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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W05
審判 全部申立て  登録を維持 W05
審判 全部申立て  登録を維持 W05
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審判 全部申立て  登録を維持 W05
管理番号 1368374 
異議申立番号 異議2020-900108 
総通号数 252 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2020-12-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2020-04-14 
確定日 2020-10-30 
異議申立件数
事件の表示 登録第6220175号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6220175号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6220175号商標(以下「本件商標」という。)は、「EMBO CAPS」の文字を標準文字で表してなり、平成31年3月1日に登録出願、第5類「薬剤用カプセル」を指定商品として、令和2年1月10日に登録査定、同月28日に設定登録されたものである。

2 引用商標
(1)登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議申立ての理由において、商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用する商標は、以下のとおりであり、現に有効に存続しているものである。
ア 登録第5278293号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成:「MEBO」(標準文字)
登録出願日:平成20年11月6日(優先権主張:2008年5月20日、アメリカ合衆国)
設定登録日:平成21年11月6日
指定商品:第3類「化粧品,アイシャドー,アイライナー,アイブローペンシル,アイクリーム,マスカラ,ほお紅,フェイシャルクリーム,ファンデーション,リキッドファンデーション,ファンデーションクリーム,固形おしろい,リップグロス,リップペンシル,リップスティック,口唇保護用化粧品,化粧用アストリンゼント,クレンジング用化粧品,スクラブ剤を配合してなる化粧品,ボディーパウダー,フェイスパウダー,身体に用いるメイクアップ用のローション及びクリーム,クリーム状及びローション状の皮膚用コンシーラー,洗顔料,グリッター入り顔用化粧品,ネイルエナメル,皮膚及び身体用ローション,シャワー用ローション・クリーム及びジェル,香水類,オーデコロン,化粧用コンパクトに収納されたアイシャドー・ほお紅・リップスティックその他の化粧品,香料類,エッセンシャルオイル,ヘアージェル,ヘアーオイル,ヘアーローション,化粧用オイル,ローション,クリーム,日焼け止め用化粧品,マッサージ用オイル,マッサージ用ローション,マッサージ用クリーム,しみ除去用化粧用オイル,しみ除去用化粧用ローション,しみ除去用化粧用クリーム,家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤,せっけん類,歯磨き,研磨紙,研磨布,研磨用砂,人造軽石,つや出し紙,つや出し布,つけづめ,つけまつ毛」及び第5類「火傷用軟膏,漢方薬,医療用食品添加剤,医療用ハーブ,医療用栄養補助剤,植物を主成分とする食餌療法用食品,乳剤,育毛剤,局所用の鎮痛剤,鎮痔剤,軟膏,医薬用ローション剤及びクリーム剤,癌・血液疾患・神経変性疾患・心臓血管疾患・胃腸疾患・性的不全・潰瘍・腎機能障害・抜け毛又は薄毛・肝硬変・肺線維症・脂肪肝・糖尿病の治療又は予防のための薬剤,創傷治癒用薬剤,皮膚病変の治療用薬剤,医療用栄養補給剤及び食餌療法用栄養補助剤,食餌療法用食品,医療を目的とする食餌療法用食品,医療用食品添加剤,薬剤,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド,歯科用材料,医療用腕環,乳糖,乳幼児用粉乳,人工授精用精液」
(2)申立人が、本件商標に係る登録異議申立ての理由において、商標法第4条第1項第7号及び同項第15号に該当するとして引用するのは、「欧州分子生物学機構」(英語名:European Molecular Biology Organization)の略称とされる「EMBO」の文字からなる標章(以下「引用商標2」という。)である。

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第7号、同項第11号及び同項第15号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第16号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)商標法第4条第1項第11号について
ア 本件商標は、標準文字で「EMBO CAPS」と書してなるところ、その構成中「CAPS」の文字部分は、「カプセル(CAPSULE)」の略語として一般的に使用されており(甲9?甲11)、その指定商品との関係では、単に商品の一般名称を表し、識別力がない一方で、その構成中「EMBO」の文字部分は、それ自体は辞書等に掲載のない造語であり、強い識別力を発揮する。
そうすると、本件商標は、その指定商品に使用される場合、「EMBO」の文字部分を要部としてとらえ、引用商標1と比較検討する要部観察が許される。
イ 本件商標と引用商標1を比較すると、本件商標の要部「EMBO」と引用商標1「MEBO」は構成文字が同一であって、その違いは語頭2文字の語順のみである。そして、両文字はいずれも辞書等に掲載のない造語であることから、これらに接する需要者は、アルファベット4文字の羅列として理解するにとどまり、必ずしもその語順を正確に記憶するとは限らない。
また、医療の現場では、語順が逆転している略字は、薬品の取り間違いが起きやすい類似の略字として認識されており(甲15)、語頭のアルファベットの2文字の語順が逆転する違いのみで、医療現場で働く需要者にとって外観上類似するものと考えられる(甲16)。
そのため、本件商標と引用商標1は、外観上相紛れるおそれがある。
ウ 本件商標の指定商品と引用商標1の指定商品中、第5類「カプセル」は、同一又は類似である。
エ 以上のとおり、本件商標は、引用商標1とは外観上類似するから、全体として類似する商標であって、かつ、その指定商品も同一又は類似するから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第15号について
ア 引用商標2(EMBO)は、「欧州分子生物学機構」(European Molecular Biology Organization)の広く知られた略称である(甲12)。同機構は、生命科学の研究を促進するために1964年に設立された専門機関であって、現在では1,800人以上の生命科学者から構成されている(甲12)。また、同機構は、学術専門誌を発行しており、特に「The EMBO Journal」は同機構を代表する刊行物であって、1982年の創刊以来、分子生物学・細胞生物学の分野で重要な研究成果及び権威ある総説を発表する場としての地位を守り続けており(甲13)、我が国でも認知されている(甲14)。
したがって、引用商標2は、本件商標の登録出願時には、我が国の生命科学の分野において、国際的専門機関「欧州分子生物学機構」の略称として広く知られていたもので、少なくとも生命科学の分野の研究者は、引用商標2から直ちに同機構を想起する。
イ 引用商標2は、上記のとおり、我が国の生命科学の分野において、欧州分子生物学機構の略称としてい広く知られている。また、生命科学の分野の実験では「薬剤用カプセル」を使用することは一般的であるから、その需要者には、生命科学の分野の研究者が含まれる。さらに、欧州分子生物学機構は、生命科学の実験などで使用される「薬剤用カプセル」に関する知見も有している。
ウ 以上を踏まえると、「EMBO」の文字を要部とする本件商標が、その指定商品「薬剤用カプセル」に使用された場合、その需要者である生命科学の分野の研究者は、取引上要求される一般的な注意をもってしても、その商品が欧州分子生物学機構の商品であるとか、同機構と経済的又は組織的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であると誤認し、商品の出所について混同を生じるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第7号について
本件商標は、欧州分子生物学機構の広く知られた略称である引用商標2の文字を要部に含んでおり、その指定商品に使用するときは、需要者をして同機構との関係性が直ちに想起されるものである。また、本件商標の出願人は、その商標を採用するにあたり、その要部となる「EMBO」の文字について事前に調査したはずであり、それが同機構の広く知られた略称であると認識していたと考えられる。
そうすると、本件商標は、上記機構の名声に便乗して不正な利益を得る目的(不正の目的)で出願されたものといえ、本件商標は、引用商標2の商標登録がないことを奇貨として不正な目的でひょう窃的に出願されたものである。
したがって、本件商標は、不正な目的をもって出願されたものであるから、公序良俗に反するもので、商標法第4条第1項第7号に該当する。

4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標は、上記1のとおり「EMBO CAPS」の文字を標準文字で表してなるところ、「EMBO」と「CAPS」の文字の間には1文字の空白があるものの、同種文字(欧文字)を同じ書体、大きさで、横一列にまとまりよく一体的に表しており、構成文字全体より生じる「エンボキャップス」の称呼もよどみなく全体で一連に称呼し得るものである。
そうすると、本件商標は、その構成文字全体をして一体不可分の商標と認識、看取されるもので、それに相応して「エンボキャップス」の称呼を生じるが、当該文字は特定の意味を認識させるものではないから、特定の観念は生じない。
イ 他方、引用商標1は、上記2(1)のとおり「MEBO」の文字を標準文字で表してなるから、その構成文字に相応して、「メボ」又は「エムイイビイオウ」の称呼を生じるが、当該文字は特定の意味を認識させるものではないから、特定の観念を生じない。
ウ 本件商標と引用商標1を比較すると、外観においては、構成文字が明らかに相違し、互いに異なる語であると容易に見分けることができるもので、称呼においては、全体の構成音及び音数が明らかに異なるからその聴別は極めて容易であるが、観念においては、互いに特定の観念を生じないから比較できない。
そうすると、本件商標と引用商標1とは、観念において比較できないとしても、外観及び称呼において容易に区別できるから、互いに紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
エ 申立人は、本件商標は、その構成中「CAPS」の文字部分が「カプセル」の略語として一般的に使用されている普通名称であり、その構成中「EMBO」の文字部分を要部として引用商標との類否を検討すべきである旨主張している。
しかしながら、本件商標は、上記アのとおり、まとまりよく一体的な構成よりなり、全体で不可分一体の商標と認識されるものであるから、構成文字全体より生じる外観、称呼及び観念を総合して引用商標との類否を判断すべきである。
なお、申立人提出の証拠(甲9?甲11)は、「CAPS」の文字を含む商品名の事例を示すにすぎず、その名称中の「CAPS」の文字部分を省略して取引されているかは不明であるから、それら事例を参照したとしても、必ずしも本件商標のような構成において「CAPS」の文字部分から自他商品の出所識別標識としての称呼及び観念が生じないとはいえず、特段強く支配的な印象を与えるともいえない「EMBO」の文字部分を要部とする要部観察が是認される理由は見出せない。
オ 以上のとおり、本件商標は、引用商標1と類似するものではないから、その指定商品の同一又は類似について検討するまでもなく、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(2) 商標法第4条第1項第15号該当性について
ア 引用商標2の周知性について
申立人が提出した証拠(甲12?甲14)のとおり、インターネット上の記事情報において、「欧州分子生物学機構」(EMBO)や同機構の発行する雑誌「The EMBO Journal」などの紹介や、同誌への研究成果の掲載報告をする事例があるとしても、いずれも「EMBO」の文字を単独で表示するものではなく、当該略称によって同機構を特定し得るのかも明らかではないから、引用商標2が、我が国の需要者の間において同機構の略称として広く知られているものとは認められない。
イ 本件商標と引用商標2との類似性の程度について
本件商標は、上記(1)アのとおり、「EMBO CAPS」の欧文字を、まとまりよく一体的に表してなるもので、構成全体として一体不可分の商標と認識されるものだから、その構成文字に相応して、「エンボキャップス」の称呼を生じるが、特定の観念は生じない。
他方、引用商標2は、「EMBO」の欧文字からなるところ、その構成文字に相応して「エンボ」の称呼を生じるが、特定の観念は生じない。
そうすると、本件商標と引用商標2は、語頭における「EMBO」の構成文字及びそれより生じる「エンボ」の称呼を共通にするとしても、語尾の構成文字及び構成音の有無から、外観及び称呼のいずれにおいても容易に区別できるが、いずれからも特定の観念は生じないから、観念については比較できない。
したがって、本願商標と引用商標2は、観念においては比較できないとしても、外観及び称呼おいて相紛れるおそれはなく、類似性の程度は低い。
ウ 出所の混同のおそれについて
以上を踏まえると、引用商標2は、特定の事業者(機関)に係る商標として、我が国の需要者の間において広く認識されているものではなく、本件商標と引用商標2の類似性の程度は低いのだから、本件商標をその指定商品について使用をしたとしても、これに接する需要者が、引用商標2や欧州分子生物学機構との関連性を連想又は想起するとは考え難く、その商品が他人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように誤認されるおそれはないから、その商品の出所について混同を生ずるおそれはない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第7号該当性について
本件商標は、上記(2)のとおり、引用商標2との間において商品の出所の誤認を生じるおそれはなく、また、その出願が不正の目的でなされたことを示す具体的な証拠はない。
さらに、本件商標は、その構成自体が非道徳的、卑わい、差別的、矯激若しくは他人に不快な印象を与えるようなものでなく、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれはない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。
(4)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号、同項第11号及び同項第15号のいずれの規定にも違反してされたものではなく、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。


別掲

異議決定日 2020-10-21 
出願番号 商願2019-31968(T2019-31968) 
審決分類 T 1 651・ 22- Y (W05)
T 1 651・ 271- Y (W05)
T 1 651・ 262- Y (W05)
T 1 651・ 263- Y (W05)
T 1 651・ 261- Y (W05)
最終処分 維持  
前審関与審査官 浦辺 淑絵 
特許庁審判長 半田 正人
特許庁審判官 阿曾 裕樹
大森 友子
登録日 2020-01-28 
登録番号 商標登録第6220175号(T6220175) 
権利者 株式會▲社▼ 瑞興
商標の称呼 エンボキャップス、エンボ、キャップス 
代理人 特許業務法人三枝国際特許事務所 
代理人 右田 俊介 
代理人 高橋 政治 

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