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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 W20 審判 全部申立て 登録を維持 W20 |
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管理番号 | 1370265 |
異議申立番号 | 異議2020-900124 |
総通号数 | 254 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2021-02-26 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2020-05-07 |
確定日 | 2021-01-07 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第6224648号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第6224648号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第6224648号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成31年4月5日に立体商標として登録出願、第20類「座椅子」を指定商品として、令和元年12月19日に登録査定、同2年2月10日に設定登録されたものである。 2 登録異議の申立ての理由 登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は商標法第3条第1項第3号及び同項第6号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第15号証を提出した(枝番号を含む。枝番の全てを引用する場合は、その枝番の記載を省略する。)。 以下、証拠の表記に当たっては、「甲第○号証」を「甲○」のように省略して記載する。 (1)取消原因 ア 商標法第3条第1項第3号該当性 本件商標の指定商品は「座椅子」であるところ、座椅子であるレーシングチェア(又はゲーミングチェア)が一般的に取引されている実情があり、該レーシングチェアはありふれたものであるから、本件商標の形状はありふれた形状である(甲3ないし甲9)。 また、本件商標の右側肘掛けの下方側面には、「AKD」の文字が表示されているが、レーシングチェアにおいては、通常、ヘッド部等の取引者、需要者から見て見えやすい位置に大きく表示するのが一般的であるところ、本件商標に係る「AKD」の文字は、肘掛けの下方の見えにくい位置に小さく表示されており、本件商標が形状のみで登録されているかのように誤認されるおそれがあるだけでなく、そのような小さく見えにくい位置に表示された「AKD」は、本件商標をその指定商品である「座椅子」に使用しても、これに接する取引者、需要者は、「AKD」なる文字を商標として認識することができない。 そうすると、立体商標において、座椅子全体から見て小さく見えにくい位置に表示されている「AKD」は識別力を有さない。 したがって、本件商標は、商品の品質等を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものであり、商標法第3条第1項第3号に該当する。 イ 商標法第3条第1項第6号該当性 本件商標は、取引者又は需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができないため、商標法第3条第1項第6号に該当する。 上記アのとおり、本件商標は商品の品質、形状を普通に用いられる方法で表示した標章のみからなる商標であるから、少なくとも形状には識別力を有さない。そして、右肘掛けの下方の見えにくい位置に小さく表示されている「AKD」が識別力を有するか否かが問題となるところ、商品に商標を表示する場合、表示する場所は特に決まっているわけではないが、取引者、需要者が商品名や商品の出所を確認できるように、ある程度決まった場所に表示することが一般的である。例えば、衣類であればタグにブランド名等の商標を付すことが一般的であり、商品名であれば取引者、需要者の見やすい位置に大きく表示したりするのが一般的である(甲3、甲4、甲4の3、甲4の5、甲6、甲7、甲9、甲9の3ないし甲11)。 そして、本件商標の商標権者の商品においては、ヘッド部、ヘッドレスト及びクッションに商標権者のブランド名である「AKRACING」の文字が表示されており、また、商標権者のウェブサイトには本件商標の商品名として「極坐」と表示されているから、本件商標にかかる「AKD」はブランド名又は商品名の商標として使用されていない(甲11)。 また、本件商標の商標権者の商品を表示したウェブサイトの画像によれば、右肘置き下方に表示されている「AKD」は、肘置きの色と同じ色で立体的に表示されており、取引者、需要者から見て分かり難い表示となっている(甲11の2)。 以上のことから、本件商標に係る文字部分の「AKD」は識別力を有さず、本件商標の形状も識別力を有さないため、全体として識別力を有さず、取引者又は需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができないため、商標法第3条第1項第6号に該当する。 (2)ECサイトでの販売中止 本件商標が、形状部分に識別力がなくても「AKD」部分に識別力があるとして登録が維持されると、本件商標の商標権者が、ECサイトに商標権侵害による販売中止の申し立てをしたときに、ECサイト担当者が商標権に関する専門的知識を有していない場合、商標権侵害に該当しないにも関わらず、「AKD」の文字が付されていない本件商標と同様の形状のレーシングチェアの販売が中止されるおそれがある。 (3)審決及び判例 本件商標においても、審決及び判例(甲13ないし甲15)と同様に、その形状の特徴は、商品の機能又は美観に資することを目的として採用されるものであり、商品の機能又は美観上の理由による形状の選択と予測し得る範囲のものであるため、商品等の形状を普通に用いられる方法で使用する標章のみからなる商標として、商標法第3条第1項第3号に該当する。 また、本件商標に係るレーシングチェアの立体的形状が、需要者、取引者が指定商品を購入するか否かを決定する上での標識とするに足りる程に特徴的であると認めるべき事情もない。 3 当審の判断 (1)商標法第3条第1項第3号及び同項第6号該当性について 本件商標は、別掲のとおり、そこに表された立体形状(以下「本件形状」という。)は、指定商品である「座椅子」が採用し得る一形状にすぎないものではあるものの、本件形状中、右の肘置きの下方部分に「AKD」の文字を配してなるものである。 そして、「AKD」の文字(語)は、辞書等に成語として掲載されていないものであって、特定の意味合いを想起させることのない一種の造語として認識されるものである。 また、「AKD」の文字(語)が、本件商標の指定商品の品質を表示するものなど、自他商品識別標識としての機能を有しないものというべき事情は発見できなかった。 してみれば、本件商標は、これをその指定商品に使用しても、商品の品質等を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標とはいえないものであり、自他商品識別標識としての機能を果たし得るものといわなければならない。 したがって、本件商標は商標法第3条第1項第3号及び同項第6号のいずれにも該当するものといえない。 (2)申立人の主張について ア 申立人は、本件商標の構成中、「AKD」の文字は、指定商品との関係上、一般的に商標を配置する場所と異なる場所に配置していること、及び、座椅子の形状全体から見て小さく見えにくい位置に表示されているから識別力を有さない旨を主張するが、申立人が示した取引の実情があるとしても、そのことをもって、ただちに、本件商標の構成中、「AKD」の文字が識別力を有さないと判断せざるを得ない事情があることにはならないし、本件商標の構成中、「AKD」の文字は、やや小さく表されているものの、通常用いられる書体で記載されており、明確に視認できるものであり、かつ、当該文字(語)が識別力を有するものであることは、前記(1)で認定判断したとおりであるから、申立人の主張は、上記判断を左右するものではない。 イ 申立人は、本件商標の登録の維持によって、ECサイトにおける本件形状の座椅子の販売が中止となるおそれがある旨を主張するが、本件商標が登録要件を満たすか否かについては、商標法の登録要件に従って判断すべきものであって、前記(1)のとおり、本件商標は、本件形状が商品の一形状にすぎないもの、その構成中の「AKD」の文字(語)部分が自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものであって、同法第3条第1項第3号及び同項第6号のいずれにも該当するといえないから、申立人の主張は、上記判断を左右するものではない。 ウ 申立人は、過去の裁判例及び審決例(甲10の2、甲13ないし甲15)を挙げて本件商標が商標法第3条第1項第3号に該当する旨も主張するが、本件商標とは、構成態様、構成文字が異なり、事案を異にするものであり、かつ、登録出願に係る具体的事案の判断においては、過去の審決例等に拘束されることなく、該出願についての判断時期(査定時又は審決時)において、その判断の対象となる商標が使用される商品に係る取引の実情等を考慮して、個別具体的に判断されるべきものであるから、申立人の主張は、前記(1)の判断を左右するものではない。 エ したがって、申立人の上記主張は、いずれも採用することができない。 (3)まとめ 以上のとおりであるから、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同項第6号のいずれにも該当するものとはいえず、その登録は同法第3条の規定に違反してされたものとはいえない。 他に、本件商標の登録が商標法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせない。 したがって、本件商標の登録は、商標法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲(本件商標) (1) (2) (3) |
異議決定日 | 2020-12-21 |
出願番号 | 商願2019-48578(T2019-48578) |
審決分類 |
T
1
651・
13-
Y
(W20)
T 1 651・ 16- Y (W20) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 和田 恵美 |
特許庁審判長 |
中束 としえ |
特許庁審判官 |
庄司 美和 木村 一弘 |
登録日 | 2020-02-10 |
登録番号 | 商標登録第6224648号(T6224648) |
権利者 | ヤンジョウ オーケイ シート カンパニー リミテッド |
商標の称呼 | エイケイデイ |
代理人 | 特許業務法人井澤国際特許事務所 |
代理人 | 本田 史樹 |