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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) W30
管理番号 1368316 
審判番号 取消2018-300413 
総通号数 252 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2020-12-25 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2018-06-13 
確定日 2020-11-04 
事件の表示 上記当事者間の登録第5622105号商標の登録取消審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 登録第5622105号商標の指定商品中,第30類「コーヒー豆,穀物の加工品,ぎょうざ,しゅうまい,すし,たこ焼き,弁当,ラビオリ,イーストパウダー,こうじ,酵母,ベーキングパウダー,即席菓子のもと,酒かす」についての商標登録を取り消す。 審判費用は,被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5622105号商標(以下「本件商標」という。)は,「天使」の文字を縦書きしてなり,平成25年6月17日に登録出願,第30類「菓子,パン,サンドイッチ,中華まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ,コーヒー豆,穀物の加工品,ぎょうざ,しゅうまい,すし,たこ焼き,弁当,ラビオリ,イーストパウダー,こうじ,酵母,ベーキングパウダー,即席菓子のもと,酒かす」並びに第29類及び第32類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,同25年10月11日に設定登録がされ,その後,商標登録の取消し審判により,その指定商品中,第29類「全指定商品」及び第32類「飲料用野菜ジュース」について取り消すべき旨の審決がされ,前者は,同31年1月4日に,後者は,同月9日にその確定審決の登録がされ,現に有効に存続しているものである。
なお,本件審判の請求の登録日は,平成30年6月28日であり,本件審判の請求の登録前3年以内の期間である同27年6月28日から同30年6月27日までを,以下「要証期間」という場合がある。

第2 請求人の主張
請求人は,結論同旨の審決を求め,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は,その指定商品中,第30類「コーヒー豆,穀物の加工品,ぎょうざ,しゅうまい,すし,たこ焼き,弁当,ラビオリ,イーストパウダー,こうじ,酵母,ベーキングパウダー,即席菓子のもと,酒かす」について,継続して3年以上日本国内において,商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用をしていないものであるから,その登録は商標法第50条第1項の規定により取消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
被請求人は,本件商標は,その指定商品中「即席菓子のもと」について要証期間内に日本国内において,本件商標権者により使用されている旨主張しているが,以下のとおり,商標法第50条第2項で定める登録商標の使用を証明するに十分なものではないから,本件商標の登録は取り消しを免れないものである。
(1)被請求人のウェブサイトの画面について
ア 商標の使用があるとするためには,当該商標が,必ずしも指定商品そのものに付されて使用されていることは必要でないが,その商品との具体的関係において使用されていることを必要とする(最高裁昭和42年(行ツ)第32号)と解されるところ,同様に被請求人が主張する商標法第2条第3項第8号にいう「標章の使用」というためには,「商品に関する広告」に標章を付して展示又は頒布することを要する。すなわち,広告に使用される標章が,広告中において商品との具体的関係において使用されていなければ,商品についての標章の使用があるとはいえない。
上記の解釈を本件にあてはめるに,乙第6号証ないし乙第10号証に示される「※『天使』は森永製菓株式会社の登録商標です。」の記載は,「天使」という語が被請求人の登録商標であるとの事実を示したものであって,「天使」という語が商品との具体的な関係において使用されている場合にその付された表示が商標法第2条第3項第8号にいう「標章の使用」に該当するものといい得るものである。
しかしながら,要証期間において使用していると主張する乙第7号証ないし乙第10号証においては,商品「モントン」,「ホットケーキ」及び「クックゼラチン」の商品紹介及び掲載されているパッケージ写真のいずれにも「天使」の表示はなく,これら商品との具体的な関係において何ら使用されていない。
イ 乙第6号証ないし乙第10号証には,被請求人が取り扱っていると思しき商品写真が掲載されているものの,具体的な商品の内容の紹介や,商品の金額,販売場所等の商品に関する情報が何ら記載されていない。
また,乙第6号証ないし乙第10号証に示されるようなインターネットを介して飲食品のレシピを紹介する商品又はサービスは,甲第1号証に示されるような第43類に属する「インターネットによる料理のレシピに関する情報の提供」等の役務であり,第43類の「飲食物の提供」の範ちゅうに属する役務であって,本件審判に係る指定商品の範ちゅうに属する商品又は役務ではない。
さらに,被請求人は,乙第13号証を示して商品カタログを紹介しているメールマガジン及びWEB版のウェブサイトが,商品の広告と認定されていることを主張しているが,乙第6号証ないし乙第10号証のウェブサイトは商品の具体的な紹介のない「料理のレシピサイト」であって乙第13号証の事案とは内容を異にするものであって,同列に解することはできない。
ウ 以上のとおり,乙第6号証ないし乙第10号証のウェブサイトの画面に記載されている「※『天使』は森永製菓株式会社の登録商標です。」の記載は,本件審判請求に係る商品との具体的関係のない事実の表示であって,本件商標に係る「商品に関する広告」に標章を付して展示又は頒布する使用されているものではないのであるから,本件商標を請求に係る商品に使用したことを客観的に証明したとはいえない。
したがって,乙第6号証ないし乙第10号証及び乙第13号証は,商標法第50条第2項で定める登録商標の使用を証明するに十分なものということはできない。
(2)被請求人が示す判決・審決について
被請求人が示す乙第7号証ないし乙第10号証における「※『天使』は森永製菓株式会社の登録商標です。」の表示は,「天使」という語が登録商標表示であることを示すのみの記載であって,本件請求に係る何らかの具体的な商品について付されたものではなく,被請求人が示す判決・審決(乙14?乙17)で示される基準における「商標がその商品について」使用されていないため,商標法第50条第2項で定める登録商標の使用を証明するに十分なものということはできないのであって,これら判決及び審決で示された内容に何ら相違するものではない。
以上により,乙第14号証ないし乙第17号証において示されている判決及び審決は,請求人のこれまでの主張とは相違するものではなく,むしろ請求人の主張を裏付けるものである。
(3)まとめ
以上述べたとおり,被請求人によって提出された答弁書及びその証拠書類によっては,本件商標権者又はその使用権者が,本件商標を要証期間内に,その請求に係る指定商品のいずれかについて使用していたということはできない。
よって,被請求人は,商標法第50条第2項で定める登録商標の使用を証明していないから,本件商標の上記請求に係る指定商品についての商標登録は取り消されるべきである。

第3 被請求人の主張
被請求人は,本件審判の請求は成り立たない,審判費用は請求人の負担とする,との審決を求め,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として,乙第1号証ないし乙第17号証を提出した。
1 答弁の理由
本件商標は,本件商標権者によって,本件審判の請求に係る指定商品中の「即席菓子のもと」(以下「本件商品」という場合がある。)に使用されている。
(1)被請求人等について
被請求人(本件商標権者)は,日本有数の菓子・食品の製造・販売を業とする会社であり,「天使(エンゼル)」を創業の精神を体現するシンボルとして,天使図形からなる標章を採用し,明治38年(1905年)以来1世紀以上の長きにわたって自社製品に使用し続けている。これは,裁判所においても認められており(乙1)。特許庁における審判事件においても,天使図形のみならず,「天使」,「てんし\天使」,又は,「てんし\天使\テンシ」等の語からなる商標については,強い出所識別能力を有していることが認定されている(乙2?乙5)。
(2)本件商標の使用について
被請求人は,「天使」の語からなる商標(以下「本件使用商標」という場合がある。)を,本件商品について,要証期間内に使用している。
乙第6号証は,被請求人が提供している「森永天使のお菓子レシピ」の画面(以下「本件レシピ画面」という。)の写しである。本件レシピ画面は,自社商品を宣伝するとともに,自社商品を使用した菓子・副菜等のレシピを紹介することによって,当該商品の拡販を目的とするものである。本件レシピ画面では,「モントン」(卵と牛乳を加えてオーブンで焼くとスポンジケーキが作れる),「ホットケーキ」(卵と牛乳を加えてフライパンで焼くとホットケーキが作れる),「クックゼラチン」(お湯で溶かして混ぜ,冷蔵庫で冷やすとゼリーが作れる)等の宣伝広告がなされており,その下には,「※『天使』は森永製菓株式会社の登録商標です。」との注書きがなされている。これらの行為は,商標法第2条第3項第8号の「商品若しくは役務に関する広告,価格表若しくは取引書類に標章を付して展示し,若しくは頒布し,又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」にあたる。
乙第7号証は,ウェイバック機能を使用して入手した,平成27年(2015年)11月4日付の本件レシピ画面の写しである。また,乙第8号証ないし乙第10号証は,それぞれ,同28年(2016年)5月2日,同29年(2017年)5月30日,同30年(2018年)5月29日時点の本件レシピ画面である。本件レシピ画面には,例外なく,本件商品の宣伝広告に加えて,「※『天使』は森永製菓株式会社の登録商標です。」の表示がなされている。これらの表示中の「天使」の表示部分は,括弧で他の文字と分けて記載されていることから,需要者にも視覚的に分離して看取され,独立して自他商品の識別機能を果たしている。この記載に関するブログもあるほどである(乙11)。
なお,「即席菓子のもと」とは,「例えば,湯を混ぜればすぐにゼリー菓子になるような商品(「ゼリーの素」)のことであり(略),文字どおり,『即席』でできる『菓子』の『もと』のことで・・・,菓子製造の際にその一材料として使用される商品とは区別され」,「一般に家庭における使用を念頭において販売される」ものである(乙12)。
この点,特許庁の審判においても,メールマガジン及びWeb版に表示された商標について「メールマガジン及びWeb版には,加工食料品を中心とした被請求人商品に直接関係し,被請求人商品を広告宣伝する情報が掲載されているから,メールマガジン及びWeb版は,顧客に被請求人商品を認知させ理解を深め,いわば,電子情報によるチラシとして,被請求人商品の宣伝媒体としての役割を果たしているものということができる。このように,メールマガジン及びWeb版が,被請求人商品を宣伝する目的で配信され,多数のリンクにより,直接加工食料品等の被請求人商品を詳しく紹介する被請求人ウェブサイトの商品カタログ等のページにおいて商品写真や説明を閲覧することができる仕組みになっていることに照らすと,メールマガジン及びWeb版は,被請求人商品に関する広告又は被請求人商品を内容とする情報ということができ,そこに表示された『クラブハウス』標章は,被請求人の加工食料品との具体的関係において使用されているものということができる。」と認定し,商標としての使用にあたると判断している(乙13)。
(3)上記(2)の使用態様と商標法第50条第1項に基づく審判における登録商標の使用について
本件使用商標は,上記のとおり,本件商品の宣伝広告として使用されている。
したがって,本件商標がそのまま個々の「即席菓子のもと」の名称でなかったとしても,商標法第50条第1項に基づく審判における登録商標の使用にあたる。この点は,乙第14号証ないし乙第17号証の事件においても,同様に判断されている。
(4)本件商標と本件使用商標の同一性
本件商標は,漢字で「天使」と縦書きにしてなる。他方,本件使用商標は「天使」と横書きにしてなる。これは「縦書きによる表示態様とこれに対応すると認められる左横書き又は右横書き(ローマ字にあっては,右横書きを除く)による表示態様の相互間の使用」に該当するから,登録商標の使用であることは明らかである。
以上より,本件商標は,要証期間内に,本件商標権者によって,指定商品である「即席菓子のもと」について,広告又は商品そのものに付して使用されているから,本件審判の請求は成り立たない。

第4 審尋及び被請求人の回答
1 審尋
審判長は,令和2年6月17日付け審尋において,被請求人に対し,被請求人が提出した証拠によっては,被請求人が商標法第50条第2項に規定する本件商標の使用をしている事実を証明したものとは認めることができない旨の合議体の暫定的見解及び請求人提出の審判事件弁駁書に対する回答を求めた。
2 被請求人の回答
被請求人は,上記1の審尋に対し何らの応答もしていない。

第5 当審の判断
1 被請求人の主張及び同人の提出に係る証拠によれば,以下のとおりである。
(1)乙第6号証ないし乙第10号証は,本件商標権者のウェブサイト画面の写しであるところ,いずれも表題を「森永天使のお菓子レシピ」とし,「条件検索」の項に列挙された商品の中には,「ホットケーキ」等の文字とともに商品の画像が掲載されているが,当該商品の画像は小さく不鮮明であり,さらに,商品によっては画像全体が表示されていないものもあることから,当該商品における商標の表示の有無など,その詳細は確認できない。
また,当該ウェブサイト画面には「※『天使』は森永製菓株式会社の登録商標です。」の記載がある。
(2)乙第1号証ないし乙第5号証,乙第12号証ないし乙第17号証は,過去の審決及び判決である。
(3)乙第11号証は2013年(平成25年)3月17日に掲載された他人のブログ記事の写しである。
2 上記1によれば,当審の判断は,以下のとおりである。
(1)乙第6号証ないし乙第10号証について
被請求人(本件商標権者)は,乙第6号証ないし乙第10号証は本件商標権者のウェブサイト画面の写しであり,「ホットケーキ」等の広告とともに,「※『天使』は森永製菓株式会社の登録商標です。」の表示がされていることをもって商標法第2条第3項第8号の使用にあたる旨主張する。
しかしながら,「※『天使』は森永製菓株式会社の登録商標です。」の表示とウェブサイト画面(乙6?乙10)に掲載された商品との関係が不明であることから,当該表示は,単に本件商標権者の所有する商標について説明した文章にすぎないというべきであって,また,当該表示をもって,本件商標権者が要証期間内に商品「即席菓子のもと」について本件商標を使用したと認めることはできない。
(2)その他,上記1(2)は、本件商標の使用を立証するための直接的な証拠とはいえないし、また、上記1(3)は、要証期間外の証拠である。
(3)小括
上記(1)及び(2)のとおり,被請求人が提出した全証拠によっては,要証期間に被請求人(本件商標権者)が,本件審判の請求に係る指定商品について,本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)の商標法第2条第3項各号にいう使用があったことを認めるに足る事実を見いだせない。
3 まとめ
以上のとおり,被請求人は,本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において,本件商標権者,通常使用権者又は専用使用権者のいずれかが,その請求に係る指定商品について,本件商標の使用をしていることを証明したものということができない。
また,被請求人は,本件商標の使用をしていないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって,本件商標の登録は,商標法第50条の規定により,取り消すべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
別掲
審理終結日 2020-09-01 
結審通知日 2020-09-03 
審決日 2020-09-25 
出願番号 商願2013-46356(T2013-46356) 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (W30)
最終処分 成立  
前審関与審査官 齋藤 貴博北口 雄基 
特許庁審判長 齋藤 貴博
特許庁審判官 小松 里美
榎本 政実
登録日 2013-10-11 
登録番号 商標登録第5622105号(T5622105) 
商標の称呼 テンシ 
代理人 小野寺 隆 
代理人 小林 彰治 
代理人 鳥海 哲郎 
代理人 廣中 健 
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