• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) X33
管理番号 1369118 
審判番号 取消2019-300110 
総通号数 253 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2021-01-29 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2019-02-14 
確定日 2020-11-30 
事件の表示 上記当事者間の登録第5370606号商標の登録取消審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 登録第5370606号商標の指定商品中,第33類「洋酒,果実酒」についての商標登録を取り消す。 審判費用は,被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5370606号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲のとおりの構成からなり,平成22年2月8日に登録出願,第33類「焼酎,その他の日本酒,洋酒,果実酒,中国酒,薬味酒」を指定商品として,同年11月26日に設定登録がされ現に有効に存続しているものである。
そして,本件審判の請求の登録日は,平成31年2月27日である。
なお,本件審判において,商標法第50条第2項に規定する「その審判の請求の登録前3年以内」とは,平成28年(2016年)2月27日ないし同31年(2019年)2月26日である(以下「要証期間」という場合がある。)。

第2 請求人の主張
請求人は,結論同旨の審決を求め,その理由及び答弁に対する弁駁を要旨以下のように述べ,証拠方法として,甲第1号証ないし甲第5号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は,その指定商品中,第33類「洋酒,果実酒」(以下「取消請求商品」という場合がある。)について継続して3年以上日本国内において商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから,その登録は商標法第50条第1項の規定により取消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)本件商標権者は,本件商標を使用している商品「焼酎」(以下「本件商品」という。)を「本格芋焼酎」,「本格焼酎」,「焼酎」であると記載し,また,種別として「本格芋焼酎」であると特定している(乙1?乙4)。
「焼酎」は「日本固有の蒸留酒」であって,本件商品の「芋焼酎」のほか,多くの種類があり(甲2),「日本酒製造」と切り離すことができないアルコール飲料である(甲3)。
商標法施行規則においても,「焼酎」は「清酒」等の「日本酒」と同じ類似群に分類されるとともに,西洋の酒である「洋酒」とははっきりと区別され,「焼酎」と「洋酒」とは類似すらしないものと推定されている。
加えて,焼酎は,酒税法上もウイスキーやブランデー等の西洋のアルコール飲料,特に蒸留酒と明確に区別されている。
したがって,被請求人が「焼酎」であると特定(自認)し,かつ,酒税法上の種別も「焼酎(本格芋焼酎)」と分類される本件商品が,「焼酎」であると同時に「洋酒」であるとの主張には法上の根拠がなく,また,事実としても,そのように解釈すべき有効な裏付けは示されていない。
なお,本件商品は事実として「洋酒」でないのであるから,本件商標権者が本件商品に「洋酒」の表示をしていないことに関する正当な理由の存否は,本件の争点でない。
(2)カクテルのベースとして洋酒が利用されることが多いのは事実であるが,日本酒をベースにしたカクテルも広く一般的なものとなっているし,焼酎のカクテルも各種存在している(甲4)。
また,本件商品は,バーで取り扱われるから「洋酒」である,とするならば,バーで提供される「水」や「おつまみ」をも「洋酒」と解釈されることになり,まったく不合理である。
なお,本件で判断すべきは,本件商標が「洋酒」に使用されているか否かであり,商品間の類否ではない。
(3)以上のとおり,本件商品は「焼酎」であって,「洋酒」ではない。

第3 被請求人の答弁
被請求人は,本件審判請求は成り立たない,審判費用は請求人の負担とする,との審決を求め,令和元年5月8日付け及び同2年7月27日付け答弁書及び上申書において,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として,乙第1号証ないし乙第14号証を提出した。
1 本件商標の使用事実
(1)商標の使用者
本件商標を付した商品のパンフレット(乙1)には,「販売元/株式会社ロイヤルファー」と記載されている。
(2)使用に係る商品
当該パンフレット(乙1)には,「種別/本格芋焼酎」と記載されている。
(3)使用に係る商標
当該パンフレット(乙1)には,表面に本件商標が記載され,中面や裏面に本件商標を付した商品の写真が掲載されている。
(4)使用時期
本件商標権者のグループ会社が発行した直近3年間のお中元やお歳暮のご案内(乙2)のうち,例えば2018年のお歳暮のご案内には,「2018 Winter Gift Selection」,「受付期間12月21日まで」と記載されている。
(5)以上のとおり,本件商標権者は,要証期間内に日本国内において「焼酎」ついて,本件商標を使用している。
2 本件商品は,「焼酎」と「洋酒」の二つの指定商品に属する二面性を有する商品であること
(1)本件商品の用途 ?カクテルのベース?
本件商品のパンフレット等にあるように本件商品は,カクテルのベースに利用されている(乙1,乙3,乙4)。
そして,広辞苑 第七版(株式会社岩波書店)の「カクテル」の項目には,「ウィスキー・ブランデー・ジン・ウォツカ・リキュールなどの洋酒をベースとし,シロップ・果汁・炭酸飲料・香料・氷片などを調合した飲み物。」の記載があるところ(乙5),本件商品は,カクテルのベースに利用され,カクテルは洋酒をベースとした飲み物であるので,用途が洋酒と一致する。
(2)本件商品の需要者の範囲 ?バーテンダー,カクテルなどの洋酒愛飲者?
本件商品は,バーで取り扱われている(乙1,乙4)。
そして,学研国語大辞典 第二版(株式会社学習研究社)の「バー」の項目には,「(カウンターで)洋酒を飲ませる酒場。」の記載がある(乙6)ところ,本件商品は,洋酒を飲ませるバーで取り扱われているので,需要者の範囲が洋酒と一致する。
(3)二つの指定商品に属する二面性を有する商品に関する審決例と裁判例がある(乙7?乙9)。
(4)以上のように,本件商品は,用途が洋酒と一致し,需要者の範囲も洋酒と一致するので,「焼酎」と「洋酒」の二つの指定商品に属する二面性を有する商品である。
また,本件商品を,「焼酎」と「洋酒」の二つの指定商品に属する二面性を有する商品と認めても,商品区分の趣旨に反することにはならない。
さらに,本件商品が「焼酎」に属するから,「洋酒」に属しないものとの二者択一的な判断手法は不相当である。
3 「焼酎」と「洋酒」の二つの指定商品に属する二面性を有する商品にもかかわらず,商品に洋酒の表示をしていないことについて正当な理由があること
(1)酒税法における酒類の分類
酒税法において,焼酎は,ウイスキーなどの洋酒とは別の品目に区分され,また,ウイスキーなどの洋酒とは税率も異なる(乙10)。
(2)酒類の表示義務
本件商品は,酒類の品目として「単式蒸留焼酎」か「本格焼酎」を表示しなければならない(乙11)。
(3)酒税法の酒類分類と商標法の商品区分
「薬事法上と商標法上との商品が異なっても,差し支えないというべきである。」と判断している判決(乙9)より,酒税法上「洋酒」でない商品が商標法上は「洋酒」として扱われることがあっても,差し支えない。
(4)以上の理由から,本件商品が「焼酎」と「洋酒」の二つの指定商品に属する二面性を有していても,商品にウイスキーと表示することや,焼酎とウイスキーを併記して表示することは禁止される。
したがって,本件商品は,酒税法で定められた酒類の品目として「本格芋焼酎」と表示されていることを理由として,商標法における指定商品の「洋酒」に属しないとはいえない。
4 弁駁書の主張に対する被請求人の意見
(1)「本件商品(焼酎)は,日本酒製造と切り離すことができないアルコール飲料である。」ことについて
ア 本件商品を,酒粕焼酎と誤認した主張であること
本件商標を付した「芋焼酎」は,清酒の副産物である酒粕を使わず,清酒造りの盛んでない鹿児島県や宮崎県などで造られる。
よって,本件商品は,日本酒製造と切り離すことができないアルコール飲料であるとの主張は,本件商品を,酒粕焼酎と誤認した主張であり,失当である。
イ 焼酎原料の変遷を看過した主張であること
焼酎の原料が,酒粕からさつまいもや麦,米に移り変わり,日本酒と生産部門や原材料の同一性を有する酒粕焼酎の割合が著しく低下した事実(乙13)を考慮すると,焼酎の類否の範囲(幅)は時を異にすることによって変わるべきものである。
よって,焼酎は清酒等の日本酒と同じ類似群に分類されるから,二面性を有する商品に法上の根拠がないとの主張は,焼酎原料の変遷を看過した主張であり,失当である。
ウ 酒税法が定める酒類の分類は,課税の対象を定めたものであることを看過した主張であること
酒税法が定める酒類の分類は,課税の対象を定めたものであって,商品の類否の範囲を定めたものではない。
酒税法では,焼酎はウイスキーやブランデーと同じ蒸留酒類に分類されている。
よって,焼酎は,酒税法上もウイスキーやブランデー等の西洋のアルコール飲料,特に蒸留酒と明確に区別されているから,二面性を有する商品に法上の根拠がないとの主張は,酒税法に反した主張であり,失当である。
(2)「焼酎のカクテルも各種存在している(甲4)。」ことについて
ア 各種存在している焼酎のカクテルが,焼酎の銘柄について言及していないのに対して(甲4),本件商品は,カクテルのベースに積極的に利用するようにすすめているという商品取引の実情がある(乙1,乙2)。
よって,本件商品は,焼酎のカクテルも多種存在している(甲4)ことを参酌することで,カクテルのベースに積極的に利用されているという商品取引の実情が明確になるので,「焼酎」と「洋酒」の二つの指定商品に属する二面性を有する商品であることがより確かなものになる。
イ 被請求人の主張を誤認した主張であること
被請求人は,本件商品の用途や需要者の範囲が洋酒と一致することを主張しているのであり,請求人の主張は,本件商品の用途や需要者の範囲が洋酒と一致することに対して意見を述べるものではない。
ウ 取消請求に係る指定商品に属するか否かの判断に当たっては,取引の実情を考慮するのが相当であること
請求人の主張は,裁判例(乙9)に反する主張である。
(3)本件商品は優れたスピリッツ(洋酒)として評価されていること
本件商品が,世界的な酒類コンペティションある「サンフランシスコ・ワールド・スピリッツ・コンペティション」(以下「SWSC」という場合がある。)のホワイトスピリッツ部門において銅メダルを受賞した。
このように,本件商品は優れたスピリッツとして評価されており,本件商標の指定商品中,スピリッツを含む,第33類「洋酒,果実酒」についての登録を取り消して,本件商標と同一の商標について他人に商標登録を認めることになると,商品の出所の混同を招くことになる。

第4 当審の判断
1 不使用取消審判における商品の二面性について
二面性を有する商品については,以下のとおり判示されている。
(1)不使用取消審判の請求の対象となっている登録商標を現実に使用している商品が当該登録商標の指定商品に該当するか否かは,単に,その名称,表示等の形式のみによって判断すべきではなく,当該商品の取引者及び需要者の判断を基準として実質的に判断すべきである。
(2)商品は常にいずれか一つの分類に属すべきものであって,二つの分類に属することはありえないとするのは相当でなく,登録商標の使用されている当該商品の実質に則して,それが真に二つの分類に属する二面性を有する商品であれば,当該二つの分類に属する商品について登録商標が使用されているものと扱って差支えない。
(いずれも東京高裁昭和57年(行ケ)第67号同60年5月14日判決, 乙8)
以上の判決からすると,本件商品が「焼酎」であるとしても,ほかの分類の商品に該当する二面性を有する場合もあるから,必然的に「洋酒」に属さないことになるわけではないと解される。
そして,被請求人は,本件商標を,本件審判の取消請求に係る指定商品中「洋酒」に使用していたと主張するので,これについて検討する。
2 両当事者が提出した証拠及び被請求人の主張によれば,以下の事実が認められる。
(1)本件商品の瓶のラベルには「本格芋焼酎」の文字が赤字で表示されている(乙1?乙3)。
(2)本件商品は,「本格芋焼酎」として取引されている(乙1,乙2)。
(3)本件商品は,そのパンフレット等において「本格芋焼酎」,「本格焼酎」及び「焼酎」と紹介されている(乙1,乙3,乙4)。
(4)本件商品はカクテルの材料に使用され,また,ホテルのバー等で提供されている(乙1?乙4)。
(5)本件商品は,「サンフランシスコ・ワールド・スピリッツ・コンペティション」(SWSC)で,銅メダルを受賞したところ,当該受賞を紹介するインターネット記事においては,本件商品は「本格芋焼酎『モーリス(MORRIS)』」と紹介されている。また,SWSCにおいては焼酎のほか,ウイスキー,ジン等もエントリーされている(乙14)。
(6)「焼酎」とは「日本固有の蒸留酒」である(甲2)。
3 本件商品について
本件商品は,その瓶のラベルに「本格芋焼酎」の表示があり「焼酎」として紹介され,販売されていることから「焼酎」であることが認められ,この点については,被請求人も争っていない。
次に,本件商品が「洋酒」の範ちゅうに属する商品であるのかを検討するに,被請求人が提出した,本件商品に係るパンフレット等を見ても,本件商品が洋酒の範ちゅうに属する商品であることを示す記載はない。また,本件商品が洋酒の範ちゅうに属する商品として取引されていることを示す証拠も提出されていない。
そうすると,本件商品及びそのパンフレット等に接する取引者・需要者は,本件商品を「焼酎」と認識すること明らかであって,洋酒の範ちゅうに属する商品であるとは認識し得ないとみるのが相当である。
したがって,本件商品「焼酎」は「洋酒」の範ちゅうにも属する二面性を有する商品であるとはいえないことから,本件商標権者が,本件商標を「洋酒」に使用していたと認めることはできない。
4 被請求人の主張について
(1)被請求人は,本件商品は,用途及び需要者の範囲が洋酒と一致し,また,税法上で焼酎は,ウイスキーやブランデーと同じ蒸留酒類に分類されていること,及び本件商品がSWSCのホワイトスピリッツ部門において銅メダルを受賞し,本件商品は優れたスピリッツ(洋酒)として評価されていることなどをもって,本件商品が,「焼酎」と「洋酒」の二つの指定商品に属する二面性を有する商品である,及び本件商品には,「本格芋焼酎」としか表示されていないとしても,それは酒税法上によるものであるから,本件商品が,商標法における「洋酒」に属しないとはいえない旨主張する。
しかしながら,本件商品は,用途及び需要者の範囲が「洋酒」と共通する場合があるとしても,上記3のとおり,本件商品は,「洋酒」の範ちゅうに属する商品としての取引は認められないうえに,取引者・需要者が,本件商品を「洋酒」の範ちゅうに属する商品であると認識しているとみなければならない事情はない。
また,焼酎とウイスキーやブランデーが共に蒸留酒として製造方法が共通するとしても,焼酎は,「日本固有の蒸留酒」(甲2)であるのに対して,洋酒は,「西洋から舶来した酒」(広辞苑第6版)であるから「焼酎」は「洋酒」とは相違する商品であり,本件商標の登録出願時の商品及び役務の区分を定める商標法施行規則別表(第6条関係)(平成21年経済産業省令第37号)にも,第33類に属する商品として「一 日本酒」の下に「焼酎」等があり,「二 洋酒」の下に「ウイスキー ウォッカ」等が掲載されていることから,「焼酎」は「洋酒」の範ちゅうに属さない商品であることは明らかである。
さらに,本件商品がSWSCにおいて銅メダルを受賞したことが掲載されているインターネット記事においては,本件商品が「本格芋焼酎」として紹介されていること,及びSWSCには,焼酎のほか,ウイスキー,ジン等もエントリーされていることからするとSWSCにおけるスピリッツが,必ずしも我が国の商標法における「洋酒」のみを指し示すものということはできない。
そうすると,本件商品「焼酎」は,その「本格芋焼酎」の表示に加え,上記の取引の実情を考慮したとしても,上記3のとおり,「洋酒」の範ちゅうにも属する二面性を有する商品と認めることはできない。
(2)被請求人は,焼酎の原料が,酒粕からさつまいもや麦,米に移り変わった等の事実を考慮すると,焼酎の類否の範囲(幅)は時を異にすることによって変わるべきである旨を主張する。
しかしながら,商標法第50条第2項における,被請求人が使用を証明する請求に係る指定商品には,類似する商品は含まれない(工業所有権法(産業財産権法)逐条解説)と解されていることからすれば,「焼酎」の類否の範囲によって,本件審判請求における判断が影響を受けることはないというべきである。
(3)したがって,被請求人の主張は,いずれも採用することができない。
5 まとめ
以上のとおり,被請求人が提出した証拠からは,要証期間内に,商標権者が本件商標を本件審判の請求に係る指定商品について使用した事実を認めることはできない。
また,被請求人は,本件審判の請求に係る指定商品について,本件商標の使用をしていないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって,被請求人は,要証期間内に日本国内において商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品のいずれかについての本件商標(社会通念上同一のものを含む。)の使用をしていることを証明したものということはできず,本件商標の登録は,商標法第50条の規定により,その指定商品中「結論掲記の指定商品」についての登録を取り消すべきものである。
よって,結論のとおり審決する。

別掲
別掲(本件商標)


審理終結日 2020-10-06 
結審通知日 2020-10-08 
審決日 2020-10-20 
出願番号 商願2010-8856(T2010-8856) 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (X33)
最終処分 成立 
前審関与審査官 小田 明 
特許庁審判長 岩崎 安子
特許庁審判官 平澤 芳行
大森 友子
登録日 2010-11-26 
登録番号 商標登録第5370606号(T5370606) 
商標の称呼 モーリス、モリス 
代理人 木戸 基文 
代理人 特許業務法人 有古特許事務所 
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ