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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない W10
管理番号 1370223 
審判番号 取消2019-300548 
総通号数 254 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2021-02-26 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2019-07-19 
確定日 2021-01-04 
事件の表示 上記当事者間の登録第5576184号商標の登録取消審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 審判費用は,請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5576184号商標(以下「本件商標」という。)は,「CRYOTEP」の文字を標準文字で表してなり,平成24年11月29日に登録出願,第10類「卵母細胞および胚用ガラス化キット,生体細胞用ガラス化キット,卵母細胞および胚用の凍結保存用器具,生体細胞用の凍結保存用器具,体外受精用具,カテーテル,卵母細胞採取針,生体細胞採取針,医療用機械器具」を指定商品として,同25年4月19日に設定登録されたものである。
そして,本件審判の請求の登録日は,令和元年8月5日である。
なお,本件審判において商標法第50条第2項に規定する「その審判の請求の登録前3年以内」とは,平成28年8月5日ないし令和元年8月4日である(以下「要証期間」という場合がある。)。

第2 請求人の主張
請求人は,商標法第50条第1項の規定により,本件商標の登録を取り消す,審判費用は被請求人の負担とする,との審決を求め,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
本件商標は,その指定商品について継続して3年以上日本国内において商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存在しないから,商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
なお,請求人は,被請求人提出の審判事件答弁書に対して,何ら弁駁していない。

第3 被請求人の答弁
被請求人は,結論同旨の審決を求めると答弁し,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として乙第1号証ないし乙第8号証(枝番号を含む。)を提出した。
被請求人は,本件審判請求の登録前3年以内に,本件商標を使用しているので,本件審判請求には理由がない。その使用している事実を以下の証拠に基づき証明する。
1 乙第1号証(商品写真)
商品写真に撮影されている3種類〔青,黄,無色(透明)〕全ての商品は,「家畜の卵母細胞および胚用の凍結保存器具」である。当該商品は,本件商標の指定商品「卵母細胞および胚用の凍結保存用器具」に該当する。なお,当該商品が,「卵母細胞および胚用の凍結保存用器具」に該当することは,乙第7号証(特開2018-82677号公報:本件審判請求人出願),乙第8号証(特許第4373025号公報)からも明らかである。
3色全ての商品(以下「本件商品」という)において,細長い本体のハンドル部分に,「Cryotep」の文字が浮き上がるように付されている。
本件商標は,標準文字で「CRYOTEP」であり,両者は,ともに,スペルが「CRYOTEP」である。
なお,1文字目の「C」を除き,使用商標は「ryotep」が小文字であり,本件商標は「RYOTEP」が大文字である点において相違するが,両者はスペルが同一,かつ,称呼も「クライオテップ」で同一であり,社会通念上同一の商標である。
なお,当該本件商品の被請求人への納品は,平成29年12月18日(乙5の1)であり,これをロット日としてある。
商品包装形態サンプルは,乙第2号証の売上リストにて販売した商品に貼付した表示シールを本年(令和元年)9月に再度印刷し,貼付したものであり,乙第2号証の売上リストのそのものの保存物ではない。
2 乙第2号証(販売リスト)
売上リストの印刷は,本年(令和元年)9月に行ったものである。
乙第2号証の1(売上リスト)に示すように,被請求人は,SHANGHAI TWIN GENERAL INTERNATIONAL TRADE CO.,LTD.に,平成30年2月16日付けにて,Cryotep(Y)(黄色)を10袋(10本/袋,総数100本)Cryotep(W)(無色)を10袋(10本/袋,総数100本),Cryotep(B)(青)を10袋(10本/袋,総数100本)販売している。
当該販売の経緯は,乙第2号証の2の1(関連メール)に示すとおりであり,乙第2号証の2の2は,当該販売のINVOICE(納品書兼請求書)であり,乙第2号証の2の3は,当該販売に係る商品を含む商品の送付伝票控(国際スピード郵便控)である。
同様に,被請求人は,SHANGHAI TWIN GENERAL INTERNATIONAL TRADE CO.,LTD.に,平成30年1月26日付けにて,Cryotep(Y)(黄色)を10袋(10本/袋,総数100本),Cryotep(W)(無色)を10袋(10本/袋,総数100本),Cryotep(B)(青)を10袋(10本/袋,総数100本)販売している。
当該販売の経緯は,乙第2号証の3の1(関連メール)に示すとおりであり,乙第2号証の3の2は,当該販売のINVOICE(納品書兼請求書)である。
同様に,被請求人は,SHANGHAI TWIN GENERAL INTERNATIONAL TRADE CO.,LTDに,平成30年1月12日付けにて,Cryotep(Y)(黄色)を10袋(10本/袋,総数100本),Cryotep(W)(無色)を10袋(10本/袋,総数100本),Cryotep(B)(青)を10袋(10本/袋,総数100本)販売している。
当該販売の経緯は,乙第2号証の4の1(関連メール)に示すとおりであり,乙第2号証の4の2は,当該販売のINVOICE(納品書兼請求書)である。
これらの販売行為は,商品に標章を付したものを輸出する行為であり,商標法第2条第3項第2号の使用行為に該当する。
なお,当該商品(Cryotep)の注文は,乙第2号証の5のインターネット画面(注文画面)にて,入力することにより,行うことができる(乙第2号証の5の注文画面ペ-ジに入るためには,ユーザー登録が必要であるが,ユ-ザーは,日本人(法人含む)も登録可能であり,多くの日本人(法人)が登録されている。)。
3 乙第3号証(本件商品製造用金型関連)
乙第3号証の1は,乙第1号証の写真の商品の元商品の製造用の金型着工打合せ図面である。この図面に基づき,元商品製造用の金型を作成した。
なお,乙第3号証の1における「株式会社北里サプライ」は,被請求人の関連会社(閉鎖)である。
乙第3号証の2は,元商品製造金型の固定側彫刻変更図面である。
乙第3号証の2に示すように,元商品製造金型の彫刻部分における「CryotopAnimal」を「Cryotep」に変更した。本件商品は,この変更した金型を用いて製造されている。
4 乙第4号証(被請求人から本件商品製造会社への注文書)
被請求人は,乙第4号証に示すように,本件商品の製造会社である有限会社三和化学に,平成29年11月22日付けにて,(W/B/Y)(無色/青/黄)の各3300本を注文している。
5 乙第5号証(本件商品製造会社から被請求人への納品書)
乙第5号証の1に示すように,平成29年12月18日に,有限会社三和化学より,透明(無色)/青/黄の各600本の「クライオトップ」の納品を受けている。乙第1号証では,この納品日をロット日としてある。
また,乙第5号証の2に示すように,平成30年1月29日に有限会社三和化学より,透明(無色)/青/黄の各2700本の「クライオトップ」の納品を受けている。
納品総数は各3300本であり,乙第4号証の注文数と合致している。
なお,これら納品書において,「クライオトップ」とあるのは,乙第3号証の1に示したように,本件商品は,当初「CryotopAnimal」という商標を付していたものを,「Cryotep」に変更したものであるが,納品書には,従前の名称が記載されたためである。
6 乙第6号証(パンフレット)
このパンフレットは,2018年(平成30年)8月6日にメール送付用として,被請求人の社員が作成したものである。
なお,当該パンフレットには,乙第1号証に写真撮影されている3種類(青,黄,無色)の商品が,表示されている。
また,商品説明として,「○ Vitrification Device for oocytes and embryos of livestocks.」とある。この和訳は,「家畜の卵母細胞および胚のガラス化凍結具」である。
なお,Vitrificationは,ガラス化凍結を示す。
参考:ガラス化凍結法(vitrification)
http://selfeggbank.com/basic005/

第4 当審の判断
1 被請求人提出の証拠及び同人の主張によれば,以下のとおりである。
(1)乙第1号証は,2019年(令和元年)9月25日に撮影した「商品写真」と題する書面である。当該書面には,撮影日,撮影場所,撮影者の記載及び「商品説明」として「家畜の卵母細胞および胚用の凍結保存器具」の記載があり,商品の外観等の写真画像が12枚掲載されている。当該商品は細長い形状であって,色は青,黄,無色の3種類である。また,青色の商品のハンドル部分には,「KITAZATO/Cryotep」の文字が付されており,その商品の包装袋には「81191」,「Cryotep(B)」,「2017-12-18」の記載がある。
(2)乙第2号証の1は,被請求人の売上げリストであり,令和元年9月5日に印刷されたものと認められる。被請求人は,SHANGHAI TWIN GENERAL INTERNATIONAL TRADE CO.,LTD.に,平成30年2月16日付けで,(00081192)「Cryotep(Y)」を10袋(10本/袋,総数100本),(00081190)「Cryotep(W)」を10袋(10本/袋,総数100本),(00081191)「Cryotep(B)」を10袋(10本/袋,総数100本)販売した。備考欄には,「INV No.1899」の記載がある。
(3)乙第2号証の2の1は,被請求人の主張によれば,販売の経緯を示す,被請求人と,SHANGHAI TWIN GENERAL INTERNATIONAL TRADE CO.,LTD.(アドレスにShanghai Chinaと記載がある。)との2018年(平成30年)2月7日及び同月2日のメールであり,「ご注文番号 1820 INV1899」及び「commodity No.:81192 Description:Cryotep(Y)」の記載がある。
(4)乙第2号証の2の2は,2018年(平成30年)2月2日付けの,被請求人と,SHANGHAI TWIN GENERAL INTERNATIONAL TRADE CO.,LTD.の間のINVOICE(納品書兼請求書,INVOICE No.:1899)である。商品を輸送する「Shipping Schedule」の項に2018年(平成30年)2月16日の記載があり,輸送する商品「Description of goods」の項に「Cryotep(Y) 81192」「Cryotep(W) 81190」「Cryotep(B) 81191」の3つの商品名の記載及び品番と推認される数字がある。
上記の乙第2号証の1ないし乙第2号証の2の2の各号証における,各色商品の品番(81190から81192)は各商品名(「Cryotep(Y)」「Cryotep(W)」「Cryotep(B)」)と一致しており,注文番号(1820)とINVOICEの番号(1899)もそれぞれ一致している。
(5)乙第2号証の2の3は,2018年(平成30年)2月16日付け送付伝票控(国際スピード郵便控)には,「Cryotep(B)」及び「Cryotep(Y,W,B)」の記載がある。
(6)乙第3号証の1は,「CryotopAnimal」の文字を彫刻する金型着工打合せ図面であり,乙第3号証の2は,2017年(平成29年)11月15日に,彫刻文字を「Cryotep」へと変更した彫刻変更図面であり,同図面の製品名欄には,「クライオ トップ」の記載がある。
(7)乙第4号証は,被請求人から本件商品の製造会社である有限会社三和化学宛の注文書であり,被請求人は平成29年11月22日に商品名「Cryotep(W/B/Y)」を各色3300本ずつファクシミリで注文した。
(8)乙第5号証は,本件商品の製造会社である有限会社三和化学から被請求人への平成29年12月18日付け及び同30年1月29日付け納品書であり,被請求人は平成29年12月18日付けで「クライオトップ 透明」「クライオトップ 青」及び「クライオトップ 黄」を各色600本ずつ(乙5の1),同30年1月29日付けで「クライオトップ 透明」「クライオトップ 青」及び「クライオトップ 黄」を各色2700本ずつ(乙5の2),合計各色3300本ずつ納品を受けた。
(9)乙第7号証は,「卵凍結保存用容器」を発明の名称とする公開特許公報であり,乙第8号証は,「卵凍結保存用具および筒状部材保持器具」を発明の名称とする特許公報である。
2 認定事実
被請求人(本件商標権者)は,有限会社三和化学に対し,平成29年11月22日付けで商品「Cryotep」を3色3300本ずつ注文し(乙4),平成29年12月18日に当該商品が納品された。
なお,納品書(乙5)の品名欄には,「Cryotep」や,その読みを表した「クライオテップ」ではなく,「クライオトップ」と記載されているが,同商品の金型の図面(乙3)から「クライオトップ」は旧商品名の略称と推認できるから「納品書には,従前の名称が記載された」という被請求人の主張に不自然なところはない。
そして,上記商品は,2018年(平成30年)2月16日にEMS(国際スピード郵便)により被請求人(本件商標権者)から中国の顧客へ輸出された(乙2の2の3)。
また,上記商品は,INVOICE(乙2の2の2)に記載された商品名及び品番と商品の写真(乙1)において商品の包装に記載された商品名及び番号が一致することから,これらは同一の商品といえ,そうすると,中国の顧客へ輸出された商品に「KITAZATO/Cryotep」の文字が付されているといい得る。
さらに,商品の写真(乙1)の形状と乙第7号証及び乙第8号証の公報の図面とは,その形状がほぼ一致することから,当該商品は「家畜の卵母細胞および胚用の凍結保存器具」と推認できる。
3 判断
上記2において認定した事実によれば,以下のとおり判断できる。
(1)使用商標について
商品には「KITAZATO/Cryotep」の文字が表示されているものであるところ,「KITAZATO」及び「Cryotep」の文字との間に「/」を設けていることから,視覚上分離して看取されるものである。さらに,「KITAZATO」及び「Cryotep」の文字が,構成全体を一体に捉えて親しまれた意味合いを理解させるものとみるべき特段の事情は見あたらない。
そうすると,商品に表示された「Cryotep」は,その使用態様から「KITAZATO」と常に一体のものとして把握されるものではなく分離して観察されものであり,また,商品の品質を表示するものとして認識されているものではないことから,この表示に接する需要者は,本件商標権者に係る個別の商品を表示するものとして認識するとみるのが相当である。
そして,本件商標は,「CRYOTEP」の文字を標準文字で表してなるものであるところ,本件商標と「Cryotep」の文字からなる使用商標とを比較すると,使用商標は,第1文字目の「C」を除き,第2文字目から第7文字目の「ryotep」が小文字であるのに対し,本件商標は「CRYOTEP」と全て大文字である点において,相違するものの,両者は欧文字のつづりを共通にするから,本件商標と使用商標は社会通念上同一と認められる。
(2)使用商品及び使用時期について
本件商標権者が製造先に注文し,納品され,その後中国の顧客に輸出した商品(以下「使用商品」という。)は,「家畜の卵母細胞および胚用の凍結保存器具」であって,本件審判の請求に係る指定商品中「卵母細胞および胚用の凍結保存用器具」の範ちゅうに属する商品である。
また,使用商品が製造され,その後輸出された時期は要証期間内である。
(3)小括
以上によれば,本件商標権者は,本件要証期間内に,本件商標と社会通念上同一と認められる商標を付した使用商品を譲渡し,引渡しのために輸出したと認めることができる。この行為は,商標法第2条第3項第2号にいう「商品に標章を付したものを譲渡し,引渡しのために輸出する行為」に該当する。
4 まとめ
以上のとおり,被請求人は,本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において,商標権者が本件審判の請求に係る指定商品について,本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたことを証明したというべきである。
したがって,本件商標の登録は,その請求に係る指定商品について,商標法第50条の規定により,取り消すことはできない。
よって,結論のとおり審決する。


別掲
審理終結日 2020-10-26 
結審通知日 2020-10-28 
審決日 2020-11-26 
出願番号 商願2012-96906(T2012-96906) 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (W10)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 岩谷 禎枝 
特許庁審判長 齋藤 貴博
特許庁審判官 小松 里美
山根 まり子
登録日 2013-04-19 
登録番号 商標登録第5576184号(T5576184) 
商標の称呼 クリオテップ、クライオテップ 
代理人 向山 正一 
代理人 水崎 慎 
代理人 福田 伸一 
代理人 高橋 克宗 

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