4)指定商品
引用商標の全指定商品は、本件商標の指定商品中、少なくとも一部商品と同一又は類似であるのが明白である。
(5)小括
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号の規定に違反して登録されたものである。

4 当審の判断
(1)本件商標
本件商標は、前記1のとおり、「argentum」の文字を標準文字で表してなるところ、当該文字は、「銀」の意味を有する成語ではあるものの、該語はかかる意味合いにおいて、我が国で一般的に広く親しまれている語とはいい難いものであるから、特定の意味合いを理解させるとはいえない。
そうすると、本件商標は、その構成文字に相応して「アルゲンタム」の称呼が生じ、特定の観念は生じないというのが相当である。
(2)引用商標
引用商標は、前記2のとおり、「ARGENTIUM」の文字を標準文字で表してなるところ、当該文字は、我が国において一般的に使用されている英語の辞書等に掲載されていないから、特定の意味合いを理解させるものではない。
そうすると、引用商標は、その構成文字に相応して「アルゲンティウム」及び「アルゲンチウム」の称呼が生じ、特定の観念は生じないというのが相当である。
(3)本件商標と引用商標との類否
ア 外観
本件商標と引用商標の構成は、それぞれ前記のとおりであるところ、両者は、大文字と小文字の相違があり、8文字又は9文字の文字数にあって「I」の有無が看過されるともいい難いことからすれば、両者は、異なる印象を与えるものであり、外観上紛れるおそれがあるとまではいえない。
イ 称呼
本件商標から生じる「アルゲンタム」の称呼と引用商標から生じる「アルゲンティウム」及び「アルゲンチウム」の称呼とを比較すると、5音目以降において、「タム」の音と「ティウム」及び「チウム」の音とに差異があるところ、両者は、音の構成及び数において明らかな差異があるから、それぞれ一連に称呼しても、全体の語調、語感が明らかに相違するため、互いに紛れるおそれはない。
ウ 観念
本件商標と引用商標とは、いずれも特定の観念を生じないものであるから、両者は、観念上比較することはできない。
エ 小括
以上のとおりの本件商標と引用商標の外観、称呼及び観念によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両商標は相紛れるおそれのない非類似の商標と判断するのが相当である。
その他、本件商標と引用商標が類似するというべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標の指定商品が引用商標の指定商品と同一又は類似の商品を含むものであるとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(4)申立人の主張について
申立人は、本件商標権者が社長を務める会社のウェブサイトにおいて、「argentum」に「アルゲンティウム」と表記していると述べ、本件商標権者自身が付与する称呼は引用商標の称呼と同一である旨主張している。
しかしながら、欧文字「tum」を一般に「ティウム」と称呼するというべき事情が見いだせない中にあって、「argentum(アルゲンティウム)」と表記した1つの使用例があったことをもって直ちに、欧文字のみで表された本件商標が、これに接する需要者に「アルゲンティウム」と称呼されるとは認めることができず、むしろ、一般的な英語読みに倣って(例として、「autumn」を「オータム」、「album」を「アルバム」)、本件商標からは「アルゲンタム」との称呼を生じるというのが相当である。
したがって、本件商標から生じる自然な称呼は、前記(1)で認定したとおりであって、申立人の上記主張は採用することができない。
(5)まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものではなく、その登録は、同項の規定に違反してなされたものとはいえないものであり、他に同法43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲
異議決定日 2020-12-16 
出願番号 商願2019-166933(T2019-166933) 
審決分類 T 1 651・ 261- Y (W25)
T 1 651・ 263- Y (W25)
T 1 651・ 262- Y (W25)
最終処分 維持  
前審関与審査官 内田 直樹加藤 桜子 
特許庁審判長 中束 としえ
特許庁審判官 山田 啓之
板谷 玲子
登録日 2020-03-27 
登録番号 商標登録第6240456号(T6240456) 
権利者 東山 武司
商標の称呼 アルゲントゥム、アルゲンタム、アーゲンタム、アルジェンタム、アージェンタム 
代理人 岡本 昭二 

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