• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W09
審判 全部申立て  登録を維持 W09
審判 全部申立て  登録を維持 W09
審判 全部申立て  登録を維持 W09
管理番号 1368367 
異議申立番号 異議2019-900086 
総通号数 252 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2020-12-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2019-03-15 
確定日 2020-08-11 
異議申立件数
事件の表示 登録第6106287号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 登録第6106287号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6106287号商標(以下「本件商標」という。)は,「Morbeat」の文字を標準文字で表してなり,平成30年2月6日に登録出願,第9類「ラウドスピーカーシステム,ヘッドセット,蓄電池,ビデオモニター,音楽用ヘッドホーン,スピーカー用ホーン,音響用振動板,スピーカー用筐体,全地球測位装置(GPS),ヘッドホーン」を指定商品として,同年10月11日に登録査定,同年12月14日に設定登録されたものである。

2 引用商標等
(1)登録異議申立人(以下「申立人」という。)が,本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用する登録商標は,以下のとおりであり(以下,これらをまとめていうときは「引用商標」という。),いずれも現に有効に存続しているものである。
ア 登録第5504414号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成:URBEATS(標準文字)
優先権主張:域内市場における調和のための官庁(商標及び意匠) 2011年9月12日
登録出願日:平成24年1月24日
設定登録日:平成24年6月29日
指定商品 :第9類「ヘッドフォン,ヘッドフォン用キャリングケース,マイクロフォン,オーディオスピーカー,ラウドスピーカー,オーディオ機器、すなわち、メディアプレーヤー、ポータブルメディアプレーヤー、車載用メディアプレーヤー、車載用DVDプレーヤー、車載用CDプレーヤー、デジタルオーディオプレーヤー、携帯用デジタルオーディオプレーヤー、車載用デジタルオーディオプレーヤー,携帯電話及び附属品、すなわち、セルラーフォン、スマートフォン、及び、携帯電話用のマイクロフォン付ヘッドフォン(ヘッドセット),パーソナルデジタルアシスタント(携帯情報端末装置)、並びに、テキスト・データ・画像及びオーディオファイルを伝達・記録・整理・伝送・操作・保存及び検証するための無線携帯デジタル電子機器,コンピュータ,オーディオ部品、すなわち、パワーケーブル並びに音声及び画像を伝送するためのケーブル」
イ 登録第5686804号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成:POWERBEATS(標準文字)
登録出願日:平成26年3月10日
設定登録日:平成26年7月18日
指定商品 :第9類「ヘッドフォン,イヤフォン,ラウドスピーカー,オーディオ用スピーカー,オーディオ用ケーブル,自動車用のオーディオ用スピーカー,自動車用のメディアプレーヤー,自動車用デジタルオーディオプレーヤー,携帯電話機,ラップトップ型コンピュータ,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」
(2)申立人が,本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当するとして引用する商標は,申立人が使用する「beats(Beats)」の文字からなる商標(以下「使用商標」という。)であって,申立人の業務に係る商品(ヘッドフォン等)を表示するものとして需要者の間に広く認識されているとするものである。

3 登録異議の申立ての理由
申立人は,本件商標について,商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものであるから,同法第43条の2第1号により,その登録は取り消されるべきであると申立て,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第35号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は,「Morbeat」の文字であり,「モアビート」の称呼を生じる。
引用商標1の「URBEATS」の文字から「ユアビーツ」の称呼を生じ,引用商標2の「POWERBEATS」の文字から「パワービーツ」の称呼を生じる。
本件商標は,引用商標と語頭及び末尾の文字が異なるものの,全体の語感や語調が似ており,相紛れるおそれがある。
また,本件商標の指定商品は,引用商標の指定商品と同一又は類似するものを含むことは明らかであるから,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第15号について
本件商標は,申立人の周知著名な使用商標「beats」の文字を単数形にしたにすぎない「beat」の文字を含み,かかる指定商品には,申立人の主力製品であるスピーカーやヘッドホン等を含んでいる。そのため,当該指定商品に本件商標を使用されると,申立人の提供するスピーカーやヘッドホン(以下「申立人使用商品」という。)等を連想させ,混同を生じるおそれがあるから,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当する。

4 当審の判断
(1)使用商標の周知性について
ア 申立人の提出した証拠及び同人の主張によれば,以下のとおりである。
(ア)申立人は,米国カリフォルニア州にて2006年(平成18年)に創設されたオーディオブランド企業であり(甲2,甲16),2008年(平成20年)に最初の製品「Beats Studio」を発売し,2014年(平成26年)にアップル社に買収され,同社の子会社となった後も,申立人使用商品に使用商標を表示して販売している(甲3,甲4,甲8等)。
(イ)2013年度(平成25年度)の申立人の収益は14億ドル(約1384億円)に達し,最大で15億ドル(約1483億円)に達する可能性もあると米国メディアが予測していること,これまで1500万から2000万個のヘッドホンやスピーカーを販売しているとの記載がある(甲35)。
(ウ)申立人使用商品は,我が国において,遅くとも2014年(平成26年)3月頃から販売されていたことが認められ(甲16),同年7月に,申立人がアップル社に買収されたことが大きな話題となり,その後,申立人使用商品が,Apple Storeや量販店などに加え,携帯電話大手のソフトバンクショップでも販売されている(甲8,甲9)。
(エ)申立人使用商品は,2016年(平成28年)には,我が国において最も売れたヘッドホンランキングの金額ベースの販売数ランキングで10位になっていること(甲15),「日経トレンディネット」及び「日経MONO TRENDY」などの経済に関するウェブサイトにおいても申立人使用商品が我が国の若者を中心とした需要者において人気となっていることが掲載されている(甲10,甲16)。
(オ)以上のとおり,(a)申立人は2006年(平成18年)米国で創設されたオーディオブランド企業であり,2014年(平成26年)にアップル社に買収され,2013年度(平成25年度)の収益が14億ドル(約1384億円)に達していること,(b)申立人使用商品は,我が国においては,遅くとも2014年(平成26年)3月頃から販売され,同年7月に,申立人がアップル社に買収された以降,申立人使用商品が,Apple Storeや量販店などに加え,携帯電話大手のソフトバンクショップでも販売されていること,(c)2016年(平成28年)には,我が国におけるヘッドホンランキングの金額ベースの販売数ランキングで10位になっていること,(d)経済に関するウェブサイトにおいても申立人使用商品が我が国の若者を中心とした需要者において人気となっていることが掲載されていることからすると,使用商標は,申立人使用商品を表示するものとして,我が国のヘッドフォンの需要者にある程度知られていたというのが相当である。
しかしながら,使用商標については,申立人使用商品に使用されているものの(甲4,甲8,甲14,甲15),我が国における当該商品に関する売上高,販売数,市場シェアなど販売実績を示す具体的な証左は見いだせないから,一般の需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
(2)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標
本件商標は,上記1のとおり,「Morbeat」の欧文字を表してなるところ,その構成文字に相応して「モービート」の称呼を生じ,当該文字は,辞書等に掲載されていないものであるから,特定の語義を有しない一種の造語として理解されるとみるのが相当である。
したがって,本件商標は,その構成文字に相応して「モービート」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものである。
イ 引用商標
引用商標1は,上記2のとおり,「URBEATS」の欧文字を表してなり,引用商標2は,「POWERBEATS」の欧文字を表してなるところ,それぞれの構成文字に相応して,引用商標1は,「アービーツ」の称呼を生じ,引用商標2は,「パワービーツ」の称呼を生じるものである。
そして,引用商標1及び2の文字は,辞書等に掲載されていないものであるから,特定の語義を有しない一種の造語として理解されるとみるのが相当である。
したがって,引用商標1及び2は,その構成文字に相応して「アービーツ」及び「パワービーツ」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものである。
ウ 本件商標と引用商標との類否
本件商標と引用商標とを比較すると,両者は,上記ア及びイのとおりの構成からなるところ,文字つづりを異にしていることから,外観上,判然と区別し得るものである。
次に,称呼においては,本件商標から生じる「モービート」と引用商標から生じる「アービーツ」及び「パワービーツ」の称呼とは,称呼の識別上重要な要素である語頭を始め,語尾における「ト」と「ツ」の音に差異を有するものであるから,両者は,語感や語調が異なり,称呼上,明瞭に聴別できるものである。
そして,観念においては,本件商標及び引用商標からは特定の観念を生じないものであるから,観念上,比較することはできない。
以上からすれば,本件商標と引用商標とは,観念において比較できないとしても,その外観において,判然と区別し得るものであり,称呼においても,明瞭に聴別できるものであるから,これらを総合的に考慮すれば,両者は,相紛れることのない非類似の商標というべきである。
エ なお,申立人は,本件商標と引用商標は,全体の語感や語調が似ており,相紛れるおそれがある旨主張しているが,両商標は上記のとおり,称呼において聴別し得るものであり,全体の語感や語調が似ているとはいい難く,外観においても区別し得るものであるから,かかる申立人の主張は採用できない。
オ まとめ
以上のとおり,本件商標と引用商標とは非類似の商標であるから,本件商標の指定商品と引用商標の指定商品とが同一又は類似するとしても商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第15号該当性について
ア 使用商標の周知著名性
上記(1)のとおり,使用商標は,我が国のヘッドフォンの需要者にある程度知られているといえるものの,我が国における使用商標について,申立人使用商品の売上高,販売数,市場シェアなど販売実績について明らかにされていないものであるから,申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものとは認められないものである。
イ 本件商標と使用商標との類似性の程度
使用商標は,「beats(Beats)」の文字からなり,当該文字は,「拍子」の意味を有する英語「beat」の複数形といえるから,その構成文字に相応して「ビーツ」の称呼を生じ,「拍子」程の観念を生じるものである。
そうすると,本件商標と使用商標とは,構成文字のつづり及び文字数を異にし,両者は,外観において判然と区別し得るものである。また,本件商標から生じる「モービート」の称呼と使用商標から生じる「ビーツ」の称呼とは,その称呼において,音数の相違,語頭音及び語尾音における差異を有するものであるから,称呼において明瞭に聴別できるものである。
さらに,観念においては,特定の観念を生じない本件商標と「拍子」程の観念を生じる使用商標とは,観念において紛れないものである。
以上からすると,本件商標と使用商標とは,外観,称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれのない非類似の商標であるから,類似性の程度は低いものである。
ウ 出所の混同のおそれについて
上記アのとおり,使用商標は,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,申立人使用商品を表示するものとして,需要者の間に広く認識されているものと認められないものである。
そして,上記イのとおり,本件商標と使用商標とは,非類似の商標であって,両者の類似性の程度は低いものである。
そうすると,本件商標は,本件商標権者が本件商標をその指定商品に使用しても,これに接する取引者,需要者が,使用商標を連想又は想起することはないというべきであり,当該商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように,商品の出所について混同を生じさせるおそれはないものである。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(4)むすび
以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第11号及び同項第15号のいずれにも該当せず,他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから,同法第43条の3第4項の規定により,維持すべきである。
よって,結論のとおり決定する。
異議決定日 2020-01-29 
出願番号 商願2018-14957(T2018-14957) 
審決分類 T 1 651・ 261- Y (W09)
T 1 651・ 262- Y (W09)
T 1 651・ 263- Y (W09)
T 1 651・ 272- Y (W09)
最終処分 維持  
前審関与審査官 谷村 浩幸 
特許庁審判長 榎本 政実
特許庁審判官 薩摩 純一
平澤 芳行
登録日 2018-12-14 
登録番号 商標登録第6106287号(T6106287) 
権利者 深セン市盛音達電子有限公司
商標の称呼 モービート、モルビート 
代理人 特許業務法人大島・西村・宮永商標特許事務所 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ