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審決分類 審判 査定不服 観念類似 登録しない W43
審判 査定不服 称呼類似 登録しない W43
審判 査定不服 外観類似 登録しない W43
管理番号 1368299 
審判番号 不服2019-11484 
総通号数 252 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2020-12-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-09-02 
確定日 2020-10-26 
事件の表示 商願2018- 41005拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成からなり、第43類「飲食物の提供」を指定役務として、平成30年3月30日に登録出願されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録第5629566号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲2のとおりの構成からなり、平成25年7月22日に登録出願、第43類「洋食を主とする飲食物の提供」を指定役務として、同年11月15日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

第3 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)商標の類否について
ア 本願商標について
本願商標は、別掲1のとおり、黄緑色の取っ手と注ぎ口のある土瓶形の図形(以下「図形部分」という。)を表し、その下に「MATCHA CAFE」の欧文字と、これより大きく表された「HACHI」の欧文字(以下「文字部分」という。)を横書きしてなるものである。
そして、本願商標の構成中、図形部分と文字部分とは、やや間隔があり、視覚上分離して看取されるばかりでなく、これらが常に一体不可分のものとしてのみ看取、把握されなければならない特段の事情も見いだせないものであるから、これらの各部分は、それぞれが独立して自他役務の識別標識としての機能を果たし得るものというのが相当である。
そこで、本願商標の図形部分をみるに、当該図形部分は、我が国において特定の意味合いを表すものとして認識され、親しまれているというべき事情は認められないものであるから、これよりは直ちに特定の称呼及び観念は生じないというのが相当である。
また、本願商標の構成中の「MATCHA CAFE」の文字についてみるに、「MATCHA」の文字は、インターネット上の英和データベースである「英次郎on the Web」(http://www.alc.co.jp)には「抹茶」の意味を有する語として掲載されており、「CAFE」の文字は、「喫茶店」の意味を有するフランス語(「クラウン仏和辞典第4版」株式会社三省堂)として知られていることから、「MATCHA CAFE」の構成文字全体として、「抹茶を提供する喫茶店」程の意味合いを容易に想起させるものである。
してみれば、本願商標に係る指定役務との関係においては、「MATCHA CAFE」の文字は、役務の質を表示するものというべきであるから、自他役務の識別標識としての機能が弱いか又はないものというのが相当である。
そして、本願商標の構成中の「HACHI」の文字は、辞書等に掲載のない語であり、特定の意味を有しない一種の造語として認識されるものであって、該文字は、「MATCHA CAFE」の文字に比して大きく横幅をとって、太字で表されているものであるから、取引者、需要者に対し、役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものということができる。
してみれば、本願商標の構成中、「HACHI」の文字を要部として抽出し、引用商標と比較して商標の類否を判断することも許されるというべきである。
そうすると、本願商標は、その構成中、「HACHI」の文字に相応して、「ハチ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
イ 引用商標について
引用商標は、別掲2のとおり、イラスト化したコック姿の人物とおぼしき図形(以下「人物図形部分」という。)の右側に、オレンジ色で縁取られた緑色の長方形内に、白抜きで「HACHI」の欧文字を横書きしてなる(以下「長方形部分」という。)ものである。
そして、引用商標の構成中、人物図形部分と長方形部分とは、やや間隔があり、視覚上分離して看取されるばかりでなく、これらが常に一体不可分のものとしてのみ看取、把握されなければならない特段の事情も見いだせないものであるから、これらの各部分は、それぞれが独立して自他役務の識別標識としての機能を果たし得るものというのが相当である。
そこで、引用商標の人物図形部分をみるに、当該人物図形部分は、我が国において特定の意味合いを表すものとして認識され、親しまれているというべき事情は認められないものであるから、これよりは直ちに特定の称呼及び観念は生じないというのが相当である。
また、引用商標の長方形部分をみるに、オレンジ色で縁取られた緑色の長方形の図形部分は文字を装飾する背景と認識され、「HACHI」の文字は、辞書等に掲載のない語であり、特定の意味を有しない一種の造語として認識され、白抜きで大きく顕著に表されていることから、該文字部分が、役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものということができる。
以上からすると、引用商標は、「HACHI」の文字を要部として抽出することが許されるというべきである。
そうすると、引用商標は、その構成中、「HACHI」の文字に相応して、「ハチ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
ウ 本願商標と引用商標の類否について
本願商標と引用商標とを比較すると、その全体の構成において相違するものの、両者は、「HACHI」の欧文字を要部とし、そのつづりを共通にするものであるから、外観において類似するものである。
次に、称呼においては、両者は「ハチ」の称呼を共通にするものである。
そして、両者とも特定の観念を生じないものであるから、観念については、比較することができないものである。
そうすると、本願商標と引用商標とは、観念において比較できないとしても、外観が類似し、同一の称呼を生ずるものであるから、これらを総合して考察すれば、本願商標と引用商標とは、互いに相紛れるおそれのある類似の商標というべきである。
(2)本願商標の指定役務と引用商標の指定役務との類否について
本願商標の指定役務である第43類「飲食物の提供」は、引用商標の指定役務である第43類「洋食を主とする飲食物の提供」と同一又は類似の役務である。
(3)小括
以上によれば、本願商標は、引用商標と類似する商標であって、 引用商標の指定役務と同一又は類似する役務について使用をするものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
2 請求人の主張について
(1)請求人は、商標の類否判断についての判決例を挙げ、本願商標は結合商標であり「HACHI」の文字部分だけを抽出して商標の類否を判断すべきではない旨、また、本願商標と引用商標とは外観において著しく相違し、称呼は本願商標が一連に称呼されるため異なり、観念は「HACHI」の文言のみでは対比することはできず類似しない旨、また、結合商標としてみた場合には、本願商標は「『HACHI』という抹茶関連の飲食を提供する店舗」という観念を生ずるが、引用商標は「洋食コック姿の料理人が飲食物を調理する『HACHI』との名称の洋食屋」という観念を生じ、両商標は類似するものではない旨主張する。
しかしながら、上記1(1)アのとおり、本願商標は、各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているとは認められないところ、構成中の図形部分については、特定の意味合いを表すものとして認識されているものではなく、また、「MATCHA CAFE」の文字は「抹茶を提供する喫茶店」程の意味合いを有し、その指定役務との関係においては役務の質を表示するものであって、識別標識としての機能が弱いか又はないといえるものであるから、大きく太字で書され、一種の造語として認識される「HACHI」の文字が、役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものというべきである。
そして、引用商標は、各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているとは認められないところ、構成中の人物図形部分については、特定の意味合いを表すものとして認識されているものではなく、また長方形部分におけるオレンジ色で縁取られた緑色の長方形の図形部分は、文字を装飾する背景として認識されるものであるから、大きく顕著に書された「HACHI」の文字が、役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものである。
そうすると、本願商標及び引用商標においては、「HACHI」の文字が、それぞれ独立して自他識別機能を果たし得るものであって、当該文字部分だけを要部として抽出し、観察することが許されるというべきである。
してみれば、本願商標と引用商標は、いずれも「HACHI」の欧文字を要部とするものであるから、外観において類似し、同一の称呼を生ずるものであり、これらを総合して考察すれば、本願商標と引用商標とは、互いに相紛れるおそれのある類似の商標というべきである。
(2)請求人は、本願商標や引用商標の実際の取引の実情を述べ、本願商標と引用商標の使用方法やその印象が全く異なるから、役務の出所との誤認混同を生じさせるおそれはなく類似するものではない旨主張し、証拠方法として第1号ないし第8号を提出している。
しかしながら、商標の類否判断に当たり考慮することのできる取引の実情とは、単に当該商標が現在使用されている商品についてのみの特殊的、限定的な実情を指すものではなく、指定商品全般についての一般的、恒常的な実情を指すものと解すべきであり(最高裁昭和47年(行ツ)第33号参照)、役務についても同様に解されているところ、請求人が主張する本願商標と引用商標の指定役務における取引の実情は、それぞれの商標の使用状況に係る個別事情にすぎず、それが当該役務の分野における一般的、恒常的な実情であるということはできないものであるから、請求人の主張する取引の実情は、本願商標の類否判断を左右するものではない。
したがって、請求人の上記主張は、いずれも採用することができない。
3 まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲

別掲1 本願商標(色彩については原本参照)



別掲2 引用商標(色彩については原本参照)


審理終結日 2020-06-08 
結審通知日 2020-06-26 
審決日 2020-08-19 
出願番号 商願2018-41005(T2018-41005) 
審決分類 T 1 8・ 262- Z (W43)
T 1 8・ 261- Z (W43)
T 1 8・ 263- Z (W43)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 杉本 克治高橋 篤至竹之内 正隆 
特許庁審判長 山田 正樹
特許庁審判官 木住野 勝也
青野 紀子
商標の称呼 マッチャカフェハチ、マッチャカフェ、マッチャ、ハチ 
代理人 弁護士法人大野慶樹法律事務所 

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