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審決分類 |
審判 査定不服 称呼類似 登録しない W35 審判 査定不服 外観類似 登録しない W35 審判 査定不服 観念類似 登録しない W35 |
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管理番号 | 1368307 |
審判番号 | 不服2020-6322 |
総通号数 | 252 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2020-12-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2020-05-11 |
確定日 | 2020-10-29 |
事件の表示 | 商願2018-126693拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 本願商標 本願商標は、「Kakyo」の文字を標準文字で表してなり、第35類に属する願書記載のとおりの役務を指定役務として、平成30年10月10日に登録出願され、その後、指定役務については、原審における令和元年10月15日付けの手続補正書により、第35類「飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,酒類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,食肉の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,食用水産物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,野菜及び果物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,菓子及びパンの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,米穀類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,牛乳の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,清涼飲料及び果実飲料の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,茶・コーヒー及びココアの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,加工食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,電子商取引を利用した商品の売買契約の媒介及びこれに関する情報の提供又は指導・助言,商品の販売に関する情報の提供又は指導・助言,商品の通信販売に関する情報の提供又は指導・助言,商品の購入に関する情報の提供又は指導・助言」に補正されたものである。 2 原査定の拒絶の理由の要点 (1)原査定は、「本願商標は、次の(2)の登録商標(以下、これらをまとめていうときは『引用商標』という。)と類似の商標であって、その商標登録に係る指定商品と類似の役務について使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。 (2)引用商標 引用商標は、以下のとおりであり、いずれも現に有効に存続しているものである。 ア 登録第3265725号商標(以下「引用商標1」という。) 商標の構成 別掲1 指定商品 第30類「うどんのめん,そうめんのめん,そばのめん,中華そばのめん」 登録出願日 平成6年6月24日 設定登録日 平成9年2月24日 イ 登録第4783344号商標(以下「引用商標2」という。) 商標の構成 「華興」 指定商品 第30類「ぎょうざ」 登録出願日 平成15年11月12日 設定登録日 平成16年7月2日 ウ 登録第5209552号商標(以下「引用商標3」という。) 商標の構成 「花京」(標準文字) 指定商品 第33類「日本酒,洋酒,果実酒,薬味酒」 登録出願日 平成20年8月8日 設定登録日 平成21年2月27日 エ 登録第5321581号商標(以下「引用商標4」という。) 商標の構成 別掲2 指定商品 第29類「枸杞・紅景天・プラセンタ・胡桃を主原料とする粒状・粉状・液状の加工食品」 登録出願日 平成21年9月28日 設定登録日 平成22年5月14日 オ 登録第5383638号商標(以下「引用商標5」という。) 商標の構成 別掲3 指定商品 第30類「菓子及びパン」 登録出願日 平成22年5月14日 設定登録日 平成23年1月14日 3 当審の判断 (1)本願商標について 本願商標は、前記1のとおり、「Kakyo」の欧文字を標準文字で表してなるところ、当該文字は、既成の語として辞書等に載録されておらず、一般に親しまれた語でもないから、特定の観念を生じないものである。 そして、本願商標のように特定の語義を有しない欧文字からなる商標を称呼するときは、我が国で広く親しまれている英語風又はローマ字風の発音をもって称呼されるのが一般的といえるところ、例えば、広く親しまれた語として「Tokyo」を「トーキョー」、「Kyoto」を「キョート」と発音するのに倣って、本願商標からは、「カキョー」の称呼が生じ、又はローマ字読みとして「カキョ」の称呼も生じ得るとみるのが相当である。 (2)引用商標について ア 引用商標1 引用商標1は、前記2(2)アのとおり、「河京」の文字を毛筆体風に縦書きしてなるところ、その構成文字に相応して、「カワキョー」又は「カキョー」の称呼を生じ、該文字は、一般の辞書等に掲載のない語であるから、特定の観念は生じない。 イ 引用商標2 引用商標2は、前記2(2)イのとおり、「華興」の文字をゴシック体で横書きしてなるところ、その構成文字に相応して、「カコー」又は「カキョー」の称呼を生じ、該文字は、一般の辞書等に掲載のない語であるから、特定の観念は生じない。 ウ 引用商標3 引用商標3は、前記2(2)ウのとおり、「花京」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成文字に相応して、「ハナキョー」又は「カキョー」の称呼を生じ、該文字は、一般の辞書等に掲載のない語であるから、特定の観念は生じない。 エ 引用商標4 引用商標4は、前記2(2)エのとおり、太い輪郭(以下「輪郭部分」という。)のあるひし形形状の図形内中央に、最も大きく顕著に、白く縁取りした「家京」の文字を配し、輪郭部分内に、中央の文字に比して小さく白抜きし、該図形上部の左右それぞれに「jiajing」、該図形下部の左右それぞれに「KAKYOU」の欧文字を配してなるところ、その構成全体又はその構成文字全体をもって特定の意味合いを想起させるなどといえる事情は見いだせないこと、上記各構成文字部分が段を変え、スペースを介して配置されていることからすれば、上記各構成部分を分離して観察することが取引上不自然と思われるほど不可分的に結合しているものということはできない。また、その構成中のひし形形状の図形部分はさほど特徴のない単なる背景図形と看取、把握されるものといえ、さらに、輪郭部分内の各文字は、白抜きで小さく表されている上、「jiajing」の文字は、我が国において親しまれた語とはいえないものである。 そうすると、引用商標4をその指定商品について使用するときは、これに接する取引者、需要者は、引用商標4の構成中、その中央に最も大きく顕著に表されている「家京」の文字部分に注目することも少なくないとみるのが相当であり、これと共に、該文字部分の下に記載された「KAKYOU」の文字を「家京」の読みを特定したものと理解し、記憶にとどめるものというのが相当である。 してみれば、引用商標4は、その構成中の「家京」の文字部分と、この読みを特定したものと理解する「KAKYOU」の文字部分とが、両者相まって、取引者、需要者に対し、商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められ、当該文字部分だけを要部として抽出し、この部分のみを他人の商標と比較して商標の類否を判断することが許されるものである。 したがって、引用商標4は、その要部から「カキョー」の称呼が生じ、該文字は、一般の辞書等に掲載のない語であるから、特定の観念は生じない。 オ 引用商標5 引用商標5は、前記2(2)オのとおり、構成中の上段に「パティスリー」の文字を、下段には上段に比して大きく「菓響」の文字をゴシック体で横書きしてなるところ、その構成中の「パティスリー」の文字は、「菓子屋」の意味を表すフランス語として、店名などに頻繁に使用されている語であることが認められるものであって、引用商標5に係る指定商品「菓子及びパン」との関係において、主として商品の販売場所を表したに過ぎないものであるから、自他商品の出所識別標識としての機能はないか極めて弱いものといえ、上段の文字に比べ、ひときわ大きく表されている「菓響」の文字部分が独立して自他商品の出所識別標識として機能し得るものといえる。 そうすると、引用商標5は、構成中の「菓響」の文字部分に相応して、「カキョー」の称呼を生じ、該文字は、一般の辞書等に掲載のない語であるから、特定の観念は生じない。 (3)本願商標と引用商標との類否について 本願商標と引用商標(引用商標4及び5についてはその要部)との称呼を比較すると、本願商標からは「カキョー」又は「カキョ」の称呼が生じ、引用商標1からは「カワキョー」又は「カキョー」の称呼を、引用商標2からは「カコー」又は「カキョー」の称呼を、引用商標3からは「ハナキョー」又は「カキョー」の称呼を、引用商標4の要部からは「カキョー」の称呼を、引用商標5の要部からは「カキョー」の称呼を生じるものであるから、本願商標と引用商標とは、「カキョー」の称呼を共通にするものである。 次に外観については、文字の種類が欧文字と漢字とで相違するとしても、いずれも普通に用いられる域を脱しない書体で表されたものであって、商標の使用においては、商標の構成文字を同一の称呼が生じる範囲内で文字種を相互に変換して表記されることが一般的に行われている取引の実情があることに鑑みれば、引用商標の「河京」、「華興」、「花京」、「家京」又は「菓響」の文字は、「カキョー」の称呼から「kakyo」として表記され得るから、両者における文字種の相違が、取引者、需要者に対し、出所識別標識としての外観上の顕著な差異として強い印象を与えるとまではいえない。なお、引用商標4は「KAKYOU」の欧文字を有するところ、本願商標「kakyo」とは、大文字か小文字かの違いはあるものの、構成文字の5字を共通にし、語尾における「U」の差異があるとしても、表記においてしばしば省略され得る長音の「U」の差異に過ぎないものであることに鑑みれば、該差異も、取引者、需要者に対し、出所識別標識としての外観上の顕著な差異として強い印象を与えるとまではいえない。 さらに観念については、本願商標の「kakyo」の欧文字部分からは、特定の観念が生じず、引用商標1ないし5(引用商標4及び5についてはその要部)からも、特定の観念は生じないものと認められるから、本願商標と引用商標とは、観念において比較することはできない。 そうすると、本願商標と引用商標(引用商標4及び5についてはその要部)は、観念において比較できず、「カキョー」の称呼を共通にし、外観における差異についても、称呼の同一性をしのぐほどの顕著な差異として強い印象を与えるとまではいえないことから、これらの外観、称呼、及び観念によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合勘案すれば、これらは相紛れるおそれのある類似の商標というのが相当である。 したがって、本願商標と引用商標とは、互いに相紛れるおそれのある類似する商標というのが相当である。 (4)本願商標の指定役務と引用商標の指定商品との類否 ア 引用商標1の指定商品「うどんのめん,そうめんのめん,そばのめん,中華そばのめん」、引用商標2の指定商品「ぎょうざ」及び引用商標4の指定商品「枸杞・紅景天・プラセンタ・胡桃を主原料とする粒状・粉状・液状の加工食品」は、本願商標の指定役務中の第35類「加工食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」に係る取扱商品である「加工食料品」に含まれるものである。 イ 引用商標3の指定商品「日本酒,洋酒,果実酒,薬味酒」は、本願商標の指定役務中の第35類「酒類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」に係る取扱商品である「酒類」に含まれるものである。 ウ 引用商標5の指定商品「菓子及びパン」は、本願商標の指定役務中の第35類「菓子及びパンの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」に係る取扱商品である「菓子及びパン」と同一のものである。 エ 引用商標の指定商品は、本願商標の指定役務中の第35類「飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」に係る取扱商品である「飲食料品」に含まれるものである。 オ そうすると、本願商標の指定役務中、前記アないしエに示した指定役務については、その取扱商品に引用商標の指定商品と共通又は類似する商品を有するため、当該指定役務と指定商品とは、商品の販売及び役務の提供が同一業者によって行われるのが通常で、その商品の販売場所と役務の提供場所、需要者の範囲も一致することから、これに同一又は類似の商標を使用するときは、それぞれの商品と役務の間に出所の混同を生じるおそれがあるものであり、相互に類似するものといえる。 (5)まとめ 以上のとおり、本願商標は、引用商標と類似する商標であって、その指定役務も、引用商標の指定商品と類似するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲1(引用商標1) 別掲2(引用商標4、色彩については原本参照) 別掲3(引用商標5) |
審理終結日 | 2020-08-26 |
結審通知日 | 2020-08-27 |
審決日 | 2020-09-14 |
出願番号 | 商願2018-126693(T2018-126693) |
審決分類 |
T
1
8・
263-
Z
(W35)
T 1 8・ 261- Z (W35) T 1 8・ 262- Z (W35) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 滝口 裕子 |
特許庁審判長 |
木村 一弘 |
特許庁審判官 |
黒磯 裕子 板谷 玲子 |
商標の称呼 | カキョー、カキョ |
代理人 | 原田 貴史 |