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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 041
管理番号 1370094 
審判番号 取消2018-300280 
総通号数 254 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2021-02-26 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2018-05-09 
確定日 2020-12-18 
事件の表示 上記当事者間の登録第3311397号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第3311397号商標(以下「本件商標」という。)は、「HIMARAYA」の欧文字よりなり、平成5年8月10日に登録出願、第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,ゴルフの興行の企画・運営又は開催,音響用又は映像用のスタジオの提供,運動施設の提供,娯楽施設の提供,スキー用具の貸与,スキンダイビング用具の貸与,ゴルフ用具の貸与」を指定役務として、同9年5月23日に設定登録されたものである。
そして、本件審判の請求の登録日は、平成30年5月23日である。
なお、本件審判の請求の登録前3年以内の期間である平成27年5月23日から同30年5月22日までを、以下「要証期間」という。

第2 請求人の主張
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の指定役務中、第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,ゴルフの興行の企画・運営又は開催,娯楽施設の提供」(以下「取消請求役務」という。)についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、その理由を要旨次のように述べた。
本件商標は、取消請求役務について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても使用されていないから、商標法第50条第1項の規定により、その登録は取り消されるべきである。
なお、請求人は、被請求人提出の審判事件答弁書、令和元年6月10日付け回答書(以下「回答書1」という。)及び同年10月25日付け回答書(以下「回答書2」という。)に対して、何ら弁駁していない。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、答弁書、回答書1及び回答書2において、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第24号証を提出した。
1 答弁の理由
(1)本件商標は、要証期間以内に日本国内において取消請求役務について使用されているものであるから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものではない。
(2)被請求人による使用の事実
被請求人は、本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標を用いて、「スポーツの教授」及び「ゴルフの興行の開催」を行っている。
乙第1号証は、被請求人が2016年7月2日にファイターズ鎌ケ谷スタジアムにおいて小学生を対象とした野球教室を開催した際のイベント告知及び参加者募集のフライヤーの写しである。このフライヤーには、「北海道日本ハムファイターズ野球教室参加者募集」の見出しと共に主催者の表示として本件商標と社会通念上同一の商標「ヒマラヤ」が表示されている。
乙第2号証は、乙第1号証で示した野球教室の社内のイベント報告書及びその野球教室のイベントの様子を写した写真の写しである。野球教室への参加者が写った集合写真には「HIMARAYA/DREAM PROJECT 少年野球教室」と横断幕に表示されており、主催者である被請求人の本件商標「HIMARAYA」の文字が使用されている。また、バックスクリーン及びフェンスが写った写真にも、本件商標と社会通念上同一の商標である「ヒマラヤ」が表示されている。
乙第3号証は、2017年8月28日に長良川球場で開催された野球教室の被請求人ウェブサイトに掲載されているイベントレポートの写しである。
このレポートの写真にも参加者の集合写真が掲載されており、本件商標と社会通念上同一の商標である「ヒマラヤ」が横断幕に記載されている。
乙第4号証は、2018年に開催中の野球教室のイベント告知及び参加者募集のフライヤーの写しであり、被請求人の実店舗で配布されたものである。
乙第5号証は、乙第4号証のフライヤーを被請求人のウェブサイトのイベントスケジュールに掲載したものの写しである。
乙第1号証ないし乙第5号証により、被請求人が本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標を「スポーツの教授」において使用していることは明らかである。
乙第6号証は、被請求人が平成28年11月14日に名古屋港ゴルフ倶楽部において60歳以上のアマチュアゴルファーを対象としたシニアゴルフ大会を主催した際のイベント告知及び参加者募集のフライヤーの写しである。
このフライヤーには「ヒマラヤGOLFカップ/シニアゴルフ大会」が見出しとして表示され、本件商標と社会通念上同一の商標「ヒマラヤ」が表示されている。
乙第6号証により、被請求人が本件商標と社会通念上同一の商標を「ゴルフの興行の開催」において使用していることは明らかである。
乙第1号証ないし乙第6号証により、被請求人が本件商標「HIMARAYA」又は本件商標と社会通念上同一の商標「ヒマラヤ」を、「技芸・スポーツ又は知識の教授,ゴルフの興行の企画・運営又は開催」について、要証期間内に使用していることは明らかである。
(3)以上のとおり、被請求人は、要証期間内に日本国内において本件商標を取消請求役務について使用していたといえる。
2 審尋に対する回答(回答書1)
(1)2016年7月2日開催の野球教室(乙1、乙2)に関する北海道日本ハムファイターズとの契約書等、当該野球教室が実際に開催されたことを客観的に把握することができる証拠について
ア 北海道日本ハムファイターズと被請求人は、2015年11月1日にスポンサー契約を締結しており、契約書第3条第1項には、「鎌ケ谷スタジアム バックネット裏広告看板」についての規定が明記され、同条第5項には、「野球教室の開催」についての規定が明記されている(乙7)。この契約に基づき、被請求人は、平成28年7月2日にファイターズ鎌ケ谷スタジアムにおいて野球教室(乙1、乙2)を開催し、その際の広告として標章「HIMARAYA」又は「ヒマラヤ」を使用した。
イ 被請求人は、北海道日本ハムファイターズから契約書(乙7)に基づき、「2017年のスポンサーシッププログラム」として、ファイターズ鎌ケ谷スタジアムでの野球教室開催の提案を再度受けており、その提案書には、「2016年実績」として、乙第1号証に係る野球教室の概要と共にその際の様子を撮影した写真が掲載されている(乙8)。
(2)乙第2号証に掲載されている写真の撮影日、撮影場所及び撮影者について
乙第2号証は、被請求人の乙第1号証の野球教室イベントの社内報告書であり、撮影日は2016年7月2日、撮影場所はファイターズ鎌ケ谷スタジアム、撮影者は被請求人の従業員である。乙第2号証に掲載されている写真と同じ撮影日及び同じ撮影場所の写真を北海道日本ハムファイターズが撮影したものが、乙第8号証の「2016年実績」として掲載されている。
(3)乙第1号証の野球教室のフライヤーの作成事実、頒布事実を客観的に把握することができる証拠について
被請求人が乙第1号証のフライヤーのデータ作成を第三者であるサンメッセ株式会社に依頼した際の見積書の写し(乙9)、被請求人がサンメッセ株式会社から当該データを受領した際の受領書の写し(乙10)を提出し、フライヤーの作成事実を証明する。見積書の日付は平成28年5月25日と明示されており、品名に「日本ハム野球教室データ作成」と明示されている(乙9)。この乙第9号証の見積書の品名及び乙第10号証の受領書の品名に記載された「日本ハム野球教室データ作成」が、乙第1号証のフライヤーのデータ作成である。
(4)乙各号証の記載事項が商標法第2条第3項各号のいずれかに該当するかについて
ア 乙第1号証は、野球教室の開催を告知するフライヤーであり、上段に「ヒマラヤイオンモール千葉ニュータウン店・船橋習志野店/ユニモちはら台店・葛飾奥戸店・木場店限定企画!!」と記載されていること、また、その下に北海道日本ハムファイターズのロゴと共に被請求人を表す「ヒマラヤ」の標章が併記されていることから、被請求人が北海道日本ハムファイターズと共同でこの野球教室を主催したことを示すものである。
野球教室の開催は、指定役務「技芸・スポーツ又は知識の教授」に他ならず、当該野球教室の開催の告知及び参加者募集の当該フライヤーは、当該指定役務に関する広告に該当する。
したがって、乙第1号証は、指定役務に関する広告に、標章「ヒマラヤ」を付して展示し、若しくは頒布したことを示すものであり、その行為は、商標法第2条第3項第8号に規定する使用に該当する。
なお、乙第1号証に記載された「ヒマラヤ」の標章は、被請求人が業として提供する役務について使用する商標であり、本件商標と片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標として、社会通念上同一と認められる商標である。
イ 乙第2号証は、乙第1号証に係る野球教室の報告書である。乙第2号証の第1頁に掲載された写真は、参加者らの集合写真の撮影の際に用いられた横断幕に「HIMARAYA」の標章が付されていることを示している。 また、乙第2号証第3頁下段及び第4頁下段に掲載された写真は、それぞれ野球教室の会場となった鎌ヶ谷スタジアムのバックスクリーン及びフェンスに「ヒマラヤ」の標章が付されている様子を示している。当該野球教室の開催が指定役務「技芸・スポーツ又は知識の教授」に該当し、野球教室の会場における上記の横断幕、バックスクリーン及びフェンスへの標章の掲示は、指定役務に関する広告に他ならない。
したがって、乙第2号証は、指定役務に関する広告に標章「HIMARAYA」又は「ヒマラヤ」を付して展示したことを示しており、その行為は、商標法第2条第3項第8号に規定する使用に該当する。
ウ 乙第3号証は、被請求人の本館店舗限定企画として、2017年8月28日に岐阜メモリアルセンター長良川球場において、元中日ドラゴンズの選手を講師として開催された野球教室の様子を示す報告書である。乙第3号証の2頁下段右側に掲載された写真は、参加者らの集合写真の撮影の際に用いられた横断幕に「ヒマラヤ」の標章が付されていることを示している。
したがって、乙第3号証は、指定役務に関する広告に標章「ヒマラヤ」を付して展示したことを示しており、その行為は、商標法第2条第3項第8号に規定する使用に該当する。
エ 乙第4号証は、野球教室(ベースボールクリニック)の開催を告知したフライヤーであり、「ヒマラヤ/ベースボールクリニック」と記載されている。また、当該野球教室のアドバイザリーとして「ヒマラヤ野球アドバイザリー」の元プロ野球選手が担当するクリニックの開催日・開催会場と共に紹介されている。このことから、被請求人が自身の野球アドバイザリーである元プロ野球選手を講師としてこの野球教室を主催したことを示すものである。
野球教室の開催は、指定役務「技芸・スポーツ又は知識の教授」に他ならず、当該野球教室の開催の告知及び参加者募集の当該フライヤーは、当該指定役務に関する広告に該当する。
したがって、乙第4号証は、指定役務に関する広告に、標章「ヒマラヤ」を付して展示し、若しくは頒布したことを示すものであり、その行為は、商標法第2条第3項第8号に規定する使用に該当する。
オ 乙第5号証は、乙第4号証のフライヤーを被請求人のウェブサイト上のイベントスケジュールとして公衆に告知したものである。このウェブサイト上のフライヤーは、閲覧者がウェブサイト上でこのフライヤー(ポスター)をクリックすることにより、乙第4号証の拡大されたフライヤーが表示されるようになっており、乙第4号証のフライヤーが店頭での展示、頒布のみならず、電磁的方法によっても提供されていたことを示すものである。
野球教室の開催は、指定役務「技芸・スポーツ又は知識の教授」に他ならず、当該野球教室の開催の告知及び参加者募集の当該フライヤーは、当該指定役務に関する広告に該当する。
したがって、乙第4号証は、指定役務に関する広告に、標章「ヒマラヤ」を付して展示し、若しくは頒布し、又は電磁的方法により提供されたことを示すものであり、その行為は、商標法第2条第3項第8号に規定する使用に該当する。
カ 乙第6号証は、被請求人が、名古屋港ゴルフ倶楽部において、平成28年11月14日に開催した「シニアゴルフ大会」の告知及び参加者募集のフライヤーである。乙第6号証のフライヤーには「ヒマラヤ GOLF カップ」とのタイトルが上段に記載されており、「ヒマラヤ」の標章が付されている。また、当該フライヤー下段には、「主催/名古屋港ゴルフ倶楽部(富浜コース) 特別協賛/(株)ヒマラヤ」の記載があり、被請求人が、主催である名古屋港ゴルフ倶楽部(富浜コース)と共にゴルフ大会を共催したことを示している。
ゴルフ大会の開催は、指定役務「ゴルフの興行の企画・運営又は開催」に該当し、乙第6号証は、指定役務に関する広告に標章「ヒマラヤ」を付して展示し、若しくは頒布したことを示しており、その行為は、商標法第2条第3項第8号に規定する使用に該当する。
3 審尋に対する回答(回答書2)
(1)2016年7月2日開催の野球教室(乙1、乙2)を被請求人が提供していることについて
乙第1号証に示した野球教室は、乙第7号証の契約書には「冠スポンサー」とはあるものの、乙第8号証の北海道日本ハムファイターズが提出した野球教室開催実績報告書の第3頁目「イベント」に「ヒマラヤ様主催の野球教室をファイターズ鎌ケ谷スタジアムで実施出来ます。」と記載されているように、被請求人の主催で開催されたものである。すなわち、乙第8号証より、北海道日本ハムファイターズにおいても、当該野球教室の主催者は被請求人であると認識していたことがわかる。
よって、本件の場合は、乙第7号証の契約書の第3条の規定にかかわらず、指定役務「技芸・スポーツ又は知識の教授」の提供を行ったのは主催者である被請求人である。
(2)乙第3号証に係る野球教室について
ア 野球教室の具体的な内容について
乙第3号証の写真の説明に、【野球教室 指導1】「バッティングの指導」、【野球教室 指導3】「投げるときの基本をしっかり指導」、【走り方教室】「少しでも早く走るために練習」と具体的な野球教室の内容の一部が明記されている。
イ 被請求人と講師の関係
乙第3号証の野球教室の講師は、「元プロ野球選手 山北茂利氏」である旨の記載があるが、同氏は、平成22年6月21日より被請求人が雇用している契約社員・野球用品アドバイザリーである(乙11)。
(3)乙第4号証及び乙第5号証に係るベースボールクリニックについて
ア ベースボールクリニックの具体的な内容について
乙第4号証には、「連続撮影を活用した最新フォーム分析マシンで、あなたのピッチングフォーム・バッティングフォームを徹底解析!データを分析しアドバイスします!」の記載が、乙第5号証の「概要」には、「元プロ野球選手であるヒマラヤ野球アドバイザリーが、ピッチィングやバッティングのフォームをデジタルカメラで撮影し、撮影した画像を分析します。用紙に出力した画像を使用して、元プロ野球選手ならではのアドバイスいたします。」と明記されている。また、当該ベースボールクリニックに参加した需要者が自身のブログにおいて「投球動作をビデオで撮影して動作解析しながら改善点を元プロ野球選手が解説&指導してくれました」と、そのベースボールクリニックの内容を報告している。
イ 被請求人と「野球アドバイザリー」の関係について
上記(2)イに記載の山北茂利氏と同様に、加藤大輔氏については平成26年1月21日より、高宮和也氏については平成29年12月7日より被請求人が雇用している契約社員・野球用品アドバイザリーであり、乙第4号証の野球アドバイザリーは被請求人に属している(乙11)。
ウ 客観的な開催事実、フライヤーの作成・頒布事実について
乙第4号証及び乙第5号証で示したヒマラヤベースボールクリニックと同様のフライヤー(乙12)を使用して2017年にもヒマラヤベースボールクリニックが開催されている。
乙第13号証は、2017年8月6日に、乙第12号証にあるベースボールクリニックに参加した第三者のブログにおいて、被請求人により頒布されたフライヤー、被請求人の店舗にて開催されたベースボールクリニックの様子を写真付きにて紹介しているものである。ブログの日付は2017-08-06となっており、当該ブログにはベースボールクリニックの開催日についての直接の明記はないものの、「台風の直撃は逃れましたがその影響で行橋市水泳大会が中止になり今日は完全なオフになりました なので前から予約していた中津のヒマラヤスポーツで開催されたベースボールクリニックに行ってきました」の記載がある。ブログの日付である2017-08-06に記載された台風の影響で中止となった行橋市水泳大会とは、「第1回ゆくはしオープンウォータースイムレース」のことであることが、一般社団法人日本国際オープンウォータースイミング協会のウェブサイトのお知らせから確認できる(乙14)。
上記乙第13号証の2017年ヒマラヤベースボールクリニックへの参加者ブログの記事の日付と記載内容、乙第14号証の一般社団法人日本国際オープンウォータースイミング協会のウェブサイトのお知らせの記載から、乙第13号証の需要者のブログで紹介された「中津のヒマラヤスポーツで開催されたヒマラヤベースボールクリニックに行ってきました」とは、2017年8月6日に被請求人の中津店において開催されたものであることが認識できる。このことは、2017年に開催されたヒマラヤベースボールクリニックのフライヤー(乙12)の記載においても2017年8月6日に当該ベースボールクリニックが開催されたのは被請求人の中津店であることが明記されており、乙第12号証ないし乙第14号証から、乙第4号証のベースボールクリニックと同じベースボールクリニックは、乙第12号証に記載の2017年8月6日にも実際に開催されており、この開催日は要証期間内において開催されたものを証明するものである。
また、乙第13号証のブログは、乙第12号証のヒマラヤベースボールクリニックの一般参加者のものであり、このブログの記載者が乙第12号証と同じ2017年版のフライヤーを写真で掲載していることから、被請求人がこのフライヤーを作成し、一般参加者向けに頒布し、実際に需要者の手に渡っていたことも明らかである。
上記(3)アに記載のとおり、当該ベースボールクリニックへの参加者は自身のブログにおいて「投球動作をビデオで撮影して動作解析しながら改善点を元プロ野球選手が解説&指導してくれました」と、被請求人が行ったベースボールクリニックの様子を写真と共に紹介している。
以上のことから、要証期間において当該ベースボールクリニックが開催されたこと、及びフライヤーが作成され頒布されたことは明らかである。
4 ゴルフ大会について
乙第15号証は、2015年10月29日に各務原カントリークラブにおいて開催された「岐阜オープンクラシック2016 ミッドアマ・シニア予選第4回ヒマラヤGOLFカップ」(以下「ヒマラヤGOLFカップ」という。)の被請求人と共同主催である岐阜新聞・ぎふ放送が発行した「第4回ヒマラヤGOLFカップの開催報告書」である。当該GOLFカップは、ミッド(25歳以上の男女アマチュアゴルファー)及びシニア(50歳以上の男女アマチュアゴルファー)に、2016年4月9日、10日に開催された岐阜オープンクラシック2016への出場資格を与えるために開催されたものである。このヒマラヤGOLFカップは、被請求人と岐阜新聞・ぎふチャン(株式会社岐阜放送の放送局である「ぎふ放送(局)」の通称)が主催となり開催されている。また、株式会社岐阜放送は株式会社岐阜新聞社の完全子会社であり、岐阜新聞・ぎふチャンは一体として被請求人と共にヒマラヤGOLFカップを共催している。
被請求人は、ヒマラヤGOLFカップの主催として、当該ゴルフ大会の開催にあたり、乙第15号証7頁目に記載のように、(1)DM送付、(2)新聞告知、(3)テレビ・ラジオCM、(4)岐阜オープンクラシック大会公式ホームページ及び(5)CGA秋号(中部ゴルフ連盟の加盟クラブ会報)の手段により、参加者への大会の告知及び一般需要者への広告を行った。
乙第16号証は、ヒマラヤGOLFカップの要項兼申込書であり、上記(1)DM送付として、過去に岐阜オープン予選に出場経験のある1,041人に送付された。このDMは、乙第15号証7頁目記載のように、被請求人のヒマラヤゴルフ用品取扱店(8店舗)から、被請求人の顧客データを元に発送された。なお、第4回ヒマラヤGOLFカップの要項にも、「主催 株式会社ヒマラヤ、岐阜新聞・ぎふチャン」と明記されており、被請求人が主催としてヒマラヤGOLFカップの開催に向けて参加者を募集し、一般需要者に広告を行ったことは明らかである。
乙第17号証ないし乙第19号証は、上記(2)新聞によって行われたヒマラヤGOLFカップの参加者への大会告知及び一般需要への大会開催の広告の写しである。
乙第17号証は、2015年(平成27年)9月19日発行の岐阜新聞の写しであり、スポーツの20面に掲載され、「第4回ヒマラヤGOLFカップ」のタイトルが付され、その記事に「第4回ヒマラヤGOLFカップを開催します」との記載、開会概要、申込方法、問合せ先等とあわせて、「開催日10月29日」との記載がある。
乙第18号証は、2015年(平成27年)10月7日発行の岐阜新聞の写しであり、文化の14面に掲載された「第4回ヒマラヤGOLFカップ」の広告バナーとなる。この広告バナーには、「岐阜オープンクラシック2016 ミッドアマ・シニア予選 第4回ヒマラヤGOLFカップ」の開催日、開催場所、出場資格、参加料及び申込方法の詳細並びに「出場者募集中」の記載があり、主催者として「ヒマラヤ、岐阜新聞・ぎふチャン」の名称が記載されている。
第19号証は、2015年(平成27年)10月12日発行の岐阜新聞の写しであり、乙第18号証と同様の内容の広告バナーが県内総合の第9面に掲載されている。
乙第20号証は、2015年(平成27年)10月27日発行の岐阜新聞の写しであり、スポーツの22面に「第4回ヒマラヤGOLFカップ」に関する記事が掲載されており、「29日にヒマラヤGOLFカップ 76人がエントリー」の見出しの下、「ゴルフの岐阜オープンクラシック2016ミッドアマ・シニア予選『第4回ヒマラヤGOLFカップ』(ヒマラヤ、岐阜新聞・ぎふチャン共催)は29日、各務原市の各務原カントリークラブ(6784ヤード、パー72)で行われる。」との内容が報じられている。
乙第21号証は、上記(3)テレビ・ラジオCMに関し、放送を実際に行った事業者である株式会社岐阜新聞社・ぎふチャンが被請求人宛てに発行した「テレビ・ラジオ事業告知CM放送確認書」である。この書類には、発行日2015年11月1日、放送局:株式会社岐阜放送 広告主:株式会社ヒマラヤ、岐阜新聞・ぎふチャン、事業名:第4回ヒマラヤGOLFカップと明記されている。また、テレビ・ラジオCM放送期間(使用期間)として、テレビCMについては、2015年9月24日から2015年10月14日まで、ラジオCMについては、2015年9月18日から2015年10月14日までと明記されている。
乙第22号証は、乙第21号証で示した放送局である岐阜放送において実際に放送されたテレビCMのプリントアウトである。このCMにも、第33回岐阜オープンクラシック2016 ミッドアマ・シニア予選 第4回ヒマラヤGOLFカップのタイトルと、その開催日、開催場所、被請求人の名称を含んだ主催の名称、出場資格、参加料、大会事務局の連絡先などが表示されている。
乙第23号証は、CGAの名称で2015年秋号として発行された中部ゴルフ連盟の加盟クラブ会報の表紙及びトピックスに記載された記事であり、「岐阜OP予選。ミッドアマ・シニアが挑戦する『ヒマラヤ・カップ』に注目!!」の見出しの下、当該ゴルフ大会の紹介、第33回岐阜オープンクラシック2016の予選会として「ヒマラヤGOLFカップ 12名 (ミッドアマ・シニア予選)10月29日(木)/各務原CC」との大会の概要が掲載されている。
乙第24号証は、2015年(平成27年)10月30日発行の岐阜新聞の写しであり、スポーツの21面に掲載された、「第4回ヒマラヤGOLFカップ」の大会結果の記事である。この記事には、「第4回ヒマラヤGOLFカップは29日、各務原市の各務原カントリークラブで行われ」と記載されており、ヒマラヤGOLFカップが実際に2015年10月29日に開催されたことが記事となっている。
上記乙第15号証ないし乙第24号証は、いずれも要証期間に被請求人が主催としてゴルフ大会の参加者募集を行い、実際に大会を開催したことを示している。
ゴルフ大会の参加者募集及び開催が、指定役務「ゴルフの興行の企画・運営又は開催」に該当することは明らかであり、乙第15号証ないし乙第24号証は、指定役務に関する広告に本件商標と社会通念上同一である標章「ヒマラヤ」を付して展示し、若しくは頒布したことを示しており、その行為は、商標法第2条第3項第8号に規定する使用に該当する。

第4 当審の判断
1 事実認定
(1) 被請求人提出の乙各号証及び同人の主張によれば、次の事実を認めることができる。
ア 乙第15号証は、被請求人が「第4回ヒマラヤGOLFカップ開催報告書」と主張するものであり、1葉目には、10人のプレイヤーの写真を背景に、「GIFU OPEN CLASSIC」の欧文字が大きく表示され、その下に、「2016.4/9sat 10sun/第33回 岐阜オープンクラシック2016 各務原カントリー倶楽部」の表示がある。さらに、その下には、「第4回ヒマラヤGOLFカップ 開催報告書/主催 ヒマラヤ 岐阜新聞・ぎふ放送」の表示がある。
2葉目には、「御礼と大会報告」の見出しの下、「この度は10月29日に開催させて頂きました、第33回岐阜オープンクラシック2016のミッドアマ・シニア予選『第4回ヒマラヤGOLFカップ』にご協賛いただきまして誠に有難うございました。・・・見事に予選を通過した計12名の選手には来年4月9日、10日に開催される第33回岐阜オープンクラシック2016への出場資格が与えられました。」との記載がある。
5葉目には、「第4回ヒマラヤGOLFカップ/(第33回岐阜オープンクラシック2016 ミッドアマ・シニア予選)」の見出しの下、「組み合わせ並びにスタート時刻表/参加者76名」、「期日:平成27年10月29日(木)」、「会場:各務原カントリー倶楽部」の表示があり、OUTコース及びINコースのそれぞれの組み合わせとスタート時刻が記載された表が掲載されている。
6葉目には、6枚の写真が掲載されており、「1番ホール」と題された写真には、テントの左側に「ヒマラヤ」の文字が表示されたポールが写されており、「テラス」と題された写真には、壁に「ヒマラヤ」の文字が表示された横断幕が写されており、「表彰式の様子」と題された写真には、壁に「ヒマラヤ/GOLF」の文字が表示された幕が写されている。
7葉目には、「大会告知」の項に、「大会告知は9月中旬からスタート。告知方法は」として、「1(数字は○で囲まれている。以下同じ。)DM送付/・1度でも岐阜オープン予選に出場した経験があり、年齢・ハンディキャップ規定を満たす者→1041人/・ヒマラヤゴルフ用品取扱店→本店含め8店舗」、「2 新聞告知/・社告記事 9月19日掲載/・記事下広告 10月7日、12日掲載」、「3 テレビ・ラジオCM/・9月中旬から締め切りまでの1ヶ月 随時オンエア(ぎふチャン)」,「4 岐阜オープンクラシック大会公式ホームページ/・トップページにて掲載」及び「5 その他 CGA秋号 告知掲載」との記載がある。
イ 乙第16号証は、被請求人が「第4回ヒマラヤGOLFカップ要項」と主張するものであり、「第4回ヒマラヤGOLFカップ/(第33回岐阜オープンクラシック2016 ミッドアマ・シニア予選)要項」の表題の下、「主催」として「株式会社 ヒマラヤ、岐阜新聞・ぎふチャン」、「後援」として「岐阜県ゴルフ連盟、岐阜県ゴルフ練習場連盟」、「期日」として「平成27年10月29日(木) ※予備日10月30日(金)」、「会場」として「各務原カントリー倶楽部」との記載がある。
そして、「申込方法」として「下記の申込書に必要事項を記入し、10月14日(水)までに大会事務局へ直接FAXで申し込む。参加料は必ず申込書に記載した名義で10月14日までに下記口座へ振込む。」との記載がある。
ウ 乙第17号証は、2015年(平成27年)9月19日発行の岐阜新聞の20面の写しであり、「岐阜新聞・ぎふチャン」の文字と共に四角に囲まれた記事には、「岐阜オープン ミッドアマ・シニア予選/第4回ヒマラヤGOLFカップ」の見出しの下、「ミッドアマ、シニアを対象とした第4回ヒマラヤGOLFカップを開催します。」、「開催日 10月29日(木)」、「共催 ヒマラヤ」との記載がある。
エ 乙第18号証は、2015年(平成27年)10月7日発行の岐阜新聞の14面の写しであり、広告欄に、「岐阜オープンクラシック2016 ミッドアマ・シニア予選/第4回 ヒマラヤGOLFカップ(「第4回」の文字は小さく表示されている。)/10/29(木) 各務原カントリー倶楽部」の記載があり、その右側には、「出場者募集中」の記載がある。そして、広告欄の下部には、「ヒマラヤ/岐阜新聞 ぎふチャン」の表示がある。
オ 乙第19号証は、2015年(平成27年)10月12日発行の岐阜新聞の9面の写しであり、広告欄に、「岐阜オープンクラシック2016 ミッドアマ・シニア予選/第4回 ヒマラヤGOLFカップ(「第4回」の文字は小さく表示されている。)/10/29(木) 各務原カントリー倶楽部」の記載があり、その右側には、「出場者募集中」の記載がある。そして、広告欄の下部には、「ヒマラヤ/岐阜新聞 ぎふチャン」の表示がある。
カ 乙第20号証は、2015年(平成27年)10月27日発行の岐阜新聞の22面の写しであり、「第4回ヒマラヤGOLFカップ」の見出しの下、「29日にヒマラヤゴルフカップ/76人がエントリー」「ゴルフの岐阜オープンクラシック2016ミッドアマ・シニア予選『第4回ヒマラヤGOLFカップ』(ヒマラヤ、岐阜新聞・ぎふチャン共催)は29日、各務原市の各務原カントリー倶楽部(6784ヤード、パー72)で行われる。」との記事がある。
キ 乙第21号証は、被請求人が、株式会社岐阜新聞社・ぎふチャンが発行した「テレビ・ラジオ事業告知CM放送確認書」と主張するものである。「テレビ・ラジオ事業告知CM放送確認書」の表題の下、右側には、「2015年11月1日発行」、「株式会社 岐阜新聞社」の記名、押印があり、左側には、「放送局:株式会社 岐阜放送」、「広告主:株式会社ヒマラヤ、岐阜新聞・ぎふチャン」、「事業名:第4回ヒマラヤGOLFカップ」の記載があり、その下には、表が記載されている。同表の1行目には、「素材名」欄に「ヒマラヤGOLFカップ(テレビ)」、「秒数」欄に「30秒」、「使用期間」欄に「2015年9月24日 時?2015年10月14日 時」、「回数」欄に「85」の記載、また、同表の2行目には、「素材名」欄に「ヒマラヤGOLFカップ(ラジオ)」、「秒数」欄に「30秒」、「使用期間」欄に「2015年9月18日 時?2015年10月14日 時」、「回数」欄に「105」との記載がある。
ク 乙第22号証は、被請求人が、乙第21号証に係るテレビCMのプリントアウトと主張するものであり、3つの画面が表示されている。1画面目には、「第33回岐阜オープンクラシック2016/ミッドアマ・シニア予選/第4回ヒマラヤGOLFカップ(「ヒマラヤ」の文字は、他の文字より太い文字で記載されている。)/10月29日(木)/各務原カントリー倶楽部/主催 ヒマラヤ 岐阜新聞・ぎふチャン」の表示があり、2画面目には、「第4回ヒマラヤGOLFカップ(「ヒマラヤ」の文字は、他の文字より太い文字で記載されている。)」の表示と共に、出場資格等の案内が表示され、3画面目には、「第33回岐阜オープンクラシック2016/ミッドアマ・シニア予選/第4回ヒマラヤGOLFカップ(「ヒマラヤ」の文字は、他の文字より太い文字で記載されている。)」の表示と共に、参加料や大会事務局の電話番号が表示されている。
ケ 乙第23号証は、被請求人が、中部ゴルフ連盟の加盟クラブ会報(2015年秋号)と主張するものであり、表紙の上部には、ややデザイン化された「CGA」の文字が表示されており、その左側に「2015/秋号」、右側に「中部ゴルフ連盟/加盟クラブ会報」の表示がある。2葉目の右上には「トピックス」の表示があり、「岐阜OP予選。ミッドアマ・シニアが挑戦する『ヒマラヤ・カップ』に注目!!」の見出しの下、当該ゴルフ大会の紹介記事があり、「第33回岐阜オープンクラシック2016」の「予選会(本戦出場権獲得人数)」中に、「ヒマラヤGOLFカップ・・・12名/(ミッドアマ・シニア予選)/10月29日(木)/各務原CC」との記載がある。
コ 乙第24号証は、2015年(平成27年)10月30日発行の岐阜新聞21面の写しであり、「西田(笹平)が優勝/岐阜オープン本戦切符」の見出しの下、「ゴルフの第4回ヒマラヤGOLFカップ(ヒマラヤ、岐阜新聞・ぎふチャン共催)は29日、各務原市の各務原カントリー倶楽部(6784ヤード、パー72)で行われ、パープレーで回った西田隆志(笹平)が優勝した。」との記事がある。
(2)上記(1)によれば、「第33回岐阜オープンクラシック2016」のミッドアマ、シニアを対象とした予選会として、2015年(平成27年)10月29日に各務原市の各務原カントリー倶楽部において、「第4回ヒマラヤGOLFカップ」が開催されたことが認められ、商標権者である「株式会社ヒマラヤ」は、「株式会社岐阜新聞」及び「株式会社岐阜放送」と共に「第4回ヒマラヤGOLFカップ」の主催者であったことが認められる。
そして、当該ゴルフ大会の大会要項(乙16)においては、最上段に「第4回ヒマラヤGOLFカップ」の文字が表示され、新聞広告(乙18、乙19)においては、「ヒマラヤGOLFカップ」の文字が大きく目立つように表示され、テレビCM(乙22)においては、「ヒマラヤ」の文字を他の文字より太く表した「第4回ヒマラヤGOLFカップ」の文字が表示された上で、これらの媒体において、当該大会の出場者を募集する宣伝広告が行われたということができる。
また、「第4回ヒマラヤGOLFカップ」の開催時の写真からは、コース中に「ヒマラヤ」の文字が表示されたポールが設置されていること、テラスや表彰式会場に「ヒマラヤ」、「ヒマラヤ/GOLF」の文字が表示された幕が提げられていることが確認できる(乙15)。
2 判断
(1)「第4回ヒマラヤGOLFカップ」の開催について
被請求人の提出した証拠及び主張を勘案すれば、「第33回岐阜オープンクラシック2016」のミッドアマ、シニアを対象とした予選会として、2015年(平成27年)10月29日に各務原市の各務原カントリー倶楽部において、「第4回ヒマラヤGOLFカップ」が開催されたことが認められる。
(2)使用者について
商標権者である「株式会社ヒマラヤ」は、「株式会社岐阜新聞」及び「株式会社岐阜放送」と共に「第4回ヒマラヤGOLFカップ」の主催者であったことが認められるものである。
そして、「第4回ヒマラヤGOLFカップ」の大会要項(乙16)、新聞広告(乙18、乙19)、テレビCM(乙22)において、「(第4回)ヒマラヤGOLFカップ」の文字を顕著に表示し、当該大会の出場者を募集する宣伝広告を行っていたのは、主催者である「株式会社ヒマラヤ」、「株式会社岐阜新聞」及び「株式会社岐阜放送」であるということができ、また、「第4回ヒマラヤGOLFカップ」の開催時に、コース中に「ヒマラヤ」の文字が表示されたポールを設置し、テラスや表彰式会場に「ヒマラヤ」、「ヒマラヤ/GOLF」の文字が表示された幕を提げたのも主催者である「株式会社ヒマラヤ」、「株式会社岐阜新聞」及び「株式会社岐阜放送」である
ことを疑うべき合理的理由はない。
(3)使用商標について
「第4回ヒマラヤGOLFカップ」の大会要項(乙16)の最上段に表示された「第4回ヒマラヤGOLFカップ」の構成中の「第4回」は、大会の回数を示すものと容易に認識されるものであり、「GOLFカップ」の文字は、「ゴルフの大会」程の意味合いで容易に認識されるものであることからすれば、「ゴルフの興行の企画・運営又は開催」との関係からして、いずれも自他役務識別標識としての機能を有しないものである。
そして、新聞広告(乙18、乙19)に表示された「ヒマラヤGOLFカップ」の構成中の「GOLFカップ」の文字は、「ゴルフの大会」程の意味合いで容易に認識されるものであることからすれば、「ゴルフの興行の企画・運営又は開催」との関係からして、自他役務識別標識としての機能を有しないものである。
また、テレビCMに表示された「第4回ヒマラヤGOLFカップ」の構成中、「ヒマラヤ」の文字は他の文字に比して太い文字で表示されているところ、「第4回」は、大会の回数を示すものと容易に認識されるものであり、「GOLFカップ」の文字は、「ゴルフの大会」程の意味合いで容易に認識されるものであることからすれば、「ゴルフの興行の企画・運営又は開催」との関係からして、いずれも自他役務識別標識としての機能を有しないものである。
そうすると、「第4回ヒマラヤGOLFカップ」の大会要項(乙16)、新聞広告(乙18、乙19)、テレビCM(乙22)において、自他役務識別標識として使用されている商標は、「ヒマラヤ」の片仮名よりなる商標というべきである。
一方、「第4回ヒマラヤGOLFカップ」の開催時に、コース中に設置されたポールには「ヒマラヤ」の文字が表示され、テラスや表彰式会場に提げられ幕には「ヒマラヤ」、「ヒマラヤ/GOLF」の文字が表示されている(乙15)。
本件商標は、「HIMARAYA」の欧文字よりなるものであるところ、大会要項(乙16)、新聞広告(乙18、乙19)、テレビCM(乙22)、コース中に設置されたポール及びテラスや表彰式会場に提げられ幕に表示された「ヒマラヤ」の商標(以下、まとめて「使用商標」という。)は、本件商標とは、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものである。
そして、「HIMARAYA」及び「ヒマラヤ」の文字は、いずれも「インド亜大陸とチベット高原との境を東西に連なる世界最高の大山脈。」の意味を有し(デジタル大辞泉)、「ヒマラヤ」と称呼されるものであるから、本件商標と使用商標は、同一の称呼及び観念を生ずるものである。
してみれば、使用商標は、本件商標と社会通念上同一の商標と認められるものである。
(4)使用時期
ア 「第4回ヒマラヤGOLFカップ」は、2015年(平成27年)10月29日に各務原市の各務原カントリー倶楽部において開催されたものであり、新聞広告(乙18、乙19)は、2015年(平成27年)10月7日及び同月12日にされているものである。
イ テレビCM(乙22)は、2015年(平成27年)9月24日から10月14日にわたって放送されたことを疑うべき合理的な理由はない。
ウ 募集要項(乙16)において、平成27年10月29日開催の「第4回ヒマラヤGOLFカップ」について、「10月14日(水)までに大会事務局へ直接FAXで申し込む。」旨の記載がされていることからすれば、少なくとも、平成27年10月14日以前に、当該募集要項(乙16)が配布されていたことが推認し得るものである。
エ 「第4回ヒマラヤGOLFカップ」が開催された2015年(平成27年)10月29日に、コース中に設置されたポールには「ヒマラヤ」の文字が表示され、テラスや表彰式会場に提げられ幕には「ヒマラヤ」、「ヒマラヤ/GOLF」の文字が表示されている。
オ 上記アないしエは、いずれも要証期間内である。
(5)使用役務
商標権者である「株式会社ヒマラヤ」は、「第4回ヒマラヤGOLFカップ」を主催し、指定役務中の「ゴルフの興行の企画・運営又は開催」について使用商標を使用したものと認められる。
(6)小括
上記(1)ないし(5)によれば、本件商標の商標権者は、要証期間内にその請求に係る指定役務に含まれる「ゴルフの興行の企画・運営又は開催」に関する広告に、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を付して展示し、若しくは頒布したものと認めることができ、これは商標法第2条第3項第8号に該当する商標の使用ということができる。
3 まとめ
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者がその請求に係る指定役務に含まれる「ゴルフの興行の企画・運営又は開催」について本件商標の使用をしていることを証明したといえる。
したがって、本件商標の登録は、その請求に係る指定役務について、商標法第50条の規定により、取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。

別掲

審理終結日 2020-07-02 
結審通知日 2020-07-06 
審決日 2020-08-12 
出願番号 商願平5-83704 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (041)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 山田 正樹
特許庁審判官 鈴木 雅也
冨澤 美加
登録日 1997-05-23 
登録番号 商標登録第3311397号(T3311397) 
商標の称呼 ヒマラヤ 
代理人 山川 政樹 
代理人 山川 茂樹 
代理人 樋口 頼子 
代理人 辻田 朋子 
代理人 下田 一徳 

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