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審決分類 |
審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 103 |
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管理番号 | 1370195 |
審判番号 | 取消2019-300712 |
総通号数 | 254 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2021-02-26 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2019-09-24 |
確定日 | 2020-12-21 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第2437697号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第2437697号商標の指定商品中、第3類「化粧品」についての商標登録を取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第2437697号商標(以下「本件商標」という。)は、「ブランダー」及び「BLONDOR」の文字を上下二段に表してなり、平成元年10月27日に登録出願、第4類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同4年7月31日に設定登録されたものである。 その後、平成15年7月30日付けの指定商品の書換登録により、その指定商品は、第3類「せっけん類,歯みがき,化粧品,香料類」となった。 2 請求人の主張 請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第4号証を提出した。 (1)請求の理由 本件商標は、その指定商品中、第3類「化粧品」について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実がないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。 (2)答弁に対する弁駁 ア 乙第1号証(商品の写真)について (ア)乙第1号証は、一見すれば、本件商標がその指定商品の包装に使用されていることを示すように見えるが、表示方法に不自然な点があり、本件商標の使用があったか疑念を抱かざるを得ない。 a 乙第1号証の写真の商品には、正面に貼り付けられたシールに目立つように「ブランダー」及び「BLONDOR」の文字を記載しておきながら、本件商標権者が商品の販売名として把握していない点が不可解である。 b 商品名という重要な情報を、印刷シールで貼り付けるという簡易な方法で表示していることは、不自然である。現に、株式会社ジュテームの他の製品(甲3、甲4)は、商品名や商標を包装容器(チューブ)に印刷している。 そのため、本件商標を表示した製品が、実際に商品として流通したかは不明であって、本件審判請求後に、証拠提出のためにシールを印刷し、包装容器に貼り付けた可能性を否定できない。 c 乙第1号証の写真は、撮影日時、撮影場所、撮影者が不明である。本件審判請求の後に作成されたことが疑われる。 d 被請求人は、株式会社ジュテームが、我が国における通常使用権者であることを立証しない。 被請求人は、本件商標権者がODM(Original Design Manufacturing)の形態をとる会社であり、化粧品の処方・開発、ブランド提案を行っており、株式会社ジュテームが商品販売をしている旨を主張するが、単にその事実をもって直ちに同社が通常使用権者であると認定又は推認できない。仮に同社が通常使用権者等であれば、本件商標権者と同社の間で交わされた契約書又は法的書類が最低限証拠として提出されるはずである。 イ 乙第2号証(納品書)及び乙第3号証(請求書)について a 乙第2号証及び乙第3号証は、本件商標の記載がないため、本件商標の使用の事実を客観的に証するものではない。それらは、「ジュテーム ヘアカラートリートメント 200g」(以下「本件使用商品」という。)や商標「ジュテーム」が使用されていることを示すにすぎない。 b 乙第2号証及び乙第3号証によれば、本件使用商品が株式会社ジュテームに納品されたように見えるが、それが乙第1号証の写真に掲載された商品と同一の物であるとの裏付けはない。 ウ 乙第4号証(化粧品製造販売届書)について 乙第4号証には、本件商標がその指定商品に使用されていることを示す記載はおろか、本件商標の記載もない。したがって、乙第4号証は、本件商標の指定商品における使用を証するものではなく、「ジュテーム ヘアカラートリートメント」や「ジュテーム」の商標が使用されている事実を示すにすぎない。 また、乙第4号証は、作成日が「平成25年12月2日」とされており、本件審判請求の登録前3年以内(平成28年(2016年)10月4日から令和元年(2019年)10月3日まで。以下「要証期間」という。)に作成されたものではない。 さらに、乙第4号証は、商標権者ではなく、株式会社ジュテームが作成したものである。同社が本件商標に係る通常使用権者である事実は立証されていない。 3 被請求人の主張 被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、審判事件答弁書において要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第4号証(枝番号を含む。)を提出した。 (1)答弁の理由 ア 本件商標権者は、要証期間に我が国において、本件審判の請求に係る指定商品中「ヘアカラートリートメント」について、本件商標を使用している。 イ 乙第1号証の1には、本件商標を構成する文字である「ブランダー」の片仮名及び「BLONDOR」の欧文字が記載されている。 ウ 乙第1号証の2には、「株式会社ジュテーム」の名称が記載されている。本件商標権者は、そこに名称が記載されていないものの、ODMの形態をとる会社で、化粧品の処方開発からブランド提案まで行っており、乙第1号証の「ヘアカラートリートメント」も企画開発し、「株式会社ジュテーム」が販売しているものである。したがって、乙第1号証の1及び2には、本件商標権者の表示はないとしても、同社が「株式会社ジュテーム」に販売しているものである(乙2、乙3)。 エ 乙第2号証の1の「納品書」には、「2017/3/3」に、本件商標権者から「株式会社ジュテーム」本社に、本件使用商品が258個納品されたことが記載されている。 また、乙第2号証の2の「納品書」には、「2017/03/06」に、本件商標権者から「株式会社ジュテーム」本社に、本件使用商品が816個納品されたことが記載されている。 オ 本件使用商品は、本件商標を付した商品の販売名である(乙1の2)。 カ 乙第3号証は、上記納品書に係る「請求書」であり、「17/03/31」に本件商標権者が発行し、「株式会社ジュテーム」に本件使用商品の費用を請求した。 キ 「化粧品製造販売届書」(乙4)には、「ジュテーム ヘアカラートリートメント」が販売名として記載されており、本件使用商品が適法に販売されていたことを証明している。 4 当審の判断 (1)被請求人が提出した証拠によれば、以下の事実が認められる。 ア(ア)乙第1号証の1は、チューブ状の商品(ヘアカラートリートメントとされる。)を正面から写した写真であり、それに貼られたシール状のラベルには、「HAIR COLOR TREATMENT」、「ダークブラウン」、「ブランダー」、「BLONDOR」、「JE T’AIME」及び「白髪用ヘアカラートリートメント」の文字が表記されている。 (イ)乙第1号証の2は、上記と同様のチューブ状の商品を背面から写した写真であり、それに貼られたシール状のラベルには、「ジュテーム ヘアカラートリートメント」、「〈ダークブラウン〉」、「株式会社ジュテーム」の文字が表記されている。 イ 乙第2号証は、本件商標権者が「株式会社ジュテーム」宛てに発行した「納品書(控)」であり、本件使用商品を、複数回にわたり(2017年3月3日、同月6日)、相当数(258個、816個)を納品したことが記載されている。 なお、乙第3号証は、本件商標権者が「株式会社ジュテーム」宛てに発行した、上記取引に相応する2017年3月31日付けの「請求書(控)」である。 (2)ア 上記認定事実によれば、本件商標権者によって、要証期間(2017年3月3日、同月6日)に、本件使用商品が株式会社ジュテームに納品されたことがうかがえる。 しかしながら、本件使用商品は、その商品名(ジュテーム ヘアカラートリートメント)から「株式会社ジュテーム」の業務に係る商品であると理解できる(仮に本件使用商品が乙第1号証の2の商品に相当するのであれば、同社の名称のみが当該商品包装に明記されてもいる。)もので、当該商品と本件商標権者との具体的関係を示す証拠もないから、上記納品は株式会社ジュテームの商品に係る取引の一環として、その製造委託先である本件商標権者から納品されたにすぎないと理解するのが自然である。 そして、株式会社ジュテームは、本件商標と関連した法的地位が明らかではなく、その専用使用権者又は通常使用権者と認めることはできない。 そうすると、上記納品は、第三者である株式会社ジュテームの業務に係る取引行為というべきで、本件商標の商標権者、専用使用権者又は通常使用権者による使用行為(引渡し)とはいえない。 イ また、上記取引に係る本件使用商品が本件商標を表示していたか否かは明らかではなく、乙第1号証の写真の商品にしても、品番などから直接的なつながりを確認、照合できず、その他に、両商品の具体的関連性を認めるに足りる証拠は提出されていない。 なお、乙第1号証の商品写真は、撮影日、撮影場所及び撮影者などが不明であって、包装の正面には本件商標に相当する「ブランダー」及び「BLONDOR」の商標の記載をしながら、背面には当該商標や本件商標権者に関する言及が全くないことに不自然さがあるなど、その信ぴょう性に疑問もある。 そのため、被請求人が提出した証拠によっては、上記アの取引に係る本件使用商品が、本件商標を付したものであったと認めることはできない。 ウ 以上のとおり、被請求人は、要証期間内に、日本国内において本件商標の商標権者、専用使用権者又は通常使用権者がその請求に係る指定商品についての登録商標の使用(本件商標を付した化粧品の譲渡又は引渡しなど)をしていることを証明していないと認められる。 (3)まとめ 以上を踏まえると、被請求人は、要証期間内に、日本国内において商標権者がその指定商品中、その請求に係る商品について登録商標を使用していることを証明していないから、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審理終結日 | 2020-10-21 |
結審通知日 | 2020-10-23 |
審決日 | 2020-11-10 |
出願番号 | 商願平1-122706 |
審決分類 |
T
1
32・
1-
Z
(103)
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最終処分 | 成立 |
特許庁審判長 |
半田 正人 |
特許庁審判官 |
大森 友子 阿曾 裕樹 |
登録日 | 1992-07-31 |
登録番号 | 商標登録第2437697号(T2437697) |
商標の称呼 | ブランダー |
代理人 | 稲葉 良幸 |
代理人 | 石田 昌彦 |
代理人 | 田中 克郎 |
代理人 | 右馬埜 大地 |