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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) X16
管理番号 1370208 
審判番号 取消2019-300037 
総通号数 254 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2021-02-26 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2019-01-16 
確定日 2020-12-28 
事件の表示 上記当事者間の登録第5350784号商標の登録取消審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 登録第5350784号商標の指定商品中,第16類「雑誌,新聞,印刷物」についての商標登録を取り消す。 審判費用は,被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5350784号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲のとおりの構成からなり,平成21年3月31日に登録出願,第3類「化粧品,シャンプー,せっけん類」及び第16類「雑誌,新聞,印刷物」を指定商品として,同22年9月3日に設定登録され,現に有効に存続しているものである。
そして,本件審判の請求の登録日は,平成31年1月28日であり,本件審判の請求の登録前3年以内の同28年1月28日から同31年1月27日までの期間を,以下「要証期間」という。

第2 請求人の主張
請求人は,結論同旨の審決を求め,審判請求書及び回答書において,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は,その指定商品中第16類「雑誌,新聞,印刷物」について,継続して3年以上日本国内において商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから,その登録は,商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)本件商標と使用標章との対比
本件商標は,横長の略楕円形と,その中心に表示された欧文字「Ash」及び「HAIR MAKE」より構成される。横長略楕円形には灰色の縁取りが施してあり,その内部は濃い青色で着色されている。「Ash」及び「HAIR MAKE」の文字は横長略楕円形の内部にまとまりよく一体的に表示されており,横長略楕円形の縁取りの灰色と同じ色で着色されていることも相まって,全体として一体不可分と認識される。そして,構成文字に相応して「アッシュヘアメイク」の称呼が生じる。
使用標章は,略正方形の内部の下方に欧文字「Ash」を表示してなるものと,乙第1号証及び乙第2号証の各所に表示される欧文字「Ash」であり(以下これらをまとめて「使用標章」という。),いずれも構成文字に相応して「アッシュ」の称呼が生じる。
本件商標と使用標章とは,外観において明らかに相違し,称呼も「アッシュヘアメイク」と「アッシュ」と,明らかに相違する。
したがって,本件商標と使用標章とは,社会通念上同一の範囲を超えたものである。
(2)乙第1号証及び乙第2号証について
乙各号証は,被請求人のグループ会社の一つであるヘアーサロン「株式会社アッシュ(Ash)」のリクルート用パンフレットと推測される。
被請求人のグループ会社の潜在的な社員に対するリクルート資料(会社案内)と推測される乙各号証は,商取引の目的物とはいいがたく,乙各号証に係る冊子に価格が表示されていないことからも,商標法上の「商品」でないことは明らかである。
乙各号証において表示される使用標章は,「株式会社アッシュ(Ash)」を表示するにすぎないものであり,商標として使用されているものではない。
(3)結語
したがって,乙第1号証及び乙第2号証によっては,被請求人により,本件商標又はこれと社会通念上同一と認められる商標が要証期間に我が国において,本件審判の取消の請求に係る商品第16類「印刷物」に使用された事実は立証されていない。

第3 被請求人の答弁
被請求人は,本件審判請求は成り立たない,審判費用は請求人の負担とする,との審決を求め,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として乙第1号証及び乙第2号証を提出した。
被請求人は,本件商標について,次のように使用している。
1 使用商品は,第16類「印刷物」である。
2 使用期間は,2018年度版(乙1)の「2018年12月」及び2017年度版(乙2)の「2017年12月」である。
3 使用主体は,被請求人である商標権者である。

第4 審尋及び被請求人の回答
1 審尋
審判長は,令和2年8月28日付け審尋において,被請求人に対し,被請求人が提出した証拠によっては,被請求人が商標法第50条第2項に規定する本件商標の使用をしている事実を証明したものとは認めることができない旨の合議体の暫定的見解及び請求人提出の令和2年6月26日付け回答書に対する回答を求めた。
2 被請求人の回答
被請求人から,上記1の審尋に対する回答はなかった。

第5 当審の判断
1 被請求人の提出した証拠によれば,以下のとおりである。
(1)乙各号証には,「株式会社アッシュ」,「Ash RECRUIT」,「会社概要」,「応募方法」,「募集要項(アシスタント)」,「応募資格」,「給与」,「勤務地」及び「待遇・福利厚生」等の記載があり,乙第1号証の18頁には「History 沿革」の項に「2018年12月 Ashチェーン店舗数127店舗」の記載が,乙第2号証の19頁には,「沿革」の項に「2017年12月 Ashチェーン店舗数122店」の記載がある。
(2)乙第1号証の「About Ash Ashってどんな会社?」の「History 沿革」の項及び乙第2号証の「会社概要」の「沿革」の項に,商標権者である「株式会社アルテサロンホールディングス」の記載がある。
2 判断
(1)上記1(1)のとおり,乙各号証には,「株式会社アッシュ」,「Ash RECRUIT」,「募集要項(アシスタント)」,「待遇・福利厚生」等の記載があることから,株式会社アッシュの採用パンフレットと認められる。そして,当該採用パンフレット(乙1,乙2)の作成時期,頒布時期,頒布数,頒布方法等は明らかでなく,要証期間内に使用したものとは認められない。また,商標権者の名称は,「会社概要」の「沿革」の項に記載があるにすぎず,上記採用パンフレットの取引書類(注文書,納品書,領収書,物品受領書)等の提出はなく,商標権者が使用したものとは認められない。
(2)商標法における「商品」とは,商取引の目的物として流通性のあるもの,すなわち,一般市場で流通に供されることを目的として生産され又は取引される有体物であると解すべきであるところ,乙各号証は,上記(1)のとおり,株式会社アッシュの採用パンフレットというのが相当であって,採用パンフレットは,求職者に向けて,会社説明会や合同説明会で配布されるのが一般的であることから,一般市場で流通に供されることを目的に生産された有体物であるとはいえないため,商標法上の「商品」と認めることはできない。
(3)本件商標と使用標章との社会通念上の同一性について
本件商標は,別掲のとおり,灰色で縁取りされた紺色の横長楕円形の内部に,縁取りと同じ灰色で「Ash」の文字及びその下に小さく「HAIR MAKE」の文字を表した構成からなるものであるところ,使用標章は,「Ash」の文字又は正方形の内部下方に「Ash」の文字を表したものである。
そこで本件商標と使用標章を比較すると,本件商標と使用標章とは,外観においては,「HAIR MAKE」の文字の有無,輪郭の相違など著しく異なり,称呼においては,本件商標から生じる「アッシュヘアメイク」の称呼と使用標章から生じる「アッシュ」の称呼とは,「ヘアメイク」の音の有無に明確な差異を有するため,社会通念上同一の商標とは認めることはできない。
3 まとめ
以上のとおり,被請求人は,要証期間に日本国内において,商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが本件審判の請求に係る指定商品について本件商標の使用をしていることを証明したものと認めることはできない。
また,被請求人は,本件審判の請求に係る指定商品について本件商標の使用をしていないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって,本件商標の登録は,商標法第50条第1項の規定により,本件審判の請求に係る指定商品についての登録を取り消すべきものである。
よって,結論のとおり審決する。


別掲 本件商標(色彩については,原本参照。)



別掲
審理終結日 2020-10-28 
結審通知日 2020-11-02 
審決日 2020-11-18 
出願番号 商願2009-23920(T2009-23920) 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (X16)
最終処分 成立  
前審関与審査官 飯田 亜紀 
特許庁審判長 半田 正人
特許庁審判官 平澤 芳行
佐藤 松江
登録日 2010-09-03 
登録番号 商標登録第5350784号(T5350784) 
商標の称呼 アッシュヘアメーク、アッシュ、エイエスエッチ、エイエスエイチ 
代理人 門田 尚也 
代理人 名越 秀夫 
代理人 杉村 憲司 
代理人 西尾 隆弘 
代理人 杉村 光嗣 
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