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審決分類 |
審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 103 |
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管理番号 | 1370236 |
審判番号 | 取消2019-300267 |
総通号数 | 254 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2021-02-26 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2019-04-04 |
確定日 | 2021-01-04 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第1380489号商標の登録取消審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第1380489号商標の商標登録を取り消す。 審判費用は,被請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第1380489号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲のとおりの構成からなり,昭和43年1月19日に登録出願,第4類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として,同54年6月29日に設定登録され,その後,平成21年12月16日に,指定商品を第3類「日焼け用オイル化粧品」とする指定商品の書換登録がされ,現に有効に存続しているものである。 そして,本件審判の請求の登録日は,平成31年4月17日であり,本件審判の請求の登録前3年以内の同28年4月17日から同31年4月16日までの期間を,以下「要証期間」という。 第2 請求人の主張 請求人は,結論同旨の審決を求め,審判請求書及び弁駁書において,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第5号証を提出した。 1 請求の理由 本件商標は,第3類の全指定商品について,継続して3年以上日本国内において商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが,登録商標の使用をした事実が存しないから,その登録は,商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。 2 答弁に対する弁駁 (1)使用に係る商標について 被請求人は,商品写真(乙1)を提出し,当該写真の正面図には,本件商標である「英文字でMagic SUN OILを3段で記載し,その外周に太陽を模るかのように木の葉状の図形が取り囲んだ商標」(以下「使用商標」という場合がある。)が記載され,本件商標について使用している旨主張する。 しかしながら,本件商標は,太陽を想起させるような円状の図形の輪郭内に「magic」,「SUN」及び「OIL」の各欧文字を3段書きにして内包した図形部分と,当該円状の図形の下部に「マジック」と「サンオイル」の片仮名を2段書きした文字部分という2つの構成からなるものである。 一方,使用商標は,上記円状の図形の輪郭内に「magic」,「SUN」及び「OIL」の各欧文字を3段書きして内包した図形部分からなるものである。 また,当該図形の輪郭内に内包された文字のうち「magic」の「i」の上部の「・」に相当する部分がハート型を模した形状となっており,本件商標と使用商標とは,外観上異なる。 登録商標の使用と認める範囲は,社会通念上同一と認められる商標を含むとされるが,本件商標と使用商標は,図形部分において類似する商標ということはできても,使用商標は,「マジック」と「サンオイル」の文字部分の構成を欠くものであるから,外観において同視される商標とはいえず,称呼及び観念においても同一とはいえないから,同一の商標でないことはもちろんのこと,社会通念上同一ということはできない。 (2)使用に係る商品について 被請求人は,商品写真(乙1)を提出し,本件商標の指定商品について使用している旨主張するが,当該写真について撮影日を示しておらず,撮影者の氏名・住所も証明していない。仮に撮影者が被請求人である場合は,商品が他人に譲渡されていないから,商品写真(乙1)の商品は,商標法第2条第3項各号のいずれの使用もされていないといえる。 納品書(乙3)には,商品のロット番号として「4FE1」が記載されている一方,商品写真(乙1)及び注文書(乙2)にはロット番号が見受けられないこと,注文書(乙2)と納品書(乙3)は,「砂のつかないサンオイル」又は「砂サン」の表示は見受けられるものの,本件商標はおろか,使用商標も表示されていない。すなわち,商品写真(乙1)の商品が注文書(乙2)及び納品書(乙3)に記載されている商品であることを証明していない。 なお,使用商標が付されていない「日焼け用オイル化粧品」が,フリーマーケットアプリ「mercari」で流通している(甲5)。 そうすると,使用商標が付されている商品と付されていない商品が存在するのであって,注文書(乙2)及び納品書(乙3)で取引された「砂のつかないサンオイル」の商品と使用商標が付された写真掲載商品とが同一の商品であるか確認できない。 したがって,乙第1号証ないし乙第3号証をもって,本件商標が要証期間に「日焼け用オイル化粧品」に使用されたことを証明していない。 第3 被請求人の答弁 被請求人は,本件審判請求は成り立たない,審判費用は請求人の負担とする,との審決を求め,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として乙第1号証ないし乙第3号証を提出した。 1 本件商標権者は,要証期間に我が国において,日焼け用オイル化粧品「サンオイル」について,本件商標を使用している。 (1)商標の使用者について 乙第1号証は,商品に標章を付した背面図の写真であり,「株式会社ピカソ美化学研究所」,「西宮市池田町9番20号」が表示されていることから,本件商標権者の使用を明確に示すものである。 (2)使用に係る商品について 乙第1号証の正面図には,「砂のつかないサンオイル」,「DEEP DARK SUN OIL」,背面図には,「砂のつかないサンオイル」,「日やけ用サンオイル」が記載され,本件商標の指定商品について使用している。 (3)使用に係る商標について 乙第1号証の正面図に,本件商標である「英文字でMagic SUN OILを3段に記載し,その外周に太陽を模るかのように木の葉状の図形が取り囲んだ商標」が記載され,本件商標について使用している。 (4)使用時期について 乙第2号証には,「平成28年5月24日」付け注文書,乙第3号証には,「2016/06/08」付け納品書発行日がそれぞれ記載されており,本件商標は,要証期間に「日焼け用オイル化粧品」について使用している。 2 まとめ 以上のとおり,本件商標は,要証期間に,日本国内において本件商標権者により「日焼け用オイル化粧品」について使用していることが明らかである。 第4 審尋及び被請求人の回答 1 審尋 審判長は,令和2年8月25日付け審尋において,被請求人に対し,被請求人が提出した証拠によっては,被請求人が商標法第50条第2項に規定する本件商標の使用をしている事実を証明したものとは認めることができない旨の合議体の暫定的見解及び請求人提出の令和元年7月31日付け審判事件弁駁書に対する回答を求めた。 2 被請求人の回答 被請求人から,上記1の審尋に対する回答はなかった。 第5 当審の判断 1 証拠及び当事者の主張によれば,以下のとおりである。 (1)商品写真の写し(乙1)には,写真に掲載された商品(以下「写真掲載商品という。)の「正面図」の右上に,黄色の円形を背景に,赤色で表された「magic」,「SUN」及び「OIL」の欧文字を3段書きしたものを内包する図形が表示され,中央部に「PASSPORT」,「砂のつかないサンオイル」等の文字が表示されている。また,「背面図」の上部に「砂のつかないサンオイル」の文字が表示され,下部には「1000円(税抜き価格)」,「110ml」及び「株式会社ピカソ美化学研究所 兵庫県西宮市池田町9番20号」の記載がある。 しかしながら,商品写真(乙1)は,撮影日,撮影者及び撮影場所が不明であり,写真掲載商品が要証期間に存在していたか確認できない。 (2)平成28年5月24日付けの株式会社福田屋(以下「福田屋」という。)から本件商標権者に宛てた注文書(乙2)には,品名欄に「砂のつかないサンオイル」,数量欄に「48入×8」が記載されているが,本件商標の表示はない。 (3)平成28年6月8日付けの本件商標権者から福田屋に宛てた納品書(控)(乙3)には,商品名欄に「砂のつかないサンオイル110ml」,入数欄に「48」,個数欄に「8」が記載されているが,本件商標の表示はない。 (4)フリーマーケットアプリ「mercari」(甲5)には,中央部に「PASSPORT」,「砂のつかないサンオイル」等の文字が表示された「日焼け用オイル化粧品」が出品されているが,当該商品に使用商標は付されていない。 2 判断 (1)商品写真について 写真掲載商品に本件商標権者の名称及び住所が記載されているとしても,当該写真の撮影日,撮影者及び撮影場所が不明であるから,当該商品が要証期間に存在していたか確認できない。 (2)本件商標権者と福田屋との取引について 上記1(2)及び(3)のとおり,本件商標権者と福田屋の間において,平成28年5月24日ないし同年6月8日に「砂のつかないサンオイル」の取引等があったとしても,注文書及び納品書(控)には,本件商標の表示はない。 また,フリーマーケットアプリ「mercari」(甲5)に出品されている「日焼け用オイル化粧品」には使用商標が付されていない商品があり,商品写真(乙1)には,使用商標が付された商品があることから,本件商標権者と福田屋との間で取引された「砂のつかないサンオイル」の商品と使用商標が付された写真掲載商品とが同一の商品であるか確認できない。 (3)本件商標と使用商標との社会通念上の同一性について 本件商標は,別掲のとおり,「Magic」,「SUN」及び「OIL」の欧文字を3段書きしたものを内包した図形部分(以下「本件商標の図形部分」という。)と,その下に「マジック」及び「サンオイル」の片仮名を2段書きした文字部分(以下「本件商標の文字部分」という。)という2つの構成からなるものであるところ,使用商標は,本件商標の図形部分のみで,本件商標の文字部分の表示がないものである。 そうすると,本件商標と使用商標とは,その外観が相違するものであるから,社会通念上同一のものとみることはできない。 3 まとめ 以上のとおり,被請求人は,要証期間に日本国内において,商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが本件審判の請求に係る指定商品について本件商標の使用をしていることを証明したものと認めることはできない。 また,被請求人は,本件審判の請求に係る指定商品について本件商標の使用をしていないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。 したがって,本件商標の登録は,商標法第50条第1項の規定により,取り消すべきものである。 よって,結論のとおり審決する。 別掲(本件商標) |
別掲 |
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審理終結日 | 2020-10-28 |
結審通知日 | 2020-11-02 |
審決日 | 2020-11-25 |
出願番号 | 商願昭43-2944 |
審決分類 |
T
1
31・
1-
Z
(103)
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最終処分 | 成立 |
特許庁審判長 |
半田 正人 |
特許庁審判官 |
佐藤 松江 平澤 芳行 |
登録日 | 1979-06-29 |
登録番号 | 商標登録第1380489号(T1380489) |
商標の称呼 | マジックサンオイル、マジック、サンオイル |
代理人 | 関口 正夫 |