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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W094142
審判 全部申立て  登録を維持 W094142
審判 全部申立て  登録を維持 W094142
審判 全部申立て  登録を維持 W094142
審判 全部申立て  登録を維持 W094142
管理番号 1368377 
異議申立番号 異議2020-900066 
総通号数 252 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2020-12-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2020-03-06 
確定日 2020-11-09 
異議申立件数
事件の表示 登録第6208895号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6208895号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6208895号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成30年12月21日に登録出願、第9類、第41類及び第42類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、令和元年11月25日に登録査定され、同年12月20日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する商標は次のとおりであり(以下、それらをまとめて「引用商標」という。)、いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。
(1)国際登録第866986号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の態様 TECHNOGYM
指定商品及び指定役務 第9類、第28類及び第41類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務
国際商標登録出願日 2005年(平成17年)2月18日
設定登録日 平成19年3月23日
(2)登録第2507479号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の態様 別掲2のとおり
指定商品 第9類、第25類、第27類及び第28類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
登録出願日 昭和61年12月13日
設定登録日 平成5年2月26日

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第10号、同項第11号及び同項第15号に違反して登録されたものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきものであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第12号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)申立人及び引用商標について
申立人は、フィットネスマシンの開発・製造及び販売を主な業務として、1983年、イタリア国で創業され設立された。今日では世界15か国に存在する子会社を通じて、100か国以上の国々のユーザに対し、「TECHNOGYM」ブランドの下、フィットネスマシン及び関連するサービスを提供する分野におけるグローバルリーディングカンパニーである(甲5)。
申立人のフィットネスマシン(以下「申立人商品」という。)はイタリアで開発され、自社工場において厳しい品質管理の下で製造されている。その製品は世界中で高く評価され、全世界で8万のフィットネス施設と20万戸以上の個人宅への導入実績を有している(甲5)。
申立人商品の最大の特徴は、最新のIT技術に基づき、クラウドコンピューティングを介して、フィットネスマシン(ハードウェア)、申立人が開発したソフトウェア、ユーザが所有するスマートフォン等の携帯端末を連係させ、ユーザ個々のプロフィール、トレーニングメニュー、トレーニング記録等をフィットネスマシン、ユーザ又はトレーナーと共有することにより、最大のトレーニングパフォーマンスを発揮することを可能としている点である(甲6及び甲7)。
また、申立人は、フィットネスマシンの開発に合わせて、トレーナー向けセミナーを定期的に開催することにより、申立人商品に基づく適切なトレーニングの周知に努めている(甲5及び甲8)。
さらに、申立人は、長年にわたり、フェラーリ、マクラーレンなどのF1チームや、ACミラン、レアル・マドリードなどの欧州の名門サッカークラブと、フィットネスマシンの提供に関するパートナーシップ契約を締結しているほか、2000年のシドニー以降、オリンピックの公式サプライヤーを務め(甲5)、2020年オリンピック・パラリンピック東京大会でも組織委員会とオフィシャルサポーター契約を締結し、公式サプライヤーを務める(甲9及び甲9の2)。
このように、世界中のトップアスリートが申立人の「TECHNOGYM」ブランドのフィットネスマシンでトレーニングを積んでいるという実績は、申立人商品の卓越した品質と安全性の証となっている。
日本では、2003年6月に「テクノジムジャパン株式会社」が設立され、2008年から、ホームジム文化の普及を図るべく、自宅用のフィットネスマシン(ホームウェルネスコレクション)の販売をスタートした。
申立人は、「TECHNOGYM」ブランドの下、ウェルネスカンパニーとして、「定期的なエクササイズ」「バランスの取れた食生活」「ポジティブシンキング」を通して、クオリティ・オブ・ライフ(生活の質)を向上させる新しいライフスタイルである「ウェルネスライフスタイル」を、我が国を含む世界中の人々に提唱している(甲5)。
申立人の「TECHNOGYM」ブランドに係るフィットネスマシン及びその関連サービスは、少なくとも2014年から現在に至るまで、フィットネス関連の雑誌のみならず、「GOETHE」や「Tarzan」といった我が国の一流雑誌の記事中に多く取り上げられている(甲10)。
このように、申立人の商標「TECHNOGYM」は、フィットネスマシン及びその関連サービスとの関係において、少なくとも本件商標の出願時から現在まで、本国イタリア及び我が国を始め、世界的に周知著名であるということができる。
申立人は、「TECHNOGYM」ブランドのフィットネスマシン及びその関連サービスに関する、我が国を含む世界各国における売上高及び市場占有率に関する情報を提出する(上申書)。
申立人は、引用商標2について、本国イタリアや我が国のみならず、オーストラリア、シンガポール、中国等世界各国(計19か国)において商標登録を取得することにより、フィットネスマシン及びその関連サービスとの関係における「TECHNOGYM」ブランドの世界的な保護を図っている(甲3)。
(2)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 特許庁の商品・役務に関する審査基準に基づくと、本件商標の指定商品・役務と引用商標の指定商品・役務は、相互に同一又は(備考)類似する関係にあるか、内容及び用途等において極めて高い関連性を有する。
イ 本件商標が人間の頭部の横向きのレントゲン写真を模した図形の下部にごく普通の活字体の欧文字「techgym」が結合される構成からなる一方、引用商標1はごく普通の活字体の欧文字で、引用商標2は全体に統一的な図案化が施された構成態様により、いずれも「TECHNOGYM」と構成される。
本件商標の要部の一つである欧文字部分の前半部「tech」は、日常会話において「科学技術の」等を意味する英語の単語であり(甲11)、引用商標の前半部「TECHNO」は、「(科学)技術の、工業の」等の意味を付加する英語の接頭辞である(甲12)。
そして、両者の後半部「gym/GYM」は「ジム、体育館」等を意味する既存の英単語であるから、両者からは共に「科学技術によるジム、科学技術を利用したジム」といった共通の意味合いを容易に認識させ得ると考えるのが極めて妥当である。
この観念の共通性に加えて、本件商標の欧文字部分「techgym」が、引用商標「TECHNOGYM」を構成する9つの欧文字のうち前半部及び後半部併せて7文字も同一にすることによる外観及び称呼(「テックジム」対「テクノジム」)の近似性を考慮すると、本件商標と引用商標は相互に類似の商標として把握・認識するのがごく相当である。
よって、本件商標は、引用商標との関係において、特許庁審査基準において相互に同一又は類似の関係にある指定商品・役務については、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。
(3)商標法第4条第1項第10号及び同項第15号該当性について
特許庁の審査基準上、仮に両商標が相互に類似の関係にあるとはいえない場合であっても、両標章の特に観念と外観における類似性・近似性の高さ、申立人の提供に係る「TECHNOGYM」ブランドのフィットネスマシン及びその関連サービスが、最新のIT技術に基づき、クラウドコンピューティングを介して、フィットネスマシン、ソフトウェア、携帯端末を連係させることにより、最大のトレーニングパフォーマンスを発揮することを可能としている点を最大の特徴としていることから、本件商標の指定商品・役務とその内容や用途において極めて関連性が高いこと、少なくとも本件商標出願時から現在に至るまで、我が国において周知著名の状態にあったこと等を考慮すると、本件商標に接する我が国の取引者・需要者は、本件商標に係る商品・役務があたかも申立人の「TECHNOGYM」ブランドの商品・役務であるかのように商品・役務の出所について混同するおそれがあるか、あるいは、申立人と経済的又は組織的に何らかの関係にある者の業務に係る商品・役務であると誤認した結果、商品・役務の出所について混同するおそれがあるといわざるを得ない。
そして、商品・役務の出所について混同を生じさせるおそれがある本件商標の登録を認めることが、商標の使用をする者の業務上の信用を維持し、需要者の利益を保護することを目的とする商標法の趣旨に反することはいうまでもない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同項第15号に違反して登録されたものである。

4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号について
ア 本件商標
本件商標は、別掲1のとおり、人間の頭部の横向きの図形と「techgym」の欧文字(以下「文字部分」という。)からなり、その構成文字に相応し「テックジム」又は「テクジム」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものと判断するのが相当である。
イ 引用商標
引用商標1は、前記2(1)のとおり、「TECHNOGYM」の欧文字からなり、引用商標2は「TECHNOGYM」の欧文字を別掲2のとおりの態様で表してなるものであり、いずれもその構成文字に相応し「テクノジム」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものと判断するのが相当である。
ウ 本件商標と引用商標との類否
(ア)本件商標の構成中、それ自体独立して自他商品の識別標識としての機能を果たし得る「techgym」の欧文字(文字部分)と引用商標との比較において、両者は、外観において、小文字と大文字の差異、文字のデザイン化の有無の差異を有するばかりでなく、綴りにおいても、中間部において「NO」の文字の有無の差異を有するから、それら差異が両者の外観全体から受ける視覚的印象に与える影響は少なくなく、両者を離隔的に観察しても、相紛れるおそれのないものと判断するのが相当である。
次に、前者の称呼「テックジム」又は「テクジム」と後者の称呼「テクノジム」とを比較すると、「テックジム」と「テクノジム」とは語頭部において「テック」と「テクノ」という音の差異を有し、「テクジム」と「テクノジム」とは中間部において「ノ」の音の有無の差異を有するから、それらの差異が4音又は5音という比較的短い音構成である称呼全体に与える影響は少なくなく、両者をそれぞれ一連に称呼しても語調語感が異なり、相紛れるおそれのないものと判断するのが相当である。
さらに、観念においては、両者は共に特定の観念を生じないものであるから比較することができない。
そうすると、本件商標の文字部分と引用商標は、外観、称呼において相紛れるおそれがなく、観念において比較できないものであるから、両者の外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は相紛れるおそれのない非類似のものというべきものである。
してみれば、本件商標と引用商標は、非類似の商標ということができる。
(イ)なお、申立人は、本件商標と引用商標は、前者の文字部分と引用商標における「科学技術によるジム、科学技術を利用したジム」といった観念(意味合い)の共通性、外観及び称呼の近似性を考慮すると、類似の商標として把握・認識するのが相当である旨主張している。
しかしながら、両者の構成文字中「tech」又は「TECHNO」の文字が「(科学)技術の」などの、「gym」又は「GYM」の文字が「ジム、体育館」などの意味を有するとしても、両者の構成文字はいずれも同書同大同間隔で一体に表され、それらから生じる「テックジム」、「テクジム」又は「テクノジム」の称呼はよどみなく一連に称呼し得るものであるから、かかる構成及び称呼においては、両者は、いずれも構成文字全体として、「科学技術によるジム」又は「科学技術を利用したジム」といった観念(意味合い)を想起させることなく、むしろ、特定の観念を生じない一体不可分の造語を表したものとして認識、把握されるとみるのが相当である。また、両者の外観及び称呼は前記(ア)のとおり相紛れるおそれのないものと判断するのが相当である。
したがって、申立人のかかる主張は採用できない。
(ウ)さらに、他に本件商標と引用商標とが類似するというべき事情は見いだせない。
エ 小括
以上のとおり、本件商標と引用商標は非類似の商標であるから、本件商標の指定商品及び指定役務の一部が引用商標の指定商品及び指定役務と同一又は類似するとしても、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するものといえない。
(2)商標法第4条第1項第10号及び同項第15号について
ア 引用商標の周知性
(ア)申立人の提出に係る証拠、同人の主張及び職権による調査(インターネット情報、新聞記事情報など)によれば、申立人はフィットネスマシンの開発・製造及び販売を主な業務として、1983年にイタリア国で創業されたこと(甲5)、申立人商品は2020年6月頃には世界15か国に存在する子会社を通じて、100か国以上、8万のフィットネス施設及び20万戸以上の個人宅へ導入されたこと(甲5)、申立人商品及び関連サービスには引用商標が使用されていること(甲5ないし甲7、ほか)、申立人商品及び関連サービスは、クラウドコンピューティングを介して、フィットネスマシン、ソフトウェア、携帯端末を連係させることにより、最大のトレーニングパフォーマンスを発揮することを特徴とすること(甲6及び甲7)、申立人はF1チームや欧州の名門サッカークラブとフィットネスマシンの提供に関するパートナーシップ契約を締結していること(甲5)、2000年以降オリンピックの公式サプライヤーを務め(甲5)、2020年オリンピック・パラリンピック東京大会でも公式サプライヤーに決定したこと(甲9)、日本において申立人は、2003年6月に「テクノジムジャパン株式会社」を設立し、2008年から自宅用のフィットネスマシンの販売をスタートしたこと(甲5)、申立人商品及びその関連サービスは、2014年から現在に至るまで、我が国の各種雑誌に相当数取り上げられていること(甲10)、申立人は引用商標についてイタリア、日本、オーストラリアなど約20か国で商標登録を取得していること(甲3)、申立人商品及び関連サービスの世界各国合計及びアジア・太平洋地域における2015年から2019年までの各年の売上高が一定程度あること(上申書)及び2015年におけるフィットネス機器の世界市場の市場占有率において申立人は第2位の17%を占めていること(上申書)がうかがえる。
しかしながら、我が国における申立人商品及び関連サービスの販売数、売上高など販売実績を示す証左は見いだせない。
(イ)前記(ア)のとおり、申立人商品は、我が国において2008年(平成20年)から継続して販売されていること、2014年(平成26年)から各種雑誌に相当数取り上げられていること、及び申立人は2020年オリンピック・パラリンピック東京大会の公式サプライヤーに決定したことなどがうかがえるものの、申立人商品及び関連サービスの我が国における販売実績を示す証左は見いだせないから、申立人商品及び関連サービスに使用される引用商標は、申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
イ 出所の混同のおそれ
前記(1)のとおり、本件商標は、引用商標と相紛れるおそれのない非類似の商標であり、前記アのとおり、引用商標は、申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認められないものである。
そうすると、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品及び指定役務について使用しても、取引者、需要者をして引用商標を連想又は想起させることはなく、その商品及び役務が他人(申立人)又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品及び役務の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同項第15号に該当するものといえない。
(3)まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同項第11号及び同項第15号のいずれにも該当するとはいえず、その登録は同項の規定に違反してされたものとはいえない。
他に、本件商標の登録が商標法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。

別掲
別掲1 本件商標(色彩は原本参照。)



別掲2 引用商標2



異議決定日 2020-10-28 
出願番号 商願2018-159071(T2018-159071) 
審決分類 T 1 651・ 255- Y (W094142)
T 1 651・ 261- Y (W094142)
T 1 651・ 271- Y (W094142)
T 1 651・ 262- Y (W094142)
T 1 651・ 263- Y (W094142)
最終処分 維持  
前審関与審査官 杉本 克治 
特許庁審判長 中束 としえ
特許庁審判官 板谷 玲子
山田 啓之
登録日 2019-12-20 
登録番号 商標登録第6208895号(T6208895) 
権利者 ファイブフォー株式会社
商標の称呼 テックジム、テクジム、テク、テック 
代理人 大橋 啓輔 
代理人 青木 篤 
代理人 外川 奈美 

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